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株式会社トリプルアイズ5026

東証グロース

情報・通信業

経営理念

片渕博哉氏(以下、片渕):みなさま、本日はお時間をいただきありがとうございます。株式会社トリプルアイズ代表取締役CEOの片渕です。

本日は、トリプルアイズについて、会社概要や事業内容、成長戦略についてご紹介します。また、先日発表された上半期の決算内容についても共有します。

株式会社トリプルアイズは、私がちょうど3代目になります。創業者の福原智が上場前に急逝し、そこから現会長の山田雄一郎と二人三脚で進め、昨年11月に私が代表に就任しました。

創業者の福原は、「言葉にできることはすべてシステムにできる」というコンセプトのもとで、「こういうシステムを作りたい」「こういう社会になったらいい」といった言葉にできることをすべてIT化できるという企業理念を掲げました。

我々は、エンジニアファーストの精神を大切にし、社員の約8割がエンジニアです。エンジニアが主体となり、ものを作ることや創造することに重きを置いて進んできた会社です。

会社概要

片渕:当社は、現在設立18年目の会社です。単体で約250名、連結で465名ほどの従業員を有しています。今年は、連結で新たに約40名の新入社員が入社しました。約4年前に東証グロース市場に上場し、現在スライドのような事業体で運営しています。

事業内容

片渕:主な事業体としては、AIソリューション事業とGPUサーバー事業の2つが大きな柱となっています。

AIソリューション事業では、AIに関するコンサルティングやシステム開発を手掛ける「AIインテグレーション」や「AIZE(アイズ)」というプロダクトがあります。「AIZE」は、画像認識や顔認証を用いたソリューションサービスや自社プロダクトのサービスを提供しています。

自動車関連の設計を通じた役務提供、いわゆるエンジニアリングサービスも展開しています。これらがAIソリューション事業で、会社の売上の約8割を占めています。

残りの2割は、GPUサーバー事業です。AI学習用のGPUサーバーの販売やデータセンターの運営などを手掛けています。スライドのように、以上の事業をトリプルアイズグループ各3社で分担しています。

当社グループサマリー

片渕:直近の業績は、スライドのとおりです。昨年度の売上高は57億1,000万円で、今期は58億3,000万円を目指しています。当社は、上場以来M&A戦略によって売上のトップラインを伸ばしてきましたが、今期からは利益の創出を重視するフェーズに移行しています。

売上高推移

片渕:売上高については、スライドのようなかたちで推移しています。昨年、オフィスが御茶ノ水から田町に移転し、同年11月に私が代表取締役に就任したことが主なニュースとなっています。

役員プロフィール

片渕:役員は、スライドのとおりです。現場と経営が一体となって進めていきます。

沿革

片渕:トリプルアイズの沿革についてお話しします。現在、みなさまも生成AIに関するニュースで「Claude」や「Gemini」、「OpenClaw」といった話題を目にすることがあると思います。

当社は、生成AIが流行する少し前、10年前の囲碁AIや将棋AIが注目されていた時期からAIの開発を行ってきました。2019年には、日本国内の囲碁AI大会で1位と2位を独占し、中国で開催された世界大会では準優勝を果たしました。

世界大会には、GoogleやMeta、テンセントなど、現在生成AIで注目されている企業も名を連ねていました。当社は10年前の当時から、世界で戦う日本のAI企業として競争に参加してきました。

これを礎とし、研究開発の分野はもちろん、社会実装においてもAI開発に取り組み、会社を成長させてきました。

自己紹介

片渕:私は、昨年11月に株主総会で代表取締役に就任しましたが、キャリアとしてはずっとエンジニアとして活動してきました。

2017年には、「Spotify」や「YouTube Music」といったサブスクリプション型音楽配信サービスが多く出回りました。当時は、着メロや1曲購入型のサービスが主流で、1曲300円や500円で購入し、「iPod」に入れて聴くというかたちが一般的でした。

ユーザーの音楽におけるライフサイクル、どのようなタイミングで音楽を聴くのか、またどのような時に曲を購入したいのかを分析し、アプリのログインタイミングの5分前や10分前に、プッシュ通知を送信することで販促を促進するAIを作っていました。

大手コンビニエンスストアの需要予測プロジェクトに参画し、無事にコンペで勝利するという経験も積みました。また、囲碁AIの研究開発のマネージャーに就任し、アメリカや中国を相手にオールジャパンで戦うという貴重な経験も得ました。

その後、自社に戻り、AI顔認証サービスや「AIラボ」という自社サービスを立ち上げ、大手SIerの下でAI開発を進めました。

世界を相手にした研究開発や自社ソリューションの立ち上げにも取り組みました。単なる研究開発やアカデミック系エンジニアとしてだけでなく、事業モデルの構築や推進といった役割も担ってきました。

このような3つの分野にわたる経験を持つエンジニアは珍しいのではないかと自負しています。こうした経験を踏まえ、2025年に代表取締役CEOに就任しました。

生成AIの急速な発展に対応するには、AIやITの現場をさまざまな角度から見てきた経験を活かして、私が代表として会社を引っ張るのが最善であるとの意思決定がなされ、代表取締役に就任しました。

画像認識プラットフォーム AIZE

片渕:主なサービスについてご説明します。「AIZE」と書いて「アイズ」と読みます。スライド左側に示されているのは、顔を1つのIDとして捉え、「顔×デバイス」というかたちでの展開です。

具体的には、コロナ禍の際によく見られた検温器型の端末に、顔認証技術を加えることで、勤怠管理や新型コロナウイルス感染症の罹患有無のチェックができる機能を備えたものを開発しました。

防犯カメラ型のサービスや、約2年前に施行された白ナンバー車のアルコール検知義務化に対応した機能も提供しています。具体的には、ドライバーがアルコール検知を行う際に、顔認証を介して実際に本人が検知を行ったことをエビデンスとして提出できる仕組みを整備しました。

スライド中央にある顔認証とアルコール検知器の一体型サービスは、現在非常に伸びています。私たちは、法律の施行に合わせながら、AIの開発を進め、プロダクトを磨き上げています。

画像認識プラットフォーム AIZE

片渕:「AIZE」は、約300社、約3,500拠点で、15万IDほどを導入いただいており、非常に成長しています。日本各地だけでなく、フィリピンなど海外にも拠点を拡大しており、世界で活躍するプロダクトとなっています。

医薬品卸クラウド型 販売管理システム

片渕:AI以外のパッケージとして「PRISM」という商品があります。この商品は、現在の社会課題として、必要とする人に薬が届かないという問題を解決するために提供されています。薬局のDXを効率的に進めることで、この販売管理のパッケージを導入する例が増えています。

現在では、全国で約40社に導入いただいています。ニッチなサービスではありますが、販売管理パッケージは基幹システムとの連携が必要なため、導入費用が比較的高額になります。こうしたパッケージの拡大にも取り組んでいます。

ゼロフィールドのデータセンター運用能力

片渕:当グループでは、データセンター事業も行っています。今後、必ず電力に関する課題が到来すると考えています。電力は作り置きができないため、廃棄される分をデータセンターに回し、マイニングやAIの学習に活用するようなサービスを、現在グループ企業で展開しています。

AIソフトウェアを提供する企業は多く存在しますが、私たちは研究開発やAIプロダクト、GPUのハードウェア、さらには電力の領域に注力し、特に日本が得意とする自動車産業において、コアなドメインを押さえる稀有な企業であると自負しています。

高い技術力を誇る人材と圧倒的な実績

片渕:トリプルアイズについてです。我々の競合優位性については、やはりエンジニアリング力が挙げられると思います。現在、単体の社員数は約250名おり、そのうち約200名がAIやDXのエンジニアとして活躍しています。

グループ全体を見ると、自動車設計のエンジニアや珍しいGPUエンジニアも在籍しています。グループ全体または単体においても、8割程度がエンジニアという状況です。そのため、物を作る力にはかなり自信を持っているプロフェッショナル集団と言えるのではないかと思います。

囲碁AIに裏打ちされた高い技術力

片渕:当社は、単にAIを活用するだけでなく、10年前からAI自体を作ることにも取り組んできました。囲碁AIをはじめとするAIの開発においても、AIを自社で作ることにこだわりを持ちながら進めています。

生成AIの文脈では、活用と開発の2つの軸で取り組んでいます。生成AIで対応しきれない部分について、データを外部に出せない場合には自社で開発するケースがあります。このように、2つの軸で開発を進められる点が、当社の強みであると考えています。

トリプルアイズの技術系譜

片渕:我々としては、囲碁AIから顔認証AI、生成AI、そして今後はロボティクスの時代へと進むと考えています。

囲碁AIにおいては、盤面を画像として捉え、白と黒の極性判断を行い、どちらが勝っているか、負けているかをいかに正確に捉えるかが勝敗に寄与する重要な要素となります。この技術には画像認識が用いられています。

どの手が最適なのかを判断する部分では、終局までの打ち手を検討し、決められた時間内で勝率が最も高い手を検索する探索最適化というAIが使われています。このような技術が囲碁AIエンジンの基盤となり、さらに顔認証AI、生成AI、そしてフィジカルAIへと応用されていきます。

顔認証においては、人間の目や鼻などの顔のパーツが共通でありながらも、Aさん、Bさん、Cさんをどのように見分けるかという課題において、囲碁の盤面認識と似た技術が活用されています。その人の顔が企業に登録されているか否かを検索する際には、ベクトル検索技術が使用されています。

生成AIにおいては、企業のノウハウなどを効率良く活用するための仕組みとして、大規模言語モデル(LLM)が脳の役割を果たし、文章検索と顔認証のデータベース検索に類似する技術が利用されています。

最終的にフィジカルAIの時代が到来すると、ロボットは目に当たる部分で画像認識技術を用い、頭脳はLLMで情報を処理し、そしてフィジカルデータを使って、人間が求める最適な作業を短時間で選択しなければなりません。このような技術が複合的に組み合わさったものがフィジカルAIであると考えています。

こうした技術は、これまで我々が取り組んできた囲碁AIや顔認証AI、生成AIの技術を組み合わせて応用することで実現可能です。この領域を意識的に選択し、推進してきたのも我々です。これからの時代において、この技術領域をリードしていける存在でありたいと考えています。

メディア出演

片渕:スライドのように、メディア出演などさまざまな活動を行っています。

メディア出演

片渕:AIベンダー企業の中でも、特に画像認識に強い会社としてご評価いただいています。2026年も『日経業界地図』で取り上げていただきました。

以上が、会社概要です。

画像認識プラットフォーム AIZE

片渕:AIの開発事例についてご説明します。現在、顔認証の分野では勤怠管理に関連した問い合わせが増えています。労働基準法の改正に伴い、働き方が変化していることが背景にあります。

特に当社が現在注力しているのは、勤怠管理とアルコール検知の分野です。それらの事例についてご紹介します。1つ目は、世田谷区で採用されている画像認識サービスです。

世田谷区は23区の中でも最大規模の区であり、出退勤については公務員の方々に既存のタイムカードなどが利用されていました。ただ、会計年度任用職員の方の場合、出入りが激しく、管理が難しい状況でした。

そこで当社の顔認証技術を導入いただき、一括管理が可能なシステムとして活用されています。

画像認識プラットフォーム AIZE

片渕:アルコールチェックについてです。現在、LINE WORKS社と共同で、「LINE WORKS」のミニアプリ上に当社の顔認証アプリを導入しています。これにより、「LINE WORKS」の基盤を利用している企業であれば、当社のアルコール検知アプリケーションをすぐに利用できるようになります。

「LINE WORKS」はノマドワーカーに最も普及しているため、共同で取り組んでいます。特に製造業や運送業におけるアルコールチェックの義務については、まだ導入やリーチが完全には進んでいない部分があります。一緒に広告や運用を行いながら、勤怠管理やアルコール検知サービスの普及を目指しています。

AIラボ

片渕:「AIラボ」についてです。昔のAI開発においては、顔認証やタイムカード管理など、ユースケースが比較的決まっていました。

需要予測の場合では、人が発注をする際に「明日はこれぐらい発注する」「人がこれぐらい来そうだ」といった予想をしていました。しかし、ボラティリティが大きく、予測がなかなか当たらず、結果として廃棄が出てしまうという課題がありました。

そのような背景では、「需要予測に使う」「顔認証に活用する」と、使い方が明確でした。しかし、現在の生成AIは対応できるタスクが非常に多いため、企業側もどのように使うべきかがわからないという課題が多く存在します。

そのような課題について、一緒に伴走しながら解決するサービスを提供しています。

関本圭吾氏(以下、関本):「AIラボ」のビジネスモデルについてお聞きします。御社がサポートのために常駐するようなかたちなのか、あるいは派遣とはまったく異なるモデルなのでしょうか?

片渕:実際には、お客さま先に常駐するよりも、週40時間や80時間など、どちらかといえばコンサルティングに近いかたちで関わらせていただくケースが多いです。

関本:テーマとして特定のものに絞るというよりは、「こういったものがある」と提案し続け、さまざまな方向性でサービスを提供するといったイメージでしょうか?

片渕:ポイントとして、現在のAIでお客さまが何ができるのかを実現するには、お客さま側のリテラシーも向上させなければならないという点があります。

我々は、過去のAIと現在のAIに関するお話をさせていただく中で、「このケースでは旧型のAIを使ったほうが効率的」「このケースでは現在の生成AIを活用したほうがよい」など、インプットの段階で目線を合わせてから、業務課題を一緒にサポートするというサービスを提供しています。

関本:非常に重要なサービスだと思いますが、最近始めたばかりなのでしょうか? それとも、業績の中で一定の割合を占めてきているのでしょうか?

片渕:現時点では、粗利の観点ですでに3割から4割を占めていると考えています。以前は、AIのプロジェクトはROIが測りづらいとか、PoCの壁といった課題があったと思います。

お客さまの意思決定が提案後に遅くなりがちなこともあり、まずは入口の段階でライトに始めていただき、そこから徐々に拡大していくというかたちが、現在の主流なパターンになっています。

そこから上流を整理し、SIにつなげる、もしくはPoCを行い基幹システムと連携するといったかたちで、ラボを起点に大きくスケールするのが、現在の我々の王道のパターンだと思います。

3つの成長エンジン

片渕:成長戦略についてです。特に現在は売上のトップラインを目指しつつ、利益の創出を図るフェーズにあります。我々はPoCにとどまらず、創業者の思いも含め、自分たちのシステムやサービスを社会実装することを使命としています。

単なるAIベンダーとしてのポジション確立だけにとどまらず、社会課題を技術力で解決するSIパートナーへと役割をシフトしていきたいと考えています。

そのためには、AIを活用するという取り組みにおいて、技術者、マネージャー、バックオフィスのメンバーを含む全社員が関わることが必要だと考えています。全社員、全グループのAIスキルを向上させていくことが重要です。

AIネイティブな組織への変革を命題としています。その中で、3つの柱として、メインである顔認証・生体認証、現在成長しているAIインテグレーション、そして大学アライアンスの3つの軸についてお話ししたいと思います。

①顔認証・生体認証

片渕:1つ目は、顔認証、いわゆる生体認証の分野です。現在、日本電気やパナソニックといった有名な企業が参入する中で、我々もポジション取りを工夫しながら進めていますが、生体認証は依然として所有認証との競争に直面していると考えています。

例えば、ビルのセキュリティでは依然としてカード認証が主流であり、決済においてもスマートフォンが多く利用されています。そのため、我々としては一定の営業努力の成果は見られるものの、まだ十分に普及しているとは言えない状況です。

こうした中で、スマートフォンやカードでは対応できないような、より厳格な本人認証が求められる領域に今後は特化していきたいと考えています。これにより、高単価でニーズの高い市場を獲得することを目指しています。

具体的には、エンターテインメントやリテール分野における不正売買や買い占め防止などといった課題に対応する領域が挙げられます。公平性の担保が求められる領域において、当社の顔認証技術を活用いただいています。

リスク管理が求められる領域として、現在Web試験がCBTに移行している状況があると考えています。そのような市場や、カスタマーハラスメント対策、徘徊見守り用途のブラックリスト/ホワイトリストの検知など、リスク管理が重視される分野に注力しています。

所有認証が未だに強い領域も存在していますが、本人確認の厳格性が求められる領域に絞って進めていくことが重要だと考えています。

当社の優位性の1つは、カスタマイズの実績が非常に多いことです。カメラ、クラウド・オンプレミス、スマートフォンなど、大手企業では「このカメラと一緒に導入してね」となり、どうしても割高になる傾向があります。

当社では、各OSや各デバイスに応じたAPIやSDKを提供しているため、システムとの連携を非常にシームレスに行えます。

事例には載せていませんが、数十万人、あるいは数万人規模の同時接続をすでに顧客が行っています。大量の高速処理にも遅延なく対応し、4年近く運用している中でデータの流出がないという点が、当社の最大の強みだと考えています。

②AIインテグレーション

片渕:2つ目は、AIインテグレーションです。「AIラボ」についてのお話になります。特に、AIソフトの提供はクラウドが前提になります。エッジAIとフィジカルAIを組み合わせることで、実益を伴うソリューションを提供していきます。

どの領域、業界を狙うかといえば、製造業と印刷業だと考えています。「AIラボ」顧客の80パーセントが製造・印刷業です。

製造業では、マニュアル化や技術伝承など、作業の属人化が課題として挙げられます。印刷業では、工場の生産管理やCADを使ったデザインの評価といった分野で、品質をどのように保つかが課題です。

印刷業には紙の印刷、デジタル印刷、さらにアニメや漫画など、いわゆるIP産業といった異なるドメインがありますが、これらにもしっかりとリーチできています。課題の解像度が高く、データを保有しているAI企業が優位性を持つと考えています。

③大学のアライアンス強化

片渕:3つ目は、社会実装についてです。産官学連携のパイプラインにおいて、エンジニアがますます必要になると考えています。人口が減少する中で、未来のエンジニアへの投資が重要だと思います。

そのため、大学や各地方と連携し、地域の課題を吸い上げ、育てたエンジニアを活用しながらエコシステムを確立していきます。北海道大学との学術コンサルティング契約や、直近では千葉大学とAI教育における産官学連携を強化しており、未来のエンジニア育成にも取り組んでいます。

技術者の育成 ロードマップ

片渕:技術者の育成についてです。現在、社内の約60パーセントがAIを扱える状況ですが、今年8月末までに80パーセント、再来年の8月末までには100パーセントにする予定です。組織全体をAIネイティブにしていくことが重要だと考えています。

技術者の育成 AI駆動開発リーダー

片渕:AI開発において代替が可能な領域についてです。みなさまもご存じのとおり、開発、テスト、リリースは完全にAIに代替されると考えています。

一方で、人とのコミュニケーションが必要な部分や、昨年多発したマルウェアやランサムウェアの事件を踏まえると、セキュリティを担保した意思決定は人間が行うべきだと思います。

AI時代を切り拓く

片渕:良いシステムを作るには、データベースが非常に重要だと考えています。アプリケーションのバグは1週間から2週間で修正可能ですが、データ設計の段階で仕様が漏れていると、1ヶ月から2ヶ月の大混乱になりかねません。そのため、この部分は人間が担うべきだと思います。

人間が行うべき領域とAIが担う領域を明確に切り分け、エンジニアの育成においては人に何が求められるのかを常に意識しながら、リスキリングを進めていきたいと考えています。

M&A戦略の概要

片渕:その他にも、売上のトップラインを引き続き上げていく方向で取り組みたいと思っています。

M&Aの戦略としては、バリュエーションをEBITDA倍率4倍から5倍と設定しています。当社のAI単体ソリューション事業が現在非常に伸びていることから、それとシナジーがある企業を狙っています。

自由度の高い資本政策として、過去にグループインした執行役員を中心に、有償ストックオプション(SO)を付与するインセンティブを実施しています。このように、当社グループへの資本参画を通じたベクトル合わせとして、M&A戦略を進めていきたいと考えています。

関本:成長戦略を通じて、お客さま1人当たりの売上が上がるのか、それともお客さまの数が増加するのでしょうか?

また、AIを活用することで1人当たりの売上高が向上するのか、あるいは付加価値の高いサービスの提供によって向上するのでしょうか? この点について、数字的にはどのように理解すればよいか教えてください。

片渕:自社のプロダクトについては、顧客数の拡大に伴い、MRRが増加していくと考えています。AIインテグレーションについては、主に主要顧客を対象としているため、顧客1社当たりの売上が数千万円から数億円に達するイメージです。

関本:AIの開発が進むことで、エンジニア1人当たりの売上や生産性が大幅に高まるという理解でよいでしょうか?

片渕:その点については、みなさまも関心を寄せられている部分かと思います。「Claude」が登場してから、エンジニア業務の70パーセントが代替されるというレポートが出ています。ただし、エンジニアの仕事自体が減るわけではなく、むしろ増加しているとも言われています。

AIの進化により、簡単なタスクを効率的にこなせるようになった結果、技術負債やセキュリティといった、より高次のフェーズⅢやフェーズⅣにおける課題に取り組むことが可能になりました。

そのため、エンジニアの需要は減るどころか増加していく傾向にあります。これからはAIと協働する時代となり、技術者のスキルはその人個人の能力だけではなく、AIと連携できる能力が重要だと思います。

AIを前提とした開発に対応できるメンバーを増やし、生産性を向上させるための教育がますます必要だと考えています。

AI社会実装へ3つのストーリー

片渕:業績についてご説明します。3日ほど前に第2四半期の決算発表があり、上半期のIRを発表しました。現在、デバイスのハードル、産業のハードル、人材のハードルを乗り越えるという課題があり、AI開発でスケールする際にそれらの壁を同時に越えなければならない状況です。

それに対して、我々は成長戦略に沿ってIRを開示してきました。そのため、一つひとつがバラバラに見えていたかもしれませんが、先ほどお話しした成長戦略のとおりです。さまざまな場面でAIを活用する必要があるため、AIサービスを汎用的なインフラとして昇華させる必要があります。

デバイスのハードルについては、大手の顧客基盤との連携やマルチデバイス対応を含む取り組みをIRで明らかにしました。これらは着実に進展しています。

産業のハードルについては、実際にデータを出力できない、業界で普及が進んでいない、実際の業務にフィットしないという課題がよく聞かれます。「AIラボ」による伴走型のサービスや、データセンターをグループで保有する重要性を認識し、推進してきました。

人材のハードルについては、千葉大学や北海道大学を含む教育機関との連携による未来のエンジニアへの投資を行っています。自社やグループのエンジニアについては、AIによって代替される領域とされない領域を見極め、それに合わせたリスキリングを実施してきました。

以上の取り組みは成長戦略に沿ったものであり、上半期に着実に進捗していることをIRとして発表しています。

連結業績ハイライト①

片渕:連結業績ハイライトです。今期上半期の売上高は28億900万円となりました。スライド左側のグラフで黒色と青色で示したAIソリューション事業は、半期で過去最高の売上高と営業利益を更新しています。

特にお伝えしたい点は、AIプロダクトやAIインテグレーションが売上構成比で最も高く、売上高と営業利益がいずれも高い、メイン事業である点です。このメイン事業が最も成長しています。

営業利益に関しては、昨年の赤字から大幅に改善しており、年間計画に対して現在85パーセント程度に達しています。今後も、このようなかたちで成長を続けていきたいと考えています。

連結業績ハイライト②

片渕:スライドに、連結業績ハイライトを記載しています。

連結前年同期比較・計画進捗率

片渕:年間の計画では、売上はおおよそ50パーセントで順調に推移しています。利益は想定以上であり、営業利益と当期利益は大きく進捗しています。AIソリューション事業については、半期として過去最高の売上を記録しました。

GPUサーバー事業は、昨年から今年にかけて事業モデルを大きく変更しました。昨年は、マイニング事業向けAIサーバーの販売を行っていましたが、税制改正の影響によりピボットせざるを得ず、ビジネスモデルをAI学習用サーバーの販売に切り替えました。この変更により営業利益は大きく改善したものの、赤字での着地となりました。

事業別前年同期比較

片渕:AIソリューション事業は、スライドのとおり順調に伸びています。GPUサーバー事業については、現在ビジネスモデルを立て直している段階です。マイニングサーバー事業からトリプルアイズ単体でのAI開発とシナジーが高いAI学習サーバーの販売へと移行しました。

今後は、グループ全体でオンプレミス環境における学習ソリューションやプロダクトを展開していきます。グループのシナジーを最大限に発揮することで、グループ全体が大きくジャンプアップできるよう進めていきたいと考えています。

GPUサーバー事業では、売上総利益と粗利率が前年同期比で10パーセント以上改善しています。数字上ではわかりにくい部分もありますが、過去のマイニングサーバー事業と比較すると、収益性が大きく向上していると考えています。

ただし、2月に暗号資産のダウントレンドの影響で約2,300万円の減損を計上し、最終的には赤字決算となっています。しかしながら、2事業が合わさったかたちで、これまでの売上拡大フェーズから利益創出フェーズへと移行しつつあります。

当社にご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ会社紹介やホームページをご覧ください。私のご説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:AIの社会実装における競争優位性について

荒井沙織氏(以下、荒井):「画像認識AIの研究開発を長年積み上げていますが、競争優位性を維持するための差別化ポイントを具体的に教えてください」というご質問です。

片渕:どこでも動かせるようにすることが重要です。AIは作って終わりではなく、社会実装においてはOSやGPUがない環境、個別のノートPCなどでも動かせる必要があります。

そのために、AIを学習する技術と、AIをデバイス上でうまく推論させる技術の2つが求められますが、実際には前者に偏りがちです。社会実装においては、学習ができることは当然ですが、お客さまが使用するハードウェアに合わせてカスタマイズできることが競争優位性だと考えています。

質疑応答:利益成長を実現するための重点施策について

荒井:「先端技術の社会実装を進める上で、プロジェクト収益のぶれを抑えつつ、利益成長を実現するための重点施策を教えてください」というご質問です。

片渕:社会実装を進める際には、まずPoC(概念実証)からスタートし、初期段階では2店舗から3店舗で試験的に始め、10店舗、100店舗という規模にスケールしていく想定をしています。

次のステップに進む際には、どのようなROI(重要指標)や判断基準(ジャッジポイント)を採用するのかを、最初の段階でお客さまと合意しておくことが、プロジェクト推進において重要なポイントだと考えています。

プラットフォームについては、新しい技術に移行する際に、古いプログラム言語やフレームワークを利用しているために新しい技術や機能が導入できない、いわゆる技術負債の問題が多く見られます。

リプレイスするには、何億円という開発費を自分たちで負担する必要があるため、その点に関しても慎重な判断が求められます。

共通化やモジュール化というかたちで、「お客さまからいただいた機能だけれども、他のお客さまでも共通の機能として使える」「共通のプラットフォームとしてこの機能があったらよい」のような課題を議論し、1つのカスタマイズにとどめず、プラットフォームとして吸収することが重要だと考えています。

技術についてはそのようなかたちをとり、プロジェクトでは合意形成やスケールポイントを押さえることが重要だと思います。

質疑応答:売上・営業利益の目標ラインについて

関本:「今回から利益の創出フェーズになるということですが、具体的にどのくらいの規模を想定されているのでしょうか? その達成度や、達成に向けてどのくらいの可能性や進捗を見るとよいかお尋ねします」というご質問です。

片渕:売上については、2030年の東京証券取引所のグロース市場の基準を意識して進めているところです。営業利益については、まずは社員や株主さまに還元できるラインを目指しています。

具体的な数字については、中期経営計画などを含めて開示を検討していますので、そちらをご覧いただければと思います。これらを踏まえて意識して取り組んでいます。

質疑応答:AI導入の収益性と今後の成長フェーズについて

関本:AI導入について、現状では収益性が高いとは言えず、今のところ2パーセント弱が限界となっています。これについては、何かしらの投資が先行したためと理解すべきなのでしょうか?

それとも、まだ収益性向上の余地があると考えているのか、社内ではどのように捉えていますか?

片渕:現時点までは先行投資フェーズにあり、プラットフォームやエンジニアリングの開発、さらに営業やカスタマーサクセスを含めた体制の確立に向けて、初期投資をかなり行っていました。

現在では、MRRも自立的に回る水準に達しています。これからは、固定費を抑えながら売上を拡大していくフェーズとなり、利益を創出する段階に移行するという認識です。

質疑応答:産官学連携と採用活動への影響について

関本:産官学連携による大学とのイノベーションが成長戦略の一環であると思います。技術者の方々が重要になる中で、これが入社につながったり、採用にも影響を与えたりするものなのでしょうか?

片渕:インターンを通じて直接入社してもらうこともあり、新卒採用は非常に好調です。採用費をかなり抑えたかたちで、このような活動を行うことにより、良い人材を確保できていると考えています。

関本:新卒と中途のどちらが多いのでしょうか?

片渕:単体では、新卒は平均で20名ほどです。中途採用は競争が激しい分野ですが、当社の戦略としてリファラル採用や、例えばAIを活用した公共交通系の故障検知の実績がある人材などを、かなり絞り込んでアトラクトするかたちで、平均5名から10名を採用しています。このように、戦略的に採用を行っています。

質疑応答:AIソリューション事業における組織風土改善と今後の展望について

関本:AIソリューション事業のエンジニアリングにおいて、組織風土改善活動に取り組んだ結果、人数減が収束したとのことですが、体制構築が進んだのでしょうか? 来期以降、どのようにポジティブな影響が見込まれるのか教えてください。

片渕:グループ全社員とワークショップを行いました。今後、自動車業界やAIの発展を見据えて、どのような会社にしていきたいかを一人ひとりと対話し、ミッション・ビジョン・バリューを再構築しました。この取り組みにより、会社の方向性が定まり、結果として人数減が収束したと思っています。

片渕氏からのご挨拶

片渕:みなさま、本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございます。我々トリプルアイズは、まだまだ成長できると考えています。

特に、私自身が長年AI業界の最前線に携わってきたことから、その変化の中心に立ちながら、会社だけでなく業界全体を引っ張っていきたいと考えています。今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答いただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:AIプラットフォームとシステムインテグレーションの二刀流を掲げていますが、成長の主役をどちらに置き、売上構成をどう変えていきますか?

回答:「プラットフォーム(AIZE)」が成長の主役です。売上構成に関しては、プラットフォームに今後注力していきます。ただし、大きくスケールするにはSaaSだけでは難しく、現場業務に合わせたカスタマイズが必要です。

その役割を担うのがSIであり、SIで得た「現場の知見」をプロダクトへフィードバックすることで、他社が真似できないプラットフォームへと進化させていきます。

<質問2>

質問:現場の声をテクノロジーに翻訳する力が強みとのことですが、導入の意思決定を早めるために提供している価値提案は何ですか?

回答:「圧倒的なスピードでのプロトタイプ提示」です。「AIZE」や「AIラボ」で培った当社の既存コンポーネントを使い、短期間で実際に動くものを見せます。具体的かつ定量的なROI(投資対効果)を提示できることが、大企業の意思決定を後押ししています。

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