2018年3月期決算説明会

松井康子氏:おはようございます。ただいまご紹介にあずかりました、株式会社パピレス代表取締役社長の松井康子でございます。本日は、お忙しい中こちらの説明会へお越しいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは私から、2018年3月期決算について、ご説明をさせていただきます。

順番としましては、まずビジョン・事業内容をご紹介しまして、最新のトピックについてお話をさせていただきます。その後、2018年3月期決算の業績レビューと、あと現在の市場動向と今後について。最後に、今後の成長戦略についてお話しさせていただきます。

1.ビジョンと事業内容①

まず最初に、ビジョンと事業内容なんですが、当社グループは1995年の創業以来一貫しまして、トータルな電子書籍配信事業を行ってきた、デジタルコンテンツの開発・制作・販売会社です。

インターネットの進展による世界的なコンテンツ流通革命の中で、顧客第一主義のもと、世界規模のデジタルコンテンツのアグリゲーションとディストリビューションのビジネスを目指しております。

1.ビジョンと事業内容②

当社グループは、電子書籍販売プラットフォームをいくつか運営しております。まず、日本国内の販売プラットフォームとしましては、「電子書店パピレス」と「犬耳書店」と「Renta!」。

それから、海外の電子書籍販売プラットフォームとしては、「Renta!」の繁体字版「亂搭!」と、英語版「Renta!」になります。

それから、コンテンツとしまして、スマートフォンに最適化した「タテコミ」や次世代コンテンツ制作開発を実施しております。あとは、電子書籍投稿&編集プラットフォーム「upppi」を運営しまして、オリジナルコンテンツの制作を行っております。

これらについては、後でまたご説明させていただきます。

1.ビジョンと事業内容 (1)電子書籍の販売(日本国内)①

まず、「電子書店パピレス」です。1995年に、日本でもっとも古くから開始した電子書籍の配信サイトでございます。小説、趣味・実用書、ビジネス書、コミック、写真集などを配信しておりまして、PC、携帯、スマートフォンなど、さまざまな端末に対応しております。

1.ビジョンと事業内容 (1)電子書籍の販売(日本国内)②

続きまして、「犬耳書店」です。実用書を中心に書籍を分冊しまして、章・記事ごとに販売するスタイルを採用した、新しいコンセプトの電子書店になります。「犬耳」とは、本のしおり代わりにページの隅を折る「dog ear=ドッグイア」に由来しております。

1.ビジョンと事業内容 (1)電子書籍の販売(日本国内)③

それから、「Renta!」ですけれど、2007年から開始した業界初の電子書籍レンタルサイトです。コミックを中心にしまして、48時間100円から提供しています。PC・スマートフォン・タブレットなど、マルチデバイス対応になっておりまして、手軽にすぐに読めるというのが特徴になっております。

2015年以降、有名俳優によるTVCMを開始しまして、さらに専用のTV番組を放映するなど、とくにマス広告を強化しまして、知名度の向上を図っています。

1.ビジョンと事業内容 (2)電子書籍の販売(海外)①

続きまして、中国語圏において(運営している)「Renta!」の繁体字版の「亂搭!」です。これは中国の繁体字での「Renta!」の表現なんですけれど、2014年9月に台湾の台北で設立した子会社のパピレス台湾(巴比樂視網路科技股份有限公司)が運営しております。台北に事務所がございまして、こちらを中心に事業を展開しております。

1.ビジョンと事業内容 (2)電子書籍の販売(海外)②

英語圏において英語版「Renta!」の運営を強化するために、2017年5月にアメリカのサンフランシスコに、子会社のPAPYLESS GLOBAL,INC.を設立しております。日本語から英語への翻訳も行っております。

1.ビジョンと事業内容 (2)電子書籍の販売(海外)③

ここで、翻訳体制についてちょっとお話しします。海外の場合は翻訳というのが必要になってくるんですが、日本のコンテンツのクオリティを保ちつつ、海外の中国語圏・英語圏で販売するために、翻訳体制の強化を図っております。

とくに、コミックの翻訳は、独特の表現やローカライズに関する専門的なノウハウが必要となりますため、ネイティブによる厳格なチェック体制を採用しております。

こちらにある、パピレス台湾とPAPYLESS GLOBAL,INC.です。とくに、日本語のコミックを中国語あるいは英語に翻訳するというかたちで、展開をしています。

1.ビジョンと事業内容 (3)コンテンツ①

続きまして、「タテコミ」というものを、当社は開発して提供しています。「タテコミ」というのは、スマートフォンでの読みやすさを重視して、当社独自の方式で、分割・カラー化した縦スクロールで読む漫画のことになります。

特長としては、以下になります。まず、コマの切り出しと端末画面への横フィットを行っております。コミックの版面という(ものは)2つつながっているデータなんですけれど、これを1コマずつ切り出しまして、端末の横幅に近いサイズにフィットさせて拡大表示させることによって、より読みやすさが飛躍的に向上します。

それから、縦長の画像をスクロールで閲覧するというスタイルをとっています。スマートフォンについては、一般的に縦スクロールで読むことが多いので、それにフィットした閲覧方式を採用しています。ですので、使いやすいインターフェイスになっています。

それから、もう1つはカラーリングです。漫画はモノクロというイメージがあると思うんですが、それをデジタル彩色して、フルカラー化するということを行っております。ビジュアルで、よりコミックを楽しむことができるかたちになっております。

1.ビジョンと事業内容 (3)コンテンツ②

続きまして、コンテンツとして、次世代ブックというコンテンツを開発しております。

代表的なものとして、「絵ノベル」と「コミックシアター」がありまして、2014年より「Renta!」で配信をしております。2015年7月に設立しました、子会社のネオアルドでこちらの制作開発を行って、改良を続けております。

なかでも「絵ノベル」に関しては、小説やゲームをシナリオ化して、スマートフォンに最適化した新感覚のデジタルコンテンツとして、特許を取得しております。

それから、「コミックシアター」というものは、デジタルの演出を付加して、従来の漫画を動画コンテンツとして進化させた新感覚のコミックのことです。いわゆる動く漫画ということで、一般にはムービング漫画とか言われているものの1つになります。

1.ビジョンと事業内容 (3)コンテンツ③

続きまして、コンテンツとして「upppi」というサイトを運営しております。こちらは、ユーザの中から新しい電子書籍作品を生み出す、独自の電子書籍投稿&編集プラットフォームになっておりまして、2015年より、子会社ネオアルドが運営しております。

(枠囲みに)「upppi」の主な機能の特徴をまとめさせていただいてるんですが、大きなポイントとしては、編集を行えるということです。投稿プラットフォームになっておりますので、どちらかというと、ちょっとセミプロの方を中心に使っていただけるような仕様になっております。

また、「upppi」では、定期的に創作コンテストを実施しております。コンテストの優秀作品の中には、「Renta!」で連載して人気となった作品もありまして、人気のクリエイターの育成を行っております。

2.最新のトピック (1)日本国内①

続きまして、最新のトピックになります。

まず、日本国内からお話ししますと、今回はマス広告の強化を行っております。顧客層の拡大と知名度の向上のために、麻生久美子さんと神木隆之介さんによる第3弾のCMと人気ドラマへの広告提供などを実施しております。

また、2018年1月に当社提供のミニ番組『コミックBAR Renta!』の特別番組『コミックBAR Renta! お正月3時間一挙放送SP』を放映しております。

あと、広告提供の人気ドラマ……女性の人気のあるドラマ枠に、広告を出稿しております。

2.最新のトピック (1)日本国内②

それから、サービス販促の強化としまして、当社独自の販促のプロモーションとして、ユーザと一緒に楽しめる数多くの特集イベントを、積極的に実施しております。

会員が400万人を達成しましたので、(2017年)12月13日に、それを記念した大感謝祭を開催しました。

あとは「推し本棚」と言いまして、それぞれ自分がお勧めしたい本をチョイスしまして、それを本棚として提供することを、ソーシャルネットワーク上でできるような機能を搭載しました。それを基にして、いろんな方に本をお勧めするという機能ですね。それのイベントを、定期的にやりました。

あとは、タレントの方が(行う)いろいろな企画もので(例えば)「恋愛カクテル診断」だとか。あと、本屋さんでよく目にすると思うんですけれど、「どんな本が売れてます」とか、そういったランキング的なもの(あの年売れた本ランキング)であったり。これは、10年分のランキングをそのまま特集したものなので、年によっていろいろランキングが入れ替わってるものもあるんですが、そういった企画をやりました。

あとは、毎年行っている「Renta! 大賞」です。「Renta!」のスタッフが「これはすばらしい本だ」というように、いろいろそういうもの(意見)を付けてご紹介するというイベントをやらせていただいてます。この大賞を獲ったものというのは、必ずしもそんなに有名なコンテンツだけではなくて。

いろいろなクオリティとしてはすばらしいものなんですが、あまり知られていない作品などもここでご紹介することで、出版者さまあるいは著者さまに、非常にご好評いただいている企画になっております。

2.最新のトピック (1)日本国内③

それから、サービス販促の強化としまして、今回はとくに「タテコミ」の認知を広めるキャンペーンを積極的に実施しております。先ほど「タテコミ」についてご紹介したんですが、スマートフォンに最適化ということを念頭に入れております。

それから、2018年4月27日にマンガ・ノベルサービスの「comico」を運営するNHN comico株式会社と業務提携をしまして、オリジナル縦スクロールコミックの相互販売を開始をしております。

「Renta!」と「comico」のそれぞれで、縦スクロールの「タテコミ」を販売するという企画です。また、「comico」さんのコンテンツをうちで販売するという(ことで)、お互いで(縦スクロールコミックを)販売しあうという、そういった内容になっています。

2.最新のトピック (1)日本国内④

続きまして、機能の強化です。「Renta!」におきまして、ユーザがより気軽で利用しやすい機能に改良しております。

Yahoo!、Twitter、LINE、Googleといった、他サービスのIDで簡単に利用することができるような機能を搭載いたしました。

それから、チケット制を今まで導入してきたんですけれど、より少額決済のコンテンツに対応するために、チケット制からポイント制に移行をしております。それまでは、100円単位でチケットというかたちでやっていたんですけれど、1円単位のポイント制に対応をいたしました。

2.最新のトピック (2)海外①

続きまして、海外の状況になります。

海外については、今売上の推移を月ごとに示した表をお見せしているんですけれど、繁体字版に関しては、2017年3月期第2四半期以降に、急速に売上が伸びてきています。

当事業年度におきましては、台湾の大手出版社との提携を開始しまして、コンテンツの数も増加して、今後の成長が見込まれております。

2.最新のトピック (2)海外②

続きまして、英語版「Renta!」につきましても、2014年度以降に順調に売上を伸ばしています。とくに当事業年度以降、急速に売上が拡大しております。

このような情勢を踏まえまして、英語版の販売を本格的に開始するために、2017年5月にアメリカに子会社を設立しております。

2.最新のトピック (2)海外③

続きまして、パピレス台湾については、非常に売上規模が伸びていますので、そちらへの増資を行いました。あと、PAPYLESS GLOBAL,INC.の連結子会社化を行いました。

今後の売上拡大が見込まれるため、2017年9月27日に、子会社のパピレス台湾に対して、3,000万NTDの増資を実施しております。

これによりまして、当社の議決権割合が93.3パーセントということになりました。株主構成としましては、台湾の投資家の方に残りの6.7パーセントをもっていただいているという状況です。

それから、第1四半期の連結会計期間から、2017年5月に設立した子会社PAPYLESS GLOBAL,INC.を、連結の範囲に含めております。

2.最新のトピック (2)海外④

続きまして、中国に関しての展開です。中国大陸向けの電子書籍事業のために、2018年4月に香港に、子会社PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.を設立しております。

2.最新のトピック (3)コンテンツ①

また、「タテコミ」についても新しい展開がございまして、「タテコミMove!」を開始しています。2018年1月23日より、漫画のシーンやキャラクターが動く新サービス「タテコミMove!」を開始しております。第1弾作品として、人気作品の『君の膵臓をたべたい』をリリースしています。

これはどういうものかと言いますと、「タテコミ」の中のコマに、花びらが舞う、キャラクターが動くといったエフェクトが加えられております。通常の「タテコミ」と同様に、基本的な動作はスクロールのみなんですが、対象のコマが表示されると自動的にアニメーションが開始されるというかたちになっています。

また、一度読み進めたシーンも、前に戻れば再びアニメーションが開始するという仕様になっていまして、気に入ったシーンを何度も楽しむことが可能です。動く「タテコミ」というかたちで、展開をしています。

2.最新のトピック (3)コンテンツ②

続きまして、「タテコミ」のオリジナル漫画として、世界一長い、全長25メートルの1コマ漫画『1コマの国のアリス』を公開しております。

これは、人気漫画家の方が『不思議の国のアリス』をモチーフにして、「タテコミ」の特徴を活かして書き下ろした、オリジナル作品になっております。全長25メートルという非常に長いコマなんですけれど、これを「タテコミ」で表現することで、作画とかいろいろな新しい、臨場感にあふれる表現をスマートフォンに最適化しています。新しいものを追求した内容になってますので、非常にご好評をいただいております。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ①業績ハイライト

続きまして、2018年3月期の決算の業績レビューになります。

まず、今回の業績ハイライトになるんですけれど、売上高に関しましては、予想比に対して7.6パーセントの未達だったんですが、前年同期比で14.6パーセント増加いたしました。

経常利益は、予想比で31.7パーセントの未達となりまして、前年同期比で23.6パーセント減少の結果となっております。

理由としましては、TVCMなどのマス広告で、想定した効果との差異が発生したことによります。また、当該差異については、電子書籍の海賊版サイトの影響もあったと推測しております。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ②損益計算書(PL)

続きまして、損益計算書の細かい内容について、前年との主な変動要因について記載させていただいてます。

主なものとして、先ほど(申し上げたように)売上高に関しては前年より伸びているんですけれど(その要因は)集客強化・サービス改良により、拡大しております。

それから、売上原価の中で、制作費については増えているんですけれど(その要因は)前年に発生しなかった「タテコミ」の制作や、翻訳費用等が増加をしております。

それから、とくに今回は広告宣伝費が、費用としては大きく出ております。先ほどご紹介したマス広告の強化が多くありまして、前年よりも9.31億円増加したのが原因となっております。あと、販促施策の強化などで、販売促進費も増加をしております。

その他については、とくに大きな変化はありません。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ③貸借対照表(BS)

続いて、貸借対照表になります。とくに大きな動きはなく、利益の増加によって現金及び預金が増えているということと、利益剰余金が増加しているということになります。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ④業績の推移(年度)

それで(こちらの図は)業績の推移を年度ごとに示したものなんですが、当期においては、売上高は162億円と、過去最高値を達成しました。売上高に関しては拡大傾向にあるんですが、一方で経常利益については、12億円となっておりまして、前期に対して減少しております。理由は、先ほど述べたものになります。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ⑤業績の推移(四半期)

続きまして、四半期ごとの状況です。第3四半期・第4四半期において、とくに売上の伸びが停滞しております。これに関しては、理由として、海賊版サイトの影響などが非常に大きく出ております。あとはもう1つ、広告施策の効果が当初の想定に比して低くなったことによると考えております。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ⑥主要コストの推移

それから当期におきまして、主要コストのうち、広告宣伝費の売上高に占める割合(水色のグラフ)が今回は32.2パーセントとなっておりまして、前期比で上昇しております。これも(主な要因は)繰り返しになるんですが、マス広告の強化によるものになっています。その他のコストにつきましては、ほぼ横ばいで推移をしております。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ⑦ROE、ROAの推移

当期におきまして、ROEは17.2パーセント、ROAは10.0パーセントとなりまして、こちらも前期比較で減少しております。要因は、利益減少によるものになっております。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ⑧売上債権、仕入債務回転期間の推移

キャッシュ・フロー経営を重視しまして、売上債権と仕入債権回転期間の短期化を図っておりまして、前期とほぼ同水準で推移をしております。

3.2018年3月期 決算の業績レビュー ⑨提携出版社数の推移

続きまして、提携出版社数の推移です。提携出版社数は、2018年3月末時点で667社となっております。うち、台湾の出版社の数が22社ということです。当期はとくに、台湾の大手出版社との提携を開始しております。

4.現在の市場動向と今後について (1)市場動向 ①紙の出版市場

続きまして、現在の市場動向と今後について、お話をさせていただきます。

市場動向です。まず、紙の出版市場の状況についてお話しします。紙の出版市場は、1996年の2兆6,563億円をピークに減少し続けていまして、2017年に1兆3,701億円となり、実に1兆2,862億円も消失しています。この20年間で、だいたい半減ぐらいしているという状況になっております。

4.現在の市場動向と今後について (1)市場動向 ②電子書籍の市場①

一方で、電子書籍の市場規模です。2016年度の電子書籍の市場は1,976億円ということが(記載されていますが)、これはインプレス総合研究所さんが出されている「電子書籍ビジネス調査報告書2017」から引用しているものなので、こちらのデータに従った規模感になっているんですが。

新たなプラットフォーム向けを中心に市場が拡大しまして、「2020年度には3,000億円規模にはなると予測されている」となっています。

4.現在の市場動向と今後について (1)市場動向 ②電子書籍の市場②

とくに、電子書籍の市場のうち、電子コミックの売上高が全体の77パーセントを占めておりまして、ニーズが高いと考えられています。これは、出版科学研究所さんの「出版月報2018.1」から出されている数字になっています。

ここだと、2017年が2,000億円ぐらいという感じになっているんですけれど、先ほどの紙の(1996年から2017年までの20年間で)失われた1兆円に比べますと、まだまだ電子書籍市場というのは、失われた分までは補われていないということが、現状になっています。

4.現在の市場動向と今後について (1)市場動向 ②電子書籍の市場③

あと、コミック単独で見ますと、コミックの売上高については、紙のコミックの売上が減少していまして、前年比14.4パーセント減となりました。その一方で、電子コミックは17.2パーセント増と、成長を続けております。今回初めて、電子コミックの売上が紙のコミックを上回っております。

4.現在の市場動向と今後について (1)市場動向 ③競合他社の状況

あと、競合他社の状況です。コミックが伸びているという流れを受けて、とくに電子コミックの競合が増加しまして、競争が激化しているのが現状です。それから、今期は海賊版サイトが業界全体に大きな影響を及ぼしておりました。

これは業界共通の認識となりましたので、ここの表にある(上から)4社、株式会社アムタスさん、エヌ・ティ・ティ・ソルマーレ株式会社さん、株式会社イーブックイニシアティブジャパンさん、株式会社ビーグリーさん。

この4社と当社パピレス(を加えた)5社を発起人としまして、2018年4月16日に「日本電子書店連合」を結成しまして、海賊版対策を開始しております。また一方で、発起人の1社である、「めちゃコミック」を運営する、株式会社アムタスの親会社であるインフォコム株式会社が、2018年4月23日に当社の主要株式となりまして、協業の可能性に向けて協議中となっております。

4.現在の市場動向と今後について (1)市場動向 ④知名度の調査結果

あと、第2四半期のときにも出している、知名度の調査結果というものがあります。今回は「マス広告を非常に増やした」というお話をさせていただいたんですが、それによってなにがもたらされたかというと、「Renta!」の純粋想起と認知率が大幅に上昇しましたという結果を、提示しております。

4.現在の市場動向と今後について (2)今後について

今後についてです。電子書籍の市場において、現在の顧客というのは、まだアーリーアダプター(先進的な顧客)の段階に留まっています。ただ、電子コミックに関して言いますと、イノベータ・アーリーアダプターの次にくる、マジョリティの間に立ちはだかる溝を「キャズム」と言っているのですが、すでに電子コミックでは乗り越えていると考えております。実際に、マジョリティ(一般の顧客層)へ普及しつつあると考えております。

このため、当社としては一般のお客さまに受け入れられるようなサービスの向上に、今後努力していきますし、そちらに注力をしていくという予定でおります。

5.今後の成長戦略 (1)当社の戦略①

最後に、今後の成長戦略です。

当社の戦略としまして、電子書籍の市場は今拡大傾向にあるんですが、国内及び海外の大手ポータルなど50社以上が参入し、先ほど表にあったような競合他社も増えていて(競争が)激化していることが現状です。

当社としましては、他の会社さんとの差別化を図るために、まず既存事業のシェアを拡大するとともに、新しい市場への開拓と新しいサービスの開発に、投資をしていく方針でおります。

こちらの図の示す(左上の)「Renta!」「パピレス」というのは、これまでのサービスです。

そこから(右上の)サービス開発としましては、「タテコミ」のような新しい縦スクロールコミックを普及させていくということ。あと、「犬耳書店」については、今回はあまりご紹介していなかったんですが、実用書を分冊して章とか節ごとに変え(て販売す)るというスタイルで、新しいコンセプトの書店というかたちでやっております。これに関しましても、今力を入れまして、音声で読み上げることができたりとか、いろいろな機能がついております。

あと、もう1つは、次世代開発・次世代コミック・次世代コンテンツを入れている「コミックシアター 絵ノベル」。それから、新しいオリジナルコンテンツを開発しています。それに関しては、NeoAldoという子会社が、今注力して行っております。

一方で、「Renta!」をグローバル化していくということを、今は中心として行っています。1つは英語版、1つは中国です。台湾からはじまり中国大陸へということで、広げていこうと考えております。

5.今後の成長戦略 (1)当社の戦略②

「なぜ『タテコミ』とか、そういうものに力を入れているのか?」という質問をよく受けるので、お答えします。今は「Renta!」の利用者の8割が、端末としてスマートフォンを利用していることがわかっております。

ですので、スマートフォンに最適化したサービスの強化というのが、なによりも重要だと思っております。やはり、スマートフォンで読みやすいかたちのコンテンツを提供していくということが、今はまずやらなくてはいけないことだと考えていますので、力を入れています。あとは、アプリとかそういった開発にも、今改良を続けているという状況になります。

5.今後の成長戦略 (2)事業計画

事業計画としてまとめます。まず、既存事業としては、今は「Renta!」に非常に力を入れてるんですが、こちらの知名度向上と売上拡大を図るために、広告販促を強化するとともに、効率化を進めていきたいと考えております。また、これは技術的な話なんですが、AIを使った技術が最近多く出てまして、(当社でも)それを効果的に活用して、サービスの最適化を実現していきたいと考えております。

それから、新規事業に関しましては、海外(中国語圏及び英語圏)の販売体制の強化を引き続き図っていくということ。あと、カラーでスマートフォンに最適化した「タテコミ」の掲載数の増加と販売の強化を図ります。また、オリジナルのコンテンツの制作数も増やしていきたいと考えております。

今期の事業計画としまして、売上高が178億円、営業利益が13億円というかたちで計画をしております。

5.今後の成長戦略 (2)事業計画 中長期

これは中長期の話なんですけれど、(こちらのスライドは)これまでの当社の売上の推移を実績で表した、2017年度までの表になっています。20年以上、ずっと電子書籍の販売サイトを運営しまして、紙書籍のデジタル化とネットワーク配信ビジネスに関わってきました。

これまで20年以上やってきた経験としましては、いろいろな変革というのがこの先も起こってくるんですが、このまま(のかたちで)電子書籍が進むとは今後も思っていません。当社としましては、次の20年に向けて新しい変化を先取りして、次世代ブックを普及させて、「タテコミ」のようなものとか、新しいサービスのスタイルを創り出していきたいと考えております。さらに、その新しく魅力的な日本のコンテンツを、世界中に広めていきたいと考えております。

世界中に広めていくやり方としては、今は販売プラットフォームとしてもっているサイトがありますし、そこでもある程度何年もやってきているので、販売の方向とかはだんだん実績として上がってきています。

あともちろん、うちのサイトだけではなくて他のところと提携したり、あるいは他にも出していったりということも、もちろん視野には入れておりますが、なにより日本のコンテンツが世界に広まっていくということが、非常に魅力があることじゃないかと思っております。

とくに、英語版とか繁体字版とかの展開をしているときに思うのが、他の国がかなり競合として出てきていまして……とくに、中国とか韓国です。とくに、韓国の方の動きが速いです。そのため、やはりそこに日本のコンテンツを広げていきたいなという思いが非常に強いので、そういったことをスムーズに進めていく体制を、今後つくっていきたいと考えております。

また、英語版と繁体字版に関しては、出版社さんにも次第にご協力いただくようになってますし、あとなによりも、著者さんが非常に喜ばれております。なぜかというと、やはり自分の作品が世界で読まれるということを非常に気にされています。

そういったいろいろなソーシャルネットワーク上で、そういった反応をいただくこと、あるいはレビューをいただくことを、非常に励みにされている著者の方もいっぱいいらっしゃるので、そういったことをもっと(進められるよう、世界へ日本のコンテンツを広めることに)努めていければと考えております。

市場規模は、まだ電子書籍全体でも、2,000億円ぐらいのレベルです。これを10倍以上拡大していくことは可能じゃないかと考えておりますので、じきにそれを目標として、今後進めていければと思っております。

5.今後の成長戦略 最後に

パピレスは今後も、電子書籍市場の拡大とともに、業績の向上に励んでまいりたいと思います。本日は、ご清聴どうもありがとうございました。