為替の影響を除き増収増益、純利益は過去最高を達成
北畠一明氏:それでは、2017年3月期決算概要と業績予想についてご説明します。
2016年度の決算総括です。為替の影響を除いて増収増益、純利益は過去最高を達成になっております。
実勢レートベースでは、売上ではマイナス2パーセント、それから営業利益ではマイナス6パーセントで、わずかながらの減収減益とはなっておりますが、為替を除いたベースでいきますと、売上で6パーセント、費用・利益につきましては、2桁に迫る伸びを記録しております。
この結果としまして、さらに株式の売却益もあったことから、過去最高であった昨年の純利益をさらに7パーセント上回って、2年連続で純利益については過去最高を記録しております。
16年度業績予想比 主な変動要因
第3クォーターの決算発表時に業績予想を下方修正いたしましたが、実績につきましてはこの数字を大きく上回る結果となりました。
ここではその主な要因についてご説明します。まず、売上については42億円プラスですが、売上は第4クォーター、非常に売上全体好調であったといえます。
クォーター別の売上では過去最高である1,398億円という売上を記録しております。その中でもとくに良かった要因として、ここに2つありまして。1つは、これは前から良いのですが、アクセス・ニューロ。これについてはさらに上振れしている部分。
それから、買収会社、止血デバイス(事業)については1月から計上し始めておりますが、これについては買収直後にアカウントの損失等々もあるであろうということで、比較的スローな立ち上がりを予定していたのですが、実際には非常に順調に積み上がったことで、これも上振れ要因です。
この2つが売上高プラスの大きな要因となっております。営業利益につきましては56億円プラスとなっておりますが、今申し上げました売上高の好転分、これが30億円あります。
為替によるアクセス・ニューロの上振れ分の20億円、それから買収事業の売上の分で10億円と、この部分で30億のプラスになっております。
あとは経費・R&Dの部門ですが、経費については、これは1つは売上好調であったことで販管費がそれほど伸びていないという部分が大きな要因になっております。
また、R&Dにつきましては、これは15億円当初の計画より下振れているというところになりますが、これでも他の3クォーターに比べると第4クォーターは大きく伸びております。
ただ、もともとの計画ではもっと大きく伸びるとで予定していたのですが、ここに書いてありますような要因でそこまで伸びなかったことで、これがプラスの15億円で、トータルで約55億円のプラス要因となっております。
経常利益につきましては、営業利益のプラスに加えまして、為替で若干のプラス、それから買収のパーマネント・ファイナンス、これを3月に予定していたのですが、これが4月にずれ込みまして、その結果としてアップ・フロント・フィーの支払がずれたこともあって、さらに10億円プラスになっています。
純利益につきましては、経常利益のプラスに加えて、オリンパスの株式売却が当初の見込みより若干上振れたという、そのプラス要因で67億円のプラスになっております。
営業外・特損益・法人税
営業外ですが、ここは大きな変化はございません。営業外損益のところでは為替が下期は円安に向かったことで、上期のマイナスを若干リカバーしたこと。特別損益のところでは、保有株式の売却益を計上していることです。
営業利益増減分析
これが営業利益のウォーター・フォールです。営業利益につきましては、プラスサイドはほぼ当初の計画通りという実績です。
売上の増がこの営業利益のプラス要因の一番大きなポイントでして、あと、コストダウン・事業ミックス等々がこれにプラスしていると。
マイナスサイドにつきましては、まず価格ですが、これは薬価公定価は当初見込んだとおりのレベルで下がっています。
ただ、価格の下落については、年初考えたほどには価格が下落しなかったということです。
この要因としては、1つはホスピタルにつきましては前から申し上げておりますように、中南米とかアジア等々で不採算のところが撤退するということ。
これはただ単にやめるというのではなく、価格を大きく上げて、それでなくなるだろうと思っていた部分が残った部分があって、この部分は当然価格のプラスに影響してきていることです。
それから、心血全般で欧州・中東でやはり同じプロダクトでも価格の低い国での販売を抑えて価格の高い国、ここの国での販売を増やしていくことをやっていますので、これが価格自体は変わらなくてもトータルにすると結局価格の上げ要因になっていると。
さらには、これはTIS全般で売上が非常に好調だったので、思ったほど価格が下げる必要がなかったと、こういうことが価格下落を少なく抑えた要因で挙げられます。
次に、カテーテル・ニューロ等の販売投資増では、ここも当初計画より少ない数字になっておりますが、これにつきましては人件費と販促費がここに含まれるわけですが、人件費については相応に増えております。
後ろの参考資料の販管費の明細を見ていただけるとわかるのですが、人件費は相応に増えています。販促費は去年より減っています。
理由としては、いくつかありまして、1つはやはり売上が好調だったのでそれほど販促費を使う必要がなかったというのが1つ。
それから、もう1つはみなさんご存知のとおり、ミサゴのリコールがありましたので、ペリフェラル関係のところで販促費、これが思ったほど出なかったというのが2番目。
それから、3番目につきましては、心臓血管の(分野で)買収が3件ございましたので、DDやインテグレーション、このへんでかなり時間・体力をとられました。その分の販促に向ける体力が若干減ったので、その分の費用が減ったことが要因として挙げられます。
これらを総合しまして、817億円という前年の数字から買収・為替を除くと920億円で、オーガニックベースでは13パーセントの増になっています。
これに為替の影響の109億円と買収分の45億円が減って、766億円という数字になっています。
16年度為替の営業利益への影響
ここでは為替の影響について若干ご説明いたします。
為替の影響につきましては、当初85億円のマイナス影響とみていたのですが、みなさんご存知のとおり、去年は為替については非常にアップアンドダウンでローラーコースターで動いたのですが、最終的には締めてみると、値動きすると当初の想定レートと比べて若干の円高で終わっております。
ただ、円高が進んだ分、ドルではプラスサイドが増え、ユーロと人民元ではマイナスサイドがその分大きくなったことで(影響額が)拡大しています。
その他通貨につきましては、円がドルに対して強くなったのですが、その他通貨についても一般にドルに対して強かったことで、結局あまり大きな変化はなかったことから61億円のマイナスで109億円のマイナスとなっています。
このような為替の影響ですが、次のページは、これはこの資料ではなく、後ろの参考のところにつけた為替の感応度ですが、2017年度の感応度について3点ほど書いております。
この一番最初、まずユーロですが、ユーロにつきましては買収も含めて売上が順調に伸びているなか、ホスピタルの生産の移管等でストの方が減っていることで、為替感応度が増えています。
これは営業利益3億円ぐらいだったのが5億円で、為替感応度が大きくなっています。
それから、人民元の売上が非常に大きくなってきて、人民元の為替感応度も非常に大きくなりましたので、ここで人民元の為替感応度を今年から付け加えております。
それから、その他通貨についての動きが非常にわかりづらいと、みなさんからいろいろいただいておりまして、これはなかなか表すのが難しいのですが、こういうかたちでまとめてみました。
それぞれ地域ごとに、その地域の通貨が10パーセント全部動いたらどのくらい影響があるかをお示ししています。
当然ながら、例えばウォンでは「1円動いたら」なんてかたちで示せませんので、その通貨が10パーセント動いたらというかたちで示してみました。ご参考になればと思います。
地域別売上高
以下は地域別・カンパニー別、それから個々のカンパニー別ですが、すいません、時間がないのでここはもう簡単な説明でとどめます。
地域別につきましては、これまでのトレンドとほぼ変わっておりません。
ただ、日本につきましては、これまでマイナスであったのが第4クォーターは非常に好調だったので、プラスマイナス0になっています。
海外につきましては、どの地域でも為替の影響前ではマイナスですが、為替の影響を除けば非常に大きなプラス。
ただ、とくに中国は第4クォーター、これも好調でして、為替除く前でもプラスになっております。
カンパニー別売上高
カンパニー別の売上ですが、これも心臓血管は2桁、その他のところはほぼフラットで変わっていません。
心臓血管:売上・利益ともに2桁伸長を達成
以下、カンパニー別です。
心臓血管につきましてもトレンドが変わっておりませんが、ここでは売上高のところで買収による増加分で63億円を計上しております。
ホスピタル: 収益性改善が着実に進む
ホスピタルにつきましても、着実な収益改善が進んでいることで、事業利益率については改善が進んでおりますし、事業利益についても増益となっております。
血液システム: 米国新価格の影響一巡
血液システムに関しましては、前からご説明のとおり、2016年度につきましては為替の影響、それから米国の新価格体系の適用で、減収減益となっておりますが、数字的にはほぼ計画のレベルを達成したというレベルで、2017年度以降については改善を見込んでおります。
16年度 主なトピックス
2016年度の主なトピックスですが、これはちょっと割愛させていただきます。
16年度パイプライン製品のローンチ状況
パイプラインですが、2016年度のパイプラインはほぼ順調に予定通り出ました。
一部、2017年度にずれ込んだ部分もありますが、それは大きくなる見込みではなく、数ヶ月というレベルです。
17年度業績予想
ここからは今度は2017年度の業績予想です。
2017年度につきましては、先般お示ししましたように、私ども2017年度からIFRSを適用すると発表しましたが、この適用は2017年度の決算の数字からで、2017年度中1クォーターから3クォーターまでは日本基準の数字でお出しします。
したがって、ここに出しているこの2017年度業績予想も日本基準のベースです。これでいきまして、2016年度と比較して2017年度は売上高で5,750億円、12パーセントのプラス。
営業利益につきましては、7パーセントのプラスで820億円で、この数字については過去最高の数字です。ご参考ということで、IFRS基準でやったらどうなるかの数字をお示ししております。
売上は変わりません。ただ、営業利益・純利益につきましてはそれぞれ買収に関わるのれんの償却、これがなくなる分がのっかってくることで、営業利益については950億円、純利益については680億円という数字を見込んでおりますが。
これは先ほど佐藤からありましたように、まだ買収のPPAが完了しておりませんので、これがファイナルの数字ではなくて、まだ現在暫定の数字ですので、ご認識ください。
これが2017年度の買収、それから為替も含んだ全てのベースでの数字です。
17年度業績予想(買収分・為替影響除く)
今度は同じ2017年度の業績予想なのですが、買収分・為替、これを除いて、オーガニックの部分でどれだけ成長しているかをお示ししようとした図です。
一番右端のところが2017年度業績予想で先ほど申し上げた前のページの数字です。
そこから買収分と為替の影響、これを除きまして、ブルーで囲った部分、ここがまず2017年度の業績予想で買収分・為替を除く、それから、Apple to Appleにするために2016年度についてもこの買収分を除いた数字で出してみました。
これでいきますと、売上高については6パーセントの増。営業利益については8パーセントの増加になっております。
昨年の12月に私ども成長戦略、これからの5ヶ年計画をお出ししたわけですが、その中で経営の指標で、具体的な数字は出しませんでしたが、そこの中で申し上げたのはトップラインについてはマーケット、その当時は5~6パーセントで想定をしておりましたが、これを上回る伸び。
さらに利益につきましてはトップラインをさらに上回る伸びをこれから目指してやっていくということで、ご説明申し上げました。
今回のこの計画、初年度の計画ですが、売上高6パーセント、営業利益率については8パーセントで、そこで申し上げた経営の指標のレベルはオントラックだと考えております。
17年度業績予想(増減要因)
さらに次につきましては、この営業利益についてのウォーターフォールです。
右の端と左の端がそれぞれ調整をした分で、左から順にいきますと、左の営業利益の実績は766億円に対しまして、買収分が45億円を引いていましたのでそれを足して811億円がスタートラインです。
ここからスタートをして売上コストダウン、それから事業ミックス、あとは経費の増を引いた875億円が実質の業績予想で、これがApple to Appleでの伸び。さらにそこから買収分と為替を引いて820億円がトータルの数字になっております。
ここで買収分に関してもう少しご説明申し上げますと、のれん等の償却は約100億円でみております。ただ、これは先ほど申し上げましたPPAが未了です。
その前、のれん前の営業利益につきましては、もちろんクロージャーデバイスのところは大きなプラスなのですが、それ以外。アボットから買収した中でもクロージャーデデバイス以外カリラ社、ヴァドという商品を売っていますがますが、ここ。
それから、シークレットメディカル、そして3月末にクローズしましたボルトン。いずれもまだ開発途上の会社でして、それら3社とも営業利益ベースでマイナスですので、このマイナスを引いた数字で、ネットで買収分全てでは30億円のプラスになっています。
この3社、開発途上の3社につきましては、このマイナスのレベルは2017年度が一番大きな数字で、2018年度以降はこの数字は小さくなっていくとみています。
17年度業績予想:3カンパニーで増収増益
2017年度の業績予想ということで、カンパニー別ですが、これは買収の部分は含んでおります。
ただ、買収の部分は全部心臓血管ですので、他の2つは買収の影響はない。為替の影響は入れておりません。この買収を含んだ部分でいきますと、3カンパニーとも増収増益となっております。
ちなみにこの心臓血管のところで買収の部分を除くと、ざっくりした数字ですが、売上・営業利益ともに約8パーセントぐらいの伸びになっております。
17年度パイプライン製品
2017年度のパイプラインです。
すいません、駆け足でございましたが、以上が私からの説明でございます。どうもありがとうございました。