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畠賢一郎氏:みなさま、こんにちは。株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング代表取締役社長執行役員の畠です。どうぞよろしくお願いします。
本日は大変ご多忙の中、当社2024年3月期決算説明会のライブ配信にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、決算説明資料に沿った内容で構成しています。
サマリー
サマリーです。本決算説明会の概要を3点にまとめました。
1つ目、2024年3月期は計画どおり黒字化を達成しました。売上高は対前期23.7パーセントの増加、営業利益は8億7,000万円と、大幅な増収増益となりました。なお、新製品・技術開発への投資は計画どおり推進しています。
2つ目、2025年3月期も引き続き黒字を計画します。2025年3月期の業績予想は、売上高29億4,000万円、営業利益1億2,000万円です。
メラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」の販売開始、そして自家培養軟骨「ジャック」の価格改定、ラボサイトシリーズの海外展開により、引き続き黒字を実現します。
3つ目、中期経営計画に修正はありません。成長ドライバーとなるパイプラインの開発は着実に進捗しています。当社は中期経営計画に則り、2026年3月期の売上高50億円、利益率10パーセント超を目指します。
2024年3月期の業績
ここからは、2024年3月期の業績・トピックスについてご説明します。
2024年3月期の売上高は、再生医療受託事業の売上が大幅に拡大し、研究開発支援事業の売上も順調に伸長した結果、全体として堅調に推移し、25億1,400万円、対前期23.7パーセントの増加となりました。
再生医療製品事業では、自家培養表皮「ジェイス」の売上が拡大した一方、自家培養軟骨「ジャック」と「眼科領域、その他」の売上が減少しました。
営業利益は1億4,400万円、対前期8億7,200万円の増加です。経常利益は1億4,700万円、対前期8億7,200万円の増加です。当期純利益は1億4,300万円、対前期8億7,200万円の増加となり、計画どおり黒字化を達成しました。
営業利益増減の内訳
再生医療受託事業の売上増加などに伴い、売上総利益は5億5,400万円の増加となりました。こちらには帝人株式会社から受領したマイルストン対価も含んでいます。
販売費及び一般管理費は、業務効率化および経済産業省からの補助金を効果的に活用したことにより、1億5,200万円減少しました。
研究開発費は計画どおり開発ステージが伸長したことに伴い減少し、また補助金を活用した効果もありました。
再生医療製品事業:自家培養表皮ジェイス
自家培養表皮「ジェイス」について、2024年3月期における売上高は9億1,100万円、対前期10.2パーセントの増加となりました。重症熱傷ではコロナ禍を経て救急搬送ルートが変化しつつありましたが、医局説明会や地方学会等への施策が奏功し、新たな先生方へアプローチを行うことができました。このような影響により、受注獲得が加速し売上を牽引しています。
また、先天性巨大色素性母斑では、拠点施設を中心に営業活動を展開しましたが、治療の候補となる患者さんが少ない状況は変わらず、苦戦が続きました。一方で、11月に開催された母斑研究会において、母斑が広範囲にわたる症例に対する新しい治療法が議論され、それと「ジェイス」を併用する検討が開始されており、今後の受注増加が期待されます。
表皮水疱症では、候補患者さんの移植スケジュール調整が進み、順調に売上が拡大しました。次年度も当期に展開した営業基本戦略を継続するとともに、「ジェイス」の臨床的意義を最大限訴求する施策を実行し、売上増加につなげたいと思っています。
再生医療製品事業:自家培養軟骨ジャック
自家培養軟骨「ジャック」について、2024年3月期の売上高は3億2,000万円、対前期13.8パーセントの減少となりました。コロナ禍で受注が途絶えた医療機関や新規施設からの受注は堅調でしたが、「ジャック」の売上を牽引する大口施設の受注が回復しませんでした。
医師の異動先の医療機関が施設要件を満たしていない影響も大きく、受注の回復に時間を要しています。
一方、12月に開催された日本膝関節学会では、「ジャック」による関節温存治療の有効性が示され、医師からの評価が高まっています。それを追い風にエビデンスを訴求し、拠点施設を増やすことで、売上の底上げを図ります。
また変形性膝関節症への適応拡大に対する期待が大変高まっています。先般開示した治験結果を活用し、計画どおり着実に申請準備を進めています。
再生医療製品事業:眼科領域、その他
2024年3月期の眼科領域、その他の売上高は1億7,400万円、対前期15.7パーセントの減少となりました。これまで、「ネピック」に続き「オキュラル」の販売開始で眼科領域の売上は拡大してきましたが、拠点施設での候補となる待機患者さんへの移植が一巡したことにより、当期は売上が伸び悩みました。
一方、新たな動きとして、片眼に「オキュラル」を移植した両眼性疾患の患者さんに対する、反対側の対側眼への受注が入り始めました。今後も全国の角膜専門医へ眼科領域初の再生医療を継続的に訴求し、治療対象となる患者さんの掘り起こしに努めます。
さらに、販売を担う株式会社ニデックと協働し、主要学会での一般眼科医への製品認知度向上や治療成績に関する情報発信を行うとともに、潜在患者さんへの直接的な治療啓発の取り組みを具体化することで、売上の増加を目指します。
再生医療受託事業
再生医療受託事業について、2024年3月期の売上高は8億6,500万円、対前期106.4パーセントの増加となりました。
新規顧客、既存顧客、および親会社である帝人株式会社からの受託がそれぞれ順調に増加しました。2023年4月19日付けで帝人と再生医療受託事業に係るライセンス契約を締結し、本契約締結に伴い受領したマイルストン対価の一部である1億7,000万円を計上したことも、大きな増加要因となりました。
当社の再生医療製品等の製造販売による実績や経験をもとに、お客さまの課題解決への貢献に努める一方、事業部内での業務効率化、体制強化に取り組んだ結果、よりお客さまへの役務提供に注力できる好循環を生み出しています。
また、CDMOとして着実な実績も積み上がってきました。当期に設立された帝人リジェネット株式会社をはじめ、帝人グループの関連各社と協働し、CDMO事業の拡大を通じて社会に貢献したいと思っています。
研究開発支援事業:ラボサイト
研究開発支援事業について、2024年3月期の売上高は2億4,200万円、対前期17.0パーセントの増加となりました。
研究用ヒト培養組織「ラボサイト」シリーズは、円安による原材料価格および物流コスト高騰のため、2023年4月に価格改定を行いました。価格改定によるユーザー離れが懸念されましたが、オンライン面談による製品使用方法および疑問点へのきめ細やかな説明、新規使用方法のウェビナー開催などを実施した結果、前年同期に対し売上が増加しました。
また、「エピ・モデル24」を用いた皮膚刺激性試験法、皮膚腐食性試験法、そして「角膜モデル24」を用いた眼刺激性試験法が、標準法の1つとして経済協力開発機構(OECD)のテストガイドラインに収載されています。
現在「エピ・モデル24」を用いた新たな標準法として、皮膚感作性試験のテストガイドライン収載に向けた準備を、花王株式会社さまが中心となって進めており、今後この収載を足がかりに国内外での売上増加を狙いたいと思っています。
貸借対照表の概要
2024年3月期末における貸借対照表の概要は、スライドのとおりです。なお、2024年3月期末における流動資産のうち、現金及び預金は42億6,600万円となっており、十分な手持ち資金を確保している状況です。
キャッシュフローの概要
2024年3月期末における当社のキャッシュフローの概要は、スライドのとおりです。
2024年3月期のトピックス一覧
2024年3月期のトピックス一覧です。すでにご覧いただいているものも多いかと思いますが、いくつかピックアップしてお話しします。
経済産業省の補助金事業 採択
経済産業省の補助金事業採択についてご説明します。2023年5月に、経済産業省の令和4年度第二次補正予算「再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業補助金」において、当社の申請事業が採択されました。
当社は補助金を活用し、本社のある愛知県の蒲郡地区と千葉県の柏の葉地区に、医療機関、アカデミアの先生方、企業、地域をつなぐ目的指向型のプラットフォームを構築し、再生・細胞医療・遺伝子治療を社会実装するための活動に取り組みました。
再生医療の社会実装
概念的な内容ですが、本事業で取り組んだ再生医療の社会実装に向けた取り組みをまとめています。当社はすでに5つの製品を持っています。これは開発のみならず、これらの社会実装をいかに適切に行っていくかを含め、再生医療の価値最大化を実現すべく、さまざまな活動を実施しています。
このようなこと一つひとつが、今後新たな再生医療のプラットフォームを作ることに寄与すると理解しています。この中から一部の取り組みをご紹介します。
生産基盤技術の確立
生産基盤技術の確立についてです。当社が上市した5製品は全品目が自家細胞製品であり、患者さんごとの製造スケジュールが多数並行するため、製造、品質管理、原材料在庫、輸送管理等、複雑で膨大な生産情報をエラーなく管理するシステム整備が必要です。
当社は、自家細胞製品の生産量増大と品目追加に対する量産化・自動化対応、そして貴重な品質情報を品質向上・コスト削減等へ有効活用するための、情報の電子化・データベース化を推進し、革新的な再生医療生産体制の構築を推進しています。
さらに、今回の補助金を活用し、メラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」の製造開始に向け、AIによる特定細胞数計測システムを開発しました。
再生医療等製品の工程管理および出荷試験では、製品特性に応じた細胞の含有量を計測する必要があります。当社は今回開発した細胞数計測システムを活用し、「ジャスミン」の品質向上・コスト削減につなげていきたいと思っています。
同種培養表皮の製造準備
同種培養表皮の製造準備についてご説明します。こちらは自家培養製品とは異なり、大量培養が可能です。市場が大きく、大量生産が予想されるため、現行の手作業主体の製造工程ではなく、自動化する仕組みを構築しています。
当社は今回の補助金を活用し、表皮細胞シートの大量自動培養装置と洗浄装置を開発、導入しました。このような技術一つひとつも、他家細胞のみならず、自家細胞についても活用できると思っています。
CAR-T細胞製剤のCDMO推進
CAR-T細胞製剤のCDMO推進についてです。抗CD19CAR-T細胞療法は、海外製剤が再発/難治性のB細胞性急性リンパ性白血病に対して保険承認されたものの、高額薬価や製造スロット制限といった課題があります。海外では、こうしたCAR-T細胞の開発が数多く進捗しており、我が国でも製造受託の引き合いが多い状況です。
また、国内でも、piggyBacトランスポゾンベクターを用いた安価なCAR-T細胞製剤技術のCDMO事業も大変望まれています。CAR-T細胞製剤の国内生産体制の整備は急務であり、多様なCAR-T細胞製剤のCDMOを推進する体制の構築を目指しています。
当社は今回の補助金を活用することで、CAR-T細胞の製造機器を整備し、治験製造のプロセスバリデーションを完了しました。これにより蒲郡地区と柏の葉地区で、多様なCAR-T細胞製剤のCDMO事業を受託できる体制が構築できました。
第23回日本再生医療学会 にて「Innovation Award」「優秀演題賞」を受賞
当社は2024年3月期において、さまざまな賞を受賞しました。第23回日本再生医療学会では、優れた再生医療技術の研究・開発を行い、その成果が実用化や臨床応用に向けて進展している企業や、再生医療分野において社会的・経済的な価値を提供し、健康産業の発展に貢献している企業を表彰する「再生医療イノベーションAward」において、Established Company部門に選出されました。
また、同学会の一般演題においても、当社の研究開発部による口演が優秀演題賞を受賞しました。こちらは間葉系幹細胞(Mesenchymal Stem Cell:MSC)の特性解析に関する当社の取り組みについてのもので、かねてより当社が蓄積してきた間葉系幹細胞に関する基礎研究の成果が高く評価されました。
蒲郡市との地域連携
当社の本社がある蒲郡地区は、「再生医療のまち、蒲郡」を掲げています。また蒲郡市民病院には特定認定再生医療等委員会があり、こちらとの連携を着実に進めています。
今後、メディカルインバウンドの機会を創出し、さらに地域と密着し、活動を推進していきます。
また、当社がかねてより進めていた蒲郡市の高校生の日本再生医療学会への派遣や、「蒲郡市生命の海科学館」での生涯学習活動などが評価され、蒲郡市政施行70周年記念式典にて感謝状をいただきました。
2025年3月期の業績予想
続いて、2025年3月期の計画についてご説明します。
まず、2025年3月期の業績予想です。2025年3月期の売上高は、再生医療製品事業と研究開発支援事業の売上拡大により29億4,400万円、対前期17.1パーセントの増加を計画しています。営業利益は、補助金の減少および新製品上市に向けた量産設備の開発投資等を織り込み、1億2,000万円、対前期2,400万円のマイナスを見込んでいます。
今後、「ジャック」の適応拡大による需要の圧倒的増加への対応、同種培養表皮の生産自動化、CAR-T細胞の開発等を含め、今後増加が見込まれるCDMO事業の拡大を、より有利に進める内容への再投資を計画しています。
黒字化を維持しつつ、中期経営計画最終年度の2026年3月期における目標達成に向けた最終段階へ入っており、そのための経営資源の投入を考えています。
なお、2025年3月期より、再生医療製品事業の売上高を領域別に表示しますので、ご承知おきください。
メラノサイト含有自家培養表皮ジャスミンの保険収載
ここからは、2025年3月期の売上増加を牽引する要素についてご説明します。メラノサイト含有自家培養表皮「ジャスミン」については、2023年3月に製造販売承認を取得し、保険収載に向けて厚生労働省と協議を続けています。
6年に一度の医療・介護・障害福祉サービスのトリプル改定となった令和6年度診療報酬改定と、保険収載の審査のタイミングが一部重なってしまった影響などから、協議に時間を要していますが、着実に前進しており、一刻も早い保険収載を目指しています。
自家培養軟骨 保険償還価格の改定(引き上げ)
自家培養軟骨「ジャック」は、2024年6月1日より保険償還価格が引き上げられます。当社は令和6年度診療報酬改定に向け、「ジャック」が属する特定保険医療材料の機能区分について、「特定保険医療材料の不採算品目引き上げに係る要望書」を厚生労働省に提出しました。
その結果、「ジャック」は代替するものがない特定保険医療材料であり、関連学会からも供給継続の要望があることから、令和6年度診療報酬改定において、原価計算方式による償還価格の見直しを行うことが決定しました。
当社は新償還価格のもと、自家培養軟骨「ジャック」を引き続き安定供給するように努めます。
CDMO事業:柏の葉ファシリティ施設の稼働開始
当社と同じ帝人グループ会社である帝人リジェネット株式会社のCDMO事業拠点である「柏の葉ファシリティ」が2024年2月14日より稼働を開始しました。
当社は再生医療事業に関する施設設計や規制対応など、さまざまな面で同社を支援し、稼働開始に貢献しています。
当施設は「産学連携」「フレキシビリティ」「ネットワーク」といった観点で特徴を有しており、当社は同社と連携のもと、帝人グループとしてさらなるCDMO事業の推進に努めたいと思っています。
ラボサイト:皮膚感作性試験(EpiSensA)
現在、皮膚刺激性試験、皮膚腐食性試験は、皮膚モデルを用いた試験がテストガイドライン化されており、試験が一般化しています。
皮膚感作性試験については、エンドポイントごとにさまざまな試験が存在し、市場規模は皮膚刺激・腐食性試験の3.5倍強と推測されます。
この皮膚感作性試験について、花王株式会社さまが当社ラボサイトシリーズの「EPI-MODEL」を使用した新たな試験方法である皮膚感作性試験(EpiSensA)を考案・開発し、現在OECDテストガイドライン収載に向けて活動されています。
EpiSensAがガイドライン収載されれば、皮膚モデルを用いた初の公定試験となります。当社はEpiSensAを足がかりに、ラボサイトを国内のみならず海外にも積極的に展開し、売上拡大を図りたいと思っています。
中期経営計画の進捗
昨日開示した「事業計画及び成長可能性に関する事項」より、中期経営計画の進捗状況についてご説明します。
当社は中期経営計画のとおり、2024年3月期の黒字化を達成しました。また、2025年3月期も黒字化を目指しています。
2026年3月期の売上高50億円、営業利益率10パーセント超という目標に向けては、成長戦略をさらに加速し、引き続き目標の達成を目指していきたいと思っています。
将来成長に向けた研究開発費投入も、順調に進捗しています。現在、投入額の進捗率は約80パーセントとなっています。
開発パイプラインの上市目標
開発パイプラインの上市目標は、スライドのとおりです。開発は着実に進捗しています。
一方で、上市目標期間については、保険収載に要する期間等を踏まえ、「ジャスミン」を2025年3月期に変更したと同時に、同種培養表皮と「ジャック」適応拡大を2026年3月期にそれぞれ見直しています。
変形性膝関節症への適応拡大に向けた臨床試験の進捗
変形性膝関節症への適応拡大に向けた臨床試験の進捗についてです。自家培養軟骨「ジャック」の変形性膝関節症への適応拡大に向けた臨床試験については、治験終了届書を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出し、今後迅速にデータをまとめて、製造販売申請の準備を進めます。
治験では、ヒアルロン酸ナトリウム製剤投与群に対して統計的に有意な臨床症状の改善が示されたことに加え、変形性膝関節症による軟骨欠損部において、硝子軟骨様組織による修復が確認されたことが示されました。これは再生医療として、大変意義深いものと考えています。
当社は、当初より変形性膝関節症において事業を作り上げることを目的としていました。患者さんの多い変形性膝関節症への適応拡大を契機に、「ジャック」の価値の最大化を目指し、売上を飛躍的に成長させることを目指します。
他家(同種)乾燥ヒト培養表皮(Allo-JaCE03)開発の進捗
他家乾燥ヒト培養表皮「Allo-JaCE03」の開発の進捗についてです。臨床試験については、最終症例の治療が終了し、全例の経過観察が完了しました。現在、製造販売承認申請に向けて準備しています。
並行して、当社は2024年2月21日付で、愛知県より「第一種医療機器製造販売業」の許可取得および「医療機器製造業」の登録を行いました。医療機器の開発・製造から品質管理まで一貫して行うことが可能になったことで、医療機器に分類される他家乾燥ヒト培養表皮の上市に向けた法規制上の対応が進捗しました。
当社は国内初となる他人の皮膚組織を原料としたレディメイド型の製品である他家乾燥ヒト培養表皮の上市により、事業成長を加速したいと思っています。
当社が創り出した価値
当社が創り出した価値についてご説明します。まず、医薬品とはまったく異なる「自家細胞を用いた移植型の再生医療」を事業化し、今回黒字化を達成しました。さまざまなコスト削減、効率化、業務の合理化を進めて黒字化を達成し、プラットフォーマーとして収益性のあるビジネスモデルを実現しつつあります。
今後は、より広い市場を獲得していきたいと考えています。こちらに関しては「ジャスミン」や「ジャック」の適応拡大が、我々にとって大変重要な内容だと思っています。
また当社は、5つの再生医療等製品の承認を取得しています。現在、5つ目となる「ジャスミン」の保険収載を進めていますが、4つの製品を通じて、原料細胞の品質のバラつきを管理し、3,000例を超える患者さんへ安定供給しています。こちらも当社が創り出した価値の1つだと思っています。
さらに、いろいろな方々とのご協力を通じて、少なからず当社は信頼関係を築いています。実際に医療が始まると、「この新しいモダリティをどのように使うか?」について、先生方からも多くのアドバイスをいただきます。我々もさまざまな開発活動を行って、この医療を定着させるべくがんばってきました。
すなわち、移植を行う先生方と二人三脚で治療法を改良し、良好な治療エビデンスを一つひとつ確立しています。
また、規制当局の方々とも、この再生医療の制度が確立する前からいろいろな連携をさせていただき、多くの信頼をいただいています。
また、ここには記載しませんでしたが、日本再生医療学会のアカデミアのみなさま、また規制当局以外の行政の方々ともいろいろな議論を重ね、この事業を進めています。
さらに再生医療受託事業については、我々も再生医療というものの内容をより広く我が国で進めていくという観点も含めて、アカデミアの先生方や企業をご支援し、全体の発展を牽引させていただいています。
さらに昨今、ラボサイトを中心とした動物試験代替法の普及も重要だと言われています。今後新たな医薬品開発におけるモダリティへの展開も期待されているため、より一層進めていきたいと思っています。
最後に人材育成についてです。当社では、すべてのバリューチェーンを保有しています。必ずしも大きくない企業ですが、そのバリューチェーンでは研究開発のみならず、生産、品質管理、信頼性保証、さらには経営、経理などにおいても、この再生医療に特化した高度な人材育成を行い、人材を確保しています。
また、当社は女性社員比率が6割超となっています。独自の育成システムのみならず、働きやすい職場環境整備も行っています。このようなこと一つひとつが、我々のイノベーションを作り上げる考え方に基づいて進められており、着実に根付いてきたと思っています。もう1年、大きな市場をいただくための適応拡大を進めていきます。そして中期経営計画目標達成のため、がんばっていきたいと思います。
以上、私からのご説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。