ハイライト
大原茂氏(以下、大原):おはようございます。ウィルグループの代表の大原です。本日はお忙しい中、決算説明会ライブ配信にご参加いただきまして誠にありがとうございます。まずはじめに、私より第2四半期の決算説明を行い、その後、質疑応答に移ります。本日は2021年3月期第2四半期の決算概要と2021年3月期業績予想、配当予想をご説明します。まずは、第2四半期の決算概要です。
ハイライトとして3つ掲げています。まず1つ目は、事業への新型コロナウイルスの影響は収束に向かっているところです。現状、新型コロナウイルスの第3波による影響が少しずつ出てくるかもしれないのですが、事業としては新型コロナウイルスの影響が収束に向かっているという判断を行っています。後ほどご説明しますが、9月18日付で修正した上期の業績予想に対して、売上、利益ともに上回っている結果となったということから、事業への新型コロナウイルスの影響は収束に向かっていると考えています。2つ目は、第3四半期以降は、採用等の投資を再開していくというところです。第2四半期の決算が営業利益は前年度を上回っていることもあり、第3四半期は採用等含め、今期ならびに来期以降を見据え、投資を再開していこうという判断を行っています。そして3つ目は、中期経営計画で目標も立てていますが、財務指標については、着実に改善傾向であるということです。
2021年3月期 2Q累計 連結実績
まず、1つ目の部分で、連結の第2四半期累計実績です。国内は販売支援、工場系領域で、そして海外は人材紹介が新型コロナウイルス感染症の拡大の影響もあるものの、それ以外の領域は堅調に推移しているというところです。9月18日公表の業績予想の、売上570億円、営業利益17億円に対して、実績は売上が581.7億円、営業利益が22.2億円というところで、ともに達成となっています。前年度と比較しても、売上はマイナスの4.2パーセント、営業利益はプラスで2.3パーセントというところです。上期に関しては、しっかりと9月18日公表の数字を上回ったという結果になっています。
連結売上収益の推移
第1四半期と第2四半期の売上の推移ですが、第1四半期全体で売上が国内と海外で286億円に対し、第2四半期は国内と海外で295億円ということで、第1四半期に比べてプラス9億円の上積みができています。
海外はオーストラリアを中心として政府系の派遣を伸ばすことにより、プラス9億円の上積みができています。国内は、ほぼ同等の売上にはなっていますが、国内に関する稼働人員数は第1四半期から第2四半期で少し下がっていますが、1人当たりの稼働時間を増やすことができ、売上自体はほぼ同等になっています。このような結果を踏まえまして、事業への新型コロナウイルスの影響は収束に向かっているのではないかと考えています。
国内WORK事業(分野別売上収益の内訳)
国内の内訳を見ていきたいと思います。売上は、第1四半期と第2四半期はほとんど変わっていませんが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、業績影響のある分野はアパレルとセールスプロモーション、食品以外の工場分野で、それ以外は堅調に推移している状態です。アパレルは第1四半期をボトムとして改善傾向であるなど、徐々に改善しているのではないかと考えています。
連結売上総利益率、販管費比率の推移
続きまして、連結の売上総利益率と販管費率の推移です。売上総利益率は第1四半期をボトムとして改善傾向です。第1四半期を底として、しっかりとV字回復していけるように努めていきたいと思います。また販管費率は、機動的にコストをコントロールしていまして、利益を確保している状態です。第1四半期から拠点等を統合したりいろいろなことを行いまして、第3四半期、第4四半期から効果が出てくるのではないかと思います。
セグメント業績概要
セグメント業績の概要です。国内WORK事業と海外WORK事業、そしてその他に分けています。まずは国内WORK事業ですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、セールスアウトソーシング領域の中でアパレルとキャンペーンの部分、さらにファクトリー領域は食品以外の部分が減収になっています。それ以外の分野は堅調に推移していますが、前年度の第2四半期累計と比べると、売上はダウンになっています。売上のダウンにともない、営業利益(セグメント利益)もダウンしている状況です。海外のWORK領域に関しては、こちらも新型コロナウイルスの感染拡大により、政府系、エンジニア、ファイナンス、リーガル等の人材派遣は安定に推移したものの、オーストラリアやシンガポール等の景気減速により、人材紹介は需要低下によってダウンしています。それによって売上は前年度に比べまして、少しダウンしていますが、セグメント利益は助成金等の影響もあり、プラスに転じています。その他の領域はおもにHRTech領域です。まだまだ、投資の段階でして、昨年度と大きな変化はありません。
財務指標
続きまして、財務指標です。中期経営計画において目標を設定しており、財務改善に努めています。こちらは利益の積み上げにより改善傾向です。四半期ごとの推移を出していますが、徐々にではあるものの、しっかりと改善している傾向が出ているのではないかと思っています。
2021年3月期 連結業績予想
続きまして、2021年3月期の連結業績予想と配当予想です。通期の連結業績予想は第3四半期以降、抑制していた投資を実施する計画ではあるものの、第2四半期累計での業績の上振れ部分を修正しています。まずは、左から2列目の9月18日公表の当初予想ですが、通期の売上が1,150億円、営業利益で30億円としていましたが、今回の第2四半期累計の結果を踏まえ、売上が通期で1,160億円、営業利益は通期で34億円と、売上がプラス10億円、利益がプラス4億円で修正しています。
どのようなかたちで業績予想を変えていったのかについてですが、もともと期首の予想では売上は第4四半期あたりで新型コロナウイルスが落ち着き、正常化を見込んでいましたが、まだまだ新規オーダーに関しては低調のため、正常化は来年度からかと考え、その部分を見直しました。そのため、期首予想に対して売上は減少していますが、営業利益に関しては増加の見通しを立てています。また第2四半期まで、なかなか先が見えないところがありましたので、投資を抑制してきましたが、第3四半期以降は投資を徐々に再開します。最終的には、新型コロナウイルス感染症の再拡大等、状況を慎重に見極め、機動的に対応していきたいと考えています。
2021年3月期 業績予想
期首の予想と修正予想の比較を載せていますので、それぞれご説明しますと、まずは左側の売上収益です。売上の一番左が前年度です。前年度売上が1,219億円でして、もともとの期首予想は新型コロナウイルスが影響しなかったら、前年度から上積みして、ベースとして1,350億円ほど売上計画を考えていたのですが、新型コロナウイルスの影響で売上が150億円ほどダウンするのではないかと考え、1,200億円としていました。第2四半期が終わったところで、新型コロナウイルスの影響から戻りきらないということもあり、さらに40億円ダウンの1,160億円で売上の修正計画を出しています。次に営業利益ですが、前年度は41億円の営業利益を出しました。こちらも同じく、期首時点では、投資をしながらでも上積みするということで、42億円と考えていました。しかし、新型コロナウイルスの影響による売上の減少で22億円減少の20億円と発表させていただきました。しかし、販管費の抑制、国内の粗利率の改善等期首予想に対しプラスに振れることができ、今回34億円に修正しています。
2021年3月期 営業利益の上期、下期差異
続きまして、営業利益の上期と下期の差異です。上期は22億2,000万円の営業利益を出しました。下期は来年度以降に向けた投資として、下期の販管費は上期と比較してプラス9億円と見通していますので、その分下期の営業利益は減っていくと考えています。比較を載せていますが22億2,000万円が上期に出ているので、下期も同等に出るのではないかとお思いの方もおられるかと思いますが、ポイントをご説明します。
助成金の部分が上期に比べて減少が3億円、有給休暇の引当増加で、減少が1億円。一方、国内WORK事業の売上総利益率の改善により、上期よりも増加が2億円、投資再開によって、来期を踏まえた営業人員の補強、止めていた採用費の開始など、販管費約9億円の増により、営業利益の減少を考えています。そのため、トータルで下期はだいたい12億円くらいの営業利益となり、通期で34億円の見込みです。34億円を最低確保しながら、来期、そして中期経営計画達成への投資を行っていくというところです。若干コンサバに見ている部分もありますが、この部分は最低限達成していきたいと考えています。
今後の見通しと方針
今後の見通しと方針です。第3四半期以降はどの領域もオーダー獲得を強化していくために人員強化、営業活動の強化をしていきたいと思っています。オーダーに関しては、まだまだ前年度と比較して戻っていないのが現実です。領域によっては、まだ前年度に比べて半分のところもありますし、7割、8割ほど戻ったというところもありますので、この部分は来期以降もあり、しっかりとオーダー獲得の強化をしていきたいと思っています。 領域ごとに少しご説明すると、販売領域は、いわゆるセールスプロモーション、いわゆるキャンペーンの領域はなかなかまだ人を集めることができないため、下期も苦戦するところもあるものの、アパレルは第1四半期で底打ちとなり、営業代行等も含め、サービス強化をしていければと思っています。また、通信に関しては非常に安定していまして、売上は、前年同月を上回る水準にもなっていますので、まだまだここは大きく伸ばしていけるのではないかなと思っています。
コールセンターも同等で、安定した需要はあり、新規受注の営業強化をしています。ベンダーに関しては、人が集まりやすくなったというところもありますので、直接雇用の方針を打ち出しているところもあるため、それ以外の領域で増やしていくよう取り組んでいます。ただし、オーダーが足りないからといって、低い利益率のところではなく、しっかりと利益率にこだわりながら、トップラインも伸ばしていきたいと考えています。
ファクトリーは、食品を中心として営業を強化していくとともに、少しずつ入国の規制が緩和されてきていますので、技能実習生ならびに特定技能生の外国人の受け入れ拡大に向けて営業強化を行っていくというところです。
介護/保育に関しては、派遣についても順調に伸びていますし、さらにはエリア拡大も考えていますので、新規営業の強化を行っていくというところと、需要の強い人材紹介を強化するために、こちらも営業人員を補強していこうと考えています。
スタートアップ人材の支援領域です。子会社のフォースタートアップスという会社は、新型コロナ禍でも需要が強い経営幹部層、エンジニア層に支援強化を行っていくというところと、今期だけの数字にこだわることなく、来期、再来期を見越して非常に採用しやすい領域ですので、自社社員の営業マンの強化に努めていきたいと思います。
その他の領域としては、建設技術者の派遣需要は非常に堅調ですので、ここは伸ばしていきたいと思っています。我々は今まで経験者を人材派遣してたのですが、まだまだ未経験にもニーズがあるということもあり、新卒で紹介できる社員並びに中途でも未経験で紹介できる社員を強く採用していきたいと思っています。そのために、営業強化していきます。ならびにALTの派遣、エンジニア派遣もこれから順調に推移していけるのではないかと考えています。
海外事業は景気減速によって人材紹介に関してはオーダーが減少し、まだまだ厳しいところはありますが、徐々に回復の見通しも立ってきているところです。人材派遣に関しては、政府系を中心として堅調に推移していますので、「Temp SHIFT」ということで海外は伸ばしていければなと考えています。
M&Aした連結子会社の状況
M&Aした連結子会社の状況ですが、こちらも新型コロナウイルス感染拡大の影響はあるものの、影響は一時的なものであると判断していますし、現時点での減損リスクはないという見通しを立てています。
配当予想
配当予想です。総還元性向30パーセントがこの中期経営計画の目標です。業績予想の上方修正と併せて配当予想も修正をしています。今期に関しては、自社株買いは検討していませんので、基本的には配当性向30パーセントを目指していきたいというかたちです。前年度が1株あたり23円というところでしたが、今期は1株あたり24円というところで、前年度を上回る増配になっています。以上が通期の業績予想です。以上で、決算説明を終了します。
質疑応答:投資について
質問1:下期から投資を再開するとのことですが、来期はさらに増える方向でしょうか? 投資を重点的に振り分ける分野や金額などイメージがあればおしえてください。というご質問です。
大原:まずは、下期から投資を再開というところで、下期については、いわゆる派遣スタッフの採用費、人員増による人件費、システムの投資を行っていこうと思っています。来期も、投資は増やしていく予定です。特に、中期経営計画で掲げているいわゆる「パームシフト」の分野に関しては、事業として投資していくというかたちです。主に採用費であったり、人件費であったりといったところを強化するために、投資していくようなかたちで考えています。
質疑応答:新規事業と既存事業のバランスおよび投資方針について
質問2:新規事業の攻めは最近多い気がしていますが、新規事業は今先行投資が嵩んでいるというところと、既存事業とのバランスをどのようにとっていくのでしょうか? また、売上増で利益横ばいまで投資するのかなどの方針を教えてください。
大原:新規事業については、いくつかトライ&エラーというかたちで事業を行っていますが、中期経営計画で目標を掲げた利益率の改善を、大きなテーマとして捉えていますので、いわゆる「売上増やして、利益横ばい」というよりは、売上を抑えながらも利益額を高め、利益率を改善していく考えです。そのような中で、新規事業においては、アクセルを踏むのか、見極めるのかということを考えながら、事業を進めていきたいと考えています。
質疑応答:市場回復について
質問3:市場回復は来期以降になるとのことですが、前第4四半期にはすでに影響が出ていたかと思います。ここで一巡とはならず、もうしばらくマイナスが続くイメージでしょうか?
大原:前第4四半期には、新型コロナウイルスの影響で、営業利益は、マイナス2億円ほどの影響がありました。我々としては、第2四半期で一旦底がついたと捉えており、第3四半期、第4四半期に関しては、しっかりと戻していけると考えています。その大きな理由として、1つ目は売上総利益率が第1四半期をボトムとして改善できたこと、2つ目は、いわゆる稼働人数が9月末をボトムとして、10月から純増傾向になってきていることによります。
質疑応答:新型コロナウイルスの影響について
質問4:事業上、新型コロナウイルスの影響は収束方向とのことですが、ここ最近の感染再拡大で目立った影響はまだ出ていないのでしょうか?
大原:今現在においては、最近の感染再拡大によって目立った動きはなく、今のところは影響がないと考えています。
質疑応答:国内WORK事業の総利益率が改善傾向にある要因
質問5:国内WORK事業の売上総利益率が改善傾向にある要因について、より具体的にご説明ください。
大原:売上総利益率が改善傾向である要因としては、今年の4月から施行された同一労働同一賃金の対応を昨年1年間かけて、顧客と価格交渉を行ってきました。結果、ほとんどのお客さまからご理解いただくことができました。合意に至らなかったお客さまに関しては、事業終了等行いながら進めてきたことによって、売上総利益率が改善できたことが大きな要因です。今後さらに、国内のパームシフト、いわゆる紹介領域や正社員雇用の派遣に力を入れていくということで、売上総利益率が改善していくのではないかと考えています。
一部、国内のファクトリー分野の売上総利益率が改善し切れていないところがありますけれども、第3四半期、第4四半期に関して、そこの改善を力を入れることで、さらに改善できるのではないかと考えています。
質疑応答:採用および人事について
質問6:新型コロナウイルス禍で人材採用も大きく変わってきていると思います。優秀な人材を採るための施策を教えてください。また、離職率が御社は30パーセントくらいで高めだと認識していますが、過去と比較した定着率はどのくらいでしょうか? また、採用に関して、1人当たりの採用費がどうなっているか教えてください。
大原:正社員とスタッフとを分けてご説明しますと、正社員は、新規大学卒の採用活動は新型コロナウイルス禍でも継続しており、コミュニケーションも密にとり優秀な人材、我々が描くミッションおよびビジョン・バリューを共有できる人材を採用できています。また、新型コロナウイルス禍でリモートワークになってきて、関係値が薄れているのではないかと思われるかもしれないのですが、定期的なコミュニケーションの量を増やしたりすることにより、定着を高めているような状態です。
スタッフに関しては、今はどちらかというと「働きたい」という方が多く、非常に集めやすい環境ですので、そのような人たちが働ける現場のお仕事をとるために、営業強化を行っているような状態です。スタッフの定着に関しては、景気が悪くなってくると定着率が自然に高くなってきますので、そういった意味も込めて、全体的には上がってきているというような状態です。もともと私どもの行っている領域に関しては、働く環境がまだまだ改善されていなかったり、定着率がなかなか高くならなかったりするような業界ですので、そのようなところではまだまだ改善の余地があるかと思っています。
スタッフの採用費については、前年度から上期だけで3億円から4億円くらいダウンしていますので、パーセンテージでいくと1パーセント近く採用費のダウンはできているのではないかと思います。建設、コールセンター、介護など、領域によって単価はバラバラですが、それぞれ前年度に比べて、採用費は効率よく採用できています。
質疑応答:派遣領域の人件費について
質問7:御社の派遣領域は、雇用先企業にとって、人件費を固定費ではなく変動費にするニーズであると認識しておりますが、現状を見る限り、大きく影響がないように思います。この一番の要因をお聞かせいただきたいです」というところです。
大原:これは、まず我々がいわゆる立てているポートフォリオが、そもそも人材不足である領域が多いため、こういったコロナ禍でも、人が足りない領域が多いというところがあることと、お客さまとの関係値が非常に強く保てていることで、オーダーは少なくなった中でも我々にオーダーが来ているという、この2点なのかなと思っています。
しっかりと顧客との関係値をさらに高めながら、新型コロナウイルスなどの突発の要因があったとしても、しっかり我々にオーダーいただけるような、そういう関係値をこれからも作っていきたいと思っております。