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IRセミナー徹底攻略!セミナーを読み解くhow to 伝授#4

荒井沙織氏(以下、荒井): みなさま、こんにちは。荒井沙織です。ゲストは前回に引き続き、kenmoさんです。よろしくお願いします。

kenmo氏(以下、kenmo):よろしくお願いします。

荒井:前回はkenmoさん流のIR説明会の活用方法について教えていただきましたが、今回はkenmoさんご自身が「見て良かったIRセミナー」を一緒に見ながら、気になった発言などをお話しいただきたいと思います。それでは始めていきましょう。

早稲田学習研究会のIRセミナーを選んだ理由

荒井:今回はどのIRセミナーについてお話しいただけるのでしょうか? 

kenmo:私もIR説明会・IRセミナーをたくさん見ているので非常に迷ったのですが、今年の3月に会場で行われた早稲田学習研究会をご紹介しようと思っています。

荒井:こちらは3月の「IR Meet」でのセミナーですが、なぜこの早稲田学習研究会を選ばれたのでしょうか? 

kenmo:私自身、早稲田学習研究会を知らなかったため、最初は「早稲田アカデミー」の会社かと思ったのですが、実は北関東などで「W早稲田ゼミ」を展開されている塾の会社でした。

私は神奈川県に住んでいるのですが、神奈川県には「ステップ」という塾があります。神奈川県内では「ステップ」が非常に強く、利益率も20パーセントぐらいあります。

私は塾銘柄を買うのであればステップ社のみにしようという固いポリシーがあったのですが、そのポリシーを変えさせてくれた会社です。「このような会社があるのだな」というところをぜひみなさまと一緒に見ていければと思っています。

荒井:kenmoさんのポリシーすら変えてしまうようなセミナーだったということで、気になります。それでは実際に見ていきましょう。

kenmo氏が注目した今回のIRセミナー

kenmo:では、動画を見ていきます。これはログミーの会場開催でした。左側が代表取締役社長の佐藤誉さん、右側が取締役の山崎晴也さんです。2名での登壇なのですが、冒頭に気になるところがありました。その部分をご覧いただきたいと思います。

(動画流れる)

kenmo:最初に荒井さんからのご紹介があり、立ち上がります。立ち上がって挨拶される社長が多いため、「その流れかな?」と思ったのですが、挨拶が終わっても座らないのですよ。

荒井:立ったままですね。

kenmo:山崎さんをご紹介された後に「座るのかな?」と思ったのですが、説明が始まってしまいます。「このまま30分立ったまま進めるのかな?」と思いますよね。

荒井:そうですね。

kenmo:「つかみはOK」という感じですね。

荒井:これで企業や社長のキャラクターが伝わりましたね。

(動画止まる)

kenmo:ここで1回動画を止めます。塾の会社ですので、おそらく佐藤誉さんも先生などの経歴があるのかと思います。生徒に教えるという雰囲気がIR説明会の壇上からも出ています。

私はステップの株主総会によく行くのですが、ステップも取締役の方などが現役の先生であるケースがけっこうあります。佐藤さんも同様で、IR説明会であるにもかかわらず先生と生徒のような立ち位置を感じます。

荒井:前回の動画でkenmoさんから「1枚目、2枚目のスライドで聞くか聞かないか決める」というお話もありました。スライドに入る前に心をつかまれたパターンですね。

kenmo:「とりあえず聞いてみようかな」と思いました。4社合同のIR説明会でしたので、3社目、4社目となると参加者も疲れてくるのですよね。ですが、これで一気に叩き起こされたわけです。

荒井:そうですね。「授業を聞かなきゃ」という気分になりました。

kenmo:では、続きを見ていこうと思います。

(動画流れる)

しばらく演説が続き、ずっと立ったまま進められるのかと思っていたのですが、ここで座っていただいたため、一安心でした。

上場してまだ1年も経っていないタイミングでのIR説明会ですので、おそらく個人投資家の前に出るのは初めてだと思います。初めて個人投資家の前に出られる方は、緊張したり少したどたどしくなったりすることがありますが、まったくその気配がなく「どれだけ場慣れしているのだろう」という印象でした。

説明資料の内容について

kenmo:「ゼミ」「ハイ」「ファースト個別」があり、「ゼミ」が小中学生向け、「ハイ」が高校生向け、「ファースト個別」は小中高生向けです。これは非常にわかりやすい資料です。「期中平均生徒数」「単価(月額)」などがしっかり書かれています。

この「ゼミ」「ハイ」などは会社の専門用語なのですが、その部分を最初に説明していただいたため、わかりやすかったという印象です。しかし、まだここまでですと「そうは言っても塾だよね」とも思います。

次にエリアの話があり、北関東で展開していると理解しました。まだこの段階では、社長はおもしろいものの株を買おうという気持ちまでには至りません。ただ、つかみがうまいため、視聴を継続できます。

荒井:つかみの部分からここまでは聞いてしまいますね。

kenmo:ここまで聞くとステップと比較してしまいますが、ステップは神奈川県に特化し、神奈川県の塾事情に合わせたカリキュラムを組んでいます。テキストを組んで講師もそれに合わせて教育するため、非常に効率的な経営ができています。

一方、早稲田学習研究会を見ていただくと、群馬県、栃木県、埼玉県とエリアが分かれています。各県ごとに受験のシステムなどが少し異なりますので、そのあたりについて「どのように行っているのかな?」という疑問を後で質問しようと考えやすくなります。

冒頭からこのテンションはすごいですよね。僕もこのくらいのテンションをもう少し見習ったほうがよいのかもしれません(笑)。

荒井:テンションですか? キャラクターがかなり変わってしまうと思います(笑)。

kenmo:次回ログミーに出る時には佐藤さんの身振り手振りとオーラを見習い、「それでは!」と声を張ろうと思います(笑)。

荒井:「一目惚れ」ではないですが、引きつけられますよね。

kenmo:この資料も非常にわかりやすく、生徒数・売上高が順調に伸びていることが記載されています。また、「黒字校舎率100パーセント」「撤退ゼロ」とありますが、「撤退ゼロ」はすばらしいと思います。

出店し、そこをしっかり黒字化して、次の塾、また次の塾と、どんどん出店を継続しています。良い立地に出店し、それを絶対に黒字化する姿勢が非常に徹底されていることがわかる、気になるスライドでした。

私は神奈川県に住んでいるためどうしても気になってしまい、手元のスマホでもステップと比較しましたが、こちらの資料を見ても利益率はほぼ横並びです。1位のステップが22.3パーセント、2位のW早稲田ゼミが22.2パーセント、3位の学究社が20.6パーセント、4位以下はほぼ1桁です。したがって、上場している他の企業に比べても圧倒的な利益率の高さです。

早稲田アカデミーでも9.0パーセントです。早稲田アカデミーをイメージしていると、利益率が1桁ということでスクリーニングや調査の対象から外れてしまいますが、「こんな会社があったんだな」ということですごく引き込まれました。「もう少し詳しく調べてみなければ」と思わされる資料でしたね。やはりステップとの比較を出してくれているところがすごくいいなと思いました。

荒井:個人投資家のみなさまが比較したくなるような内容を盛り込んでくださっている企業も、やはり評価が高くなるポイントですか? 

kenmo:そうですね。やはり「同業他社と比べてどうか」ということはすごく気になるため、そこが強みなのだと思います。

また、このような比較があると、「北関東3県にまたがって出店できているにもかかわらず、なぜこれだけの利益率が出せるのだろう?」「他の塾はこんなに利益率を出せない中で、なぜ突出して出せるのだろう?」と興味が湧きます。

興味関心、比較検討、そして調査して株の購入とつながっていきますので、比較検討まで出していただいているのはすごくありがたいです。

ポイントはこの超大型校舎のところです。教師力のほうは教える力や教師の採用・育成に注力していることがよくわかりますが、そもそも教師力のない塾はダメだと思います。超大型校舎についてはステップと明確に違うところですし、これがこの会社の収益性や強みにつながっています。ここでかなり解像度が高まりました。

荒井:良い意味で特に引っかかった発言はありましたか? 

kenmo:発言もそうなのですが、やはり何度も言っているように、ステップと比較検討できる材料を出してくれたところが投資判断につながりました。

競合他社と比較すれば当然、良いところも悪いところもあります。同じところも違うところもあります。比較検討できると、より具体的に「ここと比べてこうだから株を買ってみよう」と判断できるので、その紹介があったのはすごくよかったです。

説明会の途中でマジック!?

kenmo:塾は講師の力が一番と言っても過言ではないくらい大事な要素です。やはり人気のある先生がいる塾のほうが生徒も通いたいと思うでしょうし、そのような先生がたくさんいる塾のほうが生徒が集まり、売上も伸びていきます。これはどの塾も取り組んでいるところだと思いますが、その中で特に何を工夫しているかという話になります。

荒井:大きなトランプが登場しました。

kenmo:事前に楽屋で「今回のIRセミナーはこのような展開になります」という打ち合わせがあると思います。ログミーのスタッフが段取りを説明をする中で「途中でトランプマジックがあります」という話をした時、Kenさんが「マジっすか!?」と反応していたのがすごくおもしろかったです。

「IR説明会でトランプマジック!?」という気持ちになりますよね。しかも「カメラが切り替わるのでKenさんはカードを1つ取ってください」という話をしており、「どんな展開だよ!」と思いました。

先ほど「4」「5」「6」だったカードが「株価アップ」と書かれたカードに変わるというマジックでした。これでもうさらなるつかみもOKですよね。

荒井:これは会場も盛り上がりましたよね。

kenmo:IR説明会でトランプマジックをしたのは後にも先にも早稲田学習研究会だけだと思います。

荒井:ただ、いろいろな見せ方や展開を用意している企業に騙されてはいけないのではないかとも思いますが、どうでしょうか? 

kenmo:そこはやはり足元の業績などで慎重に判断しなければいけないと思います。

荒井:ただ、わかりやすいですし、授業の雰囲気を会場にいる人たちにも共有していただけたのは本当に特徴的でおもしろかったですね。

kenmo:株を買うか買わないかは別にしても印象には残りますよね。1回聞いたら忘れないIR説明会かと思います。

少子化の中で早稲田学習研究会の今後に注目

荒井:動画を見ながらお話しいただきましたが、あらためて振り返っていかがでしたか?

kenmo:インパクトがありますよね。少子化の流れがある中、塾業界は2030年ぐらいまでは大丈夫だと言われています。コロナ禍で日本の出生率がぐっと下がり、直近は70万人という世界になってきています。この70万人の子どもたちが小学校に入るのが5年後くらいです。

少子化とは言えども減り方はなだらかでしたが、2030年を境目により一層減っていきます。その中で果たして、超大規模校舎で運営を続けてきた早稲田学習研究会がどの方向に舵を切るのかというところが、すごくポイントになると考えています。

超大規模校舎を維持しつつ生徒数が減っていったとしても単価を上げていく戦略なのか、それとも生徒数を減らさないように何か取り組みを行っていくのか、あるいは子ども向けだけではなく大人向けの英会話スクールなどにも手を広げていくのか、2030年以降にどのような展開をしていくのかが個人的にはすごく気になるところです。

おそらく2030年まではしっかりと売上・利益を出せる気がします。その先がどうかというところが見えてくると投資判断としてかなりクリアになるはずです。

荒井:ありがとうございます。みなさまもぜひkenmoさんと早稲田学習研究会のような出会いをたくさんしていただければと思います。ここまでありがとうございました。みなさま、次回をお楽しみに。

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