上期業績ハイライト
髙橋誠氏:それでは、よろしくお願いします。私から、2019年3月期第2四半期の決算についてご説明させていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
それでは、上期の業績ハイライトについて、まずご説明させていただきたいと思っております。
まず2ページ目、上期業績ハイライトでございます。左側の上期の連結売上高につきましては2兆4,623億円、そして右側の営業利益につきましては5,612億円ということで、現中期経営計画の目標の達成に向けて、順調な進捗だと考えております。
上期 営業利益 増減要因
次に、上期の営業利益および増減要因になります。
上期の増減要因でございますけれども、左側から料金プランの値下げによる減収影響などにより、au通信ARPAの収入につきましては292億円の減収となりましたものの、MVNOの収入、付加価値ARPAの収入の増収や、ビジネス、グローバルセグメントの増益というものが、業績を牽引しております。
なお、「その他」には、減益要因として前期のauポイントの影響が約200億円、増益要因として端末販売コストの削減やIFRS15号の影響が含まれておりまして、通期の見通しに対して順調な進捗となってございます。
au通信ARPA/au通信ARPA収入
ここから、国内通信事業についてご説明をいたします。
au通信ARPAとau通信ARPA収入でございます。左側のau通信ARPAにつきましては、スマートフォンや大容量データ契約者の増加等によるデータARPUの上昇はあったものの、「auピタット/auフラットプラン」の影響によって、前年同期比で1.7パーセントの減少となりました。
右側でございますけれども、au通信ARPA収入についても同様の動きでございまして、前年同期比2.9パーセントの減少となっております。
スマートフォン料金プラン
スマートフォン料金プランでございますが、これもみなさんがよくご存じのとおり、我々はすでに昨日(2018年10月31日)からかなり話題になっております「分離プラン」でございますけれども、いち早く我々は昨年(2017年)の7月から導入いたしております。
具体的に「auピタット/auフラットプラン」というものを導入し、お客さまに非常に好調に加入していただいておりまして、すでに1,000万契約を突破いたしております。
(右側は)平均請求額でございます。「auピタットプラン」のお客さまの請求額のビフォー・アフターでございますが、約3割低下いたしておりますので、そういう意味においては料金プランの低価格化・シンプル化というものを行った結果、このようなかたちで実際の平均請求額が下がってきていると理解をしております。
料金プランの低価格化・シンプル化に向けて、今後もさらなる料金プランの進化を目指していきたいと思っております。
お客さま還元の推進
そして、お客さま還元の推進でございます。
当社は、スマートフォンの販売を開始してから、2012年に固定通信とセットの「auスマートバリュー」、音声と・データ定額、ライトユーザー向けプラン、あるいは長期利用のお客さま向けの会員プログラム「auSTAR」など、お客さま還元を推進してきております。
また昨年度(2017年)、業界でいち早く分離プランを導入いたしました。以降、お客さま還元の累計につきましては、今期末までに約3,000億円超の還元をいたしたと思っておりまして、そのような見込みでございます。
今後も多彩なプランでお客さま還元を推進するため、通信料収入の減収はありますけれども、領域の成長を推進していくことによって、持続的成長を果たしていきたいということが、我々の基本的なスタンスでございます。
au解約率/モバイルID数
次に、au解約率とモバイルID数でございます。
この料金プランの推進をはじめとした取り組みの結果、左側のau解約率につきましては、前年同期比で0.15ポイント改善の0.64パーセントまで低下いたしております。
一方、右側でございますけれども、au解約率の改善もあり、モバイルID数は2,670万と着実に成長いたしておりまして、この分離モデルによる料金プランは、解約率の抑止にもうまく貢献できていると考えてございます。
個人・法人において「3年連続No.1」を受賞
「個人・法人において『3年連続No.1』を受賞」と書いてございますけれども、J.D.パワーにおける顧客満足度調査につきまして、3年連続でお客さま満足度No.1をいただいております。
携帯電話・スマートフォンは個人のお客さまの利便性向上を通じて、今やあらゆる産業でのエンドユーザー向けサービスにおいて、欠かせないツールとなっております。
日本の経済活動の中長期的な成長に向けて、個人のお客さま・法人のお客さま・政府のみなさまからのあらゆるご要望を真摯に受け止めて、引き続きお客さまの満足度の向上に努めてまいりたいと考えております。
今後ともKDDIグループ一丸となって、あらゆるお客さま接点を通じて、お客さまの期待を超える体験価値の提供を追求してまいります。
通信とライフデザインの融合
それでは、新たな成長領域についてご説明いたします。
私が社長に就任してから、「通信とライフデザインの融合」を掲げておりまして、これは通信からライフデザインへのシフトではなくて、通信を中心にライフデザインを展開することで成長を目指すという戦略でございます。
ライフデザインの語源について紹介いたしますと、当初のスローガンがもともと「Designing The Future」ということになっておりまして、ライフスタイルをかけ合わせることによって、未来のライフスタイルをデザインするという意味を、ライフデザインに込めております。
左側のコンシューマの事業においてはもちろんのこと、右側の法人向けのソリューション事業においても通じる考え方であると思っております。
法人のお客さまと通信を中心にビジネスに貢献できるよう取り組んでいきますし、さらにお客さまのその先のエンドユーザーさまの体験価値まで提案することによって、単なる通信キャリアからお客さまのビジネスに全力で貢献する価値協創パートナーを目指してまいりたいと思っております。
au経済圏 流通総額/売上高
その結果の、au経済圏の流通総額であります。
左側のau経済圏流通総額が、第2四半期で6,080億円、通期目標の2兆4,600億円に対して上期累計で1兆1,680億円と、順調な進捗でございます。
一方、右側のau経済圏売上高でございますが、1,670億円。四半期では、前期よりも成長が加速しておりまして、いずれも大幅に成長してございます。
付加価値ARPA
次に、付加価値ARPAでございます。
付加価値ARPAにつきましては、第2四半期で690円、前年同期比ではプラス21.1パーセントと、大きく成長いたしています。
この成長の背景といたしましては、主に2点。1点目は、決済手数料収入。「auかんたん決済」……キャリア決済です。これと、「au WALLET」。順調に利用を伸ばしています。これらはプラットフォーム収入となりますので、安定的な収益基盤の確保ができると考えています。さらに、来年(2019年)4月から、新たにQR決済サービス「au PAY」を開始することによって、さらなる成長を目指してまいります。
2点目は、サブスクリプション型の有料サービスでございまして、「auスマートパスプレミアム」。(2018年)9月末では574万会員と、順調に進捗していまして、今期末では700万会員を目指していますが、これにつきましても順調な進捗と考えてございます。
ライフデザインサービス
ライフデザインサービスでございます。
こちらに示しましたとおり、エネルギー事業の「auでんき」、それからコマース事業の「Wowma!」「au WALLET Market」、エンターテインメントとしての「Netflixパック」「auスマートパスプレミアム」、さらに決済プラットフォームの「auかんたん決済」、「au WALLET」など、さまざまなサービスを提供しています。
右側に示したとおり、狙いは大きく3点で整理しています。1点目は、お客さま満足度向上におけるリテンションの強化でございまして、今申し上げましたライフデザインサービスと通信を掛けあわせることによって、明らかにリテンションが上がるという数字も出ていますので、その強化。
2点目は、複数サービスをご利用いただくことによる、お客さまタッチポイントの強化。
3点目は、安定的な収益基盤の拡大ということで、これはサブスクリプションサービスが大きく寄与いたしています。このように、通信と非通信サービスを合わせてご利用いただくことで、お客さま満足度向上と収益基盤の拡大を目指してまいります。
付加価値ARPA成長が総合ARPAの拡大を牽引
次に、付加価値ARPAでございます。
これまで、モバイルを中心とした国内通信事業が成長を牽引してきています。今後は、新たな領域の成長によって、この通信収入と付加価値ARPAを合わせた総合ARPAで成長を牽引していきたいと思っているところでございます。
今後も、新たな競争環境を見据えた取り組みを積極的に推進することによって、通信とライフデザインの融合による総合ARPAの持続的な成長を目指してまいりたいと思っています。
事業協争という新たな枠組み
次に、事業協争という新たな枠組みでございます。
本日(2018年11月1日)、楽天さまとの取り組みにつきましては、プレスリリースをさせていただいています。テクノロジーの進化により、市場の境やサービスは大きく変化をしています。今後、信頼できるネットワークを整備した上で、さらに上位のプラットフォームレイヤーを活用して、新しいビジネスモデルを構築できる環境をいち早く作っていけるかどうかが課題になっています。
この新しい競争軸を踏まえて、今回楽天さんとは、協調と協争……これは2つの文字を合わせて、協力の「協」と競争の「争」です。協力しながら競いあうことを実現しようということで、この概念で提携するに至っています。
我々は通信ネットワークローミングでご提供するとともに、楽天さんが先行している決済・物流ネットワークをお借りすることといたしました。5G・IoTという、大いに設備投資にコストを要する時代に、「協争」という新たな概念による提携のもと、双方のアセットを利用しあい、基盤を整備していくことは、非常に重要な戦略であると考えてございます。
社会基盤の構築とサービスの進化
社会基盤の構築とサービスの進化でございますけれども、具体的な取り組みにつきまして、いくつかご紹介いたします。
一番左側から、キャッシュレス社会の早期実現ということで、当社はQR決済「au PAY」を来年(2019年)4月に開始予定でございます。新サービスの垂直立ち上げに際し、先行する楽天さまの「R PAY」の加盟店が120万店超ございますので、ここを足がかりに相乗りすることによりまして、利用可能店舗を一気に拡大していきたい。
また、こちらの物流分野における社会課題の解決についてでございます。この分野は、オンラインショップの成長に伴う急激な需要上昇や人手不足などにより、よりいっそうの効率化が求められています。
当社はコマース事業において、「楽天スーパーロジスティクス」の利用によって、物流・配送の改善とコスト削減が可能になると思っていまして、さらに「Wowma!」の加盟店さま向けのサポート機能や、サービス品質の向上も可能になると考えています。
一方で、右側。我々がご提供するところでございますけれども、当社は楽天さまからのローミング提供のご要望を受け、真摯に協議を行った結果、条件面で合意に至っています。提供エリアにつきましては、東京23区、それから大阪市、名古屋市、および混雑するエリアを除く全国のエリアになっています。
これによって楽天さまは、2019年10月より全国でサービス提供が可能になり、通信サービスにおいても健全な協争が可能になると思っています。一方、当社設備においても、都市部や混雑エリア以外での提供となるため、ネットワークの収容効率の向上につながると考えています。
KDDI DIGITAL GATE
次に、KDDIの「DIGITAL GATE」でございます。
IoT・デジタルトランスフォーメーションが加速する中、新しい体験価値の創出は我々の重要なテーマになっています。パートナー企業さまからは、「IoT・AIを活用した事業展開の力になってほしい」というご相談を多数いただいている状況にございまして、そのニーズにお応えするために、新たなビジネス開発拠点「KDDI DIGITAL GATE」を(2018年)9月にオープンいたしています。
スタートアップ企業とともに新たな事業協争を目指すKDDIムゲンラボの活動拠点もこの「DIGITAL GATE」に移すことにより、斬新なアイデアを先進的なテクノロジーを取り入れて、オープンイノベーションを推進してまいります。
サービス化を視野にプロトタイプ開発から検証までを行い、さらにベンチャー企業との連携も実現しているラボは、業界の中でも他にない特徴的な存在だと自負しています。
KDDI 「IoT世界基盤」
次に、「IoT世界基盤」でございます。
トヨタ自動車さまとの、2016年に発表いたしました車載通信のグローバル通信プラットフォームを活用いたしまして、自動車以外のさまざまなIoTデバイスの対象拡大を目指しています。今後のさらなる市場の拡大におきましては、日立さまのIoTプラットフォーム「Lumada」と連携することによりまして、各業界の特徴に合ったサービスの提供が可能となっています。
2019年の商用化に向けて、現地キャリアと直接接続に加えて、グループ会社のソラコム社との連携によって、120を超える国と地域で、利用可能となる見込みでございます。今後もこの強力なグローバルパートナーさまとともに、世界中のIoTサービスを展開できる環境づくりを、推進してまいりたいと考えてございます。
モビリティ領域での付加価値創造に向けて
そして、モビリティ領域での付加価値の創造に向けての取り組みでございます。
我々は今、世界基盤でお話ししました通信レイヤーだけにとどまらず、各産業における新たな付加価値創出にも、積極的に取り組んでまいりたいと思っています。例えば、モビリティの領域では、パート企業さまとともに、幅広い分野で実質的な取り組みを実施いたします。
左上にありますのが、カーライフサポート分野。ここでは、いすゞさまと商用車用テレマティクスで、すでに10年以上の実績がございますし、また直近では、トヨタさま・Japan Taxiさまと、配車支援の実証実験も実施いたしています。
インフォテインメント分野におきましては、「プリウスPHV」とのサービス連携、あるいは今後重要になってきます、SDLなどの取り組みを推進いたしています。
またセーフティ分野では、トヨタさまと応用地質さまとともに、自動車から得られるビッグデータを、地域の安全に役立てる取り組みを推進いたしました。また、出資先のアイサンテクノロジー社・ティアフォーでは、自動運転や実証実験の推進に加え、エージェント分野のラストワンマイル領域での先進企業としても、活躍をいたしています。
ここに、我々が持つライフデザインやケイパビリティで、通信にとどまらず付加価値を付けることによって、法人向けのソリューションを、さらに強化していくことを目指しています。パートナーさまとともに、安全でわくわくするサービスの創出を目指してまいります。
5G導入に向けて
次に、5Gでございます。
5Gのロードマップは、次のとおりでございます。5Gのプレローンチといたしまして、2019年に一部エリアにおいて、高精細映像配信などの実現を目指します。2020年には本格ローンチとして、オリンピック・パラリンピック会場およびその周辺や、自治体・パートナー企業さまのご要望に沿ったエリア化を推進してまいります。
新サービスを通じて、地域の課題解決、また地方創生への貢献も、我々としては目指してまいります。また5Gは、4G LTE技術の拡張となることから、4Gとの共用・ソフトウェアの機能追加・他社との設備共用等で、効率的に設備投資を実施いたしまして、IoT時代を見据えたネットワーク強化を進めてまいりたいと思っています。
安全で強靭な情報通信社会の構築に向けて
サステナビリティでございます。
持続的な社会の実現と事業活動の推進を目的とした、サステナビリティについてご紹介いたします。安全で強靭な情報通信社会の構築に向けてということで、左側は、2019年5月に運行開始予定の新海底ケーブル敷設船「KDDIケーブルインフィニティ」につきまして、2018年9月に進水式を執り行っています。
これまでは通信ケーブル、観測・資源探査ケーブルに加えて、日本で初めて、電力ケーブルの工事への対応が可能になっています。工事や設備の状態について、海上と陸上でリアルタイムの共有を可能とするなど、IT活用による効率化を目指してまいります。
また右側は、ご存じの「KDDIオーシャンリンク」でございますが、2011年の東日本大震災において、道路の寸断あるいは光ケーブルの切断によって、陸路からの復旧に困難を要した経験から、海側からの船舶型基地局として、実証試験や訓練を実施いたしています。今回、北海道胆振東部地震に運用を開始いたしまして、被災地域へ向けた飲料水あるいは非常食等の救援物資を搭載・運搬し、災害対応に貢献いたしています。
社会課題の解決に向けて
また、社会課題に向けて、「キッザニア」を運営するKCJ GROUPとパートナーシップを構築し、我々から投資もいたしています。日本の子どもたちを取り巻く厳しい環境が続く中で、KCJの「子どもたちが実社会で生きる力を育むための、真のエデュテインメント」という理念に共感して、我々もパートナーシップを構築させていただきました。
当社の5GやIoTなど、先進技術を組み合わせ、両社の「楽しみながら学ぶ=エデュテインメント」の進化に取り組んでまいります。2020年を目標に「キッザニア名古屋」の開業を計画しているほか、日本中の子どもたちがキッザニアを体験できるよう、施設外での「Out of KidZania」を拡充し、地方創生の貢献を目指してまいります。
サステナビリティ
その次でございますけれど、前年度に引き続き、ESGの関連株価指数の構成銘柄に選定されています。左側の米国MSCIでは、女性活躍指数を含む複数の指数に選定されています。
右側でございますけれども、英国のFTSEでは、グローバルと日本の2つの指標に選定されています。さらに(2018年)9月にGPIFが採用を発表したグローバル環境株式指数、「S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数」においても、当社が選定されています。
今後も中長期的な企業価値向上を目指して、このようなサステナビリティに対する活動も、積極的に推進していきたいと思っています。
まとめ
最後のまとめでございます。
上期業績につきましては、通期目標に向けて、順調な進捗と考えています。モバイル通信料収入は減収でございます。新たな成長領域が業績を牽引しています。
事業戦略でございますけれども、au経済圏における収益基盤を拡大し、5G/IoT時代に向けて、付加価値創出を目指してまいります。中長期的な事業成長に向けた取り組みを推進してまいります。
現中計目標の達成……まず、今年度が現中計の最終年でございますので、これの必達および事業戦略を推進して、次の中計にしっかりとつなげてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。ご清聴、どうもありがとうございました。