2020年3⽉期第2四半期 決算概要
田中政男氏:本日はお忙しいなか、当社の決算説明会にご出席を賜りまして誠にありがとうございます。さっそくではございますが、2020年3月期第2四半期の決算についてご報告いたします。
まず、前年同期との損益比較でございます。売上高は553億5,000万円となり、12.6パーセントの増加となっています。2017年から、これまでの直販体制に医薬品卸との協業を加えた「東和式販売体制」により、当社の製品を全国の医療機関・保険薬局へお届けできる体制がより整備され、近年の追補品を含めて売上が順調に伸長いたしました。
売上原価は52.8パーセントとなり、前年同期比で2.4ポイント改善しています。近年の追補品の販売増加によるミックスの改善や、「東和式販売体制」による販売数量増加に伴う生産数量の増加などにより、原価率が改善いたしました。
販管費は169億1,300万円となり、5.3パーセント増加しておりますが、主な要因は研究開発費の増加でございます。詳細については、後ほど6ページのスライドでご説明いたします。
以上の結果、営業利益は92億1,800万円で55.6パーセントの増益となりました。また、営業外収益において、前年同期はデリバティブ評価益が16億1,500万円発生していましたが、当第2四半期は1億8,500万円の発生にとどまったことなどにより、経常利益は97億3,800万円となり、16.3パーセントの増益となっています。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については70億6,600万円となり、14.4パーセントの増益となっています。
2020年3⽉期第2四半期 決算概要(計画⽐)
本年5月14日に発表した、第2四半期計画との対比をご説明申し上げます。売上高に関しては、消費税引き上げに伴う影響が想定より少なかったため、計画をわずかに下回った進捗となっています。売上原価については、製品ミックスの改善と子会社の原価低減等により、原価率が2ポイント改善しています。
販管費については、消費が7億8,700万円少なくなっており、結果として営業利益については、原価率の改善と販管費の減少により、計画を7億1,800万円上回っています。経常利益については前期末に比べ円高傾向となり、デリバティブ評価益および為替差益が減少したものの、営業外収益が2億円の計画に対して5億9,700万円発生し、計画を10億3,800万円上回っています。
親会社株主に帰属する四半期純利益についても、計画を10億6,600万円上回っています。
追補年度別売上⾼推移(単体)
売上の詳細についてご説明いたします。追補品別の売上は、2010年以降の追補品すべてについて、販売数量の増加等によって売上を伸ばしています。とくに、「アトモキセチン錠」「アトモキセチン内用液」「ラモトリギン錠」などを発売した2018年追補については、大きく売上を伸ばしています。
販路別売上⾼推移(単体)
販路別の売上についてご説明いたします。2017年度より医薬品卸との協業を開始しており、医薬品卸の比率は、前年同期の20.2パーセントから25.6パーセントとなっています。
納⼊先売上⾼推移(単体)
納入先別の売上についてのご報告でございます。「東和式販売体制」によって販売件数が増え、保険薬局市場は70パーセント以上の比率を占めており、引き続き、当社の売上の中心となっています。取引件数の内訳については、保険薬局が約5万5,200件、病院が約7,100件、院内調剤の診療所は約1万4,000件となっております。
販売費及び⼀般管理費
販売費および一般管理費については、前年同期比で5.3パーセントの増加となっています。とくに、研究開発費が5億6,500万円増加したことが主な要因となっています。
研究開発費推移
こちらは、研究開発費の年度別の推移となっています。当第2四半期では43億円なっており、計画どおりの進捗となっています。
貸借対照表
貸借対照表についてご説明いたします。まずはじめに、現金及び預金は311億400万円と、前年同期比で43億4,200万円増加しています。受取手形及び売掛金が29億4,500万円減少し、249億5,900万円となっています。
電子記録債権が3億7,600万円減少し、63億4,300万円となりました。また、有価証券は、前期末比で13億9,900万円減少しています。なお、有価証券の主なものは、コマーシャルペーパーと譲渡性預金となっています。
商品及び製品は4億7,900万円増加していますが、商製品在庫回転月数が前期末と比べて0.1ヶ月短縮され、3.7ヶ月となっています。その他流動資産は26億4,600万円増加しており、主なものは原材料・仕掛品・貯増品といった棚卸資産でございます。その他固定資産は18億600万円増加しています。以上の結果、総資産は1,923億500万円となり、前期末比で35億200万円増加いたしました。
流動負債では、支払手形及び買掛金が72億2,600万円となり、7億5,900万円増加しています。電子記録債務は112億2,700万円となり、12億3,700万円増加いたしました。その他流動負債は、法人税の支払いで16億円減少しています。固定負債では長期借入金の約定返済が順調に進み、32億7,300万円減少し、401億3,300万円となっています。
負債合計は25億8,900万円減少し、944億4,200万円となっており、純資産は60億9,100万円増加し、978億6,300万円となりました。その結果、自己資本比率は50.9パーセントとなり、前期末比で2.3ポイント増加しています。
私からのご説明は以上でございますが、引き続き社長の吉田より、設備投資の状況、12月の追補品、ならびに新規事業への取り組み状況についてご説明いたします。
設備投資・減価償却費
吉田逸郎氏:それでは引き続き、私から設備投資の状況、12月の追補品、新規事業についてお話いたします。設備投資は、スライドを見ていただいたらおわかりだと思います。今期の計画としては108億円ですが、前期は27億円にとどまっており、引き続き下期でこの分を設備投資していく予定でございます。
2019年12⽉追補収載予定新製品
6月も少なかったのですが、12月もこの2品目となっており、今年の追補は非常に大型品が少なくなっています。今期の売上の見込みも、この2品目で1億円を下回っていますので、今期については新規製品の売上はほとんど見込めないと思います。
来期となる2020年はかなり大型品が揃っていることになりますが、今日のお話は今年の話ですので、新製品についてはそれほど期待が持てないという程度でございます。
当社の基本⽅針
このスライドは、2018年の5月に発表した中期経営計画の図ですので、みなさんはすでにご承知のことと思います。ジェネリックの使用促進が、国の政策で「2020年の9月で数量シェア80パーセントを目標」となっており、それに伴って弊社も含めたこの業界も、業績が非常に順調に推移してきたということでございます。
2020年以降の国のジェネリックに対する政策は見えていませんし、来年の骨太の方針等で、どの程度のことが出てくるのかはよくわかりません。市場としては80パーセントが一番の目標で残りわずかですので、市場は今までほどの順調な伸びはあまり期待できないのかな、と思います。
我々が進めなければいけないこととして、80パーセントの数量シェアに対する安定供給責任は社会的な責任で、会社としても取り組んでいきたいと思っています。ですので、当社ではこれをコア事業と考えていますが、今後の取り組みではそれ以外の新規市場の進出と新規事業の創出を計画しています。
基本方針③ 新規市場への進出・新規事業の創出
そのうち、具体的に進んだものがございますので、本日は新規事業についてのお話を少しさせていただきたいと思います。
具体的なものについては、実はプレスリリースしております。1つは、Tスクエアソリューションズ株式会社でございます。これは当社としてはかなり位置付けの違う会社で、TIS株式会社と作り上げた合弁会社でございます。
目的は大きく2つございます。1つは、東和薬品の基幹業務のシステムづくりで、将来における業務の効率化を考え、もとになるシステムも自社で作り上げていきたいと考えております。
もう1つは、これからの、とくに地域包括ケアに向けての健康管理システムのプラットフォームづくりをしたいと思っています。これは2025年から本格的に進んでいき、地域地域の地域包括ケアのなかで事情が違いますが、個人の健康データの取り扱いが非常にキーになってくるのかなと思っており、業務を進めています。
2つ目は、国立循環器病研究センターとの共同研究です。吹田市にJRの岸辺駅がありますが、その周辺に国立循環器病研究センターだけでなく、「健都」の一部として「いろんな健康にまつわる施設を作ろう」というなかで、「健康にフォーカスをして都市づくりをしたい」と考えました。
当社も、「健康に貢献をする」という会社の理念があります。今まではジェネリック医薬品を服薬してもらって健康になっていただく、というかたちで健康に貢献するという意味の企業でした。それ以外の健康にまつわる取り組みでこれから事業展開をしていきたいので、これを新規事業の基本的な考え方にしています。
そのなかで、国立循環器病研究センターとの共同研究は、医薬品だけに限らず、健康に関するエビデンスづくりをしてもらいたいということです。そのエビデンスに基づいて、薬だけではなく、健康食品や機能性食品といった製品も、これからの新規事業のなかで考えていきたいと考えています。
3つ目が、タイムセラ株式会社と共同開発をすることです。これは、ジェネリック医薬品とはまた違った、ドラッグ・リポジショニングでございます。従来のジェネリック医薬品とまた違った薬効を持っている薬剤が多数あるなかで、山中先生がノーベル賞を取られたときに実際にiPS細胞を作製されたという、京大の井上先生という方が、iPS細胞の専門家の先生でいらっしゃいます。
いろんな疾患のiPS細胞を、ライブラリとしてたくさん持っておられます。この先生が従来の医薬品のなかで、今の薬効以外で非常に薬効を発現する医薬品があるということでスクリーニングをされています。そういうなかで、「アルツハイマーに効果があるのではないか」とスクリーニングした結果、ある程度の感触を得られ、「ブロモクリプチン」という製剤ができました。
これは当社にも製剤としてありますが、「そういう薬効があるのではないか」ということで当社に話を持ちかけられ、「共同研究をしないか」というお話になりました。本当にその薬効が発揮されるのであれば、非常に大きなお話だと考えています。といいますのも、今、アルツハイマーを治療する薬はありませんが、それに対して薬効があるのです。
要は、アミロイドβが脳にある一定量沈着すると発症するらしいのですが、その沈着を止めて減少させる効果があるのではないか、ということをiPS細胞を使ってある程度スクリーニングされたということです。
これは新薬の開発ではなくて実際あるものですので、安全性に関してはもう証明する必要がありません。新薬の場合、有効性や安全性で臨床データが非常にたくさん必要になるものですが、有効性を証明するのでそういったものがいりません。
その有効性も「どういう有効性か」ということを臨床データを集めるわけですが、事前にスクリーニングでiPS細胞に薬剤を投薬し、ある程度の効果があることがわかっていますので、かなりおもしろい話になるのではないかなと思っています。
新薬や未知の新規物質を開発するとなると、10年や15年かけて1,000億円を超えて何千億円と要しますが、この分はそういう期間も投資金額もそれほどかからないということです。こちらは新しい取り組みで、これから詳細の話をしますので、これ以上のことを聞かれてもなかなかお答えしづらいところもありますが、こういうことも始めています。
ぜんぜん違うお話ですがもう1つは、対話型支援機器「comuoon」というスピーカーです。高齢者の方・耳の遠い方はなかなか声や音が聞きづらく、コミュニケーションや会話がしづらいのですが、この機械であれば聞きやすくなります。
要は、認知症になる人の、コミュニケーションができない・人とお話ができない、ということから発症していく比率が約17パーセントでございます。ですが、コミュニケーションができる、声が聞こえる、会話ができるようになれば、それを抑えられる効果があるのではないか、ということです。
実証実験と言いますか、試しに聞いてもらったところ、やはり高齢者の方で、テレビの音量をものすごく大きくされている人に聞いてもらうと、「非常によく聞こえる」ということでした。
そういう聞きづらい方の音域は限られているらしいのですが、その限られた音域に転換をして音を出していくスピーカーの利用価値は、非常に幅広いと思っています。こういうところにも、出資していますが、出資をして、こういうものも当社の健康維持、これは健康維持というか、MCIの状態をそれ以上重くしないように、という位置付けの機械になると思うんですが。
健康を維持するため、病気をそれ以上重くしないことに対する事業展開の一部になると思っています。試作品で売られているものも一部ありますが、4月から本格的に当社の販売ラインに乗せていって販売していこうかと考えています。未知のものですので、売上の予想・計画などはまだ立てていませんが、新規事業の一環としてこういうことも始めたということでございます。今までとまったく違うかたちの事業展開となりますが、そういうことも始めました。
具体的な案件はものすごくたくさんあります。日本のベンチャー企業やスタートアップの企業は、けっこういろんなメーカーが立ち上がってスタートしています。そういうなかで、当社の考えに沿ったスタートアップの企業やベンチャーの企業などとこれから提携をし、1つの健康産業に貢献する事業展開を考えていきたい、と思っています。今、具体的にお話できるところを紹介させていただきました。
もう1つの新規市場に関しては、海外展開もいろいろ検討はしています。具体的に今、お話できる段階のものはないというだけで、各国からけっこう話が来ていていろんな検討をしています。昨今は具体的に、「他社でそういうM&Aをした」「従来のところを投資ファンドが買った」などの話もあります。当社はまだ、それほど具体的なところまではないのですが、いろいろそういう検討はしています。
今日は、新規事業についてのお話ということで、話を終わらせていただきます。本日はありがとうございました。