2016年度 主要財務指標
西川廣人氏:みなさんこんにちは。今日は、お忙しいながら2016年、当社の通期の決算発表にお越しいただきまして誠にありがとうございます。
私の方から2016年度の結果、それからビジネスアップデート、そして17年度のアウトルックを順番にご説明をしたいと思います。
まず、16年度の結果です。16年度は、ご存知の通り前年度に対して為替の環境が悪化する中、当社としてはしっかりとした業績を残すことができたと考えています。
まずハイライトです。売上高は11兆7,200億円、すべて東京証券取引所届出ベースで、中国のジョイントベンチャーの数字は持ち分連結ということで、当期利益以下に出てきます。
連結売上高は11兆7,200億円、営業利益が7,422億円、そして売上高営業利益率が6.3パーセントです。
当期純利益6,635億円はご存知の通りカルソニックカンセイの売却益を含んでいます。
結果として自動車のキャッシュフローは6,771億円となっており、これは三菱自動車の株式取得とカルソニックカンセイの株の売却とプラスマイナスありますが、これを除くとグロスのキャッシュフローは本来8,171億円です。
その結果、自動車事業ネットキャッシュのポジションですが、1兆6,350億円というポジションです。
ビジネス・パフォーマンス
この結果を事業の成長、改善を図るという意味で2015年度と同水準の為替だと想定して作った表ですが、これで見るとネットレベニューが、売上高が12兆9,800億円、そして営業利益が1兆200億円まで達しています。
このレベルで見ると売上高営業利益率は7.9パーセントになると見ています。
2016年度 財務実績①
これをウォークチャートで見ると、申し上げた数字が並んでいますが、左から順番に見て、増販の効果、そして販売費の増加、コスト改善です。このパフォーマンスで見ると、全体で2,300億円の改善です。
結果として、営業利益がこれだけ増えるはずだったのですが、残念ながら為替の悪化というのがあり、為替の影響が2,819億円で、営業利益が7,422億円でした。
2016年度 財務実績②
次に財務諸表として東京証券取引所にお届けをした詳細です。
ネットレベニューが3.9パーセントの減、営業利益が6.4パーセントの減、一方経常利益は0.3パーセントの増加、そして当期利益は26.7パーセントの増加です。
2016年度 主要財務指標
次に中国合弁事業を比例連結した場合の数字、日産パワー88の中期のベースのKPIとなっていますが、このベースで見ると、売上高が12兆8,400億円。そして営業利益が8,824億円です。
ビジネス・パフォーマンス
同様に、為替影響がなかったとすると、売上高は14兆円を超え14兆3,300億円になったであろうと思います。
そして営業利益は、1兆円を超えて1兆1,900億になったと想定しています。このベースで考えると売上高営業利益率が8.3で、この段階で8パーセントを大幅に超えていると見ています。
以上がサマリーですが、次に、ビジネスのアップデートにいきたいと思います。
2016年度 販売実績 グローバル①
グローバル販売ですが、当社のグローバル販売台数は前年度の542万台から562万6,000台となっています。
2016年度 販売実績 グローバル②
これは上期の決算発表の時にこの場で、上期は残念ながら前年同期に対して若干マイナスでした。
下期は、増販を図るということで「300万台売ります」と申し上げましたが、結果、下半期が310万台で増販することができました。
これは前年同期に比べると、下期は7.3パーセントの増加です。
2016年度 販売実績 日本
地域別に説明します。まず日本です。当社の販売台数、今年度前半の『デイズ、デイズルークス』の販売停止の影響がありました。結果、前年比2.6パーセント減の55万7,000台でシェアは11パーセントにとどまってしまいました。
しかし、ご案内の通り7月には『デイズ、デイズルークス』の販売を再開し、そして8月に『セレナ』のプロパイロット、それから11月に『ノート e-POWER』を順次発売をしました。
結果、年度後半のマーケットシェア、セカンドハーフとして見ると12.5パーセントで、前年同期比に対して0.7ポイント上げることができました。
2016年度 販売実績 中国(1~12月)
次に中国です。ご承知の通り中国は暦年で見ています。したがって1月、12月の数字ですが、全体需要13.2パーセントで大きく伸びています。
その中で当社が販売台数を135万台で前年に対して8.4パーセント伸ばしました。『エクストレイル』『シルフィ』そして『キャシュカイ』等が、その増販に寄与しています。
販売台数を増加した日産ブランド。残念ながら全需の伸びはさらに大きくて、シェアが低下すると、シェア5パーセントという結果でした。
主な要因は、みなさんご承知の通り中国で、中国ブランド、ローカルブランドが非常に勢いを増しています。
ここの伸びが大きく、実は我々もそこのセグメントに『ヴェヌーシア』というローカルブランド持ってるのですが、残念ながら『ヴェヌーシア』の伸びが他のローカルブランドの伸びについていけなかったことが大きな要因です。
対策として『ヴェヌーシア』の強化を図っており、12月には、年度の終わりには『ヴェヌーシア』の『T90』というクロスオーバーを投入しました。
結果、第1四半期、中国の第1四半期の1月から3月までは、前のペースを上回る前年に対して5.3パーセントの伸びの31万4,000台でキャッチアップをしてきています。
2016年度 販売実績 北米
次に北米は再び、販売記録を更新しています。米国では前時を上回る4.2パーセント増を記録して158万台を販売しました。マーケットシェアは0.4ポイント増加し、9パーセントとなっています。
『ローグ』『アルティマ』、それからフルサイズのピックアップ『タイタン』も着実に売り上げを伸ばしています。
米国の市場が、長いことピークが続いてピークが過ぎたという見方がありますが、直近の第4四半期は、引き続き好調でした。
全体マーケットは、クロスオーバーにシフトしてきておりますが、この部分で我々強みを持っており、十分対応していけると考えています。
カナダは前年比で3パーセント増の13万8,000台ということで、マーケットシェア7パーセントです。
メキシコでは、引き続き首位の座を維持しており、販売台数も最高記録の40万台で前年比14.4パーセント増となっています。マーケットシェア25パーセントです。
2016年度 販売実績 欧州(ロシア含む)
ヨーロッパですが、ロシアを除くヨーロッパで見ると、前年対比で7.2パーセント増の68万3,000台でした。
『キャシュカイ』とトラックの『ナバラ』が販売をけん引しています。そしてこの3月、年度末には第5世代になります、新型の『マイクラ』の出荷を始めています。
一方ロシアでは、経済の先行き不透明感が引き続いており、前時は低迷している中で、当社販売台数は前年比19.7パーセント減の9万3,000台にとどまっています。
昨年度を底とし、今年度以降、段階的な回復をしていくことを想定しています。
2016年度 販売実績 その他市場
その他のマーケットは、マーケット別で見ると、中南米、ラテンアメリカが非常に好調で将来に向けたモメンタムがついてきていると見ています。
全体需要の伸びを上回る6パーセント増の18万2,000台の販売となっています。中東の台数は、前年から減少しましたが、全体需要の減少幅から見ると良い結果であったと見ています。
アジア、アフリカ、その他の市場では、全体需要が6.2パーセント伸びました。
当社は10パーセント減ですが、当社が事業を行っていないイランの全需が大幅に伸びており、アフリカ地域では、全需に対してはいい販売をしていると見ています。
この中でやはりアジア・オセアニア、この部分は、引き続き今後の課題です。
2016年度 新車
それから商品です。これは16年度に発売した商品です。『ノート』のe-POWER、そして『セレナ』、これはプロパイロット機能を入れて発売をしました。
そして中南米の『キックス』。それからヨーロッパの『マイクラ』。それから北米のフルサイズのピックアップSUV『アルマーダ』。
それから『インフィニティ』の『Q60』。そして『ダットサン』では『redi-GO』と、それから『ヴェヌーシア』では『T90』を発売しています。
NISSAN INTELLIGENT MOBILITY
それから、ご案内の通りの我々の戦略『NISSAN INTELLIGENT MOBILITY(日産インテリジェントモビリティ)』も、ステップとして着実に16年度、新商品をお届けしており、進展をしています。
自動運転の領域では、ご案内の通り新型『セレナ』に初めての、量販グレードで初めてのプロパイロット機能を搭載しました。
そして電動化の領域では、電気自動車の技術を使ったe-POWER、『ノート』に初の搭載をしております。電動車の新たな提案として非常にご好評をいただいます。
それから『コネクテッド&ニューモビリティサービス』という新しい領域では、ディー・エヌ・エーと提携し、将来に向けた無人運転車の開発と、そして運用の実証実験に向けた共同の準備を初めています。
これらの領域で、将来に向けた着実な前進を進めています。
それから本年度、今年度、17年度にお届をする予定の新型の『リーフ』も、新たにプロパイロットの機能をつけた新型『リーフ』をご披露する予定です。
三菱自動車
それから、アライアンスですが、昨年度大きな進展がありました。
10月に日産自動車から三菱自動車への出資を完了させ、三菱自動車がルノー、日産に加えて、アライアンスに、第3のパートナーとして正式に加わることになりました。
ご案内の通り3社を加えたアライアンスの規模がほぼ1,000万台の規模になりました。
三菱さんとの間で日産としてのシナジー、17年度は240億円を見込んでいますが、購買、物流を中心に順調に進んでいます。
また中期的な協力関係もいろんな議論が進んでおり、プラットフォーム、それからアジアでの連携等々の検討が進んでいます。
先日インドネシアで三菱さんのアセットを活用したミニバンのOEMのプロジェクトを発表しています。今後も、テーマごとに具体化をしていく予定です。
それから、今後の準備として、従来の提携関係、あるいはサプライヤーさんの関係を超えた、パートナーシップが必要ということを繰り返し申し上げてきました。
パートナーシップ
その意味で見ると、ディー・エヌ・エーに加えて、マイクロソフト、トランスデブ、それからモービルアイ、これらもパートナーとも将来に向けた共同の取り組みを開始しています。
それからご承知の通り米国は、NASAとの間で将来技術の共同研究も進んでいます。
日産パワー88の完了
次に、16年度は『日産パワー88』という6年間の中期計画の最終年度でした。
その面から少し振り返ってみると、『日産パワー88』大きな投資を伴った大きな成長を元にした、大きな成長を願った計画でした。
ターゲットとして持っていた8パーセントのグローバルのマーケットシェアは残念ながら届きませんでした。
しかしこの6年間で、2010年度を起点としてみると、3割から4割の事業規模の拡大、そして内容的にみると、グローバルのフットプリントの拡大をしました。
これを展開できたことで、この次の6年間、次の中期の事業展開の大きな基礎になったという評価をしています。
営業利益率8%への推移
もうひとつの8は収益性、あるいはそれを維持できるだけの事業運営の効率という面ですが、この面では、前半大きな投資をして、事業規模を拡大、運営の拡大していきました。
その効率の面、あるいは品質の面で問題がありました。そこを、14年後半で克服をし、14年度以降着実に効率を上げてきています。
為替の条件を一定としてみると、それぞれ1.2ポイント、1.3ポイントずつ改善をしており、一定の経済条件、あるいは市場の条件、為替の条件のもとであれば、8パーセントの収益性を維持できるだけの実力を確保できます。
今後はさらに厳しい経済条件の中でも、8パーセント維持できるようにブラッシュアップをしていきたいと思っています。
これまで、8パーセントのCOPのレベルは必達目標と、そして8パーセントのマーケットシェア、ターゲットと申し上げていましたが、8パーセントのマーケットシェアについては、次の6年間のタームの中で到達をしたいと考えています。
それでは、17年度のアウトルックとガイダンスについてお話をしたいと思います。17年度、テーマは3つあると思っています。
着実な成長、新技術、新商品によるニッサンインテリジェントモビリティの更なる推進と、それからそれらを実現するために、アライアンスとしての取り組み、アライアンスのメリットを最大限に活用していくことです。
2017年度 販売台数見通し
そういうベースで、まず販売ですが、全需が2.4パーセント増の9,400万台とみています。
その中で当社のグローバル販売については、着実な成長という方針のもとで、3.6パーセント増の583万台を見込んでいます。
内訳で見ていただく、中国、そして回復を見込んでいる日本でのフェンスで大きく伸ばす予定です。
一方、米国市場については全需の動向、あるいは競争の激化を考慮し、やや慎重な計画を組んでいます。
結果としてシェアは6.2パーセントを想定しています。
2017年度 業績見通し
これらの売上をベースにして、通期の売上高等々のベースですが、東京証券取引所にお届けをしているベースです。
したがって中国のジョイントベンチャーは、持ち分連結、当期利益以降に出てくるという前提で数字を作っています。
為替レートはドル円について108円を前提にしています。2017年通期の売上高は11兆8,000億円。
微増を見込んでいます。営業利益は、6,850億円、営業利益率は5.8パーセント、当期純利益は5,350億円にお届けをしています。
2017年度 業績見通し
増減分析を説明したいと思うのですが、まず起点の修正としてご案内の通りカルソニックカンセイを売却したので、連結から外れています。
したがって最初に、昨年度の収益のところからカルソニックカンセイの貢献分を引くと、6,997億円とこれが起点となります。
ここに対し、販売側とコスト側で改善ということで1,950億円の貢献を見込んでいます。
ただしそこから、将来に向けた投資やはり増やしていく必要あり、350億円の増加を入れています。
それに、ご承知の通り、材料市況が悪化をしていくということを想定しており、この影響が約900億円と見ています。
そしてその他の悪化が240億円等々で、そこまででいくとそれでも起点に対しては、増収増益で7,450億円です。
しかし、そこから為替の悪化、これはドル円ではほとんどフラットと見て想定をしており、ドル円ではなく、その他のマイナーな通貨。
ここの悪化というのは、ほぼ確実で、イギリスのポンド、それからカナダのドル、それからタイのバーツ。
それから、エジプトのポンドなどが、軒並み悪化をするということを想定し、全部足すと約600億円で、それを引いて6,850億円です。
2017年度 株主還元
以上が、収益的な見通しですが、当社は配当に関してはこの健全な収益性ということと、キャッシュフローのもと、今後の積極的な配当政策を続けていく予定です。
17年度は、16年に対して5円プラスで53円、1株当たり53円の配当をしていく予定です。
それから最後に、先ほど申し上げた通り、今年度が次の中期計画をキックオフしていく年です。詳細は別途ご案内したいと思いますが、骨格についてお話しをしたいと思います。
次期中期経営計画
テーマは、2つあり、着実な成長をするということと、進化をしていくということです。
成長の目標は、8パーセントの収益性は維持をしながら、売上の増大、12兆円台の会社から、事業から16.5兆円の規模へ引き上げると、拡大することを想定しています。
そしてキャッシュフローとしては6年間の累積として最低2.5兆円を積み上げを、生み出すことを想定しています。
先ほど申し上げた通りこの6年間の中で、8パーセントのマーケットシェアは充分達成をできると思っています。
キーは中国で、この6年間で中国のマーケットシェアを今の5パーセントから8パーセントに上げることができれば、グローバルに充分8パーセントは確保できると思っております。
ということで、この中国を8パーセントに上げる計画を固めて実行に移しつつあります。
一方、技術の革新、事業の進化という面が、この時代は大きな変化に入っていく時代です。
日産としては、『ニッサン・インテリジェント・モビリティ』ということで、すでに戦略的な取り組み始めています。
この領域を、うまく進められるかどうかは、アライアンスとしての取り組みをどこまで効果的に、効率的に進められるかということにかかっています。
したがって、ルノーと日産に加えて三菱自動車も加えて、いかに効果的に、効率的に進められるかということを深く議論しているところです。
その結果を踏まえて本年度の後半に、今年度中にまとまり次第全体の計画をご説明したいと考えています。
以上です。