目次
石田克史氏:ジャパンエレベーターサービスホールディングス株式会社、代表取締役CEOの石田でございます。2021年3月期決算説明会を実施させていただきます。
今期の重点課題、ESGへの取り組みについては私がご説明します。2021年3月期の決算概要、2022年3月期連結業績予想については、CFOの今村よりご説明します。
今期の重点課題①
今期の重点課題について、まずは前期の振り返りです。国内における保守契約台数は約6万7,500台、保守契約純増台数は1万2,700台でした。オーガニックで7,400台の純増、M&Aによって5,300台の増加です。
国内拠点数は101拠点で、23拠点プラスになっています。保守契約の純増台数がスライド右側のグラフにありますが、上期偏重となっています。こちらについては毎回ご説明していますが、4月に官庁等の入札があるため、上期に偏るという傾向です。
前期は、友好的M&Aによる国内シェアアップを図っていきました。社数にして7社、拠点数は17拠点、また先ほどもお伝えしましたが、エレベーターの保守純増台数については5,300台です。
今期は、関西・東海・九州・東北地方へ注力していく他、首都圏のシェアアップを図り、一層の生産性向上を行っていきます。国内の独立系のメンテナンス会社は数百社あると言われていますが、今期以降も友好的M&Aを活用して、国内のシェアアップを進めていきたいと考えています。
今期の重点課題②
今期の重点課題の2つ目です。既存ビジネスの強化、新たな収益源の創出、収益力強化によって、保守契約台数10万台、営業利益率20パーセントを短中期的に目指したいと考えています。
ESGへの取り組み①
ESGの取り組みです。当社は企業理念として、「何よりも安全のために」「見えないからこそ手を抜かない」「信頼を礎に」を掲げています。エレベーター等の保守・保全、リニューアル事業を専業とする当社は、常にお客さまの安心・安全を最優先にして事業運営に努めています。
独立系メンテナンス専業会社として、高品質で安価なサービスを提供し続けること、また、快適で環境に優しい社会を実現することが、重要な使命であると考えています。
当社のこれまで、およびこれからの中長期的な成長において、優先順位の高いマテリアリティは、社会的資本である「品質安全・製品安全」、人的資本である「労働安全・従業員エンゲージメント」と認識しています。
ESGへの取り組み②
この認識のもと、当社は設立時から、次の取り組みに注力してきました。最大級の安全と高品質なサービスを生み出すため、24時間365日、お客さまと現場のエンジニアをつなぐ「コントロールセンター」、故障やパーツ交換等、万が一のあらゆる事態に備える「パーツセンター」、さまざまなノウハウを集結し、時代に合わせて進化する研修・教育を行う「テクニカルサポート」。そのすべてがしっかり連動し、好循環を生み出すことで、他の独立系メンテナンス会社とは一線を画す競争力の獲得と、高品質なサービスの提供を可能とします。
特に「テクニカルサポート」は、エレベーター業界にて定められている安全基準のほか、当社独自の安全基準での研修を徹底しています。社会資本である品質安全だけでなく、人的資本である人材開発の観点からも、当社の中長期的な成長を支える従業員育成の要となっています。
ESGへの取り組み③
上場ののち、埼玉県和光市に竣工したJES Innovation Center Labには、先ほどご説明した「パーツセンター」「テクニカルサポート」「コントロールセンター」を集約しています。
また、独立系メンテナンス会社初となる高層テストタワーでは、10台のテスト用エレベーターが稼働しており、これを利用した実機研修が行われています。その他にも、リモート遠隔点検サービス「PRIME(プライム)」や、低コスト・短期間の工事を実現した、当社独自開発の「Quick Renewal(クイックリニューアル)」の研究開発体制を強化する役割も果たしており、当社のサービス品質向上につながっています。
事業を通じた社会課題への取り組みとして、環境への対応では、リサイクル・リペア事業の強化、および、保全業務・リニューアル業務におけるエレベーター内のLED照明の使用を実施しています。後者についてはエレベーター内の蛍光灯を約2万本ほどLEDに交換しています。
加えて、環境に配慮して最低限の部品交換を行う「Quick Renewal」等も整備しています。JIC・JILの施設としての取り組みですが、環境への負荷軽減を最大限意識した、人と環境に優しい施設を目指しています。
環境への取り組みにおいては、先ほどお話ししたLED照明の使用、緑化計画、太陽光発電などに対応しています。
地域社会への取り組みとしては、埼玉県において、誰でも自由に利用できる「赤ちゃんの駅」を認定・設置し、子育て家族が安心して外出できる環境作りを担っています。また、地域の子どもたちへの教育支援の一環として、幼稚園・小学校・中学校の社会科見学を受け入れており、地域の将来につながる一助になればと考えています。
高層訓練所としての試験棟の貸し出しも行っており、火災、地震などの災害における緊急時を想定した、実践的な訓練の場を提供しており、万が一に備えた防災力の向上に取り組んでいます。
当社は持続的な成長に向けて、企業理念を第一に事業活動を実践するとともに、SDGsへの積極的な取り組みを通じて、すべてのステークホルダーのみなさまの価値創造に努めてまいります。
前期の振り返りに関して、CFOの今村よりご説明します。
2021年3月期決算概要(業績)
今村公彦氏:取締役CFOの今村でございます。2021年3月期決算概要および2022年3月期連結業績予想について、ご説明いたします。こちらのスライドは2021年3月期のP/Lです。赤枠左側の実績値をご覧ください。
売上高は245億2,100万円で、前期の213億3,900万円から31億8,100万円の増収、前期比は114.9パーセントで、通期の過去最高売上高を更新しました。売上原価は150億9,000万円で、前期比111.6パーセントです。売上高の伸びよりも原価の増加を抑制できたことから、売上総利益は94億3,100万円、前期比16億1,500万円の増益となっています。
販管費については58億1,800万円、前期比114.1パーセントで、売上総利益の伸びよりも抑制できた結果、営業利益は36億1,200万円と過去最高益を達成しています。前期の営業利益が27億1,700万円のため、8億9,500万円の増益で、前期比132.9パーセントを達成できています。営業利益率に関しても、前期の12.7パーセントから14.7パーセントと、大幅に改善しています。
過去最高益を達成できた要因として、保守売上高の増加が大きく寄与しています。お客さまのコスト削減ニーズの急増に応えるため、大型法人契約の推進や営業エリアの拡大を行うとともに、同業他社7社のM&Aにより、さらなるシェアアップを図りました。その結果、2021年3月期は前年比1万2,700台増という過去最高の契約台数増加を達成し、保守・保全売上は前期比116.3パーセントを達成しています。
売上原価・販管費についても、各種製造コストの見直しによる徹底した生産性向上に加え、大幅なシェアアップに伴い管理台数あたりの固定経費が削減された結果、過去最高の営業利益の増益が達成できています。
以上の結果、経常利益は37億1,500万円で前期比137.4パーセント、親会社株主に帰属する当期純利益は23億6,200万円で前期比138.9パーセントを達成しました。すべての段階損益で過去最高益を更新しています。
なお、表の右端に記載している数値は、昨年11月12日に公表した2021年3月期の業績予想の数字となります。こちらと比較した場合でも、すべての段階損益で業績予想を上回って着地しました。
2021年3月期決算概要(売上種類別)
売上種類別の業績です。保守・保全売上は174億7,600万円と、前期比116.3パーセントを達成しました。リニューアル売上は、昨年の第1四半期において1回目の緊急事態宣言発令に伴い、一部案件の先送りの影響がありましたが、下期以降は順調に事業進捗し、通期実績は63億3,000万円、前期比113パーセントを達成しました。こちらも、過去最高売上高を達成できています。
2021年3月期決算概要(B/S)
B/S(貸借対照表)です。スライドの赤枠内の中段、資産合計数値をご覧ください。2021年3月末の資産合計は204億7,300万円で、2020年3月末の142億9,700万円と比較して、61億7,000万円ほど増加しています。増加要因としては、JES Innovation Center Labの建設等の影響により、有形固定資産が合計25億300万円増加したこと、また、M&Aによる事業規模の拡大により、流動資産が18億1,200万円増加したことによるものです。
下から2行目の純資産合計については105億500万円と、2020年3月期末より53億2,800万円増加しています。こちらは、純利益の獲得による剰余金の積み上げに加え、株式発行収入により資金を獲得した影響によるものです。結果として自己資本比率は、前期末の36.2パーセントから51.3パーセントへと、大幅に改善しています。
2021年3月期決算概要(キャッシュ・フロー)
当期は過去最高利益を達成した影響もあり、営業活動によるキャッシュ・フローは30億1,800万円を獲得しています。当該資金を用いて、今後の当社グループの成長のため、投資活動キャッシュとして合計39億5,500万円の投資を実行しています。これは主に、JES Innovation Center Labの建設、M&Aのための投資となっています。
このような積極的な投資を行っているものの、株式発行収入による財務状態の改善も図ることができています。借入金の返済を進め、自己資本比率を大幅に改善するとともに、現預金残高も前期の11億4,500万円から16億6,000万円と、5億1,400万円を積み増しています。
2021年3月期 配当の状況
配当の状況です。年間配当額について当期は12円とし、配当総額として、前期の7億2,900万円から10億6,200万円と、3億3,300万円の増配を予定しています。2021年1月に、1株を2株に株式分割していますので、前期の株数で換算すると、当期は1株24円の配当となり、実質的に6円の増配となります。
また、2021年3月期は、当初1株11円の期末配当の予定でしたが、純利益について予想以上に高い着地となったため、株主のみなさまへの利益還元の観点から、今回はさらに増配して1株12円の配当にしたいと考えています。これにより配当性向は昨年を上回る43.6パーセントと、過去最高水準で還元する予定です。
以上、2021年3月期の決算概要でした。
2022年3月期連結業績予想
2022年3月期連結業績予想のご説明です。スライドの表の右端の緑枠内は、2022年3月期の予想です。売上高は270億円と予想しており、今期の245億円の売上から約25億円の増収を予定しています。保守・保全売上は、当社管理台数の増加に伴い堅調に伸びる見込みで、今期の174億円から194億円へ増収見込みとなっています。
また、リニューアル売上に関しても、緊急事態宣言等の影響もなく堅調に推移しており、63億円から約7億円の増収で70億円の予想としています。この結果、営業利益については41億円の予想とし、今期から約5億円の増益見込みとなっています。加えて、経常利益は42億円、純利益に関しては26億円を見込んでいます。
これまでと同様、売上の増収と各利益率の改善により、2022年3月期もすべての段階損益で過去最高益を予想しています。
2022年3月期連結業績予想(売上種別)
最後に、業績予想の売上種別です。保守・保全、リニューアルについてそれぞれ、先ほどご説明しましたとおり、いずれも前年比で110パーセント以上の成長を見込んでいます。
なお、下期の売上高の予想金額は前期比で107.7パーセントとなっていますが、現在見えている案件に基づき予想数値を作成しているため、堅めの数字となっています。下期の売上が上振れると、今以上に通期の売上高の増収が達成できると見ています。通期業績予想、売上種別予想でした。
以上をもちまして、2021年3月期の決算説明を終了します。ありがとうございました。