目次
土方次郎氏:株式会社朝日ネットの土方でございます。ご説明させていただきます。
本日の目次でございます。2018年度上期業績、インターネット接続事業の状況、教育支援サービス「manaba」の状況というところで、大きく3項目についてご説明させていただきたいと思っております。
2018年度上期 決算ハイライト
次のページにいっていただきまして、2018年度上期決算ハイライトでございます。
業績面につきましては、上期として過去最高の売上高を更新いたしました。営業利益は前年同期比84.5パーセント増、金額で申しますと5億6,900万円となりました。
2点目に、インターネット接続事業ですが、「ASAHIネット」会員数は610,000IDで、前年同期末比で申しますと23,000IDの増加となりました。
「他事業者へのIPv6接続サービスのローミング提供開始」と書かせていただいておりますが、こちらは2017年の4月に開始したVNE(Virtual Network Enabler)事業に関しまして、これまでは自社運営のISPである「ASAHIネット」の会員さま向けへのサービス提供に限られていたものを、いよいよ他事業者への提供を開始したというところです。のちほど、また詳しくご説明させていただきます。
3点目に、教育支援サービス「manaba」ですが、全学導入校は88校へ増加して、契約ID数は648,000IDとなりました。
それではこの3点について、それぞれ具体的に見てまいります。まず、2018年度上期の業績について、ご説明をさせていただきます。
損益の状況
2018年度上期の損益の状況でございます。
ご覧いただいているとおりですが、売上高は47億8,900万円で、前年同期比で2億2,100万円の増加となりました。割合で申しますと、4.8パーセントの増加でございます。こちらは先ほども申しましたが、上期として過去最高の売上高となりました。
利益でございますが、ご覧の表のとおりになります。(営業利益・経常利益は)前年同期比でそれぞれ2億6,100万円の増加をいたしまして、割合で申しますと80パーセント程度の増加となっております。
売上高の推移
売上高の推移をグラフで示しますと、このようになっております。
先ほど申し上げた数字ですが、上期売上高は47億8,900万円です。年度計画の100億円の達成に向けて、順調に推移しているものと認識しております。
売上高 前期比差異
上期の売上高の前期(2017年上期)との比較のなかで、差異の主な要因についてお示しいたしました。
「AsahiNet 光」や「ドコモ光」ということで、光コラボレーションモデルを活用したサービス、それからLTEやWiMAXといったモバイルサービスなどが、主に売上高の増加に寄与しております。
営業利益の推移
営業利益の推移でございます。
営業利益は、年度計画の12億円に向けて、上期で5億6,900万円という数字になっておりますので、こちらも順調に推移しているものととらえております。
前期(2017年度上期)と比較した場合の主な差異の内訳ですが、「AsahiNet 光」や「マンション全戸加入プラン」の利益が増加してきたこと、それからネットワーク関連費用が対前年で減少していること。この2つが、主に利益を押し上げている要因と考えております。
株主還元
続きまして、2018年度の配当でございます。
中間配当金については、予定どおり1株当たり9円といたしました。当初の計画どおり、2018年度の通期の配当金といたしましては、中間配当金で9円、期末配当金で9円というところで、年間18円を予定しております。
こちらは今後も、安定的な高配当を継続していく方針でございます。
ISP「ASAHIネット」会員数の状況
続きまして、インターネット接続事業の状況について、ご説明させていただきます。
最初に、ISPとしての「ASAHIネット」の会員数でございますが、2018年9月末で前年同期比23,000ID増の610,000IDとなっております。
主な要因といたしまして、「マンション全戸加入プラン」や法人会員のIDが増えていること、それから、退会数が減少していること。これらの2つが、主にID数の増加に寄与しております。
ISP「ASAHIネット」会員数の推移
「ASAHIネット」の会員数の推移を半期ごとのグラフでお示ししたものが、このページになります。
2017年度は多少のでこぼこがあるものの、全体としては順調に推移しているものととらえております。
ISP「ASAHIネット」退会率の推移
続きまして、退会率の推移でございます。
2018年度上期の退会率は、0.84パーセントとなりました。こちらは引き続き、低い水準を維持できているものととらえております。
通信ネットワークの構築と収益構造
本日はここから、スライドを4枚ほど使って、ここ数年取り組んでまいりました収益構造の改善、それから新たな事業領域の創出について、少し詳しくご説明させていただきたいと思っております。
こちらの下のグラフ(売上高と通信コストの推移)、それから上の(当社が取り組むべき)2つの課題というところです。これは、2016年度の決算説明会で、当社がみなさまへVNE事業への参入をご説明させていただいた時にお示ししたものと、同じものでございます。
課題として、増加し続けるインターネットトラフィックに対して、コストの伸びを抑えて利益が出せる構造を維持すること。それから、もちろんISPとしての本懐なのですが、お客さまにご満足いただける品質のサービスを提供し続けること。この2つの課題の解決策として、VNE事業への参入を選択いたしました。
技術的な用語が多くなっているので恐縮ですが、ここでいう「VNE事業」と申しますのは、NTT東西さまのNGN(Next Generation Network)網をネイティブ方式、あるいはIPoE(IP over Ethernet)と呼ばれるかたちで、新たな通信方式のネットワークを構築して運営することを指しております。
このVNE事業のメリット・特徴を、品質面・コスト面の2つで申し上げます。まず、品質面といたしましては、NTT東西さまのNGN網を新たな通信方式(とする)ということで、従来PPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)方式という接続方式があるのですが、その代わりに選択されたものですので、端的にいうと「品質がよい」というのが1つ目(のメリット)です。
こちらは、すでにご利用いただいておりますお客さまからのお問い合わせや、退会率の推移あたりを見ているなかで、品質向上の効果については、当社も実感しているところでございます。
一方で、コスト面です。こちらは、従来のPPPoE方式に比べて、ネットワークの構築の規模や設備の規模が大きいものでございます。そのため、いったん固定費的にコストが増加するという側面はございますが、トラフィックが増えてくるとコスト効率がよくなるという性質を持っております。
それ以外で、従来のネットワークも引き続き運営はしているのですが、両方を合わせた場合のコストの増加は、そのままこれまでの古いネットワークを維持することに比べて、効率的な運営ができているものと考えています。コスト面・技術面を含めて(効率的であり)、主にコスト面を見ますと、これまでの取り組みの中で、2018年度での増益基調への回復には、十分に期待どおりの貢献ができているのかなと(考えております)。
この図の灰色の線(通信費・償却費)です。黄色の線がトラフィックなのですが、トラフィックの伸びにつれてコストが右肩上がりで、どんどん続いていく。それに対して、増加の伸びを抑える(ということです)。よく見ると(灰色の線は)水平ではなくて、多少は右肩上がりになっているのですが(笑)。
トラフィックにつれて伸びるのではなく、ある程度トラフィックに余裕を持って収容できるインフラを作ることで、コスト効率を上げる。このあたりについては、すでに実現の目処が立ってきているととらえています。
次の局面として、当社が課題として今期取り組んでいるところが、この青い線(売上高)です。次は本当にしっかりしたインフラを作れたとすると、売上高の線を持続的にしっかり伸ばしていけるのか。ここが、勝負になってくると思っています。
ISP事業者/VNE事業者 事業構造
続きまして、VNE事業への参入による新たな事業領域の展開。これについて、ご説明させていただければと思います。この図はVNE事業について、従来のプレイヤーとの関係性を示させていただきました。
左の黄色い部分なのですが、「従来の(事業領域)」と先ほどから申し上げている方式は、NTT東西さまのNGN網とISPが直接接続しています。(それに対して、右の)青色の部分が新しい「ネイティブ方式」と言われる方式です。設備の規模が大きいこともございまして、NTT東西さまのNGN網とISPとの間に、中間事業者や設備事業者と申しますか、VNE事業者が必ず介在するかたちになっています。
これは、移動体通信で、MVNO・格安SIMなどを運営されているMVNO事業者さまに対して、MNOという、実際に設備を持っている会社さまの設備をMVNOに対して提供する「MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)」という業態があるのですが、こちらと同様に、モバイルではなくて固定通信網ですので、(モバイルの)「M」が取れまして、「VNE」という事業者と「VNO」という事業者となっています。
移動体通信で言えば、いわゆるMNOです。V(MVNO)ではないですね。実際の事業者さまが、NTT東西さまになるという建てつけになっています。
大規模なネットワークを自ら構築できるところが、VNE事業者へ参入する場合の前提条件になります。VNE事業者数は、既存のISP事業者に比べて限られた数になりますので、ビジネスの機会としては大きいものがあるととらえています。
2017年度は、従来の事業領域の範疇なのですが、まずはISPとしての「ASAHIネット」会員さまに、ネイティブ方式のIPv6サービスを提供する。これを進めてまいります。
この図で言うと、ちょっと微妙なところなのですが、「VNE事業者 朝日ネット」なのですが、黄色いところにはみ出しています。これは、ISPとしての朝日ネットが、VNEとしての朝日ネットのサービスを使って、これまでのISPのお客さまに対してネイティブ方式のサービスを提供する。こちらが、2017年度に進めてまいりました内容でございます。
こちらは、「ASAHIネット」の会員さまに対しては標準サービスとして、2017年4月から無料で提供しています。その効果もありまして、この公式な対象は、基本的にNGN網の光のユーザーになるのですが、対象となるユーザーの方の7割に、すでにネイティブ方式のサービスをお使いいただける状態になっています。
今のところ、世間的なNGN網でのIPv6の利用比率は5割程度ですので、それと比較しても十分に高い割合で、ご利用いただいているという認識でございます。
その2017年度の次の今年度から、右の青い(新たな)事業領域についての展開を進めています。大きく2つございまして、まず1つが、ちょっと細くなっていますが、ISPの「ASAHIネット」の会員さまです。今の「ASAHIネット」の会員さまに対してネイティブ方式の技術を適用して、商品力を強化するかたちで新たな事業領域を作っていくところです。
それからもう1つが、右に②と吹き出しを付けさせていただいていますが、電気通信事業者をはじめ、ISPさんも通信事業者さまでありますが、こちらへ通信帯域を提供することによって、収益を拡大していく。現在は、この2つのアプローチをとっています。
①「おまかせVPN」ネイティブ方式対応
それぞれについて、もう少し詳しくご説明をさせていただきます。
まず1つ目の、「ASAHIネット」会員さまにネイティブ方式を適用する。それは、先ほど申し上げた2017年度の、黄色いところなのではないかという疑問もおありかと思いますが、1つ例を挙げさせていただきます。
これまで「ASAHIネット」会員さまに提供しているサービスに対して、ネイティブ方式の技術を適用することによる、商品力の強化。その例としては、「おまかせVPN」というサービスがございます。
「おまかせVPN」は、2014年度にすでに開始していまして、主に多拠点でビジネスを展開されているお客さまに、セキュアな通信環境を「VPN(Virtual Private Network)」という技術を使って提供するサービスです。こちらの特徴としては、拠点にあるルータの設定・監視・保守・運用です。このあたりを当社で実施することで、高度なセキュアで使いやすいサービスをお客さまに簡単に投入していただけることが、特徴となっています。
この「おまかせVPN」サービスに対して、ネイティブ方式で対応する開発を今進めていまして、今年度(2018年)下期には、サービスの提供を開始できる予定でございます。
「これが、先ほどの『ASAHIネット』会員さまの7割にIPv6をお使いいただくのと、どこが違うのか?」というところです。この図では多少わかりにくいかもしれないのですが、実はお客さまの社内環境は、従来の「おまかせVPN」のサービスをすでにお使いのお客さまも、これからお使いになるお客さまに対しても、IPv6にあえて対応する必要はございません。
むしろ、お客さまの宅内環境は、すでに今VPNであるアプリケーションであり、あるいは、ある業務をお使いになっているお客さまであれば、「ここは変えたくない」というお客さまが多くいらっしゃいます。そこで当社は、お客さまの宅内環境ではなくて、VPNで使うセンターと拠点間の通信網を、ネイティブ方式に入れ替えました。
これは、当社でセンターとルータ間の仕組みを切り替えることで、お客さまの宅内環境には影響を与えずに実施ができます。その効果としては、新しいネットワークで安定した通信をご利用いただいていること。お客さまの環境を何も変えないことが、メリットです。この中でも、通信品質を上げられると(いうことです)。
NGNのネットワークを使ったVPNのサービスは、既にいくつもございますが、ネイティブ方式の安定した通信技術を競争力として、「おまかせVPN」は契約数拡大を見込めるものと考えています。
この例と同じように、当社の「ASAHIネット」のISPサービスにおいて、やはり通信品質が安定して伝えられること。大容量(通信で求められること)というのは、そもそも安定した高品質というところを、そのような根源的な価値を活かして、「ASAHIネット」のISPサービスにおいて、契約数の拡大を目指していくこと。これが、先ほどの①でお示しした取り組みでございます。
②他事業者へローミング提供
2つ目は、ISPを含む電気通信事業者ですが、他事業者への通信回線のローミング提供についてでございます。
ビジネスのフローといたしましては、先ほど触れたとおり、当社は他事業者に向けて、ネイティブ方式の通信帯域をご提供いたします。その先には、それぞれの業者さまのエンドユーザがいらっしゃるかたちになっています。
(VNO事業者のところには)「電気通信事業者」と「ISP事業者」ということで、2つのくくりを付けています。電気通信事業者さまの先行事例として、ここにロゴを載せさせていただいていますが、レジデンスWiFiサービスを主力事業の1つとして精力的に展開されております、株式会社ファイバーゲートさまとの業務提携。こちらは、2018年の8月にニュースリリースをさせていただいています。
(ファイバーゲートさまの)「レジデンスWiFiサービス」は、いわゆるマンションインターネット事業です。非常に競争が激しいサービスの中で、当社と提携をしていただくことで、この座組でサービスをしていただくことの、提携先の電気通信事業者さまにとってのメリットとしては、それぞれの自らのお客さまのご要望、あるいはご利用形態に合わせて、品質・コストのコントロールを、電気通信事業者さま自らができるところだと考えています。
ISPが誂えた、そのままのサービスを取り次ぐわけではなく、いったん電気通信事業者さまのところで、コストあるいは品質について設計・調整をしたかたちで、エンドユーザさまにお出しになると(いうことです)。これは、必ずメリットとして感じていただけるものと考えています。
一方で、下のISP事業者へのサービス提供です。こちらは競争上の配慮もございまして、個別に開示することはここでは控えさせていただきますが、こちらも複数のお客さまとお話をさせていただいています。電気通信事業者さまと共通する部分もあるのですが、ISP事業者さまにとっては、少し見え方としては違うかなと思っています。
こちらは、この座組をISP事業者さまからご覧いただくと、当社が仕入れた大容量の回線を、当社と共同調達するというイメージをお持ちいただいて、お互いにボリュームによるメリットを享受できる。これを、この座組の特徴だととらえていただいています。
いずれにしても当社にとっては、NTT東西さまからネイティブ方式で、まとめて通信帯域を契約しています。これをさらに、提携事業者さまとある程度のボリュームや長い期間で、まとめて契約させていただく。これによって、安定的な収益に貢献するというメリットがあるととらえています。こちらも、いろいろな事業者さまとこのようなスキームを作り上げていくことで、新たな売上・利益の創出を見込んでいきたいと思っています。
「manaba」契約数の推移
続きまして、教育支援サービス「manaba」について、ご説明させていただきます。
「manaba」の全学導入校数でございますが、前年同期比で10校増の88校となりました。2018年度の上期には、浜松医科大学さま・長浜バイオ大学さまに、全学でのご導入をいただいています。「manaba」の契約ID数は、前年同期末比で3万1,000IDの増加となりました。
「manaba」は、すでにシェアが一定の水準に到達していることもありまして、伸びは多少穏やかになってきていますが、安定して推移しているととらえています。
「manaba」活用促進に向けた取り組み
「manaba」の取り組みについて、引き続き新規導入校あるいは契約ID数を増加させるべく、営業活動に取り組んでいますが、これに加えて、既にご導入いただいたお客さまに対して、より長く、そしてより良くお使いいただけるような活用促進の取り組みをご紹介させていただきます。
この一環として(2018年)4月から、Web上でセミナーの開催を始めています。いわゆる「Webinar(ウェビナー)」と呼ばれるものです。
今までですと、当社のメンバー一人ひとりが、一校一校の大学さまに出張して講習会を開かせていただいていたのですが、やはり物理的に日時・回数が限られてしまいますので、参加できない教職員の方も多くいらっしゃいました。それに対して「Webinar(ウェビナー)」は、インターネット環境があれば、どこからでもアクセスをしていただけますので、より多くの教職員さまに参加していただくことが可能です。
当社としても、一校一校に足を運ばずとも、よりきめ細やかなコミュニケーションが取れますので、その分(実施)回数を増やすこともできますし、テーマを増やすこともできまして、コミュニケーションの効率を高めることができていると思います。
セミナーについては、上期の間だけで参加していただいたのが100校弱です。そして、700名以上のお客さまにご参加いただいています。もちろん、複数回ご参加いただいた方もいらっしゃるのですが(笑)。
延べ人数として、これだけのお客さまとのコミュニケーションが取れたというところは、今後の「manaba」の事業の安定的な利益創出に向けて、効果的なものなのではないかととらえています。
2018年度の上期決算について、私からご説明させていただきました。どうもありがとうございました。