『ふたりの兄弟』は大人も子どもも楽しめる

頼藤太希氏(以下、頼藤):なるほど。出版記念イベントってどんな感じでしたか? 絵本『ふたりの兄弟』をみなさんに読み聞かせをして。

団長氏(以下、団長):やっぱりモヤモヤするんじゃないですか?(笑)。

頼藤:モヤモヤ……そうか。

団長:だから一般的な絵本のイメージを持っていて、感動したり、心温まるようなものを期待して読むと、肩透かしになるかなと思います。後で読んでいただければわかりますけど、本当に唐突に終わる感じがしてしまうと思います。

高山一恵氏(以下、高山):そうなんですね。

団長:ですので、そもそもは教材ではないんですけど、自分がその場にいる前提で紙芝居にして、子どもや大人の方たちと教材的な感じで読んで「この後どう思うかな?」とか、いろいろなことを広げる題材としていいなと思ってピックアップしたんです。だから実は絵本にするつもりはなかったんです。

高山:なるほど。

団長:それが紆余曲折ありまして、大盛堂(書店)の「シブ読」10周年記念にやるものが決まらなくて、最終的には消去法に近いかたちでこれ(『ふたりの兄弟』)になったというのが本音です。

頼藤:絵本にすると、トルストイってちょっと難しいイメージがあるんですけど、子どもの年齢でも読める感じはあるんですか?

団長:そうですね。深い話ではあるんですけど、子どもたちが読んでも子どもなりにわかる話ではありあmす。『ふたりの兄弟』という兄と弟の話だし、難しいことは何もないので、そこは幅広く楽しめるとは思います。高山さんの5歳の息子さんでもまったく問題がない。

高山:なるほど。さっそく今日読んでみたいと思います。

頼藤:兄のように生きるのもあり、弟のように生きるのもあり。あるいはまったく違う生き方をするのもありということで、『ふたりの兄弟』を読むと自分のこれからを考えるきっかけになるかもしれない。すばらしい本です。

団長:そうですね。とても良いと思います。

頼藤:うちの会社でも10冊購入させていただきました。

団長:ありがとうございます。

頼藤:これはみなさんにお届けしたいですね。

『ふたりの兄弟』の初回購入特典

高山:そうですね。なかなかトルストイ(の作品)を絵本にしたものというのは……。

団長:少しありますけど、あまりないですね。このお話自体は絵本化されていないものなので、普通だったら絵本化できないでしょうね。

高山:そうなんですか?

頼藤:でも、今の時代に合っているかもしれないですよ。100年時代って、自分の生き方を見つける時代になっているじゃないですか。だからこういう本を参考にして、この本の生き方どおりにしなくてもいいし、小さいときから「自分だったらどうしよう?」と考えてもらうことがあると良い人間が育ちますよね。

団長:そうですね。おもしろい人間になるかなとは思います。

頼藤:(絵本を見ながら)この本には団長さんの解説もついていますし、実際に団長さんがロシアを旅して……この写真は全部団長さんの?

団長:そうです。僕が自分で撮った写真が入っています。

高山:この写真、良いですね。

頼藤:ロシアグルメではボルシチやビーフストロガノフは有名ですけれども、それ以外のジュリエンとかブリヌイとかは知らないですね。

高山:ジュリエン? 本当だ。

頼藤:このようなロシアのグルメも(絵本で)紹介しています。こちらは1,200円ということで、初回限定版はポストカードがつきます。

団長:普通、本で初回限定版なんてないですよね。CDやDVDの世界です。これは書籍ですけど、そのような凝った仕組みがあります。

頼藤:買いたい方は書店に足を運んでいただくか通販で。

団長:そうですね。大盛堂(書店)のホームページからも購入できます。

万人におすすめできる本はない

頼藤:今まで本をどれぐらい読んできたかわかりますか?

団長:わかりませんね。

頼藤:年間1,000冊だったら、お歳がいくつか知らないんですけど、5万冊とか6万冊とか、そういうレベルで読んでいるということですよね。

団長:どうなんでしょうね。ぜんぜん考えたことがないですね。

頼藤:聞かれるかもしれないんですけど「これは読んだほうがいい」という本はありますか?

高山:ベタな質問で(笑)。

頼藤:(笑)。自分の中で一番感動して印象深い本とか。

団長:それも本音と建前があるんですけど。

頼藤:いいですね。じゃあ建前から。

団長:建前ですか? 建前で読んだほうがいい本なんて、決まってるじゃないですか。『(マンガでわかる! iDeCoのはじめ方)ライバルはイデ子!?』でしょう。

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頼藤:ありがとうございます(笑)。

高山:本当にありがとうございます! じゃあ、本音で行きましょう。

団長:これは僕、学校に行くときに「中学校1年生のみんなにおすすめの本」とか先生から聞かれて言っているんですけど、本音は……ない。

頼藤:ない。

団長:それは中1であれ小5であれ、男の子と女の子も違うし、それぞれの好みも違うし、本を読んでいる人と読んでいない人でだいぶ開きがあるじゃないですか。だから全員におすすめの本というのはないです。

(個人に)話を聞いたら「あなたにおすすめ」というかたちで言えると思うんですけれど、そうではなく、のべつ幕なしで言うのは本音としては好きじゃないんです。だから、たいがい先生の期待に応えずに「本音を言うと好きじゃないんだよね」と言ってしまいます。

だっておかしくないですか?「中1や中2のみんなに」とは言うけど「35歳のみんなに」という本はあるかと言ったらないでしょう? 

頼藤:確かにないですね。

団長:「あなたは68歳だからこれを読みなさい」とかおかしいと思うんですよね。裏に書いてありませんもんね。子ども(の絵本)だったら「自分で読むなら何歳から」とか書いてあるじゃないですか。

高山:ああ、確かに。

団長:なので、僕の本音としては「全員(におすすめ)」というのは基本ない。

高山:なるほど。じゃあ、個人個人に聞かれたら(おすすめできる)ということですか?

団長:そうですね。それだったら責任を持った答えができるかなと。そこでどうしても必要だったら、面子を潰さないように建前の答えをします。

「好きなこと」は仕事になりうるか

頼藤:団長さんが一番好きなジャンルはありますか?

団長:そのときの状況によって、けっこう変わるんですよ。今だったら小説ですけど、ちょっと前は美術書ばっかり読んでいたり。僕は海外の美術館に行くのが趣味なので。今まで550ぐらい行ったかな?

頼藤:ええっ! すごいですね。

団長:はい。だから「一生に一度は見たい絵画ベスト100」とかよくありますけど、僕はほとんど現地で見てきました。

頼藤:すごいな。美術館ソムリエもできますね。

団長:そうですね。できると思います。

高山:すごいね。

頼藤:そうやって趣味が仕事にもなりうるというのはすごいですよね。

団長:結果論ですよ。でもそれは本(のソムリエ)だって結果論ですからね。そんな仕事が成り立つとかまったく思っていませんでしたから。目指したわけじゃないので。

頼藤:でも今の道はすごく楽しそうですよね。

団長:そうですね。楽しくないことをしたくないんですよね。

頼藤:まさにそのとおりなんですよね。団長さんには今回と次回に分けて(『マネラジ。』に)登場していただこうと思いますので、次回は働き方や生き方、お金のことなども聞いていきたいと思っております。

高山:最後に『ふたりの兄弟』について、団長さんからのメッセージというか、先ほどは「モヤモヤする」と言っていましたが、これを読んで何を感じていただきたいとか、何かあればお願いします。

団長:感じていただくことは一人ひとりそれぞれです。絵本にせよ本にせよ「読んで正解」とか「これがいい」と押しつけるつもりで出しているわけではないので。

だから、本当に一人ひとりの方がこれを読んで、何か自分の人生を考えたり、あるいはご家族の人生のことを考えたり、生きることについて考えるきっかけになればいいなと思って出した本です。

たぶん小さい子たちでも楽しいけど、歳を重ねれば重ねるほど、自分の中身があればあるほど楽しめる本かなと思いますので、僕は本当に生涯の友になる1冊かなと思っております。お楽しみいただければうれしいです。

頼藤:今回はそんな感じで締めたいと思います。団長さん、ありがとうございました。

団長:ありがとうございました。