新中期経営計画の概要~めざす姿・時間軸

徳成旨亮氏(以下、徳成):徳成でございます。

まず中期経営計画の概要をご説明したのち、2017年度の決算についてご報告申し上げます。恐縮ですが資料の5ページ目まで進んでいただけますでしょうか。

私どもこの4月から新しい中期経営計画の期間に入っております。5ページ目には中期および次期中計まで含めた今後6年間のイメージをお示ししております。現在の経営環境を見渡しますと国内においては低金利環境の長期化は避けられないだろうと。従って旧来型の商業銀行を中心としたビジネスモデルでは国内では成長が難しいであろうと考えております。

また、いわゆるファングと呼ばれるような企業に代表されるデジタルプレーヤー、デジタルの流れが猛烈なスピードと規模で進んでおります。そうしたデジタル化の流れが私ども金融を含めた社会、産業のあり方を大きく変えようとしているのはご案内のとおりでございます。

こうした構造変化に対応するため、私どもとしては、グループの抜本的な変革に取り組みたいと考えております。

その効果の発現には相応な時間がかかると思っております。今後6年間という時間軸を頂戴し、その中で構造改革にしっかりと取り組んでいく方針です。

新中期経営計画の概要~重点戦略

6ページにお進みください。

具体的には資料記載の11の構造改革が中計の戦略の柱となります。

新中計ではシンプル、スピーディ、トランスペアレントなグループ一体運営を通じてすべてのステークホルダーに最善の価値を提供することを目指してまいります。

新中期経営計画の概要~営業純益計画

7ページにお進みください。

新中計の計数計画についてご説明します。

新中計の3年間は国内の低金利環境の継続による預貸金収益の減少に加え、規制、制度対応や構造改革に必要な資源投入による経費増加が見込まれます。これらによる減益を米国のMUFGユニオン・バンクやタイのアユタヤ銀行、さらには新たに出資したインドネシアのバンクダナモンへの海外銀行商業ビジネスの拡充により打ち返し、さらに11の構造改革を着実に進めることで2,500億円程度の営業純益の上積みを目指します。

新中期経営計画の概要~組織改編

8ページにお進みください。

こうした戦略を実行するため7月1日に組織体制を変更いたします。

具体的にはお客さまに最適なソリューションを提供することを狙いとして、日系と非日系の軸、リテールおよび中堅中小企業と大企業の軸からなるマトリックス組織に再編し、1つずつお客さまとの接点となる事業本部を設置いたします。これらに機能別組織である受託財産、市場を加え全6事業本部体制とし、国際事業本部は廃止します。

新中期経営計画の概要~財務目標・株主還元の基本方針

9ページにお進みください。

新中計の財務目標です。

中計最終年度である2020年度の目標水準を設定するとともに、中長期に目指す財務水準を資料記載のとおり設定しました。

株主還元策については新たに基本方針を策定し、配当は配当性向40パーセントを目指し、自己株式取得は機動的に実施することといたします。この方針に基づき、この5月の期末配当は予定の9円より1円増配して10円。2018年度の年間配当はさらに増配の20円とする予定です。

また2017年度の業績が目標の9,500億円を上回ったことも踏まえ、500億円の自社株取得を実施します。今後とも資本の三角形、すなわち資本の健全性や成長投資と株主還元の最適なバランスを意識しつつ、資本を運営してまいります。

コーポレート・ガバナンスの更なる強化

10ページにお進みください。

最後にガバナンス改革についてご説明します。

これまでも私どもでは外国への社外取締役2名など、外国人の社外取締役2名の専任などガバナンスの高度化に努めてまいりましたが、今般資料記載のそれぞれに異なる専門性を有する独立社外取締役8名が、取締役総数15名の過半を占める体制に移行することといたしました。

以上で中計関係のご説明を終えまして、2017年度の決算についてご説明します。

損益サマリー

資料11ページをご覧ください。

右側の表の1行目、2017年度の業務粗利益は前年度比で1,575億円の減少となりました。内訳ですが、2行目の資金利益は、海外預貸金収益は堅調に推移しましたが国内預貸金収益や国内外の債券利息が減少したことを主因に、1,176億円減少しました。

3行目の信託報酬と役務取引等利益は、海外業務の手数料収益等減少や、ソリューションビジネスの前年大口案件の剥落などがありましたが、株式手数料等の増加、コンシューマー・ファイナンス子会社の増収により、前年比ほぼ横ばいとなりました。

4行目の特定取引利益とその他業務利益は、国債等債券関係利益の減少により391億円の減収となりました。次に6行目の営業費は、国内は経費抑制等により経費減となりましたが、海外は規制対応費用等に加え、ベースアップや人員増に伴う人件費の増加もあり経費増となり、トータルでは前年比278億円が経費増加。この結果7行目の業務純益は1,854億円減少の1兆2,328億円となりました。

続きまして8行目の与信関係費用総額です。貸倒引当金の戻入を主因に前年度比1,092億円の改善となりました。9行目の株式等関係損益は政策保有株式の売却進捗もあり、82億円増加の1,331億円の利益計上となりました。13行目のその他の臨時損益は、昨年度計上したコンシューマー・ファイナンス子会社による利息変換引当金の剥落による影響が約1,600億円弱あり、前年度比1,711億円改善。これらの結果14行目の経常利益は1兆4,624億円となりました。

また15行目の特別損益は、構造改革の一環として銀行子会社で店舗の減損等を実施したことで特別損失を計上しましたが、持分法適応会社であったアバディーン・アセット・マネジメント社の合併に伴う株式交換486億円等もあり、特別損益は前年度とほぼ同水準の530億円の損失となりました。以上の結果17行目の親会社株主純利益は前年度比632億円増益の9,896億円となりました。

事業本部別業績概要

続きまして12ページをご覧ください。

事業本部別の業績概要をお示ししております。

右側は営業純益の増減の内訳です。株価上昇に株式市場活況にも支えられ、リテールと受託財産は増益となりました。一方前年度の大口収益案件の剥落もあった法人と国際に加え、内外の金利環境を受けて債券関係損益が減少した市場が減益となったことから、MUFG連結では1,717億円の減少となりました。

貸出金・預金

14ページまでお進みください。

左上貸出金残高は、2017年3月末比0.8兆円減少の108兆3,000億円です。借り換え需要の一巡を背景に住宅ローンが減少したほか、政府等向け貸出も減少しましたが、海外貸出は為替影響を除くと微増となりました。

次に資料左下の預金です。個人預金や海外店その他の預金増加により2017年3月末比で6.5兆円と大きく増加しました。外貨預金は営業努力もあり堅調に積み上がっています。次の15ページには国内預貸金利回りの推移を折れ線グラフでお示ししています。

左側のグラフ上から2つ目の折れ線ですが、国内預貸金利回り差の推移であります。2017年度第4四半期の利回り差は低金利環境が継続する中、前年同期から増加いたしました。

貸出資産の状況

16ページにお進みください。

左側にリスク管理債権の推移をお示ししています。

ご覧のとおり全体としてリスク管理債権の残高は減少しています。右のグラフ、与信関係費用総額は461億円の費用発生となりましたが、銀行、信託銀行の2行合算では戻入益となりました。

保有有価証券の状況

続きまして17ページをお願いします。

株式や国債等の有価証券の状況についてご説明します。

左上の表の1行目、有価証券の残高は3月末比で6,000億円増加しました。4行目の国債が1兆6,000億円減少し、7行目の外国債券も5,000億円程度減少となりました。評価損益は米国金利の影響を受けて7行目の外国債券は評価増となっておりますけれども、3行目の国内債券は3,000億円超の含み益を保持しており、2行目の国内株式も含めた、1行目の合計では引き続き3兆円を上回る評価益となっております。

自己資本の状況

18ページをご覧ください。

自己資本の状況をご説明します。

左の文章下段に記載のとおり3月末時点のバーゼルⅢ完全実施ベースの普通株式等Tier1比率は12.5パーセント。有価証券含み益除きでも10.1パーセントと、資本の健全性等引き続き十分な水準を確保しております。

2018年度業績目標・配当金予想

続いて19ページにお進みください。

業績目標および配当金予想についてご説明します。

2018年度の業務目標は、1行目の業績目標は、1行目の連結業務純益が前年度比1,900億円あまりの減少。および与信費用が前年度比700億円程度の悪化を見込むことから、親会社株式純利益は8,500億円を目標とし、その着実な達成を目指します。また2017年度の期末配当は期初予想から1円増配の10円とし、2018年度の年間予想配当はさらに1円増配の年間20円といたします。

自己株式の取得および消却の概要

最後に20ページをご覧ください。

新たに策定した株主還元の基本方針に基づき、総額500億円を上限とする自己株式の取得と、取得する全株式の消却を実施する予定です。

私からのご説明は以上でございます。