2021年3月期第2四半期決算説明会
朝倉研二氏:長瀬産業社長の朝倉です。急遽このようなオンライン形式での開催となりました。私どもも不慣れな面がありまして、みなさま方には若干のご不便をおかけするかと存じます。あらかじめご容赦いただければと思いますので、よろしくお願いします。
本日のサマリー
本日のサマリーです。トピックスのマテリアルズ・インフォマティクスについてはNVC室長の折井よりご説明します。それでは、さっそくですが、上半期の決算概況についてご説明します。
連結損益計算書
P/Lです。売上高は3,811億円で前年同期比97パーセント、営業利益は89億円で前年同期比84パーセント。純利益は101億円で前年同期比137パーセントとなっています。保有株式の売却にともなう売却益を計上したことにより、純利益は増益となっています。全般的に、私どもが当初想定していた見込みよりも幾分か高いレベルでの推移となった半年でした。地域では中国、業界別ではエレクトロニクス関連においてプラス要因がありました。一方で、業績に大きく影響を及ぼす自動車や香粧品関連の業界は想定内もしくは想定よりも悪い状況で推移したと考えています。後ほど何度か出てきますが、昨年買収したPrinovaグループの業績が、今期は4月から当社連結業績に寄与しています。詳細は後ほどご説明しますが、上期において売上444億円、営業利益25億円(のれん等の無形資産の償却費があり、P/Lへの影響は+15億円)が計上されています。
地域( 国内 ・海外)別売上高
地域別でご説明します。国内とアセアン地区については、非常に低調に推移しました。一方でPrinovaを中心に米州・欧州の業績が伸びて、海外売上比率は56.4パーセントまで伸長しています。これまで当社グループ、地域で見るとアジア偏重の状況でしたが、ここにありますとおり、地域ポートフォリオは目指す方向に向かいつつあると考えています。
セグメント別売上高 2期比較
セグメント別の売上高です。世界各地での自動車の生産台数の落ち込みが、モビリティ・エネルギーセグメント、機能素材セグメント、これらに大きくマイナス要因として影響を及ぼしています。国内、アセアンにおける樹脂販売も低調に推移したということで、加工材料はこのようにマイナスになっています。一方で、生活関連が大きく伸びています。Prinovaに加えて医薬品原料、中間体などの仕事が好調に推移して、このように増収となっています。
セグメント別売上総利益2期比較
売上総利益です。グループ連結の売上高は先ほどお示ししたとおり減収となりましたが、Prinovaの高い収益性が寄与して、売上総利益で見ますと、前年同期比で増益という状況です。
セグメント別営業利益 2期比較
営業利益です。減収による減益がほとんどです。1つ、加工材料についてご説明します。ここ数年で立ち直ったと思っていたのですが、加工材料セグメントの1つの大きな柱であるカラーフォーマー事業は、需要低迷に加え、中国の競合品の価格攻勢等により残念ながら市況が大幅に下落しています。こちらが加工材料の減益の大きな部分となっています。
電子は若干の減収であったにもかかわらず、利益面では増益となっています。これはナガセケムテックスを筆頭とする当社製品の販売が堅調に推移したということで、このように増益となっています。
主な連結子会社の業績
連結子会社の業績についてご報告します。真ん中の3社は、国内販売会社です。押し並べて大変苦戦しています。これは国内の市場が自動車のみならず、全般的に低迷したことによるものです。一方で、上海長瀬貿易有限公司は好調に推移しており、収益面でも前年同期比187パーセントと大幅な増益をもたらしています。これは主として、エレクトロニクスの半導体関連のさまざまな材料の事業が好調に推移していることが要因です。
主要製造子会社2社の状況
林原とナガセケムテックスについてご説明します。林原は主要な2品目としてトレハロースとAA2G®がありますが、双方ともに見込みを大きく下回って推移しています。当初、林原が担当しているような食品関連等は新型コロナウイルスの影響で落ち込むとは想定していませんでしたが、土産物、また外食等の市場が非常に冷え込んでおり、トレハロースの出荷にも影響を及ぼしています。プルランについては、堅調に推移しています。投資を行い、新工場がこの9月に竣工しており、現在、鋭意量産に向けて準備を進めています。年明けには、量産ベースでの出荷がスタートするものと見込んでいます。ナガセケムテックスは製品群で非常に凸凹がありますが、先ほどもお伝えしたとおり、エポキシ関連、またフォトリソ材料関連に加えて、福知山工場で酵素を生産している生化学品事業が前年同期比で非常に堅調に推移しています。よって、若干ながら増益を保つことができています。
Prinovaグループの業績
昨年買収したPrinovaについてご報告します。真ん中にお示ししているものが上半期の数字です。Prinovaでいうと1月から6月の数字をこちらに計上しています。売上高444億円、営業利益25億円となっています。この右側の数字は、Prinovaの昨年の1月から12月(通期)の数字です。今のところ前期比においても若干の増収増益を見込める状況となっています。新型コロナウイルスの影響等で健康志向が高まっていることが、食品関連が非常に好況である要因だと思います。一方で、私どもが力を入れているスポーツニュートリションの分野は、特に北米において、アメリカのジム等がすべてシャットダウンしたということもあり、残念ながら想定よりも少し下回っています。買収後、1年以上経過しており、計数面では、ご報告したとおりですが、おかげさまでPMI活動も非常に順調に行われ、今ではすでにシナジー効果も見られるといった状況となっています。
連結貸借対照表
B/Sです。資産は93億円の減少、負債については、265億円の減少という状況の中で、自己資本比率は3.7ポイントの増加で53.6パーセントとなっています。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローについては、この期は有利子負債の返済等で、財務キャッシュ・フローが236億円マイナスとなっています。その結果、現金および現金同等物は134億円減少しています。
運転資金および投資額について
運転資金および投資についてお示ししています。在庫は昨年来、非常に注意深く見ていますが、大きく問題視するようなところはありません。併せて、この新型コロナウイルス禍で懸念するほどの不良債権はないと理解しています。投資については、こちらにあるとおり、上期は、先ほどご報告した林原のプルラン棟の建設等に、このような数字を費やしています。新型コロナウイルス禍において、私どもは会社を挙げて、次につながるアイテム、DX関連、また先端技術関連等について、積極的な投資を進めています。ただ、このような新しいことへの積極投資のほとんどの部分が、今のところは費用性投資となっており、こちらの投資の数字には含まれていません。その旨、ご了解いただければと思います。
2021年3月期 業績見通し
通期の業績見通しをご報告します。9月以降、自動車の生産台数も世界各地で大幅に改善し持ち直しが進んでいます。グループ全体の業績も、9月以降は想定を上回るレベルで推移して現在に至っています。一方、ご案内のとおり、この新型コロナウイルス感染の拡大は、世界のあらゆるところで、とどまるところを知らないという状況だと認識しています。私どもは、マクロ経済を、非常に保守的にみています。加えて中国1つをとりましても、先ほど、上期は順調に推移したとお伝えしました。確かに生産活動は非常に堅調ですが、これが末端の経済活動、消費活動となると、まだまだ不安要素や懸念要素が多くあります。年明けの旧正月前後に、中国の市場の生産活動を含めたものがどのようになるかは大変不透明なものであるのではないかという懸念材料を持っているところです。そのため、通期の業績見通しは、期初にお示しした数字の売上高7,540億円、営業利益150億円、親会社株主に帰属する当期純利益125億円を、そのまま据え置いています。
セグメント別業績見通しを修正
中身には若干の修正がありますのでご報告します。エレクトロニクスは相当低く見積もっていましたが、やはり半導体およびディスプレイの一部等の立ち直りがありまして、グラフの中で丸で囲んでいる通期の見通し(営業利益)は、当初48億円だったものを62億円と上方に修正しています。一方で、生活関連については、68億円から56億円と下方修正しています。先ほどお伝えしたとおり、新型コロナウイルスの影響がこの分野に思いのほか出ていることが要因となっています。
セグメント別売上高見通し
セグメント別の売上高の見通しです。これは通年の前期比ですので、動向としては、上期実績のページでご説明した内容とほぼ同じだと思います。
セグメント別営業利益見通し
営業利益の見通しです。上期と同様にエレクトロニクスや生活関連は前年同期比で増益を見込んでいます。また、将来の成長を見込んで費用性の投資が、下期も幾分か計上される見込みであり、「その他・全社共通」に含まれています。1つご報告します。9月に、ナガセ医薬品という関係会社の譲渡を発表しています。ここ数年、業績が大変低迷していたナガセ医薬品の譲渡は、生活関連セグメントにおける収益面の改善につながっています。
配当状況
配当です。現在のところ、当初お示ししたとおり、前期と同額の年間配当金44円を予定しています。
ACE-2020 位置づけ
続きまして、現在進行中で最終年度を迎えている中期経営計画「ACE-2020」について、簡単にご報告します。中期経営計画は、5年間をとおして変革期という位置づけで、収益構造の変革・企業風土の変革を目指して、さまざまな施策を講じています。
ACE-2020 基本方針
収益構造について、特に北米等地域ポートフォリオは、良い方向に進んでいると認識しています。また、注力分野であるライフ&ヘルスケア関連は、大幅な増収増益となっています。また、収益構造の変革の一番下にある製造業は、残念ながら収益額は今のところ目標に届いていませんが、収益性は著しく改善があったと認識しています。一方、全体的に見て、資本効率を含む効率性の部分についての進展は今ひとつ遅かったというのが、私どもの大きな反省点です。
中期経営計画「ACE‐2020」のKGI進捗
現在の数字の状況です。見通しでお示ししたものを一番右側にプロットしていますが、最終年度として、今のプロットを上に引き上げるべく、会社を挙げて取り組んでいるところです。
中期経営計画「ACE-2020」 の進捗
2020年度に新たに取り組んださまざまな施策です。食品関連、DX関連、環境関連と、私どもが力を入れ、また、次の5年、10年に向けて非常に重要となる分野にリソースを多くつぎ込み、鋭意施策を推進しています。育成領域の一番上にある新材料探索プラットフォーム「TABRASA」の件については、後ほど折井よりご報告します。
次期中期経営計画の位置づけ
現在策定を進めている、次の中期経営計画についてお示ししています。私どもは2021年から2025年を1つの区切りとして中期経営計画を進めます。当初は、成長期という位置づけをしていましたが、この5年間の急激な外部環境の変化等、新型コロナウイルスに限ったものではありません。そのようなことから、私どもは成長期と位置づけるよりも、質を追求しようということに決定しまして、この中期経営計画の策定を進めています。「ACE-2020」で進めてきた各組織・地域の主体性の強化を引き続き重視しつつも、デジタライゼーションの対応、サステナビリティを意識した事業戦略の推進、そして新事業の立ち上げにあたっての蓋然性を高めることが、ひいては効率性の向上につながると考えています。これらについて、社内を挙げて一生懸命議論し、次なる中期経営計画を策定しているところです。年度が明けた来年の4月、5月に、必ずみなさまにあらためてご報告する機会を作りたいと思っています。私からの説明は以上です。この後、折井からマテリアルズ・インフォマティクスについてご説明します。
NAGASEのデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略
折井靖光氏:長瀬産業株式会社NVC(New Value Creation)室長の折井と申します。本日はマテリアルズ・インフォマティクス Software as a Serviceについてご説明します。まず、NAGASEのデジタルトランスフォーメーションの戦略ですが、これには2つの側面があると考えています。まず1つが、本業のデジタル化におけるデジタルマーケティングです。もう1つは、提供価値変革、NAGASEの強みを活かしたソリューションとしてのマテリアルズ・インフォマティクスとブロックチェーンです。この領域を、2017年4月1日設立のNVC(New Value Creation)室で担当しています。
NAGASE マテリアルズ・インフォマティクスプラットフォーム①
マテリアルズ・インフォマティクスは、マテリアルズ・サイエンスとコンピュータ・サイエンスの2つが融合しているテクノロジーです。最先端のデータ処理技術と材料科学を融合した、とても新しい材料開発技術と呼ばれています。端的に言うと、AIによって新しい材料が見つかるテクノロジーです。
このテクノロジーは、研究開発の期間を大幅に短縮する技術として、昨今ものすごく注目を浴びています。ところが、大きな課題となっているのは、膨大な開発コストあるいは専門的な人材(データサイエンティスト)の確保です。
ところが、NAGASEのマテリアルズ・インフォマティクスは、ユーザが初期投資することなく、ランニングコストのみで最先端のエンジンを使っていただけます。これにより我々は、産業界の研究開発の標準のプラットフォームとしてお客さまの価値創造に貢献していきたいと思っています。
NAGASE マテリアルズ・インフォマティクスプラットフォーム②
「AIによって本当に新しい材料が見つかるのだろうか?」と、疑問に思っている方も多いかと思います。そこで、スライドにチャートを1つお示しします。
今まで人類が発見した材料は「10の9乗」個あると言われています。しかし、はたして人類がまだ発見していない材料はどれくらいあるのでしょうか? みなさま、想像できますか?
スライドでお見せしているとおり「10の62乗」個もあるのです。これを人間ではなく、AIが見つけていきます。このようなことに我々はチャレンジしていきたいと思っています。
マテリアルズ・インフォマティクス・システム開発経緯
NAGASEのマテリアルズ・インフォマティクスの開発経緯です。当社は、2016年から3年間、IBMの「Research Frontiers Institute」というコンソーシアムに参画していました。この中に10個の開発テーマがあり、その1つに、新材料探索ということで、「Accelerated Material Discovery」というプロジェクトがありました。
このプロジェクトにおいて、IBMの研究所にNAGASEの研究員を送り込み、「これはすごいものだ」ということを認識しました。このコンソーシアムが2018年に終わり、その後2019年1月には、長瀬産業とIBMの共同研究開発「Joint Development Agreement」という3年間の契約を締結しました。
昨年から取り組んできましたPhase1、Phase2は、我々のグループ会社である林原、ナガセケムテックスの2社とIBMが一緒になり、新しいマテリアルズ・インフォマティクスのエンジンを開発してきました。
11月18日にこのサービスを上市するということで、プレスリリースしています。来年Phase3が残っていますが、IBMと一緒にさらに新しいアルゴリズムでエンジンを開発していきたいと思っています。
SaaS(Software as a Service)というビジネスモデル
これをどのようなビジネスモデルで展開していくのか、ということですが、このプラットフォームをSaaS(Software as a Service)というビジネスモデルで展開したいと考えています。IBMのクラウドの上に、我々が共同で開発したマテリアルズ・インフォマティクスのAIのエンジンを載せ、そのエンジンをお客さまにインターネットを通じて使っていただくことで、お客さまが新しい材料を発見します。このようなビジネスを行っていきたいと思っています。
年間使用料というかたちでお客さまから料金をいただき、それをサブスクリプションモデルとして収益にすることを考えています。
また、このSaaSのビジネスモデルは、顧客側と事業者側の両方にメリットがあると言われています。顧客側のメリットとしては、例えばIBMがエンジンを開発しているため、常に最先端の技術を享受し続けられることです。
もう1つは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースを搭載しているため、データサイエンティストがまったくいない会社の方たちにもこのシステムを使っていただけることです。このようなものが顧客側のメリットとして挙げられるのではないでしょうか。
長瀬産業としては、サブスクリプションモデルを使っているため、継続的な収入を見込むことができ、事業収益が安定すると考えています。早期に数十億円規模のビジネスが達成できると見込んでいます。
MIを実現する2種類のアプローチ
NAGASEのマテリアルズ・インフォマティクスには、2つのAIのエンジンを搭載しています。1つは「Analytics(アナリティクス)」というエンジンで、低分子構造と物性値をたくさん読み込ませ、そこに要求される物性値を与えると、数理計算・機械学習によって、推測される化学構造式をシステムが出力してくれます。
もう1つの「Cognitive(コグニティブ)」というエンジンは、ありとあらゆるドキュメントをAIに読み込ませると、AIの中にその知識が形成されます。そこに質問を投げかけると、専門家並みあるいは専門家以上の答えが返ってくるようになっています。この2つのエンジンを我々のマテリアルズ・インフォマティクスの上に搭載しています。
アナリティクスの活用例
ここでアナリティクスの活用例として、グループ会社の林原を例にご説明します。例えば、林原のお客さまの「〇〇な性質を持った糖質が欲しい」という要求に対して、林原の研究員は「どういう化学構造で実現できる?」と考えます。
ところが、スライドに書かれているように、糖質はものすごい構造のバリエーションがあり、理論的には100億通りあると言われています。そこからお客さまの要求するものを探すには膨大な時間がかかることが容易に想像できると思います。
アナリティクスを用いた糖質の設計
それを、我々が開発したアナリティクスのエンジンで行うと、たった153個のデータをAIに学習させることによって、融点である100度、150度、200度といった物性値に対して化学構造式を出力してくれます。
糖質の設計事例
ご覧のスライドが実際に出力された例です。100度、150度、200度でケミカルの構造式が自動的に生成されて出力されています。この中には、林原の研究員たちが「え、こんな化学構造式は見たことがない」というようなものも出力されてくるわけです。アナリティクスでできる糖質の構造は1日10個見つかると言われていますが、これは優秀な研究員の30倍ものスピードです。
コグニティブ・アプローチの概要
次にコグニティブ・アプローチです。ありとあらゆるドキュメントをAIに読み込ませ、そのドキュメントの情報から専門データを抽出します。専門データが抽出されたら、そこから知識に変換します。ここには、IBMが長年培ってきた「自然言語処理」と「ナレッジグラフ」という超強力なAIのエンジンが使われています。一度AIに知識が形成されると、質問を投げかけると答えが返ってくることが可能になります。
人間も知識ができたら、その知識に基づいていろいろな予測や洞察ができますが、その部分については、来年、「推測モデル」としてIBMと一緒に開発を進めていくことを予定しています。
コグニティブ・アプローチの特徴
このコグニティブのエンジンが業界の中でどれくらいの位置付けにあるかをご説明します。知識を作る上では、「文書デジタル化」「知識抽出」「知識表現」「新材料を見つけるインファレンスモデル」の4つのフェーズがあると言われています。
この4つのうち、「知識抽出」までは競合他社もできると言われていますが、我々はその先の「知識表現」から「新材料予測」までできるため、業界の中でも非常に強いAIを持ってビジネスを推進できると考えています。
コグニティブの活用例
コグニティブの活用例に関して、また林原を例にご説明します。スライドの右に書かれているのはナレッジグラフで、1,100万件もの酵素の情報を林原がAIに入力して作った知識です。この知識に対して質問を投げかけた時に、きちんとした答えが返ってくるかというバリデーションをしています。
質問は、「ラクトースに作用する酵素を見つけてきなさい」という内容です。ラクトース、これはいわゆる牛乳です。赤ちゃんの時は牛乳がエネルギー源のため、牛乳をブドウ糖とガラクトースに分解するラクターゼという酵素を我々は体内に持っています。
ところが、大人になるにつれてラクターゼの酵素の威力は弱くなっていきます。そうすると、牛乳を飲むことでお腹が痛くなります。これは病気ではなく、特にアジア系の人たちに多いと言われています。ですが、牛乳を飲む時に牛乳の中にあらかじめ牛乳を分解する酵素を入れておくことで、おいしく飲むことが可能です。この牛乳を分解する酵素を見つけることは非常に大事なタスクになります。
ナレッジグラフの評価
こちらが結果です。「Expasy」というのが、酵素を検索するために通常使われるデータベースです。このデータベースにより、牛乳を分解する酵素は3つ見つかっています。
我々が作ったナレッジグラフに「Expasy」のデータベースが入ってこの3つが見つかるのは当たり前なのですが、このナレッジグラフには「Expasy」のデータベースを入れていません。入れずにこの3つが見つかっているのです。
さらに、通常の酵素のデータベースでは見つかっていない3つも見つかりました。これが新しい知識の発見になります。こういったことが、これからどんどん起こってくると思います。
プレスリリース 2020年11月18日
こちらが、11月18日にプレスリリースした内容です。新材料探索プラットフォーム「TABRASA(タブラサ)」という名前を付け、ソフトウェアサービスの提供を開始しています。IBMと共同開発したマテリアルズ・インフォマティクスというかたちで発表しました。
NAGASE マテリアルズ・インフォマティクス 商標
「TABRASA」を聞いたことがある人はほとんどいないかと思うのですが、これは「Tabula rasa」、ラテン語で「何も刻まれていない石版」という意味です。何も刻まれていない石版に文字を刻むようにお客さまの豊富な知識を構造化し、蓄積し、活用することで新たな価値を生み出すお手伝いをしたいという想いから「TABRASA」という名前を付けました。
TABRASA プロモーションビデオ
ここで、「TABRASA」のプロモーションビデオをご覧ください。
Customer Success !! Powered by TABRASA
今年のNAGASEグループの企業広告で「未来の声を聴け」がスローガンになっていますが、長瀬産業は常に未来の声を聴いて「TABRASA」の提供を通じ、お客さまのビジネスの成功やイノベーションに貢献していきたいと考えています。「Customer Success!! Powered by TABRASA」というかたちで、これから「TABRASA」を業界に広めていきたいという想いがあります。
TABRASAに関してのお問合せは、こちらのサイトからお願い致します。
「TABRASA」に関してのお問い合わせについては、サイトが立ち上がっていますので、こちらからお願いします。本日はご清聴をどうもありがとうございました。