2019年1月期第2四半期決算説明会
藤吉英彦氏:それでは、株式会社トランザスの2019年1月期第2四半期決算説明会を始めさせていただこうと思います。私、株式会社トランザス代表取締役社長の藤吉英彦と申します。
本日(2018年9月12日)、15時に東証から、当社の第2四半期決算と通期業績の修正について発表させていただきました。この度の数字の大幅な下方修正ならびに業績の変更について、私は非常に重く受け止めております。
ご支援・ご期待いただいている株主のみなさま方や、お集まりいただいているみなさま方に、多大なるご迷惑をおかけいたしました。まず、この場をお借りしまして、私からお詫び申し上げたいと思います。大変申し訳ございませんでした。
しかしながら、今日私がみなさま方に申し上げたいのは、大幅な下方修正ということで、数字の修正は行っておりますが、当社の今後の中期長期の成長戦略に、陰りが出てきたということではないということです。
今日みなさま方からいただいているお時間の中で説明を申し上げて、当社が今度どのように伸びていくために「今」があるのか。また、当社が足元でどのようなことをやっているのかについて、みなさま方にご理解いただけるように努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、お手元の資料に沿って、進めさせていただきます。
2019年1月期第2四半期
まず、第2四半期決算概要からご説明申し上げます。
期首予想比では、主力製品のホテル向けVOD端末であるSTB(Set Top Box)の納品時期の遅れや、ウェアラブルデバイスの受注までの期間長期化を主原因といたしまして、売上高が未達となり、この要因で営業利益も減少し、売上高・営業利益ともに、大幅に下回りました。
2019年1月期第2四半期決算概要
各段階損益の前年度比・期首予想比対に関しましては、スライドにあるとおりでございます。
2019年1月期第2四半期決算 ~サービス別売上高~
次のページは、各(サービス)分野の売上高です。(期首予想を)かなり下回ってしまった状況でございます。
期首予想比でご説明申し上げますと、IoTソリューションサービスのそれぞれの分野で、見込案件が成約に至らなかった(影響)、映像配信分野では、納品時期に遅れが生じた影響で未達となってしまったということでございます。
前年度対比でご説明申し上げますと、IoTソリューションサービスの映像配信分野で、当年度はIP放送関連の大型案件がなかったこと。また、ホテル向けVOD端末でVAR(Value Added Reseller)の一部が新規VOD端末に移行する意思を示していることから、STBの販売が抑えられて伸びず減収となったことが、主要因でございます。新規VOD端末については後ほど、詳細についてご説明させていただこうと考えております。
営業利益変動要因分析(対前年度比)①
利益率の高いIP放送向け機器提供等の売上が前年度よりも減少する見込みであり、その影響によって、売上高減少の影響が大きく、営業利益は大幅に減少いたしました。
営業利益変動要因分析(対期首予想比)①
(対期首予想比の)営業利益変動要因分析について、こちらのグラフでご説明させていただいております。
相対的に、利益率の高い映像配信分野及び作業支援分野の売上高未達の影響により、営業利益は期首予算から減少してしまったという内容でございます。
2019年1月期通期予想
続きまして、通期業績予想の修正についてご説明申し上げます。
期首予想比では、映像配信分野における既存VOD端末の需要落ち込み……こちらは、第1四半期の決算発表でご説明させていただいたとおり、当社は下期から新しいVOD端末・新しいサービスへの移行を進めるため、開発作業を行っております。その関係で(需要が)落ち込む見込みとなっております。
また、一部の作業支援分野における大型プロジェクトに関して、来年度まで開発が継続する見通しとなってしまいました。これは、当社の海外拠点で営業活動を行っている部分でございますが、正直に申し上げまして、海外展開の経験不足も若干の影響がございます。ただし、大型案件の引き合いも増加してはおります。
しかしながら、Proof Of Concept(プルーフオブコンセプト)ということで、まず試作品を作ってお客さまに検証していただき、そこから受注の成約に至るような案件が多くございます。このあたりで、ちょっと時期がズレてしまっていることが、(売上高・営業利益の見直しの)大きな要因になっております。
2019年1月期通期業績予想
2019年1月期通期の業績予想でございます。
大幅に修正をさせていただきました。今期に関しましては、会社として、下期も非常にコンサバティブに見ております。これは(どういうことかと申し上げると)、当社は、新しい「6本の柱」(新サービス・ソリューション)を立ち上げ、それの開発を仕込んでおります。
こちらにつながっていく新しいサービスへの移行等の要因により、非常にコンサバティブに見ております。こちらは、将来的な今後の当社の施策の中で、あらためてご紹介ならびにご説明申し上げたいと考えております。
(期首予想比において)IoTソリューションサービスで、作業支援分野における当年度納品予定の新サービスの大型プロジェクトの受注が遅れ、その開発が来年度まで継続する見込みとなったことや、ウェアラブルデバイスの導入確度・時期の見直しを行った結果、売上予算を大幅に修正したことが、大きな要因でございます。
ウェアラブルデバイスに関しまして、当社は昨年(2017年)より、いろいろなところから引き合いをいただけるようになりまして、どんどん間口が広がっております。
(一例として)先日、石川県の大京さまと共同で開発するということを発表させていただいております。このようなウェアラブルデバイスの引き合いは、現状ではどんどん活性化しています。
ウェアラブルデバイスには、比較的みなさま方にご利用いただける基幹システムの中枢に入っていくようなプロジェクトが多くございまして、その関係で、なかなかまとまった導入に結びついてないところが現状でございます。
先ほどご紹介させていただいたとおり、海外に関しましても、海外のステップを踏んだ導入までの流れを、当社が大幅に見誤っていたところがございまして、下期の予想に関しましては、コンサバティブに来期以降の受注に修正しております。
前年度対比に関しまして、ご説明させていただきます。IoTソリューションサービスの作業支援分野は、AIルームコントローラーの「AIrux(エーアイラックス)」……これは、上期から営業を開始しまして、今はホテルさんにいろいろな引き合いをいただきながら、導入を進めているルームコントローラーでございます。
先日、アメリカのシェラトンホテルが、まさに当社がやっているものと同じ発想(ホテルの無人化)の、AIの頭脳を持ったルームコントローラーをホテルに一斉導入するという記事を打ち出しております。今後、当社はこのようなホテルの無人化や、ホテルの照明や温度等の環境を自動で調整していくものの導入を、どんどん進めていくという方向性にございます。
また、民泊自動チェックインシステムの販売による増収を予定しております。
しかし、前年度は映像配信分野でIP放送関連の大型案件がありましたが、今期は残念ながら大型案件がございませんので、その影響が出ております。
また、ホテル向けVOD端末でVAR(の一部)が、新規VODの端末に移行する意思を示しておりまして、既存のSTBの販売が一部抑えられているという要因がございます。
このあたりのいくつかの要因が絡みまして、減収となっています。後ほど、こちらに関しましても、今後の施策に関する説明の中でご説明申し上げたいと思います。
営業利益変動要因分析(対前年度比)②
営業利益の(対前年度比の)変動要因は、こちらの図のとおりとなっております。先ほどご説明申し上げました売上の減収を主因として、営業利益は減少する見込みです。
営業利益変動要因分析(対期首予想比)②
こちらは、営業利益の(対期首予想比の)変動要因の分析でございます。こちらも売上の見直しが原因で、営業利益を下方修正いたしました。
下期以降の事業展開
今までトランザスは20年以上事業を継続してまいりましたが、当社にとっては(今期が)非常に大きな転換点だと考えております。
上場時は、みなさま方にとって、当社は「STBのメーカーだ」というイメージが非常に強い会社だったと思います。
しかしながら、下期以降は、当社が今「6本の柱」として立てている施策を中心に事業を構築してまいります。今後セットトップボックス(STB)メーカーとして、セットトップボックスを中心とした売上規模の拡大ではなくて、まったく異なる視点で事業拡大を目指しているということを、ここからご説明させていただきます。
まず、こちらにございますとおり、労働力不足をIoTで解消するソリューションメーカーの地位を確立するため、6つの新サービス・ソリューションを展開してまいります。これが当社の今後の大きなテーマでございます。
どのようなものかといいますと、今まではセットトップボックスということで、ホテルの中でもビジネスホテルのオンデマンドをご視聴いただける宿泊客が多いホテル宛に、セットトップボックス・バリューアデットリセラーを通じてセットトップボックスを展開しているのが、当社の事業形態でございました。
現在、ホテルがどのような環境にあるのかといいますと、まず、クリーニングスタッフがなかなか採用できないので、東南アジアから人材をもってきています。さらに、サービススタッフがなかなか採用できず、(従来の従業員が)24時間体制で勤務しなければならないという問題がございます。一方、訪日外国人の人数に関しましては、昨年(2017年)の2,800万人が、2020年には4,000万人になるという予想がございます。
そのため、ホテルをどんどん世の中に作る動きがあるのですが、一番(大きな)問題として抱えているものは、やはり人(人員確保)という現状でございます。
それであれば、当社は何をするのか?
もう、オンデマンドのサービスを提供する会社ではありません。労働力不足をIoTで解消して、無人のホテル……要は、人の介在しないホテルを今後の世の中に作っていくことに注力したいと考えているのが、当社のテーマでございます。
(そのための施策として)まず1つ目は、スマホを中心としたクラウド型ホスピタリティサービスの提供です。これは、非常にイメージがつきにくいかと思います。
イメージとしましては、今のサービスとして、宿泊してテレビをつけると、テレビにウェルカムメッセージが出てくるホテルさんがいくつかございます。このウェルカムメッセージの中にオンデマンドサービスが入っていたり、中にはフードのオーダーメニューや施設案内、近隣の情報があったりします。このようなものが、テレビ画面に映し出されております。これは、当社の10年のセットトップボックスのサービスで提供していた部分でもございます。
しかし、これが今、世界的にどのような流れになっているかといいますと、やはりスマホを持った外国人ないしは日本人の方々が、ホテルに入って部屋内でQRコードをスキャンしますと、(スマホの)スクリーンにサービスメニューが出てくると(いうものです)。
このサービスメニューで、ホテルの情報がほぼ得られて、サービスが完結できます。さらに、スマホでオンデマンド(動画)を見ることができます。これを大画面で見たい場合には、ミラーリングでテレビにデータが飛ばされて、スマホと同じ内容の動画をテレビで視聴できます。このようなサービス形態に、世界的に徐々に変わろうとしています。
しかし、ここ日本においては、まだまだ遅れているのが実態でございます。いくつか当社のパートナーさまで、そのようなサービスを試みていらっしゃるところもございます。
当社トランザスは、セットトップボックスの老舗としまして、過去にセットトップボックスをはじめ、いろいろなものをホテルに提供してきました。その当社が、このスマホを中心としたクラウド型の(ホスピタリティ)サービスを提供しようということで、パートナーさまと連携して開発させていただいているのが現状です。
将来的には、これが新しいホテルのサービスとして認知され、過去の当社の事業がこちらに移っていく流れになろうかと思います。
このサービスは、月額利用料を頂戴して、基本無料でご提供する、もしくは非常に安価にパートナーさまから提供されるような商品になります。それゆえに、当社はちょうどその移行時期に差しかかっているというのが、現在のポジションとなります。
2つ目は、人的作業を代替するロボット派遣の提供です。こちらに関しましても、過去にリリースを発表させていただいておりますが、ロボットを使い、デリバリーも無人化していく流れです。九州には、ロボットを使った無人展開をされている有名なホテルさんがございます。
今の世の中では、ホテルは「そこに倣え」ということで、どんどん無人化を進めております。その無人化の流れを、当社では「ロボット派遣」ということで、人ではなくロボットを派遣しようという取り組みを始めました。
3つ目は、AIルームコントローラーによる人手を介さない空間演出の提供です。先ほど簡単にご紹介させていただいたアメリカの例でいきますと、これはまったく同じなんです。
宿泊のお客さまがルームカードキーを差したまま外に出られることは、ご家族で宿泊される場合ですと、往々にしてございます。そうしますと、エアコンやライトがつけっぱなしになることがあります。
この「AIルームコントローラー」とは、人が中に本当にいるのかどうかを、人感センサーもしくはドアセンサーで感知します。また、温度センサーや湿度センサーもホテルの中に備えられております。
そして、「人がどのように動いている」「人がいなくなった」「人がお休みになったので、この時間からこの時間は、エアコンは何度以上に設定できない」「ここからこの時間は、照明はこれ以上の明るさに設定できない」というようなことを、ホテルさんが自動制御できる機械でございます。
こちらの機械が入りますと、ホテルさんとしては経費やエネルギー、人が削減できるというメリットがございます。このようなものを提供しています。
4つ目は、人手を介さない民泊自動チェックインシステムの提供・運用です。こちらは、後ほど詳しくご紹介させていただきますが、日本では唯一といいますか、日本初の機械になります。
以前、当社から発表させていただいておりますが、来月(2018年10月)より、フィールドでの共同実験を始めさせていただきます。そして、2ヶ月ぐらいで問題点を洗い出し、今年の年末ぐらいから、いよいよ運用開始という流れを考えております。
5つ目は、IoTゲートウェイ等の新IoTデバイスを用いたサービスの展開です。こちらは、当社のパートナーさまからの依頼がきっかけで始まったことなのですが、「ホテル・レストランに、今は何が起こっているのか?」ということなのですが、やはりビッグデータの時代になってきたと(いうことです)。
そのため、あらゆるところにセンサーをつけて、「お客さまがどのように動いて、どのような変化が生まれた時に、レストランなどの入場者数が増えるのか」などのいろいろな分析が、今後は広がっていくと言われております。
そこで当社は、IoTゲートウェイということで、ルーター機能を持ったセンサーなど、お客さまの状態を収集してセンター側に送り、それをビッグデータで解析するような端末の提供を開始します。現在は開発中でございますので、開発には今年いっぱいの時間を要するかと思いますが、これも当社のこれからの大きな展開として、検討しております。
6つ目は、ウェアラブルデバイスを用いたソリューション提供の本格展開でございます。
それでは、1~6まで、順を追ってご紹介させていただきます。
①:クラウド型ホスピタリティサービス概要
スマートフォン次世代VOD端末は、先ほどご紹介させていただいたとおりですが、当社は従来、このセットトップボックスという機械を、ホテルのSIerさま、当社のバリューアデットリセラーのパートナーさまに展開して、販売しておりました。
当社は、これをもっと簡易的な端末(次世代VOD端末)に切り替えます。「簡易的な端末だから、機能が損なわれる」というわけではございません。
しかし当社は、この簡易的な端末をいろいろなホテルに展開していくと(いうことです)。幅広い方に「ばらまく」という表現が正しいかどうかわかりませんが、無料で展開していき、スマホを持ってきたゲストの方々が、室内のQRコードをスキャンします。
そうしますと、当社の内部においてある、このスティック型の機械とペアリングします。そうすると、このスマートフォンにホスピタリティサービス・ウェルカムサービス・オーダーサービス・情報・ビデオオンデマンドのメニューなどが出てきます。そのメニューをクリックしてビデオオンデマンドを見ると、室内のテレビにも映し出されるという仕組みになります。携帯電話は、リモコンになるということでございます。
このサービスは、当社は過去、バリューアデットリセラーさまが業務としてすべておやりになっていたのですが、当社でクラウドの配信システムを持ちます。この配信システムを、当社のパートナーさまにご利用いただきまして、クラウドからサービスを展開するという流れに変えていきます。
①②③:クラウド型ホスピタリティサービスと他サービスとの連携
この次世代VOD端末を導入するとどうなるのかについて、ご説明します。
ホテルで、この端末を利用することで、他のサービスも利用することができます。すなわち、この端末とホテルに導入された当社のルームコントロールを連携させることで、お客さまのスマホを使ってルームコントロール……照明の制御やエアコンの調整ができるようになります。また、スマホからオーダーをしますと、ロボットがデリバリーに来る。他にも、ここからランドリーサービスの予約ができるということで、スマホを中心にして、ホテルの生活が提供されていくという具合になります。
当社は、セットトップボックスに関しましては、過去に20万台以上の実績を持ってございますが、今後はこちらのサービスを、今まで展開してきた市場、ないしはさらに幅広い市場へ急速に展開していきまして、このホスピタリティサービスを中心にして、テレビ・オンデマンドのサービスや、広告情報・オーダリングのサービス、ロボットのサービスを行います。「リネン管理」とは、クリーニングの管理でございます。ここには、ウェアラブルデバイスを導入する予定となっています。他にも、ルームコントロールを行います。
今までとは違う非常に幅広い展開を、今後は行っていくということでございます。
①②③:クラウド型ホスピタリティサービスの市場規模
(2018年9月12日)現在ではちょっと古い資料も含まれますが、「ホスピタリティサービス」と呼ばれるサービスは、旅館・ホテル・病院だけではなくて、このようなところに提供されています。
今後の病院へのサービスの展開は、病院自体は決定から導入までに非常に時間がかかりますので、スロースタートになるかと思います。病院でも、ロボットなどにより、病院内からコンビニにオーダーすると、コンビニからデリバリーしてくれるなど、いろいろなサービスがこれから出てくることになります。もちろん、もうすでにやっているところもございます。
旅館件数は、日本全国でおよそ70万室です。ホテル件数は、客室数でおよそ87万室です。病院の病床数はおよそ166万床、有料老人ホーム(の入居定員)はおよそ64万室です。この他にも民泊など、いろいろなところに当社のサービスのインターフェースとなる次世代VOD端末を提供していくことが、当社の計画でございます。
①②③:クラウド型ホスピタリティサービスを軸としたホテル向けビジネスの転換
この転換によるメリットでございます。
(メリット1は)過去VODだけに限定されていた当社のホスピタリティビジネスの規模が、10倍以上に拡大されます。これは(疑問をお持ちになるとすれば)「何をもって10倍なのか?」でございますが、当社のビジネスは過去において、オンデマンドのサービスに比較的限定されていたんです。
オンデマンドのサービスは、ホテルに宿泊された方がビデオを見るサービスなので、家族型のホテルやリゾートホテル、もしくは高級ホテルでは、あまり需要がございません。どちらかと言うと、1人でご利用されるビジネスマンが出張等のビジネスで使うホテルが、対象となります。
さらにその(ビジネスホテルの)中でもランクが幅広くございますので、比較的(導入できるホテルの)ターゲットが絞られていたんです。その中で、いろいろなバリューアデットリセラーさまが、今はレッドオーシャンと言うと言い過ぎかもしれませんが、みなさまがサービスを提供している状況です。そこに、当社は機器を提供させていただいています。
しかしながら、今後このようなスマホを中心としたホスピタリティサービスになった場合に、先ほどの表でお見せした(市場規模の)数字の全お客さまが、対象になってまいります。もちろん、病院も対象になってまいりますので、過去に対象としていたお客さまに比べて、10倍以上の規模の市場感があるということで、非常に大きなメリットかと考えています。
もちろん、スタート時期に関しましては、端末を販売していたところから無料の展開に変えようとしていますので、売上が一時期鈍化する可能性は否定できません。しかしながら、これは、今後当社がさらなる成長を目指していくにあたり、非常に大事なファクターであり、今後やっていくべきことだと認識しております。
メリット2です。端末を設置しないクラウドサービスと宿泊客の端末でサービスを行いますので、ホテル側の導入コスト及び導入への障壁が、大幅に低下します。
当社のアメリカのパートナーに、実は携帯電話を使ったホスピタリティサービスを展開している会社がございます。もう2年ほど前でしょうか、ここの会社と当社が一緒にワークさせていただこうということで、いろいろなお話をさせていただき、アメリカの市場への展開を見させていただいていたのですが、四半期で2万室~3万室という速度感で展開していきました。
(これを)日本に限定した場合にどうなるのか(というところ)がございますが、導入の障壁は、非常に下がることになります。
さらに、今までSIerさまがホテルにセットトップボックスを設置するために、どのような作業が必要になっていたかと言いますと、テレビの裏側で工事をして、機械を設置して配線をして……という作業が必要になります。
しかしながら、今回当社が提供しますのは、基本的にスマホが中心(のサービス)になります。しかし、端末が1個付きます。「それでは、その端末は誰が設置するの?」という話ですが、これはテレビに挿すだけなので、ホテルで簡単に設置できます。
宿泊客は、テレビに映し出されたQRコードをスマホでスキャンしていただくと、このスマホにホテル側からの情報が転送されて、自動的に利用することが可能となります。このようなものを提供して、どなたでも、もっと言うならばホテルさまでも、全部屋に設置が完了できるモデルを考えています。
メリット3です。現在ホテル市場に大きな変革をもたらしている、無人運営志向に方向性が合致しており、今後、より多くのビジネスチャンスを期待できます。この次世代VOD端末を中心として、ルームコントロールやロボットなど、いろいろなものについて、これから展開の可能性があるということでございます。
転換による課題です。
(課題1として)クラウド型ホスピタリティサービスは、ストック型ビジネスを前提とするため、早期に導入施設数を確保する必要がございます。
課題2として、従来より広範囲な機器類との連携が必要になってきます。そうしますと、各種パートナーさまとの連携や、さらに、いかに早く展開していくかがポイントになってまいります。当社は、もちろんこのあたりの課題に取り組んでいまして、いろいろなSIerさま・機器メーカーさま・ホテルさまにサービスを提供していらっしゃる業者さまと、話をしています。
どのような話かと申し上げますと、やはりIoTをホテルで展開しようとしてパートナーさまが機器を提供しても、宿泊客がそれを利用するためには、必ずインターフェイスが必要になります。それがないと機器が売れないという会社は、非常に多くございます。そのような会社さまの(機器を使うための)インターフェイスとして、当社の次世代VOD端末やルームコントロール等の機器と提携しながら使ってもらうのが、当社のコンセプトになっています。
例えば、ロボットです。いろいろなロボットのメーカーさんが、これから出てくるかもしれません。日本のホテルには、当社がいち早く展開していこうと考えていますが、ロボットを展開するときにオーダーシステムがないと、ロボットに指示がいきません。
だから部屋内に、お客さまがオーダーして、ロボットに直接命令が下されて、ロボットがデリバリーをするシステムが、やはり必要になります。
そうしますと、ロボットメーカーにはやはり、当社のインターフェイスが必要なんです。このような連携が必要になってきますので、当社は今までのパートナーさまに限らず、幅広いパートナーさまとの取り組みを進めてまいります。
①②③:クラウド型ホスピタリティサービスを軸とした各種サービスの展開方法
クラウド型ホスピタリティサービスの既存STB利用ホテルを中心に、導入を進めてまいります。また、連携するサービスの早期導入を図ります。
今まではVODのVARさまばかりだったのですが、例えばVODのパートナーさま以外に、自動精算機を展開されているパートナーさまや、システムを展開されているVARさまとの協業をどんどん進めていっているのが、当社の現況でございます。
下(の表)には、販売モデルとの比較がございます。「新ホスピタリティサービス」が、今ご紹介させていただいている(次世代VOD端末を用いた)サービスで、導入無料で月額提供をするビジネスモデルになります。それ以外に関しましては、これを中心として付帯するサービスが、販売というかたちで乗っていくビジネスになります。
④:民泊自動チェックインシステムの展開
続きまして、民泊自動チェックインシステムの展開について、ご紹介させていただきます。
こちらは、過去から何度かご紹介させていただいていると思いますが、改めてもう一度ご紹介させていただきますと、民泊新法(住宅宿泊事業法)が(2018年)6月に始まりました。民泊でも、鍵を外国の方にお渡しするために、パスポートのコピーと宿泊台帳を取らなくてはいけません。さらに、本人確認をしなくてはいけません。このようなものが決まっています。
しかしながら、過去に(旅館業法上の届け出や民泊の認定を受けないまま、宿泊希望者を泊める)「ヤミ民泊」と呼ばれていたサービス提供会社さまは、鍵をキーボックスに入れまして、予約していたお客さまに番号を通知して、それで開けていただき、鍵を取り出して(部屋の)中に入ります。そうすると、宿泊台帳もなく、本人確認もできず、パスポートのコピーも取れないという状況が続いていました。
しかし、民泊新法が始まりまして、民泊新法に合致しない業者は宿泊予約サイトに登録できなくなりました。これにより、過去に6万~7万件ほどあった民泊の数が、1万数千件に激減しています。
それでは、当社は何をするのか?
部屋の前に、自動チェックインの端末を取り付けます。その自動チェックインの端末で本人確認をしていただき、(確認後)ドアをオープンして、中にお入りいただくのがこちらでございます。
④:民泊自動チェックインシステムの概要
株式会社グランドゥースという、APAMAN株式会社の関連会社の民泊を手がける会社でございますが、当社はそこと提携しています。
まずは、グランドゥースの物件に(このチェックイン端末を)全部取り付けていこうということで、今は進めています。こちら(スライドの中央)が、室外自動チェックイン機です。これが、すべての民泊施設のインターホンが設置されているところに付きます。あのインターホンが取り外されて、これが付くというイメージになります。
さらに天井には、カメラが付きます。自動チェックイン機と、実際の鍵をコントロールするためのシリンダーの代わりになるスマートLockシステムが連動しており、チェックイン機から信号が出るとドアが開いて、当社のルームコントローラーで部屋の中が監視ができるという仕組みでございます。チェックイン機にはパスポートのスキャンのスクリーン、カメラ、タッチパネルのスクリーンがついております。
ここでスキャンしていただいて、本人確認をクラウド側のエンジンで行うのが、今回の仕組みでございます。(スキャンされたパスポートの顔写真とカメラで撮影されたお客さまのお顔が)一致していることが認識されれば、電子鍵が発行されまして、その鍵をここ(スマートLockシステム)にインプットしていただくと、ガチャンと開くという仕組みでございます。
これが、先ほどの資料にございました、従来の自動チェックイン機もひっくるめて、すべて法に照らし合わせて、民泊の運営ができるようになるということです。
これは、当社が非常に力を入れた商品でございます。さらにこちらは、将来的にはホテルに持っていったり、いろいろな違う分野に展開していったりする可能性を秘めているということで、今は開発を急ピッチで進め、(2018年)10月からフィールド実験をするというフェーズになっています。
(スライドの)下に、他社との比較がございます。最近、民泊のチェックインをしたり鍵を渡したりするサービスを、民泊の大手さまが、コンビニと組んでやり始めました。
しかしながら、このケースでは、鍵の受け取りは、まずコンビニになります。要は、宿泊されるお客さまはコンビニ、また、近くにコンビニがない場合は、遠くのコンビニまで鍵を取りに行かなくてはなりません。
コンビニに端末が置いてあり、そこからチェックインする場合もございますが、中にはコンビニさんの中で鍵を受け取ったり、鍵BOXから鍵を受け取ったりする形式もございます。また、自動顔認識を行っているところもありますが、コンビニの店員がチェックするものもございます。
また、鍵返却に関しても(返却先へ)持っていかなくてはなりません。
オンライン対応につきましては、当社の機械では、ビデオチャットができるようになっております。万が一、顔認識による本人確認がうまくいかなかった場合に、オペレーターとのビデオチャットで本人確認ができる機能を持っております。ただし、(他社には)そのようなものがございません。
そして、チェックアウト確認機能は(他社には)ございませんが、当社の機械は、完全に時間制御で(室内に)人がいるかどうかを確認しますので、すべて(対応)できるものでございます。
④:民泊自動チェックインシステムの市場規模
こちらが完成すれば、グランドゥースと組み、いろいろな民泊で展開することをもくろんでおります。おそらく来期から、こちらも当社の大きなメイン業務になろうかと考えております。
民泊新法(住宅宿泊事業法)の(施行)前後で、これだけの民泊が(運営において)悩んでいることが現状です。これが、当社のビジネスターゲットとなります。
⑤:新IoTデバイスの開発
続きまして、新IoTデバイスの開発です。こちらは(まだ詳細を発表できないため)さらっとご説明させていただきます。
飲食店向けのIoTゲートウェイや不動産向けのスマートキーや鍵制御IoT、先ほどの(ご説明にございました)室外自動チェックイン機をネットカフェに持っていくなど、いろいろなIoT(への取り組み)をパートナーとともに加速しているのが、こちらの図です。
⑥:ウェアラブルデバイス戦略
ウェアラブルデバイス戦略です。こちらは、今回の下方修正でみなさまにご迷惑をおかけした、一番大きな点だと思います。
しかしながら、ウェアラブルデバイスには未だに非常に大きな可能性があると、当社は考えております。これは(なぜかと言うと)海外も日本も然りなのですが、徐々に問い合わせ数が増えてきていることと、お客さまご自身がウェアラブルデバイスにこなれてきているということです。
携帯電話を使った運用に問題が出たお客さまや、今後、本格的に工場やロジスティクス、インダストリー4.0ということで、どんどんIoT化を進めていくことにあたり、やはり(サービス利用のための)「何か」が必要になるということで、徐々にこちら(当社のウェアラブルデバイス)を向いていただけることが増えてきたと感じております。
ただし、やはり時間がかかると(いうことです)。少数の展開は、非常に早くなっております。「2台で実験したい」「5台で実験したい」「まずは20台導入したい」という話は、非常にございます。
しかし、そこから加速的に(販売台数を)拡大していくためには、やはりまだ時間がかかるということで、今回(下方修正ということで)大幅な修正をかけましたが、これは来期・再来期以降、将来的には徐々に確実に伸びていく分野だと確信しております。
ただ、ニュースリリースで発表させていただきました大京さまに関しましては、今期いっぱいは開発をご一緒させていただき、製造業向けのピッキングシステムを作ります。
大京さまご自身は、海外に拠点を持ち、IoTその他に非常に精通した会社さまでございます。こちらの会社さまと、本当の意味で「価値のある商品」を作り、大京さまとお付き合いのある会社さまや、当社もしくは海外拠点などに導入していこうということで、現在、進めております。
また、マレーシアにあるSophic Automationでございます。ここも着々と、Proof of Conceptということで、いろいろな工場に導入しはじめました。まだ数は少ないですが、「かなり実験の効果が上がった」という報告を受けております。
そして日本では、(こちらのスライド上では)少し表記が小さくなっておりますが、サトーさま・マルティスープさま・ゴビさま・アイメックスさまなどと、ワークさせていただいております。
ストックビジネスの強化
(下期施策の)すべてをまとめますと、このような図になります。
6つの新サービス・ソリューションの展開より、販売による収益だけでなく月額・課金型のビジネスを強化していくことが、当社のテーマでございます。
例えば、ホスピタリティサービスでございます。(スライドにあるような)スマホを使ったホスピタリティサービスは、最終的には間違いなく、新ホスピタリティサービスなどが浸透した世の中になります。それならば、ターゲットがどれだけあるのか、その中で当社がどれだけ(シェアを)取っていくのかがキーになります。
そのような面では、ホテルのパートナーについては、当社はおそらく国内でも非常に大きな優位性を持っている会社であると自負しております。それゆえに、まずはホスピタリティサービス(次世代VOD端末)を急速に拡大し、月額収益に変更して、さらにそこにいろいろなサービス・ソリューションを展開していきます。
例えば、次世代VOD端末を導入いただいたホテルに対して、海外放送を課金型で展開させていただきます。VOD収益を、課金型・月額に変更させていただきます。そのうえで、導入したホテルに、AIルームコントローラを販売し、ウェアラブルデバイスを展開し、ロボットを派遣していきます。
さらに、民泊自動チェックインシステムです。こちらに関しましても、当社は「1チェックインでいくら」というシステム提供をしてまいりますので、これも民泊数が増えていけば増えていくほど、当社の月々の収益は増えていきます。このようなビジネス(の展望)を描いているということが、当社の中長期の計画でございます。
会社概要
会社概要でございます。
今回の大幅な数字の修正に関しましては、当社は非常に重く受け止めております。しかしながら、冒頭で申し上げたとおり、当社が上場会社として、本業をどのように拡大していき、どのように成長していき、今後はどのように展開していくのか。このテーマを、今期は大幅に生まれ変わらせて拡張する時期だと、私は考えております。
それゆえに、無料ビデオオンデマンドサービスを展開します。これは、既存のご購入いただいていたお客さまからすると、「おいおい……」という部分も往々にしてございます。しかしながら、多くの当社の既存のお客さまにも、「これは将来このように(大きく)なっていくから、一緒に組んでやっていこう」という合意を得られ、今後は展開していきます。
それゆえに、私の本意・想いとして申し上げたいことは、トランザスの今後の中長期の戦略として、今回の大幅な数字の修正はもちろん重く受け止めてはございますが、未来において過去を振り返った場合に、「あの大きな(数字の修正という)転換は、非常に価値のある転換であり、トランザスが生まれ変わった」とみなさまにご理解いただけるよう、これから努力していき、それをみなさま方にご覧いただこうと思っております。
以上、かなり長くなりましたが(ご説明とさせていただきまして)、ご質問をお願いいたします。