2017年度第2四半期(上期) 連結決算実績
中島康輔氏:それでは、まず、2017年度上期の連結決算実績について説明をさせていただきます。
上期の実績は、売上高1,889億円、セグメント利益101億円、営業利益110億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は72億円となりました。
売上高は、中国・日本を始めとした建機市場の好調によって数量が増えたことや、為替レートが前期より円安となったことで、増加いたしました。
さらに、2015年度から取り組んできた構造改革効果が実を結んだことで、利益率も向上し、セグメント利益率は前年対比0.9パーセント増の5.4パーセントとなりました。
中間配当につきましては、前年実績から2円・(2017年)7月予想から1円増配し、7円とさせていただきたいと考えています。
2017年度 連結決算見通し
続きまして、2017年度通期見通しにつきまして、ご説明いたします。
通期見通しは、売上高3,880億円、セグメント利益232億円、営業利益230億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は157億円を見込んでおります。
売上高は、下期以降も建機市場の好調が続くと見込まれていることから、前年比327億円の増収を見込んでおります。
セグメント利益については、一部固定費増の影響はあるものの、増収効果によって46億円の増益を見込んでおります。
なお、子会社での構造改革費用を見込んでいることから、営業利益段階では増益幅が縮小しております。
業績の詳細につきましては、後ほど副社長の加藤より説明をさせていただきます。
事業の状況(総括)
それでは、各事業の概要・状況について説明をさせていただきます。まず、私どもは今回、新中期経営計画をスタートさせてから初めての説明会となります。
AC事業については、海外拠点を含む収益性改善に向けた取り組みを強化しております。
HC事業については、足元では需要環境が一段上振れをしている中、最適生産体制の確立に向けた取り組みに着手をしているところでございます。
また、KYBブランド力強化に向けた取り組みも推進しております。
AC事業—環境認識
次のスライドから、具体的な内容についてご説明をさせていただきます。
まず、AC事業についてでございます。この左下の棒グラフは、自動車のグローバル事業を示しております。2020年度には、1億台に達する見込みと言われております。
この円グラフは、私どもの出荷相場の、各地域でのシェアを表しております。それぞれ左側が2016年度の実績、右側が2020年度の目指す姿となります。
日系メーカーのグローバル車種受注によって、日本・北米・ASEAN・インド地域中心に、シェアを拡大してまいります。
欧州については、2020年度以降のシェアの拡大を見据えて、来年(2018年)4月に開発センターを設立する予定であります。
AC事業—事業の状況
AC事業の各項目につきまして、ご説明します。
開発につきましては、先ほどご説明のとおり、2018年4月に欧州開発センターの設立を計画しております。これによって、ジャーマンプレミアム3社向けの受注を狙っていく予定であります。
そして製品については、北米の売れ筋車種である新型カムリ向けに、高付加価値の軽量ショックアブソーバの供給を開始いたしました。
生産につきましては、新モデル量産に合わせて(2017年)11月にコンパクト革新ラインの立ち上げを始めております。まずは日本から始め、グローバルに展開していく予定であります。また、量産向けショックアブソーバのグローバルでの仕様統合化によって、収益性の向上を図ってまいります。
販売につきましては、新規取引先の強化では、市販用ショックアブソーバについては、10月にトルコ支店の営業を開始して、トルコ地域でのシェアアップを目指していきます。さらに北米では、市販大手代理店向けの新規取引が始まり、今後の取引拡大を狙ってまいります。
台湾では、電動二輪メーカーであり、シェアドバッテリーサービスを手掛けているGogoro社に向けて製品の供給が始まっております。
HC事業—環境認識 (ショベル市場)
続いて、HC事業であります。
ショベルの2017年度世界需要は、中国市場の急回復が牽引して、期初見込みより19パーセント増加しております。中国市場は、2018年度までは投資旺盛と見られております。
このスライドには掲載してございませんけれども、ミニショベルも、北米・欧州を中心に堅調に推移しております。こういった高需要の中で、この下期以降も需要が強く続くと見られておりまして、今は生産量確保に向けた対策を行っております。
お客様からは非常に強い計画を示されておりまして、一部製品ではバックオーダーを抱えている状況です。今後、部品調達については取引先の能力増強、また、取引先併注による対応。そして、当社の生産能力については、シフトの増加や外注化によって、増産に対する対応を手を打っていきたいと考えております。
そのことによって、現時点での出荷高をさらに上積みして、利益を押し上げていきたいと考えております。
HC事業—事業の状況
続いて、これは(2017年)5月の説明会でもご報告をした、このコントロールバルブのライン以下は、来年(2018年)10月の量産開始に向けて、予定どおり準備を進めております。
加えて、ピストンポンプモータ(PPM)についても、周辺工場に分散している加工ラインを相模工場に集約し、生産効率化を図ってまいりたいと思います。
上のとおり、(資料の左側の)現状の中・大型向けバルブを、(資料の右側の)将来の姿では、KYB-YSで一貫生産をするということです。
そしてPPMについても、今相模・熊谷・愛川で作っているものを、将来的には相模工場で一貫生産をするという構想で、進めてまいります。
また、(資料の)下の攻めきれていない成長市場という意味では、スキッドステアローダー(SSL)・コンパクトトラックローダー(CTL)という建機市場がございます。この市場は、2016年度の市場規模が9万2,000台で、北米市場が全体の8割以上を占めております。市場の全体の売上規模金額で、約360億円の規模でございます。
用途については住宅工事が中心で、住宅着工件数に比例して需要は増加傾向にあります。将来的には、日系を含めて、この市場の中の10パーセントのシェアで油圧コンポーネントを供給して、引き上げていきたいと考えております。
具体的には、まず日系メーカーに向けたコントロールバルブ・ピストンポンプモータの拡販を展開中です。
そして、お客様の次期モデルチェンジ時期の2020年を見据え、北米進出を考えております。
それから、非常に仕様が似ているコンパクトホイールローダーについても、横展開を意識した活動を進めてまいります。
こういった、最適生産体制の確立と成長市場への拡販で、ショベルの需要変動に左右されない体質への変換を図ってまいりたいと考えております。
KYBブランドの強化
続いて、KYBブランドの強化でございます。
80周年に「カヤバ工業」から「KYB」ということで、社名を正規統一いたしましたが、まだまだこのKYBブランドという浸透力が弱いです。例えば、国内の二輪・四輪のユーザーの知名度という意味では、現状23パーセントに留まっております。これを、2020年度には50パーセントまで引き上げていきたいと考えております。
このブランド強化の狙いでございますけれども、製品力を磨くとともに、ブランド価値を向上させることにより、お客様に優先的に指名される価値のブランドになることを目指しております。
2017年度はブランド認知度向上を狙いとして、メディアへの露出やモーターショーへの出展・イベントなど、さまざまな仕掛けを行ってまいります。また、(2017年)4月にモータースポーツ部を設立して、四輪・二輪のチームとスポンサー契約を結びました。
世界的に人気の高いモータースポーツ分野での活動を通じて、ブランド認知度向上を目指してまいります。また、モータースポーツという極限の世界で技術力を鍛え、人材を育てていきたいとも考えております。
配当
次に、配当でございます。当期の中間配当は、1株当たり70円とさせていただきたいと考えております。期末配当は、1株当たり65円を予定しております。
本年(2017年)10月1日を効力発生日として、普通株式10株につき1株の割合で株式併合を実施したため、グラフは株式併合後のベースとしております。
以上が、決算概要と事業の状況となります。
最後に、私どもは日本障害者スキー連盟のオフィシャルスポンサー&サプライヤーとして、チェアスキー日本代表選手をサポートしております。当社社員の鈴木猛史選手を始め、日本代表選手5名全員にKYB製ショックアブソーバを装着していただき、選手とともに来年(2018年)3月の表彰台を目指しております。この点にも注目をしていただき、ぜひ応援をしていただきたいと思います。
以上、私から総括とさせていただきました。ありがとうございました。
2017年度第2四半期(上期) 連結決算実績詳細
加藤孝明氏:財務を担当しております、加藤です。私から、2017年度の上半期の業績概要についてご説明いたします。
上期ですけれども、前年同期比で増収増益。7月予想比でも、ほぼとんとんという決算でございました。これに伴い、増配をさせていただくということでございます。
続きまして、詳細についてご説明いたします。前年同期との比較と、おもな要因についてご説明いたします。
まず、全体の売上がプラス160億円。このうちの為替の影響が、プラス61億円でございます。セグメント利益は、プラス23億円になっております。このうちの為替の影響が、プラス9億円ということでございます。
続きまして、事業ごとの分析についてご説明させていただきます。
まず、自動車・二輪のAC事業からです。売上はプラス39億円。そのうち為替要因が、プラス56億円でございます。
サブセグメントにまいります。四輪車用緩衝器はプラス26億円、為替の影響がプラス45億円ということでございます。これは、中国がプラスでしたけれども、アメリカがマイナスということでございました。
二輪車用緩衝器はプラス19億円、為替の影響がプラス4億円でございます。東南アジアを中心に、好調だったということです。
四輪車用油圧機器が、マイナス9億円になっております。為替の影響がプラス6億円。CVT用のポンプが増加いたしましたけれども、EPS電動パワステが減少ということでございました。
続きまして、(AC事業の)セグメント利益が、前年同期比マイナス14億円でございます。為替要因としては、プラス8億円でございました。米国での売上減・中東での減少・固定費の増加ということで、為替要因がプラスながらも減益でございました。
続きまして、建設機械中心のHC事業についてご説明いたします。売上につきましては、プラス123億円、為替要因が3億円のプラスでございます。中国向けの建機需要が、大きく寄与しているということでございます。
セグメント利益につきましては、プラス37億円。これは、増収効果による増益ということが言えます。特装システム等その他につきましては、ほぼとんとんで推移しているということでございます。
2017年度第2四半期(上期) 連結セグメント利益増減
続きまして、前年同期からのセグメント利益の増減要因の分析でございます。前回までは為替も入ったベースでご説明しましたけれども、一部のみなさまから「為替要因だけを出して説明してください」ということだったので、今回から(資料の)最後のところに為替を持ってきて、ご説明させていただきます。
まず最初は、左の売上・変動費要因。いわゆる限界利益要因ですけれども、こちらにつきましては、HC事業で増収効果があり、プラス51億円。ACにつきましては、米国での減少ということでマイナス17億円。トータルで、プラス31億円ということでございました。
償却費につきましては、ほぼ横ばいということでございます。
人件費につきましては、全体で15億円の増加でございます。コストの増加ですので、利益上は減少要因ということになります。これは、AC事業のメキシコのショックアブソーバの工場での操業開始に加えて、HC事業では需要増に対応した人件費増が要因でございます。
その他の固定費についても、HC事業での需要増で、増加しているということでございます。為替要因としては、プラス9億円。従いまして、セグメント利益は前年同期比プラス23億円ということでございます。
2017年度第2四半期(上期) 連結売上高(地域別)
続きまして、地域別のブレイクダウンについて、ご説明させていただければと思います。
まずは、海外売上高比率です。前年同期の53.7パーセントの売上比率に対して、55.1パーセントまで上昇しております。特徴としては、建機を中心として中国でかなり増えておりまして、前年同期比でプラス44.1パーセント。東南アジアも増えておりまして、プラス21.7パーセント。これは、二輪の要因が大きいです。
一方、減少としては、米国でマイナス10.3パーセント。これは先ほどもご説明した、ACでの売上減が原因でございます。
2017年度通期 連結決算見通し詳細
続きまして、通期の連結決算見通しです。2017年度通年も、増収増益の見通しでございます。また7月の予想比に対しても、売上・利益とも上方修正しております。
詳細についてご説明いたします。2016年度対比の増減およびその要因です。全体売上はプラス327億円、為替要因がプラス57億円でございます。
セグメント利益がプラス46億円、為替要因がプラス12億円ということでございます。
AC事業の売上はプラス102億円でございまして、うち為替要因がプラス55億円です。四輪車用緩衝器で、米国を除く各地域で、数量が増えるということでございます。とくに二輪については、東南アジアでの好調を下期も維持するということでございます。
セグメント利益は、為替でプラスではございますけれども、固定費増等でほぼ横ばいということで、見通しを立てております。
続きまして、HC事業の売上がプラス225億円でございます。中国向けを中心とする建機需要が好調ということで、1年を通して効いてくるということでございます。これに伴い、セグメント利益ではプラス41億円を見込んでおります。
なお、特装システム等その他につきましては、売上は横ばいながら、利益はインドの貢献があり、プラスということで見込んでおります。
2017年度通期 連結セグメント利益増減
続きまして、先ほどと同じように、階段グラフで前年度からのセグメント利益の増減要因分析をご説明したいと思います。
まず売上・変動費要因は、全社でプラス85億円でございます。この中でも大きなものが、HCの増収によるプラス79億円。ACにつきましては、メキシコ・中国・欧州・中東で売上が増えてくるということがありまして、プラス6億円を見込んでおります。
償却費は5億円の増加です。これは、ACでメキシコで立ち上がっているSAの工場を中心とするものです。
人件費につきましては、25億円の増加です。これも利益で言いますと、マイナス要因ということになります。ACでのメキシコのショックアブソーバの工場での人件費、およびHCでは需要に伴う人件費増ということでございます。
その他固定費がマイナス21億円ということで、これもHCの増産対応ということでございます。
為替につきましては、12億円良化と見込んでおりまして、最終的なセグメント利益はプラス46億円増加すると見込んでおります。
以上、細かく申し上げました。まとめますと、2017年度の上期は、ACは増収ながら、米国がやや不振・固定費増もありまして、減益でございます。しかしながらHCにつきましては、中国を中心とする建機市場の好調で、大幅な増収増益でした。全体としても、前年同期比増収増益でございまして、増配を予定しております。
流れは通期もあまり変わらないのですけれども、ACについては増収・セグメント利益は横ばいのところまで、持っていきたいと思っております。HCにつきましては、引き続き中国の建機市場に支えられ、好調でございます。全体としても、前年度比増収増益。業績見通しも、上方修正させていただいております。
将来を見据えた構造改革も進めております。将来の利益率向上に、さらに努めてまいりたいと思っております。
私どもは、一昨年度赤字決算ということで、みなさまにご迷惑・ご心配をおかけしたのですけれども、その後は着実に業績向上が見えてきております。引き続き、みなさまのあたたかいご支援をお願いしたいと思います。
以上でございます。ありがとうございます。