目次

綾部貴淑氏(以下、綾部):みなさま、こんにちは。KIYOラーニング株式会社代表取締役社長の綾部です。本日はお忙しい中、ご視聴いただきまして誠にありがとうございます。

今日は、投資家のみなさまに、当社の事業や数字、今後の見通しなどをできる限りわかりやすくお話しできればと思いますので、よろしくお願いします。

本日のアジェンダです。会社・事業概要、当社が行っている事業の市場環境と当社の長期戦略、今実行している「中期経営計画2026」の目標と基本戦略、2025年12月期の業績予想の順にお話しします。

Mission and Vision

綾部:社名はKIYOラーニング株式会社です。ミッションは「学びを革新し誰もが持っている無限の力を引き出す」です。テクノロジーの力を使って学びを革新していくこと、そして人の力を引き出していく活動を支援していくことをミッションにしています。

ビジョンは「世界一『学びやすく、分かりやすく、続けやすい』学習手段を提供する」です。世界一の学習サービスになっていきたいという思いを込めたビジョンです。

事業とサービスの概要

綾部:事業とサービスの概要です。当社は、学びに関するサービスを行っています。大きく分けると、個人向けのサービスと法人向けのサービスに分けられます。

スライド左側が個人向けのサービスで、当社ではキャリア支援プラットフォームと呼んでいます。人々のキャリアを支援していくような位置づけの事業です。

当社の一番大きな事業は、祖業でもある「スタディング」というサービスです。今CMなども放送中ですが、「スタディング」は、学びやすく・わかりやすく・続けやすいオンライン資格講座です。

スライド右側は法人向けの事業で、今どんどん伸ばしているところです。この中核になっているのが、クラウド型eラーニングサービス「AirCourse」です。

さらに、1年前から新たに2つ事業も展開しています。スライド左下の「スタディングキャリア」は、資格を取った人が、その資格を活かして転職して活躍できる、ダイレクトリクルーティングサービスです。

もう1つは、スライド右下の「AirCourse AIナレッジ」で、昨今話題になっている生成AIを会社の中で活用していく、法人向けのサービスです。

このような4つの事業を展開しています。

継続的な高成長を実現

綾部:業績は幸いにもどんどん伸びており、スライドのグラフのとおり、売上高は2015年以降、9年間で約53倍になっています。直近の決算である2024年12月期の売上高は、44億円余りとなっています。

当社が東京証券取引所マザーズ市場に上場したのは、2020年です。その時には売上高が約15億円でしたので、この4年間で約3倍になっています。

この間は、システム開発やコンテンツ開発、マーケティングなどに先行投資し、成長を優先してきました。したがって、利益は少し黒字になっている程度ですが、今後は徐々に利益が増えてくるフェーズだと考えています。

「学びの革新」と成長の軌跡

綾部:スライドの図は小さいのですが、当社の創業からの軌跡を示しています。左端に記載のとおり、2008年に私が個人事業で始めたところからスタートしています。当時は「スタディング」ではなく、「通勤講座」という名前で事業を開始しました。

この事業を始めたきっかけは、私が通信講座で挫折した経験にあります。私はサラリーマン時代、「中小企業診断士の資格を取りたい」と思ったことがあり、忙しかったため、通信講座で学びました。

費用はかなり高く、数十万円もかかりました。そして、ダンボールにテキストや問題集、過去問などの冊子が数十冊も入って送られてきました。しかしながら、どこから手を付けてよいかわからず、「とりあえず1冊目のテキストから全部覚えよう」というようなかたちで進めたのですが、当然すべては頭に入らず、1ヶ月も経たずに挫折してしまいました。

この失敗経験を振り返り、もっとITを使えば効率的な学びが提供できるのではないか、もう少しコストパフォーマンスが良いサービスはないのか、と思ったのがこのサービスを始めたきっかけです。

その後、いろいろな勉強法を研究し、自分なりの勉強法を編み出して、スムーズに中小企業診断士に合格することができました。そこで得た勉強法のノウハウを講座にして、忙しい方に届けていきたいと思い、この事業を開始しました。

当時はまだ今ほどスマートフォンが普及しておらず、「iPod」が非常に流行っていました。そこで、「iPod」で聞ける音声講座を作ればよいのではないかと考えました。そして教材も工夫し、2008年から教材のダウンロード販売を始めました。

そして、徐々にお客さまも増えてきた中で、スマホが急速に普及してきました。2012年頃には、「きっと誰もがスマホで勉強する時代が来る」と思い、思い切って、スマートフォンで学びやすい学習システムを自社で開発しました。

その後、「YouTube」を始めとする動画視聴が急速に流行ってきました。これからは音声ではなく、動画の時代だと感じました。講座も動画のほうがわかりやすいだろうと思い、動画のスタジオを工夫して作り、2014年頃にはわかりやすい動画の講座を作り始めました。

この頃から中小企業診断士以外の資格も、どんどん売れるようになってきました。そこで、投資家に投資していただきながら、講座も増やして、スタディング事業をどんどん伸ばしていきました。

その過程で、学習システムや学習コンテンツのノウハウがかなりたまってきましたので、社員教育にも使えるのではないかと考えました。また、当時はeラーニングサービスというとクラウドではないものが多かったため、クラウドサービスにしたら、もっと使いやすくて導入しやすいものができるのではないかと思い、始めたのが「AirCourse」です。

その後、AIがどんどん普及してきました。AIを使えばもっと個別最適化した学びができるのではないかと思い、AIの取り組みをかなり積極的に行ってきて、今に至ります。

話が長くなってしまいましたが、このようなかたちで、個人向けのスタディング事業と、法人向けのAirCourse事業を行っています。

社員数推移

綾部:社員数推移です。上場以来、社員数もどんどん増えています。2020年に上場した時には30人程度でしたが、今はその約4倍の120人を超える規模になってきています。

システム開発やマーケティング、講座を作る人に加えて、法人事業などの新しい事業を成長させるために、中核人材の採用を強化しています。

個人を取り巻く環境の変化と学習の変化

綾部:当社が事業を行っている市場環境および長期戦略について簡単にお話しします。個人を取り巻く環境は今、「大波が来ている」と言ってもよいほどの大きな変化が起きています。

1つ目に、AI、特に生成AIが急速に進化してきています。従来の教育では、先生やコーチなどは「人」が担わなければいけませんでしたが、その部分をAIが代替できるような時代になってきていると思います。一人ひとりに個別最適化した学びをAIが行っていく、超効率的な学びの時代になってきています。

2つ目に、リスキリングの需要が非常に増えてきています。

3つ目に、1人で転職や副業をしながら、一生涯、キャリア開発していかなければいけない時代になってきており、学びのニーズが非常に高まってきています。

4つ目に、学習環境においては、スマートデバイスやAIを使った学びが普及しつつあります。

企業を取り巻く環境の変化と人材育成の変化

綾部:企業を取り巻く環境も、負けず劣らず急速に変化しています。1つ目に、AIを使った学びは企業でも今どんどん必要になってきています。

2つ目に、DX・リスキリングが進んできていますので、会社の中でいろいろな学びが必要になってきています。

3つ目に、今、会社では人的資本経営が注目されています。会社の中で一番大事な資本は、人です。したがって、人に対して投資をしていこうと考え、積極的に人材投資する会社が増えてきています。

4つ目に、学習環境は、デジタルを活用した育成にかなり進化してきています。特にこの数年間、コロナ禍でテレワークが普及しました。それにより、従来の集合研修中心の育成施策がほとんどでしたが、今はオンライン研修やeラーニング、ナレッジマネジメントなど、いろいろなデジタル手段を組み合わせた学習、育成にシフトしてきています。

当社のプラットフォーム戦略

綾部:このような市場は、当社にとって追い風要因となります。当社も、このような追い風をうまく捉えて成長できるような戦略を描いています。

一番ハイレベルな戦略が、スライドのプラットフォーム戦略です。スライド左側が、キャリア支援プラットフォームで、個人のキャリアを生涯にわたって支援していく事業です。そのように捉えると、「スタディング」は学習サービスになります。多種多様な資格の学習を行っていますが、資格だけではない学びも将来的には展開可能だと考えています。

また、学んで資格を取り、資格を活かしてキャリアアップしていただくのが、ダイレクトリクルーティングサービス「スタディングキャリア」です。

スライド右側は、法人企業向けの戦略です。人的資本活用プラットフォームということで、従来の「AirCourse」という育成はもちろん、人材の採用、そして育成した方が社内で活躍できるように生成AIを活用していく「AirCourse AIナレッジ」というサービスを行っています。

このように、「スタディング」と「AirCourse」という学習サービスを強みにしていますが、その周辺である転職の市場や、生成AIの市場に加えて、いろいろな学習市場にも展開していこうと考えています。

また、当社はAIが得意です。スライドの図の中央にあるのはデータになります。さまざまな方の学習データやスキルのデータ、資格のデータなどを蓄積してAIで分析していくことで、学習の個別最適化ができます。さらに、転職のマッチングなどにもAIが活用できると考えています。

事業ポートフォリオの拡張

綾部:事業ポートフォリオの拡張については、スライドの図のような方向性を考えています。

スライド左下が既存の事業です。資格取得の「スタディング」と法人教育の「AirCourse」に関してはどんどん成長させていっているところです。

さらに事業を活かして、既存のお客さまに対して新しいサービスを提供するという観点では、スライド右下にある、転職サービス「スタディングキャリア」と、生成AIによる人材活用支援「AirCourse AIナレッジ」をすでに展開しています。

これだけではなく、いろいろな展開を社内で考えているところです。例えば、スライド左上に記載のとおり、既存の組織能力を活かして新たな市場を展開していく観点では、資格以外の講座の展開が挙げられます。

後ほどご説明しますが、プログラミングなどを学ぶ「スタディングテック」というサービスもすでに展開しています。このような領域にもいろいろと展開していきながら、事業を大きくしていこうと考えています。

市場ポテンシャルと事業展開

綾部:市場ポテンシャルと事業展開です。スライド上のキャリア支援は、個人向けの市場です。資格取得マーケットは、当社のメインターゲットである「スタディング」のマーケットです。スライドに示したのは矢野経済研究所の統計ですが、毎年約1,900億円規模の安定したマーケットになっています。

ただし、規模は安定していますが、中身は急激に変化しており、従来型の教室講座、通信講座から、オンライン講座にどんどんシフトしてきています。オンラインへのシフトについては当社が牽引しており、市場がオンライン中心に変わっていく中でNo.1になっていくことが当社の狙いです。

個人向けの学びについては、語学や通信教育、IT教育など、資格以外の学びがいろいろありますので、そのようなところも将来的に展開していこうと考えています。

また、資格取得で得たユーザーに活躍していただくという観点では、ダイレクトリクルーティング市場、人材の転職を支援する市場が今どんどん大きくなっています。こちらは「スタディングキャリア」が展開している領域です。

スライド下半分が法人向け、人的資本活用プラットフォームです。一番メインになるのが、eラーニング市場です。1,100億円余りの規模となっており、今大きくなりつつある市場です。この領域は「AirCourse」のターゲットとして、シェアNo.1を目指していこうと考えています。

企業では今、従来型の集合研修もどんどんデジタルシフトしながら、オンライン研修、eラーニングに置き換わっていっているところですので、広い意味では研修マーケットもターゲットになってくるかと考えています。

また、去年展開してきた「AirCourse AIナレッジ」という生成AI向けのプロダクトの市場が今、急激なスピードで伸びており、こちらも狙っていこうと考えています。

最終的には、ビジョンにありましたように、世界一の教育サービスになっていくことが私の夢でもあり、達成を目指して取り組んでいるところです。

当社の強み(組織能力)と事業展開

綾部:スライド左側の5つの丸は、ラーニング・テクノロジーと呼んでいる当社の5つの強みです。1つ目は、学習システム開発力で、学びやすい仕組み、効率よく学べる仕組み、続けやすい仕組み、このような仕組みを作る力です。

2つ目は、学習コンテンツ開発力です。当社では「スタディング」や「AirCourse」の講座を、すべて自社で開発しています。このようなコンテンツの開発力、良いコンテンツをコストパフォーマンス良くスピーディに作れる力です。

3つ目に、最近強化しているのがAI・データ活用力です。この力を強化することで、個別指導をAIが行っていくかたちになります。

4つ目は、Web集客・販売力です。特に「スタディング」では、当社には営業員が1人もいません。すべてWebで集客して、Webで販売するというeコマースのモデルになっており、非常に効率的にグロースができています。

5つ目は、ローコストオペレーションです。先ほどお話ししたように、当社の講座はすべてデジタルコンテンツ、デジタルサービスになりますので、原価率が非常に低いことが当社のビジネスモデルの特徴です。他社に真似できないようなローコストオペレーションができますので、講座の価格も従来よりもかなり安く提供できています。

2026年度の財務目標

綾部:「中期経営計画2026」の目標と基本戦略についてお話しします。

「中期経営計画2026」は、2024年度から2026年度までの3ヶ年計画で、2024年2月に発表したものです。現在は2024年度が終わり、中間の年度にあたる2025年度に入ったところです。つまり、2026年度は、来年の目標となります。

2026年度に売上高58億円から64億円をガイドラインとして出しています。もともと2023年が38億円程度でしたので、比較するとおよそ1.5倍から1.7倍弱の売上になってきます。

営業利益を増やしていこうとしているフェーズになってきています。今まではまず売上高(トップライン)を伸ばしていく段階でしたが、スタディング事業もかなり大きくなってきて、事業効率も良くなってきていますので、ここから利益も増やしていこうと考えています。

今までは「売上一辺倒」でしたが、売上プラス利益を視野に入れていきます。2026年度の営業利益の目標は、3億5,000万円から4億8,000万円と考えています。

中期経営計画:数値目標

綾部:先ほどお話ししたとおり、今年度は中期経営計画の2年目に当たります。スライドの左と右にグラフがありますが、左のグラフが中期経営計画を出した時の計画になります。そして、2024年度が終わって、現在2025年度の業績予想を出したのが右のグラフです。

グラフを比較すると、2024年度のところが予想に対して売上利益ともに増収増益となっています。予想よりもハイペースで成長できましたし、営業利益も予想よりも増やせたという実績がありました。

そこで、2025年度に関しては当初のレンジのほぼ上限で予想を出しています。売上高は、49億円から52億円と予想していましたが、上限いっぱいの52億円としています。

また、営業利益に関してはレンジが1億8,000万円から2億2,000万円でしたが、もう少しいけるだろうと考え、3億円としました。

当社の狙いとしては、中期経営計画最終年度の2026年度をレンジで出していますが、このレンジの上のほうに着地させていきたいと考えており、その目標に向かって2025年度は取り組んでいるところです。

中期経営計画:事業別目標

綾部:事業別目標です。事業規模ではまだスタディング事業のほうが大きいのですが、成長率と言うと、法人事業は急激な勢いで伸びてきています。

スタディング事業もまだ伸ばせると考えています。売上を成長させていきつつ、利益も増えてきているフェーズになっていますので、その利益を使って法人事業および新規事業に投資することで、第2、第3の柱を作っていこうと考えています。

中期経営計画2026 基本戦略

綾部:基本戦略です。売上成長と収益力強化を達成するために、成長戦略が3つあります。

1つ目の成長戦略として、一番大きいスタディング事業の成長と収益力強化にしっかりと取り組んでいこうと考えています。資格取得市場では、当社は後発です。今、どんどん新しいユーザーを獲得していますが、いまだ成長余地が大きいと考えています。

マジョリティ層も取り込んでいくことで、この事業をまずしっかり伸ばし、かつ収益力も伸ばしていこうと考えています。そして、そこで得た収益を2つ目、3つ目の成長戦略に投下することで、2本目、3本目の柱にしていこうと考えています。

2つ目の成長戦略は、法人事業の本格的グロースです。法人のeラーニング市場を中心に、法人事業を本格的に展開しているところです。

3つ目の成長戦略は、新規事業展開とプラットフォーム成長です。先ほどお話しした「スタディングキャリア」や「AirCourse AIナレッジ」などの新規事業を展開していきます。また、それ以外にも、将来の種まきをしっかり行っていきます。

これを行っていくために、先ほどご紹介したAI機能や学習システム、マーケティング、コンテンツ、ローコストオペレーションといった組織能力を強化しているところです。

また、人材がすべての基盤になるため、成長を支える優秀な人材を採用して育成しています。企業規模も大きくなっているため、経営管理やコーポレートガバナンスなど、基盤の強化も行っています。

スタディング事業:コンセプト

綾部:事業別にポイントをご紹介します。まずはスタディング事業です。

「スタディング」は「学びやすく・わかりやすく・続けやすいオンライン資格講座」です。忙しい方でも資格、特に難関資格を取れることがコンセプトの講座になります。

自分自身もそうでしたが、働きながら勉強することはなかなか大変だと思います。そのような忙しい方でも資格が取れる、ということが当社の提供価値です。

スマートフォン・タブレット・PCを使って効率的に学べます。コンテンツもわかりやすい動画で学ぶことができ、問題集など合格に必要なものはすべて含まれています。価格も非常に安いという特長があります。

スタディング事業:合格者No1戦略

綾部:スタディング事業の基本戦略は「合格者No.1戦略」です。スライド内で青く塗りつぶした部分を、円を描くようにぐるぐる回していこうというものです。この戦略のポイントは、合格者を増やしていくことです。

資格を取りたいと考えた人がどこで勉強したらよいのか考えた時、合格実績が一番出ているところが安心すると思います。したがって、合格者シェアでNo.1になっていこうというシンプルな戦略です。

合格者が増えるとサービスに対する安心感が出てきて、ユーザーが増えます。ユーザーが増えるとデータが蓄積されるため、それらのデータを用いて、AIによる学習の個別最適化ができるようになります。

効率的に学べると、さらに合格者が増えていくという好循環が生まれます。事業が成長していけば、低コスト構造の低価格でサービスを提供できることにもなります。さらに優秀な講師やスタッフの採用にも有利に働き、結果として高品質なコンテンツが作れるという好循環になります。

スタディング事業:マジョリティ層の取り込み

綾部:資格取得のマーケットについてです。約10年前までは、オンライン講座はおそらく当社ぐらいしかなかったため、マーケットはスライド左側のような状況だったと思われます。

資格を取ろうと思ったら、勉強の手段としては通学講座、通学する時間がなかったら通信講座、講座の受講料が高いなら本屋で本を買って独学、という3択のうちどれかでした。そこに当社が「スタディング」を始めたことで、第4の選択肢としてオンライン講座が出てきました。

昨今はAIの進化や、コロナ禍によってオンライン学習がかなり普及した事情もあり、スライド右側の図のような状況にどんどん変わってきています。つまり、従来の手段よりもオンライン講座を選ぶ方が増えてきています。

その中でも、当社がオンラインセグメントを牽引していると考えています。ここでNo.1になっていくことで、最終的には資格取得市場でシェアNo.1になっていきたいと考えています。

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):質問です。オンライン講座の「スタディング」と、通信講座との価格の差は、資格にもよると思いますが、だいたいどのくらいあるものでしょうか?

綾部:けっこうな価格差があります。資格にもよりますが、例えば、中小企業診断士の講座は、通学講座や通信講座だと30万円ぐらいの価格です。

Ken:けっこう高いですね。

綾部:けっこう高いですよね。当社の「中小企業診断士講座」は6万円から7万円ぐらいです。

Ken:5分の1ぐらいですか?

綾部:そうですね。5分の1か4分の1です。もちろん資格によって金額が異なりますが、そのような圧倒的な価格差がある状況です。

Ken:「スタディング」は、実は私の友人も使っています。4年ぐらい前から不動産系の資格を「スタディング」で総なめにしているらしいのですが、ユーザーはやはり若い方がメインで伸びているのでしょうか?

綾部:その友人はお若い方ですか?

Ken:26歳ぐらいだと思います。

綾部:確かにお若い方も多いです。ただし、いろいろな資格がありますが、全体でならすと30代、40代ぐらいが実は一番多いです。

特に難関資格は年配の方が増えてくる傾向にあります。中小企業診断士だと30代、40代が中心で、次に50代、20代です。難易度がやさしい資格になってくると、もう少し若い世代の方が多いです。資格によっても違いがあります。

Ken:そうなると、オンライン講座は今、いろいろな年齢層に広がっているということでしょうか?

綾部:若い方が中心なのではと思われる方もいますが、30代、40代ぐらいのミドル層が一番多いです。

最近はシニア層も増えてきています。50代、60代ぐらいの方もけっこう多いです。おそらく、定年後も自分が活躍できる場を作りたいということを見据えて、資格を武器にしようとしているのではと考えています。

スタディング「合格者の声」件数推移(累計)

綾部:今お話しいただいたように、「スタディング」でいろいろな資格に合格している方は、ありがたいことに右肩上がりで増加しています。

スライドのグラフの数字は、資格試験が終わった後に当社がアンケートを取り、そこで合格体験談を書いてもらった方の人数です。合格体験談は、そのまま当社のWeb上に載せており、実数としては2024年末で2万7,000人超まで増えてきています。

最近はいろいろなところで「『スタディング』を受けているよ」「合格したよ」など、口コミがかなり広がっていると思います。それによって安心感や知名度が向上し、勉強しよう、資格を取ろうと思った時に「『スタディング』かな」と考える方が増えています。

スタディング事業:講座ラインナップの拡充

綾部:当社はいろいろな講座を提供しています。どんどん横展開しており、現在は37講座あります。ビジネス、法律、会計、不動産、IT、公務員、語学、医療、福祉など、さまざまな講座を展開しています。

特に最近増やしたのがIT系の講座です。去年の第4四半期にも、スライドの中に赤い文字で示している「ネットワークスペシャリスト」という講座と、「スタディングテック」というサービスを始めました。「スタディングテック」は資格講座ではなく、プログラミングやAIを学ぶ新しいタイプの講座です。

他に大きな取り組みとしては、「公認会計士講座」が1月からプレオープンしています。現在はモニターの方に受講いただいており、3月に本リリースを予定しています。公認会計士は最高峰の難関資格でマーケットも大きいため、しっかりと取り組んでグロースさせていこうと考えています。

スライド下側のピラミッドのような図でイメージしてもらいたいのですが、いきなり難しい資格から勉強に入る方は、実は少ないです。最初に簡単な資格を取り、徐々に難易度を上げていく方が多いため、当社もそのような流れを作っています。

スタディング事業:AIと学習データの活用

綾部:スタディング事業ではAIの強化にもかなり取り組んでいます。スライドの中央にある「AIマスター先生」は、生成AIが人間の先生のように個別指導するタイプのものです。学習プランを作る「AI学習プラン」や、わからないところが出てきた時に質問できる「AI検索・AI説明」という機能があります。

他にはリアルタイムで実力がわかる「AI実力スコア」、復習を自動的にレコメンドしてくれる「AI問題復習」など、このような部分はAI尽くしと言ってもよいと思いますが、個別に最適化した学びを提供しています。

スタディング事業:生成AIによる学習サポート

綾部:論文試験などをAIが添削してくれる、「AI添削」という機能も去年リリースしています。

スタディング事業:AIによる学習の個別最適化

綾部:また、勉強していると自分の実力がどのくらいなのかわからないことがあると思います。現時点で試験を受けたら何点取れると予測してくれる「AI実力スコア」という機能もあります。

スタディング事業:テレビCMによる認知拡大

綾部:マーケティング面において、当社はWebマーケティングが強みだとお伝えしました。ここ数年はマスマーケティングも併用しています。つまり「資格を取るなら『スタディング』」というブランドイメージを作っていこうということで、川口春奈さんにテレビCMのメインキャラクターになってもらい、CMによる認知拡大にも取り組んでいます。

新規事業展開:スタディングキャリア

綾部:「スタディングキャリア」も1年ほど行っていますが、成約実績がかなり出てきています。「スタディングキャリア」は、取得した資格を登録すると企業や転職エージェントからスカウトが届き、転職のマッチングを行うサービスです。

法人教育事業:コンセプト

綾部:もう1つの事業が法人事業です。法人事業の中心になっているのは「AirCourse」という社員教育のクラウドサービスです。

1,000個以上のいろいろなコースが受け放題という特長があります。そしてもう1つの特長は、自社コースを簡単に作成して社内で共有できるという仕組みです。したがって、基礎的なメニューは受け放題ですぐに受講することができ、自社独自のノウハウは自社コースにして展開できます。

価格も非常に安く設定しており、1,000名で受講される場合には、月あたり1ユーザー200円です。企業の全社員の学習基盤になっていくというコンセプトの事業です。

法人教育事業:人材育成をDX化するサービス

綾部:企業では人材育成のDX化がどんどん進んでいます。eラーニング、動画マニュアル、ナレッジ共有、生成AIの活用などをすべてカバーしているのが「AirCourse」です。

法人教育事業:競争優位性を強化する方向性

綾部:法人教育事業の強みは、低価格だけではなくコンテンツが豊富であることと、学習効率が非常に良いことです。これには「スタディング」からずっと行ってきている、学習システムのわかりやすさ・学びやすさ・続けやすさという特長が表れています。

法人向け教育事業:契約企業数・平均解約率 四半期推移

綾部:おかげさまで契約企業数もどんどん増えています。こちらはSaaSビジネスであるため、解約がなければ契約をずっと継続してもらえることになります。解約率を下げることにも、現在取り組んでいます。

法人向け教育事業:大規模顧客増で成長が加速

綾部:スライドに記載のとおり、大きな会社から中堅会社、小さい会社など、いろいろな企業にご利用いただいています。

法人教育事業:受け放題の社員教育動画コース

綾部:受け放題にはいろいろなコースがあります。

法人向け教育事業:標準コースの強化方針

綾部:最近では生成AIを活用する方法や、スライド右側に示している育児・介護休業法のコースをリリースするなど、会社で取り組まなければいけない課題についてもいろいろなメニューがあります。

法人教育事業:人材育成の可視化と効率化

綾部:また、人材育成を可視化することができます。誰がどのくらい学んでいるのか、スコアがどのくらいなのかということが一目でわかるレポートもあります。

新規事業展開:AirCourse AIナレッジ

綾部:生成AIを使ったサービスである「AirCourse AIナレッジ」に新しく取り組んでいます。人によっては生成AIをどんどん活用していると思いますが、多くの人はまだ上手に活用できていないと思います。そのような方のために、誰でもすぐに使えるようなプロンプトのテンプレートが、150種類以上揃っています。

そのため、イチからプロンプトを作らずに、業務へ簡単に適用することができます。さらに、そこで得られた結果を会社の中でナレッジとして共有できる仕組みがあります。このようにして、組織内で生成AIのナレッジを高めてもらうことが、このサービスの特長です。

2025年12月期 通期業績予想

綾部:最後に、2025年12月期の業績予想についてお話しします。2025年の売上高に関しては52億円、前年同期比16.4パーセント増を見込んでいます。

営業利益に関しては3億円、前年同期比41パーセント増となります。売上が成長しているため、利益のほうも成長させていこうというかたちです。

2025年12月期 事業別売上予想

綾部:事業別に見ると、スタディング事業は引き続きしっかりと伸ばしていきます。法人向け教育事業は現在の成長ペースが早いため、さらに成長させて2本目の柱に育てていこうと考えています。

2025年12月期 半期毎の業績予想

綾部:業績予想を半期別に見ると、当社は前半の1月から6月の売上と利益が低くなります。事業構造上、スタディング事業の講座の売上は、お客さまが買った時から受講期限まで毎月均等で売上を按分して計上するため、タイムラグが生じてしまいます。

受講期限の到来は年の後半が多いため、そちらに売上が集中するという構造です。

投資家の皆様へのメッセージ

綾部:今までのところをまとめて、投資家のみなさまへのメッセージを4点お話しします。

1点目は、当社は成長力が高く、収益性を向上していける会社であるということです。これまで売上がかなり成長しています。マーケットも大きいため、今後も売上を伸ばしていけると考えています。収益性も高まってきており、利益も拡大していけると考えています。

2点目として、市場機会も非常に拡大しています。個人のキャリア開発や企業における人材投資、リスキリング需要などの追い風を捉えて成長していこうというところです。

3点目は、競争優位性が高いということです。ITとAIを活用した個別最適化した学びと、効率的なビジネスモデルによって、他社との圧倒的な差別化を実現しています。

4点目として、このような革新によって市場No.1を目指します。新たな市場リーダーとして個人向けの教育市場、法人向けの教育市場の両方でNo.1を目指していこうと考えています。

ご説明は以上です。ありがとうございました。

質疑応答:「スタディングキャリア」について

Ken:「スタディングキャリア」について質問です。こちらは人材という部分と相性が良いと思っていますが、足元の進捗状況について教えてください。

ここから先は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

※本登録案内のメールが確認できない場合、迷惑メールフォルダやゴミ箱に自動的に振り分けられている可能性がありますので、今一度ご確認いただきますようお願いいたします。