個人投資家向けIRセミナー

工藤智昭氏(以下、工藤):株式会社ジーニー代表取締役社長の工藤です。よろしくお願いします。2025年3月期の通期決算と、本日初めての方もいらっしゃると思いますので、ジーニーグループのビジネスのご紹介をさせていただければと思います。

ハイライト

工藤:まず、前期の決算のハイライトからご説明します。売上収益は113億円となり、前年同期比41.3パーセント増という、大幅な増益を実現できています。

開示した予算に対して、売上収益と売上総利益は若干未達となったものの、営業利益は開示予算を無事超過して25億円となり、計画を達成しています。

また、利益については、前期(2025年3月期)は一過性の利益がありました。そちらを除いた正常利益の今期(2026年3月期)計画は、53.8パーセント増を見込んでおります。ジーニーグループ全体が非常に力強く成長し、年々収益も増えているところです。

ジーニーグループは複数の事業を行っていますが、それぞれが前年比で良い結果を出しています。当社はもともと広告プラットフォーム事業を行うということで創業して、15年が経ちましたが、この祖業についても前年比11パーセント成長を遂げています。また、それを海外展開した事業においても前年比11パーセント増と成長しています。

また、2023年にZelto社を買収しましたが、2024年度の⼀連の再編に伴ってのれんの減損判定基準に変更があったため、のれん減損のリスクがかなり低くなったことが今期(2026年3月期)の重要なトピックとなっています。

マーケティングSaaS事業への投資を長らく行ってきましたが、下期黒字化を達成し、YoYで39パーセント成長を実現できています。

また、M&Aも積極的に行っています。昨年はインフルエンサーPR事業を行うソーシャルワイヤー社に投資し連結子会社化しています。そちらもグループイン後に増収し、営業利益1億7,000万円を達成しています。

さらに、当社の連結外ではありますが、将来的に中核子会社になる予定のJAPAN AI社は、さまざまな機能を続々リリースしており、成長がますます加速している状況です。世界的にAIがブームですが、その中でJAPAN AI社は日本企業としてはかなりトップの位置にいます。

全社業績推移

工藤:業績の推移です。この数年間は好調な成長が続いており、上場から直近4年間は、毎年平均で30パーセント成長できているという実績です。トップラインはそのように伸びており、投資を終えて、営業利益についても前期は、25億円の営業利益が出ています。

前期は⼀過性損益の影響を除いても、前期比で大きく増収しています。今期以降も大きく売上収益を伸ばし、かつ、営業利益も伸ばしていける事業になってきています。

セグメント別|業績割合

工藤:セグメント別の業績割合です。規模感をつかんでいただくため、売上収益を円グラフで示しました。当社の祖業である広告プラットフォーム事業は、売上収益47億7,000万円、営業利益は13億5,000万円です。その広告プラットフォーム事業を海外に展開した海外事業は、営業利益2億7,000万円となっています。

マーケティングSaaS事業は長らく投資事業でしたが、収益化が始まっています。高成長に加え、利益化できるようなフェーズとなりました。規模感的にも40パーセント前後の成長を実現できており、現在も成長中である祖業に追いつく勢いで伸びています。

デジタルPR事業は、先ほどご説明した買収子会社化したソーシャルワイヤー社の数字となっています。

セグメント別|業績割合推移

工藤:セグメント別の業績割合の推移です。マーケティングSaaS事業の割合がどんどん増えていることが見て取れます。

TOPICS 国内外のSSP事業のグローバル統合

工藤:今期以降の開示の話にも絡むことですが、2年前にZelto社という海外の同業他社を買収しました。Zelto社は、主にインドとアメリカでビジネスをしています。

ジーニーグループはもともと日本とアジアでビジネスを展開していますが、インドとアメリカで事業をしているZelto社を統合しました。今後は世界1位を狙うべく取り組んでいきます。

TOPICS
 事業セグメント変更について

工藤:買収後にPMIを進めて体制を統一し、減損集計単位も広告プラットフォーム事業と海外事業を統合して1事業とみなす変更を行っております。

TOPICS
 JAPAN AIにおけるプロダクトの機能改善とAgent機能の新規実装

工藤:JAPAN AI社は我々の連結外の持分法適用会社であり、現在従業員は100名ほどいます。AIを活用して事業を効率化したい、あるいはもっと業績を上げたいという日本企業は本当にたくさんあり、急成長中です。

デジタルマーケティングの全体像

坂本慎太郎氏(以下、坂本):御社の立ち位置や事業の範囲について教えてください。

工藤:まず、デジタルマーケティングの全体像についてご説明します。昔の広告業界はテレビ広告やチラシを打っていればよかったのですが、昨今はYouTubeなどの動画や検索エンジン、LINEなどのSNSなど、スライド下部に記載したようなさまざまな施策例を組み合わせるのが企業のマーケティング活動となっています。

マーケティングにおける課題

工藤:そのような中でマーケティング施策によっていろいろな会社を利用するため、それぞれにコストを払わなければいけないことや、各ツールのつなぎの部分の不整合によりマーケティングが成功しにくくなるなど、マーケティングが複雑化・高度化していることが課題となっています。

坂本:スライドの図でいくと、認知や検討、購入のためのツールが別々であったり、担当者が違ったりということが煩雑で、コストがかかるということですね。御社はそこを統合したツールを提供しているのですね。

工藤:おっしゃるとおりです。我々は、将来的に統合できるものはすべて統合できるツールを提供していこうと考えています。

ジーニーが目指す姿

工藤:その結果、良い商品やサービスをお持ちの企業なら、誰もがマーケティングで成功できる世界を作ることを、我々の中長期的な会社のビジョンとしています。

分断化された施策やプロダクトを一つ一つ買収していき、ジーニー流の最新のテクノロジーを使い、お客さまの費用対効果を高めていきたいです。さらには、自動化やプロダクトの作り変えにより、ジーニーグループのプロダクトラインナップをそろえて提供しています。

事業領域

坂本:お客さまとしてはECで物を売るような企業というイメージですが、どの業種のマーケティングでも対応できるということですね。

工藤:おっしゃるとおりです。

坂本:御社の事業領域について、お客さまはどの業態が多いのですか?

工藤:さまざまいらっしゃいます。日本を代表するようなビルの不動産会社あるいは、インターネットでシャンプーなどの美容系の商品を売られているD2C企業等、その好業績を支えるツールとして使われています。

坂本:御社の事業領域について、ツールの部分のご説明をお願いします。

工藤:スライドの左側が、我々が創業時から取り組んでいる広告プラットフォーム事業です。主に広告や、商品を知ってもらうことに関するツールを「GENIEE Ads Platform」と呼んでいます。

右側は上場前後から始めたSaaS事業です。いろいろなマーケティングで使われるツールを、月額固定のサブスクリプションモデルで提供するビジネスとなっています。

坂本:それらを横断するかたちでAIを組み込んでいくイメージですか?

工藤:おっしゃるとおりです。JAPAN AI社はジーニーとは別の会社ではありますが、ジーニーの各プロダクト、ツール、会社全体にAIを提供しながら、いろいろなお客さまにAI機能自体を販売しています。

坂本:ツールにAIが乗っていることの価値は、すでにかなり高いのですか?

工藤:おっしゃるとおりです。すべてのプロダクトでAIを使える状況です。例えば営業管理のツールであれば、商談の音声データから議事録を自動で残してくれたり、営業マネージャーがするような商談内容の評価や改善案を出したりします。これは我々も使っており、着実に営業力が上がっています。また、営業だけでなく、人事やマーケティングでもAIは活用しています。

優位性サマリ

工藤:ジーニーグループの優位性についてです。市場の中で、圧倒的に費用対効果が良いプロダクトといわれています。費用対効果をコアに、経営管理・テクノロジー・ビジネスの三位一体で価値創出をしています。

例えば広告費を1億円かけた時に、不動産なら家が何戸売れるのかということが、本質的に問われるのがマーケティングであるといえます。我々も顧客の期待に応えるべく、市場で最も費用対効果が高いプロダクトを目指し、それぞれのプロダクトを作り込んでいます。

坂本:御社のサービスを使う企業の業種をおうかがいしたのですが、どのくらいの規模の会社が多いのでしょうか?

工藤:プロダクトや我々の得意領域から考えて、従業員100名以上から、10万人いるようなエンタープライズのお客さまのご利用が多いです。残念ながら、個人向けのお客さまはほとんどいません。

市場規模

工藤:市場規模についてです。当社の売上収益はまだ110億円程度ですが、今のプロダクトを改善することでどのくらいの市場規模があるかを、事業ごとの規模感として表しています。スライドの右側が生成AIの市場を示しています。現在ジーニーグループは高成長していますが、この市場規模から見ても、将来的にさらに大きな企業になっていくことが感じていただけると思います。

坂本:AIの話は、おそらく視聴者の方も気になるところだと思います。JAPAN AI社の成長にかなり力を入れているということですが、そもそもどのようなきっかけがあったのでしょうか?

工藤:ジーニーグループは、おそらく日本の上場企業の中でもかなり成長しているほうだと思いますが、JAPAN AI社は年間5倍から10倍の成長をしています。

坂本:すごいですね。

工藤

もともと私が学生時代にAIを少し学んでいたということもあり、2023年冬くらいにアメリカでChatGPTが出てきて、生成AIのイノベーションが起こった当時、AI技術の論文や動向を見ていて「これは、きっとAIエージェントみたいなものが生まれる」と思っていました。そして、ChatGPTが出た翌年には、AIエージェントを作るチームを作ろうと決断をしていました。

その時に、ジーニーが展開している営業とマーケティングの領域以外も、あらゆる領域向けにフルスイングでAIを提供していこうと決めました。そのため、ジーニーとは別にベンチャーキャピタルから資金調達し、急拡大しているのがJAPAN AI社です。

坂本:JAPAN AI社の今後の展開については、御社のサービスに組み込むのも当然あると思いますが、やはりグループ外の仕事も増えるというか、そちらがほとんどになるイメージでしょうか?

工藤:そうですね。すでにほとんどがジーニーグループ外からの仕事となっています。JAPAN AI社は月に200から300ほどの商談を行っていますが、ジーニー以外からの獲得です。

また、取引できた会社にジーニーグループを紹介したり、逆にジーニーグループから紹介したりといったことも継続的に行っています。おかげさまで、非常に相乗効果の高い状況になっていると思います。

坂本:非常に波に乗っているのですね。

マーケティングSaaS事業の領域

工藤:当社の事業概要です。マーケティングSaaS事業は、実質的に上場後に始めたビジネスです。スライドの右側の、比較検討から優良顧客化までを行うためのツールを提供しています。

マーケティングSaaS事業の仕組み

工藤:マーケティングSaaS事業はサブスクリプションのモデルとなっています。売上の大半は月額固定で、1人当たり、あるいは会社当たりいくらというビジネスモデルですので、先が読みやすく、安定的な収益をもたらすビジネスとなっています。海外を中心に投資家のみなさまから好まれる、業績のボラティリティがないビジネスです。

坂本:先ほどのスライドにさまざまな御社のツールが掲載されていましたが、一つひとつが月額ということですね。

工藤:おっしゃるとおりです。だいたいそのようなイメージです。

坂本:複数導入して月額料金を支払っている会社もかなりあるのでしょうか?

工藤:おっしゃるとおりです。

坂本:それは確かに固い収益になりますね。

マーケティングSaaS事業|売上収益推移

工藤:マーケティングSaaS事業は、直近の四半期ではYoYで48.3パーセントの成長ができています。かねてよりの目標である下期の黒字化も達成することができています。

マーケティングSaaS事業|KPI

工藤:マーケティングSaaS事業の重要なKPIが、スライドに記載した2つです。有料アカウント数と解約率については、アカウント数は非常に増えながら解約はほとんどないという、どちらも非常に良い状況が続いています。

坂本:かなり有料アカウント数が増えていますね。すでに黒字化されているということですが、その背景と、解約率がかなり低いですが、こちらの取り組みについて教えてください。

工藤:解約率が低いことについては、我々にはカスタマーサクセスというお客さまへの価値提供を強めるような部署があります。こちらももちろんAIを使い、自分たちの活動を効率化しています。

プロダクトを提供するだけでなく、実際に使っていただき、お客さまの業績や生産性を改善するところまでサポートしています。そのため、どちらかというと解約というより、別のプロダクトやAIの与件をいただくなどの、長期的なお付き合いをさせていただくお客さまが大半かと思います。

マーケティングSaaS事業|その他指標

工藤:マーケティングSaaS事業のその他の指標です。SaaSの開示企業を調べていただくとわかると思いますが、この事業のARR34億7,100万円は、単体でも上場できるような規模感になっています。

加えて、ジーニーグループも大きく成長しており、日本を代表する企業とのお取引もできるようになってきました。MRRという月額固定の金額の約50パーセントが、エンタープライズのお客さまからのものとなっています。

販管費の売上に対する⽐率

工藤:当社のアクティブSaaSの事業は、安定的に高成長できています。

広告プラットフォーム事業の領域

工藤:広告プラットフォームの事業についてご説明します。主に商品を知ってもらうという認知度に関するビジネスです。

広告プラットフォーム事業|GENIEE SSP/GENIEE DSP

工藤:我々は、広告を表示したいというメディアと広告を出したいという広告主を、システムやマシンで仲介するビジネスを行っています。

坂本:これは、サイトを開いた際にそのページに表示される広告がものすごい速さで、オークション形式で決定されるような仕組みのことですね。

工藤:おっしゃるとおりです。

坂本:そのツールを提供しているということですか?

工藤:おっしゃるとおりです。「GENIEE SSP」はメディア向けのツールで、国内企業としてトップクラスのシェアを持っております。

坂本:個人投資家によく聞かれると思いますが、Cookie規制について、強まるあるいは早まる、もしくは影響はないといった話がありますが、このあたりはいかがでしょうか?

工藤:我々も少なからず影響を受ける可能性がありましたが、最新の状況としてはCookieの規制はなくなりました。

広告プラットフォーム事業|売上総利益推移

工藤:広告プラットフォーム事業の売上総利益は、年間で11パーセント増でしたが、第4四半期はYoY4.7パーセント増に留まりました。

広告プラットフォーム事業|KPI

工藤:広告プラットフォーム事業のKPIについてです。第4四半期においては、YoYで社数は8.0パーセント増、社単は7.1パーセント減となりました。

坂本:この理由は何でしょうか? 一過性のものですか?

工藤:一過性のものです。市場全体というより我々個別の要因ですので、第1四半期中にこの課題を解消すべく推進しています。

海外事業

工藤:海外事業は、今期第1四半期から国内と統合されます。

坂本:どこで、どんなことをされている状況なのか、教えてください。

工藤:日本で広告プラットフォームのビジネスを始めて、それをベトナムやインドネシア、シンガポール、また成長著しいインド等に展開しています。

2023年に、特にインドやヨーロッパ、アメリカの市場シェアを持っている同業のZelto社という会社を買収し、統合が完了したというのが直近の状況です。

坂本:日本のSaaS企業は意外と海外に出るところが少ないのですが、御社はかなり積極的に展開されています。従来の日本の会計SaaSを展開している企業は国内で事業を行いがちなのですが、御社は業種・業態として、広告にGoogleプラットフォームを使うこともあって、グローバルに進出しやすいという部分はありますか?

工藤:おっしゃるとおりです。法律の規制よりも、Googleをはじめとしたエコシステムが世界で似通ってきているため、日本のノウハウがインドやアメリカでも通用します。また、その逆もしかりという市場環境になってきており、我々の世界展開はGoogleに応援していただいていますが、顧客紹介やイベントなども国を超えて非常に行いやすくなっている環境です。

坂本:そのあたりが、海外に進出できる1つの理由ですね。

工藤:他方で、アメリカは市場規模が非常に大きく、まったく同じビジネスをしていても4倍から5倍の売上が立つマーケットです。そのため、ジーニーの強みがある東南アジアやインドで着実に市場シェアを上げながら、アメリカでも市場シェアが取れるようなビジネスにしていきたいと思っています。

海外事業 売上総利益推移

工藤:海外事業については、クリスマスシーズンに一番広告が出るため、毎年第3四半期が繁忙期になります。2024年度は第4四半期も前年同期比で16.1パーセント増と、順調に伸ばせています。

坂本:減損の可能性が低下した部分というのが1つあると思います。冒頭にものれんの減損リスクのお話がありましたが、この部分について、海外事業を見る上で教えていただけますか?

工藤:アメリカやインドに強力に進出するためにZelto社を買収したのですが、その時に50億円以上資金を投下して、それがのれんとして存在しています。

今まではZelto社単体の利益から、この約50億円の価値があるのかどうかを判定していましたが、事業を統合したことにより、日本と海外のビジネスを合計した利益からその価値があるかどうかを判定するように変更しました。

グローバルで合計すると今年は20億円以上の利益が出る想定のため、50億円で買収した時の減損リスクが減少する予定です。

デジタルPR事業

工藤:ソーシャルワイヤー社には、ニュースやPRのプレスリリースを配信するニュースワイヤー事業と、SNSや「YouTube」などのインフルエンサーの方々のキャスティングや仲介をするインフルエンサーPR事業という2つの主力事業があります。

坂本:スライドには4つの事業がありますが、一番売上が大きいのはどれでしょうか?

工藤:ニュースワイヤー事業が一番長く手掛けており、現在業界市場シェアで2位となっています。インフルエンサーRP事業は、成長事業というかたちになっています。

デジタルPR事業 売上収益推移

工藤:ソーシャルワイヤー社は、2024年度第1四半期の後にM&Aを行い、第2四半期から当社のグループ企業となっています。グループ化したことで我々の優秀なエンジニアを何名も派遣し、今非常に速いスピードで機能開発が進んでいます。今までは機能などで明らかに他社に負けていたところもありましたが、そこを解消して、今は新規獲得社数を増やしている状況です。

FY2025 通期業績予想

工藤:今年4月から来年3月までの2025年度の業績計画です。前期は40パーセント超の成長が実現しましたが、今期は35パーセント成長を予定しています。

売上総利益は34パーセント成長、営業利益は9パーセント成長と微増のように見えますが、2024年度の実績には調整額9億円がありました。こちらが金融関係の利益となっており、それを除く正常利益では53.8パーセント増と大きく伸びているのが今期となります。

当社の広告プラットフォーム事業とマーケティングSaaS事業については、競合環境も変わってきています。成長を追いながら販管費や費用なども効率化できるようなフェーズに入っており、かなり競争力も持ててきていると思います。

坂本:これもAIの絡みがありますか?

工藤:おっしゃるとおりです。AIの絡みもあって、1人当たりの売上総利益を1.5倍から2倍にするという取り組みを、社内のプロジェクトとして今年はトップダウンで進めています。そこはまだ織り込んでいませんが、ここからかなり効果が出てくるのではないかと思います。

坂本:それができればAIはすごいと周りも認知すると思いますし、できると思います。すると、そこの部分がまたAIを使ったビジネスになりますね。

工藤:おっしゃるとおりです。我々の資本業務提携先で、上場企業であるピアラ社という会社がありますが、そこは資本業務提携の中で我々のAIを導入しており、我々も自社において適用をどんどん進めていますので、今後は販管費の抑制もかなり期待できると思います。

坂本:特に、御社のようなグロース市場の先端企業のほうが、その影響が早く出てきそうですね。

工藤:おっしゃるとおりです。

中⻑期目標水準について

工藤:以上の状況も加味して、トップラインは2030年まで平均30パーセント前後の成長を続けるという計画を持っています。

中期経営計画については今期が終わった後に開示させていただきますが、効率化や我々の競争力が上がってきているところも加味して、2030年までの営業利益の伸びは平均35パーセントから40パーセントを実現できるのではないかと考えています。

坂本:今までも、一過性の部分を除くとオーガニックに積み上げてこられています。これがそのまま伸びていくイメージでよろしいですか?

工藤:おっしゃるとおりです。若干、販管費率を改善しながら伸ばすイメージです。

坂本:売上も伸びると思うので、利益率を上げながら伸びていくというイメージですね。

工藤:おっしゃるとおりです。

坂本:M&Aについてうかがいたいのですが、今後も積極的に行っていくのかどうかについて、お話しできる範囲でかまいませんので、教えてください。

工藤:ジーニーに関しては、今期は予定していません。自分たちの業績向上と収益改善に当面努めていきます。また、プライム上場も狙っているため、それらが達成できたらまたM&Aも再開していく予定です。

また、JAPAN AI社はベンチャーで、設立から2年目の会社ではありますが、JAPAN AI社単体でM&Aをするという計画もあります。ジーニーがM&Aを行わない間は、JAPAN AI社のほうでM&Aを何件かする予定です。

坂本:資金も集まりやすい業態なので、そこで成長を早く実現するわけですね。

今後成長していくイメージですが、大きく4つある事業ポートフォリオのうち、どれが伸びていくイメージでしょうか?

工藤:広告プラットフォームと海外事業を合わせて広告プラットフォーム事業になりましたが、そちらは年平均15パーセント前後で成長していこうと考えています。広告市場全体でいうと10パーセントを切っているような状況です。

坂本:その中で市場を取っていくということでしょうか?

工藤:おっしゃるとおりです。その中で市場を取っていって、海外市場も取りながらそれぐらいの成長率を維持していく方針です。

マーケティングSaaS事業は、年率30パーセントから40パーセント成長を毎年実現していきます。特に、鍵はエンタープライズのお客さまとの取引拡大です。これを継続的に行う限りは、実現できるかと思います。

坂本:それで伸びていけば黒字化を達成して、そのまま利益が乗って、おそらく利益率も伸びてくるというイメージでしょうか?

工藤:おっしゃるとおりです。マーケティングSaaS事業も、徐々に利益が出てくると思います。

坂本:そうすると、近いうちに売上が逆転しそうな感じでしょうか?

工藤:おそらく来期か、四半期ベースだと今期中もあり得ます。

JAPAN AI社は連結外で伸ばしており、2030年までに年率30パーセントで伸びるジーニーに追いつくという見込みです。

坂本:これは計算が難しいですね。私の簡単な計算では、おそらく300億円ぐらいになる時に、ジーニーは抜かされてしまいそうですね。

工藤:そのような勢いで進めています。創業事業は着々と市場平均まで伸ばそうとしていますし、マーケティングSaaS事業は、他の会社もSaaSで伸びていますが、このペースを続けていきます。そしてJAPAN AI社は、高成長しているジーニーグループに追いつけ追い越せという勢いで取り組んでいます。

坂本:JAPAN AI社もどこかで上場すれば、それなりの果実が御社に跳ね返って、利益と売上が出てくるということですね。

工藤:おっしゃるとおりです。売上収益、営業利益もいつか連結する予定ですので、その時にジーニーグループが倍ぐらいなることを楽しみにしていただければと思います。

坂本:その時、利益率がジーニーより高ければ、株価はまた上がると思います。

四半期毎業績予想

工藤:業績の四半期推移です。金融収益などによりでこぼこしておりわかりづらいですが、スライドのグラフのようなかたちとなっています。

特徴としては、前年同期で比較すると売上収益や売上総利益がきちんと伸びています。また今年の営業利益は、昨年ほど一過性要因はありませんが、正常利益で着実に伸びている想定で計画を置いています。

当社は下期偏重型になっており、アメリカの広告業界が第3四半期、日本では第3四半期および第4四半期に広告が集中投下されるため、第3四半期、第4四半期に営業利益が伸びやすくなっています。

継続的成⻑投資

坂本:こちらは先ほどお話いただいた部分もありますが、投資の優先度についてお聞かせいただけますか?

工藤:今、当社は20億円以上の営業利益がありますが、過去にM&Aをかなり実施したため、有利子負債が大きくなってきています。

第三者割当増資については株主のみなさまも懸念されるところですが、今のところまったく予定していません。基本は営業キャッシュフローを使って徹底的に管理して、その利益の中から事業投資やM&Aを行っていく想定です。

また、我々はソフトバンクが上場前からの大株主でしたが、昨年そこから株式を自分たちで買い戻しました。そのようなこともあり、新たに新株を発行するよりは、それを使って調達やM&Aをしていく予定です。

質疑応答:今後の海外展開について

坂本:「今後の海外展開について、現状はアジアを中心に行っているということですが、欧米も視野に入れて展開されるのでしょうか?」というご質問です。

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