リンクアンドモチベーショングループの事業構造
小笹芳央氏(以下、小笹):株式会社リンクアンドモチベーション代表取締役会長の小笹でございます。それでは、これから株式会社リンクアンドモチベーション2016年12月期年次決算の説明会を始めさせていただきます。こちらが本日のアジェンダでございます。1点目に、連結決算報告を、2点目に、2017年12月期の予想及び重点的な取り組みについてご説明をさせていただきます。
3点目に業績の好調を受けまして、この度、配当を増額いたします増配のお知らせでございます。4点目、新たにM&A案件の基本合意に至った案件がございますので、そちらのご報告をさせていただきます。
では、1点目の2016年12月期連結決算報告に入らせていただきます。
こちらが、当グループの事業構造でございます。まず、グループ全体のミッションといたしまして、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する。このミッションを掲げて、各グループ会社、各事業が束ねられております。
3つのディビジョンがございますが、まず左側に組織開発ディビジョンがございます。こちらは、主に企業向けに、個人から選ばれる組織創りを支援するディビジョンとして、コンサル・アウトソース事業と、イベント・メディア事業が内包されております。
続きまして、右側に個人開発ディビジョンがございます。組織から選ばれる、あるいは労働市場から選ばれる、強い個人創りを支援するために、キャリアスクール事業と学習塾事業を内包しております。
また、3点目にこの両方をつなぐ事業といたしまして、マッチングディビジョンがございます。組織と個人をつなぐ機会を提供する。こちらには、ALT配置事業と人材紹介派遣事業が含まれております。
これら3つのディビジョンに加えまして、ベンチャー・インキュベーションがございます。こちらは、上場を目指すベンチャー企業に対して、資金面と組織・人事の両面からベンチャー企業を上場まで導くサポートでございます。
連結損益計算書(実績前年比)
こちらが連結の損益計算書でございます。
組織開発ディビジョンの好調に伴いまして、売上高は前年比で106.2パーセントの増加、過去最高を記録しております。また、利益率の高い組織ディビジョンの好調によりまして、営業利益につきましては、前年比221.7パーセント、経常利益は前年比238.1パーセントの大幅増。こちらも過去最高となっております。
また、インキュベーション先企業及び株式会社リンクスポーツエンターテインメントの株式売却や、株式会社リンクアカデミーの教室移転に伴う特別利益増加によりまして、当期純利益は前年比で大幅増の13億5,300万でこちらも過去最高となりました。
連結損益計算書(実績予想比)
こちらが予想比でございます。
売上高につきましては、予想値をわずかに下回る結果となりましたものの、利益率の高い組織開発ディビジョンの好調を受けまして、営業利益では予想比で103.5パーセント、経常利益では103.8パーセント、当期純利益では100.3パーセントと、いずれも予想値を上回る結果となりました。
連結損益計算書 販売管理費(実績前年比)
こちらが販管費でございます。
販管費全体といたしましては、前年比で103.3パーセント増加しております。増加額は3億2,900万円でございます。
内訳をご覧いただきたいと思います。1番の人件費につきましては、グループ全体の営業人員増や、業績好調に伴う賞与増によりまして、前年比で増加しております。こちらは増加額4億8,100万円となりました。
2番目の採用・研修・福利厚生費につきましては、グループ拡大を機とした新卒採用、中途採用への注力に伴いまして、前年比で増加しております。増加額は6,400万円となっております。
4番目のオフィス・システム経費でございますが、こちらは名古屋・福岡の統合拠点設立および東京統合拠点の設立準備に伴う減価償却費や改装・移転費用の増加によりまして、前年比で増加しております。増加額は1億2,800万円でございます。
その一方で、5番目の販売関連費用でございますが、こちらは個人開発ディビジョンのキャリアスクール事業におきまして、広告宣伝費の効率化が実現できたことによりまして、前年比で大幅減となりました。その減少額は3億2,200万円でございます。
セグメント別 売上高・売上総利益(実績前年比)
こちらがセグメント、ディビジョン別の売上高と売上総利益でございます。
一番上段の組織開発ディビジョンでございますが、利益率の高いコンサル・アウトソース事業の好調を受けまして、売上高で前年比122.3パーセント、売上総利益につきましては前年比153.4パーセントと、大幅な増加となりました。
真ん中の個人開発ディビジョンでございますが、キャリアスクール事業におきまして、一部のグループ会社間取引を中止したために、外形上の売上は前年比減、売上総利益は前年比大幅減となってございますが、実質的なグループ間取引を除きますと、こちらのような数値になります。
売上高では前年比102パーセントの微増、売上総利益につきましては、107.8パーセントと前年比増となっておりまして、個人開発ディビジョンにおける本業が堅調に推移していることが見てとれると思います。
続きまして、一番下段のマッチングディビジョンでございます。こちらはALT配置事業が堅調に推移した一方で、人材紹介派遣事業におきましては、自社および自社のグループ会社の採用強化を目的といたしまして、人材の動員や紹介の外部売上を抑えたことに伴いまして、売上高は前年比で103.9パーセントの増加、売上総利益につきましては前年比微減となっております。
組織開発Div 事業別プロダクト売上高(実績前年比)
こちらが各ディビジョンのプロダクト別でございます。
まず、コンサル・アウトソース事業につきましては、営業力強化をテーマにしたコンサルティング、および、新入社員研修などのパッケージが伸長したことに加えまして、新たなサービス「モチベーションクラウド」による会員、データベースサービスが大きく伸長いたしまして、売上高では前年比で119.8パーセント、売上総利益は前年比で158.1パーセントの大幅な増加となりました。
続きまして、2番目のイベント・メディア事業でございます。
こちらは、「周年イベント」および「社員総会」の企画運営や、動画配信を含む映像メディアなど、いずれも利益率の高いプロダクトが伸長しました結果、売上高で前年比112.1パーセント、売上総利益で前年比146.2パーセントの大幅な増加となりました。
個別開発Div 事業別プロダクト売上高(実績前年比)
続きまして、個人開発ディビジョンでございます。
3番目のキャリアスクール事業でございますが、ITスキル獲得のニーズを捉えまして、講座名Officeからプロシリーズへのポートフォリオ移行が堅調に推移し、国家試験、公務員の好調が会計の不調をカバーしたことで、売上高は前年比で101.7パーセントの微増、売上総利益は前年比で108.1パーセントの増加となりました。
4番目の学習塾事業につきましては、新たな教室設立に伴いまして、順調に生徒数が増加したことにより、売上高は前年比で128.4パーセントの大幅な増となりました。ただし、新教室設立に伴う一時的な原価の増加によりまして、売上総利益は前年比減となっております。
マッチングDiv 事業別プロダクト売上高(実績前年比)
続きまして、マッチングディビジョンでございます。
5番目のALT配置事業につきましては、日本の英語教育推進の流れを捉えたことで堅調に推移し、売上高で前年比103.5パーセント、売上総利益で前年比103.8パーセントの増加となりました。
6番目の人材紹介派遣事業は、企業の人材不足を背景に、販売職派遣、事務職派遣が好調だったため、売上高は前年比で107.5パーセントと増加いたしました。
その一方で、自社およびグループ各社の採用強化を目的といたしまして、人材の動員・紹介の外部売上を抑えたことに伴いまして、売上総利益は前年比で95.7パーセントの減となっております。
連結貸借対照表(実績前年比)
こちらが貸借対照表、バランスシートでございます。
まず、資産につきましては、売上高好調に伴う、売掛金増加に加え、新規インキュベーション出資や、東京統合拠点の敷金入金等によりまして増加しております。
負債につきましては、上記の資産取得資金を借入金で充当したため、増加しております。また、純資産につきましては、自己株式、昨年は数に渡って行いました。その自己株式取得による減少を、当期純利益の計上でまかないまして、微減と抑えることができました。
結果といたしまして、ROEにつきましては、22.9パーセントと、非常に高い数値を実現することができました。
2016年12月期第4四半期 配当
こちら、2016年2月期第4四半期の配当でございます。
従前どおり、引き続き四半期配当を実施しております。
第4四半期の配当につきましては、当初予定のとおり単元株当たり、140円の配当を3月24日、金曜日に実施する予定でございます。
2017年12月期業績予想(IFRS基準)
続きまして、2点目の2017年12月期の業績の予想および重点的な取り組みに関しまして、私そして各関連するグループ会社の社長からご説明をさせていただきます。
まず通年の予想でございます。こちらはIFRS基準となります。財務情報の国際的な比較可能性の向上を目的として、今年度からIFRSの適応をいたします。
売上収益および各段階利益において、過去最高を更新する予想でございます。売上高につきましては、363億円、前年比で108.9パーセントを予想しております。
また、個別開示項目前の営業利益の各段階利益につきましても、収益力の向上が寄与する予定でございまして、いずれも2桁増益を予想、すべての数値が過去最高を計画しております。
2017年12月期Division別 売上・売上総利益予想(IFRS基準)
こちらが、各ディビジョン「別の売上・売上総利益予想となります。
上段の組織開発ディビジョンは、企業の働き方改革に対応するコンサルティングや、モチベーションクラウドの拡大を見越して、前年比113.7パーセント、売上総利益では115.3パーセント、両方とも前年比、大幅予想としております。
真ん中の個人開発ディビジョンでございますが、こちらは、サービス業やIT企業の人材不足ニーズを捉えた堅調な成長を見越しておりまして、売上高で、前年比105.2パーセント、売上総利益では108.7パーセントの増加を予想しております。
下段のマッチングディビジョンでございます。国策に沿った、ALT市場の拡大を見越して、売上高では前年比、107.4パーセント、売上総利益では前年比、111.7パーセントの大幅増を予想しております。
2017年12月期 売上収益・個別開示項目前営業利益の推移予想
こちらが売上収益、個別開示項目前営業利益の推移の予想でございます。
グラフを見ていただきますと、帯グラフが収益でございます。そして折れ線グラフが、個別開示項目前営業利益の昨年度のものでございます。
売上収益、個別開示項目前営業利益共に、四半期ごとに、堅調な伸びを予想しております。
昨年に引き続き、四半期ごとの安定的、利益創出を見込んでおります。こちら、各ディビジョンの重点指標を関連する各社の社長からご説明をさせていただきます。
組織開発Div 重点:モチベーションクラウドと顧客リピート率
坂下英樹氏(以下、坂下):株式会社リンクアンドモチベーション 代表取締役社長 坂下です。私からは、組織開発ディビジョンの重点指標についてご説明させていただきます。
組織開発ディビジョンを取り巻く環境は、近年大きく変化しております。企業間競争は人材で決まる環境となり、また、国が推進する働き方改革の流れを受け、事業は規模や業界を問わず、その対応に迫られています。そんな背景から、企業の組織変革ニーズは高まり、当社に寄せられる期待も膨らんでおります。
このような時流と、HR Techの将来性を踏まえ、より多くの企業が組織変革にチャレンジできる環境を作りたい。そんな思いから2016年よりモチベーションクラウドを展開してまいりました。
すでに2016年末時点で、既存クライアントを中心に120件の導入実績があります。そこで、1点目の量的な指標ですが、2020年に大手企業含め2,000件のモチベーションクラウドの導入を目指し、顧客の裾野を広げていきたいと思います。
また、我々は新商品の量的拡大だけではなく、サービスの質を重視した経営方針も掲げています。
単にモチベーションクラウドの導入を増やすだけではなく、それによってみえてきた組織課題に対して、これまで蓄積してきたデータベースを有効活用し、圧倒的な価値発揮を実現したいと考えています。
そして、その成果を計る質の重点指標として、顧客取引のリピート率にこだわりたいと思います。
2010年には、54パーセントのリピート率が2015年には72パーセント、2016年には79パーセントと上昇してまいりました。
2017年には80パーセント以上を達成する見込みとなっておりますので、一層ブランド価値の創出につなげたいと考えています。どうぞご期待いただければと思います。
個人開発Div 重点指標:IT人材育成講座「アビバプロ」
小栗隆志氏(以下、小栗):株式会社リンクアカデミーの代表取締役社長を務めております小栗です。どうぞ、よろしくお願いいたします。
私からは個人開発ディビジョンの重点指標の1つである、IT人材育成講座「アビバプロ」についてご説明させていただきます。
「アビバプロ」は2015年7月より、約1年半にわたり展開してまいりました。昨今の、IoT市場の拡大を睨んだプログラミング人材を育成する講座や、今後さらなる人材需要拡大が見込まれるWebクリエイター人材を育成する講座を統括しているのが「アビバプロ」です。
四半期ごとに新規講座をリリースし、広告投資も積極的に推進してきた結果、新規の問い合わせや売上は順調に拡大しております。
2016年度の続き、2017年も前年比120パーセントを超える9億円の売上を予定しております。しかし、指導の市場やPCスキルの市場の成熟化の中、このITスキル市場の売上を伸ばすことで新たな事業の柱に成長させていきます。
今後は、新規口座のさらなる開発や広告投資を通じて売上を伸ばすと同時にリンクアカデミーで育成した受講生を、求人会社にマッチングさせることでビジネス社会に対してIT人材の供給に寄与していくかたちです。
個人開発Div 重点指標:街のキャリアセンター
続いての、重点指標です。街のキャリアセンター構想です。
これはキャリアスクールを運営するリンクアカデミーと、人材紹介派遣事業を運営するリンクマーケティングのアセットを活用した新たな拠点展開です。キャリアセンターでは、学びたい人と働きたい人をキャリアという軸で統合し、一気通貫でキャリアサポートをする拠点になります。
基本的にはこれまでキャリアスクールを運営してきた場所にて、人材紹介派遣事業を加えて運営してまいります。
また社員におきましても授業の指導を担当するインストラクターと、求職者における初期接点を担当するコーディネーターの機能を統合させ、キャリアナビゲーターとしてお客様や求職者に対峙してまいりますので、拠点費用や人件費などコストを抑えての新たな拠点展開が可能となります。
まず、今年の4月1日には、全国6拠点を同時にオープンします。また、2017年中には、1拠点を加えて、7拠点を目途に立ち上げてまいります。今年中には800人がこのキャリアセンターを通じて、就業していく予定です。
今後は展開次第によって、スピーディーに全国に教育拠点をキャリアセンターに切り替えていく予定です。今後の街のキャリアセンター構想にご期待ください。
個人開発ディビジョンのご報告は以上になります。
マッチングDiv 重点指標:ALT配置
木通浩之氏(以下、木通):株式会社リンク・インタラック取締役、株式会社リンクジャパンキャリア代表を務めております木通でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からはマッチングディビジョンにおける重点指標、ALT、外国人講師配置事業において説明いたします。
ご承知の方もいらっしゃるかと思いますが、昨年末、2020年度以降の新学習指導要領に関する答申がまとまり、英語教育の強化が本格的に進められることになりました。
当社事業に関係のある部分について、説明をさせていただきます。小学校におきましては、3年生から、新たに外国語学習がスタート。年間35コマの授業が行われます。さらに、5年生からは、英語が正式な教科となり、従来の年間35コマから70コマへ倍増することになります。
また、国は2019年度までに、すべての小学校に外国人講師の確保を計画しており、外国人講師配置事業全体は拡大することを見込んでおります。マーケットの拡大に伴い、新たな参入企業が増えるなど、競争はますます激化することが予測されます。
現在、民間企業としてはナンバー1のシェアを持っております当社、昨年1月より、6つの地域会社を設立し、地域に密着した営業力強化、それとともに、講師のトレーニングの充実、指導マニュアルの充実を図ることで、現在、24パーセント程度の市場シェアを2018年度までに26パーセント程度まで伸長させることを目指しております。
2017年度に関しましては、当事業で、売上110億、前年比9パーセントの伸びを計画しております。これからのマッチングディビジョンにも、ご期待をいただければと思います。
ベンチャー・インキュベーション事業「出資先一覧」
小笹:それでは最後に、ベンチャー・インキュベーション事業につきましてご説明をさせていただきます。
こちら、上場を目指すベンチャー企業を支援していこうということで、さまざまな企業に出資をさせていただいております。
その選定基準は、まず1点目に、モチベーションカンパニー創りへの共感度合い、そして2点目に、上場を目指しているというところでございます。出資比率につきましては、おおよそ3パーセントから10パーセントを目安に出資しております。
昨年、2016年12月21日に第2号目の上場案件といたしまして、株式会社イノベーションが上場しております。また、12月27日に新たな出資案件といたしまして、株式会社あしたのチームに出資が完了しております。
今後も上場を目指すベンチャー企業に対して、組織・人事面を強化するといった立場から、多くの元気な企業を育んでいくことを継続して参る所存でございます。
増配のお知らせ
3点目に、増配のお知らせでございます。
こちら、業績の好調を受けまして、2016第3四半期の増配に引き続きまして、2017年第1四半期の配当額を増配予定でございます。こちら、単元株当たり140円から150円に引き上げます。増加比率は7.1パーセントとなっております。
配当金推移
こちら、配当金の推移でございます。
2011年以来、順調に業容が拡大しております。その結果、6期連続で増配を予定することになりました。引き続き、今後も、高い利益還元姿勢を継続してまいる所存でございます。
株式取得に関する基本合意書締結のお知らせ
4点目の新規のM&A案件のご報告でございます。
こちら、2017年、本年4月1日に外国語スクール展開企業の株式を51パーセント取得いたしまして、グループ傘下に入っていただきます。「ロゼッタストーン」ブランドの外国語講座を全国拠点にて展開する予定でございます。
この、ディーンモルガン社につきましては、拠点数が6拠点、新宿に2拠点、そして、池袋、銀座、梅田、難波の6拠点がございます。それぞれ、ロゼッタストーンブランドでは、英語とフランス語のマンツーマンの外国語スクールとして、また、ハミングバードといったブランドでは、発音矯正に特化した外国語のグループレッスンでございます。
こちら、全国に103教室を持つ、株式会社リンクアカデミーにおいて、外国語講座を順次展開していく予定でございます。中長期的には、当社法人顧客への外国語習得サービスの展開や、ALT配置事業で培いました採用力、そして、労務管理力を活かしまして、外国語事業拡大を目指してまいります。
ディビジョンで言いますと、こちらは、個人開発ディビジョンに所属することになろうかと思います。先程来ご説明させていただいた、プログラミングやIT人材の育成に加えまして、外国語教育につきましても、今後強化する中で、強い個人、労働市場に適応できる個人を多数育んで参る予定でございます。
以上、リンクアンドモチベーション2016年12月期年次決算のご報告でございました。今後も、当グループがおかれております追い風をじょうずに捉えまして、成長・展開を加速して参る所存でございます。引き続き、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。