ビジョン・ミッション
榮章博氏(以下、榮):ランドネット代表の榮と言います。当社の2022年7月期の決算に関して、ご説明したいと思います。上場して2回目の説明会になりますが、一生懸命ご説明させていただきますのでよろしくお願いいたします。
まず、当社のビジョンとミッションです。ビジョンは「最新のテクノロジーと独自のデータベースを活用し、不動産を流通・再生・運用し、世界を変える。」です。こちらを目標に仕事をしています。
そのために、「お客様のライフプランを実現する不動産運用顧問(Private Realtor)でありたい。」をミッションとしています。
1つ目に「不動産オーナーに寄り添い、潜在的なニーズに応える」、2つ目に「不動産を住まいと、暮らしを支える資産(もう1つの収入源)と考える」、3つ目に「不動産の資産価値を維持・拡大し、相続まで提案する」ことを考えています。
お客さまの不動産運用顧問になりながら、不動産全体の流通・再生・運用を行い、世界を変えることが当社のビジョンとミッションです。
目次
本日は、当社の事業内容・特徴、決算の概況、2023年7月期の業績予想、今後の成長戦略、会社概要に関してご説明します。
事業構成
まず、事業内容と特徴です。当社は投資用の中古ワンルームマンションの売買・仲介を中心とした不動産事業を展開しています。今はワンルームだけでなくファミリータイプのマンションも増えてきており、両方とも担っています。
不動産事業に取り組むにあたり、不動産のデータベースと基幹システム「Real estate Cloud Platform(RCP)」を活用したDXを背景に、ビジネスモデルを構築しています。
売買事業では売主と買主の間に入り仲介する事業や、物件を買い取ってローンやいろいろな付加価値をつけて買取再販する事業、ファミリータイプの物件をメインに買い取り、リフォームして販売する事業を行っています。連結売上高518億円のうちの98.6パーセントが不動産売買事業で、メインの事業となっています。
もう1つは、不動産の賃貸管理事業です。先ほどお伝えしたとおり、当社は不動産を住まいとしてだけでなく、暮らしを支える資産、もう1つの収入源と考えています。例えば、人生100年時代ですので、50歳、60歳、70歳になると部屋が広くなり、貸したり売却することもありうると思っています。
不動産賃貸管理事業の事業構成比率は1.4パーセントと少ないのですが、住まいも不動産投資と考えていますので、家賃収入をしっかり確保してお客さまに送金する事業も非常に重視しています。
基幹システム「Real estate Cloud Platform(RCP)」
基幹システム「Real estate Cloud Platform(RCP)」についてです。全国の不動産情報をデータベース化し、各サービス・システムとの連携や自動化を実現しています。また、基幹システムの内製により、業務推進・効率化を加速させています。
後ほどご説明しますが、システムの開発部隊は70人くらいいます。私も彼らと一緒に要件定義などを一生懸命に行っています。不動産データベースに含まれる情報としては、所有者の情報、物件の情報、新築時のパンフレットの情報、売買取引の情報、賃貸取引の情報があり、売り出しも成約も情報として持っています。
「RCP」の連携では、売買だけでなく、賃貸や建築などすべてと連携したシステムを作っています。このシステムにより、当社は非常に成長してきています。
「Real estate Cloud Platform(RCP)」による早期戦力化
「RCP」により、即時の情報共有が可能です。チーム制による営業フォローで、新入社員の早期戦力化を実現しています。「RCP」で商談の履歴などを即時に情報共有できることで、新入社員は1年から3年ほどで育っていきます。
スライド右側の棒グラフをご覧ください。急速な人員拡大の中でも営業部社員1人当たりの売上高は伸びてきており、先々期は2億100万円でしたが、先期は2億1,100万円でした。
ダイレクト不動産
いろいろな物件情報だけでなく日本全国の不動産の所有者情報も持っているため、所有者に直接アプローチし、直接買取・直接販売のダイレクト不動産を実現しています。販売に関しては、不動産会社と協力しながら適正な価格で不動産をお客さまに届けています。
買取はダイレクトが73パーセント、不動産会社を通す場合が27パーセントです。非常に高い比率で直接お客さまにアプローチし、物件を仕入れています。昨今、区分マンションの価格や相場が上がり基調になっていますが、その中でも直接仕入ができているため、仕入力は維持できると考えています。
販売はダイレクトが54パーセント、不動産会社に買ってもらう場合が46パーセントです。
連結 損益計算書の概況
決算の概況です。売上高は過去最高を更新し、前期比126パーセントの518億7,000万円となりました。売上高・営業利益・経常利益・当期純利益のすべてが前期比120パーセントを超えるという高い成長率を実現しています。
連結 業績推移
当期は、利益幅がある地方エリアの物件の取扱いを強化しています。売上高は業績予想の106.5パーセントを達成し、先々期の411億6,300万円から先期は518億7,000万円で着地しました。
経常利益は業績予想の98.8パーセントとほぼ予想どおりで、先々期の11億5,400万円から先期は13億8,800万円に伸びてきています。経常利益率は2.67パーセントとなりました。
連結 貸借対照表の概況
仕入活動を積極的に行い、高い自己資本比率を維持しながら、販売用不動産は先々期の51億円から先期は75億円を突破しています。ここでアクセルを踏みながら、より高い成長率を目指していきます。
ソフトウェアについては開発に力を入れており、先々期は3億500万円でしたが、先期は5億2,400万円となりました。有形固定資産は先々期は16億円でしたが、先期は20億円です。ファミリータイプの賃貸中の物件を固定資産として投資していますが、それでも増えてきています。
連結 貸借対照表の概況
積極的に仕入活動を行っていますが、高い自己資本比率を維持しています。ROEは16.5パーセント、ROAは6.9パーセントです。同業他社と比較しても当社はかなり効率的に資本を使っていると考えています。この方向でさらに努力していきたいと考えています。
連結 四半期推移
四半期の推移をご覧いただくと、当社の考え方がわかると思います。売上高は四半期ごとにずっと伸びてきました。
営業利益は、第1四半期、第2四半期、第3四半期は伸び、第4四半期でやや下がっています。こちらは、先ほどお伝えした販売用不動産を多く買ったり、ソフト開発の人員を増やすなど、今期の見通しができた段階で投資を始めているためです。
経常利益と当期純利益も第4四半期で減っていますが、すべて様子を見ながら、より大きな成長のために投資していくというのが当社の姿勢です。
販管費推移
販管費は売上比11パーセント台を維持しながら、販売用不動産及びシステム開発など事業拡大に寄与する項目に積極的に投資を継続しています。
人員数の推移
人員数の推移です。新規上場により、先々期の496名から587名に増えています。構成比はシステム部門が21パーセント、事務部門が24パーセント、事業部門が55パーセントです。
営業人員数の推移
営業職の人員数は紹介によるリファラル採用の強化や支店の開設・移転により、ほぼ予想どおりに推移しています。今後は、営業社員の確保とともに徹底した教育研修を行い、1人当たりの生産性向上を図っていきます。
上場後の2021年12月に福岡支店を開設しました。2022年3月には本社のオフィスを増床し、2022年5月に大阪支店を移転しています。増床で規模を拡大する投資もしっかり進めています。
販売用不動産推移・在庫回転日数
販売用不動産です。資産が先々期の51億円から先期は75億円に増え、一方でしっかり売れているのかが気になるところですが、在庫の回転日数は52.56日と他社に比べて圧倒的によい回転率となっています。
こちらは「買取リフォーム販売」も含めた日数になります。物件をしっかり仕入れて商品数を増やしていますが、売れ残りはなく、きちんと販売できていると考えています。
不動産売買事業 事業概要
不動産売買事業のイメージをお伝えするために、スライドに3つの円グラフを掲載しています。まず、2022年7月期の取引件数は、買取販売・買取リフォーム販売が76パーセント、仲介が24パーセントとなりました。仲介するよりも物件を買い取る方向で考えています。
当社のスタンスとして、北は札幌から南は石垣島まで、すべての不動産を扱おうと思っていますので、非常に安い価格の物件もたくさんあります。その物件を扱うために「買取販売」や「買取リフォーム販売」が増えています。
また、投資用不動産の場合はローンをつけたり、いろいろな買主にいろいろなサービスを行ったり、賃貸管理のサービスを行う上でも「買取販売」を重視しています。加えて最近は設備の陳腐化が非常に激しいため、なるべく物件を買い取り、リフォームして売っていますので、買取・再販が増えています。
販売用不動産のマンションの種類について、広さ別構成比ではファミリータイプが39パーセント、ワンルームが61パーセントです。ワンルームが多くファミリータイプが少ないですが、徐々にファミリータイプが増えてきています。当社の知名度向上とともに、大手と競合した時に勝てるようになってきていると思っています。
当社は日本全国の不動産をすべて流通・再生・運用し、世界を変えるという目標がありますので、築年数の古い物件もしっかり調査して売買するという試みの中で、築年数別の構成比は築古で70パーセント、築浅で30パーセントを維持すると考えています。
不動産売買事業 取扱不動産種別・取引件数の推移
先ほどお伝えした取扱不動産の種別ですが、ファミリータイプが徐々に伸びて、ワンルームが減ってきています。
取引件数も先々期の4,629件から先期は5,295件と伸びてきています。売上高は前期比126パーセントですので、件数の伸びが追いついていませんが、広いタイプのものが増え、1件あたりの単価が高くなってきていると考えています。
不動産売買事業 地域別取引件数の割合
首都圏は取引件数は増えていますが、地方への拡大により割合は58.4パーセントまで減っています。今回、福岡に支店を開設したことで九州圏は8.4パーセントとなりました。近畿圏も16.8パーセントと伸びてきています。
不動産売買事業 業績推移
不動産売買事業は事業構成比の98.6パーセントを占めており、メイン事業となっています。売上高は先々期の405億1,800万円から先期は511億5,300万円と伸びてきています。営業利益も先々期の29億1,100万円から先期は36億5,900万円となりました。
今後の成長戦略として、1つ目に「あんしん保証サービスなどサポートの拡充」を挙げています。いろいろな地域の築年数の古い物件を売買していますので、買主が安心して物件を買えるようなサービスを拡大してきています。
2つ目に「戸建とアパートの取扱いを拡大」に努力しています。3つ目は「クラウドファンディングの新規活用」です。いろいろな官公庁と打ち合わせしながら、より強化していこうと動いている最中です。
4つ目は「プロフェッショナルな人材の育成」です。朝活やいろいろな教育システムをより拡大・充実させていきます。
5つ目は「お客さま専用マイページなど販売活動のDX化」です。電子取引や電子契約を進めると同時に、マイページを使ってお客さまとのやりとりをより簡単にする方法と、より密接にする方法を進めています。
6つ目の「リフォーム・リノベーションの効率化」は当社の課題と思っていますので、今期からしっかり取り組んでいます。
保証サービスの拡充
買主に対するサービスとして「駆けつけサービス」「あんしん保証サービス」「契約不適合責任」の3段階を挙げています。「契約不適合責任」は、当社が買い取って販売した区分マンションに関して、当社の責任期間を3年と明記しています。
保証サービスの拡充 ランドネットの安心取引サービス
より詳しくご説明します。よくある悩みとして、不動産は複雑でトラブルがつきものですが、当社は売主と買主が抱える取引後のリスクを解消します。
保証サービスの拡充 売主様向けサービス
解消する方法として、売主に対しては「契約不適合責任」の免責と、「あんしん保証」で設備などに関して当社が代わりに責任を負っています。
保証サービスの拡充 買主様向けサービス
買主に対しては、購入してすぐの時に水が出なかったり、鍵をなくしたり、住み続けていく中で起こるトラブルに関して、駆けつけて修理します。また、先ほどと同じく「あんしん保証」があります。
保証サービスの拡充 保証期間
「駆けつけサービス」は、当社仲介物件の場合は契約のあった翌月末まで、当社売主物件の場合は1年間と定めています。瑕疵担保責任に関しては戸建とアパートは2年、区分マンションは3年間です。
このようなサービスを強化しながら、築年数の古い物件の売買を安心してできるサービスを作っています。
中古不動産の再生
中古不動産の再生についてです。先ほどもお伝えしましたが、当社のビジョンは「不動産を流通・再生・運用し、世界を変える」ですので、中古不動産に関しても再生していきたいと考え、「Reduce(解体)」「Reuse(再利用)」「Recycle(再生)」の3Rに一生懸命に取り組んでいます。
リノベーションにより中古不動産の流通・再生・運用で市場の活性化を目指し、不動産業界における3Rへの取り組みにより、住み続けられるまちづくりに貢献したいと考えています。
プロフェッショナルな人材育成
プロフェッショナルな人材育成についてです。先ほどもお伝えしましたが、輪読会や毎朝の日経新聞の読合わせを行っています。私はもともと「盛和塾」に所属していましたので、稲森和夫塾長に教えてもらったいろいろなことを今も毎朝15分間続けています。
また、社内の勉強会や資格の勉強会、宅地建物取引士の取得、不動産コンサルティングマスターの資格取得のお手伝いも行っています。
今年の変わり種として、宅地建物取引士の資格勉強のために宅建アプリを会社で作り、組織的に各社員を応援する仕組みを作りました。今年はそれ以外にも、システム関連で推奨している「AWS」認定のいろいろな資格制度へのサポートも始めました。
これにより、営業やシステム開発部隊をしっかり育てています。基本的には、入社した人間を一から育てる発想で仕事しています。技術を学ぶだけではなく、人格というと話が少し重くなりますが、稲森塾長の「盛和塾」のようにそこまで考えて教育したいと考えています。
不動産賃貸管理事業 業績推移
不動産賃貸管理事業の業績もしっかり伸びてきています。売上高は先々期の6億4,400万円から先期は7億1,600万円となり、営業利益は先々期の1億3,500万円から先期は1億5,700万円まで伸びました。
現在、賃貸事業のDX化に取り組んでおり、私も週1回から2回は要件定義の会議に出て、1年間で作りあげることを目標に進めています。
不動産賃貸管理事業 取扱種別割合と入居率推移
不動産賃貸管理事業の取扱種別割合と入居率推移です。先ほどお伝えしたとおり、福岡にも支店を出しましたので、東京、大阪、福岡の各拠点に賃貸事業部を設置し、賃貸管理取扱いエリアを拡充しています。築古を含めた全国の管理物件入居率は、7年連続98パーセント以上と高い水準を維持しています。
時々他社から「99パーセント」という話が聞こえてきますが、築浅が多かったり地方案件が入っていない場合だと思います。
当社は築古の物件も福岡や札幌の物件も入っており、アパートなどの木造建築物も含めて98パーセントを維持しています。当社の築浅と築古の割合は、築古が68.9パーセント、築浅が31.1パーセントです。その中で98パーセントを維持していることは、当社としては頑張っているのではないかと考えています。
不動産賃貸管理事業 賃貸管理戸数推移
不動産賃貸管理事業の賃貸管理戸数の推移です。前期比113パーセントを維持しています。事業部間の連携を強め、安定的に管理を獲得しながら、デジタルマーケティング施策により賃貸事業部での新規獲得戸数は前期より約8パーセント伸びてきています。こちらもしっかり増やしていきたいと考えています。
連結業績予想
2023年7月期業績予想です。売上高は600億9,900万円、営業利益は18億6,900万円、経常利益は17億400万円、当期純利益は10億9,700万円になるように努力していきたいと考えています。
昨今のロシアウクライナ戦争などいろいろな不確定要因を考慮し、売上高は前期比115パーセントを目標としました。規模拡大の投資は先期でだいたい終わりました。今期に持ち越している横浜支店の増床を考えながら、営業利益や経常利益を計画しています。
不動産売買事業 推移予想
不動産売買事業の推移予想です。人員は2022年7月期の243名から308名まで増やすことを考えています。先ほどもお伝えしましたが、積極的に採用しながらしっかりと教育することを継続していきます。
取引件数は、2022年7月期の5,295件から6,612件まで増やそうと考えています。ここまで件数が増えるといろいろなシステムを開発しなければいけない部分が出てきますので、そちらも先頭に立ちながら開発しています。
不動産賃貸管理事業 管理戸数推移予想
不動産賃貸管理事業の管理戸数の推移予想です。先期は前期比113パーセント伸びましたが、今期は少しがんばって前期比115パーセントの7,268件を目標としています。
拡大する不動産流通市場
今後の成長戦略です。不動産業界に関して、リフォームの市場規模は2018年に12兆円でしたが、政府目標では2030年に14兆円、長期目標で20兆円となっています。
首都圏 中古マンション成約件数推移
首都圏の中古マンションの成約件数と坪単価のグラフです。棒グラフが成約件数、折れ線グラフが成約の坪単価になります。坪単価は2000年に106万8,000円でしたが、今は226万5,000円と、倍を超えています。また、新型コロナウイルスが始まったあたりから伸び方が加速しています。これは財政出動によって資産価格が少し上がってきていることが背景にあるのではないかと考えています。
契約の件数も2,000年あたりは2,000件くらいでしたが、今は2,500件から3,000件くらいまで伸びてきており、約1.5倍に増えてきています。当社はこの中で仕事していますので、少し強気になってアクセルを踏みたいと思っています。
取扱種別の拡大
先ほどお伝えしましたが、当社は区分マンションをメインで取り組んできて、区分マンションに関しての不動産情報はほぼ集まってきています。今期中には全部取り終わるだろうと思っていますが、同時に戸建とアパートを強化しています。
かなりの件数になるはずですので、来期か再来期には1棟マンションや1棟ビルなどに関しても取扱種別を拡大していきたいと思っています。すべての不動産があり、築年数の古いものも新しいものも全部ご紹介できる不動産会社を目指したいと考えています。
不動産業界のDX推進に向けた政府動向
ここのところかなり力を入れてDX推進に取り組んでいます。特に、当社も導入している電子媒介契約をよりよくできないかを考えるなど、業界を率先して不動産のDX化を推進しています。
IT重説には、社会実験開始初期より参画してきました。現在は最終的な電子契約の部分で、対面式と非対面式、買取も販売も仲介もすべて含め、私も要件定義に入って開発している最中です。年明けにはなんらかの発表ができるだろうと考えています。
不動産電子契約の導入と促進
不動産電子契約の導入と促進についてです。電子による契約を安心してできるようにしながら、契約したデータをきちんと保管できるような仕組みを含めて作っている最中です。
お客様専用マイページのリリース
お客さま専用マイページについてです。当社と売却や購入に関して取引した方や借主さまとマイページを通して連絡していきたいと考えており、現在開発しているところです。
このあたりが当社の主な投資です。先ほどお伝えしたとおり、区分マンション、戸建、アパートを全部扱い、それに関しての業務システムやDXも含めて開発している最中です。
業務のインハウス化による競争力の創出
業務のインハウス化により、競争力を創出しています。当社の作っているシステムはどこにもないシステムだと思っています。そのような独自性のあるシステムを作っており、システム・データ部門の人員数は5年間で約2倍になっています。
上場後、システム・データ部門の採用が少し楽になっていますので、アクセルを踏みながらこちらを拡大していきたいと思っています。
クラウドファンディング
クラウドファンディングについてです。これまでに3つのプロジェクトを行いましたが、少し視点を変えて監督官庁と打ち合わせをしながら、違ったかたちのクラウドファンディングができる仕組みを作っています。こちらについても、今期中にはリリースできると考えています。
中⻑期目標
スライドに記載の流れで当社は拡大しています。スライドの中央に記載のとおり、築浅のファミリータイプの強化や、戸建・アパートの拡大を行っています。
将来的には、1棟マンション・オフィスビル・土地への取扱いを拡大、個人投資家向けへの販売強化、クラウドファンディング、リフォームブランドの確立による築古不動産の競争力向上、不動産DXによる高収益化を狙っています。
先ほどお伝えしたとおり、第4四半期に投資をより増やしていくことを今期も実施していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。私からのご説明は以上になります。
質疑応答:中古住宅の足元の市況観と今後について
司会者:「中古住宅の足元の市況観と今後について教えてください。購入ニーズと売却ニーズ、仕入れの動向、価格上昇についてどのように見ていますか?」とのご質問です。
榮:先ほどお伝えしましたが、中古の区分マンションの価格の傾きがここ2年から3年くらいでやや上がってきたと考えています。また、戸建は価格がずっと変わらず平行でしたが、ここ2年から3年で上がってきています。
新型コロナウイルス対策で市況にいろいろな財政出動がありましたので、資金が不動産と株式に向かっており、その中でより不動産に向かっているのではないかと考えています。
戸建に関しては、リモートワークが影響していると思っています。区分マンションの価格も上昇傾向にあるのは、利便性が高いからです。
今回リモートワークが導入され、戸建も便利なものが見直されているのではないかと見ています。
今は円安に振れており、海外から日本への投資として不動産投資も増えています。それも踏まえた上で、この傾向は続くだろうと思っています。
その中で、当社は物件の仕入れが非常に得意です。不動産の所有者と連絡を取りながら、直接物件を仕入れています。そのため、仕入れについては他社とは違って追い風だと思っています。
一方、販売については不動産会社に卸す割合よりも自社で販売する割合が少しずつ増えてきています。販売する能力がついてきていると考えていますが、もう少し伸ばしていきたいと思っています。
他社との協力もさらに拡大したいと考えていますが、販売に関しては少し自信がついてきており、みなさまもご存じのとおり値上がり傾向の時には販売しやすくなりますので、まさに今の傾向は当社にとっては追い風だと思っています。ここで全力でがんばっていきます。
質疑応答:地方エリアの物件について
司会者:「『地方エリアの利益幅が大きい』とのことですが、競合が少ないからでしょうか? また、仕入れ価格上昇分を販売価格へ転嫁することは可能でしょうか? 買い手の利回り低下の懸念がありますが、賃料上昇の余地はありますか?」とのご質問です。
榮:地方エリアの利益幅が大きい要因の1つは、やはり競合が少ないからです。加えて、70平方メートルから80平方メートルのファミリータイプの物件でも1,000万円台などかなり価格が落ちてきています。
そのような物件は、不動産仲介会社よりも当社のような買取販売・買取リフォーム販売も行う会社のほうが扱いやすいため、有利だと思っています。
次に、仕入れ価格上昇分を販売価格へ転嫁することについては可能だと考えています。当社のようにダイレクトで物件の仕入れができない場合、いろいろな不動産会社などから情報を集めて物件を買うことになり、どうしても競争して仕入れ価格が上がっていきます。したがって、当社はその点で有利だと考えています。
買い手の利回り低下の懸念については、私はバブルが崩壊した時やその後価格が伸びる時の両方を経験していますが、確かに今は利回りは落ちてきています。
しかし、銀行などの金融機関には利回りが落ちても融資する姿勢が見受けられる場面も多いため、築浅のマンションに関してはしっかり販売できていると考えています。築古に関しても築浅に比べれば利回りが若干高いため、こちらも販売できると考えています。
質疑応答:中国の投資家への日本の物件販売について
司会者:「中国の投資家への日本の物件販売の位置づけ、注力度、利益寄与、成長ポテンシャル、リスクについて教えてください」とのご質問です。
榮:何度かお伝えしたことがありますが、米中の貿易戦争がどの方向に進むのかを注視しながら、現状維持を考えています。
質疑応答:マルウェア対策について
司会者:「不動産データベースという膨大な情報によって成り立つビジネスモデルかと思いますが、近年よく聞くマルウェアなどに感染するリスクについてはどのように考えていますか? 対策についても教えてください」とのご質問です。
榮:まず、サーバー、デスクトップ、いろいろなソフトがありますが、バージョンアップをしっかり行います。年に1回か2回はかなり大きな変更があるようですので、その時も必ずその変更を加えることが1点です。
また、ウイルスソフトをしっかり更新していくことや通信機器のバージョンアップも実行していきます。ここまではどこでも行っていると思いますが、当社はそれに加えてAIでマルウェアを感知していきます。
マルウェアは、ある一定のところにデータを送り続けたり、夜中の決まった時間に動き出すなど、通常のシステムとは違った動きをします。そのようなシステムサーバーの変な動きをAIによって検知し、シャットダウンする仕組みを取り入れています。
さらに、このような仕組みが本当に働いているかを確認するために、ホワイトハッカーに外部から攻撃させることも行っています。このように、システムに関して考えられることは全部行いたいと思っていますし、続けていきます。
質疑応答:来期成長鈍化見通しの理由について
司会者:「2022年7月期の売上高は前期比26パーセント増であることに対し、来期の見通しは前期比15.9パーセント増と成長鈍化の計画です。その理由について教えてください」とのご質問です。
榮:成長は続けたいと思っていますが、少し堅めに予算を作っています。様々な政治・経済での不安定要素があり不確実性も多々あることから、売上に関してはかなり堅めに見ています。
しかし、予測を超えるような実績をみなさまに報告できるように努力したいと思っています。当社としては、成長のために考えられるアクセルは全部踏んでいきたいと考えています。
質疑応答:外部要因による影響について
司会者:「金利上昇など外部要因がもたらす事業への影響について教えてください」とのご質問です。
榮:現在、日本銀行の黒田総裁による長期の金融緩和により、円安が続いています。日本の株価は他の国に比べると堅調に推移している中で、私から見ると円安はそれほど騒ぐことではないのではないかという視点を持っています。
もし金利が上がった場合、日本の不動産の価格の上昇傾向はより高くなるのではないかと思っています。「管理人が困るのではないのか」という話も出てくるかと思いますが、当社は買取リフォーム販売と築古に関しては自信がついてきています。
築浅に関してはまだまだだと思っていますが、この築浅が金利上昇の影響を一番受けると思っています。そこが弱いために、当社にはあまり関係がないと見ています。
質疑応答:築古物件の保証費用について
司会者:「築古物件を扱うにあたり保証を手厚くしていますが、保証費用が増えて負担が増加すると思います。負担が増えてまで築古物件を扱う理由を教えてください」とのご質問です。
榮:築古物件の「あんしん保証」などいろいろな保証について、すでに3年から4年分のデータが出ています。当社の仕組みの中でこの保証をつけたとしても、十分に利益が上げられます。
当社は仲介ではなく、「買取販売」や「買取リフォーム販売」を増やしていきたいと考えています。例えば、100万円や500万円のファミリータイプの物件を扱うには「買取販売」がベストですし、安い物件で築年数が古い物件に関しては、管理人の不安を考えると「あんしん保証」を付けたほうが売りやすいです。
その保証費用が3年の統計データの中でどのくらいになるかがわかっていますので、あまり不安は感じていません。
設備の陳腐化が激しくなった現代では、仲介で不動産を売り買いするよりは、当社のような不動産会社が物件を買い取り、フルリフォームで設備を刷新して売る業態のほうが時代に合っていると考えています。しっかりと予想した上で実行していますので、安心していただければと思います。
質疑応答:新しい施策やプロダクトについて
司会者:「成長戦略として、新しい施策やプロダクトはありますか?」とのご質問です。
榮:現在、70名のシステム開発要員がいます。もう少し増やしていくことも考えていますが、彼らと一緒にいろいろなシステムを開発しています。開発にあたって一番重要なのは、現場との打ち合わせです。
システムを作る人がすべてを設計するわけではなく、現場と打ち合わせした上でシステムを作っていきます。現場がプロダクトオーナーとして自分の作りたいものをしっかり定義できるからこそシステムの開発ができるという仕組みを当社は持っています。
システムの開発会社であれば、現場はいません。当社はシステム開発が部隊の中にいて、現場がいて、その現場との議論やコミュニケーションによってシステムを作れる能力を持っています。こちらを活かすことにより、外販を考えていきたいと思っています。
もう1つは、クラウドファンディングです。1号事業から4号事業までありますが、資格を取りながらより拡大していきたいと考えています。こちらは具体的に動き出しています。
質疑応答:中長期目標について
司会者:「中長期目標として、具体的な数字のイメージはありますか? 可能な範囲で教えてください」とのご質問です。
榮:不動産会社にとっては売上1,000億円は実現したい1つのハードルだと思っています。これを実現すべく、区分マンションだけではなくて戸建やアパートまで広げたり、クラウドファンディング、システム開発も進めています。
これらを全部含めた上で、3年から5年後くらいに売上1,000億円を達成したいと考えています。そのことを念頭に置きながら、すべての作業を進めています。
質疑応答:課題について
司会者:「すべてうまくいっている中、課題はありますか?」とのご質問です。
榮:「すべてうまくいっている」と言うと課題がないように見えますが、築浅のワンルームマンションの販売に関してはまだまだ劣っていると考えており、増やさなければいけないと思っています。
当社は直接物件を仕入れられるため、リフォームデータをより連動することによって、いろいろな大手企業との競合にも勝てるはずだと思っています。しかし、それにしては件数が少ないため、もう少し増やしたいと考えています。
賃貸管理は、まだ6,000件強です。当社はこれだけの物件を扱っていて、システムができ上がっているにもかかわらず、なぜこれほど管理件数が少ないのかと思っています。
ただし、システム開発は売買をメインに行ってきましたので、今まさに週2回ほど要求定義・要件定義に私も入って賃貸管理のシステム開発をしている最中です。これができ上がってくると、競合他社に比べてより充実したサービスが提供できると思っていますので、そちらも課題だと考えています。
また、不動産の流通・再生・運用については、日本国内の不動産だけではなく、世界の不動産でありたいと思っています。当社の店舗を訪れたり、Webをご覧いただいた時に、「どこの国の不動産が欲しいですか?」と言ってみたいと非常に強く思っています。
質疑応答:戸建の取扱い目標について
司会者:「前期から戸建の取扱いを目標に掲げていますが、進捗はいかがでしょうか?」というご質問です。
榮:問い合わせや反響はあり、ダイレクトメールや電話営業もできていますが、正直に言いますとやや苦戦しています。ただし、当社がワンルームから始めたのは、大手他社と競合した時にワンルームが一番入りやすかったためですので、戸建もアパートも腹を据えてしっかり努力していきます。
榮章博氏からのご挨拶
今期の配当も含めて、より成長できるような努力をこれからも続けていきたいと思っています。ペースをより上げながら、ランドネットの業績拡大により努めていきます。
中古の不動産は価格が安かったり、陳腐化が激しかったりと、いろいろな面で私はチャンスがあると思っています。その中で「世界を変える」と言うと大げさですが、みなさまを応援していきたいと思っています。
今日は長い間お付き合いいただきまして、どうもありがとうございます。