目次

佐々木勉氏:みなさま、こんばんは。株式会社アイキューブドシステムズの佐々木です。本日は大変お忙しい中、ご参加いただき誠にありがとうございます。

この機会が当社のサービスや今後の事業成長について、みなさまにご理解いただく場になるよう努めますので、どうぞよろしくお願いします。

本日の内容については、9月27日に開示した事業計画及び成長可能性に関する説明資料に沿ってお話ししていきます。

会社紹介

最初に、当社について簡単にご説明します。あらためまして、社名を株式会社アイキューブドシステムズと言います。私が学校卒業後に、5年ほどシステム受託の開発会社にエンジニアとして勤めた後、2001年に起業し、当社を設立しています。

現在はモバイルデバイスマネジメントを行うソフトウェア製品を開発し提供しています。従業員数は本年6月末時点で123名です。福岡と東京に本社があるほか、全国5ヶ所に営業拠点を設けています。

コーポレートブランド

私たちは「挑戦を、楽しもう。」をブランドスローガンとして掲げています。設立してすでに20年を超えていますが、設立当初は受託開発を主業とし、その後Webマーケティングからプロダクト開発へと事業を転換し、現在に至っています。

特に、主軸プロダクトの模索をしていた2007年から2010年までの転換期である3年間には、10個ほどのプロダクトをリリースし、10個目にリリースした「CLOMO MDM」が、最も事業として成長の可能性が高いと考え、選択と集中を行い、現在の主力製品となった歴史があります。

このような背景もあり、当社ではより良い新たなアイディアを具現化することが、お客さまのビジネスの成長や生活をより良くするといったことにつながると考えています。挑戦する情熱やその文化を大事にするといった思いをコーポレートブランドに込めています。

当社グループの事業構成

当社の事業についてご説明します。当社グループは、CLOMO事業と投資事業の2つの事業を展開しています。特に現在はCLOMO事業を中心に業績を拡大しているため、まずはCLOMO事業からご説明します。

当社が解決したい課題

CLOMO事業の背景にある社会課題からお話しします。この数年、DXが重要だと認識され、企業では業務をデジタル化するさまざまな取り組みが進んできています。

最近では、病院や教育現場でもモバイル端末が活用されていますし、さらに運送業や配送業でも、現場での作業効率化のために専用のモバイル端末を導入する企業が増えている状況です。

ただし、持ち運びができるモバイル端末をビジネスに活用するケースが増える一方で、運用面、特にセキュリティ面の課題が出てきています。

例えば、従業員がデータや情報機器をなくしてしまった、または盗まれてしまったという事故が起こる可能性があります。とある調査では、3割を超える企業が紛失や盗難といったトラブルを経験したことがあると回答しています。

当社では、このような課題を解決するためにCLOMOサービスをご提供しています。

CLOMOサービスの主機能

CLOMOサービスは、スマートフォンやタブレットなど、管理したい端末1台1台にインストールすることで、その端末を管理するソフトウェアサービスです。企業の情報システム部門の方が、その会社のモバイル端末を管理するために使っていただくものになります。機能としては、大きく「状態の監視」「利用ルールの適用」「緊急時の対策」の3つとなります。

「状態の監視」としては、端末でどんなアプリケーションが使われているのかを把握することができますし、「利用ルールの適用」という点では、「Wi-Fiの接続先を限定する」といったようなことも可能です。

さらに、紛失などの何らかの緊急時には、端末の重要なデータを削除することや、失くした場所の緯度経度を把握して探しに行くといったことも可能です。これにより、事故になりそうなトラブルの際も、会社の端末から重要なデータの流出を防ぐことが可能となります。

また、「CLOMO SECURED APPs」というサービスも提供しています。こちらは5種類のアプリケーションになりますが、一般的なアプリケーションと比べて高いセキュリティ機能を有しているところが特徴です。

このように、CLOMO事業では仕事上で使用されるモバイル端末を一元的に管理し、安心・安全に活用していただくための基盤となるサービスを提供するものです。

国内MDM市場12年連続シェアNo.1の達成

本サービスは、おかげさまでさまざまな業種の企業のお客さまにご利用いただいており、自社ブランドの国内MDM市場において、2011年から12年連続のシェアNo.1を達成することができています。販売パートナーのみなさまをはじめ、関係者のみなさまのおかげであり、着実に事業を成長させることができ、誠に感謝しています。

投資事業の概要

ここからは投資事業についてご説明します。当社では、ベンチャーキャピタル子会社とCVCファンドを設立し、2021年から投資事業を開始しています。

投資の注力領域はご覧のとおりですが、スタートアップ企業の新たな事業創出を助けることが、当社の事業領域の拡大や継続的な発展につながると考え、業種を絞らずに広い領域を対象として投資を行っています。

投資実績

時間の都合で詳細な説明は割愛しますが、詳しい投資実績については記載のような企業さま、ファンドへ投資を行っています。

競争力の源泉

ここからは当社の競争力の源泉について、お話しします。

安定的な収益基盤と高収益構造

CLOMO事業の収益モデルとコスト構造についてですが、収益モデルは月額や年額で課金していただくようなサブスクリプションモデルを採用しています。

継続的な売上が見込めるということで将来の見通しが立てやすく、また、事業の拡大に伴う固定費の上昇があまりないといったスケールメリットを享受できる構造となっています。

統合力

さらに、当社では販売・開発・運用・サポートをすべて自社の部門で行っており、それぞれの機能をそれぞれが補強・保管することによって、顧客に寄り添う、満足度の高いサービスを提供しようと努めています。

開発面では、MDMのサービスにおいてはiOSやAndroidなどのOSと連携する機能ということで、毎年OSのバージョンアップに素早く対応するということが重要になっています。加えて、お客さまのニーズに柔軟に対応することも必要であるため、自社開発を中核に置いて事業運営を行っています。

運用面でも、当社は自社でサービスを運用しており、すべてのお客さまを直接カバーしています。これにより、例えば一時的に大規模なライセンスの運用を行った場合も、ノウハウが蓄積されているため、今後の事業への活用が可能になっています。

また自社運用ならではのメリットとしてコストコントロールがしやすいということが挙げられます。非公開ですが、社内では1デバイスあたりのコストを可視化して、この運用パフォーマンスを下げずにコスト低減に取り組むということを実現しています。

国内の競合他社においては、OEM提供先や販売店、販売代理店を問い合わせ窓口としているケースが多くありますが、当社の場合は、お客さまと直接コンタクトを取り、運用からカスタマーサポートまでを一元的に行うことによって、お客さまに高い満足度をご提供しています。

このような取り組みが認められ、多くの追加導入や高い継続率にもつながっていると感じています。各機能の統合力が、競合他社との差別化を図る大きな強みであると考えています。

OS開発元とのパートナーシップと高い評価

MDMサービスは、その性質上、OSと連動する機能となるため、OS開発元とのパートナーシップが非常に重要になります。「CLOMO MDM」では、iOS、Android、Windowsと、すべてのOSに対応していますが、どのOSベンダーとも連携を図って事業を拡大しています。

特に近年においては、2019年にGoogle社の「Android Enterprise Recommended」を取得しています。さらに今年6月には新しいパートナープログラムにおいて、ゴールドパートナーにも認定いただいています。

iPhoneの価格が年々高くなっており、調達も難しくなるというような状況の中で、Android端末には比較的安価なものもあり、徐々にサービス利用も増えてきています。当社では、Androidにおいても開発における技術力を強みとして、Androidデバイス領域での顧客獲得にも取り組んでいます。

安定した財務基盤

財務基盤についてです。当社の前期末の現預金残高は20億円を超えており、自己資本比率は75.5パーセントとなっています。また、CLOMO事業はサブスクリプションビジネスということで、売上のほとんどがストック収入という構造です。

このように安定した財務基盤によって、今後の事業成長に向けた投資を行える、十分な現預金を確保することができています。

強固な顧客基盤

顧客層としては、大規模企業さまを中心に、近年は中小規模企業さまへも導入が進んでいる状況です。

業種については大きな偏りなく、幅広い業種で導入いただいています。今後の新たな事業を展開していく上で重要となる、強固な顧客基盤を構築することができています。

多様かつ柔軟な組織

当社の組織について少し触れたいと思います。当社は3年連続で「働きがいのある会社」として認定されています。

近年、特にエンジニア人材は獲得競争が激しくなっています。そのような中で、優秀な人材を獲得し能力を活用してもらえるように、さまざまなライフステージの従業員が働きやすいような制度づくりを継続的に行っています。

2024年6月期 連結業績見通し

業績の状況についてお話しします。売上高は直近5年間、毎期右肩上がりで成長を続けており、2024年6月期の業績予想は30億円としています。

利益については、2023年6月期から積極的な投資を進めようということで、期によってややばらつきがありますが、2024年6月期も増益を見込んでいます。

CLOMO事業KPI① 導入法人数・継続率

続いてKPIについてです。CLOMO事業のKPIとして、導入法人数と継続率を設定しています。2023年6月期の純増導入法人数は1,014社で、過去最高の増加となっています。これにより、導入法人数は4,900社を超えました。

当社は昨年の2022年9月から、NTTドコモグループさまへ「CLOMO MDM」のOEMを提供開始しています。これにより新規顧客獲得が進んだことが、導入法人数の大幅な増加要因となっています。

継続率については、97.1パーセントと引き続き高い水準を維持しており、カスタマーサクセス活動によって顧客定着を推進できていると考えています。

CLOMO事業KPI② ARR及びARPUの推移

サブスクリプションビジネスの重要指標であるARRとARPUについて説明します。ARRについては26億2,400万円となり、この4年間で1.5倍程度に成長しています。

一方で、1法人当たりの単価を表すARPUは低下傾向にあります。要因としては、当社の顧客層の変化にあります。

これまでMDMは首都圏の比較的規模の大きな企業から導入が進んでいましたが、最近では情報セキュリティへの意識等が高まったことによって、中小規模の企業においてもMDMの必要性が認識されるようになり、今までより規模の小さなお客さまや地方のお客さまも増えつつあるという状況です。

顧客基盤を拡大し、中小規模企業のお客さまが増えたことで、1法人当たりの契約ライセンスは緩やかに低下しており、ARPUの低下につながっています。

CLOMO事業がターゲットとする市場

CLOMO事業の市場環境についてもお話しします。メインターゲットとなるMDM市場は、2023年時点で178億円となっていますが、年間10パーセント前後の成長が今後も続くと見られており、2026年までに250億円まで拡大する見通しです。

安定した継続成長が見込める市場であるということに加え、サービス開発の難易度が年々高くなっていることもあり、新規参入しづらく、比較的落ち着いている市場となっています。

さらに、今後はPC資産管理市場への進出も見込んでいます。市場規模はMDM市場の約2倍と大きく、PC資産管理ソフトウエアがオンプレミス型からSaaS型への移行に伴い、私たちMDMベンダーにも参入の機会が訪れていると考えています。

当社の売上高は2023年6月期で26億円ですが、MDMとPC資産管理の2つの市場を合わせると627億円の市場規模となるため、まだまだ事業として拡大する余地が多く残されていると認識しています。

この後、本資料では市場環境についてもう少し触れていますが、時間の関係で割愛しますので、お時間のある際にご覧いただければと思います。

当社グループの中期売上目標(FY24-26)

このような市場環境を踏まえて、当社の事業計画と成長戦略についてお話しします。事業計画については、2026年6月期の売上高50億円を目指すこととしました。達成した場合、3年間の年間平均成長率は29パーセントとなる計画です。

50億円の達成に向けては、まずはCLOMO事業の拡大が最優先課題であり、しっかりリソースを投じていきたいと考えています。事業をスケールさせていくことは非常に難しいですが、なんとしてもさらなる成長を実現するために、積極的に成長投資を行っていきたいと考えています。

また、CLOMO事業に次ぐ新規事業の開発も急務であり、M&Aや社内アイデアの事業化など、さまざまな選択肢を持って事業開発に取り組む必要があります。「挑戦を、楽しもう。」という当社のスローガンのもと、IT領域に限定せず、広い視野を持って新しい事業作りに挑戦しようと考えています。

なお、投資事業については2026年6月期までに、CVCファンドを通じて累計10億円の投資を計画しています。CLOMO事業の成長加速や、新規事業創出につながるような投資案件の発掘に取り組み、グループ全体の成長を後押ししていく方針です。

CLOMO事業の売上成長イメージ

CLOMO事業の今後の成長イメージをお示しします。MDM市場は、モバイル端末の種類増加や、企業におけるMDM導入率の上昇によって市場規模が拡大しています。

過去はiPadなどのタブレットが中心でしたが、現在市場の成長を牽引しているのはスマートフォンです。そのため、当社ではNTTドコモグループさまと連携して販売を進めており、競合他社も各社キャリアと手を組んで拡大しているという状況です。

3Gの停波によって、これまで使っていた携帯電話が使用できなくなるのですが、NTTドコモグループさまではこれを2026年3月に予定していると聞いています。ここからスマートフォンへの切り替え事業がさらに増えると予測されますので、当社にとっては、このサービスの販売を拡大していく追い風になるとも見込んでいます。

加えて、最近では業務用の専用端末・PCなど新たな端末の管理ニーズも増加しているため、追加機能の開発によって、これらのニーズも獲得できるよう進めていきます。

CLOMO事業成長戦略

CLOMO事業の成長戦略としては、「顧客基盤の拡大」「ARPUの向上」「サービス価値の向上」の3つに取り組み、達成を目指していきたいと考えています。

CLOMO事業の売上は、「お客さまが契約するライセンス×単価」という構造になっています。戦略の1つ目として「顧客基盤の拡大」が重要と考えており、そのライセンスを増やしていこうと考えています。

2つ目は「ARPUの向上」で単価を増やすための戦略です。3つ目が「サービス価値の向上」ということで、サービスの信頼性や機能性を増強することで、お客さまの定着や、新たなマーケットへの進出を目指していきたいと考えています。

このような活動に伴い、開発力の増強が必須となりますが、これまでエンジニア獲得のためのM&Aを検討してきています。今月11日に開示しましたが、ベトナムの開発会社を買収し、子会社化することとなりました。

OEMによる中長期的な顧客拡大

顧客基盤の拡大とARPUの向上について、もう少しご説明したいと思います。

まずは顧客拡大についてです。繰り返しの説明になりますが、NTTドコモグループさまが提供しているMDMサービスが「あんしんマネージャーNEXT」という名前でリニューアルすることに伴い、当社の「CLOMO MDM」が採用され、2022年9月からOEMの提供を開始しています。

サービスがリニューアルしたことで、旧サービスのお客さまは今後当社がOEM提供する新サービスへと契約の切り替えが進むため、当社の顧客が拡大する見通しです。

NTTドコモグループさまにて、旧サービスの提供終了を2026年3月に予定しており、今後の3年間で、大半の契約の切り替えが完了すると見込んでいます。地方のNTTドコモグループさまの販売スタッフのみなさまと密に連携を取り、製品勉強会の開催や、地域を限定した広告宣伝の展開にも取り組むことで、既存顧客の契約の切り替えを促進するとともに、地方の新規のお客さま獲得にも注力していきたいと考えています。

OEMを顧客拡大の成長エンジンの1つとして位置づけ、営業拠点を通じた積極的な販売パートナーへの支援活動を通じて、顧客基盤の拡大を目指していきたいと考えています。

ARPU向上に向けた積極的なクロスセル

続いて、ARPU改善に向けた施策についてお話ししたいと思います。OEMを主軸とした戦略的な顧客基盤の拡大がなされていますが、拡大した顧客基盤を最大収益化するためにクロスセルの提案が重要と考えており、顧客ニーズに沿ったオプションサービスの拡充に取り組んでいます。

2023年6月期においては、新たに3つのサービスを開始しています。新たに開始したセキュリティ対策サービスは、MDMだけでは防ぎきれないサイバー攻撃などに対する備えを強化し、より安心・安全にモバイル端末を活用できるサービスで、大変ご好評をいただいています。

また、新たに開始した運用支援サービスは、昨今の企業における情報システム関連部門の業務負荷の増加に対応する、モバイル端末の導入から運用に至るまで一貫して支援するサービスです。お客さまの業務負荷を軽減し、ビジネスにおけるモバイル端末の活用を支えるものとなっており、こちらも大変ご好評をいただいています。

2024年6月期においても、すでに新たなオプションサービスとして「Team Viewer Remote」という製品の取り扱いを開始しています。こちらは全世界で25億台以上のデバイスで利用されているリモートアクセスツールということで、遠隔でデバイスにアクセスすることができるツールです。

例えば、東京で勤務している情報システム部門の担当者が、地方のオフィスで発生したITトラブルに遠隔で対応することができるようになり、さらに効率的になるというものです。

このように、これまでリリースしたオプションサービスの販売を進めていくとともに、引き続きオプションサービスのラインナップの拡充を進めることで、ARPUの向上に向けてさらに取り組んでいきたいと考えています。

株主還元の方針

最後に、株主還元の方針についてです。当社は上場以来、毎年配当を実施しています。直近の期末配当は30円、今期の計画も30円としています。

当社は、一歩一歩着実に積み上げながら事業を成長していけるよう努めており、株主のみなさまにも、当社の将来性や成長性に期待いただける会社でありたいと考えています。

そのため、事業成長に必要な投資や内部留保と並行して、中長期的な成長に期待していただける株主のみなさまに対して、できる限り積極的に株主還元を実施することにしています。今後もこれまでご説明した成長戦略を着実に実行し、中期売上目標の達成に向けて取り組んでいきます。

以上で説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

質疑応答:今後のM&A戦略について

最初に「今後のM&A戦略について教えてください」というご質問です。

10月11日に開示したとおり、まずは製品開発力の増強をメインに考えているため、ベトナムの開発会社のM&Aを実施しています。今後はM&Aを通じた新規事業の立ち上げや、事業拡大などを検討しています。

具体的な投資先の企業や分野など、詳しくはお伝えできませんが、「CLOMO MDM」とセットにすることでセキュリティ上や業務上の利便性が上がるなど、社内業務システムのクラウドサービスを提供しているような、シナジーがあるような企業を対象として検討していきたいと考えています。

質疑応答:投資事業と主力事業とのシナジーについて

「投資事業は本業とシナジーがあるのですか? リスクが大きいのではないでしょうか?」というご質問です。

シナジーがあるMDM関連事業も対象となりますし、もちろんキャピタルゲインの獲得も当社が狙っている1つです。今後事業を拡大していく上で、事業創出といった企業家精神を尊重するようなエコシステムの支援をしたいという意図もあります。リターンを望みながら、当社の本業のシナジーを模索することも進めていきたいと考えています。

実際に、投資事業でつながった企業と交流することによって、当社の従業員の技術力の向上や、新しいサービスへのアイデアなども考えられます。今後もスタートアップ企業や社会課題を解決する企業などに、積極的に投資していきたいと考えています。

質疑応答:ARPUの低下について

「ARPUの低下は、要因によっては必ずしも悪いことではないと思います。社長はどのようにお考えですか?」というご質問です。

本日もご説明したとおり、当初の顧客基盤は比較的規模の大きいお客さまが中心でしたが、そこから裾野が広がり小規模なお客さまが増えている状況です。そのため、ARPUの低下そのものについては自然なことであると理解しています。

現在は顧客基盤が拡大している状況ですので、ここからクロスセル商材やオプション製品を拡充することによって、顧客基盤に対する最大収益化ができれば、結果としてARPUは下げ止まり、当社でも最大収益化が望めるだろうと考えています。

ARPUの低下そのものはまったくネガティブなものではないと考えており、今後はその拡大した顧客基盤を最大化したいと考えています。

質疑応答:2026年度以降の成長率について

「30パーセント近い成長率は、2026年度以降も続きそうですか?」というご質問です。

まず、3年後の売上高50億円の到達に向けて、しっかりチャレンジしなければいけないと考えています。ここに注力することによって、今後も高い成長率を目指していけるのではないかと考えています。

当社では、現在CLOMO事業というソフト事業を中核に行っていますが、新たな領域についても、売上高50億円を達成するためには必要ではないかと考えています。

さまざまな事業可能性をしっかり模索していくような企業体であることによって、高い成長率を継続的に維持できるような企業になっていきたいと考えています。

質疑応答:具体的な新規事業について

「新規事業は具体的にどのような事業を考えていますか?」というご質問です。

CLOMO事業の中では、ソフトウェアを作り使っていただくようなものが最大収益になっています。そのソフトウェアをご使用いただいている企業さまの中でも、特に情報システム部門の方によくお使いいただいている状況です。

新規事業といっても、まずはこのような当社の直接的なお客さまに喜んでいただけるようなサービスを提供したいと考えています。

例えば、デバイスのキッティングは毎回情報システム部門の方が行っていますし、その機材の調達や保管もされています。また、実際にそのデバイスがどのような状況になっているかを、定期的に人の目で監視することもしています。

新しい事業では、MDMサービスやソフトウェア事業のお客さまに対して、手作業などの人的サービスをしっかり提供するようなところから始めて、事業領域を広げていきたいと考えています。

現在のソフトウェア事業を補完することにもつながりますし、当社としては新しい事業領域を自然なかたちで拡大するということが実現し、中長期目標も達成することができるのではないかと考えています。

質疑応答:海外への事業展開について

「海外への事業展開を検討しているのでしょうか?」というご質問です。

先日、ベトナムの開発子会社をM&Aしましたが、そのようなアジア地域においても、当社の製品を使っているお客さまがすでに存在します。

もちろん契約元は日本企業で、そのような海外の方も使っているという状況ですが、当社のソフトウェアそのものは世界中で使用いただいてもなんら問題ないものになっています。また、クラウド上で展開していますので、どのような国や地域でも使っていただくことができます。

我々の今のリソース上、日本国内に絞ってしっかりとマーケットシェアを取るということを重要視していますが、今後の海外展開については、もし機会があれば特に東南アジアなどのアジア圏での事業可能性をしっかり探りながら事業を進めていきたいと考えています。

質疑応答:来年度の営業利益率について

「20パーセント以上の高い営業利益率は、来年度も継続できるのでしょうか?」というご質問です。

成長可能性資料で利益率には言及していませんので、具体的なお答えは差し控えます。理由としては、ここからグループ全体の売上をしっかり進めていくために新たな事業を創出しなければいけないと考えており、その投資を積極的にやることの方を重要視していることがあります。

ただし、ソフトウェア事業そのものについては、今後も引き続き高い営業利益率を維持していくべく、本日ご説明したとおり、自社開発・自社運用・自社サポートということを中核にしています。

また、我々の広告はお客さまへダイレクトに行うというよりも、特にNTTドコモグループさまへ販売支援をすることによって、そのお客さまを獲得していく構造です。そのため広告費用などが比較的リーズナブルに抑えられているという状況があります。

このように、今後も高い営業利益率をしっかり出していこうと努力して計画しています。今後3年間については安定的な収入によって新たな事業を創出していくというところに、特に注力していきたいと考えています。

質疑応答:5年後の売上高・営業利益率について

「5年後の売上高、営業利益率はどの程度になると想定されているのでしょうか?」というご質問です。

5年後の具体的な売上高については回答を差し控えますが、この3年間で新たな領域を創出していきたいですし、中長期的にも高い成長率の継続と拡大を目指していきたいと考えています。

質疑応答:大手キャリアへのサービス提供について

「NTTドコモ以外の携帯大手へのサービス提供はしないのでしょうか?」というご質問です。

携帯電話はキャリアさまごとに、主要なMDMベンダーがソフトウェアを提供しているという構造があります。OEMほどの強い結びつきではないものの、当社でも他キャリア系列の販売代理店から十分お引き合いがあります。

当社では、特に「Android Enterprise Recommended」を取得しているという強みがありますので、他キャリア系列の販売代理店においてサービスを提供することもあります。

佐々木氏からのご挨拶

当社は2023年7月で上場後丸3年となりました。営業拠点の増設やOEM提供の開始、直近ではM&Aの実行など、次なる成長に向けた準備が十分できたと考えています。

ここからは、3年後の目標である売上高50億円の達成に向けて、これまで準備してきたことをさらに拡大させていくとともに、新しいさまざまなチャレンジを進めていきたいと考えています。今後もぜひご支援いただけますと幸いです。