業績の概要

伊藤歳恭氏(以下、伊藤):みなさま、おはようございます。百五銀行のインフォメーション・ミーティングにこんなにたくさんお集まりいただきまして、ほんとうにありがとうございます。私ども百五銀行は、おかげさまで今年(2018年)の11月に創立140周年を迎えます。今日はせっかくの機会でございますので、当行創立時のエピソードを少しだけご紹介したいと思います。

1867年の大政奉還を受けまして、武士の時代にピリオドが打たれました。明治政府は経済基盤の強化と国家の近代化を図るため、アメリカに倣って国立銀行条例を制定しました。第一国立銀行から第百五十三国立銀行まで、次々と銀行が作られました。このような時代背景の中、当行は105番目でございますので、少し遅めの設立というわけでございますが、当時の津藩は藩札の始末に追われていたこともあって、銀行設立という機運にはなかなか至らなかったようでございます。

そこで三重県で今でいうところの三重県知事が、津藩の城代家老でありました藤堂高泰に銀行設立の必要性を説き、その結果、旧藩士が中心となって、第百五国立銀行が誕生いたしました。初代頭取にはその藤堂高泰が就任をしております。以降、明治、大正、昭和、平成と、4つの時代を地域のみなさまと共に歩んでまいりました。140年という歴史の重さを改めて感じております。

歴史はこのくらいにいたしまして、2017年度の決算概要について説明をいたします。

資料の4ページをご覧いただきたいと思います。

まず左の表の枠で囲んである、銀行単体の各項目をご覧いただきたいと思います。

銀行の本業の収益力を表すコア業務純益は前期比22億2,100万円の増加となりました。これは貸出金利息収入や有価証券利息配当金の増加などで、資金利益が前期比15億4,400万円増加したことや、住宅ローン取扱手数料の増加などにより、役務取引等利益が前期比4億5,400万円増加したことが主な要因であります。

なお、上から5行目の国債等債権損益は、評価損のある債権を売却して、ポートフォリオの健全化を進めた結果、前期比32億6,700万円減少いたしました。

次に経常利益では不良債権処理額の減少幅が大きかったことや、貸倒引当金、戻入益を1,600万円計上したことにより、前期比37億5,900万円増加しました。以上から当期純利益は前期比24億9,300万円増益の109億5,600万円となりました。

なお、与信関係費用につきましては、一番下の表に記載のとおりですが、マイナス13億6,000万円となり、前期比42億5,500万円の大幅な減少となりました。

スライド右側に注目していただきたいのですが、各利益項目における中計目標との対比を示しております。各項目において目標を上回るか、ほぼ達成という状況です。マイナス金利下でも順調に推移していることがお分かりいただけると思います。

資金利益

次に資料5ページをご覧ください。

左上の表の一番上の行、資金利益は前期比15億4,400万円の増加となりました。

右の資金利益の増減要因の図をご覧ください。貸出金利息は貸出金の増加によりまして、8億4,500万円増加しましたが、貸出金利回りが0.02ポイント低下したため、利回り要因で5億5,600万円減少し、囲みのとおり、差し引き2億8,900万円の増加となりました。

また、有価証券利息配当金は9億7,200万円減少しましたが、株式配当金の増加などにより有価証券利回りが0.13ポイント上昇したため、利回り要因で22億1,100万円増加し、差し引き12億3,800万円の増加となりました。その結果、資金利益全体としては約15億円増加をしております。

その下のグラフのとおり、総資金利ざやは積極的な貸出金の増強や、経費の削減に努めたことにより、前期比0.06ポイント上昇し、0.14パーセントとなりました。次に役務取引等利益について説明します。

役務取引等利益

資料6ページをご覧ください。

左上の表の4行目と5行目のとおり、保険の窓口販売手数料は減少しましたが、投資信託手数料が増加し、預り資産関連手数料全体では前期比7,600万円の増加となりました。

またその3行下ですが、住宅ローンの獲得が好調に推移し、住宅ローン取扱手数料が前期比3億5,500万円増加したことなどから、役務取引等利益全体で前期比4億5,400万円の増加となりました。

なお、100パーセント子会社の百五証券と合わせた預り資産関連手数料も堅調に推移しておりまして、前期比5億2,900万円の増加となっています。

経費

次に資料7ページをご覧ください。

左上の表のとおり、経費につきましては働き方改革の定着による過勤手当の減少や、預金保険料の減少により、前期比5億4,000万円減少しました。

OHRにつきましては右の折れ線グラフのとおり、前期比で3.52ポイント改善し、76.72パーセントとなりました。これは昨年(2017年)4月から取り組みました、「生産性向上プロジェクト2017」による経費削減効果が現れてきたことによるものであります。

与信関係費用(不良債権比率)

続いて与信関係費用です、資料8ページをご覧ください。

与信関係費用につきましては、左上の表3行目に記載した個別貸倒引当金繰入額が41億1,700万円減少したことなどから、前期比42億5,500万円の減少となりました。

一方、その下の表と、さらにその下の折れ線グラフに記載のとおり、経営改善や事業再生支援の取り組みを継続した結果、不良債権額は前期比84億4,900万円減少し、不良債権比率は1.67パーセントまで低下しております。

預金(譲渡性預金を含む)

9ページの預金(はご覧のとおり順調に推移しております)。

貸出金

それから10ページに記載の貸出金もご覧のとおり順調に推移しております。貸出金につきましては、昨年(2017年)10月に残高ベースで3兆円の大台を突破いたしました。

有価証券投資

続いて有価証券投資について説明いたしますので、11ページをご覧ください。

左上の一覧表のとおり、マイナス金利政策の中、国債と社債は利回りの低下に伴い、再投資を抑制したため、残高は減少してきております。また、外国証券についても前期末比で2,356億円減らしました。なお、外国証券の865億円の内訳につきましては右上の棒グラフの赤の囲みのとおり、円貨建外債342億円、外貨建外債507億円となっております。

右下の有価証券評価損益の棒グラフをご覧ください。2018年3月末の有価証券の含み益は日本株の上昇による株式の増加要因が大きく、前期比99億円増加の1,450億円となりました。なお、赤い囲みの中で外貨建外債の評価損益がマイナス0億円と記載しておりますけれども、実数は9,600万円であります。

自己資本比率

続いて自己資本比率について説明しますので12ページをご覧ください。

昨年(2017年)の9月30日に金融庁の承認を得まして、信用リスクアセット額の算出手法を、標準的手法から「基礎的内部格付手法」、いわゆるFIRBに変更したことなどから、自己資本比率は前年度末比0.75ポイント上昇して、10.27パーセントとなりました。なお、当行は国内基準適用行ですけれども、国際統一基準で試算すると14パーセント弱となります。

2019年3月期 決算予想(公表計数)

決算の最後に13ページの決算予想をご覧ください。

当期純利益につきましては、有価証券利息配当金が減少することや、与信関係費用が大幅な減少となった2017年度と異なり、通常レベルになると見込んでいることなどから、単体で、前年度比21億円減益の88億円、連結ベースでは94億円を見込んでおります。

なお、配当につきましては創立140周年を迎えますので、記念配当として、中間配当に1株当たり50銭を加え、4円50銭とさせていただきます。従いまして年間では、8円50銭を予定しております。通期の配当性向は24.50パーセントになります。