TDK、AIエコシステムを成長軸に事業ポートフォリオマネジメントを推進 独自のボード・カルチャーでガバナンスを進化
TDK Investor Day 2025 中期経営計画進捗説明会
齋藤昇氏(以下、齋藤):みなさま、こんにちは。社長執行役員CEOの齋藤です。本日はお忙しい中お集まりいただき、誠にありがとうございます。
それでは、長期の企業価値向上に向けた中期経営計画の進捗について、私からご説明します。
本日のアジェンダ

まずはアジェンダです。本日は、スライドに記載の内容に沿って進めたいと思います。
私のコミットメント(2024年5月Investor Day資料 再掲)

9月の「Investor Day」(※)では、フェライトツリーや未財務資本についてご説明しました。本日は私のコミットメントの中でも財務資本、特に事業ポートフォリオマネジメントについてご説明します。
長期ビジョン: TDK Transformation(2024年5月Investor Day資料 再掲)

以前にもご説明していますが、長期ビジョンとして「TDK Transformation」を掲げています。
TDKが見据える社会のTransformationのイメージ(2024年5月Investor Day資料 再掲)

このTransformationを実現するため、TDK独自のビジネスモデルを活用して自らもトランスフォーム(変革)し、社会のTransformationに貢献し続けたいと考えています。
長期ビジョンからバックキャストした中期経営計画

あらためて、本中期経営計画の位置づけです。長期ビジョンを達成するため、事業基盤を強化する期間であると捉えています。
財務・未財務 KPI の進捗

こちらは、昨年度の実績および今期の見込みです。中計最終年度の数値を見据え、本日は中長期で目指す姿の達成に向けた施策についてご説明します。
中期経営計画のポイント(2024年5月Investor Day資料 再掲)

中期経営計画のキーポイントは、スライドに記載の3点となります。
事業を入れ替えながら稼ぐ力を高めてきました

1点目の「キャッシュ・フロー経営の強化」についてです。営業キャッシュ・フローの3ヶ年移動平均推移は、2024年5月の当初予想より上振れし、約3,800億円、約4,200億円と推移しています。
先手の事業ポートフォリオマネジメントを推進しています

2点目のポイントは、「先手の事業ポートフォリオマネジメント」です。こちらのスライドは、売上構成率および各象限にある主な製品群を示しています。
事業ポートフォリオマネジメントを進化させてきました

事業ポートフォリオマネジメントについては、社内での取り組みや対外的な開示をこのように進化させてきました。
2022年には投資配分のマトリックスを開示し、2023年からは6象限の中にどのビジネスが位置するのかを示しました。特に、右上に位置する成長事業や左下に位置する課題事業については、事業名を個別に開示するようにしました。
2024年からは売上高に対する比率を開示するとともに、中期経営計画のキーポイントの1つとして、“先手”のポートフォリオマネジメントへの変革を進めてきました。
また、今年5月には重点モニタリングCBU(Cashflow Business Unit)数を開示し、進捗をより解像度高く示すことで、投資家のみなさまと進捗や課題感について、より具体的に議論できる環境を整えてきました。
中長期で目指す姿の実現に向けて

以上を踏まえ、中長期で目指すROE15パーセント以上、ROIC12パーセント以上の達成に向けて、先手で事業ポートフォリオマネジメントをより一層推進する取り組みについてご説明します。
当社にとっての事業ポートフォリオマネジメントの第一義は、「成長戦略の推進」です。
ポイントは3つあります。1つ目は「成長けん引事業のオーガニック成長・収益性改善」、2つ目は「重点モニタリング事業への対処」、3つ目は、R&D投資、CVC投資およびM&Aも含めた「インオーガニック成長」です。
本日は、それぞれについてあらためてご説明します。
AI エコシステム全体に貢献し、成長を目指します

まず、第一義である「成長戦略の実現」です。以前からお話ししているとおり、当社では、AIに関わるさまざまなアプリケーションをAIエコシステムとして捉えています。
主に赤枠で囲んでいる3つのアプリケーションに対する成長戦略の推進状況については、後ほど詳しくご説明します。
AI エコシステム全体に向けて売上を伸ばします

スライドは、4月にご説明したAIエコシステム市場向け売上成長見込みです。
現時点では全社売上の1割強程度ですが、中長期的には年率25パーセントから30パーセントという大きな成長を見込んでいます。
本年度はHDDヘッドやサスペンション、受動部品などが主要な売上構成となっていますが、中長期的にはデータセンター向けや中型二次電池などの大きな成長が期待されます。
本日は製品群のうち、グレーの部分に該当する新事業について、より詳しくご説明します。
SensEIの成長戦略

初めに、産業機器市場における予知保全向けセンサとソフトウェアのビジネスである「SensEI」についてご説明します。
市場からは、クラウドに対応した高度なインテリジェントセンサソリューションが求められています。
当社のさまざまなセンサと最先端のAIおよびエッジコンピューティングを搭載した「edgeRX」および「edgeRX Vision」は、新たに「AWS」のIoTツールとセキュアなクラウドサービスを統合することで、主要なAWSサービスと連携できるようになりました。
世界中の産業機器を取り扱うお客さまに向けて、スケーラブルでインテリジェントな機械の健全性監視および予知保全を実現していきます。
スマートグラス向けビジネスの成長戦略

次に、AIエコシステムにおいて新たな成長アプリケーションとして注目している、スマートグラス向けビジネスの成長戦略についてです。
スマートグラス市場は、AI機能を付加することでより軽量かつユーザビリティが向上し、スケーラブルな製品となる可能性を秘めています。また、スマートウォッチのような生産台数の拡大も期待されています。
今年6月に、当社は人間の黒目をトラッキングできるハードウェアおよびソフトウェアを提供する企業である、米国のSoftEye社を買収しました。
この買収を受け、新たにAR Platforms Business Division(AR Platform BD)を設立し、現在開発中のフルカラーレーザーモジュールなどをソリューションとして提供するための活動をしていくこととしました。
また、この新組織の活動にバッテリー、センサ、ピエゾハプティクスの骨伝導スピーカーなどの既存製品を組み合わせることで、スマートグラスのエンジンとなりえるソリューションを提供していきます。
最新のセンサ機能については、来年1月に米国で開催されるCES(Consumer Electronics Show)で公開予定です。
半導体製造装置の成長戦略

次に、半導体製造設備向け製品についてです。
今後はAI半導体などの高機能化に伴い、後工程の高密度化や、2.5D・3D技術などが成長すると見込まれる高密度パッケージ市場は、スライド右側のグラフにあるように、CAGR(年平均成長率)20パーセント程度で拡大すると予想されています。
当社は、高密度・高精度実装技術に加え、高信頼性・高放熱特性材料を組み合わせることで消費電力低減に貢献し、独自の競争優位性を確立することで市場シェアを拡大していく予定です。
受動部品

次に、成長けん引事業である、現有の4つのカンパニーそれぞれの事業についてご説明します。
まず、受動部品についてです。2024年5月に想定したROIC目標値に対し、BEV(電気自動車)市場の減速や産業機器市場の低迷の影響もあり、当初目標の達成は厳しい状況です。
しかし、AIサーバー向けの需要が想定以上に伸びており、低消費電力部品の拡大や高付加価値品の生産能力を早急に確立することで、挽回を目指していきます。
特に、アルミ電解コンデンサについては、2026年9月には2025年3月期対比で、数量ベースの生産能力を約2倍に増やし、ターンアラウンドを目指します。
また、昨日発表のとおり、MLCC等の受動部品における材料技術をより強化するため、日本化学工業社との戦略的提携を決定しました。この提携により、自動車やAIエコシステム向けの高付加価値品をタイムリーに開発していきます。
これらの施策を基に、xEV向けに加え、AIエコシステム向けビジネスを拡大し、中長期的な成長の実現を目指していきます。
センサ応用製品

次に、センサについては、当初想定していたROIC目標値の達成に向けて進捗しています。
マーケットを主体とした事業運営体へトランスフォームし、マーケットインとコンセプトアウトの手法で新製品を拡大してきました。
特に、TMRセンサは生産能力を拡大中であり、顧客基盤およびアプリケーション基盤の拡大が進んでいます。また、MEMSマイクロフォンの新製品の立ち上げ効果により、MEMSセンサ事業の収益改善が進捗しています。
今後は中長期的な成長を見据え、MEMSセンサと磁気センサを組み合わせるなど、新製品の開発をさらに推進し、AIエコシステムやスマートグラスなど先端デバイスへの拡販を強化していきます。
また、ゲームチェンジャーとのパートナーシップ拡大に向け、コーポレートベンチャーキャピタル(TDK Ventures)との連携も並行して強化していきます。
磁気応用製品

次に、磁気応用製品についてです。HDDストレージデバイスの急激な需要回復により、ROIC目標値を上回る見込みです。
HDDサスペンションにおいては、数年来進めてきた拠点再編などの構造改革の効果と需要増の効果により、Profit baseへのターンアラウンドを達成しました。
また、HDDヘッドに関しては、独立系メーカーとしてのポジションを活用し、顧客基盤の拡大を推進することで、早期のターンアラウンドを目指していきます。
さらに、MAMR(マイクロ波アシスト磁気記録)に続き、HAMR(熱アシスト磁気記録)の開発を加速し、市場投入も進めていきます。
中長期のROIC目標達成に向け、需要に応じた最適な投資と生産能力の拡大を図るとともに、ポートフォリオマネジメントをさらに推進していきます。
エナジー応用製品

エナジー応用製品については、革新的な新製品をタイムリーに市場へ投入することで、ROIC目標値を上回る見込みで進捗しています。
今後は高付加価値製品や生産性改善によって収益性を維持し、ウェアラブルデバイス向けアプリケーションの拡大を進めていきます。
また、中型二次電池事業では収益を安定化させ、Growingへ格上げするため、パワーセル製品とデータセンター向け中型二次電池製品のラインナップ拡大を図ります。
データセンターインフラ向け産業用電源についても、米国のQEIコーポレーションとのM&Aとあわせて、事業拡大を進めていきます。
重点モニタリング事業の収益性改善が進んでいます

ビジネスカンパニーごとのポートフォリオマネジメントの進捗をまとめると、スライドのとおりです。重点モニタリング対象としていた27CBUに2つのCBUを新たに追加し、合計29CBUとなっています。
Profit baseとなったCBUには、薄膜デバイスが追加されました。また、ベストオーナー等への事業譲渡および終息を実施したビジネスにはEV用電源などが加わり、計9つのCBUとなっています。
再建中のビジネスユニットは9つありますが、この中で金額が最も大きいものはHDDヘッドです。先ほどご説明したとおり、ターンアラウンドの見込みがあります。
また、アルミ電解コンデンサは能力増強中であり、Profit baseへの改善途上にあります。さらに、MEMSマイクロフォンについてはスマートフォン向け新モデル適用の拡大効果もあり、収益改善の途上にあります。
現在、議論を進めている9つのCBUについては、この中期経営計画の最終年度までに方向性を決定していく予定です。
AIを中心とした成長領域へのR&D投資を強化しています

3つ目の、インオーガニック成長のドライバーとなるR&D投資についてご説明します。
当社は、売上高の約11パーセントを研究開発投資に充てています。スライドの円グラフは、2023年時点の知財ポートフォリオを示したものです。
今後の成長が見込まれるセンサやAIエコシステム向け事業に資する知的財産投資を行い、事業ポートフォリオに合わせた知的財産ポートフォリオを構築していきます。
AIエコシステムの進展においては、消費電力が大きな課題ですが、当社はその課題を機会と捉え、中長期視点での開発投資を継続・強化していきます。
現状の開発製品としては、9月の「Investor Day」でもご説明したニューロモルフィックデバイスやスピンフォトディテクタに加え、リザバーコンピューティングや全固体電池などの開発も加速していきます。
長期の技術戦略:成長領域への研究開発投資を強化しています

研究開発を加速させるためには、組織横断的に情報を共有し、「価値創造チェーン」を構築することが重要です。当社では、約500億円を戦略投資枠からCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)に投資しています。
TDK Ventures Inc.が戦略投資を行っており、長期的な視点でどのようなテクノロジーが成長するのかをタイムリーに情報収集しています。
そして収集した情報をR&D部門およびマーケティング部門が迅速に分析し、タイムリーな新製品開発や事業化につなげています。
スライド右側のフェライトツリーは、これまで何度かご説明してきた内容ですが、フェライトツリーの枝葉をどのように成長させていくべきかを考えています。
その光の役割を果たすのが、TDK Venturesがアンテナを張っている技術領域です。具体的には、スライドに紫色でハイライトしている分野に投資しています。
引き続き、当社の価値創造チェーンを強化することで、今後のAIエコシステムの成長に貢献し、フェライトツリーをさらに大きく成長させていく方針です。なお、M&A投資の可能性についても、引き続き前向きに検討していきます。
ガバナンスの進化

次に、ガバナンスについてご説明します。当社は、スライド左側に示した変遷のとおり、コーポレート・ガバナンスを進化させてきました。
また、グループガバナンス方針である「Empowerment & Transparency(権限委譲と透明性の確保)」という考え方のもと、地域本社や中核子会社への権限移譲を積極的に進めています。
ビジネスカンパニーをはじめとする執行側への権限移譲を進める一方で、取締役会と執行側は徹底的に議論を行っています。
このような取締役会のカルチャーを、2023年に明文化しました。当社では、社外取締役が代々議長を務めているため、非常に活発な議論が行われています。
取締役会の文化は、企業文化でもある「機能対等」と同じく、社内外の隔たりなく、取締役・監査役が対等に議論を行う文化が昔から受け継がれています。
侃々諤々の議論を重ねた結果、企業価値向上という共通の理解に至ったため、取締役の構成が変わってもその文化を継承すべく、2023年にボード・カルチャーとして明文化しました。
TDKのボード・カルチャー

その内容は、コーポレート・ガバナンスの基本方針として明記されており、企業価値向上に貢献する本質的な議論を優先し、全社視点の議論を中心に据えています。
また、報告よりも議論や質疑の時間を重視し、徹底した議論がなされています。
取締役会の進化を図っています

取締役会における重点テーマは、スライドのとおりです。活発な議論のための取り組みとして、取締役会の実効性評価、オフサイトミーティングの実施、社外役員のみでの会合を四半期ごとに行っています。
また、投資家のみなさまからいただいたフィードバックを踏まえ、取締役会において資本政策や事業ポートフォリオマネジメントなどについても議論しています。
企業価値向上に資する取締役

本日は、社外取締役4名が登壇し、会場の投資家のみなさまと直接コミュニケーションを取る機会を設けています。先ほどご説明した取締役会の実態や実効性について、より一層ご理解いただければと考えています。
まずは、執行側が中期経営計画や長期ビジョンの達成に向けた取り組みについて質疑応答を行います。その後、執行側は退席し、社外取締役のみが登壇してご質問を受け、対話します。よろしくお願いします。
社外取締役対談 登壇者のご紹介

それでは、社外取締役対談に移ります。
質疑応答:TDKの事業ポートフォリオマネジメントにおける変化と課題について
質問者:「CBU(ビジネスユニット)の部門長によって意識の差に違いが大きくあり、どのようにベストプラクティスを共有し、よくするのか。例えば、電池のスピード部分を受動部品にどのように当てはめるのか」というようなお話を以前されていたかと思います。
現在は状況をどのように見られていて、現場の変化などが改善されているのでしょうか?
また、御社の社
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