会社概要

広木太氏(以下、広木):株式会社BeeX代表取締役社長の広木です。本日はよろしくお願いします。弊社の企業形態は少しわかりにくいところがありますが、IT業界に精通している方以外にも弊社のことを知っていただければと思います。

本日の内容は、今わかりづらいとお話しした事業概要を簡単にお伝えした後、直近の業績結果、業績予想、最後に成長戦略についてご説明します。

まず、弊社の概要です。「BeeX」と書いて「ビーエックス」と呼びます。2016年3月に創業し、まもなく10年を迎える会社です。現在の従業員は184名、もうすぐ200名になります。クラウド専業のインテグレーターで、クラウド専業ということが弊社の特徴です。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):質問を入れながらおうかがいしていきたいと思います。創業10年とのことですが、創業の経緯と業務内容の変遷について教えてください。

広木:創業した時はちょうどクラウドの黎明期で、日本に広まってきたころでした。

私は大手システムインテグレーター系列のコンサルティング会社におりましたが、クラウドの特徴を活かした導入ができていない会社が多いと感じていました。クラウドを正しく利活用するためには従来の導入方法の踏襲ではなく、クラウドに最適化した導入方法が必要であると感じ、であればクラウド専業の会社を作ったほうがよいのではないかと考えました。

当時、弊社の親会社であるテラスカイやサーバーワークスなどのクラウドを専業にした会社が勢いよく立ち上がってきたところで、その波に乗れると思い起業しました。親会社であるテラスカイの佐藤から声をかけていただいたということもあります。

坂本:続いて、御社のビジネスの話をお願いします。

パブリッククラウド

広木:我々は、従来型システムのオンプレミスとパブリッククラウドのうち、パブリッククラウドを専業にしています。オンプレミスは自社でさまざまなものを購入する必要があり、時間もかかるシステムですが、パブリッククラウドは従量課金ですぐに使え、スピードが非常に上がります。このパブリッククラウドを専業にしていることが、弊社の1つ目の特徴です。

BeeXビジネス領域

広木:クラウドにもさまざまな種類があります。一般的によく知られているものはSaaSと呼ばれるもので、必要なソフトウェアをサービスとして提供するセールスフォースやMicrosoft365の製品、あるいはCMでよく見る「XXクラウド」といったものはSaaSが中心です。

我々はSaaSを取り扱っていません。我々のビジネスは、IaaSやPaaSで提供されるサーバー、ストレージ、データベースなどのシステムを作るための部品を組み合わせて、お客さまの必要なシステムを構築することです。特定の分野のソフトウェアやサービスの提供ではなく、顧客が必要としているシステムのインテグレーションが、我々のビジネスの根幹的なところになっています。

坂本:スライドの下2つが主要ということですが、売上規模はどちらが大きいのでしょうか?

広木:IaaSがシステムの根幹のため、IaaSの方が多いです。

坂本:その話をもう少し深掘りして教えてください。

クラウドベンダー市場動向

広木:我々はIaaSやPaaSを提供しているのではなく、これらを提供しているクラウドベンダーの製品を組み合わせて構築しています。

クラウドベンダー市場の動向としては、世界の上位3社が提供する「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud」で全体の64パーセントを占めており、最近はさらにシェアが上がっている印象です。

BeeXのマルチクラウド対応力

広木:我々は「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」の3つすべてを取り扱い、構築・運用を行っています。

創業当初は「AWS」が市場において圧倒的にNo.1でした。その後「Microsoft Azure」と「Google Cloud」が伸びてきました。

お客さまは、最初は「クラウド」と言うと「AWS」というイメージでしたが、この5年くらいは用途によって使い分けるようになってきました。例えば「このシステムは『AWS』で使ったほうが使い勝手がよさそう」「コスト的、ライセンス的に『Microsoft Azure』がよさそう」「データ分析をするなら、データ分析が得意な『Google Cloud』のほうがよさそう」というイメージです。

そうなると、我々も「AWS」専業ではなく、マルチにすることでお客さまのニーズに応えていこうと考え、複数のクラウドを扱うことにしました。

坂本:エンジニアをそろえなければいけませんね。

広木:おっしゃるとおりです。

そうはいっても「AWS」の取り扱いが一番多く、最上位パートナーである「AWS認定プレミアティアサービスパートナー」の国内15社目です。「AWS認定プレミアティアサービスパートナー」は、NTTデータや富士通など超大手系が中心になります。その中で我々は社員200人ほどのベンチャー企業ですが、過去の実績を評価いただき、AWSからお墨付きをいただいたパートナーとなりました。

坂本:後ほど資格者などについてご説明いただくかもしれませんが、技術者の方は「AWS」1つのみですか? いくつかできるのですか?

広木:私もエンジニア出身ですのでよくT字型などとスキルセットで言いますが、「得意なスキル1つともう1つ、最低でも2つはできるように」と言っています。そうでなければ、お客さまとうまく話すことができません。

坂本:どっちが良いかわかりませんからね。

広木:おっしゃるとおりです。「Microsoft Azure」を使っているお客さまは「Microsoft Azure」の言語でお話しされます。その時に「『Microsoft Azure』のこれは『AWS』ではこうです」といった言語的あるいは特徴的なことがわかっていないと、お客さまと会話ができません。

坂本:そのような世界なのですね。ありがとうございます。

広木:もちろん、いずれかのスペシャリストになる世界もあり、そのような人もいます。しかし、我々はどちらかというとコンサルティング力を重視するエンジニアのため、お客さまとしっかり対話できなければいけません。全部のスペシャリストでなくてもいいけれども、特徴を理解することは必要となってきます。

坂本:ありがとうございます。

広木:そうはいっても、人数的にも売上的にも「AWS」が圧倒的に大きいため、「AWS」が多いです。

また我々のもう1つの特徴として、ドイツのERPのパッケージベンダーであるSAPのパートナーであることが挙げられます。

事業内容

広木:事業内容についてご説明します。3つありますが、1つ目は先ほどからお伝えしている、クラウド専業のシステムインテグレーションであるクラウドインテグレーションです。クラウド導入前のクラウド導入コンサルティング、クラウドシステムの構築、従来型のオンプレミスシステムからクラウドへの移行、クラウドに最適化したアプリケーションの開発などを行っています。

これはいわゆるフロー型ビジネスで、これからお伝えする2つはストック型ビジネスになります。

2つ目は、クラウド特有のライセンスリセールです。「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」のライセンスを販売するのですが、ライセンス販売といっても一過性ではなく、電気代や携帯電話代のように、利用量に応じて毎月利用料金が発生します。

3つ目は、マネージドサービスプロバイダー(MSP)です。横文字で少しわかりにくいですが、運用・保守です。SAPなどの重要なシステムをクラウドに上げた後の運用や監視します。我々が24時間365日監視して、何か障害があった時に対応します。

その他にも、クラウドは次々と新機能が追加されるので、「今までこの機能で課題がありましたが、新しいこちらの機能を使えばその課題が解決できます」といった改善活動もMSPで行っています。

坂本:クラウドライセンスリセールはけっこうな売上のシェアを占めていますが、請求代行のようなものがあって売上が膨らむようなかたちですか?

広木:おっしゃるとおりです。企業の基幹システムをクラウドに上げると、そのライセンスリセールがついてきます。ストック型ビジネスのため、どんどん積み上がっていくイメージです。創業当初はクラウドインテグレーションの売上が多かったですが、お客さまが増えてくるとクラウドライセンスリセールが上がり、ストック型の売上が高くなってきています。

坂本:「請求書は円で出したい」というお客さまが多く、御社が間に入っているのですね?

広木:AWSは、今は円を少し選べるようになりましたが、当初はドルでした。また、クレジットカード決済もありました。場合によっては月1,000万円お支払いになるお客さまもいらっしゃるので「コーポレートカードはありますが、クレジットカード決済ですか?」と困惑されることもありました。

坂本:1,000万円を超えると、特殊なカードでなければ厳しいですね。

広木:そのため、我々のほうで日本の法習慣に基づいた円での請求書払いにしました。

なお、単純に販売するだけではなく、サポートも行います。こちらはストック型ビジネスとなります。

坂本:ありがとうございます。非常によくわかりました。

お客様の基幹システムクラウド移行支援

広木:先ほどからSAPについてお話ししていますが、SAPは日本の多くの大企業の基幹システムとして導入しているパッケージです。このため、我々のお客さまは大企業中心で、かつ企業の重要なシステムを取り扱っている会社であることが特徴です。

従来型のオンプレミスで守りに入っていたシステムをクラウドに上げて、変化に対応できるシステムに変革します。単にクラウドに上げるだけではなく、これまでシステムごとに運用がばらばらだったシステムを横ぐしで共通化するなど、クラウドに最適化することが我々の仕事です。

坂本:クラウド化したいところは当然あり、進んできていると思います。また、単に移すだけではなく、使うことを考えて移しはじめた状況とお聞きしました。そこで、希望するお客さまのうちどのくらいがクラウド化されているのでしょうか? もちろん、その業種・業態などによっても異なると思いますが、教えてください。

広木:大企業でクラウドを使っていないところはないと思っています。我々が創業した頃はまったくクラウドを使っていないお客さまがほとんどで、クラウドを使っているお客さまのほうが特殊でした。今はクラウドをまったく使っていないお客さまは少ないと思います。

一方で、中堅企業・中小企業などは情報システム部門に人的リソースが少ない場合が多く、従来型のシステムとクラウド活用の両方には対応できない、新しいものにチャレンジできないといった課題をもっているお客さまが多くいらっしゃいます。このようなお客さまは、クラウド活用がうまく進んでいないことがあります。

また、大企業でも、一部のシステムではクラウドを使っているが、重要なシステムは従来型のオンプレミスが残っている場合があります。

坂本:面倒くさいというか、拡張した分もあるというような。

広木:クラウド利用がゼロという顧客は少ないですが、まだまだ進んでないと思います。調査の仕方によっては、20パーセントから30パーセントしか進んでいないという結果もあります。

坂本:なるほど。では、まだまだ市場環境は良い業界ということですね。

広木:まだまだこれから進めていかなければいけないところです。

豊富な導入実績(基幹システム SAP)

広木:我々の売上の半分くらいはSAP関連であり、そのお客さまが大企業であることが非常に特徴的です。スライドに記載しているものは公開できる事例のみで、これ以外にも多くの大手の企業と直接仕事をさせていただいています。特に多いのは製造業です。

坂本:SAPに関しては、拡張性があってそれをクラウドにするのは大変だという話もよく聞くところです。御社は移行のみ行っているのですか? SAPのカスタマイズもできるような環境なのでしょうか?

広木:我々はどちらかというとテクニカルなところを中心にしており、移行とテクニカルの拡張といったところを行います。例えば、データ分析をより強化することなどを強みとしています。

SAP上流のコンサルティングなどについては、コンサルティングファームや大手のシステムインテグレーターと組んで行います。テクニカル部分に特化している点が当社の強みであり特徴です。

マルチクラウドリセール&マネージドサービス

広木:ストック型のビジネスであることが、我々の非常に特徴的であり強みの部分だと思っています。先ほどグラフでお示ししましたが、売上の約60パーセントがライセンスリセールとなっており、売上や利益を確保できています。これは、システムインテグレーターとしては特殊といえると思います。直接お客さまとライセンスの販売があり、運用・保守の契約がしっかりできていて、リレーションがきちんと取れているところが強みだと思っています。

業績サマリ 前期比較

広木:業績についてお話しします。スライドは、直近2025年2月期の決算です。売上高は92億円となりました。売上、利益、その他についても、前期比で成長を続けています。

サービス別売上高

広木:スライドはサービス別の売上高です。先ほど3つの事業形態についてお話ししましたが、グラフのオレンジ色の点線で囲んだところがクラウドライセンスリセールとMSPで、毎月売上が上がるストック型の売上です。この部分は、お客さまが増えて売上が上がっています。スライドから、クラウドライセンスリセールが伸びていることがおわかりいただけると思います。その上でクラウドインテグレーションを行っています。

クラウドライセンスリセール売上の推移

広木:スライドは、クラウドライセンスリセール売上の内訳を分解したものです。「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」のうち、特に「AWS」が非常に大きく伸びています。

クラウドライセンスリセールビジネスアカウント数推移

広木:クラウドライセンスリセールのビジネスアカウント数の推移です。わかりづらいですが、アカウント数とは、お客さま数というより「クラウド」の契約数です。お客さまによっては、複数の「クラウドサービス」のご契約をいただいています。SAPシステムと、例えば外部向けサービスのシステムは別の契約の場合が多くあります。2025年2月期は特に契約数が伸びており、新規のお客さまを獲得できています。

これは、新しいライセンスリセールのお客さまを増やそうと、少し前から意図的に行っていました。もともと我々は、クラウドインテグレーションでご契約いただけばクラウドライセンスリセールはついてくるというモデルでした。しかしながら、後ほど成長戦略でもお話ししますが、クラウドインテグレーションは、社員が増えないと売上が上がらないというジレンマがあります。

一方でクラウドライセンスリセールは、ある意味、社員、つまりエンジニアがそこまでいなくても伸ばすことができます。このため、クラウドインテグレーションが成長の頭打ちにならないように、ストックも取っていこうと考えています。

具体的には、これまでのクラウドインテグレーションがあってストック型ビジネスがあるという循環に対して、2年ほど前から、まずストックを取り、そのお客さまが「新しいシステムでこのようなことをやりたい」となってクラウドインテグレーションに回るという、別の循環サイクルのビジネスになるよう意図的に行っています。前期はこれが功を奏してライセンスのアカウント数が伸びてきたところです。

アカウント数が増えると、当然その分の売上が増えるので、今後の売上も増やすことができると思っています。

坂本:「ストックはどうですか?」といった営業をするのですか?

広木:ストックの売上部分は、単純に「切り替えますか?」というよりは、「課題はありませんか?」あるいは「サポートで困っていませんか?」といった内製化支援のようなかたちで入り、「一緒にライセンスも切り替えていただければ、もっとさまざまな提供ができますよ」と提案するイメージです。

坂本:将来は開発と移行の部分も提供されるということですね?

広木:おっしゃるとおりです。営業の起点を変えているということになります。

マネージドサービスプロバイダー売上、ユーザー数の推移

広木:MSPの売上とユーザー数の推移です。MSPもストック型で売上、ユーザー数ともに順調に伸びています。

2026年2月期 連結業績予想

広木:今期、2026年2月期の連結業績予想です。今期から連結に変わっています。後ほどご紹介しますが、MSP、つまり運用保守サービスの専業会社であるスカイ365を子会社化し、連結決算に変わりました。

前期までは単体のため参考的な意味合いになりますが、前期比での増減率を記載しています。前期は92億円で、10年経った今期は100億円を達成できると思っています。

2026年2月期 連結業績予想

広木:スライドは、2026年2月期の連結業績予想を可視化したグラフです。売上はずっと伸びています。経常利益は1ヶ所少しへこんでいるところがありますが、これはその前の期に大型案件があった反動です。基本的に右肩上がりで成長し続けています。

中期経営計画の売上高目標

広木:成長戦略についてお話ししていきたいと思います。明確な中期経営計画は公表していませんが、目線としては、2年後の2028年2月期に、売上高160億円から170億円ぐらいを目指し計画しているところです。

SAPシステムのクラウド化・S/4HANA化支援

広木:それを支える3つの成長戦略についてお話しします。1つ目は、基幹システムのクラウド化とモダナイズ化で、SAPについてです。多くの大企業のお客さまが利用されている「SAP ERP 6.0」の標準サポートが2027年に、有償の延長サポートが2030年に終了します。したがって、多くの大企業のお客さまは新バージョンの「S/4HANA」にバージョンアップしなければいけません。

それはある意味で社会課題的なものだと思っています。「SAPの2027年問題」という言い方をしていますが、今までの古くてなおかつオンプレミスなものを「S/4HANA」にバージョンアップしていきます。

この話をすると期間限定の特殊需要と思われがちですが、我々はそのようには考えていません。当然ですが、基幹システム刷新後にはDXでさまざまに拡張したいというご要望があり、現在はそのような状況にきていると思っています。先ほどお話ししたデータ分析のさらなる追求や、昨今のAI活用などが該当します。

SAPやクラウド上の製品などさまざまな製品やAIを使い、基幹システムの周辺を拡張していく、あるいはデータ分析の範囲を広げるようなことを行います。クラウドに上げて終わりではなく、クラウドに上げた後も継続的に拡張していくという段階にきているところです。

坂本:「拡張は昔のように実施していけない」という話がありますが、現状変わっているところはあるのでしょうか?

広木:SAPをアドオンやカスタマイズし過ぎてアップグレードしづらくなったという問題があります。

坂本:よく聞きます。

広木:これに対して昨今は「Fit to Standard」「クリーンコア」という考えが主流になってきています。ERP本体は手を加えずに「Fit to Standard」、つまりERPシステムに業務を合わせましょうという考え方です。

一方で、それだけではシステムは動かないため開発を外でやりましょうという方式となり「Side by Side拡張」と呼ばれます。これは、「S/4HANA」本体ではなく外で調整しましょうということです。そのために、SAPはBTPという基盤を用意しています。「AWS」や「Microsoft Azure」などを活用する方法もあります。拡張は、本体をいじるのではなく周りをいじっていきましょうという方向に変わりました。

坂本:意外と日本企業もそれに慣れてきた印象ですか? それとも「ぎりぎりまで今のものを使うぞ」という印象ですか?

広木:お客さまのステージによります。前のものがあまりにも古過ぎていじり過ぎたので、前のものを捨てて全部やり直すというお客さまもいます。ただし、これはかなりの体力を必要とします。

大企業は、導入に3年以上かかることもよくあります。中堅企業などはそこまで体力がありません。「保守が切れるから3年もかけるのか?」という話になってしまいます。そうなると「現在あるものをあまり変えずに『S/4HANA』に置き換えて、外で拡張をしていこう」とニーズが変わります。移行方法や移行の考え方が変わってきているのです。

坂本:非常によくわかりました。

広木:ただ、「『S/4HANA』化は2030年までに終わるのか?」については、私は終わらないと思っています。

坂本:今のお話だと厳しい印象です。全社は終われないのですね。

広木:おっしゃるとおりです。全社までは終わらないため、続くということです。

SAP サラウンドソリューション

広木:先ほどデータ分析についてお話ししましたが、SAPを「S/4HANA」などのクラウドにして、新しい「Fit to Standard」を適用して、拡張基盤でデータ分析やデータ活用などを進めようというお客さまが増えています。

我々は、SAPの製品を使うこともありますが、「AWS」や「Microsoft Azure」などに、SAPのデータだけでなく、工場であればIoT等を活用し工場のデータを集める、また外にあるマーケティングデータも集めて分析するようなデータ駆動型に企業を変えていくことを重視しています。

SAPの外でいろいろなものを拡張していき、柔軟性を上げていこうという考え方で、SAPサラウンドソリューションと呼ばれたりします。

代表導入事例

広木:代表事例です。近鉄百貨店さまは、まだ「S/4HANA」の手前で、SAPシステムのクラウド化と延命を選択し、2030年まで含めた「S/4HANA」の第1段階を始めようとしています。

ローランドさまは、「S/4HANA」化と、SAPサラウンドソリューションとして「Microsoft Azure」を使ったデータ分析などを行っています。また、日本で人気がある「Power BI」というMicrosoft製品を活用した基盤に刷新しました。

日本国土開発は、「S/4HANA」を導入して、さらに「S/4HANA」のアップグレードを行っています。このようにいろいろなお客さまに、そのステージに応じた導入・支援を行っています。

デジタルトランスフォーメーション市場

広木:2点目は、DXについてです。2023年現在のDX市場は4兆円規模ですが、2030年には9兆円になると言われています。

デジタルトランスフォーメーションとは?

広木:DXは便利な言葉のため、いろいろな場面で使われます。特にコロナ禍では、働き方改革のようなことをDXと表現するケースが多くみられました。しかし、本来の正しい意味としては、データとデジタル技術を活用して新しいビジネスを作っていくことがDXのポイントになります。

クラウド利活用・データ活用・デジタル化を推進

広木:我々は、スライドのようなデータの活用を推進しています。特に、AIを使ったデータの分析や最適化、AIを使った新しいビジネス創出にかなり力を入れています。

AI活用の推進

広木:昨今のAIの活用についてです。どうしても生成AIだけが注目されがちですが、予測型AIの活用も重要です。

数字を分析して出していく予測型と、新しいコンテツを作成する生成AIの2つを組み合わせる必要があります。

我々は、特にアプリケーションの開発やクラウド上のアプリケーション開発などを行っています。そのような開発は、AIでかなり効率化できるようになってきています。現在、お客さまの業務へのAIの活用を支援しながら、我々自身もAIを活用して生産性を上げることに取り組んでいます。

我々がAIを活用して行ったことをお客さまにもフィードバックできるため、ある意味モルモット的なイメージで、自分たちで試しながら取り組んでいます。これは我々に限らずIT業界すべてが取り組んでいますが、特に我々はクラウドインテグレーターとして、AIの活用に力を入れています。

バイモータルの対応力

広木:スライドはモード1・モード2と、急に違う話題になっていますが、これは、ガートナーが唱えたシステム導入のやり方です。

モード1は従来型(ウォーターフォール型)です。上から下へ工程を守る作り方で、日本人が得意なやり方です。道路を作ったり、建物を建てたりする際には、しっかり工程を守って進めていくことが大事ですし、大型のシステムはこのやり方になります。

しかし、DXなどの新しいシステムは、この方法で進めていくと遅くなります。何かの工程を守って作った場合、良い品質のものはできますが遅いです。したがって、いかに早くリリースして、フィードバックをもらって改善していくかが大事になります。そのやり方をモード2としています。

「日本人はモード2が苦手」とよく言われますが、やはりモード1が得意な民族だと思っています。しかし、我々のようなクラウド専門家の場合はモード2が非常に重要となるため、モード2で行っています。

一方でSAPなどは、モード1で行いながらモード2も組み合わせていくことが大事です。我々はSAPやクラウド、レガシーシステムを正しく理解しており、新しいシステム導入のやり方も理解しています。バイモータルとして両方のモードを行っている点が、我々の大きな特徴であり、強みになっています。

豊富な導入実績 (デジタルトランスフォーメーション)

広木:導入事例です。ロッテさまでは、内製化の支援をしています。我々が構築して終わりではなく、その後いかにお客さま自身で拡張できるようにしていくかがDXにおいては大事です。

ロッテさまでは、我々が何か作るだけではなく、お客さまが自走できるように長らくサポートしています。お客さま自身が新しいことを行った時には、アーキテクチャやコスト効率が悪くなっていないかなどを我々がチェックして導いています。

ENEOSさまでは、石油化学だけではなく、新しいエネルギーとして水素ステーションや蓄電池を利用した売電などさまざまな事業の展開に着手されており、その開発を伴走型で支援しています。

AGCさまでは、データの分析やシミュレーション基盤の開発など伴走型で支援しています。

このように、データとデジタルを使った変革を伴走型で行うことが我々の特徴です。

マルチクラウド対応マネージドサービス

広木:先ほどもお伝えしましたが、ライセンスリセールとMSPを行っています。

MSP専業会社スカイ365との連携によりMSP事業拡大

広木:MSPについてです。MSPの専業会社であるスカイ365を子会社化しました。スカイ365は、24時間365日体制で監視を行う北海道の会社です。ニアショア的なかたちで24時間365日、夜間も含めてサーバー上に問題がないかを確認し、異常があれば障害対応することを得意としています。

子会社化したことによって、お互いのノウハウの共有や運用プラットフォームの共通化、AIを活用した運用保守の開発などを一緒に行います。今後は、MSPの領域をより拡大していこうと考えています。今お伝えしたことは監視・運用が中心ですが、そこにセキュリティのサービスをつけるなど、クラウドを安心・安全に活用していくサービスを拡張していく予定です。

セキュリティソリューションの拡大

広木:セキュリティについてです。クラウドを安心・安全に使っていただくためには、セキュリティを担保することが非常に重要です。今までのオンプレミスと違い、クラウドはインターネット上のどこからでもアクセスできるため、はじめは正しく導入したつもりでも、DX推進などで拡張していくうちに、途中で穴ができてしまうことがあります。

これは意図せずにオペレーションミスなどで発生することが多いです。例えば、一時的にテストを行うために何かのポートを開けて、終わったあとに閉じ忘れるなどです。些末なことですが、人間の目だけで見つけることは不可能です。したがって、AIなども活用しつつ、自動的に見つけて自動的にふさぎます。それがスライド中央にある「CloudGuard」という製品です。

また、ゼロトラストネットワークという新しいネットワークがあります。ゼロトラストとは、信用できるネットワークはないという考え方です。今までデータは、オンプレミスという企業のデータセンター、いわゆる要塞の中に守られていました。しかし、いろいろなクラウドを使っていると、インターネット上でいろいろなデータ等をやり取りします。そのようなクラウド時代のための新しいネットワーク構築を行っています。

OKTA導入事例

広木:導入事例です。京三製作所さまではゼロトラストネットワークの導入を推進するための「OKTA」という製品を活用し認証基盤の導入を行いました。

このようにクラウドを安心・安全に使うためのセキュリティソリューションを今後も拡大していく予定です。

Our Vision

広木:成長戦略について駆け足でお伝えしてきました。本丸は基幹システムのクラウド化とモダナイズ化です。またDX、特にAIの活用や伴走化支援、クラウドライセンスリセール、MSPというストック型の拡張など、我々が得意な部分を着実に進めていきます。特に今後はAI活用を含めた拡張などを行い、事業を発展させていきたいと考えています。

以上となります。ありがとうございます。

質疑応答:株主還元の方針と今後の見通しについて

坂本:「株主還元の方針と、今後の見通しを教えてください」というご質問です。そうだろうなと思いますが、基本成長に振るというのはよくある答えかと思います。

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