決算ハイライト

渋谷順氏(以下、渋谷):株式会社スマートバリュー取締役兼代表執行役社長の渋谷です。本日は、2025年6月期第2四半期決算説明をご視聴いただきありがとうございます。

まずは決算ハイライトです。この上期、営業損益は赤字ながら計画を上回り、前年同期比および計画比において大幅改善で着地できました。

当社は下期偏重の傾向があります。2025年4月にスマートベニューの新事業が開業するため、第4四半期に数字が積み上がっていきます。

まだ赤字ながらも、1億5,200万円の赤字、計画値では2億1,600万円の赤字です。2024年6月期は3億300万円の赤字でしたので、下期にしっかり取り組むことで、通期の黒字化を実現させたいと考えています。

3つのセグメント別にご説明します。まずはデジタルガバメントについて、受注率は若干回復傾向にありますが、競争が非常に激化しているため、単価の低下が見られます。

また、提携先のさくらインターネットへのクラウド環境の移行に伴いデータセンター事業が終了し、二重コストが発生しました。しかし、これらを吸収しながら、なんとか増収増益を確保しています。

行政デジタル化領域という非常に大きなマーケット内のポジション争いも激化しており、アライアンス戦略のさらなる強化などの課題が残っています。

続いてモビリティ・サービスです。昭和以来続けてきた当社の祖業はカーソリューション(物販事業)です。自動車電装用品の販売・卸売を行っていましたが、赤字体質となっていたため、2024年7月に譲渡しました。

売上高の高い物販がなくなりましたが、赤字事業の切り離し、IoTクラウド系サービスへの特化により、収益性が大幅に改善し、減収ながらも増益となりました。

全売上高において、クラウドサービスの月次経常収益(MRR)が占める割合は、53パーセントまで上昇しています。

また、カーシェアリングなどの無人化サービス「Kuruma Base」は課題となっていましたが、運輸業・建設業の人材不足、いわゆる2024年問題により、非常にニーズが高まっています。

したがって、上期実績だけで前年度1年間の実績の3倍近くまで積み上げることができ、好転しています。

最後にスマートベニューです。こちらは非常に新しいマーケットであるため、想定外の投資や支出があります。チャレンジには紆余曲折がありますが、全般的には2025年4月の開業に向けて順調に進んでいると考えています。

4月開業以降の予約状況や、獲得済の複数年に渡る協賛売上などにより、収益獲得の蓋然性は高まっていると考えています。

業績ハイライト

業績ハイライトです。上期のデジタルガバメントの売上高は8億900万円、営業利益は7,600万円、前年比で増収増益です。通期の売上高は20億7,000万円、営業利益は3億4,800万円を目指しています。

上期のモビリティ・サービスの売上高は5億8,600万円、前年比76.7パーセントとなりました。こちらは、物販を2024年7月に譲渡したためです。しかしながら、営業利益は1億200万円と前年比で微増となり、収益性の改善が見られます。通期の売上高は13億200万円、営業利益は2億2,300万円を目指しています。

上期のスマートベニューの売上高は4億1,000万円、前年比227.4パーセントの増収です。営業利益は赤字ですが、この投資フェーズにおいて、2024年上期のマイナス2億2,400万円から、半減以下の1億700万円にまで抑えることができています。

売上高は第4四半期に大きく載ってきますが、通期では売上高22億3,500万円、営業利益600万円と、セグメント単位での黒字を目指しています。

管理部門についても、コスト横断を図ることができました。

結果として、上期の連結全社の売上高は18億600万円で前年比105.4パーセント、営業利益は前年比マイナス1億5,200万円、経常利益はマイナス1億5,700万円、親会社に帰属する当期純損失はマイナス1億8,700万円となりました。

通期の売上高は56億900万円、営業利益は6,800万円を目指します。今年度は黒字化を実現させるべく進めています。

ARR

売上高に占めるIoTクラウド系サービスでの月額ストック収入は、当社の重要指標です。前年度は横ばいになり非常に厳しい状況でしたが、増加傾向となっています。

スライドの表は四半期単位となっており、2019年は2億円前後、通期でも10億円未満でした。しかし現在は、3億5,000万円を超え、4億円を狙うところまできており、通期では15億円弱まで伸長しています。

爆発的な伸びではありませんが、1件1件の獲得に非常に時間と手間を要します。社会システムにおけるサービスという意味では、安定的に積み上げられていると考えています。

売上高の構成と推移および予想

全体の売上高の構成です。スライドの左から2番目のグラフは今期の累計実績です。売上高約18億円のうち、最下段に示した7億7,100万円が、月次経常収益の累計です。1つ上の2億8,800万円はクラウドサービスの初期費です。したがって、50パーセント以上を月次経常収益とクラウドサービスの初期費で得ています。

スライド右端のグラフは今期の通期予想です。月次経常収益は16億円、クラウドサービスの初期費は9億7,500万円ですので、合わせて25億円強となります。また、スマートベニューが22億円ですので、クラウドサービスとスマートベニューが2本柱として数字を作り、予想値の約56億円にまで引き上げていくと考えています。

会社概要

会社概要について、あらためてご説明します。当社は、私の祖父が1928年に創業しました。法人設立が1947年ですので、創業から97年目、第78期を迎えています。

20世紀から21世紀に渡って、多くの事業においてイノベーションを起こし、業態を変えてきたため、ベンチャー体質の企業だと思っています。

子会社は3社あります。2019年にグループ入りしたノースディテールは80名程度の組織で、エンジニアリングファーストのエンジニア会社です。

One Bright KOBEとストークスは、スマートベニューという新しいセグメントを司ります。これらの子会社を含めて、グループ連結で数字を出していくかたちになっています。

沿革

沿革です。当社は、1994年に私たちが経営を引き継ぐまでは小さな町工場であり、債務超過の状況でした。20世紀の昭和時代に積み上げられたマイナス要因が多くある中で、業態も変えながら、21世紀に通用する新しい社会システムを担うという思いを持って、この30年間歩んできました。

2020年、この歩みの中で大きな力となっていた、携帯電話の販売代理店事業を譲渡しました。その後の4年間、5年間は新型コロナウイルスもあり、厳しい時期でした。しかし、長い歴史の中で見れば、業態の転換などが必要な時期だったとも考えています。

今年度は、来年度・再来年度に向けて、次のステップを迎えるタイミングに来たと考えています。

私たちが実現したい世界観

私たちが実現したい世界観です。当社のミッションは「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」です。20世紀から21世紀に向けて、外部環境の変化、人口減少、高齢化、地方の疲弊など、大きな時代の変化がありました。

現在は、このような変化に対し、21世紀、22世紀まで勝ち残れる事業体へと転換を図るタイミングです。この社会の中で、今なお息づいている、20世紀に築かれた社会システムを、新しく転換していくタイミングだと思っています。大きな市場の一部分かもしれませんが、その一翼を担える事業体になりたいと考えています。

事業の概要 セグメント情報とグループ構成

事業の概要です。デジタルガバメント、モビリティ・サービス、スマートベニューという3つのセグメントがあります。

デジタルガバメントでは、社会システムとして、地方自治体の情報発信を支援するクラウドサービスを展開しています。

現時点ではツールの提供が中心であり、本質的に社会システムに成り得ているかについては、難しい部分があります。しかし、多くの地方自治体との取引を実現しているため、ここから次のステップに進みたいと考えています。

モビリティ・サービスは、祖業が自動車の電装工場だったことに端を発しています。現在は、従来の物販を譲渡し、モビリティIoTサービスおよびIoTソリューション事業に絞り込んでいます。

社会システムという観点では、MaaSの延長線上で移動の高度化・効率化を図るサービスや、自動車業界の大きな社会課題である交通事故の削減、さらには地球環境の社会課題であるCO2の排出量削減に向き合うサービスだと思っています。

スマートベニューにおいては、詳細は後ほどご説明しますが、現在、神戸市でのスタジアムアリーナの開業を目指してしています。賑わいを創出し、関係人口を増加させる事業です。

加えて、アリーナを軸にしたまち全体のマーケティング、デジタルを活用したデータ連携、さらには、自治体・行政だけでなく民間が連携して進める、新しいまちづくりの仕組み、公の仕組みを作りたいと考えています。これこそが、本当の意味での社会システムの構築だと考えています。現在は、以上の3セグメントで事業を推進しています。

事業の概要 セグメント情報と事業構成

事業構成におけるマネタイズのモデルです。デジタルガバメントとモビリティ・サービスは、スライド最下部に記載のとおり、SaaS・IoTクラウド系のサービスです。着実に月次経常収益、ストック収入を積み上げることが、根雪のように効いてきます。

スマートベニューは、一般的な貸館サービスで安定的な収益を得た上で、アプリケーション、サービス、そしてリアルなまちの中での機能を含めたマネタイズのモデルを作り上げていきたいというのが、全体の事業構成となっています。

デジタルガバメント:行政DXの推進

上野真氏:デジタルガバメントについてご説明します。全体のKGIです。前年比で売上高は105.3パーセント、営業利益は110.9パーセントと増収増益で推移しています。

前年度の課題であった営業体制の改善は一定程度進んだものの、まだ完全な回復とは言い切れません。特に下期は大きな数字を計上しているため、油断せずに進めていく必要があります。

データセンター環境移行について、さくらインターネットのクラウド環境への移設を実施中です。現時点で30パーセントから40パーセント程度まで進んでいます。お客さまである自治体からは、非常に高い評価を受けています。

一方、旧環境等の二重コストの問題は続いています。さらに、旧環境におけるライセンス料の値上げなども、原価増額の要因の1つになっています。これらは2027年6月期(第80期)には解消予定ですので、コストコントロールをしっかりと行いながら、新環境のメリットを十分に訴求していきたいと考えています。

デジタルガバメント:KPI

デジタルガバメントのKPIは、前年同期比で横ばいの状況です。こちらは主に、自治体向けクラウドサービスの契約数をKPIとしています。

デジタルガバメント:行政DXの推進

全体の方針に関してです。まずは市況をご説明します。スライド左側のグラフは、自治体ICT業界全体の市場環境を示しています。大きな増減はなく、一定の規模が保たれる見込みです。

一方、スライド右側のグラフは、自治体Webサイト環境に関する、当社調べのデータとなります。自治体のWebサイトがどれくらいの期間でリニューアルするかを、当社の過去データから集計しています。2020年の7.22年から、2024年は10.42年と、約3.2年長期化したことがわかっています。したがって、年間の公募件数が少なくなり、私たちの事業に大きな影響が出るのではないかと考えています。

現時点では、例えば観光、移住、子育てといった、本体とは別のサイトの受注にも注力しています。ただし本体サイトと比べると、公募単価が下がる傾向がありますので、これらが単価下落の要因の1つになっていると見ています。このような状況から、昨今は行政DX推進に向けた自治体向けSaaSの開発に注力しています。

デジタルガバメント:行政DXの推進

この背景には、政府が各自治体の行政DX、デジタル化の支援に注力している状況があります。スライドに示しているのは、その施策の一部です。

2024年10月31日に、行政向けデジタルマーケットプレイスがリリースされました。現状、掲載数は限定的であり、自治体側の利活用も少ない状態ですが、徐々に進むことを想定し、この流れに乗った事業展開を進めていく考えです。

デジタルガバメント:行政DXの推進

私たちの最大の強みは、全国400以上の団体への導入実績を持つ、自治体向けCMS「SMART L-Gov」にあると考えています。

現在の展開として、自治体のWebサイトと連携したオンライン行政プラットフォーム、公共施設予約システム、住民ポータルサービスといった自治体向けCMSを軸足とし、隣接サービスやプラットフォームへと事業を拡大しています。それにより、自社の競争優位性を十分に担保しながら、提供サービスの範囲を広げていきます。

将来的な展開を見据えた新規事業として、2025年3月21日に、うめきたにあるグラングリーン大阪南街区パークタワーにて、オフィスワーカー向け健康支援スペース「SLOW AND STEADY」をオープンします。

こちらの施設では、ヘルスケアスタートアップとの連携を通じた新技術の社会実装、健康経営推進のためのコミュニティ運営、ウェルビーイング向上のためのPHR(個人健康データ)の利活用推進を、私たちが施設運営者となって行います。

将来的には自治体向け事業との連携も予定しており、着実に事業拡大を進めていきたいと考えています。

モビリティ・サービス:当たり前の未来を創造に挑戦/ モビリティIoT

森田由基氏(以下、森田):モビリティ・サービスの詳細をご説明します。スライドには、上期における全体の状況について、3点挙げています。

1つ目に、最も重要な経営数値(KGI)についてです。この上期は、予算対比で売上、営業利益ともに100パーセント以上を達成しています。しかしながら、前年比では減収増益となりました。

この減収の要因について、2つ目に、リース車両向け物販事業を譲渡しました。直近2ヶ年で、不採算事業として赤字が加速したため、上期に経営判断を行いました。今後、当該部署においてはポートフォリオを転換し、商用車向けIoT、遠隔故障診断をテーマに新サービスの構築を図りたいと考えています。

第2四半期の累計実績は、前年比で売上高はマイナス1億6,500万円、営業利益はマイナス700万円となりました。

3つ目に、前期に苦戦した主力サービスのKPIが非常に好調に推移しています。KPIの詳細は、次ページ以降でご説明します。

モビリティ・サービス:KPI

まずは「CiEMS」です。テーマは、法令遵守、道路交通法の改定です。前期にご説明したとおり、一般企業におけるアルコールチェッカーの義務化が追い風となっています。

また、2024年9月にリリースしたアルコールチェック記録アプリとアルコール検知器の連携サービスが非常に好調であり、下期も期待ができるものとなっています。

特に、アルコール検知器のデバイスメーカーとの連携において、コンピューター周辺機器大手エレコム社との提携が非常に大きく、現在は営業推進も共同で行っています。

モビリティ・サービス:KPI

「Kuruma Base」についてです。前期は品質面で非常に苦戦していました。観光系レンタカー事業者との提携において、品質面に関しては2024年度中に払拭できたと自信を持っています。

自動車メーカーの一次取引先との提携・連携においてサービスをリニューアルし、下期から着実にドライブさせていきたいと考えています。

上期に大きく数字が伸びたもう1つの要因として、建機レンタルのリーディングカンパニー、アクティオ社との提携があります。「アクスポ」のサービスが非常に好調で、業績に大きく寄与しました。アクティオ社以外の建機レンタル事業者からも多数声を掛けていただいており、下期のさらなる成長に期待しています。

モビリティ・サービス:当たり前の未来を創造に挑戦/ モビリティIoT

全体の戦略についてです。前期の内容から変更はなく、物販割合を縮小し、MRRおよびARRの比率を着実に引き上げていきます。冒頭で渋谷がご説明したとおり、モビリティ・サービスの売上高の53パーセントをMRRが占めています。

概況としては、半導体の影響によるハードデバイスの原価上昇や、為替変動による通信費原価の上昇について、この3ヶ年でしっかりと膿を出したいと考えています。

加えて、モビリティIoTとシェアリング事業で蓄積したデータを駆使し、モビリティサービス事業者への積極的な開発支援を行います。さらに、十分に伸びている事業に投資開発を行っていきたいと思っています。

スライド右下に記載しているとおり、アルコールチェック記録アプリおよび建機レンタル無人化システムの改修・強化を進めており、2025年も大幅なアップデートを行う予定です。

モビリティ・サービス:市場環境と今後の挑戦について

成長戦略です。当事業部は未開拓市場が十分にあり、加えて2008年から培ってきた当事業部の技術領域を行使できます。この2点で3本の柱を作っています。

一般法人・自治体については、先ほどからご説明している「CiEMS」が主力サービスです。P/L、営業利益に関して、単体で安定して2億5,000万円以上の収益を確保できる事業に成長しました。

次に、レンタカー・カーシェアについては事業開始から約6年が経過していますが、単体ではまだ赤字です。しかし、観光系および建機レンタル系事業の2本の柱で道筋が立ったことに伴い、1年半後の80期には、P/Lの黒字化が見えるところにまで成長しています。

最後に、物流・運送業についてです。物流・運送業界の商社IoTは、これまでのテレマティクスやレンタカー、カーシェアのプラットフォームとは異なり、すでに大手物流会社との提携や開発費の支援を受けながら、リスクバランスの整った事業展開を計画しているため、立ち上がりが非常に早いと考えています。当事業部は連邦制経営のもと、この3本の柱を推進していきます。

スマートベニュー:神戸アリーナプロジェクト概要

渋谷:あらためて私から、スマートベニュー事業についてご説明します。スライドの画像は、現在神戸市のウォーターフロントに建設中で、2025年2月竣工となる神戸アリーナです。

スマートベニュー:神戸アリーナプロジェクト概要

神戸アリーナプロジェクトの概要をご説明します。建物であるアリーナは1万人が収容できる興行施設であり、その西側にはテナントが入ります。また、コリドーの先の南側には、関係者の駐車場とともに、私たちが「緑の丘」と呼んでいる緑色の三角形の場所があり、「パーク」と呼ばれるような、人々が憩える場所となっています。現在、このように準備を進めており、2025年4月に開業予定です。

アリーナの概要について、名称は「GLION ARENA KOBE(ジーライオンアリーナ神戸)」で、GLIONグループにネーミングライツを購入いただきました。1万人が収容できる施設です。

スライド右側のスキームをご覧ください。建築物に関するコスト負担まで、私たちだけで一気に行うことはできないため、NTTドコモ、NTT都市開発にデベロッパーとして入っていただきます。そして、運用責任を私たちが担っていくスキームとなっています。

また、マイノリティ出資を数々の会社からいただきながら、さまざまな方に事業に参画、ご期待いただきながら、推進しているところです。政府もこのスタジアムアリーナを成長戦略として位置づけています。アリーナやスタジアムホールなどのベニューを軸とする、データを活用したまちづくり(スマートシティモデル)の社会実装を推進しています。

国内においては、今までは公共施設が中心でした。アリーナは興行が行われていない時にはあまり人が集わず、興行目的のみとなっていました。しかし、例えば北海道では、北海道日本ハムファイターズのエスコンフィールドという民設の施設ができました。また長崎では、ジャパネットたかたがJリーグやBリーグ、サッカー、バスケットボールの本拠地となるような長崎スタジアムシティを立ち上げました。このように、スタジアム・アリーナ改革に基づく具体的なプロジェクトが走り始めています。

海外には多くの成功事例があります。日本国内でもこのようなマーケットが立ち上がりつつあり、神戸市においても推進できると考えています。私たちはこの事業が、スタジアム・アリーナのもう一歩先にある、データを活用したまちづくり(スマートシティモデル)の社会実装を推進すると考えています。

スマートベニュー:アリーナおよびエリア全体の特徴

アリーナおよびエリア全体の特徴についてです。まずは民設民営だということと、270度海に囲まれた立地で、非常に魅力的で稀有な水辺の場所であることです。

神戸市は人口150万人の都市で、周辺まで含めると300万人超の後背地を持っています。ターミナル駅から徒歩で行ける圏内にこれだけの水辺がある神戸市のウォーターフロントは、非常に魅力的な場所で、国内でも残された最後の場所だと思っています。

神戸市は、1995年の震災から今年でちょうど30年目です。これまで復興に時間をかけてきましたが、ようやく次の30年、50年のために、新しいフェーズに入ることができました。このウォーターフロントの再開発、そして三ノ宮駅前、市庁舎の建て替えなどのプロジェクトが目白押しです。その中の中核施設を担うということで、しっかりと結果を残したいと考えています。

スマートベニュー:アリーナおよびエリア全体の特徴

さらに関西では、1万人収容のアリーナは大阪城ホールのみでした。そのため、イベントプロモーターのみなさまから非常にご期待いただいています。ただ館を貸すだけではなく、Bリーグのゲームをはじめとした私たちの主催興行も行います。

VIPフロアもありますし、協創パートナーシップということで、この場所を使って、さまざまな企業に事業やビジネス、社会課題解決のモデルを推進していただきたいと思っています。また、その先にあるスマートシティの推進にまで持っていきたいと考えています。以上が、特徴となっています。

スマートベニュー:大規模多目的アリーナ

スライドは、アリーナ内部の3Dパースです。非常に特徴的な、すり鉢型のボウルデザインになっており、今までの公共施設としての体育館やホールとは違い、フロア面が近くにある構造になっています。

スマートベニュー:稼働予定

稼動予定についてです。Bリーグの「神戸ストークス」のホームゲーム、また音楽ライブ、そして大学や企業の利用、その他の競技などが予定されています。

先日、バレーボールSVリーグのオールスターゲームを来年開催すると発表しましたが、非常に大きなイベントも行います。Eスポーツや格闘技なども含めて、数々の多様な興行を推進していくことで、年間のアリーナ稼働率80パーセント強を目指します。

スマートベニュー:神戸市連携協定

2022年に神戸市と「都心・ウォーターフロントエリアの未来づくり」に向けた事業連携協定を締結し、デジタルイノベーションの創造を目指しています。これを基に、現在進めている回遊性向上などのスマートシティモデルを推進していきます。

スマートベニュー:スマートシティ“Commons Tech KOBE”

私たちが「Commons Tech KOBE」と命名したスマートシティモデルは、神戸市と私たちのグループ、その他にもJR西日本やTIS、ウイングアーク1stなど、さまざまな会社に参画いただきました。

このような事業者だけでなく、今後は神戸市内の商店街、百貨店、観光施設など、多くのまちの主体者のみなさまと一緒になってデータを利活用し、決済など、キャッシュレスのモデルも含め、まちづくりを担っていきたいと考えています。

たくさんの人に集まっていただく、その一翼を私たちのアリーナが担います。そして、関係人口のエンゲージメント向上まで、進めていきたいと思っています。

スマートベニュー:スマートシティ“Commons Tech KOBE”

「Commons Tech KOBE」の流れについてです。街中にビーコンを設置し、そこからデータを取得します。「TOTTEI KOBE」アプリでいろいろな施策を紹介しながら、データの取得・分析を行い、まち全体のマーケティングや自治体のBPMに活かしていくようなモデルを想定しています。

スマートベニュー:スマートシティ“Commons Tech KOBE”

具体的な事例をご紹介します。JR西日本が設置するビーコンやAIカメラなどを活用して、街中のデータ収集や回遊性向上施策を進めていきます。

スマートベニュー:スマートシティ“Commons Tech KOBE”

また、CRMの著名な企業であるシナジーマーケティングと連携し、来訪者をファン(お客さま)とみなしてエンゲージメントを高めていくようなマーケティング施策をまち全体で打ち込んでいくことを想定しています。

スマートベニュー:スマートシティ“Commons Tech KOBE”

さらに、私たちが資本業務提携を行っているウイングアーク1stとは、データ連携基盤やダッシュボードの提供に加え、生成AIを活用するオープンプラットフォームで利用者の利便を図っていくところまで推進していきます。

スマートベニュー:2025年4月開業を踏まえ3ヶ年予算

スマートベニュー事業の収益構造です。2025年4月から事業が開始されるため、現時点ではあくまでも想定になります。

スライドの一番右側の円グラフを見ていただくと、貸館と呼ばれるベースになるサービスが31パーセントです。スポンサー売上などの協賛が19パーセント、自主興行については、「神戸ストークス」のホームゲームでの自主興行も含めて32パーセントです。また、人が集まることで実現するホスピタリティ・F&B(フード&ビバレッジ)・テナント・物販のようなサービスが、15パーセントです。

このような収益構造で、一般の貸館のみを行っている公共施設のアリーナの2倍近くの売上を計上していく、新しい事業モデルになっており、こちらを実現させていきたいと考えています。

連結業績概要

決算概要です。冒頭でお話ししたとおり、上期は全社的には増収増益です。営業損失ではありますが、前年比、また計画比に対して大幅に上振れし、着地できました。現在、通期黒字化に向けて、取り組んでいます。

営業利益の増減

営業利益の増減です。2024年度は3億300万円と、大きな赤字を計上してしまいました。しかしながら、売上高が9,200万円、そして物販の譲渡で原価が9,600万円減少したことにより、営業利益は大幅に改善しました。

人件費と販売管理費は、スマートベニュー事業での投資が膨らんでいますが、そちらも吸収し、赤字を半減するところにまで持ってくることができました。

連結業績概要(セグメント業績概要)

連結業績の詳細です。全売上高18億600万円に対して、クラウドサービスが10億5,900万円と、全売上高の58.6パーセントを占めています。まだ上期の段階ですが、スマートベニューはすでに全売上高の22.7パーセントを占めています。こちらが通期で40パーセントを超える見込みです。

業態別売上高

デジタルガバメントにおいても、クラウドサービスが売上高に占める割合が76.2パーセントと、非常に高くなってきました。

業態別売上高

モビリティ・サービスは、物販を譲渡した結果、物販は前年比36.2パーセントとなっています。しかしクラウドサービスの売上比率が75.4パーセントまで上昇し、営業利益率は17.4パーセントと、大幅に改善しています。

業態別売上高

スマートベニューの売上高は先ほどご説明したとおりです。

2025年6月期2Q末 連結貸借対照表

B/Sです。総資産が45億5,600万円と膨らんでいるのは、スマートベニュー事業における有形固定資産および有利子負債の増加が大きかったためです。

自己資本比率も若干下がっていますが、投資の必要な事業でもありますので、今後の収益獲得を含めてバランスよくコントロールしながら進めることができています。

第78期〜第80期 損益計算書

中期経営計画について、簡単にご説明します。2026年、2027年度に向けて、売上高は約84億円、約90億円、そして営業利益は約5億円、約8億円と、大幅な増収増益を遂げていく見込みです。

100パーセント信頼いただけるかどうかという懸念はありますが、一歩一歩着実に積み上げることで、この数字を目指せるところまで来たかと考えていますので、しっかりと実現していきたいと思います。

第78期〜第80期 想定経営指標サマリ

想定経営指標のサマリです。スマートベニューにより、すべての指標において数字が好転し、大幅に改善する見込みです。

売上高の過去推移と今後の予想

売上高の過去推移と今後の予想です。スライドに売上や収益の数字を掲載していますので、ご覧ください。

営業利益の過去推移と今後の予想

営業利益の過去推移と今後の予想です。2020年の携帯電話販売事業撤退から5年間、新型コロナウイルスの影響もあり、本当に厳しい時期が続いていました。ポートフォリオの入れ替えをしっかり行うことで、ようやく次の立ち上げを迎えていると実感しています。

売上高・営業利益の過去推移と今後の予想

スライドは、デジタルガバメントの売上高・営業利益のグラフです。こちらもご覧ください。

売上高・営業利益の過去推移と今後の予想

モビリティ・サービスの売上高・営業利益のグラフです。

売上高・営業利益の過去推移と今後の予想

スマートベニューの売上高・営業利益のグラフです。スマートベニュー事業の成長が、私たちにとって大きなものになっています。

MRRの推移

爆発的な伸びではありませんが、月額のストック収入の積み上げをしっかりと伸ばしていくことも、私たちの事業計画にとっては大事なことです。ですので、こちらも着実に進めていきます。

KPI(地域情報クラウド:サービス契約数)

セグメントからのKPIも、スライドに掲載しています。デジタルガバメントは、昨年発表から変わりありません。

KPI(モビリティIoT:CiEMS契約数)

スライドは、モビリティ・サービスの「CiEMS」の契約数です。

KPI(モビリティIoT:Kuruma Base契約数)

「Kuruma Base」の契約数です。こちらは飛躍的に伸びており、かなりよいところへ向かっているため、かたちにしていきたいと思います。

従業員の状況

最後にAPPENDIXです。従業員の状況としては、スマートベニューの人材が増えてきたことで、増加傾向にあります。十分にコントロールしながら、人材の確保とマネジメントを進めているところです。

人的資本に関する取り組み

人的資本に関する取り組みについてです。育児休暇制度や介護との両立支援などを実施し、厚生労働大臣により「くるみん」「えるぼし」の認定を受けています。若い方が多い会社ですので、すべきことにしっかりと取り組んでいきます。

DE&Iへの取り組み

昨今、DE&Iの課題に対して、「それをやる必要があるのか」という意見もグローバルにはあるようですが、私たちは多様性を受け入れることがイノベーションの根幹になると考えています。そのため、DE&Iについても推進していきたいと思っています。

サステナビリティへの取り組み

サステナビリティ基本方針です。先ほどご説明した、アリーナというリアルな施設では、すでに100パーセント、バイオマスを使った再生可能エネルギーで電力供給を受けるなど、しっかりとした取り組みを進めています。この後は、数値的な指標を持って、着実にその数字を追いかけていきたいと考えています。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンスです。当社は指名・報酬委員会を設置しており、このかたちが制度として、社内的に成熟し始めています。ですので、引き続きしっかりと運用していきたいと考えています。

DXへの取り組み

DXへの取り組みについてです。投資として大きなコストをかけるのではなく、身の丈に合ったもので、社内メンバーを中心に一つひとつ積み上げながら、私たちにとって使いやすい仕組みを作っているところです。

非常によいプロセスだと思っており、これができているからこそ、新しい事業の業務効率化ができていますので、今後もしっかりと推進していきます。

情報セキュリティへの取り組み

ISO27001認証などを含めた情報セキュリティへの取り組みも、これまでどおり推進し、組織マネジメントの観点でリスクを十分に見極めていきたいと考えています。

質疑応答:「Kuruma Base」契約数の大幅増の要因について

司会者:「『Kuruma Base』契約数の大幅増は、アクティオ社へのサービス提供が主な要因でしょうか?」というご質問です。

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