2018年3月期第2四半期決算説明会

塩田元規氏:みなさん、おはようございます。株式会社アカツキの代表取締役の塩田でございます。今回は説明会を当社でやらせていただくということで、たいへんご足労をおかけしたと思いますけれども、お越しいただきましてありがとうございます。

実は私、大学生の頃にいろいろな会社の経営者にお会いして「すばらしい会社は何が違うのか」とインタビューしたことがあるのですけれども、そのときの経営者の方が、「良い会社というのは、一番は雰囲気がいいことだ」とおっしゃっていました。

(そのようなこともあり、)目に見える数字だけではなく、目に見えない雰囲気などを少しでも感じていただければと思い、当社でやらせていただくことにしました。

今回は2018年3月期の第2四半期ということですけれども、合わせて我々は2017年9月に東証一部に市場変更をさせていただいておりますので、引き続き足下のご説明もするのですが、直近でいくつか新たなリリースもございます。そのあたりも含めて、少し大きなお話もさせていただきます。

先ほども申し上げたように、会社というのは、目に見える数字も大切ですけれども、目に見えない哲学やビジョンなどが何よりも一番大切であると。

我々がどこを目指し、何をやっているかということは、すべてを規定すると捉えていますので、最初にそちらを説明させてください。

我々はアカツキという社名で、「世界に夜明けを」という意味でございます。日の光が世界を照らすように、自分たちが存在することで、世の中をカラフルに輝くところに変えていくということが、そもそものスタートでございます。

我々が作りたい社会を、「社会ビジョン」というかたちで書かせていただき、「感情を報酬に発展する社会」とさせていただいています。

我々は、人間の幸せは心が決めると信じていますから、心の満足をみなさまに提供して、人々が毎日生きている間、楽しい、心が動く、高揚感を感じながら過ごせる場所を作っていきたいと思っています。

それでは、今回のご報告に入らせていただきます。

エグゼクティブサマリ

エグゼクティブサマリということで、全体感なのですが、今回の第2四半期の数字でいくと、売上高は58億円、営業利益は28億円ということで、創業以来、売上・利益ともに過去最高を更新しています。

ゲーム事業は、数字の伸び以上に、我々の想定を大きく上回って着地したと思っていますし、第2四半期では新規タイトルをいくつかリリースさせていただいたので、1つのタイトルに頼るだけではなく、複数タイトルでしっかりとポートフォリオを組んで、より安定的に成長できる地盤が進捗してきたのではないかと思っています。

もう1つは、昨年度からスタートしている、ライブエクスペリエンス(LX)事業において、2017年7月に新しく「Wowful」というサービスをリリースいたしました。こちらにつきましては、後ほどご紹介いたします。

第2四半期だけではなく、直近の足下のお話も含めてなのですけれども、新たに米国子会社を設立したり、リアルコンテンツ領域へ進出したり、投資ファンドを創設したり、我々は、「世界の夜明けになる」と言っている会社ですから、中長期でしっかりと成長できるように投資を進めているということでございます。

次は、決算数字の概要のお話に移りたいと思います。

四半期PLサマリ

四半期PLサマリです。売上高58億円、営業利益28億円というところで、(四半期ベースで)過去最高です。第1四半期までの累計で売上高100億円、営業利益50億円を突破していますので、昨年度の数字をほぼ超えてきているという状況です。

四半期推移

こちらは四半期推移のグラフです。

売上高は5四半期連続、営業利益は8四半期連続で過去最高を更新ということで、ゲームが売上のメインを占めている状態ですけれども、継続的にしっかりと成長させ続けているということです。

とくに第2四半期に関しましては、グラフを見ていただくとわかるとおり、我々の想定よりもより(数字が)跳ねたということで、そちらに関してはポジティブなサプライズだったと思います。

費用構成

費用構成は、基本的に売上高の増加に伴い、プラットフォームの手数料やサーバー費用が増加もしておりますし、いくつかの新規タイトル、とくに『八月のシンデレラナイン』が出ましたので、それに伴う広告宣伝費等が一部増加しています。

BSサマリ

BSにつきましては、業績自体が引き続き好調ですので、純資産が増加している状況です。

ゲーム事業(国内)

国内のゲーム事業です。既存タイトルは想定をかなり大きく上回り、過去最高の売上高を記録しています。

また、新規タイトルをいくつかリリースしますので、重層化した収益基盤の構築が進捗しているのかなと思っています。

個別(のタイトル)に関しては、株式会社バンダイナムコエンターテインメントさんとの協業タイトルである『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』が2億ダウンロードということがございましたので、グロバールで同時開催の記念イベントを行った結果、セールスランキング1位、単月・四半期ともに過去最高売上を達成することができました。

オリジナルタイトルである『八月のシンデレラナイン』に関しては、「八月の」という名前もついていることもあり、8月が注力している時期でもあり、「八夏祭」というイベントを開催しました。またいくつか大型アップデートを行っていますので、ユーザーさんにもかなりご好評いただいたのではないかと思っています。

ベースの考え方として、我々は『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『サウザンドメモリーズ』、他のタイトルでもやっていったように、リリース初期の数ヶ月の売上が最大ということはありません。

中長期でしっかりと運用しながら積み上げていく、毎年毎年伸ばしていくということを目指していますので、こちらのオリジナルタイトルに関しても、中長期でコアなファンをしっかりと積み上げていくために、いくつか施策を準備しているということです。

もう1つ、こちらもバンダイナムコエンターテイメントさんと協業でやらせていただいている『アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!』という、アイドルマスターシリーズの男性アイドルがメインのゲームですけれども、こちらは8月30日に配信を開始して、出だしとしては、かなり好調だったのではないかなと思っています。

こちらも短期的というよりかは、中長期でイベントのアップデートも含めて開発して走らせいていますので、そちらを継続していきたいと思っています。

その他既存タイトルに関しても、『サウザンドメモリーズ』や『テイルズ オブ リンク』『シンデレライレブン』ですが、引き続きコアファンの人たちにしっかりと楽しんで遊んでいただくためのキャンペーンやイベントなどを継続して実施しています。

ゲーム事業(海外)

次は海外のゲーム事業です。第2四半期は国内のゲーム事業も伸びたのですけれども、海外のゲーム事業が我々の想定よりもはるかに成長しています。

先ほど申し上げたバンダイナムコエンターテインメントさんとの協業タイトルである『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の2周年記念イベントと、先ほど申し上げた2億ダウンロード記念イベントがあり、アメリカ・フランスを含めて海外15ヵ国の地域でセールスランキング1位を獲得して、単月・四半期ともに過去最高を更新しています。

売上・利益ともに、前年同期比で3〜4倍の水準にまできていますので、引き続きしっかりと伸ばしていきたいと思っています。

LX事業

ライブエクスペリエンス(LX)事業の第2四半期の進捗です。

先ほど申し上げたように「Wowful」というサービスをリリースさせていただきました。昨年度は「そとあそび」という会社を買収して、単純なアウトドアアクティビティだけではなく、人々がリアルの生活で楽しめるすべての体験を取っていくということで、ライブエクスペリエンス事業という名前をつけさせていただいています。

「そとあそび」はアウトドアアクティビティがメインのプラットフォームサービスで、とびっきりの体験にフォーカスしていますので、年に数回行くか行かないか、という(体験を提供する)サービスになっています。

「Wowful」はどちらかというと、毎日とか毎週とか、お出かけという文脈で使えるようなイベントや体験を集めたサービスですので、ユーザーさんに遊んでいただく頻度を増やしていきたいと思っています。

そのために重要なのは、世の中の人が行きたい、やりたいと思えるコンテンツを集めることです。こちらは比較的、足元順調に進んでいるのではないかと思っています。

「そとあそび」は基本的に夏休みがピークシーズンになりますので、第2四半期の売上が非常に重要です。

今回、昨年度と比べて売上でも1.4倍ぐらい伸びはしているのですが、会社全体として考えると、今年は冷夏の影響もあり、少し売上の伸びが鈍っているなと考えています。

基本的には最低でも1.5倍。毎年2倍くらいは成長させていきたいと思っておりまして、そのラインを来年度以降キープできるように、しっかりと成長させていこうと思っています。

基本的には積み上がっていくビジネスモデルですので、しっかりと伸ばし続ければ、ずっとprofitableになるような構成に持っていけると思っています。

ここまでが第2四半期までのご報告です。以降は第2四半期の仕舞った後も、いくつか直近のリリースを出させていただいていますので、そちらのご説明をさせていただきます。

トピックス ゲーム事業

まずはゲーム事業のトピックスです。引き続き、足元堅調に推移しているかなと思っていまして、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル 』は今、テレビアニメも放映されていますので、そことの連動施策だったり、中長期でより成長できるようにいくつか大型アップデートによる新機能を追加して、おもしろい遊びをゲームの中で提供する準備をしています。

『八月のシンデレラナイン』『アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!』も、新機能の開発は当然やっていますし、バンダイナムコエンターテインメントさんと協業の『アイドルマスター SideM LIVE ON ST@GE!』に関しては、10月よりテレビアニメの放送も開始していますので、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル 』のように、アニメと連動させながらしっかりと成長させることができるかなと思っています。

トピックス ゲーム事業(パイプラインの進捗)

次は新規タイトルの状況でございます。昨年度は新規タイトルのリリースができなかったということで、非常にご心配をおかけしたのですけれども、今年度はそこの反省を踏まえて、開発も順調に進捗しています。

こちらはすでに公表させていただいているのですけれども、BUSHI ROADさんと協業で『新テニスの王子様 RisingBeat(テニラビ)』というタイトルをやらせていただいています。

こちらは11月末から12月初旬のリリースということで、ユーザーさんにも告知させていただいていますので、年内にしっかりとリリースして、第3四半期以降の下期にかけて収益にしていきたいと思っています。

もう1つ、公表済みのIPタイトルに関しては、こちらも開発自体は順調に進んでいますので、しかるべきタイミングで、内容を含めて公表させていただきます。

トピックス 新規取り組みの狙い(全体像)

続いて、いくつかやらせていただいている新規取り組みの狙い(全体像)です。

我々はゲーム事業でスタートした会社ではあるのですが、創業当初から、人々が生まれてから亡くなるまで、すべての期間、すべての人々にサービスとしてタッチをして、彼らの人生を心踊るものにするということが、我々のミッションでありますし、そのために仕事をしているわけです。

なので、我々としてもデジタル領域におけるゲーム事業というワクワクを届けるものから、リアルライフ領域における、ライブエクスペリエンスという非常に広い概念の事業をスタートさせています。

当然、デジタルとリアルがもっともっと融合していく中で、新しい体験や新しい価値が生まれるであろうと思います。それは当然我々としてもやらなければならないし、やるべきであると思っています。

トピックス 新規取り組みの狙い(デジタル領域)

それぞれの取り組みに関して、もう1歩踏み込んだ目線で見ると、デジタル領域に関しては、ゲームは非常にワクワクさせられるプロダクトだと思っていますし、マネタイズの力としても非常に強いものがあると認識しているわけですが、このゲームの価値やIPの価値を最大化するために、ゲームだけでそのキャラクターなどを育てていくのは非常に難しい部分があります。

我々はゲームに加えて、アニメやマンガ、映像、音楽などの周辺事業でもチャネルを抑えにいくことにより、デジタル領域のゲームを含めたエンターテインメントの収益を最大化していきたいと思っています。

もう1つ、今回はライブエクスペリエンス事業で「Wowful」というサービスをリリースさせていただいているのですが、(ライブエクスペリエンス事業は)「Wowful」というサービス単体をベースにする事業ではありません。

「Wowful」というのは基本的には今ある遊び、今ある体験とユーザーさんをどうマッチングするかということであり、プラットフォームビジネスです。

そして、プラットフォームビジネスを考えるときに、一番重要なのはいいコンテンツであるかどうかとうことです。

なので、ライブエクスペリエンス事業では、プラットフォーム単体だけではなくて、そこに自分たちでいいコンテンツを作っていくことにより、プラットフォームとコンテンツの両輪が回せるようなモデルを作っていきたいと思っています。

トピックス 映像事業への進出

今回、Akatsuki Entertainment USAという子会社を米国のハリウッドに作らせていただきました。

こちらの目的の1つは、基本的に日本に眠っているIPタイトルや脚本をしっかりと世界に広げていくポテンシャルはあると思っていますから、それをソーシングしながらグローバルに向けて映像を作って世界に届けていきます。

当然グローバルでもIPの争奪戦になってきていますが、海外でこれだけしっかりと運用して成果を出している会社はなかなかないと思いますし、我々の強みでありますので、海外のIP獲得も含めたチャネルとしての活用を目指しています。

映像事業に進出するということで、メディア等でも「映画製作」と表現されてしまったのですが、映画だけにこだわっているわけではなく、VRやARを含めた新たなコンテンツをいろいろ作っていくというところと、映画という文脈になると「投資金額も数十億円、数百億円投資するんですか?」というご質問が起きるのですが、基本的には年間数億円規模を想定しています。

我々としては当面、企画とプロデュースをメインにやっていく事業になっていますので、実際に大きな映像化をするという時には、外の会社と組んでやっていくことを目指しています。

トピックス 新規取り組みの狙い(LX事業)

ライブエクスペリエンス事業に関しては、先ほど申し上げたように、いいプラットフォームがあるから、いい体験・リアルな体験をする場に人を集めることができます。

いい体験が載っているからそこを使って、ユーザーさんが予約したり、その場所を探しに行くという、コンテンツとプラットフォームの両輪を回すことができれば、非常にいいサイクルで回るのではないかなと思っています。ライブエクスペリエンスという概念自体が非常に広い概念ですので、この文脈の中でいろんな事業を作っていきたいと思っています。

トピックス リアルコンテンツの具体的取り組み

今回、リアルコンテンツを作るという文脈で株式会社APTとASOBIBAという会社を迎え入れています。

もともとコンテンツ作りに関して、我々は「あそびラボ」というところで、デジタルの卓球を作ったりしているのですけれども、これをより拡大していくことを目指しています。

リアルコンテンツといった時に、いろいろなものが想像されるのですが、基本的に「我々としての価値とは何か」「お客さまに届けるバリューとは何か」というところから考えて事業をスタートする会社でして、コンテンツの内容はもちろん、コンテンツを味わう場所や空間、なによりそこに集まる人とのコミュニケーションやコミュニティという3要素をしっかりと回すことが重要だと考えています。

これを回せれば、非常に大きな価値のあるエンターテインメントの場所が作れるのではないかなと思っています。

そのために、我々アカツキという会社としては、今までも企画やプロデュースは当然やってきていますし、これからリアルとデジタルが融合していく中で、そこに対するテクノロジーへの投資もやってきていますから、技術をしっかりと使えるというところでございます。

一方、リアルコンテンツや環境の運用はやったことがないので、そこをASOBIBAとAPTというチームと一緒にやっていきたいと思っています。

ASOBIBAはサバイバルゲームなどを全国に展開している会社ですけれども、リアルコンテンツをプロデュースしたり、オペレーションする力を持っています。APTはいろいろなイベントをプロデュースしている会社ですけれども、このチームと組んで先ほどの3要素をしっかりと積み上げていきます。

(アカツキの)既存事業も引き続き成長させていますし、ASOBIBA・APTが持っている既存事業も成長させていますし、それも収益基盤として考えてはいるのですが、基本的には3社で新たなものを作って、それも国内だけの場所や施設ではなくて、海外に持っていけるような革新的なものを作っていくことを目指してチームを組んでいます。

トピックス 技術投資に向けたファンドの創設

最後は、融合領域での投資ということで、我々はAkatsuki Entertainment Technology Fundというものを立ち上げました。

時代の変化が激しく、新しい技術もどんどん出てきている中で、技術開発・R&Dもやっていきますけれども、まずはいろいろな会社にしっかりと投資をして、利益を作っていくことが重要です。

今回はEntertainment Tech Fundということで、エンターテインメントのテクノロジーに特化したファンドでは世界最大規模になるのですけれども、みなさんが思いつくようなエンターテインメントコンテンツをただ作る技術の話ではなく、エンターテインメントをありとあらゆる産業に融合させたテクノロジーが進出していくであろうと思っています。

なので、そこにしっかり投資をして、新たな産業、新たな事業と会社、テクノロジーを結びつけることにより、新たな収益を作っていくことを目指しています。

日本のスタートアップへの投資ということであれば、そもそもファンドにしなくても、アカツキという会社に話がくるような状況ですけれども、今回はファンドを作って、海外の会社も含めてグローバルで投資をしていくことを目指しています。

これは短期的に何かしらの成果ということではなく、中長期の目線で、我々は3〜5年、それ以上先に、より偉大な会社になるために必要な投資と考えています。

少し長くなってしまいましたけれども、私からのご説明は以上になります。引き続き足元でしっかりと厳しい現実は見ながら、それでも成長することを目指している会社でございます。新しい価値観のシンボルとして、世界を照らす偉大な会社へということで、引き続きよろしくお願いいたします。