2020年度 第3四半期決算のポイント

梅田博和氏:それでは、2020年度第3四半期決算概要についてご説明申し上げます。はじめに、決算発表のポイントです。2020年度第3四半期実績は、売上高は実質ベースで増収に転換、利益は第2四半期に続き増益となりました。経営体質強化の取り組みが着実に進捗し、加えて、社会変化を捉えた事業の増販も寄与しました。

年間見通しは、全社は売上高、利益ともに上方修正いたします。これにより、調整後営業利益は年間で増益の見通しとなります。

セグメント別の見通しは、上方修正はアプライアンス、ライフソリューションズ、オートモーティブ、インダストリアルソリューションズ。下方修正はコネクティッドソリューションズとなります。

2020年度 3Q 連結業績

それでは、決算概要についてご説明します。第3四半期の連結業績はご覧のとおりです。売上高は1兆8,141億円、為替・非連結化影響を除く実質ベースでは増収。調整後営業利益、営業利益、純利益は、経営体質強化の取り組みに加え、増販益により大きく増益となりました。

2020年度 3Q 売上高増減

こちらは、売上高の増減要因です。全体では971億円、5パーセントの減収となりましたが、非連結化影響等を除く実質ベースでは、車載機器やホームアプライアンス等の増収がコロナ影響による減収をカバーし、327億円、2パーセントの増収となりました。

売上高の推移(前年比)

次に、売上高前年比の推移についてご説明します。左側のグラフは全社を示したものです。売上高は第1四半期にコロナ影響が拡大しボトムとなりましたが、その後、回復傾向が続き、第3四半期では前年を上回る水準となりました。

なお、コロナによる減収影響は第1四半期で3,500億円となりましたが、この第3四半期では500億円となり、マイナス影響は改善しております。

また、右側はセグメント別の推移を示しております。オートモーティブ、インダストリアルソリューションズ、アプライアンスは、この第3四半期で前年を上回る水準まで回復いたしました。

2020年度 3Q 営業利益増減

続いて、営業利益の増減要因です。中期戦略で取り組んでおります経営体質強化は、固定費削減で180億円、構造的赤字事業への対策で60億円の増益効果があり、着実に進捗しております。加えて、事業の増販益等が443億円、増益に寄与しております。一方、コロナ影響は150億円の減益要因となりました。

この結果、調整後営業利益は475億円の増益、営業利益はその他損益において前年度一時益の反動等がありましたが、全体で298億円の増益となりました。

2020年度 3Q 事業別 営業利益増減

こちらは、営業利益の事業別増減要因です。空調空質、車載電池、情報通信インフラ向けといった、中長期的な社会変化を捉えた事業が増益をけん引しました。調整後営業利益の増益475億円のうち、これらの事業の増益が407億円となります。

具体的には、空調空質・公衆衛生関連の需要拡大を捉えて「ナノイー X」搭載商品を拡充している空調・冷熱ソリューションズとホームアプライアンス、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」を増産しているパナソニック エコシステムズが増益となりました。

また、EV需要拡大を受けた円筒形車載電池は合理化等が進展、大幅な増益となりました。さらに、情報通信関連の投資需要の拡大を捉えて、インダストリアルソリューションズのシステムとデバイス、加えてプロセスオートメーションが増益となりました。

2020年度 3Q セグメント別実績

セグメント別の実績はご覧のとおりです。調整後営業利益は全セグメントで黒字となっております。

2020年度 3Q セグメント別 増減要因

こちらはセグメント別の増減要因です。アプライアンスは洗濯機や冷蔵庫等の販売好調に加え、コストコントロールにより増収増益。ライフソリューションズは、売上高は空質関連事業、海外の配線器具が堅調に推移。国内市況の悪化をカバーし、前年並み。利益は空質関連等の増販益に加え、徹底した固定費削減が寄与し、増益となりました。

コネクティッドソリューションズは実装機の好調が継続し、加えてコスト改善を図りましたが、アビオニクス等の落ち込みをカバーできず、減収減益となりました。一方で、第2四半期までは赤字でしたが、黒字に転換しております。

オートモーティブは、売上高は円筒形車載電池で生産ラインの切り替えにより販売が減少しましたが、車載機器では第1四半期における自動車減産の反動により需要が増加し、全体では増収。

利益は、車載機器で増販益や固定費削減効果がありましたが、懸案であった充電器関連の一時費用を計上したことにより減益。一方、円筒形車載電池では合理化等により大きく増益。全体でも増益となりました。

インダストリアルソリューションズは、情報通信インフラ向けの好調が継続。加えて半導体構造改革の効果等により、増収増益となりました。

2020年度 3Q フリーキャッシュフロー

次に、フリーキャッシュフローと資金についてご説明します。フリーキャッシュフローは2,080億円。これは純利益に加え、運転資金の改善等により、営業キャッシュフローが大きくプラスになったことが寄与しました。累計では、フリーキャッシュフローは3,119億円となっております。

右側は資金の状況です。グロス資金は約1兆4,000億円、昨年12月に普通社債2,000億円を発行したことで大きく増えておりますが、この1月、当資金で短期社債をすでに償還しております。

ネット資金はマイナス2,222億円、前年度末から改善しており、リース負債を除くベースではプラスに転じております。

2020年度 連結業績見通しの修正

ここからは2020年度、年間業績見通しについてご説明します。足元の経営状況を踏まえ、2020年7月30日公表の年間業績見通しから、ご覧のとおり修正いたします。

売上高は1,000億円の上方修正、調整後営業利益、営業利益はそれぞれ800億円、純利益は500億円の上方修正を行います。なお、調整後営業利益は、今回の上方修正により前年から133億円の増益へ転じる見通しです。

セグメント別見通しの修正

セグメント別の見通しは、ご覧のとおり修正いたします。アプライアンス、ライフソリューションズ、オートモーティブ、インダストリアルソリューションズは上方修正。コネクティッドソリューションズは下方修正となります。詳細は次のページでご説明します。

2020年度 セグメント別 修正要因

こちらは、セグメント別の修正要因です。アプライアンスは堅調な販売、コストコントロール等の進捗を織り込み、売上高、利益とも上方修正。ライフソリューションズは、コロナ影響の縮小に加え、空質関連事業での増販、徹底した固定費削減等により、売上高、利益とも上方修正。

一方、コネクティッドソリューションズは固定費削減は徹底しましたが、コロナの長期化により、アビオニクス等の回復が遅れ、売上高、利益とも下方修正しました。

オートモーティブは、売上高は車載機器で自動車市場が当初の想定より早く回復し、上方修正。利益は、車載機器で充電器関連費用を計上しましたが、販売回復等により赤字が縮小し、円筒形車載電池においても合理化や新製品導入効果が寄与し、上方修正しました。

インダストリアルソリューションズは、車載向けの市況改善、データセンター向けの伸長により、売上高、利益とも上方修正しました。この結果、全社では売上高は1,000億円、調整後営業利益、営業利益はそれぞれ800億円の上方修正となりました。

2020年度 営業利益 修正要因

続いて、営業利益の修正について項目別にご説明します。ご覧のグラフは、営業利益の前年からの増減要因を示したものです。上段は当初公表時点、下段は今回の見通しであり、中段に修正額800億円の内訳を要因ごとに示しております。

修正額の主な要因として、経営体質強化の着実な推進により、中期戦略で掲げている取り組みの固定費削減は300億円の改善。また、足元における実質増収への転換により、事業の増販益等は237億円の良化を見込んでおります。20年度、コロナ影響は足元の状況を踏まえ、当初公表時点から150億円の回復を織り込んでいます。

なお、右側に調整後営業利益の前年差とコロナ影響除きの金額を、参考値として示しております。

2020年度 重点取り組みに対する進捗

最後に、重点取り組みの進捗をまとめております。まず、中期戦略として掲げた「経営体質の強化」は、この2年間で中期目標1,000億円を前倒しで達成する見通しです。今後も、手を緩めることなく継続して推進し、さらなる利益貢献を目指してまいります。

また「車載事業の収益改善」は、固定費削減や生産性向上の取り組みにより、着実に進捗しております。利益率5パーセントの早期実現に向け、引き続き取り組んでまいります。

「事業ポートフォリオ改革」は、昨日、太陽電池の生産撤退のリリースを発表しました。今後は、ホームエネルギーマネジメントシステム、パワーコンディショナー、蓄電池などを組み合わせたエネルギーソリューション事業を強化してまいります。

また、コロナ影響への対策は、事業の状況に応じ、減販に対する固定費削減を追加的に実施しており、今後もメリハリある固定費管理を徹底いたします。アビオニクスについても、すでに構造改革を実施しておりますが、航空機の生産・運航等の回復を見極めながら必要な対策を進めてまいります。事業機会への取り組みは、次のページで詳細をご説明します。

中長期的な社会変化を踏まえた事業機会(取り組み事例)

コロナをきっかけに、さまざまな事業領域で社会の変化が加速しております。当社は、中長期の視点でそのような変化を捉え、事業を通じて社会課題の解決に向けた取り組みを進めております。

まず「空調空質・公衆衛生に関する需要拡大」に対しては、「ナノイー X」搭載商品を拡充しており、生産台数は「ナノイー」を含め、19年度800万台から、20年度850万台へ拡大を見込んでおります。さらに5年後には、1,500万台規模まで生産拡大を進めてまいります。

また、空間除菌脱臭機「ジアイーノ」も、25年度販売目標500億円に向け、中国で生産を開始するなど増産対応を進めております。加えて、中国の住宅市場で発売を予定している空調と空質を融合したシステムなど、ソリューションにも注力しております。

次に「地球温暖化対策等によるEV需要の拡大」を受けて、当社の技術が生きる円筒形車載電池事業では、北米工場における増産対応、電池の技術開発、欧州事業での戦略的提携など、対応を強化しております。

「情報通信インフラへの投資拡大」に対しても、実装機、導電性高分子コンデンサ、蓄電システムで増産、開発投資、商品差別化といった取り組みをそれぞれ進めております。

これらの事業は足元ですでに増益をけん引しておりますが、引き続き、こういった取り組みを通じ、持続的な利益成長につなげてまいります。ご説明は以上となります。ご清聴、ありがとうございました。