`19/10期の取り組み事項
西川光一氏:それではご説明申し上げます。まず最初に2019年10月期の大きな取り組み事項です。今期はパーク24グループといたしましても、非常に大きな変化のあった1年間になりました。
3ページに1年間の履歴を書いておりますが、まず、今期からグループ全社を網羅した新しい人事制度がスタートしました。基本的な考え方は、グループ間人事交流を前提として、各社を基本的には同一の給与体系にすることと、年功序列ではなく、その人の能力、実績と期待値、担当している仕事に対して給与が決まるという形態の新しい人事制度で、11月1日からスタートしています。
年が明けて2019年1月からは、「タイムズカー」のトライアル開始ということで、レンタカーとカーシェアの融合のトライアルを進めてまいりました。2月には、新型精算機、「タイムズタワー」と呼んでいますけれども、自社で開発した駐車場の精算機の設置を開始しています。
当社の下期にあたる5月に、千代田区有楽町から五反田に移り、というか帰ってきてという表現が適切かと思います。もともと昭和46年、1971年に五反田の地で創業したという背景があり、12年間ほど有楽町におりましたが、あちらの旧本社の入っていたビルのスペースがいっぱいになって、人員が入りきらないところもあって移転しようということになりました。たまたまご縁があって、土地は借地なんですけれどもお借りして、上物は自社で建て、自社ビルというかたちで移転いたしました。
また下期に合わせて、コーポレートアイデンティティ(CI)とブランドアイデンティティ(BI)をリニューアルいたしました。会社のロゴマークは、ブルーの「P」というアルファベットを模したものをコーポレートマークとしました。タイムズのマークは平行四辺形から長方形に変わり、「Times」の字体も少し変えました。新しいロゴマークとして今年の5月からスタートしています。
そして、事業的には一番大きな変化になるのですが、10月より消費税が8パーセントから10パーセントへ変更になったことに合わせまして、1991年にタイムズ事業を開始してから初となります、消費税の完全外税化に移行いたしました。これが今年の10月1日からということ、この1年間は当社的に非常に大きな変革のあった年となりました。
`19/10期 連結実績①
2019年10月期の連結の実績です。こちらは、すでに先日発表しております。売上高は3,174億円、営業利益が223億円、経常利益は215億円で、親会社株主に帰属する当期純利益が123億円でした。スライドにありますとおり、2019年10月期は増収減益という状況になってしまいました。
経常利益が計画に対してちょうど15億円、マイナスになっているんですけれども、この一番大きな要因といたしましては、海外の事業で、これはロンドンに拠点がありますNCP(National Car Parks)の事業になるんですが、不動産再開発収入という項目があります。
プロパティ・チャーンと呼んでいますが、要は今まで駐車場として借りていたところが再開発になります。NCPの駐車場は、おおむね長期で契約している物件で、25年、30年などの超長期契約が多いんですけれども、再開発にあたって、契約期間が残っていますので、NCPといたしましては、得られる利益が得られなくなるということで、その分、営業保証というかたちで金銭を、駐車場として借りていた物件を新たに買う。買主さんから金銭を頂戴をするかたちで、収入を立てていました。
それがプロパティ・チャーンという、不動産再開発収入という項目で15億円の予定があったのですが、売主さんというよりも買主さんのご都合で延期になっていまして、2019年10月期までに入らなかったということです。これがちょうど経常利益の計画未達15億円分に相当する状態で、計画対比で15億円のマイナスとなってしまいました。
2019年10月期は、特別損失がある程度のボリュームになり22億円ございました。主な内訳は、CIおよびBIの変更にかかる費用です。ほとんどがこちらです。特別損失が22億円あるがために、当期純利益としては、前期比で89.1パーセントの123億円という状況でした。増収減益という非常に残念なかたちで終わってしまったのが、2019年10月期です。
`19/10期 連結実績②
2019年10月期の経常利益に影響する特殊要因について、5ページでご説明しております。経常利益215億円の特殊要因として、とくに大きいところでは自然災害があります。例年と比べて台風が比較的大規模で影響が大きかったこと、あとは先ほど申し上げました本社移転のコストです。
また、東京2020オリンピック・パラリンピック、当社はTier3のスポンサーになっていまして、こちらの費用も2019年10月期に発生しています。駐車場の事業投資ですとか、新人事制度への変更に伴うコスト増も、2019年10月期に発生しています。スライド右下の特別損失も、本社移転の費用とCIおよびBIの変更費用、自然災害といったものが入っています。
経常利益に影響するマイナスの要因としては、先ほど申し上げました自然災害、本社移転、オリンピック、事業投資、人事制度、これらでだいたい31億円のコストです。特別損失は、本社移転、CIおよびBI変更、自然災害が主なところで、17億円となります。こういったものがなかりせば、というところもあるんですけれども、このような特殊要因もあって、2019年10月期は経常利益215億円という着地になっています。
`19/10期 事業利益
6ページがセグメント別、事業別の事業利益です。2019年10月期は、駐車場事業国内は281億円、モビリティ事業が91億円、駐車場事業海外が19億円となりました。事業利益の合計としては392億円ございますが、ここから(引かれる)事業開発費、のれんの償却ですとか、その他費用がトータルで176億円あり、差し引き215億円という状況です。
事業利益としては、駐車場事業国内とモビリティ事業が順調に利益を伸ばすことができましたが、駐車場事業海外が減少してしまいました。ポイントとしては、ここが非常に問題であるという認識です。
事業開発費については、キャッシュレスの決済サービスを展開している「タイムズペイ」への投資が大きいんですけれども、こちらは順調に推移しています。10月末現在で「タイムズペイ」の加盟店数は2万5,559店となり、1年間で1万8,494店、新規に加盟していただきました。
`19/10期 事業規模
事業別の詳細は7ページからです。駐車場事業とモビリティ事業の件数と台数を記載しております。駐車場事業の国内は、1年間で1,356件の増加になり、前期末比で107.1パーセントです。台数は3万1,361台増えて75万5,809台と、前期末比で104.3パーセントになりました。
駐車場事業の海外は、2006年から展開している台湾と韓国の開発が順調で、海外全体の駐車場の件数は2,631件で1年間で174件の増加、前期末比で107.1パーセントです。台数は66万5,774台で1年間で1万8,363台増えて、前期末比で102.8パーセントという水準になりました。
一方、モビリティ事業では、レンタカーは保有台数の適正化を行いましたので、台数がちょっと減り、542台減少の3万620台です。カーシェアは計画どおり台数を伸ばしまして、3,665台増の2万7,096台という状況になります。トータルでは、モビリティ事業としては5万7,716台の車を保有して、運用いたしております。
`19/10期 駐車場事業国内
8ページは駐車場事業の国内の売上高と営業利益、件数と台数です。売上高は、駐車場事業の国内では1,657億円で営業利益が281億円、前期比で102.3パーセントとなりました。着実に件数および台数が増えましたので、駐車場国内事業としては、順調に増収増益ができている状況です。
このなかで、2019年10月期のトピックスといたしましては、開発が非常に好調で、1年間に2,078件の新規開発を行っています。こちらは、実は過去最高の開発件数です。
駐車場事業の国内のなかでもう1つのトピックスは、2019年10月期は1ヶ月しかかぶっていませんが、10月1日からの消費増税があります。10月1日から、消費増税に対応した完全な外税への移行の料金変更を行いました。
10月末の時点では、およそ全体の3分の1ぐらいの駐車場で外税対応が完了しました。計画では年内、今月末までにすべての駐車場の外税対応を完了するというスケジュールで推移しています。今のところ順調に、年内には完了する予定です。
`19/10期 モビリティ事業 タイムズカーレンタル
9ページは、モビリティ事業のなかのレンタカーについてです。レンタカー事業は、第1四半期、第2四半期、第3四半期、第4四半期という四半期ごとに見ると、第3四半期で、損害保険会社向けの代車の需要が想定ほど伸びず、保有している車両が思ったほど稼働しなかったということが起こりました。そのため、第4四半期で車両の売却を進めて、トータルの車両数の適正化を行いました。
加えて、冒頭申し上げましたけれども人件費の増です。昨今、働き方改革ということで、繁忙期だからといって残業時間が過多になったり、アルバイトの方の業務量が多くなりすぎたりという状況にならないように、適正な人員配置を行った結果、人件費も少なからず増加したというのが2019年10月期の状況です。
レンタカーは個人、法人で見ますと、個人需要は、昨今の日韓関係の影響もあって、韓国の旅行者の方の需要は確実に減少しました。けれども、その影響があったにもかかわらず、総じて国内観光者ですとか、インバウンドの海外旅行者の方の利用については、おおむね好調でした。個人需要については、非常に旺盛な需要があった1年間でした。
そういった個人利用の伸びがあり、それによって1台あたりの売上が大きく伸びました。一方で、コストの増加が売上以上にありましたので、そこから差し引かれる営業利益としては、前期の2018年10月期に比べると下回ってしまったという状況です。
`19/10期 モビリティ事業 タイムズカーシェア①
10ページはカーシェアの状況です。カーシェアは、極めて順調、好調に推移いたしました。台数も計画どおり、2019年10月末で2万7,096台となっています。従来から、2020年10月までに3万台という計画で進めていましたので、非常に順調に進んでいます。ですので今期も、従来のカーシェアに該当する車両については純増3,000台を計画をして、当初計画どおり2020年の10月末での3万台体制に向けて増車をしてまいります。
台数も順調に増えたんですけれども、配備も、使いやすくしていこうということで、駅前の設置を進めました。とくに新青森駅から鹿児島中央駅までを結ぶ東北・東海道・山陽・九州新幹線の全駅前に、タイムズのカーシェアの設置が完了しました。
今申し上げました東北・東海道・山陽・九州新幹線を含めた国内の新幹線107駅のうち、現状では8割の駅の駅前にはタイムズのカーシェアがあるという状況まで設置が完了いたしました。
カーシェアについても10月から料金改訂になっていますが、こちらは過去の消費増税に合わせて変則な料金になっていました。2009年7月に本格参入した際の駐車料金は15分200円という料金で設定しました。その当時は消費税が5パーセントでしたが、その後8パーセントと、3パーセント上がったため、従来の15分200円を3パーセントだけ上げて206円にしたのです。
このように対応していくと、本来であれば消費税が10パーセントになるとさらに2パーセント増えるので、15分210円というのが消費税アップ分を転嫁した料金になります。ですが消費税が将来的に10パーセント以上に上がっていく可能性も考えると、一部が内税で、超えた分だけは外税という変な料金体系になっていましたので、10月1日から駐車場の料金改定とともに、カーシェアも200円プラス税という料金体系にいたしました。
`19/10期 モビリティ事業 タイムズカーシェア②
11ページは、カーシェアの1台あたりの売上と営業利益です。スライド左側の棒グラフの、右側が2019年10月期になりますけれども、1台あたりの売上が11万5,700円、コストが9万2,300円です。1台あたりの営業利益が2万3,400円と非常に順調に増加しています。
増加要因として1つ挙げられるのが、3年ほど前から、土日に関しては当社としてもある程度満足できる水準の稼働になっていた一方で、平日の稼働がまだまだ弱いという状況でした。
単純比較すると、土日の半分ぐらいしか平日が稼働していなかったので、なんとか平日の稼働を高めるため、3、4年ほど前から法人会員獲得を強化をしていました。その結果、2019年10月期も法人会員比率が1ポイント強増加の40.4パーセントに上がってまいりました。
2019年10月末で個人会員が77万7,678人、法人会員が52万7,646人で、トータルで130万会員を超える規模まで会員が増えてまいりました。2019年10月期、カーシェアは計画以上に、非常に順調に推移した1年であったといえると思います。
`19/10期 駐車場事業海外
一方で、12ページは課題となる駐車場事業の海外です。2019年10月期の売上高は659億円、売上総利益が79億円、営業利益がマイナス9億円です。ただ、売上高自体は、全体的に物件が増えたことと、既存物件の料金改定も行ったことで、実際は増加しています。ですが円換算すると為替の影響で前期よりも少なくなっています。
(スライドに)事業利益19億円と書いていますのは償却前の数字ですが、為替の影響を除いても、実質の事業利益は前期より7億円減っています。要因といたしましては、2018年10月期には発生していた不動産再開発収入、プロパティ・チャーンが、2019年10月期には入らなかったこととがあります。
また海外の事業、先ほど申し上げましたように、日本と違って非常に長期の25年とか30年という契約が多いため、物価上昇に合わせて賃料が変動する契約になっています。物価連動による賃料の上昇に対して、売上が上昇分を賄えなかったことが、要因として発生しています。
そういった要因等々ありまして、事業利益も前の期が27億円あったものが、2019年10月期は19億円と下がってしまったというのが、海外事業の中身です。以上、セグメント別の事業利益を含めた全体のご説明でした。
`20年10月期 取り組み事項①
14ページから、今期2020年10月期の取り組みについて、簡単に説明させていただきます。大きく分けて3つです。
(1番目に)駐車場が主になりますけれども、開発による規模の拡大を今期も目指してまいります。先ほど、2019年10月期も過去最高の開発件数と申し上げましたけれども、今期はこれを若干ですけれども超えて、開発の見込み件数としては2,100件としています。こちらも過去最高を更新する開発計画なのですが、全体で、国内では2,100件の駐車場開発をしようという目標を立てています。
(2番目に)新型精算機「タイムズタワー」の導入の加速です。新規の駐車場は当然ですが、既存の駐車場についても対応していきます。2024年10月末までにタイムズ駐車場はすべてこの新型精算機「タイムズタワー」に載せ替えるという計画です。
これについては新規の駐車場はもちろん、既存の駐車場についても段階的に載せ替えていかなければ間に合いませんので、その2024年10月の全部を新型精算機に替えるという計画に則って今期も実施してまいります。
3番目としては(スライドに)「消費税対応」と書いてありますけれども、冒頭申し上げましたように駐車料金を、この事業を開始して以来初の完全な外税対応に移行しました。その移行にあたって機械的には、従来は硬貨は百円玉、五百円玉、紙幣は千円札、五千円札、一万円札だけ対応すればよかったものが、完全外税化して210円という駐車料金になったため、十円玉対応をしなければいけないということになります。
けれども、完全外税で十円玉対応に移行したので、今までよりもきめ細かい、柔軟な駐車料金の設定ができることになります。今後は、この外税対応で10円単位化を開始したことを逆手にとって、という言い方は変ですが、せっかく機械が十円玉に対応できるようになったので、今期は柔軟な料金設定に取り組んでまいりたいと思っております。
`20年10月期 取り組み事項②
もう1つの大きな取り組みとしては、こちらも先ほど申し上げましたが、タイムズカーです。「タイムズカーってなんじゃい?」という話なんですけれども、今まではレンターカーを「タイムズカーレンタル」、そしてカーシェアを「タイムズカーシェア」と呼んでいました。その語尾についている「レンタル」とか「シェア」を取っ払って「タイムズが提供する車はタイムズカー」であるということで展開していきます。
わかりやすく一言でいうと、「レンタカーとカーシェアの良いとこ取りをした使い方ができる車です」ということになります。そしてこれを、一応トライアルとしては、今年の1月から開始しており、今期もタイムズカーの提供というものを積極的に進めていきたいと考えています。
`20年10月期 取り組み事項③
16ページが「タイムズカーってどんなもんなんだ?」という話なんですけれども、従来のカーシェアとレンタカー……レンタカーは今さらご説明の必要もないと思いますが、カーシェアというのはどちらかというと「レンタカーの短所をカバーしたサービス」だったんです。
レンタカーというのは、レンタカーの営業所の営業時間じゃないと車が借りられない、返せない、というものです。なおかつ、その数が少なく、どちらかというと営業所は比較的遠いところにあります。
それに対しカーシェアというのは、家や会社の近所の駐車場に置いてあって、無人なので24時間いつでも借りられて返せるという、レンタカーの欠点を補って運営していたものです。裏を返すと「カーシェアの欠点はレンタカーがカバー」していたんです。カーシェアの欠点は何かというと、「借りようと思っても誰かが借りてたら車がない」ということです。
日本の場合、レンタカーですと、よっぽどの超繁忙期でない限り営業所に行って車がないということはまずありません。営業所に行けば必ず車が借りられます。カーシェアの場合は、そこに置いてある車をそのままの状態で借りないといけないということがあります。なので車種のバリエーションが限られるということと、オプションのオーダーができない、ということです。
一方、レンタカーの方は、営業所に行けばコンパクトカーからフルサイズのセダンからワンボックス、SUVと車種のバリエーションが非常に多く、またオプションのサービスもあります。スキーに行くのでスタッドレスタイヤを履いて欲しいとか、スキーキャリアを付けて欲しいとか、あるいはチャイルドシートを付けて欲しいなどです。カーシェアでは、そういったオプションサービスも提供できませんが、レンタカーでは提供できます。
このように、従来からカーシェアとレンタカーは相互補完の関係にあったのですが、タイムズカーは一言でいうと、この相互補完関係を1つの商品としてまとめましょう、というものです。1つの商品にするうえで一番難しいのが料金体系の統合なのですが、こちらもやはり利用者のメリットを最大限に考るということで、双方の料金を計算して安い方を取り入れて設定いたしました。
そのように今年の1月から展開しています。ただその後、10月から先ほど申し上げたように消費税の改定に伴うカーシェアの料金変更が起こっておりますので、本格的にはこのタイムズカーも今期以降からです。
営業所でいうと、すでに250箇所の旧レンタカーの営業所でこの新しいタイムズカーを提供しております。新しいサービス、オプションサービスですとか……あとは大々的な告知での利用の活性化という部分は、今期からというところが非常に大きいです。ですので、このタイムズカーの成功の正否は、一応今期の実績から将来的なものが見えてくるのではないかと大きな期待をしているところです。
`20年10月期 取り組み事項④
17ページは、タイムズカーのパーク24グループ側から見た時のメリットです。(スライドに)いろいろ書いておりますが、やはり統合した方がメリットが非常に大きいのです。
同じ車でありながら物理的な違いというのは、従来はカーシェアは車載器……要はオンラインでセンターなどとつながっている車載器が付いています。そしてレンタカーには車載器は付いていないというのが一番の違いでした。今後は従来の営業所に置いてある、レンタカー用に仕入れた車にもカーシェアで使う車載器を搭載します。
なのでその物理的違いもなくなりますし、加えて管理面でも「こっちはレンタカー、こっちはカーシェア」という区別がなくなりますので、管理も非常にしやすくなります。そういった面でサービスを提供する当社側から見ましても、このタイムズカーの推進により非常に効率化が図れますので、積極的に進めていきたいと考えています。
`20年10月期 取り組み事項⑤
「2024年にはタイムズカーとして10万台の運営へ」ということで、この10万台を成功させるためにも、この20年10月期にタイムズカーを積極的に推進していき、実際にご利用いただいた方々の声を生かして、いろいろなオプションサービスの提供も増やしていきたい、サービスメニューを増やしていきたいと考えております。
`20年10月期 取り組み事項⑥
19ページが懸案の駐車場事業の海外の部分です。この海外事業は、2017年にオーストラリアのシドニーが拠点のSecure Parking、イギリスのロンドンが拠点のNational Car Parks(NCP)をM&Aをしました。当初から申し上げていたのが、両社とも未上場の会社で、なおかつNCPは100パーセントをファンドが持っていたり、Secure Parkingは50パーセントをファンドが持っていて、残り50パーセントを創業兄弟が持っているという状態でした。
両社とも当社がM&Aをする数年前から、少し資金調達には苦労するような状態が続いていた会社です。そういったなかでどうやって利益を出していたかというと、開発により成長して利益を上げていたというよりは、いかにコストを使わないかというその徹底したコストカットで利益を出すということを数年にわたって実施していました。
そういったような2つの会社を当社がM&Aをして一番最初に行ったのは、とにかく両社とも未上場の会社でしたので、上場会社のグループ会社として堪えうる管理体制の構築です。要はガバナンスもそうですし、コンプライアンス体制の強化、それからJ -SOX対応などです。
こういったようなところを徹底的に、取りこぼしのないように体制を作るということを最優先事項として取り組みました。どうしても2、3年掛かるかなと、少しでも早くなれば良いなと思っていたんですけれども、結果的には、当初想定どおり大体2年半から3年近く掛かってしまいました。
そしていよいよ、我々はここからがどちらかというと得意なんですけれども「やっとアクセルが踏める準備ができたかな」というのがこの2020年10月期です。19ページに「開発促進に向けた体制整備」と書いておりますように、ようやく攻める人員の採用を強化するタイミングになってきました。
ということで開発営業人員の採用、育成も強化していきます。とくにイギリスのNCPの方は業務が非常に細分化されていて、シングルタスクの人が多いのです。「この人はこのミッション、この人はこのミッション」というように、なんというか、雇用習慣の違いもあるんでしょうけれども、いくらなんでもそれはシングルタスク過ぎるということで、今期から、現地のスタッフの方にはある程度のマルチタスク化をお願いしています。
前期までNCPの開発に携わる人員は7名だったのですが、マルチタスク化することによって、今期から開発するメンバーとしては42名と飛躍的に増やしております。
また(スライドに)「収益性向上に向けた駐車場管理体制の構築」と書いてありますけれども、NCPもSecure Parkingも日本でいうところのタイムズサービス……我々のグループ会社でタイムズサービスという駐車場の管理専門の会社がございますけれども、NCP、Secure Parkingはそのような体制にはなっておりません。
ですがやはり、駐車場の効率的な管理、そして収益性の向上ということを考えると、どうしても専門的な管理体制の構築は実施していかないといけません。ここはどうしても避けて通れないところですので、その専門的な管理体制の構築に向けた準備についても今期から強化していこうと考えております。
(スライド)3番目には「グループ間のノウハウ共有促進」と書いてありますが、「パーク24グループグローバルサミット」を、第1回はマレーシアで開催しました。海外事業に携わっている人間がマレーシアに集まって、いろいろな研修講習の後に情報共有をするという大会です。こういったノウハウの共有や環境の整備も、今期は積極的に進めていきたいと考えております。
駐車場事業の海外については、当社側の方々に非常にご心配を掛けている部分ではあるのですが、先ほども申し上げましたとおり「やっとアクセルが踏める体制が整ってきたな」というところなので、期末の段階では、今期の海外事業で「なんか変わってきたな」というような兆しをお示しできるのではないかなと思っております。
`20年10月期 取り組み事項⑦
そのほか、2020年10月期の取り組み事項といたしましては、スライドにいくつか書いてありますけれども、「会員組織・街のネットワーク拡大」です。要はタイムズペイの加盟店の拡大です。こちらについては今期も継続して進めて参まいります。
そして「法人のタイムズブランドサービス利用促進」です。法人様については従来から駐車場をキャッシュレスで使える売り掛けのカードとして、タイムズビジネスカードというものを発行しています。このカードでカーシェアが使えたり、ビジネスカードを持っている法人様が我々のグループが提供するサービスをシームレスにお使いいただくことができるようなサービスを、今期いろいろ考えてご提供したいと考えております。
スライド上の右側に「タイムズブランドサービスの融合」と、やや抽象的に書いてあります。まだまだお話しできない部分もあるんですが、わかりやすくいうと、アプリケーションを作ってそこに我々グループが提供するサービスをすべて入れるというものです。
スマホにそのアプリを入れていただければ、パーク24のサービスを非常にスムーズにかつ簡便に使うことができるというものを目指そうと考えています。「アプリ開発によるサービスの利便性向上」と書いてありますように、新しいアプリを開発しようと今、準備をいたしております。
`20年10月期 取り組み事項⑧
21ページも会社としての取り組み事項ですけれども、2020年10月期の大きなイベントとしては東京オリンピックがございます。こちらは組織委員会から、駐車場でいろいろ協力して欲しいという依頼が来ておりまして、今ちょうどその組織委員会と東京都の交通局、関係各庁が集まって、オリンピック開催期間中の駐車場提供をどうするかという話を詰めている状況です。
こういったようなところでも今我々が持っている、例えばですけれども、駐車場の予約のシステムというようなものを活用して……オリンピック期間中、どういう交通規制になるかは現状はっきり出ていませんので読みづらいんですけれども、なんとかオリンピックの成功に向けて会社として積極的に貢献したいと考えております。
そしてスライドの真ん中に「データセンターの強化」と書いておりますが、我々(の業務)も非常に、すべてがオンライン化され、システム化され、データ化されています。このあたりの基盤的な部分の強化というものについて、日に日にクオリティの高いものが求められてきております。そそれに対応するためにデータセンターの強化も今後は積極的に実施していこうと進めております。
また、クレジットカードのEMV対応……EMVはスライドの下の方に注釈で書いてありますけれども「ICチップ付きクレジットカードと決済端末機に関する仕様を定めた国際標準規格」です。こういったものに対応する準備もあわせて進めてまいります。
さらに、引き続き「コーポレート・ガバナンス強化」をさらに促進してまいります。昨日……来月、年明け1月30日の定時株主総会での承認を前提としますけれども、新たに取締役員、コンプライアンス担当役員1名の選任をお願いしています。
今まではコンプライアンス担当は執行役員という立場で、コンプライアンス統括本部長という肩書でした。ですが、一歩上に上がって経営という視点から全社的なコンプライアンス統括を担ってもらうため、従来執行役員であった本部長を取締役として、来年1月の総会後から就任していただく予定になっております。
`20/10期 連結計画
23ページは、2020年10月期の連結の数値目標になります。売上高は3,330億円、営業利益が267億円、経常利益が255億円で、親会社株主に帰属する当期純利益が165億円というのが2020年10月期の計画です。これが達成できれば、売上高および各段階利益ともに過去最高を更新するという計画になっております。
`20/10期 連結計画 事業利益
24ページは事業別の事業利益です。駐車場事業の国内で302億円、モビリティ事業が118億円、そして駐車場事業の海外が29億円で、事業利益の合計が449億円となります。そして事業開発が18億円のコスト、その他費用が176億円となり、差し引きで255億円の経常利益額という計画です。ざっとした話になってしまいましたが、以上が、私から2019年10月期の概要と2020年10月期の計画でございます。続きまして佐々木から財務関係の変更に関するお知らせについて説明させていただきます。
`20/10期 財務会計の変更 ①
佐々木賢一氏:財務会計に関するお知らせを2点、簡単に説明させていただきます。1つは、今までタイムズ24という法人で駐車場とカーシェアリングの事業を行っていました。カーシェアリングの車両を置いているスペースは、駐車場の空きスペースを使っているため、基本的にここのコストは今までもご説明していたとおり発生していないということを大前提にお話ししていました。
ですが、今期からタイムズモビリティという法人でレンタカーとカーシェアの両方を展開していくということになりました。イコール駐車場事業とカーシェア事業は法人としては分かれることになります。実際に法人間では、いわゆるカーシェアが置いてある駐車スペースの駐車料金をタイムズ24に支払うということになります。
ゆえに財務、いわゆる有報や短信などは、駐車場事業は賃料が入りますのですごく利益が増えて、カーシェアリング事業の方は逆にコストが非常に大きくなるというような表示の仕方といいますか、現れ方になります。
そういった事情があるなか、先ほどお話しした今期の事業計画は、前期までと同じかたちで考えている、いわゆる駐車場の賃料が含まれてないものになります。そして今後、IR、こういった席上でご説明させていただくのは、継続性の観点から、前期と同じ、つまり駐車料金が発生しないベースを基本として説明させていただきたいと思います。
ただし財務情報と一部違う表現になりますので、そこはきっちりご説明といいますか、表したうえで、今までと同じようなかたちで説明させていただきたいと思っております、というのが1点目です。
`20/10期 財務会計の変更 ②
2点目に、IFRS16適用によって少し財務関係、いわゆる財務やP/Lが変更していきます。スライドの図の右上にありますように、各国の会計基準がIFRSを基準にしているものから、イギリスのようにFRS102という会計基準で決算しているなどさまざまです。最初、日本基準に合わせるときには、ここでいうとイギリスのNCPと台湾は当然日本基準に変更してお示ししているのですが、IFRSについてはそのまま適用というかたちになります。
それによりどういうことが起きるかというと、今期からIFRSのリース会計基準の変更が適用されますので、主にはオーストラリアなどですが、通常賃貸借で借りている駐車場の賃料が少し基準が変わります。いわゆる駐車場を借りてきてるものですから、それがリース資産とリース負債というかたちになります。
これが約220億円ございまして、我々の総資産が3,000億円くらいですから、そこにプラス資産でいくと200億円、債務でいくと250億円というのが乗っていきます。さらにP/L的は、今まで通常に賃料として売上原価に入っていたコストが、減価償却と支払利息というものに分けられます。
ゆえに、営業利益より……営業利益を基準にすると、営業利益までは減価償却のみが計上されていて、営業外に支払利息が出てくるので、経常利益ベースは変わらないんですけれども、営業利益のところで一部利息分が営業外になっていくという計算になります。
ですので、スライドにも書かせていただきましたが、海外事業の事業利益が前期19億円に対して今期29億円となり、「すごいジャンプアップするじゃないか」と思われるところが若干あるのですが、実際には事業利益から、ここでいうと他費用合計というところに6億円分くらいが移行しています。以上のようになりますので、その点ご注意いただければと思います。よろしくお願いいたします。