2018年3月期 第3四半期決算ハイライト

村山昌博氏:国際石油開発帝石株式会社の平成30年3月期第3四半期の連結決算がまとまりましたので、その概要につきご説明申し上げます。

まず、決算の第3四半期の実績ですが、前年同期比で売上高は801億円、12.9パーセント増収の7,036億円となりました。営業利益は520億円、22.1パーセント増益の2,878億円。経常利益は517億円、20.2パーセント増益の3,082億円です。親会社株主に帰属する四半期純利益は54億円、11.4パーセント増益の534億円。増収増益の決算でございます。

ポイントは、油価の回復です。油価の回復を反映いたしました販売単価の上昇による増収。この増収の結果としての売上総利益率の改善。この2つを主たる要因といたしまして、増収増益決算となりました。

原油売上高

詳細につきご説明申し上げます。まず、販売量・販売価格ならびに為替につきましては、お手もと資料の下段の表をご覧ください。

まず、原油ですが、販売量は前年同期比496万バレル、5.3パーセント減少の8,778万1,000バレルとなりました。アジア・オセアニアにおけるマハカムを中心とする減退等に伴う生産減少で、販売量が減少しています。(海外)売上平均油価は9ドル24セント、20.7パーセント上昇の53ドル86セントとなっています。

天然ガス売上高(LPG除く)

次に天然ガスですが、販売量は前年同期比367億2,700万キュービックフィート、14.7パーセント減少の2,131億6,900万キュービックフィートとなりました。うち海外ガスの販売量は、アジア・オセアニア、マハカムにおける減退の影響が大きく出ていまして、433億3,800万キュービックフィート、21.5パーセント減少の1,583億1,000万キュービックフィートとなっています。

海外生産分平均単価は、1,000キュービックフィートあたり前年同期比3セント、0.6パーセント上昇の5ドル7セントとなりました。海外ガス販売量は、マハカムの生産減退の影響が大きく出ており、21.5パーセントの減少です。

一方、国内ガスの販売量は、富山ライン沿線への供給量の増加等によりまして、1億7,700万立方メートル、13.7パーセント増加の14億7,000万立方メートル。立方メートルあたりの単価は前年同期比2円98銭、6.9パーセント上昇いたしまして、46円9銭となっています。国内ガス販売量は、富山ライン沿線への供給量の増加が大きな増量の要因となっています。

最後に売上平均為替(レート)ですが、1米ドルあたり前年同期比で4円60銭円安の111円74銭の仕上がりとなっています。いずれにしましても、油価高から円安によるプラス要因で大幅な増収ですけれども、一方でマハカムの減退を中心とした生産量の減少に伴う販売量の減少がありまして、売上高で言いますと12.9パーセントの増収が、この第3四半期の仕上がりです。

損益計算書

以下、項目別に当期の連結損益計算書の概要についてご説明申し上げます。

まず、当期の連結売上高は7,036億円。前年同期の6,234億円に比べまして801億円、12.9パーセントの増収です。

売上原価は、売上増に伴う原価の自然増や減価償却費の積み上がりといったプラス要因・原価押し上げ要因がありましたが、マハカムにおけるOPEXの減少を主たる要因といたしまして、前年同期比で296億円、9.1パーセントの増加にとどまっています。

売上高が12.9パーセント増加したのに対して、原価が9.1パーセントの増加にとどまりましたので、売上総利益は前年同期比で505億円、16.9パーセント増加いたしまして3,490億円となっています。

また、粗利益率は前年同期の47.9パーセントから49.6パーセントまで回復しています。

次に探鉱費ですが、前年同期で37億円減少の17億円です。販管費及び一般管理費は前年同期比で21億円増加の593億円となりました。販管費の増加につきましては、主に北カスピとのパイプライン輸送費の増加、ならびに国内での富山ラインに対する固定資産税の増加等によりまして、販管費が増加しています。

これらの結果、営業利益は前年同期比520億円、22.1パーセント増益の2,878億円となっています。営業外収益は、持分法投資損益の増加や引当金の戻入益によりまして、前年同期比40億円増加の308億円になっている一方、営業外費用は前年同期比44億円、73.9パーセント増加の104億円になっています。従いまして、営業外損益で申し上げますと、前年同期と比べまして4億円ほどの減少と、大きな動きはございませんでした。

以上の結果、経常利益は前年同期比517億円、20.2パーセント増益の3,082億円となっています。法人税等調整額を含む法人税等合計では、504億円の増加となりました。販売単価上昇による粗利の増加に伴いまして、外国税が増加したことを中心といたしまして、法人税・住民税では264億円の増加です。

また、法人税等調整額も、前年同期に計上いたしました税効果の剥落により239億円増加いたしまして、結果法人税等合計では504億円、25.4パーセント増加したことになります。

次に、非支配株主に帰属する四半期純利益ですが、前年同期比42億円減少し、61億円となりました。以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比54億円、11.4パーセント増益の534億円となった次第です。

1株あたりの純利益ですが、増益によりまして、3円75銭増加の36円57銭となっています。

2018年3月期第3四半期 売上高 増減要因分析

売上高801億円増収の要因分析をチャートでお示ししています。

まず、販売量は、原油・ガスともに減少したことによりまして、411億円の減収要因となりました。原油でマイナス236億円、ガスでマイナスの174億円です。

一方、販売単価は油価・ガス価ともに上昇いたしましたので、955億円の増収要因。とくに原油で891億円の増収要因になっています。

為替は4.3パーセントの円安を受けて、253億円の増収要因になっています。

2018年3月期第3四半期 純利益 増減要因分析

9ページには、親会社に帰属する四半期純利益の増減要因分析をチャートにまとめていますので、後ほどご参照いただければと思います。

四半期連結包括利益計算書

四半期連結包括利益計算書についてご説明します。当期は、期首為替が112円20銭、期末が113円5銭。85銭の円安でした。一方、前年同期は1月〜9月で見た場合に19円42銭、大幅な円高でした。従いまして、前年同期は大幅な円高を受けて、為替換算調整勘定が大きくマイナスになっています。

今期の場合には、あまり大きな為替の変動はありませんでした。その結果、為替換算調整勘定が前年同期比で554億円改善しています。この結果、その他の包括利益は前年同期比658億円改善し、88億円の利益となり、四半期包括利益全体では前年同期比670億円増加の683億円の利益になっています。

昨年度と今年度で言いますと、昨年が大幅な円高、今期は小幅な円安ということで、為替の動きによりまして為替換算調整勘定が大きく動き、包括利益が大きく変動したということです。

連結子会社および持分法適用関連会社

連結子会社の数です。

2017年12月末現在の連結子会社は63社です。

前期末と比べますと、メキシコ領メキシコ湾の炭鉱会社 INPEX E&P Mexico、それから、シンガポールに設立いたしましたファイナンスカンパニーINPEX Finance Singaporeの2社が増加しています。

一方で、権益売却によりナトゥナ石油がなくなり、また、清算(結了)によりINPEX UK、INPEX 西コンゴの計3社が減少しています。

持分法適用関連会社数につきましては、前期末20社からの増減はございません。

貸借対照表

バランスシートについてご説明申し上げます。

平成29年12月末の連結総資産は4兆4,200億円。前期末比で1,078億円。2.5パーセントの増加です。

まず、流動資産は、(スライド)右側に記載しています現金および預金の減少を主たる要因として、前期末比で2,903億円減少の6,526億円になっています。開発投資に資金を使ったということです。

次に、固定資産ですが、イクシスプロジェクトでの開発投資、あるいはイクシスプロジェクトへの出資、長期貸付金などによりまして、固定資産全体で3,981億円増加の3兆7,674億円になっています。

なお、毎回ご報告していますけども、12月末現在の実質手元の流動性資金は4,308億円です。先ほど現預金をお話しましたけれども、現預金が12月末現在で4,248億円ですので、ほとんどの投資待機資金は現預金で保有しているというのが現状です。

一方、負債ですが流動負債・固定負債の合計で前期末比672億円増加の1兆1,718億円となっています。このうち借入金は約定返済により一部減少しましたけれども、それほど多くありませんが、一部新規借入も行いましたので、長短借入金で482億円、純増しています。

その結果、短期借入金として484億円、それから長期借入金として6,875億円がバランスシートに計上されています。長短借入を合わせまして12月末現在、7,359億円が借入金の残高になります。

続きまして純資産です。前期末比406億円増加の3兆2,481億円となっています。

株主資本は配当後四半期純利益の増加271億円によりまして、2兆5,839億円。その他の包括利益累計額が103億円増加し、3,966億円。非支配株主持分が31億円増加の2,675億円となり、以上の結果、純資産が406億円増加しています。

この結果、自己資金比率は前期末比0.9ポイント下落しまして、67.4パーセント。1株当たりの純資産は2,041円02銭となり、前期末比25円64銭増加となっています。

キャッシュ・フロー

キャッシュ・フロー計算書をご覧ください。

営業活動により得られた資金は2,119億円です。前期に比べまして261億円増加いたしました。

税金等調整前純利益が517億円増加していまして、法人税等の支払いも増加していますけども、営業キャッシュ・フロートしては前期比で261億円増加したということです。

投資活動により使用した資金は1,361億円。また財務活動により得られた資金は145億円となりました。

イクシスへの投資等によるキャッシュアウトを営業活動によるキャッシュインや定期預金の払戻しによる収入ならびに現金収入により賄いまして、期末現在の現金及び現金同等物の残高は、2,270億円増加の4,079億円となっています。

以上が平成30年3月期第3四半期の連結決算の概要です。

2018年3月期 連結業績予想の修正

続きまして、連結業績予想の修正についてご説明申し上げます。

ただいまご説明した第3四半期の連結決算数値を前提としまして、通期の業績予想を修正いたしました。

業績予想の前提となる油価・為替の見通しですが、第4四半期の油価は足元の原油価格の上昇を考慮いたしまして、Brentで1バレル65ドル。11月の想定と比べまして10ドル引き上げました。

一方、為替は第4四半期で1ドル110円。前回の想定を据え置いています。これらに、第3四半期までの油価・為替の実績値を反映いたしました結果、通期の油価想定は前回公表値から4ドル、7.5パーセントの油価高となり、1バレル57ドル30セントです。為替は80銭円安の111円30銭の通期予想となっています。

通期の販売量見込みですが原油はOPEC減産の影響が予想想定をやや上回っていることから、若干11月の予算と比べ減少しています。ガスのネット販売量は、ほぼ11月予算からみて横ばいと見込んでいます。

今の予算比ですが、前期実績比で申し上げますと、やはりマハカムの減退ならびにOPEC減産の影響によりまして、ガスの販売量減を主因といたしまして、全体で10パーセント強の販売量減少を見込んでいるということです。

以上の油価・為替の販売量を前提といたしまして、修正通期業績予想をご説明いたします。まず、11月業績予想との比較をご説明いたします。

売上高は想定油価が7.5パーセント上昇したことを主な要因といたしまして、11月予算比400億円、4.6パーセント増収の9,170億円を見込んでいます。

また、営業利益は11月予算比で80億円、2.3パーセント増益の3,490億円。営業外損益におきまして、一部プロジェクトで見込んでいました一過性利益の剥落等により、営業外損益が70億円の減益を見込んでいますので、経常利益は3,680億円。11月予算比プラス10億円とほぼ横ばいに留まるものと見込んでいます。

法人税等では若干の減少を見込みますが、非支配株主損益の増加で法人税等の減少が相殺され、親会社株主に帰属する当期純利益は11月予算比横ばいの520億円となる見込みです。

2018年3月期 連結業績予想 2017年3月期実績比較

続きまして、2017年3月期実績との比較でご説明申し上げます。

油価は前年度実績49ドル88セントに対しまして、57ドル30セントと、15パーセントの上昇を見込んでいます。また、為替は111円30銭と、2円92銭の円安を見込んでいます。

前期実績比の油価高・円安はいずれもプラス材料となりますが、マハカムの減退やOPECの減産の影響による販売量の減少が、マイナスの方向に働きまして、売上高は前年実績比4.9パーセント増収の9,170億円となる見込みです。

また、営業利益は前年実績3,364億円に対しまして、126億円。3.7パーセント増益の3,490億円になることを見込んでいます。

営業外損益は、一過性の損益の繰入剥落等はありますが、権益売却益の剥落や持分法投資利益の増加、引当金の戻入等により、前期比プラスとなりまして、その結果、経常利益は前年実績3,338億円に対して、342億円。10.2パーセント増益の3,680億円を見込んでいます。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年実績461億円に対しまして、59億円。12.6パーセント増益の520億円になるという点が、今回の業績予想の修正予想に関わるご説明です。

最後になりますが、米州の天然ガス価格の見通し等を踏まえまして、現在、米州における上流資産の再評価を行っています。再評価の結果、決算への影響が生ずる見込みとなった場合には、お知らせしたいと考えています。

また、配当につきましては、従来からの予定に変更はなく中間期で9円、期末でも9円の配当を予定しています。

以上が、平成30年度第3四半期連結決算および通期連結業績の修正の概要です。