会社概要
橋本光伸氏(以下、橋本):本日は、株式会社ネオマーケティングの投資家説明会にお時間をいただきありがとうございます。代表取締役の橋本です。会社と事業の概要、業績の概要、中期経営計画、そして株主還元について順番にご説明します。
まず、会社概要です。2000年に私が起業し、今期が26期目です。創業以来、私が代表を務めています。東証スタンダード市場に上場しており、前期末時点で174名の体制で業務を行っています。
トップメッセージ
橋本:私は1999年に広告会社に入社し、2000年に当社を設立しました。その経緯についてご説明します。広告会社では営業を担当し、テレビや新聞、雑誌やラジオといったメディアを、スポンサーやクライアントに販売する仕事をしていました。その当時は、ビッグデータという言葉もありませんでしたが、いろいろな情報を集めていました。
あるテレビ番組について、ターゲットがどのような属性で、どのような世帯年収で、どのような趣味嗜好を持たれているかというデータを集めました。それに基づいて「御社のこのようなブランドや商品に適合しますよ」というような営業活動をしていたのです。この仕事が私に非常にあっていて、楽しかったです。
ただし、その中で、なるべく利益率の高いメディアをスポンサーに売るという、当時の業界や会社の風潮、方針、やり方にどうしても納得がいきませんでした。上司に何度も疑問を投げかけたのですが、「いや、そのやり方は当たり前だよ」「社会とはそういうものだよ」と言われました。非常に落胆しましたが、文句ばかり言っていても仕方がありません。
それなら、きちんとデータを集めて、クライアントにとって最適なプロモーションができるような会社を作ろうと、2000年にネオマーケティングという会社を作りました。
沿革
橋本:入口としては、データ側の重要性に気づいていたため、そのようなリサーチの事業からスタートしました。真面目に調査を行い、データと向き合い、それをお客さまに報告するということを着実に行ったのです。
ある時、報告会で、ある社長にレポートを提出する機会がありました。そこで「橋本さん、結果はわかった。ただ、我々は別に調査がやりたいんじゃないんだ。お店により多くのお客さまに来てもらったり、より売れるようにしたりしたいんだ」と言われました。
私はその言葉に大きなショックを受けました。きちんとデータを集めてそれを納品しただけでは、お客さまの目的を達成できないこともあることを身につまされたのです。
そこから、集めた情報をもとにどのように販売していけばよいか、どのようにPRしていけばよいか、どのようにデジタルを使っていけばよいかといった課題に向き合いながら、少しずつサービスを増やして、売上を増やしてきたという経緯があります。
1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):スライドのグラフを見ると、起業されてから継続して売上が伸びています。順調に、しかもかなりのペースで伸びていますが、2018年、2019年は若干、落ち込んでいます。逆に2020年や2021年はかなり伸びていることについてご説明をお願いします。
橋本:2018年にデジタルマーケティングのサービスを立ち上げました。それに向けて採用、組織作り、サービス強化などを含めて、2018年は投資の期として準備をしたのです。
もともと2020年に上場するスケジュールで進めていたのですが、結果的に1期遅れて、2021年に上場しました。意識しているのは、長いスパンで見た時に、投資をする期や屈む期は絶対に必要だということです。そこから伸ばしていく方法で、今まで進めてきました。2024年9月期もまさに、そのような準備の期として取り組んできています。
事業コンセプト
橋本:事業のコンセプトには「生活者起点のマーケティング支援会社」を掲げています。生活者起点ということで、実際に消費者にとって必要な商品やサービスは何かを、情報をもとに突き詰めていきます。そして、それを実現していくようなサービスです。
マーケティングリサーチとは
橋本:入口のサービスとなるマーケティングリサーチは、大きく定量調査と定性調査に分かれています。定量調査では、1,000サンプルや2,000サンプルの母集団に対して、統計的なデータを処理します。もう一方の定性調査では、インタビューや、我々が得意な訪問観察の調査を実行して、消費者のインサイトを捉えていきます。
その中でも我々が特に得意としているのが、定性調査の行動観察やデプスインタビューです。デプスインタビューでは、人間の深層心理を深掘りして、その中にインサイトという本人も気づいていない眠っているものを発見します。
インサイトとは
橋本:インサイトについて事例をご紹介します。スライド左上に缶の写真が2枚あります。今、缶コーヒーなどは、2枚の写真のうち右側のボトル缶の形が主流になっていると思います。これは実は、左側にあるプルタブ式の缶が女性にまったく飲まれないという課題からスタートした仕事です。
この事例に取り組む中で、インタビューや行動観察を通じて、3つのインサイトを発見しました。1つ目が、女性はネイルをしている方が多いため、無意識に缶を開けるという行為を避けていることです。
2つ目が、プルタブ式の缶では上を向かないと液体が口に入ってきません。そのようにして飲んでいる姿を周りの人に見られたくないというインサイトがありました。3つ目は、一度缶を開けたら全部飲み切らなければなりませんが、女性にとっては量が多いという問題でした。
その3つのインサイトを解消するために、右側のボトル缶ができました。口のところを広くすることで、少し傾けると飲料が口に入ってくる仕様にしました。また、缶を開ける時に爪にダメージを与えない設計にし、蓋の開け閉めを可能にして持ち運べるようにしました。
このように、インサイトを発見すると、プロダクトのあり方自体を変えるような力があると信じて、我々は仕事に取り組んでいます。
さまざまな事例がありますが、もう1つ、大戸屋の事例をご紹介します。こちらも女性に関係するインサイトです。大戸屋の「女性に来店いただく」という目的に対して、2つのインサイトがありました。1つは、女性は1人で定食屋に入っていく姿を人に見られたくないということです。もう1つは、食事をしている姿を、知っている人も含めて人に見られたくないというインサイトです。
それを踏まえて、大戸屋は2階や地下に店舗が構えられています。そうすると、外を往来している人から食事をしている姿を見られませんし、女性も入りやすいです。また、2階や地下のほうが賃料が安いです。
そのようなインサイトを発見すると、経営戦略自体も変えていけるようなパワーがあると考えています。
事業系統図
橋本:スライドは事業の系統図です。基本的なビジネスモデルは、左側の一般消費者から得られた情報を、右側のクライアント企業にお届けすることでマーケティング活動を支援していく流れになっています。
お客さまからいただいた売上の一部を、謝礼として生活者モニターといわれる方々に還元していく、循環型のビジネスモデルです。
取引先クライアント
橋本:取引先のクライアントには、食品、飲料、化粧品、家電、日用品といった製造業のメーカーが一番多いです。常に、商品開発や販売戦略に課題を持たれていて、サポートを求められる機会が多くあります。
ほかには、広告代理店やコンサルティング会社からもよくご相談をいただきます。官公庁、地方自治体、大学も当社のクライアントに含まれています。
運営サービス紹介(アイリサーチ·ソルパネ)
橋本:ビジネスの根幹の部分に、「アイリサーチ」というパネル組織を持っています。自社パネルのネットワークと提携パネルを含めて、3,069万人超の組織です。こちらにアクセスできる環境を作っており、この方たちにアンケートやインタビューを実施できる、マーケティングのプラットフォームとなっています。
運営サービス紹介(リサーチDEMO!)
橋本:例えば、都内在住の20代の女性で、化粧品に月何万円以上使っている人、といった対象条件があります。その条件でスクリーニングをして、該当する方をすぐに抽出できるデータベースを保有しています。
前期から「リサーチDEMO!」というインタビューツールのサービスも追加しました。こちらはお客さまご自身で、簡単に対象条件にあう方たちを抽出して、すぐにインタビューできるサービスです。主にコンサルティング会社や広告代理店に使っていただいており、サブスクのビジネスモデルとして運用しているところです。
収益構成
橋本:収益の構造についてです。スライドに、当社の4つのサービスの売上比率を記載しています。マーケティングプロセスを上流にして、そこから下流に向かって示しています。
お客さまの側のマーケティングのプロセスに沿ってサービス設計を行っています。「インサイトドリブン」「カスタマードリブン」で、商品やサービスの開発を支援します。そして、商品ができたら販売促進のフェーズに移行していきます。そこで「デジタルマーケティング・PR」のサービスで支援します。
最後に「カスタマーサクセス」というサービスで、お客さまのお客さま、つまり消費者に、長く継続的に商品を使用していただいたり、リピートしていただいたりするようにサポートする流れです。
収益構造
橋本:収益構造の概要と当社の主要KPIです。基本的には顧客数、顧客単価、マーケティングコンサルタント数をKPIとして、達成を目指しています。
コンサルタントを増やすことによって、顧客接点が増えます。売上高は顧客数と顧客単価の掛け合わせです。それぞれのKPIを追いかけながら、今、トップラインの拡大を目指しています。
マーケティング関連市場規模(TAM)
橋本:関連市場の規模についてです。マーケティングの市場は非常に大きく、インターネット広告の市場も合わせると2兆4,801億円のマーケットです。ここを着々と獲得していきたいと思っています。
事業内容:インサイト·カスタマードリブン i Research を活用したサービス
橋本:先ほどの事業の内容を、少し掘り下げてご説明します。インサイトドリブンでインサイトを発見して、それを起点に商品やサービスを開発していくサービスです。カスタマードリブンがいわゆる定量調査で、1,000サンプルから2,000サンプルの母集団から、統計学的な分析の仕事を行うものです。
定量調査の場合は、ある商品のコンセプトが市場に受け入れられるか、ターゲット層に購入意向はあるのか、どの程度の価格であれば受け入れられるか、パッケージに対する好意度はどの程度か、といったことを定量的に把握します。それを商品開発や商品の改善に活かしていくサービスです。
トピックス:海外リサーチサービスの強化(1)
橋本:直近の足元での取り組みとして、海外のリサーチサービスを強化しています。マーケティングセンターやレアジョブという会社と提携し、今後の海外のリサーチサービスを拡充している状況です。
日本は基本的に、人口が減少していく社会です。そのため、海外リサーチについては、日本の企業がグローバルの市場を取りに行く動きと、海外からインバウンドで来られる旅行者の方たちに買っていただけるように需要を取り込む動きの2つの軸があります。我々は、その両軸を踏まえてサービス展開を強化しているところです。
トピックス:海外リサーチサービスの強化(2)
橋本:直近で、ボーダーリンク社と協業しました。内容としては、在日の外国人の方に対してマーケティング調査ができるような提携です。
また、MAKE OPINION社というドイツの会社とも協業しました。世界130ヶ国以上、6,000万人規模の海外モニターにアプローチができるような体制を整え、本格的に海外リサーチサービスの提供を開始していきます。
事業内容:デジタルマーケティング·PR
橋本:デジタルマーケティング、PRの領域です。例えば動画広告やインフルエンサーマーケティング、SNS広告、あるいはリスティング広告のようなサービスは、それぞれをいろいろな会社がしています。我々が他社と違うのは、まず、上流のリサーチから当社が関わっている点が大きくあります。
例えば商品やサービスのターゲット、共感いただける世界観、その人たちのライフスタイル、あるいは見ている媒体などの解像度が、入口の段階で非常に高いです。それを元に、その方たちに響くクリエイティブを開発したり、あるいはその人たちが見ている媒体に広告を出稿したりと、成果の出るプロモーション戦略を立案して実行できるところが特徴になっていると考えています。
事業内容:カスタマーサクセス
橋本:カスタマーサクセスというサービスについてです。日本は人口が減少していく社会で、一度商品やサービスを購入し、利用いただいたお客さまに対して、長くお客さまで居続けてもらうことが一番優先される、経営にインパクトを与える要素になっています。
こちらのサービスに関しては、既存のお客さまに対し、コールセンターを活用したりメールの対応をしたりといろいろな手法を使うセンターがあります。今、横浜市と那覇市、兵庫県三田市でこの業務を運用しています。
当社の強み
橋本:当社の強みです。1つ目が、マーケティングを上流工程から一気通貫で支援できることです。2つ目としては、お客さまからのインバウンドの案件のご相談や問い合わせの流入経路を確立しています。3つ目は、マーケティングのいろいろな活動をしている中で、データベースにそのナレッジが蓄積されていくところです。
当社の強み① マーケティングを一気通貫で支援
橋本:まず、マーケティングを一気通貫で実施できることについてです。企業のマーケティングを支援するにあたって必要なサービスや機能、専門の人材を含めて社内で内製化しています。それにより社内の部署でワンストップで提供できる点が、他社と一番違う点かと思います。
例えば調査会社やインターネット広告会社に個別に仕事を発注する、あるいは広告代理店やコンサル会社に丸投げすれば、仕事自体はできると思います。しかし、やはりコミュニケーション面やコスト面、スピード面などで、結果的にクオリティに差が出てきます。その部分で優位性を発揮できるようなサービスの体制や組織体制を作っているのです。
当社の強み② インバウンドによる案件流入経路の確立
橋本:次に、お客さまからお問い合わせをいただけるような案件の流入経路を確立しています。例としては、先ほどモニターのプラットフォームを持っているとお話ししたのですが、そこで旬なネタや社会的に関心が高いテーマに関して当社が自主調査としてどんどん情報を集めていき、独自レポートとして配信しています。
その資料をダウンロードいただいた方が見込み顧客になっていくほか、マーケティングノウハウを提供するウェビナーを実施して、そちらの参加者が見込み客になっていく仕組みを社内で構築しています。
これは日々の業務に紐づいた活動です。例えば調査レポートの配信も、それが同時に新規の顧客獲得にもつながる循環型のモデルになっています。2024年9月期の見込み客のリード件数は1万2,290件で、前期と比べて倍以上の件数を獲得しています。そのリードを活用し、これから売上を伸ばしていくフェーズに入っている状況です。
当社の強み③ ナレッジの蓄積
橋本:ノウハウを蓄積している点も強みです。当社は年間3,000件を超えるプロジェクトを運用しています。先ほどご説明したとおり、業務を内製化している強みを活かして、社内にマーケティングのナレッジをどんどん蓄積しています。
マーケティングコンサルタントがプロジェクトマネージャーとなり、データベースに蓄積されたナレッジを活用して、精度の高いご提案ができるような環境を作っています。
Ken:マーケティング支援会社は、かなり競合が多いと思っている方が多いかと思います。実際には代理店なども競合になってきますか?
橋本:競合になります。複合的な案件になると、広告代理店やコンサルティング会社も競合になりますし、マーケティング調査としては、マクロミル社やクロス・マーケティンググループ社というリサーチ会社と相見積もりになることもあります。デジタルマーケティングのコンペでは、いわゆるインターネット広告の会社とコンペになるケースもあります。
Ken:そのような競合とコンペになるケースで、御社を選んでいただけている理由はどのようなところですか?
橋本:施策をいきなり提案する会社が多いと思うのですが、我々はきちんと上流に戻って、本来その製品やサービスがどのような人に使ってもらいたいのか、またどのような思いやコンセプトを持って作られたのかがすごく重要だと認識しています。
まずはそこをひも解いて、自己認識した上で宣伝やプロモーションをしようという提案をしています。そのようなきめ細かい部分や、細かい仕事でもいとわずにきちんと実行していくところが、おそらく他社と違うのではないかと思っています。
Ken:クライアントと距離が近いといったこともあると聞きます。
橋本:あると思います。コンサルタントは20代や30代前半の若い人もいますが、その人たちが可愛がってもらえるような、伴走するかたちで関わっています。
Ken:我々としては、広告系の会社は予算が重要というイメージで、もちろんビジネスのためそれもあると思います。そうではなく、先ほどインサイトでお話しいただいたような消費者の行動、思考に寄り添って支援していくということでしょうか?
橋本:我々はそれが大事だと思っています。
売上高・営業利益の推移
橋本:業績の概要です。2021年9月期の上場以来、売上は着実に右肩上がりで成長していきました。しかし、2024年9月期はマーケティングコンサルタントを1.5倍に増やすという先行投資を思い切って行った影響と、既存のコンサルタントを育成しなければいけない状況がありました。そのような部分も含めて営業活動の遅れが出て、減収減益になっています。
Ken:こちらについては、我々は2025年9月期から徐々に回復していくと見ておけばいいでしょうか?
橋本:2024年9月期は一度かかがんで体制を作ろうという期で、2025年9月期はこれから伸ばしていく期になっています。
Ken:新しく採用したコンサルタントの足元での教育状況はいかがでしょうか?
橋本:半年から1年ぐらいたってくると、だいぶ成長してきています。もちろんサポートは入るのですが、自分で実際にクライアントと相対して案件を進めることができるようになっています。少しずつですが個人の売上を獲得でき始めたという段階です。
Ken:ベテランの方だと1人で何社も抱えて、予算も多いと思います。例えば1年ほど教育されてある程度1人でできるようになった方と、ベテランの方との差はどれぐらいあるのでしょうか?
橋本:実はけっこう差があります。我々はマーケティングでカバーしている領域が広いため、1つのサービスを極めるのにも、ある程度の知識量や、実務でしてみることが必要です。そのため単一のサービスを販売している会社に比べると、当社のほうがインプットの時間がどうしても長くなる傾向はあるかと思っています。
ただし、それが結果的にクライアントのためになり、中長期で見た時に売上や利益を伸ばしていけるという信念でそのようなことをしています。
Ken:1年目より2年目、3年目と、1人で抱えられる量もどんどん増えていくと聞きます。
橋本:そのとおりです。それは如実に数字になって表れますし、担当しているクライアントの数は明らかに増えていきます。
2026年9月期 目標値
橋本:中期の経営計画についてご説明します。当社の現在の中期経営計画の目標値として、2026年9月期で売上高31億円、営業利益2億5,000万円を設定しています。そこから40億円、50億円とグロースさせていくような絵を描いています。
中期経営計画 成長戦略
橋本:成長戦略については、シンプルに3点です。先ほどご説明したマーケティングコンサルタントの増員と、顧客数の拡大、顧客単価の増大を考えています。
顧客単価の増大に関しては、今取引をしているお客さまも、単一のサービスのご利用にとどまっているクライアントが相当数います。そのようなお客さまにおいてマーケティングプロセスが進んだり、我々からご提案したりしてクロスセルが進行していくことによって、顧客単価を上げていこうという戦略です。
中期経営計画 業績目標
橋本:中期経営計画の業績目標です。2025年9月期に売上高25億円、2026年9月期に売上高31億円を目標に置いています。
Ken:中期経営計画ではコンサルタントの数が重要とのことでした。足元の採用状況と、それが会社の計画値と比較してうまくいっているのか、もう少しがんばらないといけないのかといった温度感を教えてください。
橋本:2024年9月期は20名程度の増員ができました。目標値として51名を設定していたのですが、期末に52名のコンサルタントの体制を整備することができています。
Ken:来期に向けて、今後の採用に関して感触などはいかがでしょうか?
橋本:2024年9月期の実績を見てみると、採用自体はできるという感触を持っています。むしろ、入社いただいた後にその方がいち早く戦力として活躍できることが一番大事です。そこに注力していくのが、特に2025年9月期の大事なポイントだと考えて進めています。
Ken:顧客単価の向上については、やはり慣れてきたほうがクロスセルの提案などがうまくでき、各クライアントのマルチタスクにおいても余裕があるためにいろいろ提案できるということでしょうか?
橋本:そのとおりです。やはり1人が持てる業務量、クライアントの数には限界があります。したがって常に採用しておいて、その次の世代を育てておくことが、売上を伸ばし続ける点では非常に大事になると考えています。
Ken:顧客単価の目標は、2026年9月期の目標値として295万円です。こちらに関して、足元での感触はいかがでしょうか?
橋本:顧客単価は少しずつ伸びてきています。以前は、お客さまにビジネスモデルがわかりづらいこともあり、どのような会社なのか、何を提供する会社なのかが浸透しきっていない状況がありました。最近は得意な部分や特徴を把握していただき、複数のサービスをご利用いただける機会も増えてきています。それに伴って顧客単価が上がっています。
Ken:労働集約的なビジネスで、インフレの影響もあり、数年前と比べるとお客さまへのサービスの値上げもありますか?
橋本:定量調査については料金表があり、常に見直しを行って、その時々の適正な価格でお客さまに販売しています。
株主還元について
橋本:株主還元についてです。当社は株主還元も重要な経営課題と認識しており、事業を成長させることで本質的な企業価値を高め、株主価値の向上を図っていきたいと思っています。財務状況も勘案し、株主のみなさまへしっかりと還元していくことを基本方針として掲げています。
2024年9月期から株主優待制度を導入しました。100株以上保有していただいている株主さまを対象に、QUOカードを贈呈しています。今後も同水準以上の優待利回りとなるように、株主還元策についてもしっかりと検討していきたいと思います。
利益を積み重ねて一定の財務基盤ができたタイミングで、配当も検討していきたいと考えています。参考として、2024年9月期の株主優待利回りは5.1パーセントと高い水準となっています。
株価推移について
橋本:株価についてです。2021年の上場以降、1,000円から1,500円前後で推移しています。前期は株主優待制度の導入効果もあり、期末に向けて1,400円程度まで上昇しています。
時価総額を上げていくことについては、まずは業績を向上させて、本質的な企業価値を高めることが重要です。同時に、業績がきちんと株価に反映されるように、株主価値を高めていくことも重要な経営課題だと考えています。
今後は、特に個人投資家のみなさまに向けたIR活動や施策、優待を積極的に行っていく予定です。ぜひよろしくお願いします。
東証スタンダード市場 上場維持基準の適合状況
橋本:東証スタンダード市場の上場維持基準の適合状況についてです。直近の株主名簿で当社が試算したところ、流通株式時価総額がわずかに基準を下回っている状況です。この状況を踏まえて、業績を上げていくことと、今期は株価対策にも取り組んで株主価値を高めていきたいと思っています。
Ken:株主還元について、QUOカードを進呈されたということで、個人投資家の中でも話題になり、株価もかなり反応したと思います。継続性を心配する投資家が多いのですが、今後も株主優待を継続されるのでしょうか?
橋本:基本的には優待制度を維持していきたいと考えています。
Ken:また、維持基準に若干足りない部分があり、今後も株主還元を強化されるのではないかと思うのですが、そのあたりはどのようにお考えですか?
橋本:基準を維持することは最低限だと思います。そのために必要な施策や有効な手段を行っていく考えです。
質疑応答:配当方針と今後の見通しについて
Ken:「配当方針と今後の見通しについて教えてください」というご質問です。先ほどご説明いただいたQUOカードなどは、どのような議論をされて決定されているのか、可能な範囲で教えてください。
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