2019年度 通期実績(連結)
小笠原浩氏:本日はお忙しい中、安川電機2019年度決算説明会にご参加いただき、ありがとうございます。社長の小笠原です。それでは2019年度通期の業績についてご説明します。
4ページをご覧ください。2019年度通期業績概要について説明します。当期の経営環境は、米中貿易摩擦の長期化による影響拡大などにより、グローバルで設備投資に慎重な姿勢が強まりました。年の後半にかけては、米州や韓国など、アジアの一部で半導体関連需要の回復が見え始めましたが、期末に発生した新型コロナウイルスの影響もあり、総じて厳しい状況となりました。
この結果、当期業績は堅調だった前年度に対し、減収減益となりました。売上高は前年度比約13パーセント減の4,110億円、営業利益は約55パーセント減の223億円、経常利益は約54パーセント減の234億円、当期純利益は約65パーセント減の144億円となりました。
2019年度 通期実績(セグメント別)
次の5ページをご覧ください。セグメント別の状況です。モーションコントロールのインバータでは、米国向けが上期に底堅く推移しました。一方、モーションコントロールのACサーボ、そしてロボットにおいては、米中貿易摩擦や期末に発生した新型コロナウイルスの影響などにより、売上は減少しました。
これらの結果、モーションコントロール、ロボットともに減収減益となりました。システムエンジニアリングについては、新規連結の影響により増収となり、営業損益については構造改革などにより黒字に転換しました。
主要事業の概要_モーションコントロール
次の6ページをご覧ください。モーションコントロールの状況です。ACサーボは、期末にかけて半導体関連需要の回復が見られましたが、長期化する米中貿易摩擦や新型コロナウイルス発生の影響により、売上高は減少しました。営業利益も操業度の悪化により減少しました。
インバータは、米国におけるオイル、ガス関連需要が堅調な推移となったほか、期末にかけて欧州で回復の兆しも見られましたが、中国、アジアを中心に設備投資需要が停滞したことから、売上高、営業利益ともに、前年度に対して伸び悩みました。
主要事業の概要_ロボット
次に7ページをご覧ください。ロボットの状況です。売上高については、セグメント全般において、米中貿易摩擦や期末に発生した新型コロナウイルスの影響などを受けました。
このうち、溶接ロボット、塗装ロボットなどの自動車関連向けは、日本で底堅く推移した一方、海外では市場悪化を背景とした設備投資抑制の影響を受け、低迷しました。また、一般産業分野では、中国を中心に、自動化投資は勢いを欠く状況が継続しました。利益面では、売上減少や在庫調整などにより操業度が悪化し、営業利益は減少しました。
主要事業の概要_システムエンジニアリング
次の8ページをご覧ください。システムエンジニアリングの状況です。環境・エネルギー事業、社会システム事業においては、太陽光発電や大型風力発電用電機品など、環境・エネルギー分野の売上が伸び悩んだ一方、社会システム分野では、国内における上下水道電気システム関連の売上が底堅く推移しました。
産業用オートメーションドライブ事業においては、鉄鋼プラント関連が堅調だったことに加え、新規連結による売上増加の影響もあり、事業全体としては伸長しました。営業損益については構造改革などによって黒字化しました。
事業セグメント別売上高構成比
次の9ページをご覧ください。事業セグメント別の売上高構成比では、前年度に比べ需要減によってモーションコントロールが減少した一方で、システムエンジニアリングが増加しています。これは主に新規連結などの影響によるものです。
仕向先別売上高(2018年度 ➡︎ 2019年度)
10ページです。仕向先別の売上高です。中国、アジアを中心に、ほぼすべての地域において売上高は減少しました。
仕向先別売上高構成比
次は11ページです。仕向先別の売上高構成比です。海外売上高の減少に加え、システムエンジニアリングの新規連結影響もあり、国内は5ポイント上昇しました。海外については中国が3ポイント、中国を除くアジアが2ポイント減少したことから、海外全体の比率は63パーセントとなりました。
営業利益増減要因分析(2018年度 ➡︎ 2019年度)
次に12ページにお進みください。営業利益の増減要因分析です。2019年度の営業利益は、2018年度から275億円減少し、223億円となりました。それぞれの要因についてですが、為替による影響はマイナス30億円、売上減による利益減はマイナス192億円、付加価値の減少分はマイナス84億円、経費の減少については全体的な経費抑制を行ない、プラス31億円となりました。
「Challenge 25」(2019~2021年度)進捗・成果と今後の取り組み
14ページをご覧ください。中期経営計画「Challenge 25」の進捗・成果、今後の取り組みについて、主なポイントを説明します。基本方針1では、トップセールスによるお客さまの経営課題の把握や、事業横断的な営業の浸透・定着を図るなど、販売体制の構築を進めました。
また、2021年度稼働予定の安川テクノロジーセンタの建設を開始するとともに、総合コントローラ「YRMコントローラ(仮称)」の開発に着手しました。今後はサービス子会社の吸収によって、シナジー効果を早期に創出していくほか、安川ソリューションファクトリの生産方式をグローバルに展開していきます。
基本方針2については、人協働ロボットやスカラロボットなど、ロボット新製品の展開によるラインアップ拡充を行ないました。今後は5G普及に向けた半導体需要を確実に捉えるなど、ロボティクスビジネスの収益最大化を目指していきます。
基本方針3では、インバータとPMモータの組み合わせによるソリューション提案力の強化を行なってきました。今後は食品業界をはじめ、中食分野や野菜工場における事業立ち上げを本格化させます。
経営基盤の強化については、安川デジタルトランスフォーメーション、略してYDXを推進し、企業体質の強化を加速していきます。
2020年度 1Q 見通し(連結)
資料16ページをご覧ください。2020年度連結業績見通しです。通期見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大によって、お客さまにおける設備投資の動向が不透明なため、今回は公表を見送ります。
第1四半期見通しについては、足元では中国のサプライチェーンの正常化や、半導体・電子部品市場を中心に、ACサーボの受注回復の動きが見られていますが、その一方で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、今後は世界各地でお客さまの工場稼働が悪化するリスクなどが想定されます。
これらの情報に基づき、第1四半期業績については、売上収益を925億円、営業利益を40億円、当期利益を30億円と計画しています。
2020年度 1Q 見通し(セグメント別)
次の17ページをご覧ください。セグメント別の見通しです。モーションコントロールについては、売上収益が444億円、営業利益が52億円、ロボットについては、売上収益が295億円、営業損益がマイナス8億円、システムエンジニアリングについては、売上収益が133億円、営業損益がマイナス1億円とそれぞれ予想します。
営業利益増減要因分析(2019年度 1Q ➡︎ 2020年度 1Q予想)
次の18ページをご覧ください。2020年度第1四半期予想における営業利益増減分析です。2020年度第1四半期の営業利益は2019年度から32億円減少し、40億円を計画しています。
それぞれの要因は、為替による影響がマイナス9億円、売上減による利益減は、ロボットを中心に売上減少を織り込みマイナス36億円、付加価値減少分は、売上減による操業度悪化を織り込みマイナス14億円、経費の減少は、販売管理費抑制に努めプラス25億円としています。なお、IFRSの適用に伴う影響はプラス2億円です。
2020年度における取り組み
次の19ページをご覧ください。2020年度における取り組みです。今年度はi³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)のビジネスモデル確立と、デジタル経営による経営基盤の更なる強化に取り組んでいきます。
開発力の強化では、安川テクノロジーセンタの設立準備を加速させ、事業横断的な開発機能を集約するほか、基礎研究から量産試作、品質管理まで、一貫した開発体制を構築します。また、「YRMコントローラ(仮称)」の早期製品化によるセル生産における統合的な制御を実現します。
販売力の強化では、子会社「アイキューブ デジタル」を今年の7月に新設し、製造業向け工場自動化のAI・IoT事業を強化します。また、昨年に行なった子会社の吸収によって、サービス・エンジニアリング機能の効果最大化を図り、生産力の強化について安川ソリューションファクトリの生産方式をグローバルに展開し、生産の効率化と急な需要の変動に対応していきます。
デジタル経営による経営基盤の強化では、YDXプロジェクトを推進し、グローバルデータの一元化と業務プロセスの標準化を行ないます。
株主還元(配当金推移)
20ページをご覧ください。最後に株主還元について説明します。2019年度の配当については、期初計画のとおり前年度から据え置き、1株あたり年間52円とします。2020年度の中間及び期末の配当予想については、通期業績見通しの向上見送りに伴い、現時点では未定とします。
以上で、2019年度通期業績概要の説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。