2019年3月期 第2四半期 決算の概要(連結)
松田耕治氏:経営財務統括部の松田でございます。本日はご多忙のところ、当社、2019年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は私が、2019年3月期第2四半期決算を説明いたしまして、引き続き、社長の井上より、本年度が初年度となります中期経営計画、「Collaboration Hub 2020」の概要を報告させていただきます。その中のAIやブロックチェーンの取り組みにつきましては、担当がご説明いたします。
それでは、2019年3月期第2四半期決算の概要について、ご説明申し上げます。まず、前期との比較でございますが、売上高は47億300万円と、2.3パーセントの増収となりました。売上総利益は9億8,900万円と、2.5パーセントの減益となりました。
販売管理費は7億4,800万円で、前期から300万円削減しましたが、営業利益は2億4,100万円で、前期比で8.4パーセントの減益でした。
経常利益は2億6,000万円と、前期比で7.7パーセントの減益となりました。当期純利益では、特別利益が発生したことで2億1,900万円となり、前期比で21.2パーセントの大幅増益となっています。
続いて、2018年5月11日に発表しました予想との対比になります。売上高は、当初予想の50億1,800万円に対しまして、6.3パーセントのマイナスでした。売上総利益につきましても、当初予想から10.8パーセントのマイナスとなり、当期純利益につきましては、当初予想に対して、12.2パーセントのマイナスでの着地となっています。
営業利益の増減要因分析(対前年同期比)
当期連結累計期間の営業利益の増減要因を、前期比でご説明申し上げます。クロスキャット単体といたしましては、まず売上高増加に伴う増益で、①のところが3,900万円でございます。そして、プロジェクト収支の低下によりまして、②のところがマイナス2,900万円。販管費の増加による要因で、③のところがマイナス1,300万円です。
さらに、子会社である株式会社クロスユーアイエスの影響により、④のところがマイナス1,900万円の減益要因です。全体としましては、営業利益は2億4,100万円で、前年同期比では2,200万円の減益となっています。
業種別売上高
続きまして、業種別売上高についてご説明申し上げます。クレジットは、一部大型案件がカットオーバーを迎えた影響によって減少し、10億3,000万円となっています。その隣の金融につきましては、保険向けが増加しましたが、銀行向けの開発が完了したことによる影響が大きく、減少しまして、9億2,500万円となりました。
官公庁公共企業につきましては、官公庁と公共企業の大型案件がそれぞれ増加したことにより、12億6,900万円と大きく増加しています。製造は、メーカ系大型案件の終了によりまして、4億8,000万円と減少しています。
業種別売上高 構成比
続きまして、業種別売上高の構成比になります。クレジットおよび金融が減少し、構成比が若干下がっていますが、売上高の41.6パーセントを占める状況でございます。官公庁公共企業につきましては、前期比で増収の27パーセントと、シェアをアップしています。また製造は、一部大型案件の終了による影響が出ましたが、比率は10.2パーセントと、当社グループの中では4番手となっています。
クレジット、金融、官公庁公共企業、製造の上位4つの業種で、売上高の78.8パーセント、8割弱を占める状態でございます。
事業別売上高
続きまして、事業別売上高になります。システム開発では、クレジット、銀行、製造が減少しましたが、保険、官公庁公共企業が増加したことで4.1パーセント増加し、41億5,700万円となりました。
BIビジネスでは、案件減少により3億5,000万円と、2.7パーセント減少しました。スタッフサービスは、首都圏での派遣事業と盛岡での地図入力が主体でございますが、首都圏では、スキルマッチする人材確保が進まず、8,700万円と、14.7パーセント減少しています。
契約先別売上高
次に、契約先別売上高をご説明いたします。直接受注のユーザ系は、銀行クレジット向けの減少によりまして、20億2,800万円となりました。メーカ系では、IBM系のクレジット、富士通グループ系の公共企業が増加したことで、15億8,200万円となりました。Sler系は、NTTデータ系の保険が増加し、10億9,100万円となっています。
なお、売上構成の前年比較では、エンドユーザ系は43.1パーセントと、比率が7.6パーセント減少しました。メーカ系は33.7パーセントと、3.9パーセントの増加です。
2019年3月期 業績予想(連結)
続きまして、2019年3月期の通期の業績予想についてご説明申し上げます。当社は今年度から、中期経営計画「Collaboration Hub 2020」をスタートさせています。
コラボレーション戦略を推進することで、売上高は前期比6.6パーセント増加の103億5,000万円、売上総利益は、増収およびプロジェクト管理の徹底により、前期比5.4パーセント増加の22億1,500万円を予定しています。販売管理費は、人材確保に向けた費用の増加・採用費・人件費等により、前期比6.3パーセント増加を予定しています。
その結果、営業利益は前期比3.6パーセント増加の7億3,000万円、経常利益は前期比2.7パーセント増加の7億6,000万円、当期純利益は前期比7.7パーセント増加の5億1,000万円を予定しています。
事業別売上高(通期予想)
次に、売上高の予想を事業別にご説明申し上げます。システム開発の売上は、クレジット・銀行向けは前期を下回る見込みですが、官公庁・自治体向けの大型案件および金融の保険向けで増加しますので、増収を予定しています。
BIビジネスにつきましては、商談は活発になっていますので、前期からの増加に向けて推進いたします。その他では、当社および子会社のオリジナルソリューションの拡販に向けて、営業推進してまいります。
売上高、経常利益率の推移
こちらは、売上高および経常利益率の通期予想と、過去からの推移になります。今期の商談も活発なことから、売上高は103億5,000万円を予定しています。経常利益率につきましては、販管費の増加により、前期よりは若干下がり、0.3ポイント下回る予定でございます。経常利益額は7億6,000万円と、前期比では増益の予定です。
続きまして、社長の井上より、中期経営計画の概要についてご説明申し上げます。
中期経営計画
井上貴功氏:社長の井上でございます。本日はご参加いただきまして、誠にありがとうございます。当社でございますが、6月11日に、JASDAQから東証二部に上場を果たすことができました。今後は、さらに上を目指してがんばっていきたいと思っていますので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
本題ですが、私からは、2018年よりスタートさせている中期経営計画「Collaboration Hub 2020」の概要につきまして、ご報告いたします。この中に出てまいります、AIおよびブロックチェーンに関しまして、具体的な取り組みなどにつきましては、私の後に担当の者からご報告させていただきたいと思います。
まず、中期経営計画「Collaboration Hub 2020」は、サブタイトルを「付加価値協創企業を目指して」としています。付加価値協創ということで、さまざまなステークホルダーのみなさまとコラボレーションしたい……その中心に、私どもがHubとして存在したいという思いを込めまして、このようなキャッチコピーにしています。
今回の中計におきましては、まず事業環境変化へのすばやい対応。そして、柔軟な発想から生まれる新たな付加価値の創造。さらに、我々がHubとなって、さまざまなステークホルダーのみなさまとともに、それらを推進する。これを目的としまして、先ほども申し上げましたが、「Collaboration Hub 2020」というキャッチにしています。
コラボレーション戦略
こちらのスライドは、ただ今申し上げました、私どもの中計におけるコラボレーション戦略のイメージ図となります。現在、私どもがいるITサービス市場におきましては、本当に急激なスピードで、デジタル変革と呼ばれる大きな変化が始まっています。
そのスピードに遅れることなく、私どもも自ら変化を続けるためには、こちら(のスライド)に記載のありますお客さま、アライアンス先、異業種やベンチャーなど、さまざまなステークホルダーのみなさまとの協創が必要不可欠であると考えています。
そのため、今回の中計におきましては、コラボレーション戦略としてさまざまなステークホルダーさまとの連携強化を推進しています。具体的には、お客さまや異業種の企業さまと連携した新サービスの提供や、アライアンス先との技術・販売連携です。
また、私どもの協力会社であるビジネスパートナーさまとは、技術者の確保や事業連携、大学・研究所・地域社会とは、人材確保も含め、産学連携の実現や地域社会発展に貢献してまいります。
直近でプレスリリースも出していますが、具体的なコラボレーションの例といたしまして、社労士のみなさまと一緒に、私どもが持っている勤怠管理のソリューションにおけるコラボレーションということで、アライアンスを組んでおります。
またAIに関しましては、旅行関連会社さまとともにPOCを行い、AIでいろいろな予測をするなど、具体的なコラボレーションの例が徐々に出てきていますので、早くこちらをビジネスにつなげていきたいと思っています。
主なコラボレーション
こちらのスライドは、主なステークホルダーさまとのコラボレーションということで、それぞれプロフィットセンターとコストセンターとに大別しています。
直接的な利益を生み出すお客さまに向けましては、アライアンス先・異業種企業・大学・研究所等との人材・技術交流によるスキル連携やアイデア抽出を行い、協力会社さまとの関係構築強化によって、柔軟かつ機動的な推進体制を整備します。
社内の各組織間におきましては、先端IT技術教育や技術シフトに加え、部門横断のジョブローテーション等を実施することで、最適なサービス提供を行ってまいります。
また、お客さまからのさまざまなフィードバックを次なるコラボレーションにつなげまして、新たな価値創造サイクルの実現を目指してまいります。私どもでは、こうしたコラボレーションの中で、新技術を活用したサービスの共同開発・提供により、新たな事業の芽の創出、そして、AIやブロックチェーンについての取り組みを進めています。
本日は、その状況につきまして、(それらを)担当しているイノベーション推進部長の小森より、具体的な内容を説明させていただきたく思います。
働き方改革とは
小森幸治氏:イノベーション推進部の小森です。それでは私から、弊社の「働き方改革」に関するAI・ブロックチェーン(の取り組み)について、説明させていただきます。
まず、世間では「働き方改革」とは言われていますが、定義が曖昧なところがございます。閣議決定された「働き方改革実行計画」の冒頭には、このような記述がございます。
「日本経済再生に向けて、最大のチャレンジは働き方改革。働く人の視点に立って、労働制度の抜本改革を行い、企業文化や風土も含めて変えようとするもの。働く方一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち得るようにする」
すなわち「働き方改革」は、労働制度の改革であり、企業文化や風土の改革と言えます。クロスキャットは、この「働き方改革」を中心に、さまざまな取り組みを行っております。それらについて、みなさまに紹介したいと思います。
働き方改革を中心としたクロスキャットの取り組み
弊社は「働き方改革」の中でも、長時間労働の是正、生産性向上に関する顧客向けサービスを提供してまいりました。長時間労働の是正につながる部分としましては、勤怠状況の把握、残業予測が可能な勤怠サービス「CC-BizMate」などです。
生産性向上に対しては、会議・会議室効率化や、コミュニケーション活性化をサポートする「CC-Smart」シリーズがございます。また同じく、コミュニケーション活性化に対する新たな取り組みとして、ブロックチェーンをベースとした「いいネコイン」というサービスもあります。
そのほか、AIを通じた属人化解消や、退職者・休職者予測といった取り組みも始めております。この中にはすでに、サービスとして提供しているものや、今まさに取り組んでいるものなど、さまざまです。
2018年度 AIに関する取り組み (実績)
ここからは、AI・ブロックチェーンが関連している部分について、2018年度上期に取り組んだことと、下期に取り組むものについて説明いたします。
まずは、2018年度の、AIに関する取り組みでございます。長時間労働が原因で職場を離れてしまう人が一定数いることは、さまざまな業界で問題となっています。弊社が属しているIT業界も同様でございます。弊社は「CC-BizMate」というクラウド勤怠サービスに勤怠データを保持しておりますので、これらのデータをAIで分析することで、この問題に取り組めないかと考え、2018年度上期に調査・研究を実施いたしました。
例えば、勤務時間や残業時間などの勤怠データ、人事データを、マイクロソフト社の「Azure Machine Learning」というAIサービスで分析することで、「この社員が休職しそうか、退職しそうか」を約8割の確率で正しく予測することに成功しました。
ただし、ここで予測するのはあくまでメンタルヘルスなどによる休職・退職者に限定したものになります。例えば、新しいことに取り組みたいから転職する方の休職・退職は、勤怠データから予測することは困難なため、対象から外しております。
2018年度 AIに関する取り組み (予定)
今後は、この休職・退職者予測の取り組みを、実際の社内導入および対外サービス化するべく検討を進めてまいります。
対外サービス化する際は、自社勤怠システムだけではなく、ほかの勤怠サービスのデータも取り込めるかたちとして、より多くの企業さまが休職・退職者用サービスを利用できるかたちにいたします。
また業務効率化の観点から、AIによる属人化の解消にも取り組む予定です。こちらはまだ提案段階のため、あまり詳細なことはお伝えできませんが、ベテラン社員が行っていた、顧客からの要求をもとに計画を策定するといった部分を、AIで自動化できないかという取り組みになります。
2018年度 ブロックチェーンに関する取り組み(実績)
続きまして、ブロックチェーンに関する取り組みになります。ブロックチェーンにつきましては、コミュニケーションの活性化を通して、業務効率化、生産性向上といった課題に取り組もうと考えております。それが「いいネコイン」というサービスになります。
簡単に流れを説明させていただきます。まず、プレーヤーとしては左から会社・社員・社内ブログです。社員には、2種類ございまして、上の社員がブログに投稿をした人で、下の社員はブログの投稿に対して「いいね」を押した人になります。
まず、社員に対して会社から一律で「クロネコイン」が発行されます。この「クロネコイン」は、持っていても何にも使えない、無価値なコインです。次に、社員が社内ブログに対して投稿します。そして、その投稿を見た別の社員が投稿に対して「いいね」というアクションを起こしますと、社内ブログに「クロネコイン」が贈られます。
贈られた「クロネコイン」が「シロネコイン」に変換され、投稿した人や「いいね」をした人に「シロネコイン」が配布されます。この「シロネコイン」は価値のあるコインで、弊社では貯まった「シロネコイン」をQUOカードに交換できるというルールにいたしました。
このように、「シロネコイン」を貯めるには情報を発信するか、それに対してリアクションを起こすことになるため、社内ブログが活性化し、結果としてコミュニケーションが活性化すると考えております。
こちらは、上期に開発を行い、10月1日にリリースしたばかりになります。また、このサービスのコインや各種情報の管理には「イーサリアム」というブロックチェーンプラットフォームが使われております。
2018年度下期は「いいネコイン」サービスを利用しながら、さまざまな知見を溜めつつ、対外サービス化を検討いたします。今回は、さまざまな制約があり自社ブログとの連携でサービスを提供いたしましたが、他社さまに同じようなブログがあるわけではありませんので、実サービス化する際は、他社の何らかのサービスと連携したかたちで提供いたします。
以上をもちまして、弊社の「働き方改革」に関する2018年度の取り組みについてのご説明を終わりとさせていただきます。