参天製薬の基本理念

越路和朗氏:越路でございます。事前に配布した資料に基づいて、ご説明します。

まず、3ページでございます。こちらは、参天製薬の基本理念でございます。

世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニーの実現に向けて

続いて、5ページでございます。この当社の基本理念に基づきまして、私ども参天製薬は2020年に「世界で存在感のあるスペシャリティ・カンパニーになる」という長期ビジョンを掲げました。そのステップといたしまして、2014年から2017年に中期経営計画に取り組んでまいりました。今年度は、その最終年度となります。内容については、ご覧の通りでございます。

2017年度第3四半期 決算概要

続きまして、6ページでございますが。こちらは、この第3四半期の業績の概況でございます。左半分に、損益計算書を記載しております。

売上収益は、前年同期比で11.9パーセントの増加。以下、主なところでは、売上総利益が10.1パーセント(の増加)。販管費・研究開発費は12パーセント強(の増加)。結果、営業利益は前年対比で6パーセントの増加でございました。以上がコアベース、事業の経常的な実力値を示す数字でございます。

フルベースでは、営業利益が前年対比9.5パーセント(の増加)、当期利益では59.3パーセント(の増加)でございます。これは、米国の税率引き下げの影響で繰延税金負債の取り崩しを行ったため、会計上の税金が減少したことにより、当期利益が増加するというような結果になりました。

2017年度第3四半期 売上収益の推移

引き続きまして、7ページです。こちらは、先ほど申し上げた前年比11.9パーセントの、売上増加の内訳でございます。国内・海外事業ともに、成長に貢献している状況でございます。

2017年度第3四半期 コア営業利益推移

引き続きまして、8ページです。こちらは、コア営業利益の増加のブレークダウンでございます。こちらも(売上収益と)同様に、国内・海外事業ともに、堅調に推移しているという状況です。とくに、ヨーロッパのところが大きく伸びておりますのは、外国為替レートの影響を反映したうえでの結果です。

事業別実績推移(国内)

9ページは、国内の医療用医薬品事業・一般用医薬品事業・サージカル事業の売上ならびに、研究開発控除前の営業利益の推移をお示ししております。

事業別実績推移(アジア事業)

10ページは、アジア事業です。左側の2つ(のグラフ)が日本円建、右側(のグラフ)が現地通貨ベースでの推移です。

事業別実績推移(EMEA事業)

11ページは、EMEA事業です。項目としては売上収益、研究開発控除前の営業利益で、アジア事業と同じ内容でございます。

2017年度業績予想

これらの第3四半期の累計実績をふまえまして、12ページに、通期の業績予想をお示ししております。売上ならびにフルベースでの当期利益の項目について、修正を行いました。

具体的には、当初昨年(2017年)5月10日に発表しました売上収益を、2,180億円から2,240億円へ変更し、60億円の増加。また、フルベースでの当期利益を、当初の268億円から320億円(へ変更し)、52億円の増加。

この原因は、先ほど申し上げましたが、売上については足元のモメンタムが好調なことを反映しています。また、当期利益の変更については、米国における税率引き下げの影響、こちらを反映した内容になっております。

2017年度配当予想(5月10日から変更なし)

13ページは、配当予想です。この第3四半期において、配当予想については期初の予想どおり通期で26円です。変更は予定しておりません。計算上は、先ほど申し上げました通期の業績予想の当期利益をふまえますと、配当性向が32.9パーセントということで、中期の方針としてお示ししております40パーセントを、下回るかたちにはなります。

しかしながら、当期利益の増加要因はキャッシュベースではなくて、会計上の処理に伴う影響であることと、安定的な株主還元を行うという中期的な方針等も鑑みて、最終的に現時点では据え置きという判断をしております。

以上が、この第3四半期の業績についての説明でございます。

業績以外では、当該四半期においては(2017年)12月21日に開示をいたしました「DE-109 シロリムス」に関わる米国FDA(食品医薬品局)からの、CRL(コンプリートレスポンスレター)の受領が、大きな事象としてございました。株価の変動等、資本市場のみなさまからのフィードバックも、小さくなかったと認識しております。

とくに昨年の春、4月25日の申請受理に関わる開示から、昨年末12月21日のCRLにいたる状況変化は、みなさまにおかれてはネガティブサプライズであろうと認識しておりまして、現在も不透明感や不安感が、払拭できないという状態にあると考えております。

したがって、現時点で参天製薬ではCRLにて指摘された、承認に必要な追加データと今後のアクションについて、FDAと面談を予定していますが、本日(2018年2月6日)においては、まだ実施できておりません。

したがって12月21日以降、新たな情報があるわけではございませんが、IRの責任者として、今までの経緯について、説明を若干させていただきたいと思っております。

DE-109に関する経緯

14ページをご覧いただきますと、プレスリリースの経緯等を中心にお示ししております。まず一昨年の2016年11月28日、このときに「非感染症後眼部ぶどう膜炎を対象とした、第Ⅲ相試験SAKURAの速報結果について」ということで、リリースをいたしました。

このときには、1つ目の第Ⅲ相試験「SAKURA Study 1」の結果が有効性・安全性において確立していること。2つ目の「SAKURA Study 2」では、低用量シロリムスとDE-109の有効性に、統計学的な有意差が認められなかったものの、この製品の有効性を裏付ける結果となったこと。

したがって、当該SAKURAプログラムの統合的なデータに基づきまして、FDAへの新薬承認申請を行う予定であるという旨を、開示いたしました。

この申請は、とくに当社参天製薬が最も重視しておりました、視力・網膜圧・経口ステロイドの使用の有無から判定される、軽症患者群を除いた大多数の患者群においても、SAKURA Study1・SAKURA Study 2ともに一貫して、統計学的に有意義な結果を示していた。こういう事実に基づくものでございました。

その後、昨年2017年2月28日に申請を行いました。その後、2017年4月25日に受理の連絡を受けましたので、同日申請受理の開示を行った次第です。この時点においては、2016年11月28日のリリースの通り、統合的なパッケージで申請が受理されたと認識をしております。

2017年3月1日以降、FDAからの情報提供・サンプル提供・資料提供等の依頼には、すべてタイムリーに回答をしてまいりまして、幾度かの会議および電子メール等のコミュニケーションを、適切に行ってまいりました。

その中で、視力を重視することにおいて、FDAと若干の認識の齟齬があることが、10月から11月に確認をされましたが、依然として審査は継続中であることならびに、有効性・安全性は確立されているという認識に基づき、承認審査完了を待つことといたしました。

その結果、12月21日にCRLの受領に至ったわけですが、有効性を示す追加データの根拠が本件の視力に関わる認識に関係するのかどうかは、現時点では判明しておりませんので、今後予定しているFDAとの面談にて、確認予定でございます。

以上が、DE-109の申請からCRLに至る経緯でございます。なお、本件に伴う業績への影響は、12月21日の開示にて記載した通り、今年度については軽微でございます。具体的には、当該製品の上市準備のために、前年比で約30億円の費用の増加を予定しておりましたが、これらの一部は今般のCRLの結果をふまえて、第4四半期、この(2018年)1月から凍結をしております。

また、翌年度についても、当該製品に関わるマーケティング費用は、同様の考え方となります。また、昨年5月の決算説明会にて、2020年度の売上見込が30ミリオン米ドルである・利益はブレイクイーブンであるという旨を申し上げましたが、中期的には参天製薬の連結業績に対する影響としては、これも中期的には軽微であるという認識をしております。

しかしながら、眼科薬における世界最大規模の米国市場への参入、こういう戦略的な観点から、影響は小さくはないと認識しております。

私からは、以上でございます。