2023年7月期 第1四半期 業績ハイライト
椎塚裕一氏(以下、椎塚):株式会社アルデプロ代表取締役の椎塚でございます。本日は、私から2023年7月期第1四半期の決算説明を行わせていただきます。初めに、第1四半期の決算概要についてご説明します。
第1四半期の業績ハイライトです。売上高は9億6,800万円、売上総利益は9,600万円、営業損失は5,600万円、経常損失は1億200万円、親会社株主に帰属する四半期純利益はマイナス9,900万円となりました。
このような業績になった要因をご説明します。2022年7月期の決算説明でもご説明しましたが、2023年7月期の第1四半期に売却予定だった案件について、買主の都合などにより2022年7月期末に売却を行ったことが大きな要因です。
こちらは、売上高は約20億円、利益は約2億円の案件でした。もともと、この案件の売却を見込んで事業を行ってきましたが、前期に期ズレしたため、第1四半期の売上高は9億6,800万円となり、営業利益・経常利益はともにマイナスとなりました。
第1四半期は今期中に売却する不動産の仕入を優先し、権利調整なども第1四半期に集中して行う計画でした。期ズレを起こした約20億円と合わせて、第1四半期で売上を見込んでいましたが、前期に売却を行ったためこのような数値となりました。
2023年7月期 通期連結業績予想に対する進捗率
今期の業績予想に対する進捗率についてご説明します。2023年7月期の業績予想は、売上高は240億円、営業利益は34億円、経常利益は30億円、親会社株主に帰属する当期純利益は24億円を見込んでいます。
進捗率は4パーセント程度と非常に低いですが、当初の事業計画どおりに進んでいるため、業績予想に変更はありません。
毎四半期毎売上高・利益の推移
四半期ごとの売上高ならびに利益の推移についてご説明します。当社が扱っている不動産は、メーカーが行っているように工場で大量生産して同じ製品を1年間通して売却する業態ではありません。扱う不動産ごとに案件や利益の規模が大きく変わります。
その結果、四半期ごとの業績にばらつきが出てしまいます。近年、当社は原点回帰を行っており、なるべく四半期ごとの数値を平準化しようと心がけていますが、売却する不動産によって業績が大きくずれてしまうのが現状です。当社は通期で業績を考えているため、四半期ごとのばらつきは仕方ないと考えています。
2023年7月期 第1四半期セグメント別業績
2023年7月期第1四半期におけるセグメント別の業績についてご説明します。当社はセグメントを不動産再活事業と不動産賃貸収益等事業に分けて、売上高を構成しています。
セグメント別では、売上のほとんどを不動産再活事業が占めており、不動産賃貸収益等事業は例年1パーセント未満です。
先日発表した中期5ヶ年経営計画の中で、これまでのフロービジネスだけではなく、ストックビジネスにおいても拡充していきたいとお伝えしました。そのために、不動産賃貸収益等事業の売上高構成比を5パーセント程度に引き上げることを考えています。
第1四半期は売上高全般が少なかったため、不動産賃貸収益等事業は7.2パーセントとなりましたが、通期で見直すと2パーセントから3パーセント程度に成長させることができると見込んでいます。今後5年間でどれだけ5パーセントに近づけるかが、当社の課題となっています。
2023年7月期 第1四半期要約BS(資産)
第1四半期のバランスシートについてご説明します。資産の部について、第1四半期は仕入活動を積極的に行いました。販売用不動産は、当初の目標であった100億円を大幅に超える116億7,400万円まで増加させることができました。これは、当社において適正な在庫の規模だと考えています。
また、進行期においても今期に売却する不動産を積極的に仕入れているため、在庫は十分に確保できていると考えています。
2023年7月期 第1四半期要約BS(負債・純資産)
バランスシートの負債の部ならびに純資産の部についてご説明します。積極的に不動産の仕入を行っている関係で、借入金が若干膨らんでいます。
流動負債は67億400万円で、ほとんどが借入金となっています。短期借入金が30億3,700万円、1年以内返済予定の長期借入金が14億4,500万円です。固定負債の長期借入金は20億7,700万円で、このような結果となりました。
純資産の部はほとんど変わりません。資本金は24億2,800万円、利益剰余金は前期の利益が積み上がっているため50億1,400万円、純資産合計は67億2,900万円となっています。
売上高営業利益率の推移
売上高営業利益率の推移です。営業利益率15パーセントを維持していくことを目標に事業活動を行っています。
残念ながら第1四半期においては、営業利益がマイナスとなっている関係で、営業利益率もマイナスとなっています。しかし、当社は1年間で考えているため、今期1年間を見れば、営業利益率に関しても目標としている15パーセントを十分に達成できるものと考えています。
自己資本比率の推移
自己資本比率の推移です。前期末の時点では自己資本比率は53.5パーセントでした。
当社の事業規模においては、自己資本比率が30パーセントから40パーセントの間を推移して事業を行っていくことが適正ではないかと考えています。第1四半期の自己資本比率は43.3パーセントと、同業他社と比較しても非常に高い自己資本比率を確保できているかと考えています。
2023年7月期(36期)の戦略
今期の事業戦略・営業戦略についてご説明します。まず、新規の金融機関の開拓です。当社は原点回帰を行い、3期連続で黒字で着地することができました。この結果、新規の金融機関の開拓も順調に進んでおり、当社にとってより有利な借入を実施することができる状況となっています。
次に、当社の目標である在庫回転率2回転以上を目指していくことです。先ほどお伝えしたとおり、第1四半期の期末時点では、棚卸の在庫が約116億円あります。こちらを2回転させると、今期の通期業績予想である240億円を十分に上回るだけの在庫が現在も揃っていることになります。
最後に、販売用在庫は常時100億円以上を目指すことを掲げています。こちらも先ほどお伝えしたとおり、在庫はすでに100億円を超え、120億円程度となっています。
現在も今期新たに売却する予定の不動産の仕入活動や仕入決済を行っているため、今期の業績を達成するだけの在庫は十分に確保できています。また、来期に販売する予定の在庫の仕入も行っているため、今期・来期ともに順調に在庫として積み上げることができていると考えています。
2023年7月期 第1四半期トピックス(M&Aによる連結決算への移行)
第1四半期のトピックスです。当社は東京都内をはじめとする全国に複数の不動産を保有する個人の資産管理会社を、10月28日にM&A手法により子会社化しています。
こちらは、当社の在庫の仕入として新たなかたちの1つとなっています。このように、資産管理会社もしくは不動産を多く保有する会社をM&Aで子会社化することにより、在庫の仕入も順調に行うことができると考えています。
また、M&Aにより子会社化した会社は、当社の営業責任者である秋元が代表を兼任しています。このようなかたちで買収した会社を利用していきながら、当社の会社の業績が成長する戦略を描いていければと考えています。
以上、2023年7月期第1四半期の決算の概要をご説明しました。
質疑応答:配当について
司会者:配当に関するご質問です。「今期業績予想が達成した場合、増配する意向はありますか?」というご質問です。
椎塚:今期は株式配当の予想を1株当たり15円と発表しています。株式配当は株主還元策の中心を占めるもので、非常に大切なものだと考えています。
しかし、今期業績予想を達成した場合に増配するかは現時点では決めていません。私がこの場で言えることとしては、株式配当は当社が掲げる株主還元策のうち非常に重要なもので、還元策の中心となるものと考えているということです。
質疑応答:M&Aが与える業績インパクトや開発計画について
司会者:「M&Aが与える業績インパクトや開発計画など、開示可能な範囲で教えてください」というご質問です。
秋元和弥氏(以下、秋元):先ほど椎塚からも「第1四半期に仕入れを積極化した」とお話がありましたが、その中でも目玉となるのがM&Aの案件です。
業績のインパクトに関しては、今回のM&A案件を特段差別化しているわけではなく、今期の通期業績を達成する上での一般的な物件の仕入れの1つとして捉えていただければと思います。今回のM&A案件に関しては、業績を大きく上振れさせるものという意味合いではなく、あくまで仕入れの多角化のための1つの手法です。
M&A案件における再生期間や開発計画について、今回のM&A案件の大きな目玉となるのは、我々のビジネスモデルの1つである再開発アジャストメント事業で、権利調整を行う物件が中心となります。すでに権利調整に着手しており、再生期間に関しては約半年でめどをつける予定です。
再開発アジャストメント事業の案件に関しては、最終的にデベロッパーを売却先のターゲットとして見据えています。そのため、マンション用地やその他の複合的な用地開発を手がける開発業者と、今さまざまな協議を進めているところです。
質疑応答:第1四半期に積極的に仕入れた案件について
司会者:「『第1四半期に仕入れを積極化した』とのご説明でしたが、具体的にどのような案件を仕入れたのかを開示していただきたいです」というご質問です。
秋元:先ほどのご質問と重複する部分もありますが、第1四半期の仕入れの目玉はM&A案件であり、それに関する権利調整ビジネスを粛々と進めている状況です。
また、第1四半期はM&A案件以外にも中規模の案件や、これまでと少し違った物件規模の案件の取得を進めました。すでに第2四半期に入っていますが、年内に取得のめどをつけようと考えている物件もあります。
業績のところでお伝えしたとおり、今期の業績を達成する上での在庫に関してはある程度めどがついている状況です。そのため、ここからの期間は権利調整のビジネスと販売に注力していくことになると考えています。
質疑応答:都内の不動産状況について
司会者:「都内の不動産状況についてです。大手不動産企業の開発などにブレーキはかかっていないのでしょうか?」というご質問です。
秋元:年末に差しかかり、大手の仲介会社を含めてさまざまな情報を交換していますが、取引件数に関しては前年に比べて全体的に縮小している一方、1件の取引扱高が大きくなっているというのが今年の傾向だと考えています。
大手不動産企業の開発などにブレーキがかかっているかについては、マンションの分譲単価は右肩上がりを続けていますので、現状では物件開発にブレーキがかかっている印象はありません。
しかし、開発費も相変わらず上昇を続けており、都心から離れたところで建築費に見合うだけの開発ができているかといいますと、そのあたりはデベロッパーの方々も苦労している印象があります。
来年に関しては、なかなか景気の動向を見通しづらい中で、都心の一極集中化という流れがより加速するのではないかというお話をよく聞きます。我々の在庫の取得に関してもそのあたりの情報をヒアリングしながら、どのエリアをターゲットにしていくかをシビアに選別したいと考えています。
質疑応答:金利上昇の影響と今後の見通しについて
司会者:「金利上昇の影響は生じていますか? また、今後どのようなことを想定していますか?」というご質問です。
椎塚:先日、日本銀行の黒田総裁から「長期金利の変動幅をプラスマイナス0.5パーセントまで拡大する」という発表がありました。これにより、世間では金利が上昇するのではないかと言われていますが、これは債券市場を意識して行ったという意図があったのではないかと考えています。
金利の上昇が実際に影響してくるのは、金融機関から借入れを行う時がメインだと思います。しかし、現在は我々のところに金利上昇の影響はありませんし、各金融機関ともお話ししていますが、しばらくは低金利が続くだろうと考えています。
プラスマイナス0.5パーセントの幅ができたとはいえ、海外の主要国と比べると、日本の金利は十分低金利であると捉えています。そのため、現在何かしらの影響があるわけではなく、今後もしばらくはこのままの状態が続くのではないかと考えています。