2023年12月期決算説明
秋山弘明氏:みなさま、こんにちは。株式会社船場、取締役執行役員コーポレート担当の秋山です。本日は当社の2023年12月期決算説明をご視聴いただき、誠にありがとうございます。
目次
まず、2023年12月期決算の状況を私からご説明します。その後、2022年にスタートした中期経営計画の進捗と、2024年以降の業績見通しについて、代表取締役社長の八嶋よりご説明します。
業績ハイライト
2023年12月期決算の状況をご説明します。まずは、業績ハイライトです。
当社を取り巻く事業環境は、社会経済活動の正常化に伴い、商業施設やオフィス、インフラ関連の施設など、各企業の投資動向が回復したことにより活発化しています。
この状況のもと、中期経営計画の戦略推進による新たな市場開拓の成果もあり、売上高は前期比9パーセント増の248億8,600万円となりました。利益面では、売上高の増加による利幅拡大や、付加価値の追求、生産性向上に向けた取り組みなどの効果もあり、営業利益は12億8,700万円となりました。
また、当期純利益は10億3,300万円と、前期より大幅な増益となっています。
連結売上高:国内・海外売上内訳
国内と海外の売上高についてです。売上構成比は国内が81.9パーセント、海外が18.1パーセントとなりました。前期と比較すると、海外の比率が大きくなっています。
売上額は、国内が前期比5パーセント増の203億9,300万円、海外は前期比30パーセント増の44億9,200万円となりました。国内・海外ともに伸長しています。
連結損益計算書
連結損益計算書です。売上高は、商業分野での受注拡大や、中期経営計画で掲げている新たな市場の開拓、注力分野での大型案件の獲得が実現できたこともあり、前期比109パーセントの248億8,600万円となりました。
売上総利益については、売上高の増加による利幅拡大、一部の原材料価格の高騰、人材不足、競争激化による下振れリスクなどがありました。しかしながら、継続的な工事原価軽減への取り組みやDXの推進などによる生産性の向上もあり、前期比118パーセントの45億700万円となっています。
売上総利益率も18.1パーセントと、前期より1.4パーセント向上しています。販管費は、昇給や賞与、採用強化などの人的資本への投資を増加したこともあり、前期比105パーセントの32億2,000万円となりました。
その結果、営業利益は12億8,700万円、経常利益は為替差益などの営業外収益の計上もあり、13億6,300万円となっています。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定資産の売却益など、特別利益の計上もあり、前期から大幅な増益となる10億3,300万円を計上することができました。
連結賃借対照表
連結貸借対照表です。スライドに記載のとおり、流動資産は前期末比20億3,100万円の増加、固定資産は1億9,400万円の増加となっています。資産合計は、前期末比22億2,600万円増加の195億7,400万円となりました。
流動負債は前期末比13億4,000万円の増加、固定負債は1億3,500万円の減少となっています。負債合計は、前期末比12億500万円の増加で、73億2,800万円となりました。
純資産は、前期末比10億2,000万円増加の122億4,600万円となりました。自己資本比率は63パーセントです。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況です。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上があったものの、売上債権や契約資産の増加などにより、6億5,500万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の売却などにより9,300万円の収入となりました。財務活動によるキャッシュフローは、配当金の支払いなどにより3億3,000万円の支出となりました。
現金及び現金同等物は、前期末から7億7,400万円減少し、期末残高は87億8,600万円となりました。
期末受注残高:市場分野別
期末受注残高は、2022年の期末と比較して13億円ほど増加し、58億8,800万円となっています。2024年についても、順調に受注を獲得し、積み上げることができると想定しています。私からのご説明は以上です。
中期経営計画 Make a New Wave!
八嶋大輔氏:代表取締役社長の八嶋です。これまでご説明したように、2023年度は業績面で大きな回復を遂げることができました。
一方、戦略面でも、未来にやさしい空間を創るため、「Good Ethical Company」を目指し、たくさんの布石を打つことができています。私からは、中期経営計画の進捗に照らし、これらの成果をご紹介します。
当期は中期経営計画の第2年度でした。中期経営計画のスローガンは「Make a New Wave!」です。新しい波を起こすため、エシカルとデジタルの実装、新たな市場の開拓、海外事業戦略としての「SEMBA One Asia」、変化を支えるダイバーシティ戦略の4つを、戦略の柱としています。
エシカルの実装
エシカルの実装についてです。当社の施工現場における産業廃棄物のリサイクル率を、2024年までに90パーセント以上にしようと計画しています。全国の協力業者の集まりである船場会の協力や、現場での分別作業の定着もあり、昨年のリサイクル率は92パーセントまで上がりました。
おそらく、ここまで徹底している会社はないだろうと思っており、「船場の現場は違う」と言う現場関係者も多くなってきました。現場のエシカルを進めることは、気持ちの上での安全管理にもつながっていると思います。
そして、環境への負荷が小さい建材を「エシカルマテリアル」と位置づけ、積極的に導入しています。資材メーカーの協力のもと、「エシカルマテリアル」の共同開発なども手がけており、その使用実績は徐々に上がってきています。
ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2023
2023年11月には、業界の枠を超えた共創パートナーとともに未来を考える「ETHICAL DESIGN WEEK TOKYO 2023」を主催しました。3日間で5,600人の来場者があり、多くの人々とエシカルデザインの考え方を共有することができました。このイベントの様子を動画でご覧ください。
(動画流れる)
デジタルの実装 BIM
当社のデジタル戦略の柱はBIMと呼ばれる、未来型のデジタル設計の手法です。このBIMによって、VRやARを含め格段にデザイン提案力が上がるほか、竣工後の施設のメンテナンスやオペレーションにも活かせるなど、今後の建設や内装業務では主流になると言われています。
当社はBIMのフロントランナーとして、着実に現場での活用を進めています。習得した設計者は前年比で9パーセント増え、中期経営計画目標の7割に近づきました。
「デジタル スシロー ビジョン」
例えば、回転すしチェーン大手のスシローが、新型デジタルビジョンとレーンを融合させた最新店舗「デジロー」では、内装デザイン・設計の検討にBIMを活用することで設計効率を上げ、3店舗同時進行での開店を実現しました。
その時の当社の提案に用いたBIMのバーチャルシミュレーション動画をご覧ください。
(動画流れる)
BIM CONNECT本部 新設
当社ではBIMを推進し、5年が経過しました。2024年より、BIM推進室をBIM CONNECT本部に昇格しています。先端デジタル技術をビジネスにコネクトすることに、より強くコミットしていきます。
デジタルで労働時間問題に向き合う
業務のデジタル化により仕事の効率も上がり、残業時間の低減にも成功しています。5年前より月平均の残業時間が20時間を下回ることを目指してきましたが、この2年でそれをクリアすることができました。
2024年4月からの労働基準法の改正にも対応できており、今後も、残業に頼らない仕事の仕方を確立していきます。
注力分野 順調に推移
2023年以降の市場環境では、既存商業分野の復調が感じられ、特に大型店・複合商業施設において売上額の伸長が見られました。また、当社が商業以外の注力分野としている仕事場・学び舎・癒しの場も10パーセント程度成長しています。
注力分野 売上額の内訳
注力分野の売上額の内訳です。スライドに記載のとおり、2023年はオフィス・ショールームの需要が旺盛でした。その中から代表的な物件を紹介します。
麻布台ヒルズ 森JPタワー
2023年の秋に開業し、大きな話題となった森ビルの麻布台ヒルズでは、当社が9,600坪を超えるエリアのオフィス入居工事を担当しました。2024年度も引き続き入居工事が続いており、継続的に取り組み続けていく予定です。
サントリー山崎蒸溜所
2023年はサントリー山崎蒸溜所が100周年を記念し、リニューアルとアーカイブの移設などを行いました。古き良きものを新しい施設に活かす当社のエシカルデザインを発揮し、ウイスキー作りの歴史や想いを未来につなぐ仕事ができたと思っています。
福岡空港国際線北側新コンコース
東アジアトップクラスの国際空港を目指す福岡空港では、国際線ターミナルの増改築計画において、内装デザインと設計を当社が担当しています。福岡県産のヒノキや博多織をふんだんに取り入れ、四季を感じられるしつらえを創り上げました。
CARTA HOLDINGS
デジタルマーケティングとインターネット関連サービスを展開するCARTA HOLDINGSのオフィスです。グループを再編し、新たに始動したCARTA HOLDINGSの企業文化の融合や、社員同士のコミュニケーションを促す仕掛けを多く施しています。
あえて未完成の部分を残した可変的なデザインにすることで、常に進化し続ける、完成された未完のオフィスを表現してみました。
海外連結子会社別売上額
海外事業の売上額は約10億円伸長しました。これを大きくけん引したのは、台湾での事業です。現地では、三井不動産が進める、三井ショッピングパーク「ららぽーと」や三井アウトレットパークの展開が続いており、当社の現地法人がそのサポート企業として、継続的に設計や施工を担当しています。
インテリア・デザイン展示会FIND Design Fair Asiaに出展
2023年に、シンガポールのマリーナベイサンズで開催される、アジア最大級のインテリア・デザイン展示会「FIND Design Fair Asia」に初出展しました。アジア中のバイヤー、デベロッパー、建築家、インテリアデザイナーなどが集まるこの展示会で、海外市場での当社グループの知名度向上に努めました。
中期経営計画2024の修正
2023年度の実績を踏まえ、2024年度の業績見通しをお伝えします。
2023年度は中期経営計画の2年目でしたが、マーケットの改善とエシカルデザインを軸とする当社のバリュー実現に手応えを感じました。結果として、売上、利益において期首の計画を上回って着地しています。また、注力分野にしっかりと取り組むことにより、商業分野での価格競争の影響を最小限にすることができたとも思っています。
2024年度は中計の最終年度となりますが、より一層の飛躍を遂げるため、営業利益、経常利益、当期純利益の計画を上方修正し、臨むことにしました。
配当計画も見直し
当社の株主還元策は、なによりも配当を第一義としています。そのため、2023年度は1株あたり50円、前年比17円の増配を決定しました。2024年度は、より一層の株主還元を果たすべく、1株あたり60円の配当を目指します。
新たな計画を達成するために真摯に経営に邁進し、当社グループ一丸となって企業価値を高めていきます。投資家のみなさまには、一層のご支援をお願いしたいと思います。ご清聴ありがとうございました。