連結業績概要
吉田昭夫氏:それでは早速、2018年2月期第2四半期決算についてご説明をいたします。
営業収益は、前期比106.3パーセントの1,410億円。
営業利益は、前期比111.4パーセントの225億円。
経常利益は、前期比106.5パーセントの219億円。
親会社株主に帰属する四半期純利益は、前期比114.3パーセントの127億円と、上期決算としては最高業績を更新させていただきました。
海外事業の営業利益は15億円の改善と、利益改善スピードは加速化しており、今後の成長ドライバーとして、新たな成長ステージに入っております。
また、国内モール事業も集客力の向上にともなう専門店売上の伸長により、大変好調に推移しました。
以上の結果、当上半期における営業利益は2桁増益となり、営業利益・経常利益・四半期純利益がいずれも、公表計画を超過達成いたしました。
【アジアにおける成長機会の獲得】海外 既存モール専門店売上前期比
ご覧の資料は、海外における店ベースの営業数値の状況でございます。
海外事業全体の専門店売上は、引き続き連日2桁以上の高い伸び率で成長を続けております。中国(の既存モール)では2017年1月から6月まで、専門店売上が前期比119.5パーセント。(来店)客数が111.4パーセント。前年度に比べ伸び率が伸長し、従来のトレンドに回復してきております。
アセアンでは、カンボジア(の店舗)がオープンして3年目となりますが、引き続き高い売上成長を続けております。ベトナムは、専門店売上が前期比111.6パーセントと伸長している一方、客数は前年(2016年1-12月累計)に比べて若干鈍化しております。
要因は明確でありまして、昨年オープンしたハノイのロンビエンです。これは前年、オープンの反動減があったことに加え、今年度大幅なテナント入れ替えを実施しているため、営業機会のロスがあります。(2017年)7月以降は売上・客数とも、2桁トレンドに戻った状況であります。
海外事業では、既存モールにおける客数増加と、売上の伸長にともない、収益も確実に拡大してまいりました。これまで蓄積してきた既存モールの集客施策や、リーシング・オペレーションなどのノウハウを分析し、新規モールに活用することによって、収益力が高まっております。
【アジアにおける成長機会の獲得】海外 黒字化モール
従来、3年目(の黒字化)を目標としていた新規モールの黒字化は早期化しております。中国では13モール中7モール、アセアンは6モール中5モールが、(2018年2月期第2四半期で)黒字に転換しております。
【アジアにおける成長機会の獲得】海外 四半期別業績推移
次にご覧いただいておりますのが、海外事業における利益改善の進捗であります。
海外事業の営業利益改善は、2016年度(2017年2月期)が、通期で前期比プラス10億円でありました。当上半期(2018年2月期の)6ヶ月間で、プラス15億円の利益改善を実現いたしました。
海外事業は、新たな成長ステージに入っております。今後の当社の成長を牽引するドライバーとなることを確信しており、みなさまにもご理解いただけると考えております。
日本 既存72モール専門店売上前期比
次に国内事業において、主力モール事業における既存72モールの全体の売上前期比は、103.4パーセントと伸長しました。
デベロッパーとしての第1の責務は、モールの来店客数の増加にあると考えておりますが、上半期の来店客数は、前期比101.9パーセントとなりました。
また、ここ数年積極的にリニューアルを実施しており、とくに食物販ゾーンの拡充により、買い上げ頻度が増加しています。結果として、来店客数の増加以上にレジ客数が増加し、売上が伸長いたしました。
日本 既存72モール専門店売上前期比(業種別)
ご覧いただいている、少し字が小さいこちらの表は、業種別前期比でありますが、衣料品を除く全業種で前年を上回って推移しております。
要因は、ここ数年積極的に行ってきた活性化にあります。お客さまニーズの高い食品や飲食ゾーンの売場面積を広げてきた効果が出てきております。
食品・飲食・アミューズ・サービスといった大型専門店の非物販売上は、前期比105.8パーセントと伸長し、この非物販の売上構成比は2014年の29パーセントから、第2四半期は33パーセントと拡大しております。この結果客数も伸び、売上増加につながっております。
日本 既存72モール専門店売上前期比(業界比較)
ご覧いただいているグラフは、2016年度(2017年2月期)からの、既存店ベースの専門店売上前年比の推移であります。2016年度下期より、ショッピングセンター業界全体のみならず、他業態の前期比伸び率を上回った推移をすることがありました。
セグメント別 営業利益改善額
次に、セグメント別の2018年2月期第1四半期・第2四半期の、営業利益増減額の推移であります。
第1四半期(水色のグラフ)の営業利益は、7億9,400万円の増益となりました。この増益要因は主に、海外事業の利益改善でありました。
第2四半期(青色のグラフ)に入りまして、第1四半期に続き海外事業の利益改善が進んだことに加え、国内事業においてもモール事業において、専門売上が好調に推移したことにより、利益改善が図れ、2桁を超える増益となった次第です。
【新たな国内需要の発掘】日本 ①ハピネスモールプロジェクト
次に、国内小売業界・SC業界では、これまでにない急速なスピードで環境変化が進展しており、店舗ごとの優勝劣敗が顕著になってきているのは、みなさまもご存じのとおりです。
Eコマースが進展する中、昨年来、大型商業施設の閉鎖計画が発表されております。その多くは、物販中心の店舗であります。このような状況におきましても、当社国内モールの売上が好調に推移している要因は、本年(2017年)4月に公表させていただいた中期3ヶ年計画の施策の推進であります。
お客さまに単なる買い物でなく、五感で「楽しさ」「豊かさ」を感じていただける空間・時間を提供することは、一定の規模を持つモールがあるからこそ可能であります。当社モールは、そのおかげで来店客数が増加しております。
リアルモールの強みを今以上に一層強化して、競争優位性をさらに高めていくことによって、エリアにおいて圧倒的なNo.1のポジションを獲得し、シェアを一層高めていきたいと考えております。
新たな国内需要の発掘を目的といたしまして、当社ではお客さまの心身ともに健康で、豊かな生活への貢献を目的とする「ヘルス&ウェルネス」の取り組みを強化しています。
具体的には、「ハピネスモールプロジェクト」を各モールにおいて、とくに展開しております。体の健康促進を目的とする「ヘルス」では、天候に左右されず、安全なモール館内での「モール・ウォーキング」などの運動。
精神面での豊かさを感じていただける「ウェルネス」では、オペラ・寄席・写真展など、文化的で本格的なイベントを実施しております。
これらの取り組みにより、従来のメインターゲットであるファミリー層に加え、シニアを含めたターゲットエイジ拡大による、新たな顧客層の拡大を図ってまいります。
【新たな国内需要の発掘】日本 ②集客向上に向けた取り組み
エコの視点として、猛暑の時期に涼しさと楽しさをお客さまに提供することを目的として、(2017年)7月に「イオンモールでいっしょに涼も~る!」という企画を実施しておりました。
これは単なるセールスではなく、ご家庭におけるエアコンの使用をやめて、快適なイオンモールにご来店いただき、楽しい時間を過ごしましょうといったことです。
いわゆる、クールシェア・環境保全の視点です。それと、我々の集客視点を合わせ持った企画で、これも大変好評でございました。
次に、デジタリゼーションの活用であります。イオンモール幕張新都心で、人間型ロボットPepperとAIを活用した新たな接客ソリューション「Talk QA for Pepper」の実証実験を開始いたしました。
また、(2017年)9月にオープンしたイオンモール松本では、デジタルサイネージにおいて、画面のAIキャラクターに問いかけることにより、自動的にお客さまの質問を認識して、最適なご案内をするAI対話型案内システムを導入しております。
お客さまの利便性の向上を目的として、デジタルを活用した新たなサービス機能を全国のモールに展開し、サービスレベルの向上を図ってまいりたいと思います。
そして、アジアにおける成長機会の取り組みといたしまして、いわゆる物理的な出店のみならず、国内のお客さまにもグローバルな商品を通じて、豊かさの貢献を進めております。
イオンレイクタウンにおいて、ベトナム・ハノイ市人民委員会と連携した、3回目となる「イオンワールドフェスタ・ベトナム・ハノイフェア」を開催いたしました。
合わせてその時、ハノイ市人民委員会と「投資及び事業推進に関する包括的覚書」の締結を実施させていただきました。さらに、経済的な側面ではなく、グループでは「イオンワンパーセントクラブ」を通じて、「植樹活動」「環境教育」「学校建設支援」「給付型奨学金制度」などの支援活動を実施し、アジア各国との結び付きを深めております。
【圧倒的な地域No.1モールへの進化】日本 モール事業 2017年度既存モールリニューアル
次に、集客施設に加えて、積極的な増強・リニューアルも当社の好調を支える大きな要因であります。(2017年)7月にイオンモール常滑のシネマ棟を、新たに増床いたしました。
また、新規テナントの導入や、既存テナントの業態変更・移転などによるモール全体を刷新するリニューアルを、11モールで実施いたしました。
2016年度(2017年2月期)および当上半期(2018年2月期)において、増床・リニューアルを実施した既存31モールの専門店売上は、対前年同期比5.8パーセント増加と大変堅調に推移しており、活性化効果を体感いたしております。
イオンモール甲府昭和①
当期の増床・リニューアルでございますが、下期にイオンモール甲府昭和において、増床・リニューアルを実施いたします。この甲府昭和は2011年3月にオープンしました。この度の増床・リニューアルでは、これまで駐車場として利用していた南側の敷地に、既存の専門店ゾーンへ続く増床棟を新設いたしました。
昨年(2016年)、イオンモール広島府中の増床で、成功の実例があります。増床時には、既存棟においてもリニューアルを行い、活性化効果を最大化していきます。
当モール(甲府昭和)においては、専門店数を130店舗から180店舗に拡大。その80パーセントにあたる、136店舗を刷新いたします。同じ場所に、大型の新店ができる。そういったかたちになります。
また、SC業界においては、テナントの出店選別が厳しくなる状況下であります。とくにここ1年は、アパレルのリーシングが厳しい状況です。
イオンモール甲府昭和②
この甲府昭和は、地域No.1の施設であることから、有力なファッションテナントの誘致が可能でありました。魅力的なファッションゾーンを、今回構築することができました。
イオンモール甲府昭和③
これらの取り組みにより、エリアにおけるマーケットシェアを高めます。現状においても、当モールが規模ではエリアNo.1でありますが、今回の増床により圧倒的な地域No.1のポジションを確立してまいります。
【圧倒的な地域No.1モールへの進化】日本 モール事業 2017年度新規モール
次に、新規モールでありますけれども、計画どおり5モールをオープンいたしました。概要は、こちらの資料に記載のとおりでございます。本日は、(2017年)9月にオープンしたイオンモール松本について、少しご説明をしたいと思います。
イオンモール松本①
イオンモール松本は、2015年3月に営業を終了したイオン東松本店を核店舗とする、旧片倉モールの跡地に出店をいたしました。スクラップアンドビルドであります。
当モールは郊外の出店ではなく、年間500万人以上の観光客が訪れる城下町・松本市の、中心市街地への出店であります。
行政との対話を重ね、城下町の街並みとの調和を強く意識し、松本市の景観と一体化したデザイン・施設設計を施しました。また、松本駅から1.5キロと、徒歩で15分の距離に位置しております。駅からは商店街、当モールまでの回遊性に配慮した建物配置といたしました。
イオンモール松本②
当モールで特徴的なものは、歴史的建造物の再生保存。例えば、昭和初期の松本を象徴する近代建築物「片倉工業旧事務所棟」の外観を保存再生し、モールのシンボルとして使っています。
イオンモール松本③
湧き水も活用した「せせらぎ」を配置するなど、松本の歴史や文化、観光資源を活用していることが(特徴に)挙げられます。
イオンモール松本④
地域との連携という点では、テナント揃えにおいても、地域との対話を十分に重ねて対応してまいりました。
出店テナント170店のうち39店が地元企業による出店と、従来のモールに比べて地元比率が高く、ローカライズに力の入ったテナントであります。
一例といたしますと、空庭(そらにわ)の1階には、JA松本ハイランドによる、本格的な農畜産物直売所がございます。新鮮で品質の高い地元生鮮産品の取り扱いのほか、農業の独自化時代に対応した食を展開しております。
イオンモール松本⑤
松本市は、「健康寿命延伸都市・松本」の創造を目指し、単に体の健康づくりにとどまらず、人と社会の健康づくりに取り組んでおられます。文化的なイベントも、大変盛んなエリアであります。
この考え方は、先ほど申し上げました、我々の「ハピネスモールプロジェクト」と非常に相関性が高いと言えます。「モールウォーキング」用に設置したウォーキングマップが、モール館内にあります。毎月、医療機関が監修した健康テーマに合わせた「いきいき公開健康講座」など、相談会を実施してまいります。
また、モール屋内外でのイベントスペースにおいて、「楽都・松本」ならではの演奏会や美術作品の展示会など、行政と連携した地域のさまざまなイベントを開催し、「ハピネスモールプロジェクト」のモデル店舗としての位置付けをしています。
【都市部における成長機会の獲得】日本 都市型ファッションビル事業 2017年度既存店リニューアル
次に、(都市型ファッションビル事業の)オーパです。
既存5店舗において、テナントの入れ替えを行いました。ゾーニング変更などにより、買い回り向上のためのリニューアルを実施してきたわけです。
しかしながら、リニューアルによる営業機会のロスがあったこと、(2017年)3月にオープンした、新店となる水戸オーパが従来型のファッション中心のフォーマットであったことから、業績としては減収減益となりました。
従来ターゲットとしていたヤングファッションはダウントレンドが続いており、ファッション中心の業態から、ファッショナブルなライフスタイル提案型のビジネスモデルへの変革も、スピードを上げ早期に実現・改革していく必要があります。
基幹店である高崎オーパでの取り組みをベースに、既存店のリニューアルや新店オープンに、取り入れてまいります。なお、スピードを上げた改革のため、当上半期に、本社から営業及び管理責任者を派遣いたしました。
ESGの取り組み
このような事業展開を進めております当社は、外部からも高い評価をいただくことができました。
ご覧の資料に記載のとおり、1つ目はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が運用のために選定した3つのESG指標のうち、ESG格付けが高い指数と、女性の活躍が高い指数に選定されました。
2つ目は、環境・社会・ガバナンス配慮を図る年次のベンチマークであるグローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク「GRESB」において、引き続き最上位の評価を獲得いたしました。
同時に、総合スコアでの相対評価による「GRESBレーティング」。ESG情報開示レベルにおいても、最上位の評価を獲得いたしました。今後も、このような評価をいただけるよう、取り組みを進めてまいりたいと思っております。
以上で、説明を終了させていただきます。ご清聴ありがとうございました。