2018年12月期決算説明会
吉田仁平氏:株式会社ビーグリーの吉田でございます。ただいまより、2018年12月期の決算説明をさせていただきたいと思います。まずは昨年の決算につきまして、当社の取締役管理部長の櫻井よりご説明申し上げます。
決算ハイライト(損益計算書)
櫻井祐一氏:櫻井でございます。昨年度の決算について、数字の部分を私から簡単にご説明させていただきます。昨年の決算につきましては、残念ながら下方修正となり、売上が伸び悩んで、利益に関しても大幅に下振れております。
(スライドの)「補足」に書いていますとおり、大きくはTVCMの部分(での影響)です。2回実施しましたが、一般的には(TVCMには)2億~3億円といわれているぐらい大きな費用が掛かるため、その部分で影響を受けたところが大きいです。しかし、大きな要因としては売上が伸び悩んだことと、売上原価が増えた構造の部分です。
そのあたりを、次のページで説明させていただきます。
売上高・営業利益の推移
こちらが推移になります。売上が伸び悩んでしまったことと、営業利益もかなりへこんでしまっています。グラフにはないのですが、売上が伸びている以上に売上原価がけっこう伸びており、2億円少々の売上(の伸び)に対して、売上原価が5億円近く伸びています。
また、売上総利益がマイナス3億円ぐらいと、かなりへこんでいます。ここが実は大きな要因になっており……海賊版サイトの影響も受けてはいるのですが、(それは)同業他社も一緒のため、「ビーグリーさんは、何で落ち込んでいるんですか?」と(言われます)。
大きな要因としては、課金体系の変更です。具体的に言うと、2017年10月ぐらいに無料課金の会員を解放して、より多くのユーザーを抱えてビジネスモデルの変更を行いました。しかし、ちょうどこのタイミングが海賊版サイト(の問題)と重なって、少し伸び悩みました。
課金体系の変更にともなって、月額会員が無料会員に流れることは、当初から想定していました。ビジネス的にメリットのある月額会員のユーザー層も一定数いる中で、そこが無料に移行するということで、その時期は多少落ち込むことは想定していました。2018年はこういった動きが多少なりとも見られたかなと思いますが、それが売上原価で、ロイヤリティ比率の増加の1つになっていまして、これが他社に比べて伸び悩んだ1つの要因となっています。
2つ目は、売上自体の伸び悩みになります。こちらも課金体系の変更(の影響)です。当社は(代表の)吉田がいつも言っていた「差別化戦略」で、主婦層や30代の女性から、社会性のあるような作品を中心に受け入れられてきたところがあります。
これまでは、そういった層を確実に取り込んで離さないといった戦略で、ある程度は広告をとおして(数値を)伸ばしていくことができたのですが、無料会員になると、それ以外の男性層も含めて、幅広い顧客に訴えていかないといけません。
そういった中で、サイト自体の作りがいままでとあまり変わらず、マニアックと言ったら語弊があるかもしれないですが、一般に受け入れられるサイト作りの対応が遅れてしまい、2018年はその影響が出たかなと思います。この2つが(不調の)大きな要因です。
課金体系の変更によって、一部の(月額会員だった)ユーザーが無料(会員)に流れました。ただし、それによる影響は2018年第4四半期ぐらいでほぼ落ち着いてきたかなと思います。
このあと吉田から説明があると思いますが、課金体系の対応に関してもしっかり対応が進んでいます。ユーザーもだいぶ活性化して、足元がいい流れになってきていると思いますので、今後は期待していきたいですが、2018年に関してはこういった影響が色濃く出てしまった1年になります。
貸借対照表
貸借対照表に関しましては、自己株式の取得がありました。次のページで説明します。
キャッシュフロー計算書
キャッシュフローに関しては、いままではほぼ営業キャッシュフローしかなかったような会社だったのですが、今後の成長のための投資として、主にゲームやオリジナルコンテンツへの投資、またノベルバへの株式投資といったことで積み上げてきました。
ただし、ゲームコンテンツに関しては吉田から説明があると思いますが、かなりリスクを抑えたモデルになっており、1つ1つの投資はそんなに大きくないです。少ない金額の積み上げで伸ばしていくビジネスモデルで、そういったものが1つ1つ積み上がってきました。
2018年の推移に関しては以上です。あとは、具体的なトピックスと2019年の今後に関して、代表の吉田から説明させていただきます。どうもありがとうございました。
サマリー
吉田:それでは続きまして、私から昨年度の施策とトピックスを説明させていただければと思います。9ページ目は昨年の我々の取り組みで、プレスリリースをベースにしたものです。少し細かいので、お手元の資料でご確認いただければと思います。
海賊版サイト対策
次に、まずは海賊版サイト対策についての活動でございます。我々を含めた同業他社の5社で「日本電子書店連合」を(昨年の)春先に設立いたしました。その後、定期的に業界としてのコンセンサスを取りつつ、出版業界とも連携して、海賊版対策の活動方針を議論している会合でございます。
(スライド)下の「ABJマーク」は、いわゆる正規版の電子書店ならびにそうしたサービスとしてオーソライズされたことを示すマークで、昨年の秋ぐらいから運用に入っているものでございます。これは出版業界を含めて運用が開始されておりまして、我々の「まんが王国」もこういったサービスに認定されています。
(利用しようとしているものが)海賊版サイトなのか、正式に認定されているサービスなのかを利用者に明示的にわかってもらえるように、今後はこういったマーク、ならびに活動の啓蒙・訴求を担ってまいりたいと思っております。
新サービスの発表
続きまして、新サービスについてです。我々は「まんが王国」という電子コミックの配信サービスを中心に、ここまでずっと展開してきておりますが、昨年12月に「コミックevery」というスマートフォンのアプリで利用できるコミック配信サービスを立ち上げております。
一方で、(スライド)右側にあるとおり、11月にノベルバという会社の買収を発表しました。サービスも同名なのですが、小説投稿サービスでございます。今後、もう少し細かくご説明申し上げますが、「まんが王国」の成長ももちろん、市場の伸びを踏まえて、それ以外の電子書籍サービスも展開を開始した年でありました。
2018年12月期の事業戦略
昨年の戦略の4つの基本方針になります。こちらに沿って、1つずつ振り返っていければと思います。
プロモーションの多様化①
まずは、プロモーションの多様化でございます。先ほども説明がありましたが、昨年は大々的にTVCMを実施させていただきました。一定の認知度向上は確認できておりますが、当初の計画に比べると、いわゆる売上・利益面といった経済的なリターンには(思ったよりも結びつかず)、想定を下回る結果に終わっております。
一方でインターネット広告は、我々がこれまでもずっと主力で展開してきた広告ですが、それに関してもやや低調な1年となっております。「まんが王国」のユーザー基盤を底上げするようなヒットタイトル、ならびに新しい媒体の開拓がなかなか思うように進まなかった1年でありました。
いくつか、新しいネット広告にトライしたものもあるのですが、そういった中でも、業績にグンッと反映してくるような取り組みは見出せない結果となっております。
(スライドの)一番下のタイアップ企画は、お金を出して広告面を買うのではなく、他社サービスとユーザーを相互に送客するようなかたちで「まんが王国」のユーザーを増やしていこうという取り組みです。これは昨年から始まりまして、一定の成果が出始めております。
プロモーションの多様化②
もう少し細かく説明します。当社の昨年度実績の中では、例えば「ZOZOTOWN」に関するものがあります。ファッションECサイトですが、「ZOZOTOWN」で一定金額以上の買い物をしていただいたお客さまに、「まんが王国」で使える図書券を配布してユーザーを喚起するというもので、こうした取り組みは一定の成果につながっております。ほかにもいくつか同様の取り組みを進めながら、現在も開拓している状況です。
コンテンツの拡充①
続きまして、コンテンツの拡充についてでございます。こちらは先行タイトルならびに未許諾のライセンサーの獲得を進めてまいりましたが、当社として力を入れていくということで推進しているオリジナルコンテンツの拡大については、現在42タイトルほど配信するに至っております。
「まんが王国」の売上のシェアとしましては、約2パーセントを占めるぐらいに成長してきておりまして、今後もこの取り組みに関しては拡大してまいりたいと思っております。一方で、先ほどから何度か触れております「novelba」という小説投稿サイトの人気原作をベースにしたオリジナル漫画の創作活動やコンテストも進めております。
コンテンツの拡充②
(こちらのスライドは)そういった作品群のご紹介になりますので、お手元の資料でご確認いただければと思います。
サービス改善①
続きまして、サービスの改善についてです。当社は技術部隊を内部で保有しておりますので、日々の改善や新しい機能の追加に関しても、鋭意リリースしております。一方で、AIを活用して、ユーザーを接客するためのさまざまなツールならびにリコメンドエンジンの強化を図り、取り組みをしてまいりました。
ただし、先ほど櫻井も触れておりますが、そうした新しい機能や接客の手法において、多様化するユーザー層に対して十分にやりきれなかったという課題を残す結果になったかなと捉えております。
サービス改善②
「まんが王国」のユーザーならびにダウンロード数です。累計のダウンロード数につきましては、順調に拡大基調のまま推移しております。「まんが王国」の登録会員数は200万人を突破しておりまして、サイトの利用者自体も堅調に増加傾向にあります。先ほどの櫻井からのお話とあわせますと、利用者は増えているのですが、今後はマネタイズの部分と収益性の部分を作っていかなければならないところが課題になると思います。
新規・周辺ビジネス収益化への布石①
次に、新規・周辺ビジネス収益化への布石についてです。昨年度は、今期以降につながるゲームならびにその他IP開発の取り組みを着々と進めておりました。昨年度実績としましては、まだ数字面では現れていませんが、いくつかゲームビジネスを仕込ませていただいています。また、漫画のみならず、過去のヒットアニメの再プロデュースでコンテンツやIPを活性化させるようなイベントにも取り組み、手応えを感じ始めています。
新規・周辺ビジネス収益化への布石②
現在公表しておりますゲーム案件です。1つは「スカイガレオン」シリーズの最新作。もう1つは、オルトプラスさんと共同で進めております、人気声優を迎えたゲームの取り組みで、引き続き推進しております。
中期経営方針
続きまして、中期経営計画について、あらためて要点を説明させていただきたいと思います。当社は、中期経営計画の中で、コミック配信会社から「コンテンツプロデュースカンパニーを目指す」ということを掲げております。
これは、もちろん我々の主力ビジネスであります「まんが王国」、電子書籍系のビジネスの継続成長もさることながら、コミック以外のエンターテインメントコンテンツの出口を幅広く確立しながら、ヒット作品を生み出せる会社になっていこうというところです。
4つのテーマを掲げておりますけれども、まずは1つ目として、電子書籍市場において、いまよりも強固なプレゼンスを確立していかなければなりません。そして2つ目が、漫画以外のエンターテインメントコンテンツの領域で、一定の事業化を進めていくということです。
この2つを確立していく世界の中で、ヒットコンテンツを作れるノウハウや環境を構築していこうというところが3つ目で、4つ目が、海外も含めて新たな事業領域へ参入していこうということです。
基本戦略
この4つのテーマを実現していくための戦略が、「まんが王国」の継続成長ならびに共同開発などの提携です。ゲームならびに新たなオリジナルIPの創出においては、自前のみならずパートナリングも含めて、作品数と言いますか、より多数の打席に立ちたいというところです。
ヒット作品を生み出すにはプロデュース機能の強化、事業領域の拡大に関しては、M&Aやアライアンスを行っていくという方向性で進めていきたいと思います。
数値目標
中期経営計画の目線としましては、3年後に売上150億円超、営業利益率10パーセント超を目指し、コミック以外の売上に関しては20パーセントを超えるぐらいの比率での成長を作っていきたいと思っております。
電子書籍だけで考えると、同業の競合各社がそれなりの規模を作ってきておりますので、一朝一夕で我々がそこに並んでいくのはなかなか簡単ではないと思っております。しかし、決して諦めているわけではありません。
今回、中期経営計画を発表させていただいた1つの趣旨でもありますが、あらためて土台を固めて、オリジナルコンテンツなども仕込みつつ出口を確保して、規模の面でも競合各社に並んでいけるように成長していきたいと考えております。
[戦略A]『まんが王国』の継続成長と新規サービス展開①
先ほどご説明した戦略に沿って、少し補足でお話をさせていただきますが、まず、電子書籍事業の拡大についてです。「まんが王国」では、もちろん個別にいくつか戦略がございます。このあとに説明させていただきますが、いま「まんが王国」のサービスにおいて、アプリのユーザーに関しては、新たな流入(を促す施策)やマネタイズはほとんど行っておりません。
しかし、スマートフォンでアプリを好んで利用されるユーザーも増えてきておりますので、そういった市場を取り込んでいくべく、アプリのサービスとして「コミックevery」をリリースしております。
一方で、ライトノベル、小説の投稿サービスと説明しましたが、「novelba」はいわゆるライトノベルを得意としております。こちらはコミックの市場に比べると、規模は決して大きくはないのですが、いわゆるアーリーアダプターと言いますか、ニッチな層ではあるものの、非常に嗜好性の高いユーザーさんが好んでコンテンツを楽しまれています。
トレンドの先取りと言いますか、規模だけではなく、中身について興味深い動向を示している領域でもございます。我々としては、そうしたライトノベルの市場に関してもビジネスを展開していきたいというところで、ノベルバという会社を買収して、今後拡大させていきたいと思っております。
[戦略A]『まんが王国』の継続成長と新規サービス展開②
続きまして「まんが王国」についてです。冒頭に櫻井が少し触れましたように、一言で言えば、無料登録、月額登録など、いろんな課金体系のさまざまなユーザーが「まんが王国」に存在してきているわけです。
こういった多様なニーズに対して、コンテンツならびにサービスを適切に切り分け、最適化して提供していくというところで、まだまだ我々としては取り組むべき余地がございますので、そういったものをきっちり強化していこうと考えています。
こちらの資料の一番上のところに少し書いてありますが、ユーザー獲得のところが計画に対して不十分であったという振り返りになります。しかし、現実的には登録者数自体は、100万人をゆうに超えて200万人に達してきています。
計算すると、1年間で100万人以上の登録者を獲得できているという実態がございます。それなりの規模だとは思うのですが、我々のいままでのノウハウとやり方をより最適化させることで、もっと新しいユーザーを獲得していく余地があるのではないかというところでございます。
ですので、サービスの受け皿ならびにコンテンツの充実を図ることで、新しいユーザーの獲得の部分で投資効率自体を高めていきます。売上だけで見ると、2018年のところで少し成長が鈍化しているかたちにはなっておりますが、あらためてこの中期経営計画の中で成長実績を作っていきたいと思っております。
[戦略B]共同開発等の提携
共同開発等の提携のところですが、このあとの今期の戦略のところでも少し触れますので、ここでは簡単にご紹介します。
一言で言えば、ゲームの市場ならびにヒット作品を作るというところは、決して簡単ではないと我々も重々認識しております。しかし、その(実現の)ためには、ある程度の数を手がけるということで……とくに我々は、ゲームに関しては、担当者レベルでは経験豊かな人間はおりますけれども、会社としては、ゲームのビジネスは新規の取り組みになります。一定のリスクを抑えながら、パートナーとともに投資をしていき、できるだけ打席数を確保していこうという考え方でまとめております。
[戦略C]プロデュース機能の強化①
続きまして、3番目の戦略がプロデュース機能の強化です。どうやってヒット作を生み出していくのか、もしくは仕組みの構築をどう考えているのかというのが、こちらのスライドになります。
もともと既存ビジネスの中で、漫画家さんやその他のクリエイターさん、出版社さんとのコネクションも含めて、中間業者を介さない直接のネットワークがございます。オリジナル作品の制作なども含めて、あらためてこちらのネットワークをどんどん拡大しているところであります。
一方で、(スライドの)中段左側の企画編集機能の強化と書かせていただいております。当社でも、一部の編集人員やゲームのシナリオライターなど、いわゆる作品作りに携わる人員を強化していこうということです。
そういったかたちで、ヒット作品に欠かせないクリエイターとのネットワークを強化して、ノウハウを高めていくというのが、(スライド)左上の部分の内容でございます。
一方で、反対側に「ファン」という部分があります。こちらは、そういった作品をよりたくさんのユーザー、そして、それを好きになるファンの方を獲得していかなければならないと思っております。我々としては、そのためにオリジナルコミックで100タイトルくらいの物量の裾野を連載体制として持ち、ヒット作品を見出していく必要があるだろうと考えております。
一方で、コミックに限らず、ゲームであったりライトノベルといったほかの商材も含めて、ユーザー層、ファン層の拡大を図っていくのが我々の考え方でございます。
また(スライドの)下側で、クリエイターとファンをつなぐ部分は、我々の企業理念でもうたっているところです。ビーグリーという会社が、いかに他社よりもうまくつないでいくかというところに関しては、ビッグデータの構築やOne to Oneマーケティング、また現在流行している部分かもしれませんが、AIなども活用しながら、そういったデータの蓄積やユーザー特性の把握、コンテンツ属性の理解を深めて、ヒット作品(の輩出)を目指してまいりたいと考えております。
[戦略C]プロデュース機能の強化②
ここまでのオリジナルコンテンツの取り組みのところですが、先ほどご説明したとおり、現在42タイトル、売上に対して2パーセント程度です。漫画のオリジナル作品も、仕込み始めてからすぐに「まんが王国」でリリースされるわけではないので、まだまだ仕込み中ですが、昨年仕込んだもの(もありますし)、これから仕込みを拡大させていく予定でおります。
最終的には、100タイトルの連載体制に向かって……ただし、連載していく中で、もちろん途中で終わってしまうものなども出てきますので、タイトル数は100と言わずに、このグラフのように2021年に180タイトルぐらいを手掛けるという目標値で、「まんが王国」の中での売上比率も高めながら、当社のオリジナリティを発揮していきたいと思っております。
[戦略D]M&Aやアライアンス等の実施
続いて、M&Aやアライアンスなどの実施についてでございます。こちらは、当社の事業領域を取り巻くイメージを図式化したものでございます。ビーグリーが携わるサービス領域として、コミックのところはもちろんですけれども、今回はゲームのところも始めつつ、小説・ライトノベルもグループの中に取り込んでおりますので、こういったかたちで出口をより増やしていきます。
一方で、コンテンツに関しては、他社さんが作られた作品は許諾を受けるかたちで、自社で作る作品も同時並行で進めながら、コンテンツを拡充していきます。
そして、我々が届けていくユーザーは国内・海外に広がるわけですが、こういった事業領域のなかで、当社が補完すべき領域に関しては、M&Aという手法も1つの選択肢に入れながら、なんらかの協業体制を作って、この3年間で体制を強化していきたいと考えております。
2019年12月期の事業戦略
最後のパートになりますが、今期の業績予想と戦略でございます。今期は、この(スライドに記載の)4つのテーマで事業を推進してまいりたいと思っております。
電子書籍ビジネスの領域拡大
先ほどの中期経営計画にありましたが、今年は初年度ということで、「コミックevery」ならびに「novelba」といった新規サービスをきっちりと立ち上げていきます。一方で、「まんが王国」に関しても確実な成長を示していくというところになります。
まんが王国の接客強化
「まんが王国」に関しては、先ほどユーザーの多様化に対応していくというお話もありましたが、まさに2018年度は、肝となる課金方式なども多様化させ、さまざまなツールや機能改修を行ってまいりました。
ただし、新しいものを導入しただけでは、まだまだサービスとしての成熟度は足りなかったのだなという実績を踏まえ、我々としても課題を認識する部分がございましたので、今期に関してはそこを十分に最適化していきます。
地味ではあるのですが、そういったデータ基盤などの整備は、昨年に着々と進めている部分があります。その部分の最適化を現在どんどん推進しておりますので、2019年度の実績の中で示していければというところです。
それが、ゆくゆくはどういったかたちで最終形になっていくか……コンテンツや課金体系、もしくはおすすめのタイトルなどが一人ひとりに最適なものとなり、より成熟していくところを目指して、今期は一定の最適化を進めていければと思っております。
品揃え及び編集機能の強化
品揃えならびに編集機能の強化についてです。コンテンツの拡充に関しては、なかなか終わりがないところで、我々も常に注力する部分ですが、まずはオリジナルコンテンツを倍増するぐらいの目線で、80タイトル程度までに伸ばしていきたいと思っております。
いままでも、無料タイトルや独占先行タイトルというものをそれなりの数で提供してきているのですが、そういった「まんが王国」に対する優先許諾の部分をより充実させながら、新規の配信コンテンツなども増やしていこうと考えています。
また、たくさんのコミックをお持ちの大手出版社さんである秋田書店さんの作品の新規配信のタイミングに合わせて、ちょうど先週ぐらいからキャンペーンを行っている状況でございます。
編集機能につきましても、中期経営計画の1年目の位置付けとして、きっちり拡充していこうというところです。
共同開発によるゲームビジネスの収益化①
続きまして、共同開発によるゲームビジネスの収益化です。昨年に仕込んでいるゲーム案件がいくつかございますが、2019年度は、そういったものを少しずつ数字にしていくところです。
考え方としましては、ゲームプロデュースモデルとIPプロデュースモデルという2つに大別できるかなと思っております。ゲームプロデュースモデルに関しては、例えば海外タイトルの獲得や、過去に一定の知名度のある作品の最新版といったかたちで、ビジネスとして目利きをした上で企画開発のプロジェクトへの投資などを検討し、勝算のある案件に投資をしていくという考え方です。
イメージですけれども、(スライドの)右のグラフにあるとおり、あくまでもコストはミニマイズした上で、ある程度のリターンも……非常にはねることは確率としてはそんなに高くないのかもしれませんけれども、一定の確度で一定の規模を見出せるようなゲームへの関与の仕方を考えていくのが、ゲームプロデュースモデルです。
一方のIPプロデュースモデルは、我々が中期経営計画で理想としてイメージしているものの前段階ぐらいのかたちで、共同の取り組みの中でゲームのコミック化やコミックのゲーム化など……そういった発想は比較的持っていただきやすいかもしれませんけれども、もちろんそんなに簡単ではないので、ゲームの作品性のところに対して、我々は企画やシナリオ作り、ならびにクリエイターのキャスティングあたりで関与でいればと思います。
先ほどご説明したゲームプロデュースモデルと比べれば、もう少しリスクをとる場合も想定しておりまして、その時にはある程度のリターンも期待していくべきところかなと思っております。
もちろん、ゲーム市場は非常に競争も激しいと思いますし、ゲームの専業会社さんなどの中では、非常に多額の投資をして競わなければならない部分も出てくると思います。ゲームビジネスに関与し始める我々の序盤の戦略としては、この2つのモデルの考え方で、きっちりと収益を意識しながら進めていきたいと思っております。
共同開発によるゲームビジネスの収益化②
ゲームにおける新しい取り組みについてです。PCオンラインゲームでかなり有名なタイトル「ROHAN」ですが、サービス自体は10年以上PCで展開されているものです。このモバイル版の展開に関しては、我々としてもプロデュースの部分で関与させていただくことになっております。こちらは新しいタイトルとして、報告させていただきます。
2019年12月期通期業績予想
以上、今期の戦略をご説明申し上げました。今期の数字目標、通期の予想といたしましては、売上が100億円強、営業利益が約8億円といったところを実現してまいりたいと思っております。
昨年は「漫画村」やTVCM、原価などが要因となり、一定の目標値をかなり満たない結果となっております。しかし我々としては、ユーザーが多様化し、その中で、現状においても一定の拡大基調を達成できる手応えは十分にあります。多様化を踏まえた上での戦略も、今期実行していくところで、売上、ユーザー数の拡大を実現していけると考えております。
あらためて、この中期経営計画の1年目としての2019年で、きっちり増収増益基調を確保した上で、将来に対する投資も行いながら、今後の成長を実現してまいりたいと思っております。
本日のご説明は以上になります。ご清聴ありがとうございました。