スタートトゥデイ決算説明会 質疑応答

司会者:それでは、質疑応答の時間とさせていただきます。ご質問は市場関係者の方のみとさせていただきます。どなた様かご質問いかがでしょうか。

質問者1:みずほ証券トビマツと申します。主に戦略面につきまして、社長様におうかがいできればと思います。

まず1点目、最近ファッション不況とも言われてますけども、若者の自己表現のなかで、ファッションなかの、モノを買うということのマインドシェアとか、金額とかそういうものが落ちていってる気がするんですね。

そういう見方が正しいかということにもよるんですけれども、それ以外のインターネットとかスマートフォン自体の自己表現だとか、ファッション以外のモノ(の自己表現)。そういったものの比率が上がっていってる可能性があるという前提に立ったならば……ということなんですけれども。

御社のご戦略というのは、現状でいくとファッションというモノの比率が御社の事業のなかで非常に高いと思うんですけれども。

1つ目の方向としてみると、別に全体としては落ちていっても、ECの比率は必然的に高くなっていくわけだからそれで勝つよねというのが1つ。

2つ目が、こういう服などにも若者がお金を使ってく方向に牽引していかなきゃいけないと。例えば、御社がいろんな意味で業界をリードしていく、PB(プライベートブランド)とかも含めて。そういった消費を刺激するようなことをやっていくというのが2つ目です。

それから3つ目として、ファッションというモノ以外のところですね、その領域に御社の事業領域を拡大させることが長期戦略として重要なのかと。

あくまでそういう前提が正しく、違和感なければという前提なんですけれども、このあたりについてのご戦略面をおうかがいできればというのが1点目でございます。

2つ目の質問が、これだけブランドさんが増えてくると、やっぱりZOZOTOWNのなかでブランドさんが勝ち抜くため、利用者の方にアピールするための努力が重要になってくると思うんですよね。

1つはクーポンなんかもあると思うんですけれども、ブランドさんがよりアピールしやすいツールとかソリューションみたいなものを御社が提供していき、結果的にその対価をブランドさんからいただくという。

より積極的に(ZOZOTOWNを)活用していただくブランドさんが増えてくると、全体の取扱高もプラスになるみたいな、御社がブランドさんに提供する付加価値を高めていくことが今後重要かどうかということ。

最後3つ目、最近ファッションにレンタルというものが出てきていて、少し注目されているようなんですけれども。

これが御社の説明にあるサイクルのなかで、レンタルが重要になっていく可能性があるのかないのかということについて確認させていただければと思います。以上3つ、よろしくお願いいたします。

ファッション市場におけるZOZOTOWNの強み

前澤友作氏(以下、前澤):ご質問ありがとうございます。1つ目は質問というか、「市場についてどう考えているか?」ということでよろしいでしょうか。

質問者1:ECでシェアを高めてくのか、あるいはファッションの需要そのものを高めていくのか、ファッションのモノ以外の領域に拡大していくのか、戦略面も含めておうかがいできればと思っています。

前澤:僕自身は、ファッションマーケット全体が下がっていくのは致し方ないかなと見ています。なぜなら、今までクオリティに対して、ちょっとプライスが高かったんじゃないかなという気がしています。

それは流通のこともそうですし、いかにプロパーで売って、あとはセールで売り切るかという業界の体質全体が、少しどうだったのかなというところもありますので。

ファッション産業全体がもう一度……なんていうんですかね? しっかりしたところを目指していくという意味で、シュリンクしていくのは致し方ないと思います。

ただ反面、消費者から見ると、いいものがそれなりの値段で買えるという市場に徐々になってますので、その市場を進めている1つの要因として、我々のようなEC事業があると思っています。

ただ、どこまでいってもファッションですので、ただのモノというよりは嗜好性が高いものでもありますので、デザイン性というところも今後各ブランド個性を出して作っていくべきだと思っていますし、売り方についても、ただモノを売るというか、体験を売るというところも重要視しています。話のまとまりがないですけれども、そんな感じの触感を抱いております。

“ファッション業界の是正”が意味するもの

2つ目のブランドさんへの提供価値という意味では、ちょっと言い方が上からで恐縮ですけれども、やっぱり我々がどんどん牽引して、ちょっと是正していくと言いますか、プロパーでやって、セールでごまかしごまかし売っていくというのは長く続かないと思うんですね。

我々が牽引して、マーケットを正常化させて、良いものがそれなりの値段で、それを待つお客様のもとに渡ると。

そういう大きな価値を業界全体に提供していく大きな責任を持っているなという意識で日々やっております。

最後にレンタルについてなんですけれども、我々はメーカーで自分たちでモノを作っているわけではありませんので、我々の立場でレンタル事業をやるというのは、何度か試算したこともあるんですけれども、今のところ興味はありません。

ただ、PBの話もありますので、あとメーカーさん自体がレンタル事業をやっているケースもありますので、その辺はPBを使ってやれるかもという、また新しい創造と言いますか、今後も検証しながら、引き続き注視していきたいと思っています。ただ、今すぐ現在の事業体でやろうとは思っておりません。

質問者1:補足で2点おうかがいしたいんですけれども、今回「業界の是正」ということをおっしゃられたのが印象的だったんですけれども。

そのなかで、社長が一番お時間を割いているのがPBだとすると、前澤さんが取り組んでいるPBのあり方は業界是正につながるという信念のもとでやってらっしゃるということでよろしいんでしょうか。

前澤:それもありますね。みなさん原価率が低いというか、自分たちでやれば原価率をもっと上げてやれると思ってます。

中長期目標の達成に向けて

質問者1:2つ目は、(中長期目標の)取扱高が5,000億円、(売上)1兆円という道筋のなかで、将来的に世の中を変えるという大きな目標の中で、頭の中でファッション以外もやらなきゃいけないという意識がどれくらい強くなってらっしゃるのか、ヒントいただければと思います。

前澤:今のところファッション以外は見てないです。ファッションの分野の中でも、数兆円の売上を作られている企業が世界中にありますから。

もちろん、その世界中の企業は素晴らしいことをやっているとは思いますけれども、僕らがやるんだったらもっとこういうふうにできるなという、いろんなアイデアを持ってますから。

まずはそういうところと戦っていくというとあれですけれども、塗り替えていけるように頑張っていきたいと思っております。

質問者1:1点補足なんですけれども、御社は大きな意味でフルフィルメント(※受注〜決済にいたる業務全般)をやってらっしゃるんですけれども、この御社の機能自体は、何らかの金融機能、単に物流センターだけでなく、業界に事業資金を提供していくという方向性があり得るのかどうかという点につきまして、ご説明いただければと思います。

前澤:物流とはまた別ですけれども、ブランドさんのキャッシュフローを少しでも良くなるといいなというところで、我々のZOZOTOWNで売れる売上の、早期支払いなどの取り組みもやっていますので、最近だと中小規模のブランドさんのそのあたりの利用が増えていると聞いています。

質問者1:それが御社のバランスシートにも反映されていて、あるいは早期支払いというところで手数料をとっていらっしゃると理解しているんですけれども。

それが御社のビジネスや収益性にどういう項目で計上されていくのかわからないんですけれども、されていくとしたらどういうところで、というところを教えていただければと思います。

前澤:我々としてはキャッシュが先に出るので、B/S上は見栄えは悪いです。ただそこで小さく儲けようとはしていないので、ブランドさんにより頑張ってもらうために……。

質問者1:収益というか助けるという意味ですか?

前澤:そうですね。

質問者1:ありがとうございました。

プライベートブランド、海外展開について

質問者2:野村證券のシオダと申します。3点よろしくお願いします。1点目は、プロモーション経費、とくにポイントのところなんですけれども、第2Qの前年比の水準もあって、けっこう改善しているんですが、この背景と今後のポイントという意味での施策について確認させてください。

2点目は、「下期以降さらに頑張らないといけない」というコメントがあったんですけれども、だいぶ寒くなってきたというか、下期に入ってきたので、このへんの頑張りに注目してくれというすでにビジブルなところがあればご紹介いただきたいというのが2点目です。

3点目は、長期でPBや海外というところにタッチされている、または検討されているところだと思うんですけれども。ここの検討段階での進捗で、おっしゃられるところがあればシェアしていただきたいと思います。

IR担当者:ポイントについては、去年多くのポイントキャンペーンを行いましたので、前年同期比で比べると、大きく改善しています。

今年の今後のポイントの使い方というと、やはり効率性を重視しながら機動的に考えつつ今は検討している状況です。

前澤:下期の可視化された頑張りについて、というところなんですけれども。今日時点で話せることはないですけど頑張ってます。

3点目のPBや海外ということですけれども、以前から私のそれなりの時間をそういった新しいところに割いてますよという話をよくしています。

最近はより時間を割いていまして、全体の8〜9割をそっちに割いているといってもいいんではないでしょうか。それくらい注力しておりますので、まだ話せることはないんですけれども、楽しみにしておいてもらえればと思います。

セール偏重のファッション業界への思い

質問者2:追加でもう1点よろしいでしょうか。消費者への訴求の仕方で、これまで業界は在庫が多かったので、ディスカウントという訴求が増えていたんだと思うんですね。

いろいろ見ていくと、やっぱり質というか、「これぞ逸品」というようなプッシュが入ってきたと思ったら、またこの残暑で業界の在庫が増えているので、また8割引きとかがいっぱい来るなという感覚なんですけれども。

やっぱりやり方としては、正価でも売れるような売り方を応援したいというベースがあって、ただ業界の問題があるので、在庫換金ということでネットを使わざるを得ないと思うんですけれども。その辺の価格と質の訴求の仕方で、どのように(業界に)関わるのか、もう一度お考えのところを教えていただければと思います。

前澤:簡単に申しますと、正価というか、定価販売とセール販売で、定価で買ったお客さんが悲しい思いをするのは事実じゃないですか。

それで悲しい思いをしている人がいるマーケットはあまり素晴らしいとは言えないと思うので、そういうところを少しずつというか、早く治していければいいなと思います。

けど我々も、ブランドさんが価格を決めてやっていますので、セールをやらないというわけにも当然いかないですし、そういった意味での、痛みを伴う改革が必要だなというのはもうずいぶん前から思ってますけど。はい、頑張ります。

千葉マリンスタジアム命名権の落札について

質問者1:SMBC日興証券のカナモリと申します。4点お願いできればと思います。

まず1点目、セカンドクォーターでもアクティブユーザーの数が非常に伸びていて、コンバージョンがさらに上がっているのかなと思っているんですけれども。その背景となるような……先ほど1Qと同じ要素が牽引してるというお話でしたが、それ以外になにか定性的なものがあれば教えていただければと思います。

具体例として、欠品がすごく改善しているとか、天候不順によりアパレルさんが先に処分するようになって、御社がアパレルさんにとって重要なチャネルになってるとか、そういった定性的なお話もあれば教えていただければと思います。

2点目、先ほどのお話の中で、お客さんのニーズが多様化しているという話がありましたが、今までのQ&Aの中でも低単価という流れはあったと思うんですけれども、それ以外で、eコマースの中でなかなか従来は買われなかったであろう重衣料が買われるような兆しが出ているとか、価格以外でなにか動きが出ているのであれば教えてください。

3点目、結果、出荷単価が下がっているというところで、御社の場合は出荷数量に比例してかかる費用が配送関係のところがあると思うので、この出荷単価が下がっているという現象に対してなにか対策を打とうとしているのか。

それとも先ほどの話だと、いま痛みを伴って業界自体が是正しているところなので、しばらく放置するしかないのか、考え方を教えてください。

最後に、新聞っぽい話になっちゃうんですけど、千葉市がすでに御社が球場の命名権を取得したと発表してると思いますので、こちらの業績インパクト、新聞が報道していたように何億円ということなのか、来年から発生するのか等々、お話しいただけることがあれば教えてください。

IR担当者:まず1点目、コンバージョンの改善があったのかどうかというところですが、コンバージョンの改善は1Qに引き続き改善し続けています。そこの要因についてですが、先ほど柳澤がご説明いたしました去年の下期からやっている施策が大きく効いています。

もちろんそういった大きな施策だけでなく、Webサイトの改修だったりは常にやっているので、いろんなものが複合的に効いて、しっかりコンバージョンを上げられているという状況です。

2点目、ユーザーニーズの多様化のところですが、会員数もどんどん増えてきていて、以前とは違う属性の会員さんもいらっしゃいます。

それらの会員さんが求めるようなブランドもしっかりキャッチアップして、そういったブランドさんにも出店いただこうという方針で今は進めています。

前澤:出荷単価が落ちていくと、運賃ですかね? そういった負荷が上がるんじゃないかという話ですけれども、ある程度調整できますね。何営(業日)以上送料無料、みたいなことをやってるんですが、このハードルを少し上げれば単価も若干上に行きますし、コストも削減できる。

ある程度は調整できるんですけれど、先ほどから申しているとおり、多少はこのまま単価の下落が続くと思いますので、痛みを伴いながら、歩調を合わせながらも、いろいろ考えていきたいところではあります。

最後のマリンスタジアムの件ですが、報道のとおりというか、今朝がた千葉市からもあったとおり、我々が優先交渉権を持っているというステータスです。ですので、この後交渉が決裂するということはないと思いますけれども、名称、契約年数、金額などについて詰めていくことになります。

ただ、応募の時点で契約年数と金額は、「これでどうですか?」という応募をしていますので、大きくずれることはないと思います。一部報道で、推測ですが出てますけれども、だいたいそのへんに落ち着く予定です。

ZOZOBASEの進捗、WEARのアメリカ進出

質問者2:第一證券カサハヤです。私も4つお願いします。

まず1点目、下期の出店新規開設の見込み、期初の説明会ではご説明いただいたと思うんですが、アップデート的にどれくらい見込めているのか教えてください。

2点目、ZOZOBASEの次の準備とか進捗を教えてください。

3点目、今日「WEAR」の話がなかったので、この決算期中にはアメリカに出られたりしてますから、前澤さんのほうから「今WEARってどうなってんの?」という進捗・課題についてお話しください。

最後4点目、第2四半期の利益率を拝見して、正直こんなに利益率が高くなるんだと思いまして、この利益率は経営側はできすぎだと思っていらっしゃるのか、うまくビジネスを回していくと、集計上は(商品取扱高)5,000億(営業利益)500億というふうにおっしゃっていましたけれども、もう少し利益率狙えるんじゃないかなと思っていらっしゃるのか。

一方で投資もされると思うので、このビジネスを見た時に、今どのようにお考えになっているのかというところをちょっと確認させてください。

柳澤:私から説明させていただきます。まず1つ目の下期の出店見込みなんですけれども、今期は年間で160ショップくらいオープンするかなという感じで考えております。

2つ目のZOZOBASEの話なんですけれども、まだ具体的に、いつというお話はできないんですが、おそらく来年の秋ぐらいにはキャパシティがオーバーする予定なので、当然それまでには作らなきゃいかんと。

直前でちょっと借り増ししてるんで、もうちょっと伸びるかもしれないです。来年の秋じゃなくて、もうちょっと耐えられるかもしれないです。いずれにせよ、来期中には次のBASEを考えなきゃいけないので、考え始めているという状況でございます。

前澤:WEARは順調です。すいません、ちょっと手元に数字がないんですけど。この2Qだけ見ても、過去最高のユニークユーザー数、過去最高のZOZOTOWNへの経由売り上げを記録しております。

毎回数字見たいですか? じゃあ、次回以降なるべくお持ちするようにします。(柳澤氏と会話して)あ、(数字)ありましたね! ん? 言っちゃダメ? 言っちゃダメだったらどれ言えばいいの?

あー、まもなく800万ダウンロードだよね? ごめんなさい、ちょっと言っていい数字がどれなのかわからないので、次回以降ちゃんとお持ちするようにします。

海外もそうですね……アメリカはもうすでにスタートしておりますけれども。オシャレな人がオシャレなのを出してくださってます。

ですので、まだマスの広がりという意味ではぜんぜんなんですけれども、当初の日本の展開がそうであったように、ファッショニスタたちが非常にうまく使ってくださってます。

だからインスタやFacebookでコーディネートお披露目するより、WEARでやったほうがいいよねというふうに、一部のアメリカの方々は思ってくださってるようで、見ていただくと奇抜なおしゃれな方々がけっこういます。あとはアジア、中国なんかはもう何もしてないんですけど、勝手にぐんぐん伸びてます。

2Qの利益率はたしかにできすぎですね。よくできすぎてるなと思ってますけど、まあ利益というか、取扱高の部分では私自身まったく満足してませんので。もっとスピードアップを続けたいなと思っています。

司会者:これを持ちまして、株式会社スタートトゥデイ2017年3月期第2四半期決算説明会を終了いたします。本日はご多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございました。