当社を取り巻く環境
鳥谷部毅氏:代表取締役社長の鳥谷部でございます。本日はお忙しい中、弊社の平成30年3月期決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。
それでは、時間の関係もございますので、さっそくご説明させていただきます。
まず始めに、当社を取り巻く環境についてご説明いたします。
当会計期間の日本経済は、企業収益および雇用、所得環境の改善が進むなど、景気は緩やかな回復が続いたように思います。
そのような中で、会計期間当初、当社の属する業界に影響をもたらすものとして、3点に注目しておりました。
まずは公共需要についてです。政府予算による押し上げ効果を背景に、堅調に推移していくであろうとの予測をしておりました。
次に民間需要についてですが、公共投資が下支えとなり企業収益が改善し、設備投資意欲が高まると予測をしておりました。
最後に太陽光関連の需要についてですが、売電価格の引き下げや予定工期が過ぎた案件については、FIT事業認定が白紙になるなど、厳しい状況となっていくであろうと予測しておりました。
結果として、当会計期間に見込んでおりました予測は、公共需要、民間需要につきましてはほぼ想定どおり比較的順調に推移したものの、太陽光発電については予想以上の厳しい状況となりました。
当期の市況
こちらの資料(当日配布の決算説明資料に記載のグラフ)は、新設住宅着工戸数の推移でございます。
この推移が、当社の属する業界の市況に直接影響を及ぼすわけではございませんが、市況を見る上では参考となる指標の1つとなっております。
ご覧のように、当期は前々期と比較した場合では堅調に推移しています。しかし、前期と比較した場合、低金利や相続税の節税を意識した持家等の着工に足踏みが見られ、7月以降は9ヶ月連続で前期を割り込むなど、厳しい状況で推移しております。
当社におきましては、持家等の着工減に加え、首都圏においては人手不足による生産能力低下の影響から、現場着工に不透明感が見え、収益環境は厳しい状況で推移いたしました。
当社の取り組み
のちほどご説明しますが、このような状況を踏まえた上で、当期もシェアアップのための戦略に取り組んでまいりました。
このような市況の中、激化する競争を勝ち抜くため、粗利率の厳しい需要の取り込みも積極的に推進し、次の2点を中心に戦略を組み立て、業績向上に努めてまいりました。
まずは物件受注です。これは継続し行っている、当社戦略の大きな柱です。
受注獲得に対しては価格競争力が必要となりますが、当社は仕入体制の強化を図り、適正利潤ぎりぎりでの勝負を行ってまいりました。
次に会社組織の活性化です。
当社の強みの1つである広域での現場対応を強化するため、研修制度、営業所の新設、既存営業所の建替えなどを行い、社員の生産性向上を図ってまいりました。
物件受注
戦略の詳細です。
まずは物件受注についてです。
当社が物件受注のターゲットとしている地元中堅以上先は、受注競争が激しいケースが多いため、競争への参入に対して、おもに得意先の新たな構築、提案営業活動、そして現場の対応で取り組んでまいりました。
得意先の新たな構築につきましては、得意先候補先や既存取引先の訪問を徹底することで、得意先にメリットを提供できるよう関係を築き、新規開拓や既存先の掘り起こしにつなげてまいりました。
次に、提案営業活動についてです。多様化するお客さまのニーズを正しく把握し、それに対する解決策を提案できるよう、メーカー研修や当社独自の研修を行い、幅広い商品知識や専門知識を身に付けております。これにより提案や粘り強い価格交渉を行うことができ、受注確率を上げることができております。
最後に現場の対応についてです。当社の同業は広域展開をしている企業が少ないため、当社のネットワークが差別化(要因)となり、さまざまなサービスを提供できております。この戦略は今後も継続して行ってまいります。
会社組織の活性化
続いて会社組織の活性化についてです。
人材育成、営業所の新設、既存営業所の建替えを行うことによって、業績向上を図ることが目的でございます。
まずは人材育成についてです。幹部候補生研修や、入社1年目・2年目・3年目とそれぞれのレベルの社員を対象とした一般研修や、仕入先にご協力いただいての商品研修を、年間計画に基づいて行ってまいりました。
一定のゴールを見定めての研修や、同年代の社員間による切磋琢磨で、知識の取得のみならず、自発的な行動が生まれ、現場対応力が向上しております。
次に、営業所の新設についてでございます。開設にあたっては、営業エリアにおける空白地域の掌握と徹底したマーケットリサーチを行っております。
当社は広域営業ネットワークを活用した全国展開での販売を実施しており、空白地域に出店することにより全国規模での連携が生まれ、情報の質と量の向上や新たな需要の掘り起こしなどに繋がり、会社組織が活性化しております。
昨年、平成29年12月には、兵庫県神戸市に神戸営業所を開設いたしました。
最後に、既存営業所の建替えについてです。当社は出店した地域の住民となり、しっかりと根付き、地域社会や地域経済に貢献していくことをモットーとしております。ほぼすべての社屋を自社所有で出店しておりますが、長い年月の経過で社屋の老朽化や使い勝手に問題が出てきているところがございます。
そのような場合、社屋の建替えを行いますが、使う社員の使い勝手がよいように建築を行い、業務の効率化や社員のモチベーションの向上に繋げております。
建替えを行った営業所としましては、愛知県の名古屋営業所が(2018年)4月25日に完成、また賃貸で手狭だった栃木県の宇都宮営業所を近隣に自社所有で新たに建設し、5月15日に完成の予定となっております。
決算状況-損益計算書(連結)
ご説明させていただきました戦略により、売上高は前期比96.7パーセント、営業利益は前期比79.9パーセント、経常利益は前期比80パーセント、当期純利益は前期比74.4パーセントとなりました。
当期については、物件は前述の取り組みの効果もあり額を増やすことができましたが、太陽光の大きな落ち込みをカバーすることができず、厳しい状況で推移いたしました。
品種分類別の売上構成(連結)
続きまして、品種分類ごとの売上高についてです。
当期の市況は前述の通りとなりますが、当社品種分類別の売上構成は、毎期大きな変動はございません。但し、家電品類については太陽光関連が含まれておりますため、構成に変化がありました。
前期に対する主な分類の説明をします。
まずは電線類についてです。電線類は銅価格の影響を直に受けることや、脚が速いということもございまして、競争の激しい商材でございます。当期においては銅ベースが上がり続けた影響もあり、売上高は増加したものの競争の激化により、タイムリーな価格転化が難しく粗利率は低下いたしました。
家電品類は太陽光関連の需要縮小とともに、売上高が減少いたしました。今後も、当社戦略の柱である物件受注を継続し、需要獲得に努めてまいります。
売上高四半期推移(連結)
続きまして、売上高の四半期ごとの前期比較です。
当社の属する業界は、本来であれば下期、とくに2月、3月期は繁忙期となります。
しかし、当期は第4四半期に太陽光関連の減少が顕著となり売上高が低下したため、ご覧のような結果(平成29年3月期第4四半期の売上高89億4,200万円に対し、平成30年3月期第4四半期は76億7,400万円)となりました。
主な経営指標の推移(連結)
主な経営指標はご覧の通りでございます。
期末配当は、将来的な戦略に向けて内部留保の状況や資本政策等を総合的に勘案いたしまして、1株当たり10円となる予定でございます。その結果、年間配当は中間配当と合わせて20円となる予定でございます。
決算状況−貸借対照表サマリー(連結)
続いて、連結貸借対照表のサマリーです。
固定資産の増加は、神戸営業所の建物の取得と宇都宮営業所移転用地の取得によるものでございます。
固定負債の増加につきましては、業務システム入れ替えに伴う増加となっております。詳細は短信をご参考ください。
決算状況-キャッシュフロー(連結)
続いて、キャッシュ・フローについてです。
財務活動によるキャッシュ・フローとしては、前期は借入金の返済を行いました。現金及び現金同等物の期末残高の増額は、当期の最終日・期末の日が休日だったことも影響しておりますが、堅調に推移しております。詳細は短信をご参考ください。
当社を取り巻く今後の環境
続いて、当社を取り巻く今後の環境についてです。
まずは、公共需要ですが、政府の経済政策による押上効果は今後も順調に推移していくと見込んでおります。
次に、民間事業につきましては、法人減税や公共投資が下支えとなり、設備投資意欲が高まるであろうことを期待しております。
当社の今後の取り組み
依然として不透明な市場環境を予測する中で、競争に勝つために、お取引させていただいているお得意先様への対応強化はもちろんのこと、新規開拓や、かつてお取引のあったお客様の掘り起こしにより、裾野を広げながら、得意先の再構築を図ってまいります。
その上で、従来より取り組んでおります物件受注の強化を図ってまいります。
以上の戦略により、予算を達成してまいる所存です。
説明事項は以上となります。
ご清聴どうもありがとうございました。