インバウンド含む観光レジャーや法人需要が伸長
久世真也氏:みなさまこんにちは。株式会社久世、代表取締役社長の久世です。平素よりさまざまなご支援を賜り、誠にありがとうございます。さっそくですが、2025年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
第2四半期の外部環境です。当社グループが事業活動の中心としている外食・中食市場は、観光レジャー・インバウンドの伸長や、法人需要の回復を背景に、集客が好調に推移しました。一方で、個人消費は停滞傾向です。また、あらゆるコストの上昇が続き、人手不足もますます顕著となっています。
そのような環境の中、当社の業績のポイントは、需要取込による売上増加、お客さまへの提案営業を強化、主要ユーザーの3PL化、蓮田に物流センターを開設、DXによるお客さまの利便性の向上の5つです。こちらは次ページ以降で、詳しくご説明します。
連結決算概要
連結決算概要については、売上高334億3,400万円、売上総利益75億9,700万円、販売費及び一般管理費68億6,100万円、営業利益7億3,600万円、経常利益8億7,100万円、親会社に帰属する中間純利益8億9,600万円となりました。売上高は、好調に推移した法人や観光レジャー関連業態の需要を取り込み、前年同期比6.0パーセント増となりました。
一方で、物流キャパシティーの拡充、並びに今後の売上・利益を確保する体制を構築しました。具体的には、主要ユーザーのさらなる成長を支援するため、3PL化を進め、外部の物流センターに委託しました。また、埼玉県蓮田市に新しい物流センターを開設しました。これらの施策により費用が先行し、営業利益は前年同期比18.8パーセント減となりました。
売上高の増減要因(前期比)
売上高の増減要因についてご説明します。まず、既存顧客の売上増加や原価高騰による値上がりなどで12億8,400万円、営業施策として、グループ各社で進めてきた新規開拓や輸出の伸長、また高付加価値商品販売などのプラスオン戦略の推進により、9億5,800万円の売上を積み増しました。
一方で、お客さまの閉店や、2023年11月に中京地区の商圏をサカツコーポレーションへ譲渡したことによる、収益認識基準の影響で、3億5,400万円減少しました。
以上の結果、連結売上高は前期比6.0パーセント増の334億3,400万円となりました。
営業利益の増減要因(前期比)
営業利益の増減要因についてです。売上高の増加に伴う利益の増加で4億2,300万円、高付加価値商品をはじめとする、重点商品の販売強化などによる粗利率の改善で、1億900万円の増加となりました。
一方で、物流費・その他経費は、主要ユーザーの3PL化、物流センターの開設、水道光熱費などにより増加しました。人件費は、ベースアップや人員増などにより増加しました。以上の結果、営業利益は前期比18.8パーセント減の7億3,600万円となりました。
四半期別売上・営業利益の推移
四半期ごとの売上・営業利益の推移についてご説明します。第1四半期・第2四半期ともに前期比で増収減益となりました。
費用は先行していますが、主要ユーザーの3PL化及び物流センター開設により、新規のお客さまを獲得できる体制を整えてきました。引き続き、損益管理は強化・維持し、業務改善を図るとともに、お客さまの課題解決につながる商品提案に努め、必要な成長投資を推進していきます。
連結貸借対照表
貸借対照表については、スライドをご覧のとおりです。当期純利益が順調に積み上がり、純資産は72億4,700万円となりました。
自己資本比率は、2024年3月期の26.8パーセントから5.7ポイント上昇し、2025年3月期第2四半期は32.5パーセントとなりました。
また、政策投資銀行から借り入れた劣後ローン20億円を完済するなど、借入金の圧縮を進めた結果、残高は半減しました。
連結キャッシュフロー計算書
連結キャッシュフロー計算書です。営業活動によるキャッシュフローは5,600万円の増加、投資活動によるキャッシュフローは4,800万円の減少、財務活動によるキャッシュフローは、借入金の返済を進めたことにより、24億7,100万円の減少となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は40億6,900万円となりました。
2025年3月期連結業績予想
連結業績予想です。売上高は670億円、営業利益は14億円、経常利益は14億5,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は13億円を予想しています。
下半期は、中間期のトレンドがある程度継続するものと考えていますが、個人消費の停滞や国内外の政治情勢の変化により、景気の先行きは不透明な状況です。
2025年3月期の連結業績予想については、景気の動向を踏まえて慎重に精査すべく、2024年5月15日に公表した数字を据え置いています。今年度の着地見込みが固まり次第、速やかに開示します。
株主還元
株主還元です。2025年3月期は、普通配当15円の予定です。当社の配当の考え方については、ベースとなる普通配当を実施した上で、連結の親会社株主に帰属する当期純利益が4億5,000万円以上となった場合は、業績連動分として特別配当を行います。この場合の配当性向は、10パーセントから15パーセントを目標とします。
業績連動分としての特別配当額は、通期着地見込みが明らかになった時点で決定します。今後もさらなる企業価値向上に努め、株主のみなさまへの還元に尽力します。
久世の役割
100周年に向けた今後の方向性についてご説明します。当社グループの事業ミッションは「頼れる食のパートナー」です。
人と人のリアルな触れ合いが希薄化する中、これから外食に求められる役割は、ただ空腹を満たすことだけではありません。食は最も身近なエンターテインメントであり、おいしさの先には楽しさや賑わい、そして心の充足があります。身近な幸福である食には、人と人とをつなぐ力があります。
今後、より一層、身近な贅沢が求められる時代において、価値ある「多様な食材」を「効率良く」提供するという当社の役割を果たしながら、食を通じて人と人とがつながり、心満たされる世界を目指していきたいと考えています。
そして、パートナーであるステークホルダーのみなさまに信頼してもらえる企業に成長できるよう、パッションとオペレーションの力で尽力していきます。ご指導のほど、よろしくお願いします。
100周年に向けた長期ビジョン
当社は、ご支援いただいた多くのみなさまのおかげで、今年で90周年を迎えることができました。この先の100周年に向け、長期経営テーマに「持続可能で質的な成長」を掲げています。
お客さまへの価値ある商品の提供と、利便性の高いサービスの向上・維持を実現し続けるため、これからの大きな環境変化に対応し、日々の基本を大切にしながら、新たな成長を図っていきたいと考えています。
中期経営計画としては、今期が第1フェーズの2年目となります。最終年度となる来期2026年3月期は、成長への環境整備を経て、売上高710億円、営業利益19億円を目標としています。100周年を迎えた時に大きく成長できるよう、長期の視点で計画を立て、施策を実行していきます。
100周年に向けた長期ビジョン
第1フェーズの取り組みについては、「成長への再スタート」をテーマに、事業基盤の再構築を進めています。
第1フェーズの取り組み
3つの基本施策として、「関東集中」「機能強化」「プラスオン」を掲げています。
「関東集中」では、大きな経済圏である関東地方に経営資源を集中し、営業活動を強化しています。
「機能強化」では、お客さまとの相互のコミュニケーションプラットフォームである「KUZEX」や、ECの物流受託事業などの強化に取り組んでいます。
「プラスオン」では、お客さまが抱える課題である価値の向上、収益の確保、そして人手不足に貢献できるよう、価値ある素材やプライベートブランド商品などを提案しています。
強化する市場は、「フードサービス」「観光レジャー」「中食惣菜」の3つです。それぞれの市場で蓄積した経験や知識を相互に活用し、ポートフォリオのバランス化を図り、事業基盤を強化しています。また、各市場の課題解決につながる価値ある商品と、情報提供に尽力しています。
投資は、経営を支える「人財」「物流」「情報システム」の3つの資源を中心に実施しています。
さらに、未来を創る5つの施策として、「EC事業」「DX化推進」「商品開発」「海外事業」、そして「グループシナジー」の創造に取り組んでいます。
詳細は、16ページ以降の資料をご参照ください。
3つの基本戦略
3つの基本戦略の詳細はスライドのとおりです。
強化する市場
各市場に対する施策はスライドのとおりです。
投資戦略
投資戦略の詳細はスライドのとおりです。
未来を創る5つの施策
未来を創る5つの施策の詳細はスライドのとおりです。
上期の実績
上期の実績についてです。まず物流キャパシティーの拡充は、主要ユーザーを3PL化し、自社センターを埼玉県蓮田市に開設したことにより、目途をつけました。
新規顧客の獲得は、関東を中心に、フードサービス、観光レジャー、中食惣菜の3市場を開拓するとともに、プラスオン戦略を推進しました。新規のお客さまの売上高は、4億6,400万円となりました。
業務改革とDXの推進は、お客さま満足と生産性を向上し、人にしかできない価値ある仕事に専念できる体制の構築を推進してきました。
新しいビジネスモデルを通して競争優位性を確立するため、経営戦略推進室にDX専任を設置しました。第2四半期末時点で、約5,000アカウントのお客さまに「KUZEX」をご利用いただいています。
また、競争優位性のある商品の強化として、久世はプライベートブランド(以下、PB)の「メイキット」「ドルチェーゼ」より5つの新商品を発売し、グループ会社のキスコフーズは、3つの新製品を発売しました。
お客さまの人手不足に対応する簡便調理品の提案、付加価値のある商品・メニューの提案など、お客さまの課題解決に努めました。
グループシナジーとして、中国事業は国分グループ本社と新たな枠組みでの協働を開始しました。
下期の計画
下期の計画です。物流キャパシティーの確保に目途がつきましたので、EC事業の強化と次世代物流の検討を進めるとともに、国内外の新規顧客の獲得に注力していきます。
DXの推進については、「KUZEX」と連携する新たなBtoB支援プラットフォーム「Smart Connect」の構築に着手する予定となっています。デジタルと人との融合で、お客さまの満足と高い生産性を兼ね備えた新たなオペレーション変革を推進します。
また、昨年立ち上げた業務改革プロジェクトにより、引き続き生産性の向上と職場環境の整備に取り組んでいきます。
商品施策としては、プラスオン戦略を推進し、価値ある素材・PB商品・酒類飲料の販売を強化していきます。共同購買組織であるJFSAのPB商品は、関東においては当社でしか販売できないものです。自社ブランドとJFSAブランドの両ブランドを駆使し、お客さまの満足の向上と、事業の成長の両立を図っていきたいと考えています。
グループ会社のキスコフーズは、時代に合った高付加価値商品のラインアップを強化していきます。
グループシナジーにおいては、人事などのサポート部門のグループ間の連携を強化するとともに、成長に向けてグループ全体で輸出を推進していきます。
久世氏からのご挨拶
身近な幸福である食には、人と人とをつなぐ力があると感じています。当社は、生産者からメーカー・飲食店まで、あらゆる人たちとかかわる仕事だからこそ、そのつながりを、より広げていけると信じています。
日本の食を支えてきたインフラとして、これからも食の力で思いをつなぐことが、当社の果たすべき使命です。今後も、株主さまをはじめとするみなさまより、当社へのご支援・ご指導を賜りたく、この場を借りてお願い申し上げます。
以上で、2025年3月期第2四半期連結決算と取り組みについてのご説明を終了します。ご清聴、誠にありがとうございました。