売上高の四半期推移
藤田豪人氏(以下、藤田):成長を支える戦略と組織についてお話ししていきます。このパートは気楽に聞いていただければと思いますので、よろしくお願いします。
こちらのスライドはよく投資家説明会で出しているもので、売上は順調です。
よくある質問
藤田:説明会に参加する中でよく出てくるご質問には、以下のようなものが挙げられます。
私たちがたびたび「広告費を抑えて黒字を出していきます」と言っているため、「広告費を抑えると売上が伸びないのでは?」というご質問をいただきます。そこで、本日は広告費を抑えつつ顧客獲得を安定的に増やすための営業組織と顧客資産の活用について深堀りし、実際どうなっているのかという中身について、古田にいろいろ聞いていこうと思っています。
自己紹介(ファシリテーター)
藤田:簡単に自己紹介しますが、あらためまして藤田豪人と申します。執行役員・事業本部長として事業全般を担当しているため、このような場に登壇させていただいています。
また、本日はファシリテーターとして、みなさまの気持ちを代読する立ち位置で進めていきます。古田に対して「こうじゃないの?」と疑問を投げかけますが、「それくらい知っておけよ」というツッコミはなしでお願いできればと思います。
自己紹介
古田剛二氏(以下、古田):私からも自己紹介します。古田剛二と申しまして、「請求管理ロボ」というクラウドサービスや「請求まるなげロボ」というプロダクトの営業部長・営業責任者を担当しています。
私自身がROBOT PAYMENTに入社したのは、約1年前の2022年8月です。そして、同年11月からは2つのプロダクトの営業責任者を担っています。
本日は営業現場のリアルをなるべくわかりやすくみなさまにお伝えできればと思っています。私と藤田の関係がバラエティに富んでいるため、そのような場面が出るかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。
営業体制
藤田:まずは我々の会社がどのような営業体制を敷いているのかについてお話しさせてください。実は今までこの部分についてあまりお話ししてこなかったのですが、営業体制について知っていただくことで、より理解が深まるかと思います。
古田から簡単に営業体制についてお伝えしていきますが、後ろの方もスライドの細かい字は見えていますか? 大丈夫ですかね?
古田:大きい声で読んでいきますね。
藤田:はい、すみませんがお願いします。
古田:弊社の営業体制は、スライドの図の縦軸を見ていただくとわかるとおり、簡潔に言うと「The Model」と呼ばれる営業組織を取っています。「Marketing」や「Inside Sales」、「Account Sales」という外勤営業、また「Customer Success」という受注を取った後にお客さまを継続に導き、LTVを最大化する部門といったように組織分けされています。
「Marketing」「Inside Sales」「Account Sales」はそれぞれ専門的な組織分けになっているのですが、その中でもさらに、例えば「Marketing」であれば施策別のプロが担当します。また、セグメント別・企業規模別にそれぞれに特化した営業マンを配置しています。
この理由としては、企業規模によって稟議プロセスが大きく異なるためです。従業員が1名から15名の企業の稟議プロセスと500名以上の企業の稟議プロセスは大きく異なります。そこに合わせてプロを配置することで、適正な単価や獲得率が見込めますので、成長していくことができている状況です。藤田さん、決済サービスについても何かありますか?
藤田:決済サービスの営業は私が見ているのですが、こちらは少し違っていて、例えば「サブスクペイ」に問い合わせが来たら、クロージングまでを1人で担当するかたちです。
そのため、「Inside Sales」と「Account Sales」という考え方ではなく、一気通貫で営業活動をしています。BtoBビジネス系のお客さまの場合は「請求管理ロボ」や「請求まるなげロボ」を導入できるかもしれませんので、仕組み化しないともったいないということで、「サブスクペイ」チームだけではなく、古田のほうに回すなど合わせ技も駆使しています。
逆にコンシューマ向けは(対象プロダクトが)「サブスクペイ」のみですので、本日もスタッフで来ている若い営業中心に、がんばって獲得してきています。
投資家のみなさまは、ベンチャーも含むいろいろな会社を見ていると思いますが、「The Model」についてよく聞きますよね。しかし、周りの経営者と話していると、各社で「『The Model』型を敷いたのですが、なかなかうまくいかない」といった話をけっこう耳にします。形としては一応「The Model」の枠組みは作ったけれど機能しない場合が多いのです。
こんな話をしているということは、我々としてはうまくいっている自負があるのですが、当社がなぜうまくいっているのか、日本における「The Model」の生みの親であるセールスフォース出身の古田に聞いてみたいと思います。どのようなことに気をつけているのか教えてください。
“The Model”で意識している事
古田:「The Model」とは、特にSaaS業界ではよく耳にする営業プロセス管理のことです。しかし、勘違いされがちな部分が非常に多いと感じていまして、スライド左側にある3つのポイントに気をつけて運用を行っています。
とくに、1つ目のポイント「『ただの組織分け』になっていないか?」については、「The Model」は単なる組織体制ではないと考えています。ただのセグメント分けではなく、あくまでも現状の営業プロセスを正しく可視化できるようにするための仕組みです。
「『The Model』で分けました」「分けたから『The Model』型です」で終わっていないかということです。「The Model」におけるKPIの設定や定義づけが残っているケースが多くあります。
結論から言うと、我々にしか解決できない課題をお持ちのお客さまになりますので、単価も高く、サービスの価値を理解いただいた上で導入してくださいます。かつ、獲得率も非常に高く、高水準での受注数になっていると思っています。
顧客資産再利用イメージ
藤田:ここで難しくなるのが、じゃあ、どうやって受注を計画通りに上げていくか?という疑問ですよね。黒字で利益を着実に上げる方針で、リードが増えていても限界も来るかもしれない。その秘策を古田さんから聞こうと思います。
古田:おっしゃる通り、広告投資だけで獲得したお問い合わせ数だけでは営業が売上を拡大する十分な母数は得られません。そこで過去に獲得した顧客資産を活用する掘り起こしに注力しました。
サブスクペイは2000年サービスに開始以降、サブスク向け決済サービスとしては知名度、信頼度を高く評価頂き、多くのお問い合わせをいただいていました。また請求管理ロボも2015年のサービス提供開始以降、様々なマーケティング施策の実行から多くのお問い合わせ情報をいただいていました。この過去のお問い合わせ情報を顧客資産と呼んでおります。
この顧客資産は各営業プロセスで一度何らかの理由で零れ落ちたものになりますが、ここを掘り起こしてリサイクルをしております。当然、広告投資をして入ってくる数をはるかに上回る母数がある為、アプローチ先は数倍になります。なので結論、アプローチ先もあるため、最小の広告費で最大の成果が出せる仕組みとなっています。
藤田:実際にそのような取り組みを行っているのですが、言うが易しという言葉があるとおり、「本当にうまく回っているの?」という疑問もあるかと思います。そのあたりについて、どのように管理しているかを事前に話を聞いて、持ってきてもらってますよね?
KPI管理体制
藤田:こちらが実際の資料ですね。
古田:本当に使っているものです。
藤田:少し解説をお願いします。
古田:私どもが採用している「The Model」は、現状を把握するためのものだと思っています。そのため、Daily、Weekly、Monthlyで現状把握を行っています。かなり細かく分かれています。
まず、Monthlyで現状把握をして、大きな課題がどこにあるのかを見定め、その課題に対する打ち手をWeeklyで立案して、その施策を実行していくというサイクルです。
そして、施策の実行具合をセールスフォースを使いながらDaily単位で監視していきます。このようにDaily、Weekly、Monthlyで、かなり細かくルールを決めてKPIの監視・運用を行っている状況です。
藤田:ちなみに、今日の16時くらいにちょうど今日の営業活動の速報値が配られたのですが、隣に座ってパソコンを見ていた古田がにやにやしていたため、「何をしているんだ?」と思ったら、セールスフォースの画面を見ながら、「よし、今月の受注目標いきました」と小さい声で言っていました。
それくらい張り付いて見ている数字ですので、きちんと調整しながら良いかたちを作って、「The Model」のファネルをきれいにしていくんですね。
古田:はい、おっしゃるとおりです。
藤田:仕組み化もけっこう進んできましたね。古田さんが来て、1年ですか?
古田:ちょうど1年ですね。
藤田:仕組み化についていろいろ取り組んでくれて、数字も上がって、投資家のみなさまからも「単価が上がってきたよね」と言っていただけています。そんな営業数字を上げてきた立役者が、今後についてどんなことを考えているのか、みなさまへのお約束も込めて聞いてみたいと思います。今後の野望、展望、欲望などあれば教えてください。
古田:はい、当然ご用意しています。
今後の成長に必要な要素
古田:シンプルなところでは、先ほどお話ししたとおり、定量の部分の仕組み化です。「The Model」による定量の仕組み化が非常にうまく構築できて、運用もうまく回っているため、そこに対して数字を持っていける状況があります。
ただし、定量の仕組みを回していく上で、乗り越えるための力が定量だけでは足りない時がどうしても出てきてしまうため、ここが課題だと感じています。この足りない力こそ、「ヒトの力」だと思っています。根本的には、「ヒト」が非常に重要になってくると個人的には強く感じます。
「ヒトの力」がより強くなることによって、定量の課題を乗り越えるスピードも速くなっていきます。このスピードが速くなると、正常値のKPIを維持できる確率は高くなっていきますので、この確率が高くなれば、売上も右肩上がりにどんどん上がっていくと考えています。このように定量の仕組みとは別に、「ヒトの力」という定性の仕組みもぜひ構築していきたいです。
藤田:そのためには結局、事業部側というかビジネスライン側で人材育成を行うのはもちろん、それとは別に会社側として採用、育成、退職防止などいろいろなことに取り組んでいかなければいけないですね。ここはもう期待して、生産性を高める施策が今後もできたらということですね。
古田:そう理解しています。
藤田:私ども藤田と古田2人の話は以上となります。この後、人事側のお話に進みます。ご清聴ありがとうございました。
古田:ありがとうございました。