2018年3月期第3四半期連結損益概要

日覺昭廣氏(以下、日覺昭廣):本日は大変お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。みなさまには日頃から当社の経営ならびに事業活動につきまして、ご理解をいただいておりますことに、改めてお礼を申し上げます。

これより2018年3月期第3四半期決算の概要と2018年3月期業績見通しについて、ご説明を申し上げます。

1ページをご覧ください。ご覧の目次に沿ってご説明をします。初めに2018年3月期第3四半期決算の概要です。

3ページをご覧ください。左の表の太枠、2018年3月期第3四半期実績およびその右の前年同期比増減の数字を中心に、ポイントのみご説明いたします。当第3四半期の売上高は6,006億円と、前年同期比で12.2パーセントの増収となり、営業利益は453億円で19.4パーセントの増益となりました。経常利益は448億円と13.7パーセントの増益。四半期純利益は301億円と28.3パーセントの増益となりました。

なお、第3四半期および第3四半期累計期間の売上高・営業利益・経常利益・四半期純利益は、いずれも過去最高となりました。

営業外収支

4ページは営業外収支についてです。

当第3四半期の営業外収支は、持分法による投資利益の減少や、炭素繊維複合材料事業等の新規設備操業開始費用の増加を主因に、前年同期比で20億円悪化し、マイナス5億円となりました。なお第3四半期累計期間の営業外収支は右の表に示したとおり、マイナス18億円と前年同期比で31億円悪化しました。

特別損益

5ページは特別損益についてです。

当第3四半期の特別利益は、保有意義の薄れた株式等を売却したことによる投資有価証券売却益を主因に、27億円と前年同期比24億円増加しました。特別損失は海外の関係会社事業損失、および炭素繊維複合材料事業における減損損失等を計上したことを主因に、84億円と前年同期比54億円悪化しました。

以上の結果、ネットの特別損益はマイナス57億円となりました。なお第3四半期累計期間のネットの特別損益は、マイナスと96億円と前年同期比で57億円悪化しました。

資産・負債・純資産

6ページは資産・負債・純資産についてです。

2017年12月末の資産合計は売上高の増加に伴う受取手形および売掛金の増加や、パシフィック・テキスタイルズ・ホールディングスへの出資等による投資有価証券の増加などを主因に、2兆6,584億円と2017年3月末に比べて2,616億円増加しました。

負債合計は普通社債発行など有利子負債が増加したことを主因に、1兆4,510億円と1,544億円増加しました。純資産合計は純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、1,072億円増加して1兆2,074億円となり、このうち自己資本は1兆1,236億円となりました。有利子負債残高は8,475億円となり、D/Eレシオは0.75となりました。

設備投資額・減価償却費・研究開発費

7ページは設備投資額・減価償却費・研究開発費についてです。

当第3四半期累計期間の設備投資額は、表の下に記載している設備を中心に1,076億円となり、前年同期比で90億円増加しました。減価償却費は714億円と49億円増加しました。また研究開発費は467億円で、40億円増加しました。

セグメント別売上高・営業利益

8ページは、上段には第3四半期3ヶ月間のセグメント別売上高と営業利益の実績を、下段には第3四半期累計期間9ヶ月間の実績をそれぞれ示しました。

第3四半期の3ヶ月間では、積極的な拡販に加え、高付加価値化の推進やコスト削減を徹底した結果、すべてのセグメントで前年同期比増収増益となりました。

セグメント別業績(繊維)

9ページ以降は、セグメント別に当第3四半期の状況をご説明します。

上の段の表の左側の欄とその下の3Q(10~12月)と記載されたコラムの内容をご覧ください。最初は繊維です。繊維セグメントの売上高は、2,748億円と前年同期比で11.8パーセントの増収。営業利益は230億円で18パーセントの増益となりました。

国内では自動車関連など産業用途の一部が、需要が堅調に推移しました。衣料用途は厳冬の影響により、秋冬物縫製品需要が堅調に推移しました。また引き続き衣料用・産業用それぞれの用途での拡販に加え、糸綿/テキスタイル/製品一貫型ビジネスの拡大を進めるとともに、事業体質強化に注力しました。

海外では、東南アジアや韓国の一部子会社では衣料用途の出荷が低調に推移しましたが、エアバック用基布やカーシート向け人工皮革などを中心とした自動車関連用途や、アジアで需要が拡大する衛生材料向けPPスパンボンドを中心に、全体としては堅調に推移しました。

セグメント別業績(機能化成品)

10ページの機能化成品セグメントです。

売上高は2,090億円と前年同期比15.2パーセントの増収です。営業利益は200億円と19.2パーセントの増益となりました。

機能化成品事業のサブセグメント別売上高

それぞれの事業の状況については、次のページでご説明をします。樹脂・ケミカル事業は、自動車関連用途向けエンジニアリングプラスチックなどの出荷が、国内を中心におおむね堅調に推移しました。

自動車以外の用途でも、ABS樹脂やPPS樹脂などの拡販を進めました。フィルム事業は、リチウムイオン二次電池向けのバッテリーセパレータフィルムが需要の伸長を背景に出荷を拡大したことに加え、スマートフォン向けなどの電子部品用途が好調に推移しました。電子情報材料事業は有機ELパネルの需要拡大に伴い、関連材料の出荷が拡大したほか、高機能回路材料が堅調に推移しました。また商事子会社も取扱高を拡大しました。

セグメント別業績(炭素繊維複合材料)

12ページは炭素繊維複合材料セグメントです。売上高は434億円と前年同期比で14.7パーセントの増収、営業利益は46億円と1.1パーセントの増益となりました。用途別の状況については次のページでご説明をいたします。航空宇宙用途は大型機のビルドレート減少はありましたが、中・小型機を中心に最終需要が堅調に推移する中、サプライチェーンでの在庫調整が完了し、出荷は回復基調となりました。

炭素繊維複合材料事業のサブセグメント別売上高

スポーツ用途は主要用途の自転車・ゴルフ・釣り竿とも、末端の需要は依然として低調に推移しましたが、各用途において積極的な拡販を進めました。一般産業用途は、米国では圧縮天然ガスタンク用途を中心とする、レギュラートウの環境・エネルギー関連向け需要が回復傾向となりましたが、欧州ではユーロ高の影響もあり、需要は低調に推移しました。

また風力発電向けラージトウ需要は引き続き堅調に推移しているものの、競争激化の影響等により本格的な回復には至りませんでした。一方、パソコン筐体や燃料電池車用電極基材向け等のコンポジット製品の出荷は、引き続き堅調に推移しました。

セグメント別業績(環境・エンジニアリング)

14ページは環境・エンジニアリングセグメントです。売上高は557億円と前年同期比で4.9パーセントの増収。営業利益は25億円と13パーセントの増益となりました。水処理事業は、国内外で逆浸透膜などの需要がおおむね堅調に推移しました。国内子会社では商事子会社が取扱高を減少させましたが、建設子会社が堅調に推移しました。

セグメント別業績(ライフサイエンス)

15ページはライフサイエンスセグメントです。売上高は136億円と前年同期比5.1パーセントの増収。営業利益は6億円と8億円の増益となりました。医薬事業は経口そう痒症改善剤「レミッチ®」が、新しい剤型の販売開始や効能追加の効果から、出荷を拡大しました。一方、「フエロン®」や「ドルナー®」の出荷は、代替治療薬や後発医薬品の影響を受けて低調に推移しました。医療機器事業は、ダイアライザーの出荷が国内を中心に堅調に推移しました。

営業利益増減要因分析(第3四半期累計期間)

16ページのグラフは、当第3四半期累計期間の連結営業利益が、前年同期に比べて92億円増益となった要因を分析したものです。まず数量差でプラス270億円の影響がありました。主に機能化成品、繊維、環境・エンジニアリング各セグメントによるものです。また石化原料由来製品等の販売価格上昇と原燃料価格差とのネットは、マイナス148億円でした。

繊維・機能化成品・炭素繊維複合材料の各セグメントでマイナスの影響がありました。営業費差はマイナス105億円の影響がありました。主に拡販に伴う費用や開発費等の増加によるもので、ほとんどのセグメントで増加しています。

主要子会社・地域の収益状況(第3四半期累計期間)

17ページでは、当第3四半期累計期間の主要子会社・地域の収益状況を示しています。東レインターナショナルは、繊維と機能化成品事業が好調でした。東レエンジニアリングは、産業機器やエレクトロニクス関連装置が好調でした。東南アジアの子会社では、繊維事業は自動車関連用途や衛生材料向けを中心に、堅調に推移しました。

機能化成品事業では、ABS樹脂や電子部品フィルム等が堅調に推移しました。中国の子会社では、繊維事業は総じて堅調に推移しました。機能化成品事業では樹脂コンパウンド事業の販売は拡大したものの、原料価格上昇の影響を受けました。韓国子会社では、繊維事業は国内市場の低迷と競争激化、原燃料価格上昇等の影響を受けました。

機能化成品事業は、バッテリーセパレータフィルム事業を2017年4月から東レ本体に吸収した影響で、前期までは国内子会社が海外拠点の業績も連結して開示していたものを、今年度から海外子会社として新たに組み入れたことが、増収増益の主な要因です。

2018年3月期連結業績見通し

次に2018年3月期の連結業績見通しについてご説明します。

19ページをご覧ください。2018年3月期業績予想につきましては、昨年11月10日に公表した予想数値から全体としては変更ありませんが、第3歳四半期累計期間の業績動向および足元の事業環境を踏まえ、セグメント別の予想数値については若干の修正を行いました。なお1月以降の為替レートは、1ドル110円を前提としています。

セグメント別業績見通し(売上高/営業利益)

20ページでは、2018年3月期の連結業績見通しをセグメント別に示しました。通期の前回見通しと今回見通しとの差異をご説明します。繊維セグメントは、商事子会社の取扱高が前回見通しよりも減少する見通しです。機能化成品セグメントは樹脂・ケミカル、フィルム、電子情報材料、商事の各事業が拡販を進めてまいります。炭素繊維複合材料事業セグメントは原料価格上昇の影響や開発費等、営業費の増加を見込んでいます。

環境エンジニアリングセグメントは、エンジニアリング子会社や商事子会社が堅調に推移をする見通しです。ご説明は以上です。どうもありがとうございました。