2017年11月期決算説明会

平野昇氏:みなさま、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。取締役専務執行役員の平野です。本年もまたトーセイの本決算を迎えることができ、また、本日多数の方にお集まりいただきまして、厚く御礼を申し上げます。

先ほど15時ちょうどに決算短信を発表しましたが、私から2017年11月期の決算の概況について、ご説明を申し上げます。

2017年11月期本決算 連結決算 業績ハイライト

資料の3ページをご覧ください。棒グラフが6つ並んでいます。

左上は売上高です。期末で577億円ということで、前年同期比で15.9パーセント増となっています。

そして、右下は当期利益です。期末で61億5,500万円ということで、前年同期比で11パーセント増となっています。トーセイが連結決算を始めて以来、過去最高の売上高・利益を計上できた期でした。

不動産流動化事業

続いて、セグメント別に概況をご説明申し上げます。1ページ飛ばしていただき、5ページにまいります。

まず、トーセイの主力である、不動産流動化事業です。棒グラフにあるとおり、売上高は402億円で、前年同期比で156パーセント、1.5倍の売上を計上することができました。

また、売上総利益は前年同期比で176パーセントと、増益を果たせました。

売上総利益率は、前期で20.2パーセントだったものが、当期では22.8パーセントと、2ポイント強向上させることができた1年でした。

特筆すべきところとして、(スライド)上部の表題のすぐ下に文章で書いてありますが、売上高10億円以上の1棟販売物件が13物件です。そして、売上高10億円未満の1棟販売物件が45物件ということで、どちらも前年比で(販売数を)増やしました。

(販売数を)増やした中で、とくに利益率を高く計上できたものは、10億円未満の物件です。10億円超のものは、だいたい前年程度の利益率で推移しました。小型物件では、より高い利益を得ることができた1年でした。

ただ、一方で申し上げますと、(10億円以上・未満の物件)両方合わせて、件数が26件増えたのですが、1棟あたりの単価は前年と比較すると、残念ながら約10パーセント低下しました。若干、物件の小型化が見られている状況です。

不動産開発事業

続いて、6ページの開発事業です。(スライドの)左の棒グラフでおわかりいただるとおり、1年前(2016年11月期)は、弊社で開発したオフィス・商業物件の売上が74億円入っていましたが、当期(2017年11月期)は、そのような1棟物件の開発売上がない年でした。その結果、今期売上高の51億円はすべて、戸建住宅あるいは一部宅地の販売のみとなっています。

戸建だけ見ますと、売上高は前年対比で92パーセントです。一方、棟数は102パーセントで、おおむね前年並の売上を計上できたというところです。

(グラフ中央に)「(参考)」と書いてあります。戸建等売上総利益率は、前期が17.8パーセント・今期が18.8パーセントと、こちらもおおむね横ばいで推移している状況です。

なお、左下の表に、営業利益がマイナス4億800万円と書いてあります。来期以降に販売を計画している分譲マンションに関する経費、一部広告費等が先行して発生しています。

これがおおむね4億円強あり、それを除いた当期の販売物件だけで見ると、営業利益は若干の黒字ということです。言い換えると、戸建を50億円程度売っているだけだと、利益の点では五分五分にしかならないという状況です。

不動産流動化・開発 仕入進捗

続いて、7ページです。仕入の状況をご説明申し上げます。

(スライド)左側の棒グラフが、売上想定で換算した年間仕入額です。引渡ベースの仕入れ進捗は、最終的には498億円というところでした。(年間仕入額を)契約ベースで見ると、665億円です。

前期(2016年11月期)は、引渡ベースで668億円、そして契約済の物件がさらに85億円ほどありました。契約済の物件まで含めて見ても、前年対比では10パーセント程度減少したという状況です。

特徴的なところについて、ご説明します。グラフを色で分けていますが、ブルーで塗ったところをご覧ください。いわゆるオフィス系の収益不動産の、私どもが再生して販売する流動化物件の仕入が減りました。件数が減り、単価も2割程度減少している状況です。

また、収益マンション(オレンジ)も、件数的にはほぼ前年並なのですが、前期に比べ単価が下落して、仕入額が減っているという状況です。

一方、開発用の仕入については、濃いピンク(戸建・土地)、薄いピンク(分譲マンション)、グリーン(オフィス・ホテル・商業施設)等が、前期は164億円、当期は169億円ということで、おおむね前年並の仕入はできているという状況です。

ただ、流動化・仕入を合計すると、仕入れた件数が当期は68件・前期は72件です。やはり、1件あたりの仕入額が小さくなっていることが特徴です。

その理由として、収益オフィスの単価が、マンション等に比べて高くなっています。こちらのウエイトが減っていることがございます。あるいは、M&Aでまとめ買いをしていますが、こちらの取引件数は1件なのですが、数棟をまとめて買っていますので、単価も下がっているという状況です。

不動産賃貸事業

続いて、賃貸事業です。このあと説明する不動産賃貸事業、不動産ファンド・コンサルティング事業、不動産管理事業の3つが、トーセイとして重点的に進めている「安定事業の収益拡大」というところです。

まず、賃貸です。スライドをご覧のとおり、売上高は62億円で、前年比117パーセント。(スライドの左側のグラフの)濃い青色のところが、固定資産から入ってくる家賃ですが、こちらも前年比で117パーセントという状況です。

利益率は、前期に比べてやや下落していますが、内訳を見ると固定資産はおおむね五分五分、または若干改善しています。

一方で、販売用の流動資産(同グラフ紫色)の家賃収入の利益率が下がっています。こちらは全棟すべて、空いているオフィスやマンションを買ったり、あるいは大量に空室を抱えている物件を買って再生したりしています。一過性のものということで、あまりこちらの心配はしていません。

右側(のグラフ)にあるとおり、保有物件は全体として増えていますが、中でも固定資産(濃い青色)が前期が21棟、当期は26棟ということです。金額ベースでは約80億円程度、固定資産を積み増している状況です。固定資産については、後ほどまたご説明申し上げます。

不動産ファンド・コンサルティング事業

続いて、不動産ファンド・コンサルティング事業です。

まず、売上高は28億円で、前年比で120パーセントになりました。とくに(スライド)左下の表に書いている営業利益は、前年比で143パーセントと、大きく伸ばすことができています。

それから、安定的に入ってくるAMフィーが、(スライド左側グラフの)青色の部分です。こちらは前年比で、約10パーセントの増加です。

右側の棒グラフは、アセットマネジメント受託資産残高の推移です。こちらも前期に比べて大きく伸長し、5,520億円となりました。とくに私募ファンドAMが3,920億円となり、前期と比べ、大きく伸ばしています。

この1年間(2017年11月期)で、1,300億円を積み増しています。前期では年間で950億円の増加でしたから、会社グループとしてはこちらにも相当注力している状況です。

なお、トーセイREITは今期で98億円増え、459億9,700万円という残高となっています。

不動産管理所業

続いて、10ページです。安定事業の3つ目の、不動産管理事業です。こちらは管理棟数を増やすこと、そして収益性を改善することを主眼にやっています。

売上高は、前期比で116パーセント増の46億円です。中でも、売上総利益率を前期比で2ポイント程度上昇させることができた点が、1つの成果です。

右側のグラフは、管理棟数の推移です。こちらは前期比で12パーセント増の、665棟となっています。ホテルの設備管理や室内清掃等も受託していて、トーセイグループとしてホテルにも展開していきますので、そこに備えた実績も積んでいる状況です。

以上が、セグメント別の状況です。

バランスシート要旨(連結)① −資産の部−

続いて、バランスシートをご説明します。

まず、資産の部です。全体として申し上げますと、資産合計は前期比で12億円プラスの1,225億円となりました。その中でも一番残高の多い棚卸資産(表中 A)は、前期末比で約75億円程度、減少しています。

一方、特筆すべきは、投資不動産・有形固定資産(表中 B)です。こちらは前期比、ネットで83億円増やしまして、期末で336億円となりました。先ほども申し上げたとおり、賃貸収入を増やすことに力点を置いているので、結果として固定資産や投資不動産を増やしているという状況です。

バランスシート要旨(連結)② −負債・資本の部−

12ページは、負債・資本の部です。全体では今申し上げたとおり、12億円の増加で、負債はネットで38億円の減少となっています。こちらは、先ほど申し上げた棚卸資産が前期末に比べて減った影響などもあり、借入金残高(表中 A)は減っています。

一方、利益の積み上げ等によって、資本合計(表中 B)は51億円増やすことができました。結果しては、自己資本比率(表中 C)は3.9ポイント上がり、37.7パーセントという水準となっています。借入については、後ほどまたご説明申し上げます。

棚卸資産の状況<内訳>

続いて、13ページです。毎期開示していますが、当社が持っている棚卸資産の状況です。簿価で597億円、(物件数は)102件。内訳は、流動化物件が79件、開発物件が23件となっています。ちなみに、前期末も(物件数は)102件ありまして、流動化物件が82件、開発物件が20件ということで、構成的に大きくは変わっていません。

将来得られるであろう想定売上高が、1,000億円あります。こちらについては、次のページをご覧ください。

棚卸資産の状況<売上想定推移>

今申し上げた1,000億円が、グレーで塗られている行(合計)です。前期末が994億円でしたので、概ね同程度です。

その下に、棚卸資産と売上高のバランスの表を、今回新たに記載しました。これはどのようなことかと言いますと、前期に比べて仕入が若干振るわなかったということがあり、「今後の売上は大丈夫か?」という質問もありますので、それに対して付けた表になります。過去を見ていただきますと、期初に持っていた売上想定の概ね50パーセント程度を、翌期に販売したという表です。

新年度(2018年11月期)を見ますと、1,000億円(の棚卸資産を)持っているうち、540億円程度を売却する計画ですので、54パーセント程度を売ればいいということです。先ほどお話しした、仕入が未達成だった部分によって、来期に相当売らないと回らないというわけではなく、過去並みの販売で差し支えないという、確認のための資料です。

固定資産の状況

続いて、15ページです。固定資産の状況ということで、先ほどから申し上げているとおり、賃貸収入を増やすことを1つ掲げています。そのためにはある程度、固定資産を抱えていきたいのですが、「固定資産を抱えるのは大丈夫か?」という内容です。

「不良資産を固定資産に置いて、しばらく出さないようにしているのでないか?」というご質問も受けるのですが、(それに対してお答えすると)まず私どもが現在持っている固定資産が、簿価で335億円です。これは、投資不動産と有形固定資産を合わせたものですが、これらの公正価値の計算になります。

少し字が小さいのですが、注記として「上記の公正価値は、『不動産鑑定評価基準』に準じた方法等により自社で算定」と書いています。当然ながら、監査法人のチェックを受けていますので、勝手な時価評価をしているということではありません。

そちらの時価評価で549億円ありますので、いわゆる簿価ベースでの含み益は213億円あるという意味です。万が一、これを全部一気に売却した場合には、当然この利益に対して課税がされますが、それを法人税として差し引いた後でも、143億円の利益が出るというところを赤枠で囲ってあります。

そして、左下の表について、ご説明します。現在の、私どもの簿価上の資本合計が461億円ですが、この部分も加味しますと、純資産が604億円にあたるという意味です。固定資産はたくさん増やしていく計画ではありますが、不良資産等はないということの証左です。

金融機関借入の状況

そして16ページは、金融機関借入の状況です。

まず、左側の折れ線グラフについてご説明します。借入金利・期間の推移と書いてありますが、V字型になっている赤い線が、私どもが、固定資産による借入金をどのくらいの期間の約定で借りているかということです。前期(2016年11月期)末までは、その加重平均値が10.49年でしたが、今期に固定資産を対象としたリファイナンスを1つ行いました。

その結果、借入期間の長期化が図れて、現時点では16.42年ということで、約6年程度長期化することができました。

もう1つ、グレーの線が平均借入金利です。過去4、5期を見ていただいても、毎期低減させることができたということで、現在持っている借入金の金利の加重平均値は、1.16パーセントという状況です。

そして右側のグラフが、長期借入金と短期借入金の残高の推移です。1年以内に返済がくる(短期)借入金が、全体で671億円のうちの約10パーセント、64億円です。2期ほど前を見ていただくと、概ね2割程度は短期借入金でしたが、こちらも意識して長期化を図り、現在は短期借入金(の比率)が10パーセントまできているという状況です。

経営環境認識

山口誠一郎氏:みなさん、こんにちは。ご紹介いただいた、山口です。私は、新中期経営計画「Seamless Growth 2020」、当期からの3年計画を策定しましたので、そちらを中心にお話を進めたいと思います。よろしくお願いいたします。

21ページです。中期経営計画を定めるにあたっての、経営環境認識です。左の欄に項目として、共通・オフィス・住宅・ホテル・ファンド市場・融資環境、右の欄にその詳細が書いてあります。簡潔に申し上げますと、ご案内のとおり、投資市場・不動産価格はかなり上がってきていて、CAPレートも下がり、過熱感・ピーク感がささやかれているということですが、昨年あるいは現在も、依然として活況を呈していると思っています。

中期経営計画は、クラッシュが起きるかはわからないという前提で策定しています。リスクとしては、みなさまにご案内のとおり、世界的な金融緩和の出口戦略・FRBの売上やECBの緩和期限の期日がくるような世界的環境が、日本の市場にどう影響を及ぼすかを注意深く見守りながら、投資環境を続けていきたいと思っている次第です。

新中期経営計画(2018年〜2020年)目標とする経営指標

22ページです。「Seamless Growth 2020」の経営指標ガイダンスについて、簡単に申し上げます。まず、2020年の連結売上高については、1,000億円を目指します。連結税引前利益については120億円、3年平均利益成長は10パーセント以上、3年平均ROEは12パーセント以上を掲げています。

また、下段の財務健全性については、いわゆる安定事業の比率を拡大するということで、前期末に60:40だった売買事業と安定事業の売上総利益の比率を、50:50へ変えていきます。

先ほど平野から説明のあった安定3事業の、不動産賃貸、ファンド・コンサルティング、不動産管理の利益率を上げていくことを考えています。また、3年間の中での自己資本比率は、概ね35パーセント程度を目安とします。

新中期経営計画(2018年〜2020年)P/Lシミュレーション

23ページです。その3年計画の各セグメントの詳細について、記載しています。左側から売上高の欄があります。

2017年の577億円の売上を、一番右側の2020年には、1,000億円にするということです。流動化事業については、2017年の400億円を2020年には600億円・開発事業については、2017年の51億円を2020年に214億円にするという目標です。2020年の欄の売買事業の粗利をご覧いただくと、135億円になっていると思います。

続いて、2段目の安定3事業の賃貸事業、ファンド・コンサルティング事業、管理事業のご説明です。

賃貸事業は、2017年の62億円を2020年には94億円へ、ファンド・コンサルティング事業は、2017年の28億円を2020年に29億9,900万円へ、管理事業は2017年の46億円を2020年に62億円へ伸長させる計画です。こちらも、2020年の欄の粗利をご覧いただくと、108億円になっていると思います。

右側のボックスをご覧ください。「売買事業・安定事業の売上総利益50:50の実現」と書いてあります。135億円が売買事業の粗利ですが、この中に31億円の白枠があり、販売経費を指しています。売買にのみかかる販売経費、概ね広告宣伝費を引くと(売買事業の売上総利益が)104億円になるので、104:108ということで、およそ 50:50にするという3年計画です。

数字は今申し上げたとおりですが、どのような施策をするのかという点を、下段に記載しています。

まず、①流動化事業です。これは、私どもの得意の中・小型のみならず、大型物件も含めて、すべての取扱いを平均的に伸ばしていくということです。

また、2段目に「不動産M&Aの活用で仕入量を増大」と記載があります。当期に「グループ戦略部」ということで、M&A専門の部隊も策定しています。後ほど申し上げますが、トラックも積んでいますので、M&Aを活用していきます。あるいは、コンバージョンのトラックやナレッジをかなり積みましたので、他社があまりしていないコンバージョン案件で流動化事業を増やしていくことを考えています。

次に、②開発事業です。こちらについても、オフィス・商業、あるいはホテルを毎期開発していくということです。また、分譲マンションについても、毎期200戸程度供給していきたいと考えています。そして、戸建については、先ほどのご説明のとおり、暦年50〜60億円の売上は確保していきたいということで、年150戸の供給を目途とするということです。

③賃貸事業は、これも先ほど話があったとおり、固定資産(30棟・簿価335億円)に対して、3年後は固定資産を約50棟超・簿価700億円超まで積み上げて、賃貸利益を上げていく計画です。

④ファンド・コンサルティング事業は、前期末のAUM残高の5,522億円を(3年後は)7,800億円まで伸長する予定です。内訳としては、私募ファンド・CREを5,061億円から6,800億円に、トーセイREITを459億円から1,000億円へ拡大することを、目途としています。

⑤管理事業は、前期末の管理物件数665棟を、約1.4倍の947棟に伸長させ、売上を上げていきたいと思っています。

⑥その他、自社運営ホテルですが、先月(2017年12月)「トーセイホテルココネ神田」の1号をオープンしました。この3年間に、それを含めて4棟のホテルをオープンする予定です。

新中期経営計画(2018年〜2020年)B/Sシミュレーション

続いて、24ページです。新中期経営計画を達成した場合の、B/Sのシミュレーションです。一番左側の前期末(2017年11月末)に1,225億円だった総資産を、一番右側の2020年11月末時点では、1,902億円に伸長させるということです。内訳は、棚卸資産が879億円、売上想定で概ね1,388億円分を抱えるということです。

その下の薄いブルーの部分、有形固定資産は(2020年に)728億円にするということで、賃料収入の比率を高める計画になっています。

ちなみに、資本も利益の加算により積み重なり、646億円です。自己資本比率は、34パーセントというシミュレーションです。このシミュレーション上は、エクイティファイナンスは考えていないかたちで策定しています。

以上、新中期経営計画の概要でした。

2018年11月期の業績予想 〜売上・利益項目概要〜

26ページ以降で、その新中期経営計画の1年目の事業計画について、ご説明申し上げます。2018年11月期の業績予想ということで、売上高は678億円・営業利益は109億円・税引前利益は100億円・当期利益は66億円強・配当金は30円を目途としています。

2018年11月期の業績予想 〜セグメント概要〜

そのセグメント概要を、27ページに記載しています。要点のみ申し上げます。

まず、上段の売上高です。不動産流動化事業は、前期(2017年11月期)の400億円を、当期(2018年11月期)は393億円ということで、概ね横ばいです。また、不動産開発事業は、前期の51億円を当期は148億円としています。これは、後ほど詳細を申し上げます。不動産賃貸事業は、家賃を伸ばすということで、前期の62億円を当期は67億円と想定しています。

不動産ファンド・コンサルティング事業は、売上高は前期の28億円を当期は27億円ということで、概ね横ばいです。これも、後ほど詳細を申し上げます。また、不動産管理事業は、前期の46億円を当期は52億円としています。

このような中で、税引前利益の100億円突破を目指すということです。

2018年11月期の事業戦略・施策 −不動産流動化事業− ①

28ページより、各事業についてご説明します。

28ページは、当期の不動産流動化事業です。先ほど申し上げたとおり、売上は(前期の)402億円から393億円と概ね横ばいですが、利益率は22.9パーセントということで、こちらも横ばいでいけるだろうと思っています。

ちなみにトピックスとしては、上段に記載しています。(2017年)12月末現在で、大型物件を含む8棟、トータルで120億円超の売却・引渡がすでに終わっていますので、好スタートが切れている状態です。昨年リリースも出していますが、この中には板橋区西台の大型物件の販売も含むということで、非常に高利益を取った物件の販売がありました。

あとは、中小物件の販売を、今から下期までがんばるということですので、393億円の達成は蓋然性が高いのではないかと思っています。

2018年11月期の事業戦略・施策 −不動産流動化事業− ②

29ページです。私どもの不動産流動化事業の、おさらいです。ご案内のとおり、築古の物件をバリューアップ・リースアップして売却するということです。とくに最近は、中古再生のアドバンテージを持っているということを、右側に記載しています。

これは、私どもが売却した錦糸町物件のサンプルです。左側に、築25年・23億円のビルの棒グラフがあります。土地代で14億3,000万円、建物代・改修費で4億6,000万円、その他ということで、およそ1割の利益を取って、23億円の売却をしたという事例です。中古でしたので、下段にあるとおり、賃料は1坪あたり1万1,400円でした。

CAPレートとしては、6.2パーセント以上の売却でした。もし、同じ土地において新築をするとどうなるかと言うと、土地代の14億3,000万円に対して、建設費が約20億円かかります。そうすると、総コストは約40億円になるということです。家賃は中古の1.2倍ほどで、1坪あたり1万3,650円を取れるので、CAPレートは4.2パーセントになります。

これは、両方とも投資家さまの好みですので、「新築プレミアムのCAPレートでもいい」という投資家さまも、もちろんいらっしゃいます。今のところ(築25年ビルの)23億円と(新築ビルの)40億円で、投資金額としても倍近いですし、CAPレートに2.0パーセントの差が出てしまうと、中古(の再生)にアドバンテージがあるのかなというサンプルです。

そのような点で、私どもは中古再生に注力しているということです。

2018年11月期の事業戦略・施策 −不動産開発事業− ①

続いて、31ページです。当期の不動産開発事業のご説明です。前期は51億円の分譲戸建の売却のみだったところ、当期は69億4,600万円の分譲マンション・11億円強の商業施設の売却が入っています。分譲戸建については、ここ数年、暦的に50~60億円の売却ということで、安定的な供給になるだろうということです。

上に、トピックスを記載しています。(2018年)3月引渡予定の「THEパームス祐天寺マスタープレイス」という分譲マンションが、現在は概ね85パーセント販売が進捗していますので、完売については楽観視しているということです。

そのような点で、不動産開発事業の当期の目標達成の蓋然性も、かなり高いのではと思っています。

2018年11月期の事業戦略・施策 −不動産開発事業− ②

今後のパイプラインについて、32ページから記載しています。戸建住宅以外の、現在のパイプラインです。

2017年以降、ホテル・商業施設・分譲マンション・賃貸マンション等の記載をしていますので、ご参照いただければと思います。

2018年11月期の事業戦略・施策 −仕入計画−

33ページは、当期の仕入計画です。昨年度(2017年11月期)は、契約ベースで665億円までしか(物件を)買えなかったということです。(昨年度の)仕入目標は800億円でしたので、もう一度当期も、引渡しベースで800億円分の仕入という目標を掲げています。

2018年11月期の事業戦略・施策 −M&Aを通じた不動産取得の推進−

34ページです。その仕入計画の中でも、マーケットで物件を買うのはなかなかタフになってきています。これは(不動産企業の)共通項で、私どもの1つのアドバンテージとして、M&Aを通じた不動産取得の推進するということです。

不動産M&Aをやっていらっしゃる会社は一部ありますが、弊社には他社にないノウハウがありますし、かなりトラックレコードも積みました。また、情報を持ち込んでいただける証券会社各社さまや、税務コンサルタント会社さまとのトラックレコードもできています。

スライド左側のヒストリーをご覧ください。2014年6月のスポーツジム会社の買収・2015年の株式会社アーバンホームの買収以来、とくに2016年以降は、4社の不動産M&Aを実施していて、160億円以上の物件を取得できているということです。

不動産M&Aですと、料理のしがいもあります。現在のところ、高い利益率で売却できているということです。(2017年)12月にグループ戦略部、M&A専門チームを設置しました。こちらを活用して、優良なアクイジションに努めてまいりたいと思っている次第です。

2018年11月期の事業戦略・施策 −不動産ファンド・コンサルティング事業−

35ページです。当期の不動産ファンド・コンサルティング事業です。右側のグラフをご覧ください。前期末5,522億円のAUMを、6,500億円まで伸長させるということです。

(スライド上部に)「AUM計画と施策」と書いてありますが、すでに開示もしているとおり、(2017年)12月にUR都市機構さんより、430億円の大型レジ物件「河田町コンフォガーデン」を、当社出資ファンドで取得をしています。

そのため、AUMは12月をもって6,000億円近くになっており、スタートダッシュが切れている状況です。こちらについても、当期目標達成の蓋然性はかなり高まっているのではないかと感じていますし、邁進したいと思っている次第です。

ちなみに、左下のボックスに売上高を記載しています。前期の売上が28億200万円、当期は27億1,500万円と、若干減っています。

「AUMが1,000億円増えるのに、売上が減るのですか?」ということですが、前期は2,000億円のファンドの、一過性のアドバイザリー契約におけるフィーが約5億円入っていましたので、そのフィーを除くと(前期の売上は)約23億円ということです。

当期は、そのような一過性のものを算定しないで、コンサバに計画を立てています。売上高の棒グラフのとおり、AMフィーは前期の10億円より14億円まで上がると、見ていただければと思います。

2018年11月期の事業戦略・施策 −賃貸事業・管理事業−

36ページです。安定3事業のうちの、賃貸事業です。これも申し上げたとおり、売上高は(2017年の)62億円から(2018年は)67億円ということで、固定資産等を増やす計画となります。右側の管理事業についても、(2017年の)46億円を(2018年は)52億円に増やし、計画管理棟数も665棟から771棟に増やすということで、目標を達成してまいりたいと思っています。

直近トピックス:周辺事業研究

38ページは、新規の周辺事業研究です。まず上段にあるように、クラウドファンディング事業を立ち上げたいと思っています。こちらもご案内のとおり、不動産においてクラウドファンディングで資金を集めていいという、改正不動産特定共同事業法が(2017年)12月にようやく通りました。

みなさんも不特法の申請に行っていると思いますが、トーセイもできるだけ早く、不特法の3号・4号の認可(不動産特定共同事業許可)を取って、クラウドファンディングをして、ファンド残高を上げていきたいと思っています。

当社は、ご案内のとおり、私募ファンドとREITがありますので、当然こちらの差別化も考えています。まず、REITと私募ファンドは概ね信託受益権ということで、金融商品化されています。こちらのクラウドファンドは、あくまでも不動産(を対象に)、しかも一般的には信託受益権とされない、5億円程度の小規模不動産にフォーカスをしていきたいと思っています。

また、REITとは違い、私どもとしては今のところ、できれば投資家のみなさんの参加型のファンドを作っていきたいと思っています。つまり、例えば、「一緒にコンバージョンして、これを再生してみて、アップサイドをとりませんか?」とか、あるいは浅草であれば「江戸情緒的な、江戸マンションを作りませんか?」というイメージです。

やはりストーリー性や、「一緒になにかを作っていこう」というコンセプトを入れたクラウドファンディングを、今研究しているということです。

次に、下段をご覧ください。「TOSEI MASTERS CLUB」を本日(2018年1月10日)発足して、リリースした次第です。俗にいう、オーナーズクラブの発足です。

こちらについても、(金融資産)5億円以上の富裕層、(金融資産保有総額)70兆円以上というマーケティングの中で、私どもが直接、5億円以上の富裕層にリーチしていく箱を作っていくということです。3年間でダイレクト顧客を500人以上獲得するという計画を立てて、発足しました。

以上が、最近のニュービジネスのトピックスでした。

還元方針

最後に、39ページで還元方針・配当についてお話しします。

前期(2017年11月期)の(1株あたりの)配当予定は25円で、配当性向は20.4パーセントの予定です。2018年度11月期は、配当金が30円・配当性向は21.62パーセントです。若干、配当性向が微増しているということです。

配当性向は、20パーセント以上を確保するということですが、まだまだ成長企業であり、エクイティも投資に有効利用していくということで、現在のところは20パーセント超の配当性向をお示ししているということです。

また、株価の現状認識ですが、(2018年)1月5日時点で、時価総額で541.7億円です。本日(1月10日)で545億円・株価で1,162円の終値があったということですが、概ねPERは8倍ということです。

先ほど話があったとおり、当社の純資産が461.5億円です。先ほど平野の説明にあった、税引後の含み益が143億円を超えると、600億円ということです。NAVで見ると、(1株あたり)1,252.47円・P/NAV倍率は0.9倍です。

これを投資家のみなさんがどう見られるかということですが、私どもはあくまでも成長企業ですので、NAVで見る観点・成長企業である観点の両方でご検討いただければという意味で、参考にこちらの数字を記載しました。

以上、駆け足ではありますが、中期経営計画と2018年度の事業計画のご説明をいたしました。ご清聴、ありがとうございます。