1.概要
中川敏幸氏:中川でございます。日頃は、アナリスト、ファンドマネージャーのみなさまにおかれましては、大変お世話になり、誠にありがとうございます。
それでは、先ほど発表いたしました弊社第3四半期の決算につきましてご報告申し上げます。お手元の資料に基づいて順にご説明申し上げます。
それでは、ページを繰っていただきまして、4ページのところをご確認いただきたいと思います。概要を定性的に文章で記載しております。
あとで詳しくご覧いただきたいと思いますが、2つ目のところに売上高につきましての説明、いわゆる国内外の自動車新車向けの鉛電池、それからプラグインハイブリッド車用のリチウムイオン電池の販売減でありますとか……。
他方、営業利益につきましては、売上減はございましたけれども、国内外の自動車用鉛電池補修関係が堅調であったというようなことを記載させていただいております。
2.売上高・利益(第3四半期 累計)①
続きまして、5ページに入らせていただきます。こちらが損益計算書のエッセンスでございますが、ご覧いただきましたとおり、売上高は当該期2,780億円。営業利益、のれん等償却前の営業利益はそれぞれ144億円、161億円。また、いわゆる四半期純利益は57億円、のれん等償却前におきましては73億円という数字でございます。
売上高は前年と比べまして約150億円の減収。これに対しまして、営業利益関係はほぼ前年並みという状況でございました。この要因につきましては、またあとで触れさせていただきます。
そのあと、営業利益よりも下でございますが、とりわけ営業外収支の中では為替差損益の改善、これがございまして、経常利益は一定の増加になっておりますものの、特別損益の中で今回2つのポイントがございました。
リチウムエナジージャパンの減損損失をこの前第2四半期のところで約27億円計上いたしました。その要因と、2つ目の要因としましては、これはむしろ前期に要因があるんですけれども、前期、一定額の土地の売却益を出しております。今回はほとんどそれが出ておりませんので、それによる変化要因、こういったこともございまして、いわゆる四半期純利益は35億円から36億円の一定の大きな減益となった次第でございます。
2.売上高・利益(第3四半期 3ヶ月計)①
なお、6ページをご覧いただきたいのですが、先ほど申し上げたところは9ヶ月累計なんですが、第3四半期のみ、いわゆる3ヶ月だけで見ました場合、少し絵姿が変わっております。
こちら見ていただきましたらわかりますが、売上高、営業利益、そしていわゆる四半期利益、ご覧のとおりなんですけれども、特に増減を見ていただきますと、売上高は前年と比べまして30億円の増収。また、営業利益関係は22億円から23億円の増益。一方、いわゆる四半期純利益については10億円から11億円程度の増益ということでございます。
こちら、あとでもう少し触れますが、この12月非常に寒かったということもありまして、対前年と比べますと大きな変化になっております。とりわけこの営業利益、経常利益、この91億円、101億円は、弊社が2008年度以降、四半期決算の開示しておりますが、その中では最高の数字ということになります。
2.売上高・利益(第3四半期 累計)②
それでは、7ページに移らせていただきます。営業利益の増減益要因でございます。これは9ヶ月累計でありますが、前年と比べて利益面ではほぼ前年並みと先ほど申し上げました。
とりわけ今回は数量・構成変化で一定のマイナスが出ております。こちら、特に私どもの産業電池電源の落ち込みが著しく、それを自動車電池も含めた主原料の価格、それと売価の転嫁、こちらのプラス要因でカバーしたというような構図になっておろうかと思っております。
2.売上高・利益(第3四半期 3ヶ月計)②
なお、8ページのところでありますけれども、3ヶ月単独で見てみますと、こちらも絵姿が変わってまいります。先ほども申し上げましたが、営業利益は74億円から97億円ということで、これはのれん等償却前の利益でありますが、23億円増えております。
特に顕著なのは、数量・構成変化のところでございまして、こちら少し先ほども触れましたが、寒波の影響による増加、それから、特にこれは自動車電池の補修関係がプラス要因としてきております。
また、日本国内だけのお話ではありますが、前年は特殊要因といたしまして、10月に……これは前年といいますのは、今から言いますと2019年10月でございますが、消費税の引き上げがございました。その反動による減少が、前第3四半期には出ておりましたが、それが今回はそういうことがないということ。
また、3点目として、自動車電池補修そのものが一定の寄与をしているというようなこと、これが大きな要因であろうかと思っております。
3.セグメント別業績(第3四半期 累計)
続きまして、9ページのセグメント別の状況をご確認いただきたいと思います。まず、9ヶ月累計であります。
増減のところを見ていただきましたらわかりますが、売上高は全セグメント減収でございました。でありますけれども、利益面では自動車用の鉛電池の国内外、これは一定のプラスを確保できております。
また、そのプラスはありましたけれども、産業電池電源のマイナス、これが相打ちの格好になってしまったということになっております。
それぞれの要因につきましては、あとで説明させていただきます。
3.セグメント別業績(第3四半期 3ヶ月計)
一方、3ヶ月だけを見ますのが10ページでございますけれども、その他セグメントは除きまして、主要4セグメントを見ていただきますと、売上高はそれぞれ一定の増収になっております。
他方、利益面では、基本的には累計の傾向がありますが、1点だけ特徴は、車載用リチウムイオン電池、こちらがプラス9億円という数字が出ております。こちらはリチウムイオン電池関係数量の一定の改善に伴いまして、ようやく利益が反転する兆しが出てきたということが言えようかと思っております。
3.セグメント別業績(自動車電池(国内))
それでは、もう少しセグメントごとに詳しくご報告申し上げたいと思います。11ページをお開きください。
まず、自動車電池(国内)でございます。棒グラフの見方でございますけれども、左側が2019年度、右側が2020年度という棒グラフになっております。濃い色は売上高、そして薄い色は営業利益ということになります。
累計で積み上がっていきますので、第3四半期だけを今回ピックアップして見てまいりますと、2020年度、今期は売上高610億円、営業利益64億円ということで、前年の653億円、48億円と比べますと、売上高で43億円の減収、一方利益面では16億円の増益ということになっております。
商況をご報告申し上げますと、新型コロナ禍の影響によりまして、とりわけ第1四半期、自動車の生産台数が大きく減少しております。そのために、新車向けが激減したと、その影響をまだ一定引きずっております。
一方、補修向けにつきましては、上半期から好調でございましたが、さらにこの第3四半期、とりわけ12月のクリスマス寒波の影響もございまして、販売数量がさらに伸びたという状況でございます。また、先ほども触れましたが、消費税の関係の変化という要因もあったかと考えております。
増減益要因でございます。こちら大きく変化しましたのは、2つ目の鉛価格下落とその販売価格への転嫁のタイムラグ、この10億円が大きなものでございます。
なお、鉛価格の変化は、国内の建値ベースで言いますと、前年と比べますと約8.4パーセントの鉛安という状況でございました。
もう1つ増減益要因でポイントは、数量・構成変化のところの4億円のプラスでございます。数量は、新車向けの大幅減に伴ってマイナス要因にはなっておりますが、それを、そのマイナスを補って余りある構成変化、いわゆる補修の売上の増加という要因がございましたので、ここでプラス4億円が出ているということになっております。
3.セグメント別業績(自動車電池(海外))
続きまして、12ページの自動車電池(海外)に入らせていただきます。売上高は1,213億円、営業利益は87億円ということで、前年と比べますと36億円の減収、また逆に利益は14億円の増益と、減収増益ということになっております。基本的な構図は、国内と同様でございました。
なお、商況でちょっとご確認いただきますと、私どもの海外の主力でありますインドネシア、タイ、こちらはとりわけ新車向けが大きく減少いたしました。
なお、ベトナム、そしてここには記載しておりませんが台湾は、堅調でございます。
一方、中国につきましては、コロナの影響も限定的であったということもありまして、比較的回復が早かったというように思っております。
また、欧州、それからオセアニア等では、一定のコロナ禍の影響があったかと思いますが、補修向けを中心としたところでは、販売数量は堅調ということでございます。
増減益要因も、基本的には同様の構図でございます。鉛価格の変化は、LMEベースでは8.5パーセントのマイナスということで、ほぼ日本国内の建値と同じようなかたちでの変化の仕方でございました。
3.セグメント別業績(産業電池電源)
続きまして、13ページの産業電池電源に入らせていただきます。売上高は582億円、営業利益は21億円ということで、売上面では約1億円の減収ではありましたが、利益面では28億円の大きな減益となっております。
商況を見てまいりますと、今回、今期、おそらく来期もそうなると思いますけれども、北海道豊富町におけます大型の風力発電用リチウムイオン電池……これは以前もご紹介申し上げたと思いますが、1つのこのプラントに、電気自動車で言いますと5万台近い電池を2年にかけて納入していくというものであります。
こちらの売上増に対して、他方、私どもの主力であります……既存分野と言ってもいいのですが、通信キャリアさま向け・鉄道と民需向けのバックアップ用、こちらが減少したということで、この2つが相打ちの格好になってしまっております。
また、フォークリフト用につきましては、上半期は厳しかったんですけれども、第3四半期におきましては、前年に主要顧客さまの……これは弊社ではない他の部材のサプライヤーさまの台風被害の影響によりまして、生産がストップした時期がございます。今回はノーマルベースになってきておりますので、ここでの増加がございました。したがいまして、フォークリフト関係では、そんなに大きな変化が第3四半期累計では出ていないと思っております。
海外につきましては、こちらは中国とタイに拠点がございますフォークリフト関係のビジネスが厳しかったという状況でございました。
増減益要因につきましては、先ほど申し上げた利益率の高い既存分野が数量を落とし、そして、実際これは製品供給という観点では赤字物件であります風力発電用が増えたというこの構成変化によりまして、大きなマイナスが出ているという状況でございます。
なお、蛇足かもしれないですけれども、この風力発電用の電池ビジネスは、初期の製品納入では赤字でありますが、そのあと向こう20年間、メンテナンス契約、保守契約で利益を稼ぐというビジネスモデルでございますので、一時的なものだとご理解賜りたいと思っております。
3.セグメント別業績(車載用リチウムイオン電池)
続きまして、14ページでございます。車載用リチウムイオン電池であります。売上高は244億円、営業利益は損失が14億円ということで、こちら売上面では64億円の減収、利益面、損失面では1億円の悪化ということになっております。
商況ベースで申しますと、リチウムエナジージャパンにつきましては、主力のプラグインハイブリッドカー用のリチウムイオン電池が大きく減少したということがございました。
他方、ブルーエナジーにつきましては、ホンダさま向けも数量を増加させておりますし、それに加えて、今期この初夏からですかね、納入を開始いたしましたトヨタさま向け、これも堅調でございますので、数量ベースでは倍増近い状況になっております。
増減益要因は見てのとおりでございます。
4.貸借対照表
16ページの貸借対照表に入らせていただきます。まず、左側の資産関係であります。総資産は3,950億円ということで、前期末、3月末と比べますと96億円増加しております。詳細はもう割愛いたしますが、最大の変化要因は、投資その他の資産のところで108億円増えたことによります。
吹き出しにもございますとおり、昨今の株高によります弊社保有の投資有価証券、これが評価が高くなったこと、それと退職給付に係る資産、これがきちんと積み上がっているということによるものでございます。
一方、右が負債および資産でございます。負債につきましては、流動、固定合わせますと、あまり大きな変化はございません。特徴を申し上げますと、吹き出しにもございますとおり、前受金が51億円減少しました。これは先ほど来の風力発電関係に対する前受をいただいたことによるものですが、これが順調に消化されているということでございます。
その代わりに、この表の一番下の欄外のところにございます借入総額が686億円ということで、約40億円余り増加しました。前受金と借入が相打ちの格好になっているというように見て取っていただけると思います。
なお、純資産につきましては、2,142億円ということで、3月末と比べますと89億円増えております。こちら一定利益が積み上がっていると言うことと、先ほども申し上げました株高に伴う評価差額金が増えたということでございました。
以上がバランスシートでございます。
5.連結業績予想の修正①
17ページに入りまして、連結業績予想の修正の欄がございます。今回、業績予想を修正いたしました。今回、B列にもございますように、売上高は3,800億円、営業利益は200億円、経常利益は220億円、いわゆる当期純利益は90億円ということでございます。
それぞれ、売上高は変えておりませんけれども、利益面ではそれぞれ40億円、50億円、20億円ということで積み上げさせていただいております。
修正の理由につきましては、欄外にございますとおりです。売上高につきましては、増加要因もございますが、減少要因も見られますので、変えておりません。
なお、営業利益は、自動車の鉛電池補修関係のビジネスの増加、それとハイブリッド関係につきましても生産性向上等見られますので、そういったところでプラスを入れさせていただきました。
なお、この業績予想の修正に伴いまして、上の表の中にもありますように、配当金につきましては、わずかではございますが、35円から40円ということで、5円配当を増やさせていただくということにしております。
5.連結業績予想の修正②
18ページにおきましては、それをセグメント別に展開いたしました。前回の11月の業績予想と比べますと、概ね自動車電池関係、国内外ともにプラスに入れさせていただきました。
逆に、産業電池電源は一定のマイナス、そして車載用リチウムイオン電池につきましては、先ほども修正のところで前ページでご説明したとおり、売上は変えておりませんが、利益面では一定、損失圧縮できるだろうというように思っております。
以上が決算関係でございます。
6.トピックス①
せっかくの機会でございますので、少し時間をいただきまして、19ページ、トピックスに移らせていただきたいと思います。
昨年秋、菅内閣が発足いたしましたけれども、そこにおきまして、カーボンニュートラルを重要政策に位置付けられております。ご承知のとおり、弊社の主力製品のバッテリーが果たす役割、これについてより注目が集まる状況になっているかと思っております。
そこで今回、日本を含めた各国の脱炭素社会への取り組みについてまとめさせていただきました。特に日本におきまして「グリーン成長戦略」ということで、いろいろなアイテムを国のほうでも挙げておられるかと思いますが、これを具体的に「弊社におきましてはどうなのか」ということを、20ページのところで示させていただいております。
6.トピックス②
今後、我々はますます社会に貢献する余地が高まってきたのではないかというように思っております。
まず、洋上風力関係につきましては、こういった分野は出力変動がございます。その緩和のためには、リチウムイオン電池は必ず貢献すると思っております。
また、原子力、こちら今後どうなるかわかりませんが、CO2を出さないという観点では重要でございます。こちら必ずバックアップ用の電源が必要でございまして、こういったところは従来から鉛電池、それから電源システム、我々のものが貢献していると思っております。
自動車用の電池関係につきましては、もう言わずもがなですが、環境対応車普及拡大に貢献いたします。
また、船舶につきましては、こちら車で言いますEVのような船がございます。バッテリー推進船、こういったものにご採用いただけるものと思っております。
物流関係におきましては、港湾のAGV、ガントリークレーンといったところの、従来はガソリンならびにディーゼルで動いておりましたものを電動化するというような動きもございます。
航空機につきましても同様でございまして、次世代……これはNEDOさまとタイアップしておりますが、次世代の航空機関係、いわゆる電池で飛ぶ飛行機、こういったプロジェクトにも参画しております。
また、住宅関係につきましては、ソーラー関係の余った電気を蓄える電池というような面で必要になってくると思っております。
なお、弊社におきましては、環境配慮製品の販売比率の拡大ということを中期経営計画でも掲げさせていただいております。ベンチマークの2018年から比べまして、足元で2ポイント増えておりますが、目標の35パーセントにはもう少しで手の届く状況にあろうかと思います。さらに高めてまいりたいと思っております。
以上がご説明でございます。先ほど申し上げましたように、第3四半期のみ、3ヶ月のみを捉えますと、増収増益傾向にございます。この状況は1月も続いておりますし、これ以降も当面続く可能性があるのではないかと思っております。これらの果実を、我々としてはしっかりと「もの」にしてまいりたいと思いますので、今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
長くなりましたが、以上が私からのプレゼンテーションでございます。よろしくお願いいたします。