目次

明田篤氏(以下、明田):みなさま、こんにちは。トビラシステムズ株式会社代表取締役社長の明田篤です。2023年10月期の決算についてご説明します。

本日の目次はスライドのとおりです。決算ハイライト、事業概要、2023年10月期第4四半期のトピックおよび業績、2024年10月期の見通し、当社のサスティナビリティレポートの概要の順にご説明します。

2023年10月期 決算ハイライト

2023年10月期の決算ハイライトです。通期の売上高は20億6,100万円で、前年同期比122.6パーセント、営業利益は6億8,200万円で、前年同期比126.3パーセントとなりました。

迷惑情報フィルタ事業のサービス別売上高では、モバイル向けが14億9,000万円で、前年同期比117.2パーセント、固定電話向けが1億9,300万円で、前年同期比117.0パーセント、ビジネスフォン向けが3億3,000万円で、前年同期比179.6パーセントとなりました。

それぞれのサービスの成長理由については後ほど詳しくご説明しますが、11月30日に公表した業績予想の修正のとおり、第4四半期も順調に事業を前進させ、2023年10月期は通期計画を上回って成長することができました。

私たちが目指す世界

ここからは、当社の事業についてあらためてご説明します。当社は「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」を企業理念として掲げています。この企業理念に基づき、「誰かがやらなければならないが、誰もが実現できていない社会課題の解決を、革新的なテクノロジーで実現すること」を事業方針の軸としています。

現在、私たちは「人を守る」という視点で事業を推進しており、詐欺被害やグレーゾーン犯罪などの迷惑行為に悩む人をなくし、誰もが安心して生活できる社会を実現することに挑戦しています。

これまでのトビラシステムズの成長の軌跡

スライドのグラフは売上高の成長を示しています。期首に決めた目標をしっかりと達成し、売上高は創業以来一貫して前年度を上回って成長してきました。

当社の事業は、詐欺被害に遭って迷惑電話が頻繁にかかってくることに悩んでいた私の祖父を助けたいという思いで、開発に着手したことから始まりました。

その時に開発したのが、迷惑電話フィルタ「トビラフォン」です。2011年に販売を開始し、近隣警察との実証実験でその効果が認められたことをきっかけに、2015年に警察庁と特殊詐欺被害電話に関する覚書を締結しました。

これにより、警察から全国の特殊詐欺で実際に使用された電話番号等の情報提供を受ける体制を構築しました。そして2016年までに、大手通信キャリア3社のオプションパックに迷惑電話フィルタサービスを導入いただき、当社の主力事業へ成長してきました。

2021年10月には広告ブロックアプリを提供する、合同会社280blockerを吸収合併し、現在、迷惑電話・迷惑SMS・迷惑広告をブロックするサービスを提供しています。2023年10月20日からは、スタンダード市場に移行しました。

取り巻く社会課題の状況

当社が挑戦している社会課題の1つが、特殊詐欺犯罪やフィッシング詐欺です。警察庁の公表によれば、2022年の全国における特殊詐欺の被害総額は約370億円で、認知件数は1万7,570件となり、直近の被害総額、認知件数はともに増加傾向に転じています。

また近年は、スマートフォンや携帯電話のショートメッセージサービス(SMS)を悪用して個人情報を抜き取るフィッシングや、振り込め詐欺の被害が表面化しています。フィッシングメールの報告件数についても、2022年は約96万件であり、2019年から比較すると約17.3倍と急増しています。

独自調査による、社会課題の直近動向

当社の独自調査に基づくデータでは、2023年10月において、宅配事業者をかたるフィッシング詐欺が約9割を占めていました。2023年1月時点では約過半数であったことから、フィッシング詐欺のSMS種別は日々変動していることがおわかりいただけると思います。

また、実在する企業やブランド名などをかたったフィッシング詐欺が目立っており、直近ではイオン銀行や三菱UFJ銀行が、公式サイトにて注意喚起しています。SMSは利便性が高く、配信サービスの利用が増加していますが、併せてフィッシングメールも増加傾向にあります。そのため、各事業者への対策が求められるなど、社会的な負担が増加しています。

スライド右側の文面例を見るとわかるとおり、内容は身近に感じられるものが多く、実際に受け取られたことのある方も多いのではないでしょうか。オンラインでお買い物をされ、荷物が受け取れなかったタイミングでこのような宅配のSMSが届いたら、思わずクリックしてしまうこともあるかもしれません。

このような「人の行動の弱み」を利用した犯罪の被害は後を絶たず、ニュースでは連日特殊詐欺やフィッシング詐欺被害について報道されています。テクノロジーの発展により、今後はますます特殊詐欺犯罪の手法が多様化・巧妙化することが容易に想像できます。

迷惑情報データベースの強み

特殊詐欺やフィッシング詐欺などの社会課題の解決に向け、当社は強みである迷惑情報データベースを活用し、危険な電話・SMSをブロックするサービスを提供しています。

迷惑情報データベースは、危険な電話番号やSMSに記載されているURL等をブラックリスト化し、ユーザーが危険な電話やSMSをブロックする仕組みです。類似のサービスは存在しますが、当社と同程度のデータ量、質を保有する企業は現在のところありません。

当社のデータベースの持つ特徴は大きく3つです。1つ目は、警察庁から実際に犯罪や攻撃に使われたとみられる電話番号やURLのデータを提供いただいていることです。これによって、精度の高い情報を入手することが可能となっています。

2つ目は、ユーザー数が多いことです。当社サービスの月間利用者数は1,500万人を超えており、同じ規模の利用者を獲得することは難しいと考えます。多くのユーザーから得られる統計情報を活用していることから、ユーザーが多ければ多いほどデータ精度が高まり、先行者である当社が有利な状況となります。

3つ目は、大手通信キャリアでの採用です。当社サービスは大手通信キャリアに採用されており、それがユーザー数の拡大へもつながり、参入障壁を強固なものとしています。

この3つの強みで構成されたデータベースが、当社の基盤となっています。当社のサービスがインフラのように当たり前になる社会を目指して活動を続け、個人の幸せな時間が守られることへ貢献していきたいと考えています。

サービス内容

迷惑情報データベースを活用し、現在3つのサービス分野にて製品を展開しています。

1つ目は、モバイル向けフィルタサービスです。大手通信キャリアと提携し、各キャリアが提供するオプションパックに含まれるサービスの1つとして、スマホアプリというかたちで迷惑電話や迷惑SMSのフィルタリングサービスを提供しています。

また、広告ブロックアプリ「280blocker」を提供しており、迷惑電話・SMS対策に加え、迷惑Web広告対策までカバーしています。

2つ目は、固定電話向けフィルタサービスです。もともとは固定電話機に取り付ける外付け型の端末を販売していましたが、現在の販売モデルの主力はホームゲートウェイです。さらに、2021年2月からは、ケーブルプラス電話のオプションとして、ネットワーク上で迷惑電話の着信を自動遮断するサービスを開始しました。

3つ目は、ビジネスフォン向けフィルタサービスです。現在「トビラフォン Biz」「トビラフォン Cloud」「Talk Book」の3つのサービスを法人向けに提供しており、電話業務の効率化やDXを促進しています。

事業セグメント(2023年10月期通期)

モバイル向け、固定電話向け、ビジネスフォン向けフィルタサービスで構成された迷惑情報フィルタ事業は、売上の97.7パーセントを占める主力事業です。その中でも、売上構成の72.3パーセントをモバイル向けフィルタサービスが占めており、利益率の高い安定収益分野となっています。

現在は、将来の収益の柱に育てたいという思いから、モバイル向けサービスの安定した収益を基盤に、ビジネスフォン向けフィルタサービスに投資を行っています。その他の事業は積極的に展開しない方針です。

モバイル向けに関するマーケット

モバイル向けフィルタサービスに関するマーケットについてご説明します。現在、私たちのアプリが採用されているオプションパックをご利用いただける方は、約4,038万人以上いると推定しています。そのうち、実際に当社アプリをダウンロードしてご利用いただいている方は、まだ約1,443万人にとどまっています。

先ほどご説明したように、当社は大手通信キャリア3社のオプションパックに採用されており、潜在ユーザー層へのリーチが可能となっています。潜在ユーザー層に向け、通信キャリアと一緒にマーケティング施策を行うことなどを通じ、成長していきたいと考えています。

固定電話向けに関するマーケット

固定電話向けフィルタサービスに関するマーケットについてご説明します。固定電話全体では約5,044万件の契約が存在していますが、当社サービスの月間利用者数は約53万人にとどまっています。

今後は、従来の電話がIP電話に移行することにより、当社サービスの利用可能範囲が広がると考えています。具体的には、従来型の回線であれば、電話機に外付け型の「トビラフォン」を設置していただくことで当社のサービスが利用可能になります。

IP電話であれば、ホームゲートウェイ型やケーブルテレビのネットワーク型における利用方法が可能となります。新たに機器を購入して電話機に外付けをしなくても、オプション契約を追加するだけで、当社のフィルタリングサービスがご利用いただけます。

足元では、KDDIと連携されているケーブル会社を通じ、専用機器不要で迷惑電話をブロックするサービスが堅調に伸びています。

当社の固定電話向けサービスにおける最も大きな成長可能性は、固定電話回線で大きなシェアを持つNTT東日本やNTT西日本との連携だと考えていますので、当社サービスの採用に向け、引き続き積極的に活動していきます。

2023年10月期の主な取り組み

ここからは、第4四半期のトピックについて、2023年10月期の注力事項の振り返りも踏まえながらご説明します。モバイル向けフィルタサービスにおける、2023年10月期の注力事項は2つあります。

1つ目は、迷惑情報データベースを活用した当社サービスを複数領域へ展開することです。こちらについては、2023年2月17日から「UQ mobile」のオプションサービス「安心セキュリティセット」として「迷惑メッセージ・電話ブロック」の販売が開始されました。

また2023年3月1日からは、株式会社オプテージの携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」で提供されている「広告フリー」サービスにて、広告ブロックアプリ「280blocker」の広告情報データベースが活用されています。

2つ目は、他のセキュリティ企業との連携に向けて活動することです。こちらも活動を進めており、現在は協議を進めている段階です。

2023年10月期の主な取り組み

ビジネスフォン向けの注力事項についてです。「トビラフォン Biz」は引き続き安定的な成長を目指し、「トビラフォン Cloud」と「Talk Book」はPMFを継続して実施しました。

加えて、「トビラフォン Biz」では2023年10月期も代理店の拡充や機能の追加を行い、成長を維持することができ、ユーザーからのヒアリングや機能拡充にも努めました。

海外からの迷惑電話の急増に対応

ALPS処理水の海洋放出開始後、海外からの迷惑電話が急増し、自治体や飲食店などで被害が出ている様子がメディアでも多く取り上げられています。この状況を受け、2023年9月7日より「トビラフォン Biz」で、9月13日より「トビラフォン Cloud」で、海外からの迷惑電話を国別に一括でブロックする新機能の提供を開始しました。

2023年10月5日には2回目の海洋放出が開始され、迷惑電話の被害が再び増加しました。そのような状況を踏まえ、さらなる対策強化としてNTT東日本との協業を発表しました。そこで、「トビラフォン Biz」については、2024年3月31日までのご利用を前提とした割安なプランを用意しています。

さらに、すでに海外からの迷惑電話によって業務に著しい影響が出ている自治体等のお客さまには、2024年3月31日まで無償で提供します。この機会にぜひお試しいただき、今後の備えとしてもご活用いただければと思っています。

今後もNTT東日本と協力し、安心してご利用いただけるように取り組んでいきます。

「トビラフォン Cloud」が口コミをもとにした表彰において各部門で受賞

「トビラフォン Cloud」は、各口コミをもとにした表彰で受賞を続けています。1つ目は、「ITreview Grid Award 2023 Fall」です。3部門で最高位の「Leader」を受賞し、今回で7期連続の受賞となりました。

「ITreview Grid Award」は、製品利用者の評価をもとに顧客満足度の高い製品を選定するものです。「ITreview」に集まった約6万5,000件のレビューをもとに、顧客満足度と認知度の双方が優れた製品を「Leader」として表彰しています。

2つ目は「BOXIL SaaS AWARD Winter 2023」です。PBX部門で「Good Service」を受賞しました。同時に、「BOXIL SaaS」上に投稿された「口コミによるサービス評価」各9項目をにおいて、一定の基準を満たした上で、各カテゴリで最も高い平均点を獲得したサービスに付与される称号として「機能満足度No.1」「カスタマイズ性No.1」「お役立ち度No.1」「使いやすさNo.1」の称号をいただきました。

「トビラフォン Cloud」は今年2月に機能アップデートを実施し「Slack」や「Microsoft Teams」、CRMサービス「HubSpot」、営業DXサービス「Sansan」との連携機能が利用可能となりました。

また、直近ではFAXクラウド化のご要望に対し、日本テレネット株式会社が提供するインターネットFAXサービス「MOVFAX(モバックス)」のご紹介が可能になりました。「トビラフォン Cloud」をお使いいただくことで、従来はオフィスにいなければ対応が難しかった業務を、自宅や外出時などの自由な場所で行うことが可能になります。

足元の数字は開示していませんが、契約数も徐々に増えてきています。引き続きPMF活動を行いながら、ユーザーに喜んでいただける機能を追加し、ユーザーに選ばれる製品へと育てていきます。

2023年10月期 第4四半期業績サマリー

金町憲優氏:トビラシステムズCFOの金町です。私からは、2023年10月期の業績についてご説明します。

まずは第4四半期の業績です。売上高は5億3,100万円で、前年同期比123.3パーセント、営業利益は1億6,100万円で、前年同期比129.6パーセント、純利益は1億7,500万円で、前年同期比226.2パーセントとなりました。各項目とも、前年同期比でしっかりと成長させることができています。

また、純利益については、ホームページ制作運営支援事業「HP4U」の事業譲渡による特別利益を計上しています。このような一過性の要因もあり、前年同期比226.2パーセントと大きく成長したかたちとなりました。

2023年10月期 第4四半期 サービス別売上内訳

第4四半期のサービス別売上高についてご説明します。モバイル向けが3億7,800万円で、前年同期比120.4パーセント、固定電話向けが5,000万円で、前年同期比122パーセント、ビジネスフォン向けが9,300万円で、前年同期比158パーセントとなりました。

主な成長要因をサービスごとにご説明します。モバイル向けは、2022年10月に締結した固定契約モデルの新規契約や、今年4月より「契約者数×単価」モデルで単価アップした契約更改ができたことなど、想定したストック収益が寄与しました。加えて、「280blocker」のマーケティング施策がしっかりと効果を出したことで、売上が好調となりました。

固定電話向けは、CATV向けサービスが引き続き好調に推移しました。ビジネスフォン向けは、「トビラフォン Biz」の販売が順調に進みました。「トビラフォン Cloud」の足元の数値は開示していませんが、前年同期比で販売を伸ばしています。

2023年10月期 業績サマリー

2023年10月期の通期業績についてご説明します。売上高とすべての利益において前期比20パーセント以上の成長となり、増収増益で着地しています。計画比でもすべて上回っており、事業をしっかりと成長させられたと考えています。

特に純利益は、ホームページ制作運営支援事業「HP4U」の事業譲渡による特別利益を計上しており、前期比160.8パーセント、計画比131.4パーセントとなりました。こちらについては、適時開示基準に照らし、11月30日に通期業績予想の上方修正および増配に関するお知らせを開示しています。

2023年10月期 サービス別売上内訳

2023年10月期のサービス別売上高についてです。すべてのサービスにおいて、前期比で15パーセント以上の成長となりました。

計画比では、ビジネスフォン向けフィルタサービスが1歩届かなかったものの、前期比では179.6パーセントと大きく伸長しており、当社の注力事項を成長させることができたと考えています。

売上高四半期推移(ストック収益、フロー収益)

売上高の四半期推移です。スライドのグラフは、ストック収益と一過性のフロー収益の内訳を分けて記載しています。当社の基盤であるストック収益は、前年同期比121.1パーセントの成長となり、前四半期比も101.1パーセントと着実に成長しています。

フロー収益には「280blocker」の売上や「トビラフォン」と「トビラフォン Biz」の端末代金等を含んでいます。この第4四半期では「トビラフォン Biz」の販売がしっかりと進められただけでなく、「280blocker」 のマーケティング施策が効果につながり好調となりました。

モバイル向けフィルタの主な契約モデル

モバイル向けの主な契約タイプについてご説明します。当社は大手通信キャリア3社と、それぞれ異なる料金契約を締結しています。

1つ目は固定契約です。毎月定額でお支払いいただき、利用者数の増減に影響を受けない契約です。

2つ目は「契約者数×単価」の契約です。通信キャリアでオプションパックを契約されている「ユーザー数×単価」で、料金をいただいています。大手通信キャリアから格安スマホへ移行する流れが続いており、契約者数の減少については引き続き注視していきます。

3つ目は「月間利用者数×単価」の契約です。当社のアプリをご利用の「ユーザー数×単価」で料金をいただいており、月間利用者数に連動して当社への売上高が変わる契約です。

モバイル向けフィルタの主な契約モデル別の四半期推移

1つ前のスライドでご説明した、モバイル向けフィルタの主な契約モデル別の四半期推移についてです。スライド左側のグラフは、3つの契約モデルの売上構成比の四半期推移を示しており、グラフの右側には、それぞれのモデル別の売上高と月間利用者数の前四半期比を記載しています。

「月間利用者数×単価」モデルについては、売上高、月間利用者数ともに増加しました。第2四半期には、通信キャリア独自の期間限定施策が実施された影響でユーザー数が拡大していましたが、施策が終了した2月以降はユーザー数の減少が続いていました。第4四半期に通信キャリアとマーケティング施策を実施し、月間利用者数の増加につなげています。

「契約者数×単価」モデルは、契約更改により今年4月から単価がアップした影響で、第3四半期は売上高が増加しましたが、格安スマホへの移行等のトレンドは引き続き続いており、契約者数は減少傾向にあります。

今回は、このモデルの月間利用者数を非開示としています。こちらは、当社のサービスを提供しているアプリが、各種セキュリティ機能を統合した新しいアプリへと切り替わるタイミングにあり、新旧双方のアプリ利用者の重複分を調整することが難しいためです。

比較可能な情報が取得でき次第、あらためて開示を検討します。なお、足元のトレンドで大きく利用者数が減少していることは認識していません。

固定契約モデルは、売上高が横ばいで推移しています。こちらも月間利用者数は減少となっており、分析を行っています。今後の動向については、通信キャリアと連携しながら注視していきたいと考えています。

売上原価の推移

売上原価の推移です。第4四半期は、人材採用に伴う労務費の増加やサービス開始に伴う減価償却費が増加しました。通期におけるPLでの売上原価は6億2,800万円、原価率は約33パーセントです。計画比では97.7パーセントとなっており、計画どおりにコントロールできたと考えています。

販管費の推移

販管費の推移です。第3四半期にお伝えしていたとおり、第4四半期は、積極的な採用を継続したことによる採用費や人件費の増加、東京オフィスの移転など今後の成長に向けた投資を実施した影響で費用が拡大しました。

通期におけるPLでの販管費は7億5,000万円、販管費率は約36パーセントです。計画比では99パーセントとなっており、計画どおりにコントロールできたと考えています。

営業利益の推移

営業利益の推移です。第4四半期の営業利益は1億6,100万円で、前年同期比129.6パーセント、営業利益率は30.4パーセントとなりました。第1四半期は投資を先送りして大きく利益を計上していましたが、第2四半期から第4四半期は着実に投資を行いました。

先ほどお伝えしたとおり、第4四半期は人材採用や東京オフィスの移転等を行いました。そのため、営業利益は四半期で見ると減少していますが、通期で見ると6億8,200万円で、前期比126.3パーセントと増益で着地しています。なお、通期の営業利益率は約33パーセント、計画比では113.8パーセントとなりました。

コスト推移(四半期)

スライドには第4四半期のコスト推移を記載しています。適宜ご参照ください。

コスト推移(通期)

スライドには通期のコスト推移を記載しています。適宜ご参照ください。

BS推移

BSの推移です。増減額に着目していただくと、資産項目としては「現金及び預金」、負債項目では「流動負債」が増加しています。こちらは、主に「トビラフォン Biz」の販売やその他の前受金の受領によるものです。

「トビラフォン Biz」のメインの販売モデルでは、5年から7年の契約期間分のキャッシュを契約時にいただきます。端末代は販売時に売上を計上するのに対し、ライセンス料は契約期間で按分して計上するため、ライセンス料の一部は契約負債となります。

「トビラフォン Biz」の販売が引き続き好調であることにより、「現金及び預金」と「流動負債」が増加しました。また、有形固定資産は東京オフィスの移転等の影響によるものです。

2023年10月期期末配当

期末配当についてです。2023年10月期の配当金は17円と決定しました。当社は、配当性向35パーセントを基本方針としています。2023年10月期の業績と配当性向の基本方針に鑑みて決定しました。

トビラシステムズの成長戦略

2024年10月期の見通しについてご説明します。当社の強みの1つは、独自の迷惑情報データベースです。このデータベースの質的価値、量的価値を高めることと、データベースを多領域に展開することを基本的な成長戦略と考えています。

データベースの質的価値とは、保有するデータの項目を増加させることです。これまでも「208blocker」の買収等を通じてデータ項目の増大を図ってきました。データベースの量的価値とは、月間1,500万人を超えるユーザーからのフィードバック情報です。量が増えることでデータの精度が高まり、その価値も高まります。

このような唯一無二のデータベースを、通信業界だけでなくその他の市場にも広く展開していくことで、特殊詐欺を防ぐという社会課題の解決に貢献し、当社の企業価値の向上にもつながると考えています。

2024年10月期の業績見通し

2024年10月期の業績見通しです。前スライドで説明した成長戦略を実行に移し、事業を成長させることが重要であると考えています。売上高は23億5,000万円、営業利益は7億5,500万円と、2024年10月期も増収増益の計画です。

また、当社の事業構造が大きく変わらないことを前提として、営業利益率は30パーセント程度を維持する考えです。

2024年10月期のサービス別 売上見通し

2024年10月期のサービス別の売上見通しです。モバイル向けが15億5,100万円、固定電話向けが2億1,300万円、ビジネスフォン向けが5億7,900万円と見込んでいます。

2024年10月期のコストに関する見通し

コストに関する見通しです。売上原価は7億1,200万円、販管費及び一般管理費は8億8,300万円を見込んでいます。事業の拡大を想定しているため、いずれも前期を上回っています。2023年10月期に行った積極的な採用により労務費や人件費が増加していることに加え、人的投資は引き続き強化していく方針のため、それらの費用の増加を見込んでいます。

また、「トビラフォン Biz」の販売増加による端末代の増加と、販促活動を引き続き強化することによる費用の増加も見込んでいます。

【2024年10月期】直近の動向

2024年10月期の業績に関する、直近の動向についてご説明します。1つ目として、モバイル向けサービスの固定契約モデルにおいて、2023年12月より契約金額を引き上げる契約更改を行いました。2023年12月からとなりますので、第1四半期においては2ヶ月分寄与する想定です。

2つ目として、ビジネスフォン向けサービスにおいて、2023年11月より「トビラフォン Biz」の端末販売価格を引き上げました。2023年11月から変更しており、第1四半期から業績に寄与する見込みです。

引き続き、2024年10月期の業績計画達成に向けて、積極的に事業を推進していきます。

中期経営計画最終年度(2024年10月期)目標を修正

中期経営計画の下方修正についてです。2023年9月8日の第3四半期決算発表の際にもお伝えしていましたが、本日正式に中期経営計画の下方修正について開示しました。

2021年12月に、2022年10月期から2024年10月期の3ヶ年の中期経営計画を発表しました。中期経営計画の達成に向けて活動してきましたが、外部環境の変化や当初計画との差が発生したため、その分析と対応を行ってきました。

2024年10月期の目標を社内であらためて精査したところ、中期経営計画で描いていた2024年10月期の目標値には届かない見込みとなりました。

内訳としては、モバイル向けサービスは上振れでの見直しとなっていますが、こちらは中計策定時点で想定していなかった、大手キャリア向けに迷惑SMSブロック機能を提供する契約の拡充や、契約単価のアップが達成できたことによります。

固定電話向けは、おおむね中計策定時点の見込みから外れていません。今後は、シェアの大きなパートナーとのアライアンスを着実に進めていきたいと考えています。

ビジネスフォン向けは、中計策定時点で最も成長を見込んでいた分野です。「トビラフォン Biz」は、NTTのセレクトアイテム化により販売が加速し、「トビラフォン Cloud」もPMFを適格に行い契約件数が伸長しています。ただし、中計策定時点の想定には大きく及ばない結果となっているため、より一層の販売体制の強化に取り組んでいます。

その他の事業については、2023年9月に「HP4U」を事業譲渡しているため売上高が減少します。

投資の面では、中長期的な成長のためには、人的資本への投資を継続する必要があると判断しています。その結果、営業利益は中計を下回って推移する見込みです。

2024年10月期は、成長戦略に基づいた活動を堅実に行っていきます。その中で、あらためて中長期的な計画をお示しできると判断した場合には、適時開示したいと考えています。

自己株式の取得・配当予想

また、本日付で自己株式の取得についても開示を行いました。自己株式取得の目的は、役員や従業員への譲渡制限付き株式報酬の付与です。2024年10月期の業績見通しと、当社の配当性向35パーセントの方針を踏まえた2024年10月期の配当予想は、17円の見通しです。

株主還元については、今後も配当と自己株式の取得、その他の資本政策を組み合わせながら、株主のみなさまのご期待に応えられるよう検討していきます。

トビラシステムズサステナビリティレポートを公開

明田:最後に私から、サステナビリティレポートについてご説明します。本日の決算発表とあわせて、サステナビリティレポートを公開しました。サステナビリティレポートでは、当社のサステナビリティやESGの考え方、ビジネスを通じた社会貢献への取り組みや活動実績について記載しています。

トビラシステムズのマテリアリティ

サステナビリティレポートでは、トビラシステムズのマテリアリティを4つに特定しています。

マテリアリティの特定にあたってはSDGsなどを参考にし、当社の課題から約200項目の社会課題ロングリストを作成しました。その上で、ステークホルダーにとっての重要性と当社にとっての重要性の2軸からそれぞれの項目を評価しました。サスティナビリティ推進委員会での議論、取締役会での決議を経て決定しています。

当社のマテリアリティは、企業課題を通じた社会課題への取り組みとして「①気候変動への対応」「②失敗を恐れず挑戦する場の実現」「③コーポレートガバナンスの充実」を挙げています。そして、事業を通じた社会課題に向けた貢献として「④特詐欺犯罪・グレーゾーン犯罪を0に!」を定め、4つとしています。

価値創造プロセス

価値創造プロセスは、スライドに記載のとおりです。価値創造プロセスに当社のマテリアリティをプロットしています。人的資本、知的資本、財務資本等をインプットとして捉え、行動指針や成長戦略に基づいて当社の企業活動を行い、アウトプットとしてのプロダクトを通じ、価値創造につなげています。

今回のご説明では詳細を省きますが、当社がどのような社会課題に対して、どのように取り組んでいるかについては、株主・投資家のみなさまにあらためて理解を深めていただきたいと思います。ぜひ、サステナビリティレポートもご一読いただけますと幸いです。

明田氏からのご挨拶

中期経営計画の最終年度となる2024年10月期の見通しについては、今回、下方修正を行うこととなりましたが、当社はこれまで毎年着実に成長してきました。

今後も「私たちの生活 私たちの世界を よりよい未来につなぐトビラになる」という企業理念のもと、中長期的な企業価値向上に向けて必要な投資を行いながら、継続的な成長を目指していきます。

以上で、2023年10月期の決算説明を終わります。最後までご視聴いただき、ありがとうございました。