第3四半期の総括

畠山俊也氏(以下、畠山):畠山でございます。よろしくお願いいたします。それでは2016年度第3四半期決算概要の資料に沿って、決算内容のご説明を進めさせていただきます。

まず第3四半期の全体感についてご説明いたします。

事業の概況につきましては、10月28日に公表いたしました、通期見通しに沿うかたちで、全体としてはおおむね想定通りに推移しております。

また、営業外費用に為替差損を計上しておりますが、為替の影響を軽減するために外貨建て取引のための見直しを進めたことに加えまして、12月末日の為替レートが9月末日よりもやや円安方向で着地したことから、第2四半期累計に加えまして、為替差損の金額は圧縮されています。

それから、当社が中国の販売パートナーにATM購入代金の支払い履行を求めて仲裁申し立てを行い、これに対抗するかたちで相手方が損害賠償を求めたといった、一連の仲裁審議について状況をご説明申し上げます。

これまでに幾度か裁決の日が通知されながら、その都度期日の延長がされてきました。この間に相手方が主張する損害賠償につきまして、その根拠が不十分であるとして、請求が退けられていますが、元となった支払い義務履行についての仲裁審議につきましては、現在も継続中でございます。

本件につきましては、当社の正当な権利を主張していく、当初の方針と変わりありません。なお、個別の引当金について、第3四半期決算では計上してございません。

当社は2017年度をスタートとする、中長期計画を策定中でございます。継続して安定的な収益を出せる会社になるための成長戦略を確実に実施するため、現在、事業ポートフォリオや資産の見直しを進めてございます。その上でリソースの最適配置を行い、注力分野を強化していく方針です。

本日東証に適時開示しました、子会社株式の譲渡につきましては、このような施策の一環として行うものです。

本件譲渡にともない、特別利益の発生が見込まれますが、長期化している仲裁関連の引き当ての要否のほか、現在検討中の経営施策の実施にともなう影響なども精査し、その結果、今期業績予想値につきまして、修正が必要と判断された場合には、適時適切に開示してまいります。

なお、かねてよりお伝えしておりました、策定中の新中期計画の発表時期につきましては、昨年から停滞している新興国経済の先行きや、最近の先進国における情勢の変化がグローバル経済について与える影響について注視しており、さらに現在取り組み中である各経営施策の進捗も踏まえた上でご説明することが適切と判断しております。

したがいまして、新中期経営計画につきましては今期の通期決算と合わせまして4月下旬から5月初旬をめどに発表することといたしました。

第3四半期累計 決算の概要

資料の4ページ、決算の概況についてご説明を申し上げます。

2016年度第3四半期の業績は売上高3,049億円で、前年比で327億円の減収、営業利益は4億円で前年比で71億円の減益となりました。経常損益は43億円。当期純損失は120億円となりました。

営業外費用で為替差損が43億円発生したことに加えまして、第2四半期で独占禁止法関連損失として、25億円を特別損失に計上したことが要因となってございます。

本日開示いたしましたとおり、公正取引委員会により正式な通知を受容いたしました。第2四半期において、独占禁止法関連につきまして、この先追加的費用の発生は想定してございません。

なお、期中の平均為替レートにつきましては、米ドルで106.6円、対前年15.1円の円高。ユーロに関しましては、111円で前年比16.4円の円高となりました。前年比の為替影響は売上高で177億円、営業利益で16億円の減少要因となっています。

第3四半期累計 セグメント情報(売上高)

続きまして、資料の5ページ、セグメントごとの売上高です。前年比327億円減収の主な理由についてご説明いたします。

情報通信の売上高は1,029億円となり、前年比で112億円の減収となりました。

キャリア向けの既存ネットワークの売上が前年度で終了したことや、消防無線のデジタル化需要が一巡した影響のほか、前年では上期に官公庁向けの大型案件があったことなどの影響がございました。

これらの影響に関しましては、あらかじめ想定の上で計画に織り込んでおります。企業向け等が順調なこともありまして、この情報通信はおおむね計画通りに推移しております。メカトロシステムは、売上高762億円、前年比で113億円の減収となりました。

中国で仲裁手続き中の販売パートナーの売上が前年度にはあったこと、こういったことに加えて、全体として中国ATM市場が大都市部でのリサイクルATMの普及が一段落して、現在は踊り場を迎えていることが影響しています。

ブラジルやその他海外は、おおむね計画通り推移し、国内では現金処理機が好調であるなどの、プラス材料はあったものの、全体としては減収となりました。

プリンターの売上高は800億円、前年比で99億円の減収となりました。昨年の10月に大判プリンター事業を買収した効果がある一方で、オフィス向けプリンターの需要減少が継続しています。さらに円高の影響が大きく、全体としては減収となりました。

EMS事業はおおむね順調でございました。

第3四半期累計 セグメント情報(営業利益)

続きまして、6ページ。セグメントごとの営業損益です。

前年比71億円の減収についてご説明いたします。情報通信の営業利益は12億円となり、前年比で1億円の減益となりました。

売上高のページでご説明いたしましたとおり、前年比で大幅な減収が影響にあったものの、前年度から継続しております構造改革の効果もございまして、おおむね前年並みの絶対額となりました。

メカトロシステムの営業利益は8億円と前年比51億円の減益となりました。先ほど、ご説明申し上げました売上減の影響に加えまして、在庫水準の適性を測るための生産減の影響がございました。

プリンターは物量の減少に加えて、為替が14億円の減少要因となった結果、営業損失7億円と前年比16億円の悪化となりました。

第3四半期累計 営業利益の変動要因(前年対比)

資料7ページです。営業利益について、今年度と前年度を比較した階段チャートになります。

数字は5億円単位にまるめてございます。前年度の営業利益は75億円でした。情報通信での物量減や機種構成差などで65億円の悪化となりました。

また、価格下落の影響で35億円の悪化となりました。これを調達コストの低減とVEで跳ね返し、15億円の良化となっています。

為替の影響は15億円の悪化となりました。固定費等の減少で30億円程、良化できましたが結果的には前年比71億円減少し、営業利益は4億円となりました。

第3四半期 B/Sの概要

次は8ページになります。バランスシートです。比較は前年度末です。

総資産は前期末から322億円減少の3,796億円でした。運転資本を削減し、効率化を図ったことから総資産の圧縮が進みました。

自己資産は146億円減少の921億円となりました。自己資産比率は24.3パーセント、DEレシオは1.2倍、ネットDEレシオは0.7倍となりました。

自己資本額は減少いたしましたが、キャッシュフローの創出により有利子負債を削減し、財務指標はほぼ期初の水準を維持しました。

第3四半期累計 キャッシュフローの概要

続きまして、9ページ、キャッシュフローです。

営業キャッシュフローは319億円の収入となり、前年比321億円の増収となりました。運転資本の削減の効果もあり、大きく改善いたしました。投資キャッシュフローは110億円の支出となり、前年比18億円の支出減となっております。

営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合わせたフリー・キャッシュフローは209億円の収入超過という結果でした。現金同等物は470億円となりました。

以上でご説明を終わります。