損益計算書
上田輝久氏:まず最初に、損益になります。
基本的に売上高が1,721億円。これは前年同期比で173億円の増で、率にしますと11.2パーセントの増。営業利益は157億円、5億円の増加で3.3パーセントの増。
ここにありますように、売上高から純利益まで、経常利益を含めて、すべての項目で過去最高を更新したというかたちになっています。新中計に沿いまして、初年度ということもありまして、いろんなかたちでの投資を進めております。
ここにありますように、売上高の増に比べて利益の増が物足りないと感じられる方は、私だけではなくて、多くの方がそうだと思います。決算で数字を出しますとこういうかたちになりますが、3つ目に「積極的な戦略的投資を実施」と書いております。
上期には、フランスのAlsachim社という試薬会社を買収したり、あるいはMCIという、軽度認知障害の血液検査をやるようなベンチャーに出資したりということをやっていますが、そういう事業の拡大に関わる投資が15億円ありました。
それと、今とくに海外で実績が増えているのが、業績好調の大きな要因にございます。中国で大きく増えており、さらにヨーロッパ・アメリカでも最近かなり伸びてきているということから、営業あるいはサービスの増強ということをやった分が5億円。
概略では、20億円ぐらいの投資性の費用がありまして、全体的に販管率という観点では、前年同期に比べて販管費が減少しています。ただ、金額で見ますと売上が増加した分、投資も増えてきているというかたちになっています。
ですから、投資性の要素が20億円ぐらいあると見ていただければ、前年からの営業利益率にしても若干の改善になります。
そういうことがある中で、基本的には決算というルールにしたがって、損益計算書を作りますと、こういうかたちになるということです。
売上高につきましては、為替の影響を除きますと、173億円の増が128億円の増ということになります。(営業)利益は6億円の為替影響がありますので、売上高の45億円の為替影響に対しまして、利益は前年から若干マイナスになりますが、先ほど申し上げたような20億円の投資性要素があると見ていただければと思います。
平均レートを、下に少しまとめてあります。期中の平均為替レートは、前年(2016年)が105円。今年(2017年)は111円ということで、為替影響は基本的にはプラスに出ていると見ていただければけっこうです。
利益増減要因
次のスライドになります。これは、利益の増減要因をまとめたものです。いちばん左側の152億円が、前年の中間期の営業利益ということです。それから、その棒グラフを右に沿って見ていきますと、円安の影響ということで6億円のプラス影響。それから、実質増収ということの影響で、利益がプラス52億円。
一方で、採算率が若干悪化しているという部分もありまして、これは18億円のマイナス。これはLCとかMassとかいうものは、基本的には主力機種は伸びているのです。それ以外の、例えば環境だとか、あるいはあまり目立たないのですが、比較的島津の分析の中で重要な位置にある、スペクトロ関係。こういうもので若干採算率が悪化したこともあって、18億円のマイナスです。
あと分析の中では、「その他」という区分があるのですが、これは基本的には、戦略的な部分になります。
例えば、お客さまが移設をする。あるいは、マルチベンダーサービスというのに力を入れまして、将来的な製品の売上増加につなげようという取り組みをやっています。
こういうものは、どうしても原価率が良くないということもありまして、そういう部分での採算率の悪化がありますが、これは将来に向けた投資と言いますか、将来の製品のシェアアップに向けた取り組みの一環として、続けております。
毎期お客さまが移設するわけではないのですが、あるいは特需の中立で、そういうものが出てくる。上期にはそういうものが入って、採算率が悪化したというかたちになっております。
もう1つ、先ほど申し上げましたような、いろんな投資性のものの20億円を含めまして、トータルで費用増の影響が35億円となっています。
これは、生産体制の数字を見ていただければお分かりいただけると思うんですが、販管費率という観点では、前年の30パーセントを若干超えた数字から、今期は30パーセントを若干下回る20パーセント台の数字になっていたという状況です。
最終的に、当期の中間期の営業利益は157億円で、(前年の152億円から)5億円の増になっております。
事業セグメント別損益
次に、事業セグメント別の損益でございます。
基本的には、全セグメントで増収になりました。当社は、計測・医用・航空・産業機器というものがありますが、この4つのセグメントで基本的には増収。航空を除く、計測・医用・産業の事業セグメントでは、増益になりました。
とくに産業の部分です。計測がいちばん、金額ベースでは大きく伸びているものの、率にしますと、産業も非常に大きく伸びています。
計測は、売上高で前年から103億円の増。率にしますと11パーセントの増加になっています。産業は39億円の増で、23.8パーセントの増です。金額にしますと、計測がいちばん大きく伸びており、率にしますと、産業がいちばん伸びています。
当社は今、新しい中期経営計画を(2017年)4月からスタートさせておりますが、基本的には主力であります計測を、これからも伸ばしていくという基本方針のもと、医用を2番目の柱にするということで、取り組んでいるところです。
産業の部分も、営業利益率が10パーセントに近いところまできていますので、ここを伸ばしたいということで進めてきております。
一方、航空は事業再編を考えております。産業の分野は、ここは今半導体分野が非常に活況であるということと、今FPDの製造装置も好調であるということがあります。
非常に、この製造装置で使われます真空ポンプ。これは「ターボ分子ポンプ」と呼ばれるものですが、これが非常に多く伸びているということで、先ほどの費用増のところには、製造増加・台数増加にともなう製造の増強という部分でも、費用がかかっているという状態になっています。
基本的には、事業セグメント別で見ていただきますと、こういうかたちです。
計測機器/サブセグメント売上高及び製品・アフターマーケット売上高
事業セグメント別で、それぞれご説明いたします。
計測です。計測は主力であります、LC・MS・GCというクロマトグラフと、質量の設計。ここのところが基本的には大きく伸びまして、「サブセグメント」と書いてある上側の表です。
そういうかたちで伸びている一方で、これ以外にも7つの業種がございます。環境とかも含めますけども、そういうところでも伸ばすことができたということが、全体の増収につながっているという状況です。
この計測のセグメントを、製品とアフターマーケットという区分で見てみます。基本的には、製品・アフターマーケットともに伸ばすことができております。伸び率は、アフターマーケットのほうが、若干高くなっております。
当社の場合は、基本的には製品のラインナップを拡充するということによって、ハードウェアを拡販しながら、そこで出てくるソフトウェアの需要。あるいは、いろんな分野での販売の増強。
さらには、消耗品・アフターマーケット・サービスを伸ばすということをやっておりますので、製品が伸びずにアフターマーケットが伸びるというのは、ちょっとある意味では、我々にとっては不本意な部分もありました。
両方を伸ばしたいということで、アフターマーケット比率は28.2パーセントと、前年から0.3パーセント上昇しまして、28.5パーセントになっています。その背景には、両方とも売上を伸ばすことができたということがあると思います。
計測につきましては、基本的にはLC・GCという、クロマトと質量分析が好調であったということが、今期の大きなポイントであります。
その背景には、やはり製薬・受託分析というところで、中国で多く伸びただとか、あるいは国内でも製薬・化学で非常に好調であったということ。あまり景気の影響を受けにくいような分野で、業績を着実に伸ばすことができたということが、大きな要因になっております。
医用機器/サブセグメント売上高及び製品・アフターマーケット売上高
続きまして、医用です。
医用は売上高が306億円で、分析同様に過去最高になりました。分析も過去最高で1,000億円を超えたというかたちになりましたけども、医用の場合は、前年から3.7パーセントの増加となりました。
基本的には、主力でありますX線撮影システムが、国内海外で順調に推移しまして、日本・北米・中国・東南アジアで拡大したということです。
製品とアフターマーケットともに約4パーセントの増で、アフターマーケット比率は分析よりも若干高い、30パーセント以上を維持しているということです。自社製品ということもありまして、下期以降に期待する部分です。
それと、今は中計の初年度ですが、この中では医用・分析に次ぐ第2の柱にしていきたいということで、分析・医用の融合ということも含めて、取り組んでいる部分です。
航空機器/サブセグメント売上高
次に、航空機器です。
売上高は132億円で、前年同期比11.7パーセントの増加になりました。これは、今防衛関係のいろんなニュースで、北朝鮮問題等、いろんなことがあります。防衛事業は、基本的に好調です。
新型の哨戒機P-1、あるいは新型の輸送機C-2の量産に向けて搭載機器が拡大したという一方で、民間航空機器。これはボーイング777などで一時的な減産があったということで、防衛で伸びたものの民航で伸ばすことができなかったということから、こういう数字になっております。
産業機器/サブセグメント売上高及び製品・アフターマーケット売上高
次に、産業機器です。売上高が205億円で、前年比で23.8パーセントの増となりました。
これは、先ほどお話ししましたターボ分子ポンプが牽引していまして、半導体・FPD製造装置に向けて拡大したということ。もう1つ、この中には油圧機器もありますが、63億円という結果となりました。これも、2桁の伸びを示すことができたというかたちになっています。
その下に、製品・アフターマーケットというものがあります。アフターマーケットのところがマイナスになっております。これは、基本的にはターボ分子ポンプのアフターマーケットでは伸ばすことができているんですが、それ以外のアフターマーケットを伸ばすことができなかったということです。これにより、前年から若干、1億円のマイナスになっています。
基本的には、この産業機器はターボ分子ポンプが主力ではありますが、これ以外に先日も高速スパッタリング装置という、自動車分野で使われるような製品のプレスをやりました。そういうものに今取り組んでおりますので、いずれ業績というかたちで数字が出るようになってきたら、みなさんにご紹介したいと考えています。
地域別売上高
今お話しした内容を、今度は地域別でみていきますと、この表のようになります。日本は827億円で、前年から56億円の増。これは7.2パーセントの増加というかたちになっています。
その下に米州・北米がありますが、北米は12億円の増、6.3パーセントの増です。
欧州・中国は、それぞれ11億円・73億円の増で、その他アジアも11億円の増というかたちになっています。
その他は、オーストラリア・中近東・アフリカという地域になりますが、基本的には、海外の全地域で増収になったということが大きなポイントであります。
とくに中国は、前年から73億円の増となりました。
これは、為替の影響を除きましても57億円の増で、20パーセント以上の増加を示しています。基本的には、中国は「官需に加え民需も好調」という表現になっています。みなさんもご存じのように中国は、第13次5ヶ年計画というものをやっていまして。
官需では一帯一路構想というものを打ち上げまして、中国の大学、あるいは学部を世界でトップにするということで、かなり大きな投資を中国政府が意図的に行っているというところです。ここで、当社のハイエンド製品がそういう客先に売れているという部分で、追い風になっているということ。
もう1つは、製薬・食品安全、それに伴う受託分析、さらに環境保護の分野。ここにはかなり、中国は依然として力を入れておりまして、この分野で伸ばしているというのが、他の地域とは若干異なっている要因となっております。
地域別売上高/日本
それぞれの地域につきまして、事業セグメントごとにみていきます。例えば日本では、基本的には計測につきましては医薬・化学でLC、あるいは自動車向けに試験機が好調であったということです。
それと、官公需向けにGCが好調であったということが、拡大の大きな要因になっています。
医用機器につきましては、X線の撮影システムが診療所向けに拡大しまして、航空機器につきましては、防衛省向けの搭載機器が増加したということです。
産業機器も、ターボ分子ポンプの拡大が持続したということです。ここにありますように、4つの事業セグメントすべてで増収になったというかたちになっております。
地域別売上高/北米
北米です。これは、計測・医用・産業機器が主なものです。計測につきましては、北米は臨床・化学・官公庁向けのMSが堅調であったということです。
一部の案件で進捗遅れがあったので、下期にずれ込んだということもありまして、現地通貨ベースでは若干の微減になったというのが、計測の状況です。ほぼ前年同期と横ばいという言い方の方が、正しいかもしれません。
医用機器につきましては、診療報酬改定によりまして、デジタル化が今進んでおります。それが追い風になりまして、デジタル回診用の装置が堅調に推移したということです。
産業につきましては、ターボ分子ポンプが半導体製造大手に向け、大幅に拡大したということです。この計測・医用・産業機器につきましては、それなりの数字が出てきている一方で、先ほど申しました航空につきましては、ボーイングの減産の影響で、前年からマイナスになったというかたちになっています。
地域別売上高/欧州
次に、欧州です。製薬・食品向けに、計測ではLCとMSが堅調に推移したということで、全体では14億円のプラスになっております。
医用につきましては、残念ながら東欧では血管撮影システムが堅調に推移した状況の一方、西欧は市況が低迷したということから、若干のマイナスになっているということです。
この血管撮影システムというのが、今回の中期経営計画の中で、医用機器のセグメントで伸ばしている製品となっております。これを、東欧で伸ばすことができているという状況です。
産業機器につきましては、先ほどから出ていますターボ分子ポンプは好調でありますが、この欧州では、ガラスワインダなどの大口案件が減少したということもあって、前年からほぼ横ばいという結果になっています。
地域別売上高/中国
次に、中国です。これが1番大きく伸びた地域になります。計測では、先ほど申し上げました食品安全・製薬及び受託分析・環境で、基本的にはLC・GCというクローンアドグラフと、MSの分析計。さらに環境機器が2桁の増加を示したということで、好調を維持しております。
医用機器につきましては、先ほどの北米と同じように、デジタル化の推進というものを背景に、X線の撮影システムが拡大。
産業機器も、ターボ分子ポンプと油圧機器が拡大したということから、この中国につきましてはいずれも前年からプラスになって、中国全体の伸びを牽引しているというかたちになっています。
地域別売上高/その他のアジア
次に、その他のアジア。これは、東南アジア・インドが中心になってきますが、基本的には計測と医用が増収になる一方で、産業機器が伸び悩んだというかたちになっています。
計測につきましては、LC・GCというクロマトが、やはり食品安全という分野で拡大していっている一方で、MSの方はとくに東南アジア・韓国で拡大したということです。
だいたい、食品安全というのは残留農薬の分析が中心になりますが、そういうところが、今規制ということもありまして、大きな追い風になっているという状況です。
医用機器につきましては、X線の撮影システムが拡大する一方で、東南アジアでは先ほどの血管撮影システムも拡大したということで、プラスになっているというかたちになっています。
産業機器につきましては、全体的に台湾を中心に、大陸への生産移管をお客様が進めていることもありまして、この地域では若干停滞したというのが現状であります。
以上が地域別、あるいは事業セグメント別の概略でございます。
配当金・配当性向
配当金につきまして、ご説明させていただきます。この中間期につきましては、前年から1円増の11円でいきたいと考えています。
期末につきましては、ここに「11円を予定」と書いてありますが、下期の業績次第によって、これを上方修正する可能性が非常に高いとみていただければということだと思います。
現時点では、前年から中間期・期末の1円増の、年間22円というかたちにしております。
これは、当社がもともとは安定配当ということを基本方針としておりまして、業績のいい・悪いにかかわらず、配当は減らさないということをやってきたわけです。
ただ、ここ4年くらいの様子は以前とだいぶ変わってきまして、配当をどんどん増やしてきているという状況になります。今後はこの部分につきましても、とくに基本配当については、見直しを行っていく可能性が非常に高いと考えていただければけっこうだと思います。
事業環境見通し
次に、事業環境です。全体的に事業環境の見通しというものを、日本、米国、ユーロ圏、中国、アジア、インドを含めてまとめております。政治的な不安要素は、それぞれの地域でいろんなことがあるんですが、経済状況としては決して悪くないとみています。
とくに、人の生活に関わる分野。健康あるいは食品安全に関わる分野というのは、景気のいい・悪いにかかわらず重要な領域ですので、こういうところでの需要というのは堅調にいくだろうと考えています。
一方で、自動車あるいは電気とか輸送機。この部分は、それぞれの景気に応じて若干の変動があるかもしれないと思います。
それぞれ、当社は分析・計測を中心にいろんな産業面をカバーしておりますので、需要が大きく変動することが、事業環境の見通しということになります。
業績予想
業績予想です。黄色いところにまとめましたが、売上高が3,650億円。これは、これまでの公表値から100億円上方修正しております。
営業利益は400億円。これは、20億円の上方修正。経常利益・親会社株主に帰属する純利益につきましても、それぞれ記載のとおりですが、これもそれぞれ15億円プラスというかたちで、上方修正しております。
基本的には、これが達成できれば5期連続の増収増益ということを見込むかたちになりますが、下期も基本的には投資ということをしっかりやりながら、中長期の業績を確保するような施策を進めていきたいという考え方です。
とくに、中計初年度の業績を達成するということが、我々にとっても1番大きな課題になりますので、この部分をしっかりやっていきたいという考え方です。
事業セグメント別業績予想
次のスライドでは、事業セグメント別の業績予想につきまして、計測、医用、航空、産業機器、その他というかたちにまとめております。基本的には、やはり計測で大きく伸ばしながら、産業機器でこれまで以上の成長に期待して、伸ばしていきたいと考えています。
医用は、まだ利益率としましては3パーセントぐらいですが、これを早く10パーセントの領域に持っていけるような新製品を出していきたい。それに伴って、サービスの部分も増加させていきたいというのが、基本的な考え方です。