新型コロナウイルスの影響(海外)

南山隆敏氏:本日は、2021年3月期第1四半期決算説明カンファレンスコールにご参加いただき、ありがとうございます。コーポレートコミュニケーション部の南山です。どうぞよろしくお願いします。

本日は、初めに私から、2021年3月期第1四半期の連結業績のご説明をさせていただき、引き続き社長の三和より、2021年3月期業績予想についてご説明します。

初めに、第1四半期の状況についてご説明します。3ページをご覧ください。海外市場については、中国では、新型コロナウイルス感染症拡大による事業活動への影響を最小限に留めることができましたが、欧米では主要都市のロックダウンの影響により、営業活動が大きく制約され、商談や納品の延伸等の影響を受けました。

生産・調達については、4月当初から国内工場・中国蘇州工場は通常どおりに稼働しており、フィリピン工場については、5月初めに生産を再開し、段階的に稼働率を引き上げ、生産面の影響はありませんでした。また、調達についても、影響はありませんでした。

新型コロナウイルスの影響(国内他)

次に、国内の状況についてご説明します。4ページをご覧ください。国内については、緊急事態宣言発令の影響等により、金融市場および流通・交通市場では、商談の延伸や、お客さまのご意向により納品ができない状況が発生しました。また、遊技市場では、ホールの休業により営業活動の中断を余儀なくされるなどの影響がありました。

連結業績概要 前年同期比

このような状況を踏まえ、当第1四半期累計期間の連結業績の概要については、5ページをご覧ください。当第1四半期累計期間の業績は、前年同期比で減収減益となりました。売上高については、新型コロナウイルス感染症により事業活動が制約されたため、すべてのセグメントにおいて売上高が減少しました。

また、利益については、売上高の減少などの影響により、営業損益は前年同期に比べ41億4,300万円減少し、9億7,200万円の損失となりました。経常損益については、前年同期に比べ36億5,700万円減少し、9億1,900万円の損失となり、親会社株主に帰属する四半期純損益については、前年同期に比べ31億円減少し、15億5,500万円の損失となりました。また、EBITDAについては、41億4,800万円減少しました。

営業利益 増減要因

次に、営業利益の増減要因についてご説明します。6ページをご覧ください。当第1四半期累計期間の主な増益要因としては、販管費の減少による効果が12億3,600万円ありました。一方、減益要因としては、売上高の減少による影響が45億300万円、原価率の悪化による影響が8億7,700万円ありました。

その結果、当第1四半期累計期間の営業損益は、前年同期に比べ41億4,300万円の減益となりました。なお、為替の影響については、売上高でマイナス6億1,600万円、営業利益はマイナス8,400万円の影響がありました。

セグメント別売上高・営業利益①

続きまして、セグメントごとの売上高・営業利益の増減分析についてご説明します。7ページをご覧ください。当第1四半期累計期間のセグメント別売上高は、すべてのセグメントにおいて減収となり、前年同期と比べ109億9,900万円の減収となりました。次に、営業利益ですが、売上高の減少等により、金融市場、流通・交通市場を除くセグメントで営業損失となり、前年同期に比べ41億4,300万円の減益となりました。

海外市場

セグメントごとの状況について、もう少し詳しくご説明します。まず、海外市場についてご説明します。9ページをご覧ください。欧米では、金融市場向け紙幣入出金機RBGシリーズおよびリテール市場向け紙幣硬貨入出金機CIシリーズの販売は低調でした。また、アジアにおいては、紙幣整理機の販売は堅調でした。一方、OEM製品であるATM用紙幣入出金ユニットの販売は堅調でした。この結果、売上高は前年同期比マイナス17.1パーセントの178億6,600万円となり、営業損益は4億200万円の損失となりました。

地域別売上高

海外市場の地域別売上高については、10ページをご覧ください。先ほどもお伝えしたとおり、欧米では金融市場向け紙幣入出金機RBGシリーズ、およびリテール市場向け紙幣硬貨入出金機CIシリーズの販売は低調でした。アジアでは、中国において紙幣整理機の販売が好調でしたが、中国を除くアジア全体では低調でした。OEMでは、ATM用紙幣入出金ユニットの販売は前年同期並みでした。各地域の現地通貨ベースの伸び率は、右の列に表示しているとおりです。

金融市場

続いて、金融市場についてご説明します。11ページをご覧ください。金融市場では、主要製品であるオープン出納システムの販売は前年同期比マイナス11.3パーセント、窓口用紙幣硬貨入出金機の販売は前年同期比マイナス9.7パーセントと低調でした。

この結果、売上高はマイナス9.1パーセントの78億2,900万円となり、営業利益はマイナス40.7パーセントの1億7,600万円となりました。

流通・交通市場

続いて、流通・交通市場についてご説明します。12ページをご覧ください。主要製品であるレジつり銭機の販売は、前年同期比マイナス47.1パーセントと低調でした。また、売上金入金機の販売は、前年同期比マイナス16.0パーセントと低調でした。

この結果、売上高はマイナス23.9パーセントの95億4,200万円となり、営業利益については、マイナス82.5パーセントの2億6,800万円となりました。

遊技市場

続いて、遊技市場についてご説明します。13ページをご覧ください。遊技市場については、ホールの休業により営業活動の中断が余儀なくされたため、主要製品であるカードシステム等の販売は、前年同期比マイナス70.9パーセントと低調でした。また、ホール向け商品保管機も、前年同期比マイナス79.3パーセントと低調でした。

この結果、売上高はマイナス56.7パーセントの22億6,200万円となり、営業損益については、3億1,600万円の損失となりました。最後に、これまで説明した4つのセグメントに属さない、その他の事業については、売上高は前年同期比マイナス50.4パーセントの5億7,600万円、営業損益については、6億9,800万円の損失となりました。

設備投資他①

次に、14ページの設備投資他についてですが、設備投資額については、マイナス21.8パーセントの11億3,400万円。減価償却費については、プラス0.7パーセントの23億3,300万円。研究開発費については、プラス2.6パーセントの31億8,500万円となりました。それでは続きまして、社長の三和より、2021年3月期の連結業績および配当予想についてご説明します。

海外地域別の見通し

三和元純氏:三和です。よろしくお願いします。それでは、資料の16ページをご覧ください。まず初めに、海外の事業環境についてご説明をします。海外においては、欧米の主要都市のロックダウンにより、事業活動に大きな制約を受けました。

6月以降は、各国において経済活動の再開が段階的に進められており、下半期からは本格的な事業活動が再開できると見込んでいますが、最大のマーケットである米国の状況は、地域間のばらつきが大きく、事業活動の本格化には、なお時間を要すると予想しています。海外での生産・調達活動は、ほぼ平常どおりに復帰しています。

国内セグメントの見通し

次に、国内の状況について、17ページをご覧ください。国内では、4月に緊急事態宣言が出され、金融市場および流通・交通市場においては、商談の延伸や、お客さまのご意向により納品ができない状況が発生しました。これまでのところ、商談の延伸はあっても、当社の製品やサービスに対する需要の消失は生じていません。ただ、金融機関の経営環境はこれから厳しさを増すと思われ、外食チェーンの一部では、店舗の大規模な閉鎖に踏み切る動きも見られます。

遊技市場においては、ホールの休業により、一時営業活動の中断を余儀なくされました。現在はほぼすべてのホールが営業を再開していますが、遊技市場の縮小傾向が少し早まることも予想されます。こうした変化が当社ビジネスに中期的に及ぼす影響を慎重に見極めていく必要がありますが、一方で、タッチレス・コンタクトレス・セルフ化へのニーズはさらに高まっており、セルフ型のレジつり銭機・券売機、それからセルフサービスキオスクなどの販売拡大に注力します。

2021年3月期 業績予想

こうした状況を踏まえ、2021年3月期の業績は、売上高2,100億円、前年対比6.3パーセント減。営業利益60億円、前年対比66.5パーセント減、経常利益55億円、前年対比64.9パーセント減、親会社株主に帰属する当期純利益は25億円と予想しています。業績の本格的な回復は、2022年3月期になる見込みです。

2021年3月期の取り組み

今年度の取り組みとしては、5月の決算説明の際にご説明したとおりです。国内では、金融機関への次世代店舗スタイルの提案、流通・交通市場におけるセルフ化ニーズの高まりなどを的確に捉えたソリューションを提案していきます。海外では、セルフオペレーション化による金融事業の再成長と、買収したAcrelecやCPSなどとのシナジーを早期に実現し、リテール事業のさらなる加速を推進していきます。

セグメント別売上高・営業利益②

セグメント別の売上高・営業利益については、20ページをご覧ください。売上高については、海外市場、金融市場が前期を上回ることを予想していますが、流通・交通市場、遊技市場、その他のセグメントは厳しい状況を予想しています。

また、営業利益については、売上高の減少などにより、金融市場を除くセグメントで減益を予想しています。海外市場については、営業活動の制約に加え、欧米での製品ミックスの悪化や、Acrelecの業績が売上高には寄与するものの、利益への貢献は今期は見込めないことなどから増収減益を予想しています。

海外地域別売上高予想

次に、海外の地域別売上高予想についてご説明します。21ページをご覧ください。米国のリテール市場は前年度並みに推移すると見ていますが、金融機関の設備投資が弱含むと予想しており、今期は減収となる見込みです。

欧州においては、金融市場・リテール市場ともに、米国と同様の状況になると予想していますが、買収したAcrelecの売上を取り込むことで、増収になる見込みです。

アジアについては、新型コロナウイルス感染症の封じ込めに成功した中国において、増収を見込んでいます。

設備投資他②

次に、設備投資他の予想ですが、22ページをご覧ください。設備投資については80億円、減価償却費については100億円、研究開発費については140億円といずれも前年度に近い計画です。

2021年3月期 配当予想

続きまして、2021年3月期の配当予想についてご説明します。23ページをご覧ください。2021年3月期の配当金については、安定配当を継続するという基本方針に基づき、配当性向は高まりますが、6円の減配に留めて、年間60円を予定をしています。

以上で、2021年3月期の業績および配当予想に関する説明を終わらせていただきます。

戦略投資について①

最後に、戦略投資および生体・画像認識分野の状況についてご説明します。まず、戦略投資についてご説明をします。25ページをご覧ください。2020中期経営計画では、600億円の戦略投資額を設定し、現在までに約445億円を投資していきました。

1つ目の直販・直メンテナンス網の拡大においては、これまでに約100億円の投資を行ない、メキシコの販売代理店の買収、子会社のSitradeを通じて、イタリアでの競合先であったCTSの買収、さらに、Sitradeへの出資比率を51パーセントから75.5パーセントに引き上げ、イタリアにおける販売・保守体制のいっそうの強化を図りました。また、小さいですが、新たにオーストリアに現地法人を設立しています。

2つ目、新たなビジネスモデル・シナジーの構築については、今年4月に、グローバルファストフードチェーンなどにセルフサービスキオスクなどの店舗運営プラットフォームを展開しているフランスのAcrelecを242億円で買収しました。

また、eコマースの現金決済プラットフォームを提供するドイツのCPSを子会社化し、さらにはキャッシュアウトサービスを展開するシンガポールのSOCASHと資本業務提携を行ないました。2番の表の黒字が買収、赤字が資本業務提携です。

国内では、2018年に、高い音声認識技術を持つフュートレックに出資。それから本年5月には、AIビーコンを利用した顧客分析やWebターゲティング広告を得意とするアドインテとの資本業務提携を行ないました。

こうしたM&Aや資本業務提携を通じて、当社ビジネスの付加価値を高め、また、シナジーを創出していくことで、事業の成長を図っていきます。

戦略投資について②

次に、26ページですが、ビジネス・イノベーション・センターでは、生体認証プラットフォームの開発やマルチ生体認証サービス、集客支援、バーチャルショッピングなどのリテールテック事業や、新たなビジネスモデルの創出に取り組んでいます。

また、生産現場においては、省人化への取り組みが一段と進むと予想しており、当社の強みである認識・識別技術を組み込んだロボット・システムインテグレーション事業の拡大に注力をしているところです。

この分野には、表にございますように、年間20億円ほどの投資をしていまして、これまでに約35億円、この中期の期間では投資していることになります。事業の早期黒字化を目指すのはもちろんですが、こうした取り組みのいくつかが将来の中核ビジネスに育ってくれればと期待しています。

医療・介護分野での事業展開

続きまして、生体・画像認識分野について、簡単に説明したいと思います。まず、27ページですが、非常な拡大が期待される医療・介護分野での共同の取り組みを4つほどご説明します。

いずれも前回の決算説明のときに説明した項目ですので、詳細は割愛しますが、これ以外にも、このような医療・介護分野での事業の展開を進めているところです。

生体・画像認識分野の拡大

最後になりますが、生体・画像認識分野のご紹介をします。28ページをご覧ください。マスクの着用が日常化する中で、マスクを着用していても認証可能な新しいウォークスルー型の顔認証システムの販売を7月よりスタートさせました。非常に好評をいただいています。

それから、これも従来からご説明していますが、渋谷区の3書店で進めている「万引き対策共同プロジェクト」などにも当社の製品が採用されています。

こうした生体・画像認識分野をさらに拡大し、安心・安全な社会の実現に向けたさまざまなソリューションを提供していきたいと考えています。以上で、説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。