決算のポイント

梅田博和氏:梅田でございます。本日はご多用のところテレフォンカンファレンスにご参加いただき、誠にありがとうございます。2019年度決算概要についてご説明申し上げます。

最初に、決算発表のポイントです。2019年度実績は、ほぼ2020年4月27日に発表した修正公表値どおりとなりました。

売上高は、事業ポートフォリオ改革の影響や中国での投資需要低迷に加え、新型コロナウイルスの影響により減収。

調整後営業利益は、固定費削減等は着実に進捗したものの減販損により減益。営業利益・純利益は事業構造改革費用等により減益となりました。

フリーキャッシュフローは大幅に改善。また、資金は十分な流動性を確保しております。

なお、2020年度見通しはコロナ影響の不確実性が高く、合理的に算定が可能となった時点で開示いたします。

2019年度 連結業績

連結業績です。売上高は7兆4,906億円で減収。調整後営業利益は2,867億円で減益。営業利益は2,938億円。構造改革費用等により減益。

純利益は2,257億円。子会社再編に伴う税務メリットによる法人税等の良化はありましたが、減益となりました。

また、ROEは11.5パーセント。前年からは下がりましたが、10パーセント以上の水準となっております。2019年度の配当は、前年と同じ年間30円といたしました。

2019年度 営業利益 要素別増減

営業利益の要素別増減です。売上減少に伴う減販損は、890億円となりました。これは中国での投資需要低迷等や、コロナ影響によるものです。

合理化等は、北米の円筒形電池工場での取り組みなどにより432億円の増益。固定費は、車載電池では生産能力拡大に伴い増加しましたが、間接諸経費の圧縮など経営体質強化の取り組み等により、全体では306億円の増益となりました。

住宅事業等の非連結化影響は133億円の減益。調整後営業利益全体では、減販損を固定費削減等で一部カバーしたものの、403億円の減益となりました。

その他損益は、事業ポートフォリオ改革を推進した結果、事業譲渡益で1,226億円、事業構造改革費用でほぼ同等の1,155億円を計上しました。一方で、前年度一時益等の反動もあり、全体で774億円の減益となりました。

この結果、営業利益全体では1,177億円の減益となりました。

2019年度 セグメント別実績(年間)

セグメント別実績となります。こちらの表では、主に前年差と公表差を示しておりますが、最初にコロナ影響が織り込まれていなかった2020年2月3日時点の修正公表値との比較でご説明いたします。

調整後営業利益は、公表値を133億円下回りました。これは、固定費削減の取り組みは一層進めておりましたが、アプライアンス・コネクティッドソリューションズを中心に、コロナ影響が発生したことによるものです。

一方、その他損益はコロナ影響による車載事業関連での減損等がありましたが、事業譲渡益の増加により71億円良化しました。

2019年度 セグメント別 売上高・営業利益の増減要因(対前年)

セグメントごとの売上高・営業利益の前年差について、増減要因をご説明します。詳細は16ページ以降の参考ページをご覧ください。

アプライアンスは、売上高は空調が増収となりましたが、スマートライフネットワークの減収やコロナ影響により、全体としては減収。営業利益は空調や日本のホームアプライアンスが堅調ではありましたが、減販損、構造改革費用等により減益となりました。

ライフソリューションズは、売上高は配線器具等を扱う電材事業やハウジングが堅調に推移しましたが、パナソニックホームズ等の非連結化影響などにより減収。営業利益は住宅関連事業の増益に加え、事業譲渡益を計上したことにより増益。

コネクティッドソリューションズは、売上高はプロセスオートやアビオニクスの減販、また、コロナ影響が全事業におよび減収。営業利益はモバイルソリューションズやPSSJの増益、事業譲渡益がありましたが、減販損が響き減益となりました。

オートモーティブは、売上高は車載電池の増産投資効果はありましたが、市況減速・コロナ影響、車載機器の製品サイクル移行期による減販をカバーできず減収。

営業利益は、円筒形車載電池の北米工場については、第3四半期に引き続き第4四半期も黒字化を達成することができ、収益性が大きく改善しました。しかし、角形車載電池の固定費や、欧州充電器件名の開発費の増加、のれんの減損などにより、減益となりました。

最後に、インダストリアルソリューションズは、売上高は米中貿易摩擦の影響やコロナ影響、また営業利益については半導体の減損等もあり、減収・減益となりました。

フリーキャッシュフロー・資金の状況

フリーキャッシュフローと資金の状況についてご説明します。フリーキャッシュフローは、前年から大幅に改善し2,242億円となりました。

角形車載電池への先行投資はありましたが、その他の設備投資や在庫の抑制等を徹底したことに加え、事業譲渡なども寄与しました。

スライドの右側は、資金の状況です。グロス資金は、2020年3月に2,200億円の普通社債の償還がありましたが、フリーキャッシュフローの改善、更に社債発行等により期末にかけて1兆円超を確保しました。

加えて総額7,000億円のコミットメントライン契約もあり、十分な流動性を確保しております。なお、2020年度は普通社債の償還はございません。

また、ネット資金は期初から大幅に改善しマイナス4,195億円となりました。フリーキャッシュフローの改善に加え、事業ポートフォリオ改革の推進により住宅事業関連のリース債務が連結対象外となったことなどが寄与しました。

事業ポートフォリオ改革の進捗

続いて、事業ポートフォリオ改革の進捗です。2019年度は車載用角形電池、街づくり、セキュリティシステム事業において、それぞれの事業の競争力を強化するために、パートナー企業さまとの共創の取り組みを推進しました。

また、赤字事業は、半導体・液晶パネル・ソーラーの方向付けを完了しております。

2019年度の総括

2019年度の総括となります。ポイントは大きく2つです。

まず、事業ポートフォリオ改革の着実な実行です。先程ご説明した共創の推進、また、赤字事業の方向付けを進めてまいりました。

もう1つは、経営体質の強化です。固定費削減の取り組みを進めるとともに、フリーキャッシュフローについても大幅に改善いたしました。

中国影響やコロナ影響を含む減販により減収・減益となりましたが、低収益体質からの脱却に向けた取り組みは継続・推進いたしました。

2020年度について

ここからは、2020年度について少しご説明します。1点目は、新型コロナウイルス感染症拡大に対する取り組み。2点目は、事業活動へのコロナ影響を含む、業績に影響する要素です。

新型コロナウイルス感染症拡大に対する取り組み

新型コロナウイルス感染症拡大に対する当社グループの取り組みを3点ご説明します。

まず、お客さま、お取引先さま、従業員とその家族といったステークホルダーのみなさまの健康と安全確保です。各国・地域の法令や方針に従い、在宅勤務や工場での感染予防対策など、感染症拡大防止を最優先とした取り組みを実行しております。

次に、社会への貢献です。グループのリソースを活用し、国内外の各国の状況に応じて当社製品やサービス、医療物資の提供等を行ない、社会の不安解消に寄与してまいります。

最後に、事業継続性の確保です。会社の社会的責任を遂行するため、工場での生産、サプライチェーンの維持・確保、コロナ影響の長期化に備えた資金の流動性確保など、あらゆる観点で事業継続性のための対応策を進めてまいります。

業績に影響する要素:①事業活動へのコロナ影響(2020年度1Q)

2020年度の業績に影響する要素として、まず第1四半期における事業活動へのコロナ影響についてご説明いたします。

2020年4月27日のリリースでは、2019年度第4四半期の影響を定性的にご説明しましたが、足元の2020年度第1四半期では、その影響に変化が出てきております。スライドの下線部分はその変化点を示しております。

まず、需要面、すなわち販売に関する影響については、2019年度第4四半期では中国を中心とした影響が見られましたが、2020年度第1四半期では自動車・航空業界等の市況低迷、各国の外出制限等により、影響が中国以外にも拡大しております。

また、供給面、すなわち生産に関する影響については、2019年度第4四半期に見られた中国でのサプライチェーン課題は解消の方向にありますが、アジア等でロックダウンによる工場停止といった影響が出ております。

セグメントごとの影響については、ご覧のとおりです。

業績に影響する要素:②収益改善の取り組み

最後に、業績に影響する要素として、収益改善の取り組みを改めて示しております。2020年度も引き続き固定費削減や赤字事業への対策など、経営体質強化を進めます。

また、黒字化が急務である車載事業について、車載機器の開発費抑制、円筒形車載電池の増販・生産性改善といった収益改善に取り組んでまいります。事業ポートフォリオ改革につきましても、着実に推進します。

経営環境は、新型コロナウイルス感染症拡大等により不透明性が増しておりますが、低収益体質からの脱却に向けたこれらの取り組みは着実に進めてまいります。

ご説明は以上となります。ご清聴ありがとうございました。