第1四半期決算説明会
宮﨑洋祐氏(以下、宮﨑):株式会社JSH 2025年3月期第1四半期の決算説明会を始めます。私は経営管理本部を担当している宮﨑です。本日は当社取締役で在宅医療事業本部長の鎌田と地方創生事業共同本部長の市川が同席していますので、後ほどそれぞれ簡単にコメントします。
私からは第1四半期の概要についてご説明しますが、当社の事業について初めて話を聞く投資家さまも参加されていますので、決算概要の前に当社と当社の事業を簡単に紹介します。
その後に第1四半期決算の概要と今期の業績予想についてご説明します。
役員紹介
スライド左上の写真は創業者の野口です。野口は2003年に株式会社N・フィールドを設立しました。N・フィールドは2013年、東証マザーズへ上場しました。その後、2015年に東証一部に上場した後、野口は退任し、2016年に当社を設立しています。
当社は今期が9期目となる会社で、野口を含め常勤取締役が7名います。野口と同じ株式会社N・フィールドの出身者は、在宅医療事業を担当している鎌田、北村、地方創生事業を担当している市川の3名です。
経営管理本部を担当している私と濵西、地方創生事業を担当している山田の3名は野村證券株式会社の出身です。
当社は医療と金融出身の役員がマネジメントを手がける会社です。
企業理念等
JSHは「Japan Support Holdings」の略称です。「人を通じて、喜びを作り、幸せを作る」というところを企業理念としています。
当社は在宅医療事業と地方創生事業の2つに取り組んでおり、在宅医療事業は「持続可能な医療体制のもとで、住み慣れた地域で社会的な生活を家族と共に営むことができる社会の実現」を目的とし、地方創生事業は「障がいの特性や職業能力等に関わらず、住み慣れた地域で仕事を通じて自己実現ができる社会の実現」を目的としています。
当社が支援する障がい者・シルバー人材の範囲
当社が手がけている在宅医療事業と地方創生事業における障がい者雇用支援事業はいずれも、障がいのある方に関わる事業となっています。
スライドの図で示しているとおり、在宅医療事業では「訪問看護ステーション コルディアーレ」を通じて、主に精神障がい者の方と関わりがあります。
障がい者雇用支援事業では「コルディアーレ農園」を通じて、身体障がい、知的障がい、精神障がい者の方と関わりがあり、シルバー人材とも関わりがあります。
当社の農園に就労している障がい者数は現在約1,200名で、その約半分は精神障がい者の方となっています。残りは、知的障がい者と身体障がい者の方がそれぞれ半分ずつです。
このように、当社の事業においては、精神障がい者の割合が非常に高くなっています。当社は在宅医療事業のノウハウを活用し、他の障がい者と比べて就労が遅れがちな精神障がい者の就労の拡大に取り組んでいるところです。
在宅医療事業と地方創生事業の連携
当社が手がけている2つの事業のシナジーをご紹介します。
スライド左側の図は、在宅医療事業の「訪問看護ステーション コルディアーレ」の活動で、右側の図は、地方創生事業の「コルディアーレ農園」の活動です。
当社は大分県、宮崎県、佐賀県において、「訪問看護ステーション コルディアーレ」と「コルディアーレ農園」の両方を運営しています。
スライドには精神科の医療機関も図示しています。例えば、精神科の医療機関から退院した患者の方が地域の自宅に戻り、退院当初は仕事がなく生活保護を受けながら、地域の中で生活を始めたとします。
このような中で、当社の訪問看護サービスの提供を受けながら、精神状態が少しずつ安定していき、気持ちが前向きになり、仕事を通じて収入を得たいと考えるようになってきた場合において、当社は「コルディアーレ農園」を使って障がい者を雇用する企業をご紹介することができます。
紹介した企業で採用されれば、その利用者は、住み慣れた地域で仕事を通じて経済的な自立を図り、結果として自己実現ができるような仕組みとなっています。
一方、逆の流れのパターンもあります。もともとは「コルディアーレ農園」で就労していた精神障がい者の方が農園で送る日々の中で、例えば人間関係からメンタル面が少し不安定になっていくようなことも考えられます。
少しメンタル面で不安定になる中でも、本人が農園での就労の継続を希望しているような場合、主治医の指示のもと、平日就労を終え家に帰った後や仕事のない週末に訪問看護のサービスを受けることができます。訪問看護のサービスを受けることによって精神状態の安定化を図り、結果として就労が継続して、長期的に安定した就労が実現できるような取り組みも行っています。
今挙げたような事例のとおり、精神科の医療と障がい者雇用による地方創生という医療連携の事業モデルは他社にはない当社の強みだと認識しています。
もう1つ事例として挙げられるのは、訪問看護ステーションが地域で連携している医療機関から農園で就労したい障がい者の紹介や、農園で連携を図っている医療機関からの訪問看護ステーションへの利用者紹介です。
このような取り組みを含めて達成した具体的な成果は、スライド右下の棒グラフで示したとおりです。
一般的な事務所における障がい者の就労1年後の定着率は、精神障がい者の場合、わずか49パーセントです。それが当社の農園においては、一般的な事務所よりも27パーセント高い76パーセントとなりました。
取り組みが長期で安定的な就労に結びつき、実績が出始めているといえます。
年々増加する精神科患者数
在宅医療事業の事業環境についてご紹介します。
初めに在宅医療事業本部長の鎌田より、精神科患者数が増加傾向にある背景等についてご説明します。
鎌田聖一氏(以下、鎌田):スライド左側の棒グラフは、精神科の外来患者数の推移を示しています。年々増加しており、在宅医療事業の対象となる精神疾患の患者数も増加していると考えています。右側の円グラフは精神科の外来患者の疾患内訳を表しており、最も比率が高い気分障がいにはうつ病や双極性障がいが含まれています。
また、神経症性障がい等にはパニック障がいや不安障がいが含まれています。在宅医療事業本部の利用者数は現在約2,100名となっており、男女比は男性が約45パーセント、女性が約55パーセントです。
年齢別では、20歳以下は3.8パーセントで、特に多い疾患は発達障がいです。20歳から59歳までは69.4パーセントとなり、多い疾患は統合失調症と気分障がいです。60歳以上は26.8パーセントで、老年精神病と気分障がいが主な疾患となります。
病名別では多い順に、統合失調症は35パーセントで、気分障がいは20パーセントです。気分障がいのうち、うつ病は66パーセントで推移し増加傾向です。続いて、発達障がい、次いでアルコール依存症や薬物依存の依存症という順になっています。
精神科入院患者の政策的減少
宮﨑:精神科医療の特徴についてご紹介します。日本では諸外国と比べると、1年以上入院している長期入院患者が多く、スライド左端の棒グラフで示したとおり、入院医療費の比率が他の疾患と比べて高い状況にあります。
政府は、長期入院患者の退院促進を図る政策を推進し、2023年までに約5万人から7万人の退院促進を目標に掲げました。
右端の円グラフのとおり、退院患者の行き先は、家庭が全体の3分の2となっていますが、当社は、このような患者の地域での受け皿となることで、住み慣れた地域で家族と一緒に社会的な生活を営むことができるよう支援を行っています。この点について、あらためて鎌田より補足します。
鎌田:政策的減少について、精神科の歴史背景を少しお伝えします。精神科は1958年頃から精神科の定型薬といわれるものが治療薬の主流でした。副作用が非常に強く、日常生活に支障を来す治療薬ではあるものの、次の薬の開発がなかなかできない状態で、この治療を約40年間主流としてきました。
1996年に非定型精神病薬が日本でも承認されたことが、精神科の治療の大きな変化につながっています。
2004年には精神保健福祉法が改定され、入院中心の医療から地域中心の医療へと変更されました。この取り組みによって徐々に地域での生活や治療が主流となり、現在の障がい者雇用へとつながっています。
障がい者の法定雇用率の引き上げが継続
宮﨑:続きまして、地方創生事業における障がい者雇用支援事業の事業環境についてご紹介します。
当社の障がい者雇用支援事業においては、2つのフォローの風が吹いています。こちらのスライドでは、1つ目のフォローの風となっている法定雇用率の引き上げについてご説明します。
労働者を雇用している民間企業は、障がい者雇用促進法で定められている法定雇用率に該当する人数の障がい者を雇用しなければなりません。
この法定雇用率が4月に2.3パーセントから2.5パーセントに引き上げられました。2年後の2026年には2.7パーセントに引き上げられますが、この2回の法定雇用率の引き上げにより、民間企業においては新たに障がい者11万人の雇用が必要となってきます。
民間企業と身体障がい者
次に、2つ目のフォローの風になっている、身体障がい者の高齢化に伴う退職の増加という点についてご説明をします。
左側の円グラフで示したとおり、民間企業では64万人の障がい者が雇用されていますが、その半数以上は身体障がい者です。
雇用されている身体障がい者を年齢別で見ていくと、55歳以上の割合が全体の約4割を占めています。結果として、今後10年間で10万人以上の身体障がい者が退職していくと想定されます。
法定雇用率の引き上げへの対応として11万人、身体障がい者の高齢化に伴う退職者の補充への対応として10万人と合わせて21万人の障がい者の雇用に対する需要が、今後民間企業において生まれてくる環境にあると当社は認識しています。
地方在住障がい者の就労機会の格差(社会構造的不平等)
続きまして、地方在住障がい者の就労状況について、地方創生事業担当の市川よりご説明します。
市川伸二氏:都市部に大企業が集中していることによって、地方における障がい者の就労機会や就労率には大きな格差が存在していると考えています。
例えば、私たちの事業がスタートした長崎県五島市においては、障がい者を雇用できる規模の会社はほとんどない状況です。
市役所やJAのような公的な組織はあっても、民間企業という意味においてはほとんどないというような状況でした。
では五島市に住む障がい者の方が、いったいどこに通っているかというと、いわゆるA型やB型のような就労系福祉サービスなどを利用しているのが現状です。このような方々がいつかは一般就労したいと希望しても、その地域には雇用できる企業がありません。
このような状況は、五島市に限った問題ではありません。先ほど、法定雇用率引き上げと退職者が増加する状況の対応で、障がい者の需要が急増することが想定されるとお伝えしましたが、障がい者への需要が高まるのは、企業の集中する都市部だけです。その障がい者をどの地域で採用するかが大きな課題だと私たちは考えています。
スライド右側の棒グラフは、九州地域各地と東京都の障がい者の就労率を示しています。
東京都では、すでに約80パーセントの障がい者の方が就労中で、追加で雇用を増やそうと思っても物理的に困難なのがわかるかと思います。
理由としては、まず企業の東京都への一極集中が背景としてあります。さらに、採用したくても東京都には未就労の障がい者の方が少ない状況です。そのため、東京都における法定雇用率達成企業は全国最低となる34.4パーセントと、およそ3割の企業しか達成していません。
一方で、私たちが「コルディアーレ農園」を主に展開している九州地域は、東京都とは状況が大きく異なり、すべての県で障がい者の就労率が20パーセントを下回っています。
先ほどお伝えしたとおり、このような方たちは働きたくても働く場所が見つからず、雇用する企業も少ないという環境にあり、構造的な不平等が生まれていると考えています。
私たちは「コルディアーレ農園」を通じて、構造的な不平等を少しでも解消していきたいと思っています。「障がい者雇用を通じて地方を元気にしていき、地方を創生していこう」という思いが込められています。
サービス概要
宮﨑:ただいま市川よりお伝えした状況を踏まえ、当社では障がい者の雇用が難しい都市部の企業に対し、働きたい気持ちがあっても住んでいる地域で仕事を見つけることが難しい地方に住んでいる障がい者を紹介し、民間企業が当社運営の農園を活用して障がい者を雇用するサービスを提供しています。
このような取り組みを通じ、地方に住んでいる障がい者の雇用を創出し、拡大させていくことに取り組んでいるところです。
障がい者雇用のプラットフォーム(日本全国の企業が利用可能)
「コルディアーレ農園」の特徴は、全国の企業が安心して障がい者を雇用できる仕組みが整えられているという点です。
「コルディアーレ農園」は、精神障がい者、知的障がい者、身体障がい者といったあらゆる障がいのある方が、安全・安心に就労できる環境となっています。雇用する側の企業についても、全国の企業が障がい者の雇用主となり、長期安定的な雇用を実現できる仕組みです。
ハイライト
2025年3月期第1四半期の実績についてご説明します。まず、ハイライトです。
第1四半期の経常利益は7,100万円で、通期予想に対して28パーセントの進捗となりました。
今期の通期の経常利益は、前期比プラス31.5パーセントとなる2億5,600万円を計画しています。
四半期売上高/セグメント利益
四半期ごとの売上高、セグメント利益の推移です。売上高は前年同期比プラス20.8パーセント増となる9億6,700万円、営業利益は前年同期比658.1パーセント増となる7,100万円となりました。それぞれのセグメント利益の増加により、当社全社の営業利益が増加しています。
それぞれのセグメントの概要と特徴をお伝えします。
地方創生事業においては、農園で就労する障がい者の人数が増えたことにより、紹介手数料とリカーリング売上が積み上がって売上高が増えたことが、セグメント利益を押し上げた一番の要因となっています。
在宅医療事業においては、売上高の増加に加え、第1四半期は前年同期と比べると看護師の採用数をやや減らしたことで、支払手数料が減っています。
また、事務所の移転によって不動産のコストがやや低下してきていることが、利益を押し上げた要因となりました。
スライド右側の棒グラフで、下に飛び出ている部分は全社共通経費です。こちらは前年同期から3,000万円ほど増えています。内容としては、管理部門で人員を増やしたことによる人件費の増加、上場費用や株主総会の費用等によるものです。
事業別KPIハイライト
事業別KPIのハイライトです。
在宅医療事業においては、利用者数は昨年6月末の2,044名から54名増加し、2,098名となりました。
常勤換算看護師数は、昨年6月末の146名から11名減少しています。
地方創生事業においては、ARRは昨年6月末の約16億円から約6億円増加の22億600万円となりました。利用企業数は、昨年6月末の151社から28社増えて179社となっています。
1企業あたりの月間売上高を示すARPAは、昨年6月の約90万円から約13万円増加の102万7,000円となりました。12ヶ月平均解約率は0.15パーセントと若干増えたものの、依然として低い水準を維持できています。
農園所在地(既開設17農園)定員:障がい者54名
農園の運営状況です。スライドにグリーンで示しているところをご覧ください。8月に「福岡農園」を144区画でオープンしました。なお、144区画とは、144名が就労できるという意味です。
来月9月には、熊本県内で2つ目の農園となる「熊本南農園」を90区画でオープンします。
また、来年2月には、当社としては九州地域以外で初となる「札幌農園」を63区画でオープンすることが決まっています。
この3農園で、約300区画、約300名のスペースの供給が今期決まっている状況です。
札幌に出店した背景を簡単にお伝えします。1つ目は、当社では昨年4月に在宅医療事業本部で「訪問看護ステーション コルディアーレ札幌」を出店しています。
利用者数が徐々に積み上がっており、「コルディアーレ札幌」との連携を強化していきたいということが1つの理由です。
2つ目は、障がい者の雇用主となる地域の企業との関係を強化していくためです。特に、北海道に所在している企業の来園を容易にすることがもう1つの目的となっています。
3つ目は、北海道における障がい者の雇用創出です。北海道の障がい者の状況について簡単にご説明しますと、人口に占める障がい者の割合は、鹿児島県に次いで全国で2番目に高い地域となっています。
また、障がい者の就労割合について先ほど九州地域の状況をお伝えしましたが、北海道は全国で5番目に就労している割合が低い地域となっています。未就労の障がい者の絶対的な人数も約13万人と非常に多く、全国で約3位の数字です。
さらに、雇用する企業の状況として、実は北海道には約4,000社の雇用義務がある会社があり、東日本では一番多い地域です。
このような背景を踏まえ、北海道での障がい者の雇用創出に取り組むため、札幌への出店を決定しました。
常勤換算看護師数・訪問件数・1常勤換算看護師あたり訪問件数
それぞれの事業の主要なKPIの状況について、簡単にご説明します。まず、在宅医療事業です。
スライド左側から順にご説明します。常勤換算看護師では、棒グラフの濃いブルーのところが九州地域以外を表しています。こちらは、3月末の117名から3名増えて120名となりました。九州地域の15名と合わせて、全体で135名となっています。
訪問件数は、今期は通期で17万3,009件を計画しています。それに対し、第1四半期は4万1,629件という結果となり、進捗率は24.1パーセントとなりました。
1常勤換算看護師あたりの訪問件数は、看護師1人あたりの訪問件数のことです。第1四半期は101.0件となり、前期が通期で101.7件でしたので、ほぼ同程度の水準で着地しています。
利用者数・1利用者あたり訪問件数(月間)
利用者数です。こちらも棒グラフの濃いブルーのところが九州地域以外を表しています。九州地域以外は前期末から7名増となり、九州の149名を合わせて2,098名で着地しました。
1利用者あたりの訪問件数は、1ヶ月あたりの訪問件数を表しています。前年通期の6.6件と同じく、第1四半期も6.6件となりました。
障がい者受入純増数・障がい者受入合計数
次に、地方創生事業の状況についてご説明します。スライド左側の棒グラフをご覧ください。第1四半期の障がい者受入純増数は、75名となりました。今期の計画が310名のため、進捗率は24.2パーセントとなっています。
第1四半期末の障がい者受入数は、今お伝えした75名を前期末の1,152名に加えて、1,227名となりました。
リカーリング売上について
リカーリング売上についてご説明します。スライド左側の棒グラフは、四半期ごとのリカーリング売上と人材紹介売上を表しています。
当第1四半期と前年同期を赤い丸で囲っています。当第1四半期は、前年同期の3億8,400万円から1億3,100万円増、プラス34.1パーセントを積み上げ、5億1,500万円となりました。
第1四半期の障がい者雇用支援事業全体の売上は、オレンジの部分とグリーンの部分を合わせて5億7,500万円です。障がい者雇用支援事業全体の売上に占めるリカーリング売上の構成比は、90パーセントとなっています。
前期の全社に占めるリカーリング売上比率は48.5パーセントでしたが、今期は50パーセントを超えることを見込んでいます。
ARR・利用企業数・ARPA・12ヵ月平均解約率(安定性を示すKPI)
安定性を示す指標として設定しているKPIの状況をご説明します。
ARRは、前期末の20億6,900万円から1億3,700万円増加の22億600万円で着地しています。
ARRの構成要素を利用企業数と1企業あたりの月間売上高に分解し、それぞれの数字についてお伝えします。
利用企業数は、前期末の172社から7社増えて179社になりました。
ARPAは前期の100万2,000円から微増の102万7,000円となっています。いずれの構成要素も増加させることができ、結果としてARRは1億3,700万円増となりました。
12ヶ月平均解約率は0.15パーセントとなっています。
顧客獲得時期別ARR・開始時期別区画追加企業数(成長性を示す主要KPI)
続きまして、成長性を示すKPIについてご説明します。スライド左端に記載した利用企業区画追加割合は、弊社の農園を利用している企業のうち、追加でオーダーが出た比率を表しています。こちらは、前期末の38パーセントから1パーセント増えて39パーセントとなりました。
NRR(Net Revenue Retention)は、既存企業による区画の追加の結果、売上がどれくらい伸びてきているかを表しています。こちらは、前期末の113パーセントから3パーセント増えて116パーセントとなりました。
スライド中央のグラフは、顧客獲得時期別のARRの推移をコホートで示しています。利用開始年度別に、年を経るにしたがってどれくらい売上を増やしてきたかを表しています。上から3つ目の薄いブルーで表しているところが唯一横ばいとなっていますが、それ以外はすべてプラスという状況です。
スライド右端の棒グラフは、開始時期別に区画を追加した企業の数を示しています。前期末と比べると、2021年度に利用開始した会社で3社追加があり、2022年度に利用開始した会社で1社追加がありました。
赤色の折れ線グラフをご覧いただくと、利用開始時期が早い企業ほど追加している割合が高く、7割前後あります。直近で利用を始めた企業になるにしたがって、数字は低下していますが、今お伝えしたとおり、40パーセント、25パーセント、17パーセントという比率は、今後少しずつ上がっていくことが見込まれます。
通期業績予想
2025年3月期の業績予想を簡単にご紹介します。
売上高は、前期比18.1パーセント増の41億1,100万円を計画しています。第1四半期の着地は9億6,700万円で、進捗率は23.5パーセントです。
営業利益は、前期比プラス24.2パーセント増の2億5,800万円を計画しています。第1四半期は7,100万円で着地しているため、進捗率は27.6パーセントです。
なお、前期まで地方創生事業に含めていた宮崎県、大分県、佐賀県の3つの訪問看護ステーションを、今期から在宅医療事業に移管していますので、ご留意ください。
質疑応答:「福岡農園」の稼働状況について
「8月にオープンした『福岡農園』の足元の稼働状況を教えてください」というご質問です。
8月からすでに利用を開始している会社がありますが、8月はそれほど多くなく、今後9月、10月、11月、12月になるにしたがって、利用企業が増えていく状況のため、ある程度順調に推移していると思います。
質疑応答:看護師の採用について
「第1四半期の看護師採用を今後増やしていく予定はありますか?」というご質問です。
こちらは、今後の状況次第になります。1つは、当社の社員である看護師の離職動向によります。
離職者数がある程度増えてくると、今サービスを提供している利用者の方にご迷惑をおかけすることになるため、退職等の見込みがあればその補充という観点での採用が発生してきます。
もう1つは、新たに当社のサービスを利用する利用者数の増加です。利用者数が増えていくと、看護師1人あたりの訪問する件数がどうしても増加することが予想されます。したがって、利用者数が一定水準以上になれば、採用で看護師を増やしていくことになっていきます。
この2点の今後の状況次第で、看護師の採用人数は変わると考えています。
質疑応答:地震の影響について
「宮崎県日向灘を震源とする最大震度6弱の地震の影響を教えてください」というご質問です。
社員、農園で就労している障がい者の方、当社の設備における影響はなく、現時点では通常どおり農園の運営を継続しています。
質疑応答:看護師の離職率について
「看護師の離職率を教えてください」というご質問です。
具体的な数字はお伝えしにくいのですが、一般的に看護師の離職率は通常の社員と比べると高い状況にあると思います。需要が非常に高い職種で、さまざまなところへの転職が容易であることが1つの背景だと思います。
当社では訪問看護の事業をしており、精神科の訪問看護はストレスを感じる可能性が高い職業でもあるため、一般の病棟と比べると離職率は高くなっています。
質疑応答:採用ルートについて
「採用のルートについて、ホームページ以外でも行っていますか?」というご質問です。
採用に関しては、ホームページ経由の人数はごく少ないです。採用の大半は人材紹介会社経由で行っています。
質疑応答:看護師の配置について
「看護師の配置は、利用者1人あたり何人と決まっているのでしょうか?」というご質問です。
当社では、例えばAというご利用者さまがいたとして、当社の看護師が1対1で対応するようなかたちはとらず、複数の看護師が訪問できるかたちを取っています。
ケースバイケースですが、具体的に何人と決めているものではありません。
質疑応答:在宅医療事業の計画について
「在宅医療事業について、今期は強気の計画となっている背景を教えてください」というご質問です。
今期計画において、前期まで地方創生事業のセグメントに含まれていた3つの訪問看護ステーションを在宅医療事業に移管しています。
スライド左側棒グラフの「FY24計画」では、在宅医療事業の売上高は前期比12.2パーセント増の15億6,600万円を計画しています。事業セグメントの移管の影響を除いて、もともとの在宅医療事業に関して比較すると、前期比3.8パーセント増という予想です。売上自体はそれほど大きな増加は見込んでいません。
営業利益は前期比で4割程度増えています。こちらは先ほどお伝えした、主に経費面をしっかりコントロールすることで、達成できる数字として計画をしています。何か強気なことや無理をしている状況ではないとご理解ください。
質疑応答:人員増による費用について
「全社共通経費についてです。今後、社員数の増加など、その他の費用が発生しますか?」というご質問です。
社員について、当社は今期上場したこともあり、管理系の部門で一定の人員増を計画しています。
当社は2本社制を取り入れており、東京都と福岡県にそれぞれ本社があるため、人員増には東京都と福岡県での人員増が含まれています。
質疑応答:株主還元の方針について
「株主還元の方針を教えてください」というご質問です。
当社はまだ株主資本について、利益剰余金がマイナスという状況です。3月末の時点で4億円程度のマイナスがあり、おそらくあと数期でこのマイナスがなくなり、次にそこをプラスにして配当可能利益が出てくるような状況です。したがって、あと数年は残念ながら配当ができないのが実情です。
質疑応答:外部成長戦略について
「オーガニックでの成長以外で、M&Aや買収等による外部成長戦略について教えてください」というご質問です。
現時点ではオーガニックの成長を優先して考えていますが、在宅医療事業、地方創生事業の周辺領域で、事業拡大に資するものがあれば検討していこうと思っています。繰り返しになりますが、オーガニックでの成長を第一と考えています。